JP3137911U - 電気温灸器 - Google Patents

Abstract

【課題】電気温灸器について、一人で使用することを前提として、患部と接触する治療部を患部に接触しやすい形状とし、さらに構造を簡単にして小型化、軽量化を図るとともに、患部へ接触する治療部の温度を安定化させることが課題である。
【解決手段】電気温灸器の形状をＬ字型とし、患部と接触する治療部を患部に接触しやすくし、ヒーターセットは、蓄熱板ＰＴＣヒーター、ベース等を一体化させ構造を簡単にして小型化、軽量化を図った。また加熱手段として温度の上昇下降が滑らかとなるＰＴＣヒーターを使用し、蓄熱板に感熱センサーをつけて、その信号をマイコンに送りＰＴＣヒーターの電源をＯＮ、ＯＦＦさせるように制御して、人体に直接触れる治療部の微妙な温度をコントロールするようにした。また蓄熱板と治療部の間には断熱材を入れ、治療部を患部に押圧してから、熱いと感じるまでに時間差があり、従来のモグサによる温灸と同じ感覚とした。
【選択図】図４

Description

本考案は、ＰＴＣヒーターを利用し、患部に温熱刺激を与える電気温灸器に関する。

つぼは学問上では経穴といい、皮膚に分布している副交感神経の興奮している場所であると説明され、経穴の刺激による病気治療は、伝統的に行われてきた。経穴を刺激する代表的な方法としては、針と灸があり、針による治療は、一般家庭では困難であり、皮膚の上にモグサをおいてこれに火をつける温灸が家庭療法として用いられてきた。モグサを断熱性のあるケースに入れこれに火をつけて、このケースの表面を皮膚に接触させるものなどがあった。（以下特に断りがない限り、患部と言った場合には、経穴あるいは治療する箇所の皮膚を言うものとし、また、治療部とは温灸器のうち患部と接触あるいは押圧する部分を言うものとする。）しかし、モグサに火をつける方法では、周囲への臭いや火災の危険性があり、これに代わる種々の電気温灸器が特許出願等され、また市販されてきた。初期の電気温灸器は、図１に示すように、先端部にニクロム線７による電気ヒーターを設け、患部に刺激を感ずるまでスイッチ（ＳＷ）を押すものであった。次に、ＰＴＣヒーター等を加熱手段とし、熱伝導手段と蓄熱手段と皮膚接触部である治療部とを一体化させ、その部分だけを患部にあてて、電気コードを付随させず使いやすさを向上させたもの(特許文献１)、さらに発熱部の温度が温灸治療に適する温度に到達したときに報知するようにしたもの(特許文献２)等がある。また本実用新案登録出願人は、発熱部を保温・断熱シートでカバーして保温効果を向上させ、温熱刺激効果を増すための電気温灸器の特許出願もしている(特許文献３)。

上記の特許出願等において、電気コードを付随させることなく使用でき、電気温灸器として使い勝手がよい、また温灸治療する適温になったときに報知するという便利さもあったが、電気温灸器が大きくて重く、施術者がいることを前提としたりして、一人で手軽に患部にあてて治療することが難しいという問題点があった。さらに電気温灸器の形状等により温灸治療する際に患部に押圧しにくく、また治療部の温度が安定しない等の難点があった。

特許公開平１０−５２６７ 特開２００３−２５０８６１ 特開２００６−２３１０４４

そこで、この改善策として、電気温灸器の形状をＬ字型とし、患部に治療部を押し当てやすくするとともに、内部構造をより簡単にして電気温灸器を小型化、軽量化させ、ＰＴＣヒーター、蓄熱板、断熱材等を用いて治療部の温度を安定化させることとした。

上記のように本考案の解決しようとする課題は、電気温灸器について、一人で使用することを前提として、患部と接触する治療部を患部に押圧させやすくし、構造を簡単にして小型化、軽量化を図り、患部へ直接触れる治療部の温度を安定化させることである。

そのため、請求項１の考案は、ＰＴＣヒーターと蓄熱板及び感熱センサーを有するヒーターセットと、断熱材及び治療部を有するカバーセットとを有するアーム部と、アーム部に略直角な把持部から構成されるＬ字型の電気温灸器である。

