JP3142256B2 - 排水処理装置および排水処理方法 - Google Patents

排水処理装置および排水処理方法

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JP3142256B2
JP3142256B2 JP10065553A JP6555398A JP3142256B2 JP 3142256 B2 JP3142256 B2 JP 3142256B2 JP 10065553 A JP10065553 A JP 10065553A JP 6555398 A JP6555398 A JP 6555398A JP 3142256 B2 JP3142256 B2 JP 3142256B2
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sludge
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immobilization
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  • Biological Treatment Of Waste Water (AREA)
  • Removal Of Specific Substances (AREA)
  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、排水中のフッ素
および界面活性剤などの有機物や過酸化水素を効果的に
生物化学反応処理できる排水処理方法および排水処理装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】最近の脱フロン時代に至って、フロン全
廃という時代のニーズに合わせて、特に半導体工場や液
晶工場では洗浄用フロンの代替として、各種の界面活性
剤、アルコール系有機溶剤,フッ素系溶剤などが使用さ
れている。また、工程の微細化の方向からも、上記界面
活性剤,有機溶剤などが使用されている。
【0003】特に、超純水と界面活性剤の組み合わせに
よる洗浄は、その洗浄性及び部品ダメージ性から判断し
て、フロン全廃を実現するための重要な代替洗浄手段と
して期待されている。このため、時代とともに、半導体
工場や液晶工場においては、ウェハ製造プロセスで使用
するフッ素および界面活性剤を含んだ排水が増加しつつ
ある。
【0004】一般論として、まず、フッ素については、
特に半導体工場の場合、フッ素含有排水におけるフッ素
濃度が30〜300ppm程度の場合が多い。そして、そ
のような濃度のフッ素を含む流入水は、消石灰, ポリ塩
化アルミニウム, 高分子凝集剤等の薬品を添加して、難
溶性のフッ化カルシウムやフッ化アルミニウムを生成さ
せ、さらに、上記フッ化カルシウムやフッ化アルミニウ
ムを、凝集剤によってより大きなフロックにし、この生
成したフロックを、その後、沈降分離させることによっ
て、排水処理する。
【0005】一方、界面活性剤については、最近の半導
体工場及び液晶工場においては、微細化が更に進む予定
であるので、超純水による水洗浄では水の表面張力のた
め微細な部分に対しては洗浄が困難になる。このため、
超純水に界面活性剤やアルコール類等の有機物を混入さ
せて表面張力を小さくして微細な部分を洗浄する方法が
普及しつつある。しかし、それらの界面活性剤等は、物
質の分子式、構造式、発泡性および殺菌性などからし
て、微生物分解が困難な物質である。しかし、それにも
かかわらず、今後、半導体工場や液晶工場では微細化が
さらに進む予定であるので、この微細化に比例してフッ
素含有排水に界面活性剤等が多く含まれる傾向にある。
従って、上記フッ素の処理と同時に、上記界面活性剤を
主体にした有機物を含む排水を合理的かつ経済的に処理
することが必要となっている。
【0006】また、一方で、フッ素を含む超純水も、ウ
ェハに対する洗浄効果があるので、今後も、半導体工場
や液晶工場の排水中にフッ素が含まれる傾向にあり、同
時に、半導体工場や液晶工場において使用される薬品の
中にも微細化対応として界面活性剤を多く含む傾向にあ
る。上記薬品の代表的な例として、界面活性剤入バッフ
ァード弗酸がある。
【0007】従来、各種の産業施設や半導体工場および
液晶工場等から排出され、フッ素および界面活性剤を含
有した排水の処理方法としては、この排水中のフッ素に
対して大量の消石灰を加えて、難溶解性のフッ化カルシ
ウムを生成させ、上記フッ素を化学物理的に沈澱除去す
る一方、界面活性剤等の有機物に対しては、上記フッ素
処理後に、フッ素を処理する槽とは別の処理水槽内で、
リン酸や尿素などの栄養剤を添加しながら微生物学的
(生物学的)に処理するようにしたものがある。
【0008】また、微生物による排水処理設備を保有し
ていない半導体工場や液体工場では、生産工程におい
て、できるだけ界面活性剤などの有機物を回収し、別の
場所に設置してあるタンクに貯留して、業者引き取りを
行い処理していた。
【0009】また、従来、フッ素および界面活性剤を含
有する排水の処理装置としては、たとえば、図3の系統
図に示すようなものがある。図3は、微生物処理を含む
二段の凝集沈澱処理システムの系統図である。なお、図
2は、微生物処理を含まない二段の凝集沈澱システムで
ある。この図2に示すシステムは、図3に示したシステ
ムから、接触酸化槽28を取り除いたシステムと同じで
ある。
【0010】図2において、まず、排水は、原水槽14
へ流入し、水量及び水質をある程度調整した後、ポンプ
9によって第1反応槽15へ移送される。
【0011】次に、消石灰が添加された第1反応槽15
において、撹拌機12によって、排水の撹拌反応処理を
行い、フッ化カルシウムにして、溶解しているフッ素を
