JP3137955B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP3137955B2
JP3137955B2 JP11107818A JP10781899A JP3137955B2 JP 3137955 B2 JP3137955 B2 JP 3137955B2 JP 11107818 A JP11107818 A JP 11107818A JP 10781899 A JP10781899 A JP 10781899A JP 3137955 B2 JP3137955 B2 JP 3137955B2
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thermoplastic resin
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性に優れる熱
可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年樹脂材料の難燃化の要請が、高まっ
ている。例えばコンピューター、プリンター等のOA機
器、テレビ、オーディオ機器等の家電製品等のハウジン
グ材料では、火災被害低減のため、難燃化の要求が強
い。さらに機器の軽量化、薄肉化あるいは形状の複雑化
に伴い、樹脂材料にはより高い難燃性が要求されてい
る。また特に燃焼時に樹脂がドリップ(滴下)しないこ
とは、火災時の延焼を防ぐため、重要である。
【0003】熱可塑性樹脂のドリップ防止性を向上させ
る方法として、ポリテトラフルオロエチレンの添加が有
効であるが、ポリテトラフルオロエチレンが熱可塑性樹
脂中でフィブリル化するため、熱可塑性樹脂の流動性の
低下を伴うことが、よく知られる。
【0004】また熱可塑性樹脂の流動性を向上させる方
法としては、樹脂自身の低分子量化が有効であるが、耐
衝撃性等の低下を伴うことも、よく知られる。
【0005】また、ポリテトラフルオロエチレンの添加
により、熱可塑性樹脂の難燃性が向上するものの、ポリ
テトラフルオロエチレンの価格は熱可塑性樹脂より非常
に高いため、その添加量が数%以下であっても、熱可塑
性樹脂組成物の価格を大きく上昇させてしまう。またポ
リテトラフルオロエチレンは、ほとんどの熱可塑性樹脂
との相溶性が不良であるため、樹脂組成物中に凝集物を
生じ易い。ポリテトラフルオロエチレンの凝集物は、成
形外観を損ね、難燃性発現に必要な添加量を多くし価格
上昇を招く他、衝撃強度等の機械的性質を損ね易いとい
う問題がある。
【0006】このように、ポリテトラフルオロエチレン
を樹脂中へ均一に分散させ、添加量が少なくとも、熱可
塑性樹脂の難燃性を向上させる技術が、強く望まれてい
る。
【0007】そこで、ポリテトラフルオロエチレンと有
機系重合体の混合物の添加により、熱可塑性樹脂組成物
の難燃性を向上させる試みが、次の通りなされている。
【0008】特開昭60−258263号公報には、ポ
リテトラフルオロエチレン分散液と、芳香族ビニル系重
合体分散液とを、混合し凝固して得られる粉体の添加に
より、難燃性が向上すると記載される。特開平9−95
583号公報にはポリテトラフルオロエチレン分散液の
存在下有機系単量体を重合して得られる粉体は取扱性に
優れると記載される。特開平10−310707号公報
には、ポリカーボネート、アクリロニトリル−スチレン
−ブタジエン共重合体およびポリオルガノシロキサン含
有複合ゴム系グラフト共重合体から成る熱可塑性樹脂組
成物は、難燃性、耐衝撃性に優れると記載される。
【0009】しかしながら、これらの方法は、ポリテト
ラフルオロエチレンのフィブリル化を促進するため、流
動性を一層低下させるという欠点があった。
【0010】以上の通り、ポリテトラフルオロエチレン
の添加量を抑えて、難燃性、流動性、耐衝撃性に優れる
熱可塑性樹脂組成物を得る方法は未だ見出されていない
のが現状であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、難燃
性、流動性および耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物
を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者が鋭意検
討した結果、ポリテトラフルオロエチレンと有機系重合
体の混合物を、分子量の低いポリカーボネート樹脂に添
加することで、難燃性、流動性および耐衝撃性に優れた
熱可塑性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に
到達した。
【0013】本発明の要旨は、重量平均分子量が300
0〜2万であるポリカーボネート(A−1)、難燃剤
(B)および、ポリテトラフルオロエチレン粒子と有機
系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混
合粉体(C)から成る熱可塑性樹脂組成物および重量平
均分子量が3000〜2万であるポリカーボネート(A
−1)、芳香族ビニル重合体(A−2)、難燃剤(B)