電気温灸器とは、電気エネルギーの熱で患部を温熱刺激治療する機器をいう。ＰＴＣとは、チタン酸バリウム(ＢａＴiO₃)を主成分とする半導体セラミックであり、正の温度係数を持った抵抗変化特性があり、この主成分に僅かの他の成分を混入させることにより、温度が上昇すると、ある温度で急激に抵抗値が増加するように設定できる。ＰＴＣヒーターは、ある温度で抵抗値が急激に変化することを利用したヒーターであり、自動温度制御性があり経時変化がなく安定した温度を維持することができる。蓄熱板とは、ＰＴＣヒーターで発生した熱を蓄熱し、その熱が治療部を通して患部に伝えられる。感熱センサーは温度センサーともいわれ、対象となる物体に接触し、その物体の温度の信号を送る役割を果たすものであり、ＰＴＣヒーターの電源をＯＮ、ＯＦＦさせて患部に直接触れる治療部の温度を調整することに利用される。

電気温灸器のうち、ＰＴＣヒーターと蓄熱板及び感熱センサーを有する部分をヒーターセットといい、断熱材と治療部を有する部分をカバーセットということにする。なお、ヒーターセットには後述するマイコンが含まれる場合もあり、カバーセットには治療部であるカバーが含まれる。ここで治療部であるカバーとしたのは、この治療部が蓄熱板や断熱材のカバーも兼ねる場合もあるためである。電気温灸器において、ヒーターセットとカバーセットを有している部分をアーム部分とし、このアーム部分と略直角の治療時に把持する部分を把持部とした。アーム部分と把持部を略直角としたのは、把持部の軸芯線とアーム部の軸芯線のなす角度が完全な直角ではなく、使用者の使い方に応じ、両軸芯線のなす角度に、前後約３０度の広がりをつけた各種の電気温灸器を提供するためである。

請求項２の考案は、蓄熱板に感熱センサーを接触させ、感熱センサーからの信号によりＰＴＣヒーターの電源をＯＮ、ＯＦＦさせるマイコン制御による請求項１のヒーターセットである。

感熱センサーからの信号は、マイコンに送られ、マイコン制御によりＰＴＣヒーターの電源がＯＮ、ＯＦＦされる。マイコンには、一定範囲の温度内でその下限温度になるとＰＴＣヒーターの電源をＯＮにさせ、上限になるとその電源をＯＦＦするように設定しておく。

請求項３の考案は、ヒーターセットの蓄熱板とカバーセットの治療部の間に材質の異なる複数の断熱材を設置した請求項１のカバーセットである。

蓄熱板と治療部であるカバーの間に材質の異なる複数の断熱材を設けることにより、患部に急激な熱が伝わらないようにし、治療部であるカバーを温灸治療に適する適温とし、さらに蓄熱板からの放熱を防止するものである。材質の異なる複数の断熱材を使用するとしたのは、熱移動速度の調整し、治療部を患部に押圧してから、熱いと感じるまでに時間差をつけ、従来のモグサによる温灸と同じ感覚とするためである。

請求項４の考案は、請求項２のヒーターセットおよび請求項３のカバーセットの両方あるいはいずれかを有する請求項１の電気温灸器である。

請求項２のヒーターセットと請求項３のカバーセットの両方を備える電気温灸器が好ましいが、製造コスト等の理由によりヒーターセット及びカバーセットのいずれかの１つを備える電気温灸器でもよい。

請求項１の考案では、電気温灸器を一人で使用することを前提として、形状をＬ字型として、治療部が患部に押圧しやすくし、構造を簡単にして小型化、軽量化とする効果があり、さらにＰＴＣヒーター、感熱センサー等を用いて治療部の温度を安定させる効果がある。請求項２の考案は、さらにマイコンを使用して治療部の温度をより温灸治療する適温に維持する効果があり、請求項３の考案は、材質の異なった断熱材を蓄熱板と治療部の間に入れて、モグサの温灸効果と同じような感覚をとする効果がある。請求項４の考案は、請求項２又は請求項３各考案の全部あるいはいずれかの考案を備える電気温灸器を用意するものである。

以下に本考案の実施例を挙げる。

図６は、本考案の電気温灸器１である。ヒーターセット２やカバーセット６はこの電気温灸器１のアーム部１２に内蔵されている。アーム部１２の軸芯線１３と把持部の軸芯線１４とのなす角度１５は略９０度である。
ヒーターセット２は、図３に示すように蓄熱板２１、電気絶縁板２２、電気端子板２３、電気絶縁チューブ２４、ＰＴＣヒーター２５、ベース２８等により構成されている。これらの部品を組み立て用のネジ２７等で一体化して図３の組立図のようになる。このように組み立てて、電気温灸器の内部を固定化させ落下等に対する耐衝撃性を向上させている。