反応させた後、アルミ剤が添加された第2反応槽16に
移送され、撹拌反応処理を行い、未反応のフッ素を更に
フッ化アルミニウムとして、フッ素を反応処理する。ま
た、微細なフッ化カルシウムやフッ化アルミニウムのフ
ロックをアルミ剤が添加されることによって生成する水
酸化アルミニウムによって包み込む反応を行う。
【0012】次に、第1凝集槽17は、第1反応槽15
での反応によって生じた微細なフッ化カルシウムのフロ
ック及び第2反応槽16での反応によって生じた微細な
フッ化アルミニウムのフロックに高分子凝集剤を添加す
ることによって、より大きなフロックを形成させ、第1
沈殿槽18によって、固液分離を行う。この際、第1沈
殿槽18において固液分離されるフロック等のスラリー
の大部分は、過剰の消石灰による水酸化物であり、フッ
化カルシウムやフッ化アルミニウム等の反応物も含まれ
るが量としては少ない。
【0013】次に、上記工程では、フッ素濃度を目的水
質である15ppm以下にすることができないため、排水
を第3反応槽19、第2凝集槽20及び第2沈殿槽21
へ順に移送し、排水のPHが放流基準の範囲にはいるよ
うに、PH調整槽22を通した後、排水を放流する。
【0014】また、第1沈殿槽18及び第2沈殿槽21
から集められたスラリーは、汚泥濃縮槽5で濃縮され、
脱水機6によって規定の含水率のケーキにまで脱水され
る。
【0015】次に、図3に示すもう1つの従来例を説明
する。この排水処理装置において、フッ素及び界面活性
剤を含有した排水は、まず、原水槽14へ流入する。原
水槽14に流入したフッ素含有排水は水量および水質を
ある程度調整された後、原水槽ポンプ9によって第1反
応槽15に移送される。その後、フッ素含有排水は、上
記第1反応槽15において、消石灰を添加され、撹拌機
12によって撹拌反応処理される。フッ素と消石灰中の
カルシウムと反応時間が短い場合、相当の消石灰が添加
される。また、フッ素含有排水のPHがかなり低い場
合、中和のために相当の消石灰が添加される。
【0016】次に、上記排水は、さらに、第2反応槽1
6においてアルミ剤が添加され、第1反応槽15での未
反応のフッ素がフッ化アルミニウムに反応処理される。
【0017】次に、上記排水は、第1凝集槽17におい
て、高分子凝集剤が添加されて反応し、第1反応槽15
で反応し発生した微細なフッ化カルシウムおよび第2反
応槽16で反応し発生した微細なフッ化アルミニウムの
フロックが、より大きなフロックに成長させられる。そ
して、上記排水は、第1沈澱槽18で固液分離させられ
る。第1沈澱槽18において固液分離されるフロックな
どの汚泥の大部分は、過剰の消石灰に由来する水酸化物
である。上記汚泥にはフッ化カルシウムやフッ化アルミ
ニウム等の反応物も含まれるが、量としては少なく大部
分は未反応の薬品に起因する汚泥である。
【0018】次に、上記排水は、充填物29が充填され
ている接触酸化槽28に導入され、この槽28に存在す
る好気性の微生物によって、界面活性剤が処理される。
上記充填物29は、塩化ビニル製やプラスチック製の波
形の濾材である。
【0019】しかし、この接触酸化槽28では、微生物
にとって培養条件がよい栄養剤等を添加した場合でも、
界面活性剤がもつ分子式、構造式、殺菌性および発泡性
によって、界面活性剤を容易には微生物分解処理できな
い。そのため、処理水に発泡性が残り、この処理水の発
泡性をなくするために、新たに消泡剤等を添加する必要
があった。
【0020】また、上記排水処理装置は、第1反応槽1
5から第1沈澱槽18までの第一段の凝集沈澱設備での
処理だけでは、処理水のフッ素濃度を15ppm以下の目
的水質まで下げることができないから、第3反応槽1
9、第2凝集槽20および第2沈澱槽21などで構成し
た二段目の凝集沈澱設備を有している。
【0021】第3反応槽19において、ポリ塩化アルミ
ニウム等の酸性薬品を使用したことに起因して、あるい
は、第3反応槽19での反応時間が短いことに起因し
て、第2沈澱槽21でのPHが放流基準の範囲に入らな
いことがあるので、上記二段目の凝集沈澱設備は中和槽
(PH調整槽)22を備えている。尚、汚泥濃縮槽5は、
第1沈澱槽18および第2沈澱槽21からの汚泥を集め
て濃縮するための槽である。汚泥濃縮槽5で濃縮された
汚泥は脱水機6によって規定の含水率のケーキまで脱水
される。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】ところで、半導体工場
のフッ素含有排水におけるフッ素濃度は、30〜300
ppmの範囲で常に激しく変動するので、フッ素と消石灰
との反応においてフッ素に対する消石灰の必要量は、実
績としては化学反応理論量の3倍以上である。
【0023】また、半導体工場におけるフッ素含有排水
は、酸を使用するウェハ製造プロセスの工程からの排水
であるので、一般にPHが低く約2〜3の範囲であるこ
とが多い。
【0024】このため、上記半導体工場で発生する排水
は、フッ素を含み、かつ、pHが低く、水質が変動する
排水であるので、フッ素処理および中和反応に要する上
記消石灰等の薬品の使用量も多い。この結果として、最
終的に排出される脱水ケーキ等の廃棄物の量が多量にな
り、処分コストのみならず将来の廃棄物処分場の確保に
も不安があるという問題がある。すなわち、脱水機6に
よって脱水された発生するケーキは多量であり、かつそ
れら多量の脱水ケーキは産業廃棄物として埋め立て処分
されているのである。つまり、半導体工場や液晶工場か
らはフッ素や界面活性剤等の有機物を含む排水が多量に
発生するため、それらの処理設備や処理水質のみならず
発生増大する廃棄物対策を含めて、検討課題となってい
るのである。そして、それら半導体工場や液晶工場から
