JP3139221B2 - 電気集塵機の電力制御方法 - Google Patents

電気集塵機の電力制御方法

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JP3139221B2 JP05147064A JP14706493A JP3139221B2 JP 3139221 B2 JP3139221 B2 JP 3139221B2 JP 05147064 A JP05147064 A JP 05147064A JP 14706493 A JP14706493 A JP 14706493A JP 3139221 B2 JP3139221 B2 JP 3139221B2
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行雄 近藤
章男 赤坂
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気集塵機の電力制御方
法に係り、特に電気集塵機の集塵室に設けられた放電極
と集塵極の間に高電圧を印加する消費電力を低減する電
気集塵機の電力制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電気集塵機は、石油や石炭等の各種燃焼
炉から排出される燃焼ガス中のダスト捕集装置として工
業用に広く採用されている。そして、電気集塵機の集塵
性能は、捕集しようとするダストの電気抵抗率に左右さ
れ、電気抵抗率が1012Ωcmを越えると、集塵極上の
ダストから放電極に向かって放電が起こる、所謂、逆電
離現象によって集塵性能が大幅に低下するという問題が
あった。この対策としては電気集塵機の高電圧電源装置
として、直流バイアス電源からの直流ベース電圧に、パ
ルス電源からのパルス電圧を重畳するパルス荷電方式が
提案されている。このパルス荷電方式により、電気抵抗
率が1012Ωcmを越える逆電離現象時での集塵性能が
従来の直流電圧のみの直流荷電に比べ改良されるように
なった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、パルス
荷電を行う従来の電気集塵機は、逆電離現象時にも放電
極と集塵極の間に印加する供給電力が一定であった。こ
の結果、逆電離現象時においては効率の良い集塵性能を
得ることができないと共に、電力消費の点で無駄が発生
するという問題がある。
【0004】なぜなら、本発明の発明者は、種々の実験
により以下の知見を得た。即ち、パルス荷電方式で荷電
する場合でも、図2に示すように、逆電離現象が発生し
ていない正常時での集塵性能は電気集塵機に供給する供
給電力の増加に伴って向上し、放電電流が0.2〜0.
5mA/m2 の時の供給電力時に最高の集塵性能を示
す。一方、前記逆電離現象時での集塵性能は供給電力の
増加に伴って次第に上昇し、その後は逆に低下する。そ
して、最大の集塵性能は、放電電流で0.05mA/m
2 となる供給電力時である。このことから、正常時と逆
電離現象時では、電気集塵機に供給する供給電力を変え
て効率の良い集塵性能が得られる放電電流に制御するこ
とが必要である。
【0005】そして、図3に示すように、正常時と逆電
離現象時では、放電極と集塵極の間に印加される印加電
圧及び放電電流で表される放電特性は異なる曲線を描
き、その曲線の違いは前記放電特性曲線の傾きの違いと
して捉えることができる。即ち、図3から正常時の傾き
はΔI1 /ΔVで表され、逆電離現象時の傾きはΔi2
/ΔVで表すことができる。
【0006】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、電気集塵機の捕集性能を向上すると共に省エネ
になる電気集塵機の電力制御方法を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決する為の手段】本発明は、前記目的を達成
する為に、直流ベース電圧にパルス電圧を重畳したパル
ス荷電方式の高電圧を、電気集塵機の放電極と集塵極と
の間に印加する電気集塵機の電力制御方法に於いて、前
記放電極と前記集塵極の間に印加される印加電圧及び放
電電流から放電特性曲線を求め、前記放電特性曲線の前
記印加電圧の電圧変化に対する前記放電電流の電流変化
から前記放電特性曲線の傾きを算出し、前記算出した傾
きと予め求めた逆電離現象時又は非逆電離現象時の放電
特性曲線のうち少なくとも一方の放電特性曲線の基準傾
きとを比較して前記傾きが逆電離現象時か非逆電離現象
時かを判定し、前記判定した判定結果に基づいて前記放
電電流の大小を制御するようにしたことを特徴とする。
【0008】
【作用】本発明は、直流ベース電圧にパルス電圧を重畳
するパルス荷電方式を採用した場合でも、前記正常時
(逆電離現象時でない場合)と前記逆電離現象時とで
は、電気集塵機の集塵性能は電気集塵機に供給する供給
電力、即ち、放電電流の大小により大きく異なる。そし
て、正常時と逆電離現象の場合とでは、放電極と集塵極
との間に印加される印加電圧と放電電流で表される放電
特性は異なる曲線を描くという知見を得たことにより達
成することができた。