および、ポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合
体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体
(C)から成る熱可塑性樹脂組成物にある。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明に係る係るポリカーボネー
ト(A−1)とは、一般式
【化1】 で表され、二官能性フェノール(HO−Ar−OH)
を、カーボネート結合で連結して得られる重合体のこと
である。
【0015】二官能性フェノールの例としては、ハイド
ロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノー
ルAと略称する]、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)ブタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホ
ン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル等を挙
げることができ、これらの1種または2種以上を用いる
ことができる。
【0016】ポリカーボネートの重量平均分子量として
は、3000〜2万であり、好ましくは1万〜2万であ
る。分子量が高いとき得られる熱可塑性樹脂組成物の流
動性が低下し、分子量が低いとき耐衝撃性が低下する。
【0017】得られる熱可塑性樹脂の機械的性質および
コスト考慮すると、ビスフェノールAが好ましい。
【0018】本発明に係る芳香族ビニル重合体(A−
2)とは、芳香族ビニル単量体を成分として含有する単
量体を重合して得られる重合体のことである。芳香族ビ
ニル単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレンを挙げることができる。芳香族
ビニル重合体の例としては、芳香族ビニル単独重合体、
ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、エチ
レン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジ
エン共重合体等の各種ゴム質重合体を含有する芳香族ビ
ニル重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチ
レン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリ
ロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブ
タジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アク
リル酸エステル共重合体等を挙げることができる。
【0019】本発明のポリカーボネート(A−1)ある
いはポリカーボネート(A−1)および芳香族ビニル重
合体(A−2)には、ポリフェニレンエーテル、ポリオ
レフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニ
ル、PMMA、各種エラストマー、ポリオキシメチレン
等の上記以外の熱可塑性樹脂を、それら全体の50重量
%以下用いることができる。
【0020】本発明に係る難燃剤(B)とは、従来公知
の難燃剤および難燃剤と併用して難燃作用を促進する難
燃助剤のことである。例えば、リン含有化合物、ハロゲ
ン含有化合物、金属酸化物、金属水酸化物、トリアジン
化合物、赤燐、ジルコニウム化合物、ポリリン酸塩化合
物、スルファミン酸化合物等を挙げることができる。
【0021】リン含有化合物の例としては、赤燐、リン
酸エステル化合物を挙げることができる。リン酸エステ
ル化合物とは、一般式
【化2】 (但し、R1 、R2 、R3、R4 は水素原子または
有機基であり、R1=R2=R3=R4=Hの場合を除
く。Xは2価以上の有機基である。pは0または1であ
る。qは1〜30の整数である。rは0以上の整数であ
る。)で表される。
【0022】有機基の例としては、アルキル基、シクロ
アルキル基、アリール基等を挙げることができ、各種置
換基を導入することができる。置換基の例としては、ア
ルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン、
アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、ハロ
ゲン化アリール基を挙げることができ、これらの1種ま
たは2種以上を用いることができ、そのような有機基の
例としてはアリールアルコキシアルキル基がある。これ
らの置換基を酸素原子、イオウ原子、窒素原子等を介し
て結合させることができ、そのような有機基の例として
はアリールスルホニルアリール基がある。
【0023】2価以上の有機基とは上記の有機基から、
炭素原子に結合している水素原子の1個以上を除いてで
きる基のことであり、例えばアルキレン基、フェニレン
基、ビスフェノール等の多核フェノールの誘導体を挙げ
ることができる。2以上の遊離原子価の相対的位置は特