発生する産業廃棄物は増加の一途をたどっており、処分
場の確保も含めて増大する廃棄物対策が早急に必要にな
っている。
【0025】上記問題について、繰り返し、以下に細述
する。従来の消石灰などを添加してフッ素を処理する方
法は、フッ素含有排水のPHが低い上に、フッ素含有排
水のフッ素濃度が激しく変動するので、その中和反応に
要する消石灰の量を適正に制御して反応制御することが
困難である。従って、結果的に過剰の消石灰が必要であ
る。一般に、半導体工場の場合、実績としてフッ素量に
対して、前記したように化学反応理論量の3倍以上の消
石灰を添加していた。3倍以上の消石灰を添加するか
ら、未反応のカルシウムも多くなって、水酸化物等の汚
泥の発生量が多くなる。そして、上記汚泥をフィルター
プレスなどの脱水機によって脱水しても含水率が65%
程度であるから、結果として脱水ケーキのボリュームが
多くなっていた。一方、消石灰の必要量が実績として、
理論量の3倍以上となる別の理由は、フッ素含有排水と
添加される消石灰との反応時間を一般的に30分以内に
設計するので、過剰の消石灰を注入しないとフッ素の充
分な除去率が確保できず、一段目の凝集沈澱での目標値
(一般に20〜30ppm)まで達しないからである。逆
に、反応時間を充分とって設計した場合には、反応槽の
容量を3倍以上にしなければならなくなる上に、撹拌機
もより大きくしなければならないので、敷地面積および
建設のコストの点から判断しても、合理的ではなく、経
済的ではない。
【0026】また、界面活性剤の処理については、特に
界面活性剤が微生物に対して殺菌性を有するので、界面
活性剤の微生物処理が難しいという技術上の問題があ
る。
【0027】一方、処理水中のフッ素濃度に対する規制
も年々厳しくなり、最近の工場では行政基準を考慮した
フッ素の規制値が数ppmと一桁のケースが多いが、処理
水中のフッ素濃度を一桁に維持するためには、現実の実
装置では、アルミ剤をフッ素濃度に対して10倍以上添
加しないと目的のフッ素濃度まで下げることができなか
った。また、図2に示したように、接触酸化槽28を有
していない排水処理装置では、上記界面活性剤などの有
機物を含んだ排水を微生物処理できないので、特にCO
Dを中心とした放流水質が悪化するという問題を抱えて
いる。
【0028】これに対し、今日、排水の合理的かつ経済
的な処理および廃棄物の減量化は社会的ニーズであり、
かつ、地球環境を守る意味からもそれらは重要であり、
特に半導体工場や液晶工場からの処理水質の確実なる確
保と廃棄物の減量化は早急に解決すべき課題となってい
る。
【0029】また、半導体工場や液晶工場等において
は、従業員が利用する食堂、風呂、トイレ等からの生活
排水が必ず存在し、それらの生活排水を処理するための
生活排水処理設備から、栄養バランスの良い生活系余剰
汚泥が発生し、この余剰汚泥は半導体工場や液晶工場で
は特に有効に再利用する方法はなく、費用を払って処分
していた。
【0030】そこで、本発明の目的は、廃棄物が少なく
て、界面活性剤などの有機物を含んだ排水に対して処理
水質が優れていて、建設費が安価な合理的かつ経済的な
排水処理方法および排水処理装置を提供することにあ
る。また、本発明の目的は、フッ素及び界面活性剤含有
排水の処理コスト及び脱水ケーキの発生を低減し、か
つ、生活系余剰汚泥の処理をも行う手段を提供すること
にある。
【0031】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
の排水処理方法は、原水槽と、第一反応槽と、繊維状の
固定化担体が充填された第一無機汚泥生物汚泥固定化槽
と、第一沈澱槽と、繊維状の固定化担体が充填された第
二無機汚泥生物汚泥固定化槽と、第二沈澱槽とを有する
排水処理装置を用い、排水を、上記原水槽, 第一反応
槽, 第一無機汚泥生物汚泥固定化槽, 第一沈澱槽, 第二
無機汚泥生物汚泥固定化槽, 第二沈澱槽に順に流して排
水を処理する排水処理方法であって、上記第一沈澱槽か
ら、上記第一無機汚泥生物汚泥固定化槽に、アルミニウ
ムまたはカルシウムの少なくとも一方のバチラス・スブ
チリス・クボタ菌とを含む汚泥を返送し、上記第二沈澱
槽から、上記第二無機汚泥生物汚泥固定化槽に、アルミ
ニウムまたはカルシウムの少なくとも一方とバチラス・
スブチリス・クボタ菌とを含む汚泥を返送することを特
徴としている。
【0032】また、請求項2に記載の発明の排水処理装
置は、原水槽と、第一反応槽と、第一沈澱槽と、第二沈
澱槽とを有し、排水を、上記原水槽, 第一反応槽, 第一
沈澱槽, 第二沈澱槽に順に流して排水を処理する排水処
理装置であって、繊維状の固定化担体が充填され、曝気
手段を備え、上記第一反応槽から排水を受けて第一沈澱
槽に送ると共に、上記第一沈澱槽から、アルミニウムま
たはカルシウムの少なくとも一方とバチラス・スブチリ
ス・クボタ菌とを含む汚泥が返送される第一無機汚泥生
物汚泥固定化槽と、繊維状の固定化担体が充填され、曝
気手段を備え、上記第一沈澱槽から排水を受けて第二沈
澱槽に送ると共に、上記第二沈澱槽から、アルミニウム
またはカルシウムの少なくとも一方とバチラス・スブチ
リス・クボタ菌とを含む汚泥が返送される第二無機汚泥
生物汚泥固定化槽とを備えたことを特徴としている。
【0033】請求項1に記載の発明は、上記第一, 第二
沈澱槽から、上記第一, 第二無機汚泥生物汚泥固定化槽
に、アルミニウムまたはカルシウムの少なくとも一方と
バチラス・スブチリス・クボタ菌(以下BSK菌と略
す。)とを含む汚泥を返送する。このため、上記第一,第
二無機汚泥生物汚泥固定化槽において、アルミ剤からの
水酸化アルミニウムまたは水酸化カルシウムの少なくと
も一方と、BSK菌とが主体になっている新活性汚泥が
高濃度に維持される。したがって、本発明によれば、排