図４に示すように、ヒーターセット２と感熱センサー４はヒーターセット２及び感熱センサー４のケース５に組み込まれる。電源コネクター３は、本体の電源部に接続され本体のスイッチ(図６のＳＷ)がＯＮされることによって、ＰＴＣヒーター２５に通電して蓄熱板２１を加熱する。また蓄熱板２１に接触させるようにセットされた感熱センサー４によって測定された温度は本体内の図示しないマイコンによって、設定温度に達するとＰＴＣヒーター２５の電源を切るように又は温度が下がると再入力するように構成されている。

図２に示すように、ＰＴＣ(Positive Temperature Coefficient)ヒーターは、前述したように、高温になると急激に抵抗値が増加しキュリー点(図２のTc)に達すると電流がほとんど流れない性質がある。例えばキュリー点が１２０℃で温室時の抵抗値を２４ΩにセットしたＰＴＣヒーターを使用温度８５℃のマイコンでセットした場合、これに２４ボルトの電圧を入力すると室温では１アンペアの電流が流れてＰＴＣヒーターは急速に熱せられ８５℃に近づくと、ＰＴＣヒーターの抵抗値が増加して０．２アンペア位しか電流が流れなくなる。これは、一般のヒーターを使用した場合に比較して温度の上昇下降を滑らかにし人体に触れる治療部６１の微妙な温度をコントロールすることに役立ち、しかも省エネになる。

さらに、図５に示すように、人体に直接触れる治療部６１と蓄熱板２１との間に断熱材６２が入るため治療部を患部に押し付ける場合、押付けてから患部が熱いと感ずるまでに時間差があり、モグサによる温灸と同じ感覚が得られる。

図３のヒーターセット２において、蓄熱板２１には、比重が軽く熱伝導性の良いアルミニウム板を使用した。しかしアルミニウムに限るものではなく、鉄や銅とすることもできる。電気絶縁版２２は耐熱性のプラスチックとし、電気端子板２３は銅板とし、電気絶縁チューブ２４はシリコンチューブを使用した。しかし上記の各部品の材料はこれに限るものではなく、目的に応じたものであればよい。ＰＴＣヒーター２５は、セラミック製であり、蓄熱板等と一体化するため、ドーナツ型のものを使用しその中心孔に組み立て用ネジ２７を通している。ベースは耐熱性のあるフェノール樹脂を用いたが、これに限るものではい。

図５の断熱材６２には、治療部６１を患部に押し当てることも考慮して、プラスチックフィルムと布を使用した。さらに治療部(カバー)は人体に直接触れる部分であり耐熱性があり弾力性があるナイロン樹脂を使用したが、これに限るものではない。また、取り付け部品６３は、金属を使用したがプラスチックでも良い。

本考案により、構造を簡単にして軽量化を図り、患部への押圧がしやすくなり、人体と直接触れる治療部の温度を安定化させる電気温灸器を提供できるものであり、需要の拡大が期待される。

初期の電気温灸器 ＰＴＣ抵抗−温度曲線 ヒーターセット の部品と組立図 ヒーターセットと感熱センサーの組立図 カバー部の部品と組立図 電気温灸器の斜視図

符号の説明

１ 電気温灸器 １１（電気温灸器の）把持部 １２（電気温灸器の）アーム部 １３（電気温灸器の）アーム部軸芯線 １４（電気温灸器の）把持部の軸芯線 １５ アーム部軸芯線と把持部の軸芯線とがなす角度
２ ヒーターセット ２１蓄熱板 ２２
電気絶縁板 ２３ 電気端子板 ２４電気絶縁チューブ ２５ ＰＴＣヒーター ２６ ワッシャー ２７ 組み立て用のネジ ２８ ベース
３ 電源コネクター ３１ 電源コネクターのリード線
４ 感熱センサー ４１ 感熱センサーの感知部
５ ヒーターセット及び感熱センサーのケース ５１ ビス
６ カバーセット ６１ 治療部(カバー) ６２ 断熱材 ６３ 取り付け部品
７ ヒーター(ニクロム線) ８ 電気コード
ＳＷ スイッチ

Claims (4)

1. ＰＴＣヒーターと蓄熱板及び感熱センサーを有するヒーターセットと、断熱材及び治療部を有するカバーセットとを有するアーム部と、アーム部に略直角な把持部から構成されるＬ字型の電気温灸器。
2. 蓄熱板に感熱センサーを接触させ、感熱センサーからの信号によりＰＴＣヒーターの電源をＯＮ、ＯＦＦさせるマイコン制御による請求項１のヒーターセット。
3. ヒーターセットの蓄熱板とカバーセットの治療部の間に材質の異なる複数の断熱材を設置した請求項１のカバーセット。
4. 請求項２のヒーターセットおよび請求項３のカバーセットの両方あるいはいずれかを有する請求項１の電気温灸器。