に限定されるものではない。2価以上の有機基の例とし
ては、ヒドロキノン、レゾルシノール、ジフェニロール
メタン、ジフェニロールジメチルメタン、ジヒドロキシ
ジフェニル、 p,p’− ジヒドロキシジフェニルスル
ホン、ジヒドロキシナフタレンを挙げることができる。
【0024】このようなリン酸エステル化合物の例とし
ては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェー
ト、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェー
ト、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホ
スフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルフェ
ニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、
ジイソプロピルフェニルホスフェート、トリス(クロロ
エチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホ
スフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、
ビス(2,3-ジブロモプロピル)-2,3- ジクロロプロピル
ホスフェート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフ
ェート、ビス(クロロプロピル)モノオクチルホスフェ
ート、ビスフェノールAビスホスフェート、ヒドロキノ
ンビスホスフェート、レゾルシンビスホスフェート、ト
リオキシベンゼントリホスフェート等のポリホスフェー
トを挙げることができ、得られる熱可塑性樹脂組成物の
難燃性を考慮すると、赤燐、トリフェニルホスフェー
ト、各種ポリホスフェートが好ましい。
【0025】ハロゲン含有化合物の例としては、テトラ
ブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルオキサ
イド、ヘキサブロモシクロドデカン、オクタブロモジフ
ェニルエーテル、ビストリブロモフェノキシエタン、エ
チレンビステトラブロモフタイルイミド、トリブロモフ
ェノール、ハロゲン化ビスフェノールAとエピハロヒド
リンとの反応によって得られる各種ハロゲン化エポキシ
オリゴマー、ハロゲン化ビスフェノールAを構成成分と
するカーボネートオリゴマー、ハロゲン化ポリスチレ
ン、塩素化ポリオフィン、ポリ塩化ビニル等を挙げるこ
とができる。
【0026】金属酸化物の例としては、五酸化アンチモ
ンおよび三酸化アンチモン等の酸化アンチモンを挙げる
ことができる。
【0027】トリアジン化合物としては、メラミン、エ
チレンジメラミン、トリグアナミン、ベンゾグアナミ
ン、サクシノグアナミン、アジボグアナミン、メチルグ
ルタログアナミン、メラム、メロン、リン酸メラミン、
メラミン樹脂、BT樹脂、メラミンシアヌレート、エチ
レンジメラミンシアヌレート、トリグアナミンシアヌレ
ート、サクシノグアナミンシアヌレート、ベンゾグアナ
ミンシアヌレート等を挙げることができる。
【0028】本発明に係る難燃剤(B)は、1種または
2種以上を用いることができる。
【0029】本発明に係るポリテトラフルオロエチレン
含有混合粉体(C)は粒子径10μm以下のポリテトラ
フルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるもので
あり、ポリテトラフルオロエチレンは粒子径が10μm
を超え凝集体となっていないことが必要である。さら
に、熱可塑性樹脂に配合した際の分散性の観点から、ポ
リテトラフルオロエチレン成分の含有量が1〜30重
量、有機系重合体成分の含有量が70〜99重量%であ
る必要がある。ポリテトラフルオロエチレン成分の含有
量が1重量%未満であると難燃性の改良効果が不十分と
なり、30重量%を超えると表面外観に悪影響を及ぼす
可能性がある。
【0030】このようなポリテトラフルオロエチレン含
有混合粉体(C)は、粒子径0.05〜1.0μmのポ
リテトラフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合
体粒子水性分散液とを混合して凝固またはスプレードラ
イにより粉体化する、あるいは粒子径0.05〜1.0
μmのポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液存在
下で有機系重合体を構成する単量体を重合した後、凝固
またはスプレードライにより粉体化する、あるいは粒子
径0.05〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン
粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合
した分散液中で、ビニル単量体を乳化重合した後、凝固
またはスプレードライにより粉体化することにより得る
ことができる。
【0031】本発明に係わるポリテトラフルオロエチレ
ン含有混合粉体(C)を得るために用いる、粒子径0.