水中のフッ素および界面活性剤が効率よく同時に処理さ
れる。
【0034】上記BSK菌自体は自然界に存在する枯草
菌の一種であるが、BSK菌のコロニーには粘着性があ
るので、その粘着性を巧みに活用して、上記第一,第二
無機汚泥生物汚泥固定化槽の汚泥濃度を高めて、排水処
理能力の向上を計っている。上記第一,第二無機汚泥生
物汚泥固定化槽に固定化された水酸化アルミニウムフロ
ックは、排水中の微細なフッ化カルシウムおよびフッ化
アルミニウムを効果的に吸着する。
【0035】上記BSK菌主体の新活性汚泥とアルミニ
ウム, カルシウムを含んだ返送汚泥の固定化のために固
定化担体の材料として塩化ビニリデンなどを選定するこ
とが望ましいが、固定化担体の材料として塩化ビニリデ
ンに限定はしない。要するに微生物とアルミニウムを含
んだ汚泥が固定化されやすいものならば、上記固定化担
体の材料を、特に限定しないということであるが、上記
固定化担体は、上記微生物汚泥と無機汚泥を高濃度に固
定化することが重要である。
【0036】一般に、繊維状の固定化担体に、上記汚泥
に固定化されやすい。そして、上記したように、BSK
菌を含む汚泥は、BSK菌のコロニー(集合体)自体に粘
着力があるので、従来の活性汚泥と比較して、上記塩化
ビニリデン等で作製された固定化担体に固定されやす
い。すなわち、上記第一, 第二無機汚泥生物汚泥固定化
槽での汚泥濃度が高ければ高いほど、排水中のフッ素お
よび界面活性剤等の有機物の処理効果は上がる。当然の
ことながら、上記第一, 第二無機汚泥生物汚泥固定化槽
での汚泥濃度が高ければ微生物反応および接触吸着反応
効率も高い。そして、上記無機汚泥生物汚泥固定化槽で
の汚泥濃度が極限に達すると、その後は、上記塩化ビニ
リデンなどで作製した繊維状の固定化担体から上記汚泥
が自然に剥がれて、凝集反応後、沈澱槽で固液分離され
ることとなる。
【0037】一般的には、生物汚泥の沈澱槽より無機汚
泥の沈澱槽のほうが、その処理水の水質的な安定性があ
ることは既知の事実である。これに対し、本発明は、B
SK菌とアルミニウム, カルシウムを含む汚泥を生成さ
せるので、無機汚泥と有機汚泥の両方の汚泥の長所を得
ることができるようにしている。つまり、本発明は、生
物汚泥の長所としての様々な界面活性剤などを含む有機
物全般に対する処理効果と、無機汚泥の長所としての沈
澱槽での処理水の安定化効果を巧みに組み合わせてい
る。また、カルシウムやアルミニウムを含む汚泥が、微
生物に悪影響を与えることは殆どなく、逆に、カルシウ
ムは微生物の繁殖化および安定化に好影響を与えるとも
言われている。
【0038】また、従来、排水中のフッ素を数ppm以下
まで処理するには、図2,図3に示した第3反応槽19
において、フッ素濃度の10倍以上のアルミ剤を添加し
ないと処理できないから、廃棄物が多い。これに対し、
本発明によれば、アルミニウムを含む汚泥を固定化担体
に高濃度に固定化した第二無機汚泥生物汚泥固定化槽の
中を、低濃度フッ素を含む排水を通すので、フッ素とア
ルミニウムとの反応性が従来例と比べて向上する。この
ため、アルミ剤の添加量を従来例に比べて減少させるこ
とができ、廃棄物が減少するのである。上記第二無機汚
泥生物汚泥固定化槽内では、フッ化アルミニウムが生成
し、さらに、上記第二無機汚泥生物汚泥固定化槽内の水
酸化アルミニウム汚泥に、上記フッ化アルミニウムが凝
集して吸着する。そして、上記吸着後に、上記第二無機
汚泥生物汚泥固定化槽内の固定化担体から、上記フッ化
アルミニウムが吸着した水酸化アルミニウム汚泥が自然
剥離する。そして、次の第二凝集槽では、上記汚泥が凝
集し、上記沈澱槽で汚泥が沈降分離する。
【0039】本発明によれば、非処理物であるフッ素が
凝集されるから、少量のアルミ剤の添加により、効果的
にフッ素が処理される。本発明によれば、従来法と比較
してアルミ剤の使用量の低減を図ることができる。な
お、微生物を多く繁殖させる必要がある場合は、生活系
の余剰汚泥をあらかじめ直接第2水槽に添加して、炭酸
カルシウム鉱物及び活性炭の表面に、それら生活系の余
剰汚泥に起因する微生物を固定化しておいてもよい。ま
た上記生活系の余剰汚泥を第2水槽に常時添加し続けて
も良い。そして、経験的なことであるが、排水を十分に
ばっ気した場合には、アルミ剤のフッ素処理効果を向上
させることができ、アルミ剤の添加量を削減できる。い
ずれにしても、本発明は、フッ素の処理に微生物を利用
している点が従来と基本的に異なる。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示の実施の形態
により詳細に説明する。
【0041】次に、図1に示した請求項2に記載の発明
の排水処理装置の実施の形態である半導体工場及び液晶
工場等の排水処理装置の系統図を参照しながら、請求項
1に記載の発明の排水処理方法の実施の形態を説明す
る。図1において、101は原水槽である。半導体工場
等から排出されたフッ素および界面活性剤含有排水は、
まず、原水槽101に流入する。この原水槽101で
は、フッ素含有排水の水量および水質がある程度調整さ
れる。このため、この原水槽101は、場合によっては
調整槽と呼ばれることもある。流入水質の変動によって
も異なるが、一般的には、原水槽101での滞留時間は
数時間以上が選択されている。半導体工場や液晶工場に
おいて、この原水槽101におけるフッ素濃度、界面活
性剤濃度およびPHを経時的に調査するとかなり変動す
ることが判明する。その理由は、上記工場の生産工程に
おいて生産装置の数が多く、それぞれの装置で使用して
いる薬品に使用後排水する時間時期が定まっていないか
らである。上記原水槽101によってある程度、水質お
よび水量が調整された排水は、原水槽ポンプ102によ