【0009】そして、本発明によれば、前記放電極と前
記集塵極の間に印加される印加電圧及び放電電流から放
電特性曲線を求め、前記放電特性曲線の前記印加電圧の
電圧変化に対する前記放電電流の電流変化から前記放電
特性曲線の傾きを算出し、該傾きと、予め求めた逆電離
現象時又は非逆電離現象時の放電特性曲線のうち少なく
とも一方の放電特性曲線の基準傾きとを比較して前記傾
きが逆電離現象時か非逆電離現象時否かを判定する。そ
して、判定した判定結果に基づいて前記放電電流の大小
を制御するようにした。例えば、前記判定結果が逆電離
現象でない場合は前記放電電流が0.2〜0.5mA/
2 になるように制御する。又、前記判定結果が逆電離
現象の場合は放電電流値が0.05mA/m2 になるよ
うに制御する。
【0010】これにより、正常時、逆電離現象時に応じ
て効率の良い集塵性能を得ることができる。
【0011】
【実施例】以下添付図面に従って本発明に係る電気集塵
機の電力制御方法の好ましい実施例について詳説する。
図1は、本発明の電気集塵機の電力制御方法に用いる高
電圧電源装置の一実施例を示す回路図である。同図に示
すように、高電圧電源装置は、主として直流ベース電圧
を発生する直流ベース電圧発生回路10、パルス電圧を
発生するパルス電圧発生回路12、直流ベース電圧にパ
ルス電圧を重畳する結合コンデンサー14、放電極と集
塵極の間に印加される印加電圧及び放電電流を逐次測定
する測定回路16、測定回路16での測定値から放電特
性曲線を求め、その傾きを算出すると共に、前記傾きと
予め求めた正常時(電気抵抗率が1012Ωcmより小さ
い、所謂、逆電離現象でない場合)の放電特性曲線の基
準傾きとを比較して前記傾きが正常時か逆電離現象時か
を判定する演算器17と、前記演算器17からの指示に
より前記直流ベース電圧発生回路10の電圧を増減させ
るゲート制御回路18で構成されている。
【0012】また、直流ベース電圧発生回路10は、第
1の交流電源24が第1のサイリスタ26を経由して第
1のトランス28の一次コイル側に接続され、第1の交
流電源回路を形成している。また、前記第1のサイリス
タ26とは導通の向きが逆に接続された第2のサイリス
タ30が、前記第1のサイリスタ26と並列に配設され
ている。そして、第1及び第2のサイリスタ26、30
のゲート端子26A、30Aは前記ゲート制御回路18
に接続されている。これにより、ゲート制御回路18で
前記第1及び第2のサイリスタをスイッチングすること
により第1の交流電源回路の電圧を増減できるようにな
っている。また、前記第1のトランス28の二次コイル
側は4個のダイオードブリッジ32、32…と第1のリ
アクトル34により整流回路が形成され、所定の直流ベ
ース電圧が得られる。また、整流回路には前記変流器2
2が配設され、電気集塵機20の図示しない放電極と集
塵極との間に放電される放電電流値をゲート制御回路1
8にフィードバックする。
【0013】また、パルス電圧発生回路12は、第2の
交流電源36が第3のサイリスタ38を経由して第2の
トランス40の一次コイル側に接続され、第2の交流電
源回路を形成している。また、前記第3のサイリスタ3
8とは導通の向きが逆に接続された第4のサイリスタ4
2が、前記第3のサイリスタ38と並列に配設されてい
る。また、前記第2のトランス40の二次コイル側はパ
ルス回路を形成しており、4個のダイオードブリッジ4
4、44…と第2のリアクトル46により交流電源電圧
の位相角制御と整流が行われて所定の直流電圧に充電さ
れる電源コンデンサ48、電源コンデンサ48とパルス
トランス50の一次側コイルの中間タップとの間に配設
され電源コンデンサ48に蓄えられた電荷を放出する方
向に導通可能な第5のサイリスタ52、電源コンデンサ
48とパルストランス50の一次側コイルの他の端子と
の間に配設され第5のサイリスタ52と導通の向きが逆
に接続された第6のサイリスタ54で構成されている。
そして、第5及び第6のサイリスタ52、54のゲート
端子52A、54Aは第2のゲート制御回路56に接続
されている。このパルス電圧発生回路12の回路構成に
より、任意のパルス幅の矩形波パルス電圧を得ることが
できると共に、電気集塵機20の蓄積電荷を前記電源コ
ンデンサ48に効率良く回収することができる。
【0014】また、パルストランス50の二次側コイル
に接続された結合コンデンサ14により、パルス電圧は
前記直流ベース電圧に重畳されて電気集塵機20の放電
極に印加される。次に、上記の如く構成された本発明の
電気集塵機の電力制御方法の作用について説明する。
尚、本発明は、従来技術でも述べたように、直流ベース
電圧にパルス電圧を重畳するパルス荷電方式を採用した
場合でも、前記正常時と前記逆電離現象時とでは、電気
集塵機20の集塵性能は電気集塵機20に供給する供給
電力、即ち、放電電流の大小により大きく異なる。ま
た、正常時と逆電離現象時とでは、放電極と集塵極との
間に印加される印加電圧と放電電流で表される放電特性
曲線が異なるという知見を得たことにより成されたもの
であり、これを前提として本発明の作用効果を説明す
る。尚、前記したように、演算器17には、正常時の放