05〜1.0μmポリテトラフルオロエチレン粒子水性
分散液は、含フッ素界面活性剤を用いる乳化重合でテト
ラフルオロエチレンモノマーを重合させることにより得
られる。
【0032】ポリテトラフルオロエチレン粒子の乳化重
合の際、ポリテトラフルオロエチレンの特性を損なわな
い範囲で、共重合成分としてヘキサフルオロプロピレ
ン、クロロトリフルオロエチレン、フルオロアルキルエ
チレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等の含フ
ッ素オレフィンや、パーフルオロアルキル(メタ)アク
リレート等の含フッ素アルキル(メタ)アクリレートを
用いることができる。共重合成分の含量は、テトラフル
オロエチレンに対して10重量%以下であることが好ま
しい。
【0033】ポリテトラフルオロエチレン粒子分散液の
市販原料としては、旭硝子フロロポリマー社製のフルオ
ンAD−1,AD−936、ダイキン工業社製のポリフ
ロンD−1、D−2、三井デュポンフロロケミカル社製
のテフロン30J等を代表例として挙げることができ
る。
【0034】本発明に用いるポリテトラフルオロエチレ
ン含有混合粉体を構成する有機系重合体としては特に制
限されるものではないが、分散性の観点から(A−1)
あるいは(A−2)との親和性が高いものであることが
好ましい。
【0035】有機系重合体を生成するための単量体の具
体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メ
チルスチレン、o−メチルスチレン、t−ブチルスチレ
ン、o−エチルスチレン、p−クロロスチレン、o−ク
ロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、p−メトキ
シスチレン、o−メトキシスチレン、2,4−ジメチル
スチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリル酸メチル、
メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸
エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アク
リル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチ
ルヘキシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシ
ル、アクリル酸トリデシル、メタクリル酸トリデシル、
アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、
アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシ
ル等の(メタ)アクリル酸エステル単量体;アクリロニ
トリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル単量
体;無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸;N
−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シ
クロヒキシルマレイミド等のマレイミド単量体;グリシ
ジルメタクリレート等のエポキシ基含有単量体;ビニル
メチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエー
テル単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビ
ニル単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等の
オレフィン単量体;ブタジエン、イソプレン、ジメチル
ブタジエン等のジエン単量体等を挙げることができる。
これらの単量体は、単独であるいは2種以上混合して用
いることができる。
【0036】これらの単量体の中で(A−1)あるいは
(A−2)との親和性の観点から好ましいものとして、
芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体からな
る群より選ばれる1種以上の単量体を30重量%以上含
有する単量体を挙げることができる。特に好ましいもの
として、スチレン、アクリロニトリルからなる群より選
ばれる1種以上の単量体を30重量%以上含有する単量
体を挙げることができる。
【0037】本発明に用いるポリテトラフルオロエチレ
ン含有混合粉体(C)は、その水性分散液を、塩化カル
シウム、硫酸マグネシウム等の金属塩を溶解した熱水中
に投入し、塩析、凝固した後に乾燥するか、スプレード
ライにより粉体化することができる。
【0038】通常のポリテトラフルオロエチレンファイ
ンパウダーは、粒子分散液の状態から粉体として回収す
る工程で100μm以上の凝集体となってしまうために
熱可塑性樹脂に均一に分散させることが困難であるのに
対して、本発明に用いるポリテトラフルオロエチレン含
有混合粉体は、ポリテトラフルオロエチレンが単独で粒
子径10μmを超えるドメインを形成していないために
熱可塑性樹脂(A)に対する分散性がきわめて優れてい
る。この結果、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリテ
トラフルオロエチレンが熱可塑性樹脂中で効率よく微細
繊維化しており、難燃性が優れる上に、表面性にも優れ