って、第一反応槽104に移送される。第一反応槽10
4では消石灰が添加されて排水中のフッ素と消石灰のカ
ルシウムが反応してフッ化カルシウムを生成する。その
ときの反応時間は一般に15分以上が選定されている。
【0042】第一反応槽104では、排水中のフッ素と
消石灰のカルシウムによる反応によってフッ化カルシウ
ムが生成されるだけでなく、排水自体のPHが消石灰に
よって中和される。したがって、通常、上記第一反応槽
4での消石灰の添加量は、排水中のフッ素濃度および排
水のPHに基づいて制御されている。すなわち、上記消
石灰は、排水中のフッ素濃度の低減だけでなく、PHが
酸性である排水の中和をも目的として、添加されてい
る。
【0043】このように、排水の中和のために消石灰を
使用する場合には、図2や図3に示した従来例の第一反
応槽15では消石灰の使用量が多くなり、その結果とし
て最終的に発生するスラッジも多くなる。
【0044】しかし、この実施の形態では、第一沈澱槽
115からの未反応の消石灰を含んだ汚泥を第一沈澱槽
ポンプ117を介して第一反応槽104に返送している
ので、従来例に比べて、新しい消石灰の添加量は少なく
なる。この実施の形態では、第一反応槽104への汚泥
返送率は30%以下が選定されている。第一沈澱槽11
5からの返送汚泥のPHの測定値は、8〜9.5の範囲
であるが多いが、その程度のPHであっても排水の中和
には役立つ。たとえば、PH2〜3の排水に対して、P
H8〜9.5の返送汚泥を、排水量の30%だけ添加す
ると、PHはPH3〜5となる。上記汚泥返送率は、図
1に示すバルブ105と106の開度によって調整され
る。
【0045】上記第一反応槽104で、フッ素の前処理
がなされ、かつ、消石灰と返送汚泥により中和された排
水は、次に、第一無機汚泥生物汚泥固定化槽107に導
入される。この第一無機汚泥生物汚泥固定化槽では、排
水中のフッ素の処理のみならず、排水中の界面活性剤の
処理が行われる。この第一無機汚泥生物汚泥固定化槽1
07には、アルミニウムとカルシウムを主体とした無機
汚泥と、BSK菌主体の新活性汚泥である生物汚泥と
が、無機汚泥生物汚泥混合槽128から返送されるよう
になっている。上記第一無機汚泥生物汚泥固定化槽10
7でのMLSS濃度を、5000ppm以上に維持して運
転すると、フッ素および界面活性剤などの有機物に対す
る処理効果をより向上させることができる。第一無機汚
泥生物汚泥固定化槽107における無機汚泥と生物汚泥
の割合は、流入してくるフッ素と界面活性剤などの有機
物それぞれの濃度によって決定すればよい。
【0046】第一無機汚泥生物汚泥固定化槽107およ
び第二無機汚泥生物汚泥固定化槽122内に設置してい
る散気管112は、槽107,槽122内の溶存酸素
を、微生物が活発に繁殖できる最低濃度に維持するため
に設置してある。また、上記散気管112から吐出する
空気および撹拌機103によって、第一無機汚泥生物汚
泥固定化槽107における撹拌を充分強力に行って、フ
ッ素とカルシウムとの反応および、フッ素とアルミニウ
ムとの反応および、界面活性剤と微生物との反応などを
促進させる。この反応に必要な空気量は、槽107の容
量1M3当たり1日15M3以上あれば充分である。この
ことは、第二無機汚泥生物汚泥固定化槽122について
も同様である。一方、槽107,122内での排水の反
応時間、すなわち、滞留時間は、通常、約15分から3
0分の範囲である。
【0047】次に、処理水は第一凝集槽109に導入さ
れ、第一凝集槽109において、フッ化カルシウム、フ
ッ化アルミニウム、生物汚泥などが、高分子凝集剤によ
って凝集される。第一凝集槽109における高分子凝集
剤の添加量は、導入される排水に対して約1〜5ppmの
範囲に選定される。
【0048】次に、処理水は、第一沈澱槽115に導入
される。この第一沈澱槽115の内部には、汚泥かき寄
せ機114が設置されている。この第一沈澱槽115
で、処理水が上澄液と汚泥に沈降分離される。
【0049】そして、この沈降分離された汚泥は、第一
沈澱槽ポンプ117によって、上記第一反応槽104と
第一無機汚泥生物汚泥固定化槽107と汚泥濃縮槽12
9の内の少なくとも1つに移送される。移送する汚泥量
は、バルブ116,118,105,106によって調節
できる。上記汚泥濃縮槽129は、この排水処理設備か
ら汚泥を引き抜くための装置である。この移送つまり返
送において、試運転時には汚泥の100%を第一反応槽
104または第一無機汚泥生物汚泥固定化槽107に返
送する。そして、時間が経過して、第一無機汚泥生物汚
泥固定化槽107の汚泥濃度が5000ppm以上に達し
た時点、もしくは未反応のアルミニウムやカルシウムが
なくなった時点で、汚泥を汚泥濃縮槽129に引き抜く
ことが必要となる。この実施の形態では、汚泥量の20
〜40%の範囲で、汚泥を汚泥濃縮槽129に引き抜く
ようになっている。これに対し、図2, 図3に示した従
来の排水処理設備では、第一沈澱槽から常に100%の
汚泥を引き抜いていたのであるから、排水処理設備から
の最終的な廃棄物は、本発明の実施の形態に比べて多量
である。したがって、図1の請求項2の発明の実施の形
態の脱水機131は、従来の図8や図9に示した脱水機
6と比較して、50%以下の処理能力で充分である。
【0050】つぎに、処理水は、第一沈澱槽115から
第二無機汚泥生物汚泥固定化槽122に導入される。こ
の第二無機汚泥生物汚泥固定化槽122は、第一無機汚
泥生物汚泥固定化槽107と比較して、内部に固定した
無機汚泥の成分が異なる。即ち、第二無機汚泥生物汚泥
固定化槽122が内部に固定した無機汚泥の成分は、ほ
とんどがアルミニウムである。上記第二無機汚泥生物汚
泥固定化槽122における反応時間は、通常15分〜3