電特性曲線の基準傾きが予め入力されている。即ち、前
記基準傾きは図3で示したΔI1 /ΔVとなる。そし
て、この正常時の放電電流は0.2〜0.5mA/m2
になるようにゲート制御回路18で前記直流ベース電圧
発生回路10の電圧を調整しておく。
【0015】そして、電気集塵機20の運転を開始する
と、パルス電圧発生回路12で発生するパルス電圧は、
結合コンデンサ14により直流ベース電圧発生回路10
で発生する直流ベース電圧に重畳され、電気集塵機20
の放電極に印加される。同時に、測定回路16では、放
電極と集塵極との間に印加される印加電圧と放電電流が
測定され逐次演算器17に入力される。次に、演算器1
7では、測定回路16で測定された印加電圧と放電電流
から放電特性曲線が求められると共に、その放電特性曲
線の傾きが算出され、予め入力されている基準傾きとが
比較される。そして、前記傾きが前記基準傾きより大き
い場合は逆電離現象時であると判定して、演算器17か
らの指示によりゲート制御回路18で第1の交流電源回
路の電圧が小さくなるように制御し、高電圧電源装置か
ら電気集塵機20に供給する供給電力を減少させて放電
電流値を小さくする。この時の放電電流値が変流器22
からゲート制御回路18にフィードバックされるので、
ゲート制御回路18では、放電電流値が0.05mA/
2 になるように電気集塵機20に供給する供給電力を
制御する。
【0016】もし、前記演算器17で算出された前記傾
きが前記基準傾きと同じ場合は正常時であると判定し
て、放電電流を電気集塵機20のスタート時の放電電流
値である0.2〜0.5mA/m2 に維持する。このよ
うに、本発明の電気集塵機の電力制御方法では、正常時
か逆電離現象時かの判定を行い、その判定結果に基づい
て放電電流の大小を制御する。即ち、効率の良い集塵性
能が得られる放電電流になるように高電圧電源装置から
電気集塵機20に供給する供給電力を変化させる。これ
により、正常時、逆電離現象時共に効率のよい集塵性能
を得ることができるので、電気集塵機20の捕集性能を
向上させることができると共に、消費電力に対する捕集
効率が向上するので、省エネになる。
【0017】尚、本実施例では、正常時の放電特性曲線
の傾きを基準傾きとしたが、逆電離現象時の傾きを基準
傾きとすることもできる。
【0018】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る電気
集塵機の電力制御方法によれば、非逆電離現象時(正常
時)か逆電離現象時かの判定を行い、その判定結果に基
づいて放電電流の大小を制御するようにした。即ち、効
率の良い集塵性能が得られる放電電流になるように電気
集塵機に供給する供給電力を変化させる。これにより、
正常時、逆電離現象時共に効率のよい集塵性能を得るこ
とができるので、電気集塵機の捕集性能を向上させるこ
とができると共に、消費電力に対する捕集効率が向上す
るので、省エネになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電気集塵機の電力制御方法に用い
る高電圧電源装置の一実施例を示す回路図
【図2】パルス荷電における電気集塵機に供給する供給
電力と集塵性能との関係を、正常時及び逆電離現象時と
で比較した集塵特性図
【図3】正常時の放電特性曲線と逆電離現象時の放電特
性曲線との比較図
【符号の説明】
10…直流ベース電圧発生回路 12…パルス電圧発生回路 14…結合コンデンサ 16…測定回路 17…演算器 18…ゲート制御回路 20…電気集塵機 22…変流器
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B03C 3/00 - 3/88

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】直流ベース電圧にパルス電圧を重畳したパ
    ルス荷電方式の高電圧を、電気集塵機の放電極と集塵極
    との間に印加する電気集塵機の電力制御方法に於いて、 前記放電極と前記集塵極の間に印加される印加電圧及び
    放電電流から放電特性曲線を求め、 前記放電特性曲線の前記印加電圧の電圧変化に対する前
    記放電電流の電流変化から前記放電特性曲線の傾きを算
    出し、 前記算出した傾きと予め求めた逆電離現象時又は非逆電
    離現象時の放電特性曲線のうち少なくとも一方の放電特
    性曲線の基準傾きとを比較して前記傾きが逆電離現象時
    か非逆電離現象時かを判定し、 前記判定した判定結果に基づいて前記放電電流の大小を
    制御するようにしたことを特徴とする電気集塵機の電力
    制御方法。
  2. 【請求項2】前記判定結果が逆電離現象時でない場合は
    前記放電電流が0.2〜0.5mA/m2 になるように
    制御すると共に、前記判定結果が逆電離現象時の場合は
    放電電流値が0.05mA/m2 になるように制御する
    ことを特徴とする請求項1の電気集塵機の電力制御方
    法。
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