るものとなる。
【0039】本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、(A
−1)あるいは(A−1)+(A−2)、難燃剤(B)
およびポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(C)
を混合して得ることができる。
【0040】混合比は、特に限定されないが、得られる
熱可塑性樹脂組成物の難燃性、機械的性質、コストを考
慮すると、好ましくは(A−1)あるいは(A−1)+
(A−2)100重量部に対して、(B)0.1〜70
重量部、(C)0.001〜50重量部であり、より好
ましくは(B)2〜30重量部、(C)0.01〜10
重量部である。
【0041】またポリテトラフルオロエチレン含有混合
粉体(C)の比率を大きくして、(A−1)あるいは
(A−1)+(A−2)と混合したマスターバッチを予
め調製しておき、その後マスターバッチと(A−1)あ
るいは(A−1)+(A−2)、難燃剤(B)とを、所
望の組成で混合することもできる。
【0042】混合する方法としては、特に限定されない
が、単軸押出機、二軸押出機、バッチ式ニーダー、ロー
ル等を用いた通常公知の方法を挙げることができる。
【0043】本発明に係る熱可塑性樹脂組成物には、ガ
ラス繊維、タルク、マイカ等の充填材、染料、顔料、安
定剤、補強剤等の各種添加剤を配合することができる。
【0044】本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、OA
機器、家電製品等のハウジング材料等の難燃性を要求さ
れる分野に使用することができる。
【0045】以下実施例により本発明を説明する。な
お、参考例、実施例および比較例において『部』および
『%』は特に断らない限り『重量部』および『重量%』
を意味する。
【0046】
【実施例】なお実施例、比較例における諸物性は次の方
法により測定した。
【0047】(1)固形分:粒子分散液を170℃で3
0分乾燥して求めた。
【0048】(2)粒子径分布、重量平均粒子径:粒子
分散液を水で希釈したものを試料液として、動的光散乱
法(大塚電子(株)製ELS800、温度25℃、散乱
角90度)により測定した。
【0049】(3) ゼータ電位:粒子分散液を0.0
1mol/lのNaCl水溶液で希釈したものを試料液
として、電気泳動法(大塚電子(株)製ELS800、
温度25℃、散乱角10度)により測定した。
【0050】(4)燃焼試験:アンダーライタ−ズラボ
ラトリーズコーポレーションの定めるUL94−V規格
に準じ、試験片厚み0.8mmで燃焼試験を行って判定
した。試験片は、得られた樹脂組成物を射出成形して得
た。
【0051】(5)メルトフローレート(MFR) ASTM D1238に準じ、温度250℃、荷重5k
gで測定した。
【0052】(6)アイゾット衝撃強度(Izd) ASTM D256に準じ、温度23℃、湿度50%R
H、ノッチ付き、試験片厚み3.2mmで測定した。
【0053】試験片は、得られた樹脂組成物を射出成形
して得た。
【0054】参考例1.ポリテトラフルオロエチレン含
有混合粉体(C−1)の製造 蒸留水300部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム2部を、攪拌装置、冷却器、熱電対、窒素導入口、試
薬滴下装置を備えたフラスコに仕込み、窒素気流下、水
浴中70℃に加熱した。硫酸第一鉄0.0004部、エ
チレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.0012部、ナ
トリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.8部を
蒸留水5部に溶かして、内容物に加えた後、アクリロニ
トリル30部、スチレン70部、クメンヒドロキシパー
オキサイド0.5部の混合液を3時間で滴下し、その後
1時間加熱攪拌を続け、アクリロニトリル−スチレン共
重合体粒子分散液(P−1)を得た。P−1の固形分は
25.1%、重量平均粒子径100μm 表面電位−3
0mVであった。
【0055】ポリテトラフルオロエチレン粒子分散液と
して、旭硝子フロロポリマーズ社製フルオンAD936
を用いた。AD936は、ポリテトラフルオロエチレン
100部に対し5部のポリオキシエチレンアルキルフェ
ニルエーテルを含み、固形分63.0%、粒子径分布は
単一のピークを示し、重量平均粒子径290nm、表面
電位−20mVであった。833部のAD936に蒸留
水1167部を加え、固形分26.2%のポリテトラフ
ルオロエチレン粒子分散液(F−1)とした。
【0056】239.0部のP−1(アクリロニトリル
−スチレン共重合体60部)、80部のF−1(ポリテ
トラフルオロエチレン20部)を、攪拌装置、冷却器、
熱電対、窒素導入口、試薬滴下装置を備えたフラスコに
仕込み、窒素気流下室温で1時間攪拌した。その後水浴
中80℃に加熱し1時間攪拌した。硫酸第一鉄0.00
04部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.00
12部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート
0.8部を蒸留水5部に溶かして、内容物に加えた後、
アクリロニトリル6部、スチレン14部、クメンヒドロ
キシパーオキサイド0.1部の混合液を30分間で滴下