0分の範囲である。上記第二無機汚泥生物汚泥固定化槽
122には、新しいポリ塩化アルミニウムや硫酸バンド
などのアルミ剤が添加されている。しかし、このアルミ
剤の添加量は、この実施の形態では、従来例と比較し
て、格段に減少している。その理由は、上記固定化槽1
22内に充填した繊維状の塩化ビニリデン充填物113
に、未反応のアルミニウムをあらかじめ高濃度に固定化
させてアルミニウムの反応性を高め、それら未反応のア
ルミニウムを排水中のフッ素の処理に利用しているから
である。上記アルミニウムの固定化は、正確には、水酸
化アルミニウムの固定化である。この水酸化アルミニウ
ムの固定化材としては塩化ビニリデン充填材113が選
定されている。塩化ビニリデン充填材113は、繊維で
あり、強靭な放射状の輪状体であるので、表面積が広
い。したがって、塩化ビニリデン充填材113には、水
酸化アルミニウムが付着されやすく、固定化されやす
い。
【0051】この実施の形態では、第二無機汚泥生物汚
泥固定化槽122において、上記水酸化アルミニウム
を、より効率的に多量に、塩化ビニリデン充填材113
に付着させて固定化させる目的で、上記第二無機汚泥生
物汚泥固定化槽122において、BSK菌のコロニーが
持つ粘着性を巧みに利用して、新たな粘着性のある無機
汚泥生物汚泥を作製するようにしている。
【0052】この実施の形態は、第二沈澱槽124から
の水酸化アルミニウム主体の汚泥を、第二沈澱槽ポンプ
121を介して無機汚泥生物汚泥混合槽128に導き、
上記水酸化アルミニウム主体の汚泥をBSK菌主体の新
活性汚泥と充分に空気撹拌し、その後、上記空気撹拌し
た汚泥を第二無機汚泥生物汚泥固定化槽122に返送し
て、上記第二無機汚泥生物汚泥固定化槽122におい
て、上記無機汚泥生物汚泥を生成させるようにしてい
る。
【0053】上記無機汚泥生物汚泥混合槽128からの
粘着性のある新汚泥は、バルブ110と111の開度を
調節することによって、第一無機汚泥生物汚泥固定化槽
107または第二無機汚泥生物汚泥固定化槽122への
導入量を制御される。この実施の形態において、原水槽
101での水質変動が激しい場合には、上記アルミニウ
ムを多量に含む汚泥を第一無機汚泥生物汚泥固定化槽1
07に導入すると、第一沈澱槽115でのフッ素の処理
水質が向上する。無機汚泥生物汚泥混合槽128での処
理水の滞留時間は、10分以上あれば充分である。
【0054】図1において、127は、BSK菌培養槽
である。BSK菌培養槽127には、BSK菌の栄養源
として生活系の余剰汚泥が導入される。また、BSK菌
培養槽127は、加温設備126を備え、この加温設備
126によってBSK菌培養槽127内の水温を、BS
K菌が繁殖しやすい温度まで高めるようにしている。ま
た、BSK菌は好気性であるので、ブロワー108から
発生する空気を散気管112より吐出させてBSK菌培
養槽127内を好気状態に保つようにしている。このB
SK菌培養槽127から上記無機汚泥生物汚泥混合槽1
28に、BSK菌が導入される。
【0055】また、図1において、123は第二凝集槽
である。処理水は、上記第二無機汚泥生物汚泥固定化槽
122から、上記第二凝集槽123に導入される。この
第二凝集槽123では、高分子凝集剤が数ppm添加さ
れ、第二無機汚泥生物汚泥固定化槽122において剥離
した小さな汚泥などを凝集させる。この第二凝集槽12
3での処理水の滞留時間は、約15分程度に設定されて
いる。
【0056】つぎに、処理水は、第二沈澱槽124に導
入される。第二沈澱槽124では、第二凝集槽123で
凝集処理された排水を、上澄液と沈澱物とに固液分離す
る。そして、第二沈澱槽124で固液分離された上澄液
としての処理水は、中和槽125でPHを確認され、上
記処理水のPHが、所定の範囲(例えばPH5.8〜
8.6の範囲)に入っていない場合には、上記処理水は
上記中和槽125で中和され、その後、放流される。
【0057】図1において、131は脱水機である。こ
の脱水機131には、汚泥濃縮槽129の汚泥かき寄せ
機130によって濃縮された汚泥が導入される。そし
て、上記脱水機131は、上記汚泥を目的の含水率まで
脱水する。一般的には、半導体工場や液晶工場では、上
記脱水機131として、たとえばフィルタープレスが選
定されて、上記汚泥を含水率65%程度まで脱水処理す
るようになっている。
【0058】上記実施の形態の排水処理方法および上記
実施の形態の排水処理装置によれば、原水槽101へ流
入する排水のフッ素濃度が、たとえば120ppmである
場合に、最終槽である中和槽125でのフッ素濃度は1
0ppm以下となる。また、界面活性剤などの有機物をC
ODとして捕らえた場合に、原水槽101へ流入するC
OD20ppmの排水は、中和槽125の出口ではCOD
8ppm以下まで処理される。
【0059】ところで、図2,図3に示した従来の排水
処理系統図において、原水槽14から第一反応槽15に
流入してくるフッ素含有排水のフッ素濃度およびPHが
変動するので、消石灰の添加量の適正な制御が困難であ
り、結果として処理水質を確保するため過剰の消石灰を
添加していた。具体的には、フッ素に対して過剰の3倍
量の消石灰を添加していたので、最終的に未反応のカル
シウム汚泥が多く発生し、産業廃棄物としての脱水ケー
キの発生量が多かった。
【0060】これに対して、この実施の形態は、返送汚
泥中の未反応のカルシウムやアルミニウムを第一, 第二
無機汚泥生物汚泥固定化槽107,122に固定するこ
とによって、フッ素と、カルシウムやアルミニウムとの
反応性を向上させて、過剰な消石灰を削減して廃棄物の
減量化を実現した。
【0061】本来、無機汚泥生物汚泥固定化槽107と
122に充填してある塩化ビニリデン充填物113は、
繊維状態でかつ放射状の輪状体の充填物であるので、表
面積が大きくアルミニウムやカルシウムを含む返送汚泥
やBSK菌主体の生物汚泥が付着固定化し易い。更に、
BSK菌のコロニーが有する粘着性によって、この実施
の形態では、第一,第二無機汚泥生物汚泥固定化槽10
7,122での汚泥濃度を5000ppm以上にしている。
実験によれば、本実施の形態を連続運転していると、無
機汚泥生物汚泥固定化槽107と122の汚泥の60%
以上が塩化ビニリデン充填物に付着固定化される。特
に、BSK菌のコロニーは粘着性があるので、上記汚泥
を塩化ビニリデン充填物113に効果的に付着して固定
化できる。そして、その結果、無機汚泥生物汚泥固定化
槽107と122の汚泥濃度は高まる。
【0062】試運転調整時においては、第一沈澱槽11
5からの汚泥を第一沈澱槽ポンプ117を介して第一反
応槽104と第一無機汚泥生物汚泥固定化槽107への
返送を汚泥返送率100%で運転し、時間が経過して、
無機汚泥生物汚泥固定化槽107での汚泥濃度が500
0ppm以上になった時点で、汚泥返送率を下げて運転す
る。
【0063】第一反応槽104と二段の無機汚泥生物汚
泥固定化槽107,122の組み合わせによるフッ素の
除去率は、全体のシステムで90%以上が期待される。
また、界面活性剤などの有機物をCODとして捕らえた
場合、この有機物の除去率は60%以上が期待できる。
当然のことながら、従来例の排水処理システムによる汚
泥発生量に比べて、本実施の形態の発生処理システムに
よる汚泥発生量は格段に少なく、本実施の形態は、従来
例と比較して、汚泥発生量が60%以下である。その理
由は、従来の処理システムの場合、限られた反応時間内
に、消石灰、ポリ塩化アルミニウム、苛性ソーダ、高分
子凝集剤、および塩酸などの新品の薬品を多量に添加使
用するのに対して、本実施の形態では、未反応のそれら
薬品を返送して繰り返し使用して薬品の無駄のない使い
方をするからである。
【0064】ところで、この実施の形態の排水処理装置
は、図3に示した従来の排水処理設備における第2反応
槽16を、図1に示した第一無機汚泥生物汚泥固定化槽
107に改造し、かつ、図3の第3反応槽19を、図1
に示した第二無機汚泥生物汚泥固定化槽122に改造
し、かつ、BSK菌培養槽127と加温設備126を付
加し、一方で、図3における接触酸化槽28を削除する
ことによって構築できる。
【0065】つまり、この実施の形態の排水処理装置
は、既知の排水処理設備の一部を改造して、BSK菌培
養槽127および無機汚泥生物汚泥混合槽128等の小
設備を付加すること等によって構築できる新たな無機汚
泥生物汚泥固定化槽107および122というバイオリ
アクターを有している。上記バイオリアクターは、フッ
素と界面活性剤等の有機物とを、同時に1つの槽で高度
処理できる。
【0066】したがって、上記実施の形態の排水処理装
置によれば、従来の図3の排水処理設備における接触酸
化槽28などの大設備が不要になる。
【0067】また、この実施の形態の排水処理装置は、
もともと接触酸化槽を保有していない図2に示した従来
例に、生物処理機能を新たに保有させることによって、
構築できるので、この実施の形態の排水処理装置を新設
する場合に比べて、建設コストを低下できる。
【0068】このように、この実施の形態によれば、半
導体工場等におけるフッ素および界面活性剤含有排水
を、既設排水処理設備の一部を改造して構築できる新た
な無機汚泥生物汚泥固定化槽107,122を巧みに活
用してフッ素および界面活性剤などの有機物が効率的に
反応処理でき、かつ、廃棄物量を極力減量化でき、か
つ、フッ素濃度を低下させて放流水を目的水質にするこ
とができる。
【0069】フッ素および界面活性剤を含有する排水を
上記実施の形態によって処理した処理水は、使用薬品量
が少ない上に、微生物処理の工程を経ているので、環境
に与える影響も少なく、上記処理水でメダカなどの小魚
類を飼育することも可能である。したがって、上記実施
の形態は、地球環境を保全すべき時代にあって、省資
源、省エネルギーを達成でき、環境にやさしい排水処理
システムである。
【0070】次に、上記実施の形態と従来例とを比較す
るための実験装置による実験結果を以下に示す。上記実
施の形態に対応する実験装置では、無機汚泥生物汚泥固
定化槽の容量を約20リットルとした。また、図3に示
した生物処理を含む従来例に対応する実験装置では、第
2反応槽16の容量を約20リットル、接触酸化槽28
の容量を約100リットルとした。また、図2に示した
従来例では、第2反応槽16の容量を約20リットルと
した。
【0071】1) フッ素および界面活性剤含有排水の原
水の水質 PH 2.2 フッ素濃度 152ppm COD 21ppm(様々な界面活性剤が混入さ
れているのでCODとして捕らえた。) 2) 図3に示した従来例に対応する実験装置による処理
水の水質 (接触酸化槽への栄養剤としてリン酸と尿素を添加し
た。) PH 7.3 フッ素濃度 6.2ppm COD 5.5ppm 3) 図2に示した従来例に対応する実験装置による処理
水の水質 PH 7.6 フッ素濃度 6.5ppm COD 18.7ppm 4) 上記実施の形態に対応する実験装置による処理水の
水質 PH 7.5 フッ素濃度 5.1ppm COD 5.2ppm 5) 汚泥発生量 上記実験において、汚泥発生量を測定したところ、上記
実施の形態の実験装置から発生する汚泥量は、上記図2
に示した従来例に対応する実験装置から発生する汚泥量
の約60%以下であった。
【0072】
【発明の効果】以上、詳細に説明した様に、請求項1お
よび2に記載の発明は、第一,第二無機汚泥生物汚泥固
定化槽に、アルミニウムまたはカルシウムの少なくとも