し、その後1時間加熱攪拌を続けた。固形物の分離はみ
られず、均一な粒子分散液を得た。粒子分散液の固形分
は28.6%、重量平均粒子径は220nmであった。
【0057】この粒子分散液を塩化カルシウム水溶液へ
注ぎ、固形物を分離し、濾過、乾燥してポリテトラフル
オロエチレン含有混合粉体(C−1)を得た。乾燥した
C−1をプレス成形機を用いて成形し、ミクロトームを
用いて成形品から超薄切片を採取し、無染色のまま透過
型電子顕微鏡で観察した。ポリテトラフルオロエチレン
は暗部として観察され、10μmを超える凝集物は観察
されなかった。
【0058】参考例2.ポリテトラフルオロエチレン含
有混合粉体(C−2)の製造 参考例1で用いたアクリロニトリル−スチレン共重合体
粒子分散液(P−1)298.8部(アクリロニトリル
−スチレン共重合体75部)と、参考例1で用いたポリ
テトラフルオロエチレン粒子分散液(F−1)100部
(ポリテトラフルオロエチレン25部)とを、攪拌装
置、冷却器、熱電対を備えたフラスコに仕込み、窒素気
流下室温で1時間攪拌し、その後水浴中70℃に加熱し
1時間攪拌した。固形物の分離はみられず、均一な粒子
分散液を得た。粒子分散液の固形分は24.9%、重量
平均粒子径は220nmであった。
【0059】この粒子分散液を塩化カルシウム水溶液へ
注ぎ、固形物を分離し、濾過、乾燥してポリテトラフル
オロエチレン含有混合粉体(C−2)を得た。透過型電
子顕微鏡観察を、参考例1と同様に行ったところ、10
μmを超えるポリテトラフルオロエチレン凝集物は観察
されなかった。
【0060】参考例3.ポリテトラフルオロエチレン含
有混合粉体(C−3)の製造 参考例1で用いたポリテトラフルオロエチレン粒子分散
液(F−1)160部(ポリテトラフルオロエチレン4
0部)、ドデシルベンゼンスルホン酸1.0部、蒸留水
70部を、攪拌装置、冷却器、熱電対、窒素導入口、試
薬滴下装置を備えたフラスコに仕込み、窒素気流下水浴
中70℃に加熱した。硫酸第一鉄0.0004部、エチ
レンジアミン四酢酸二ナトリウム0.0012部、ナト
リウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.8部を蒸
留水5部に溶かし、内容物に加えた後、アクリロニトリ
ル18部、スチレン42部、クメンヒドロキシペルオキ
シド0.3部の混合液を90分間で滴下し、その後1時
間加熱攪拌を続けた。固形物の分離はみられず、均一な
粒子分散液を得た。粒子分散液の固形分は33.2%、
重量平均粒子径は220nmであった。
【0061】この粒子分散液を塩化カルシウム水溶液へ
注ぎ、固形物を分離し、濾過、乾燥してポリテトラフル
オロエチレン含有混合粉体(C−3)を得た。透過型電
子顕微鏡観察を、参考例1と同様に行ったところ、10
μmを超えるポリテトラフルオロエチレン凝集物は観察
されなかった。
【0062】実施例1〜3および比較例1〜4 表1に示す熱可塑性樹脂、難燃剤、参考例1〜3で得た
C−1〜3を、二軸押出機(WERNER&PFLEI
DERER社製ZSK30)を用いてバレル温度240
℃で溶融混練した。得られたペレットを、射出成形機
(東芝機械(株)製IS−100)を用いてシリンダー
温度240℃で、UL94−V試験片に成形した。得ら
れた試験片を用いて、各種試験を行った。
【0063】
【表1】 実施例および比較例より、次のことが明らかとなった。
【0064】(1)実施例1〜3の通り、本発明により
得られる熱可塑性樹脂組成物は、難燃性、流動性、耐衝
撃性に優れる。
【0065】(2)比較例1〜3の通り、ポリテトラフ
ルオロエチレン含有混合粉体を用いない場合、得られる
熱可塑性樹脂組成物は、難燃性、耐衝撃性に劣る。
【0066】(3)比較例4〜6の通り、分子量の高い
ポリカーボネートを用いる場合、得られる熱可塑性樹脂
組成物は、流動性に劣る。
【0067】
【発明の効果】本発明によると、難燃性、流動性、耐衝
撃性に優れる熱可塑性樹脂組成物を得ることが可能であ
る。
【0068】本発明は、熱可塑性樹脂組成物を、特に大
型の家電製品、OA機器等のハウジング材料等の分野へ
の応用を可能にするものであり、その工業的利用価値は
絶大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 69/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量平均分子量が3000〜2万である
    ポリカーボネート(A−1)、難燃剤(B)および、
    リテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからな
    ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(C)から
    成る熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 重量平均分子量が3000〜2万であ
    るポリカーボネート(A−1)、芳香族ビニル重合体
    (A−2)、難燃剤(B)および、ポリテトラフルオロ
    エチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフル
    オロエチレン含有混合粉体(C)から成る熱可塑性樹脂
    組成物。
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