一方とBSK菌とを含む汚泥が返送されるから、上記汚
泥に含まれる薬品の利用率を向上でき、薬品費などのラ
ンニングコストの低減および排水処理施設から発生する
廃棄物を極めて少なくすることができる。しかも、上記
第一,第二無機汚泥生物汚泥固定化槽は、フッ素に対し
ての化学処理機能と界面活性剤に対しての微生物処理機
能の両方を無機汚泥と生物汚泥の固定化によって効果的
に兼ね備える。つまり、上記第一,第二無機汚泥生物汚
泥固定化槽は、高度に生物および化学処理できる画期的
なバイオリアクターとして働くから、化学的性質が全く
異なるフッ素と界面活性剤を含有する排水を目的水質ま
で処理することができる。
【0073】つまり、請求項1および2に記載の発明に
よれば、消石灰等の薬品を多量に添加する上に、大容量
の単独微生物処理槽(接触曝気槽)を必要とする従来のフ
ッ素および界面活性剤含有排水の処理方法における多量
の廃棄物が発生する問題点を解決できる一大効果があ
る。
【0074】また、請求項2に記載の発明の排水処理装
置は、既設の排水処理設備の一部を無機汚泥生物汚泥固
定化槽に改造するという小規模改造によって構築できる
ので、装置の新設に比べて、建設費を低く押さえること
ができる。また、本発明の排水処理装置は、栄養剤を添
加する大容量の単独微生物処理槽(接触曝気槽)を備える
必要がないので、建造費を安くできる。
【0075】また、請求項2に記載の発明の排水処理装
置は、無機汚泥生物汚泥固定化槽において、フッ素の処
理に対しての化学処理機能と界面活性剤に対しての微生
物処理機能の両方を無機汚泥と生物汚泥の固定化によっ
て効果的に兼ね備える処理システムであるから、フッ素
含有排水中の界面活性剤等の有機物に対しても、新たに
栄養剤を添加する生物処理設備を計画することなく排水
処理できる効果もある。
【0076】以上のように本発明は、地球環境を保全す
べき時代にあって、省資源、省エネルギー及び環境にや
さしい排水処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項2に記載の発明の排水処理装置および
請求項1に記載の発明の排水処理方法の実施の形態を説
明する系統図である。
【図2】 従来の排水処理装置及び排水処理方法を説明
する系統図である。
【図3】 従来の生物処理手段を含む排水処理装置およ
び排水処理方法を説明する系統図である。
【符号の説明】
101…原水槽、102…原水槽ポンプ、103…撹拌
機、104…第1反応槽、105…バルブ、106…バ
ルブ、107…無機汚泥生物汚泥固定化槽、108…ブ
ロワー、109…第1凝集槽、110…バルブ、111
…バルブ、112…散気管、113…塩化ビニリデン等
の充填物、114…汚泥かき寄せ機、115…第1沈澱
槽、116…バルブ、117…第1沈澱槽ポンプ、11
8…バルブ、119…バルブ、120…バルブ、121
…第2沈澱槽ポンプ、122…第2無機汚泥生物汚泥固
定化槽、123…第2凝集槽、124…第2沈澱槽、1
25…中和槽、126…加温設備、127…BSK菌培
養槽、128…無機汚泥生物汚泥混合槽、129…汚泥
濃縮槽、130…汚泥かき寄せ機、131…脱水機。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平5−86996 (32)優先日 平成5年4月14日(1993.4.14) (33)優先権主張国 日本(JP) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 3/02 - 3/12 C02F 3/34 C02F 1/58

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原水槽と、第一反応槽と、繊維状の固定
    化担体が充填された第一無機汚泥生物汚泥固定化槽と、
    第一沈澱槽と、繊維状の固定化担体が充填された第二無
    機汚泥生物汚泥固定化槽と、第二沈澱槽とを有する排水
    処理装置を用い、排水を、上記原水槽, 第一反応槽,第
    一無機汚泥生物汚泥固定化槽, 第一沈澱槽、第二無機汚
    泥生物汚泥固定化槽,第二沈澱槽に順に流して排水を処
    理する排水処理方法であって、 上記第一沈澱槽から、上記第一無機汚泥生物汚泥固定化
    槽に、アルミニウムまたはカルシウムの少なくとも一方
    とバチラス・スブチリス・クボタ菌とを含む汚泥を返送
    し、 上記第二沈澱槽から、上記第二無機汚泥生物汚泥固定化
    槽に、アルミニウムまたはカルシウムの少なくとも一方
    とバチラス・スブチリス・クボタ菌とを含む汚泥を返送
    することを特徴とする排水処理方法。
  2. 【請求項2】 原水槽と、第一反応槽と、第一沈澱槽
    と、第二沈澱槽とを有し、排水を、上記原水槽, 第一反
    応槽,第一沈澱槽,第二沈澱槽に順に流して排水を処理す
    る排水処理装置において、 繊維状の固定化担体が充填され、曝気手段を備え、上記
    第一反応槽から排水を受けて第一沈澱槽に送ると共に、
    上記第一沈澱槽から、アルミニウムまたはカルシウムの
    少なくとも一方とバチラス・スブチリス・クボタ菌とを
    含む汚泥が返送される第一無機汚泥生物汚泥固定化槽
    と、 繊維状の固定化担体が充填され、曝気手段を備え、上記
    第一沈澱槽から排水を受けて第二沈澱槽に送るととも
    に、上記第二沈澱槽から、アルミニウムまたはカルシウ
    ムの少なくとも一方とバチラス・スブチリス・クボタ菌
    とを含む汚泥が返送される第二無機汚泥生物汚泥固定化
    槽とを備えたことを特徴とする排水処理装置。
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