JP3135157B2 - 溶鋼処理槽の地金切り用治具 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、脱炭処理等溶鋼処理を
行うときに用いる単孔ランスに着脱可能に取着される地
金切り用治具に関する。

【０００２】

【従来の技術】脱炭処理等溶鋼処理を行う場合、炉ない
し処理槽（以下単に処理槽という）内に上方より挿入し
たランスから溶鋼に酸素ガス、ＡｒやＮ₂ ガス等を吹付
けて脱炭の促進、昇熱、成分調整を行う方法が行われて
いる。こうした酸素ガス、その他ガスの吹付けによって
生ずる溶鋼のスプラッシュにより処理槽内壁には地金が
付着し、これが次第に成長してやがて溶鋼処理に悪影響
を及ぼすようになる。付着した地金の除去には、酸素ガ
スの吹付けによる溶融除去が効果的であるが、従来の溶
鋼処理用ランスはそのまゝでは用いることができない。
溶鋼処理用ランスでは、酸素ガス等を効率よく溶鋼と反
応させるため吹付け角度が狭くなっており、これにより
酸素ガスを吹付けても処理槽内壁に届かないからであ
る。そこで図３に示すように吹出し孔９を斜め下向き或
いは水平に形成し、酸素ガスを斜め下向き或いは水平に
拡散して処理槽内壁に吹付ける地金切りのためのランス
が開発され、地金切り時にはこのランスを溶鋼処理用ラ
ンスと差換えて用いることも行われている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】地金切りをガスが斜め
下向き或いは水平に拡散して吹付けられる地金切り用ラ
ンスを用いて行う場合には以上のように、地金切り用の
ランスを別に用意せねばならず、またランスの差換えに
はかなりな手間及び時間を要していた。本発明は、従来
の溶鋼処理のための単孔ランスを用い、これに治具を取
付けるだけで地金切り用のランスとして用いることがで
きるようにし、しかも治具の取付けが簡易に行えるもの
である。

【０００４】

【課題の解決手段】すなわち本発明の地金切り用治具
は、溶鋼処理を行う際に使用される単孔ランスの下端部
に着脱可能に取着され、ガスの吹付け角度がガスを斜め
下向き或いは水平に拡散して吹付ける従来の地金切り用
ランスと同一ないし同程度をなす地金切り用治具であっ
て、止着手段が、上吹きランスの吹出し口内壁に対称形
に突設される凸部と、吹き出し口に挿入される治具部分
の外周に対称形に形成され、かつ凸部が嵌合する垂直溝
及び該溝下部につながる水平溝よりなる縦断面がＬ形な
いし鉤形の凹部とよりなることを特徴とする。これによ
れば、凸部を凹部の垂直溝に当てがって治具を押込み、
ついで一定量回転させることにより凸部が水平溝に嵌合
し係止される。すなわち治具を押込んで回転させるか、
或いはその逆の動作をすることにより治具の着脱を行う
ことができるようになる。

【０００５】

【作用】地金切りを行うときには、単孔ランスを処理槽
のランス挿入孔より引抜き、その下端に治具を押込んで
回して取付けたのち再度ランス挿入孔に挿入する。そし
て治具より酸素ガスを吹出す。酸素ガスの吹出し角度は
溶鋼処理槽の単孔ランスの吹出し角度より大で、地金切
り用ランスと同一ないし同程度であるため酸素ガスが処
理槽内壁に吹付けられるようになり、これにより槽内壁
に付着する地金が溶融切断される。

【０００６】

【実施例】図において、１は溶鋼処理槽で脱炭処理を行
う際に用いる単孔ランスで、下端の吹出し口内壁には、
円弧状の凸部２が対称位置に内周に沿わせて突設されて
いる。３は断面が錨状をなし、上面中央に凹所４を形成
するとともに該凹所４から吹出し孔５を傘骨状に１２０
°の開度で形成した地金切り用の治具で、単孔ランス１
の吹出し口に挿入される挿入部３ａの外周には、凸部２
が嵌合する円弧状の垂直溝６ａと該溝６ａの下端部につ
ながる円弧状の水平溝６ｂよりなる凹部６が切欠いて形
成されている。図中、７は治具３を回転させるための工
具を差込む差込み孔である。

【０００７】本発明に係る治具は以上のように構成さ
れ、その取付けは、処理槽のランス挿入孔（図示しな
い）より引上げた単孔ランス下端に差込み孔７に差込ん
だ工具（図示しない）にて支持した治具３を垂直溝６ａ
が凸部２に合うように位置決めして押込み、凸部２が溝
底に達した状態で、治具３を図２の反時計方向に凸部２
が水平溝６ｂの溝端に達するまで回転させる。

【０００８】以上のようにして治具３の取付けを終える
と、ランス１が再びランス挿入孔に一定量挿入される。
ついで、治具３の各吹出し孔５より酸素ガスが斜め下向
きに、鉛直線に対し６０°の角度で吹出され、処理槽内
壁に吹付けられる。これにより内壁に付着する地金が溶
融切断される。地金切りを終えると、上記と逆の手順を
経て治具３がランス１より取外される。

【０００９】

【発明の効果】本発明の地金切り用治具は以上のよう
に、溶鋼処理用の単孔ランスに着脱可能に取付けられる
ようになっているもので、その取付けにより溶鋼処理用
の単孔ランスを地金切り用ランスとして用いることがで
き、地金切り用ランスを別に用意する必要がなくなるほ
か、従来のランスの差換え方式と比べ、溶鋼処理と地金
切りの切換えが簡便に行える。しかも治具の着脱は、単
孔ランスに押込んで回し、或いはその逆に回して抜くだ
けでの単純な操作で行われ、着脱が容易かつ確実に行え
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 単孔ランスに取付けた地金切り用治具の断面
図。

【図２】 同治具の平面図。

【図３】 従来の地金切り用ランスの要部断面図。

【符号の説明】

１・・・単孔ランス ２・・・凸部 ３・・・地金切り用の治具 ４・・・凹所 ５・・・吹出し孔 ６・・・凹部 ６ａ・・・垂直溝 ６ｂ・・・水平溝

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鶴原 吉則 広島県呉市昭和町11番１号 日新製鋼株 式会社呉製鉄所内 (72)発明者 東島 靖紘 北九州市八幡東区山王１丁目９番10号 九築工業株式会社内 (56)参考文献 実開 平４−37245（ＪＰ，Ｕ) 実開 平２−87054（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭54−6308（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭55−35319（ＪＰ，Ｙ２) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) C21C 5/46 F27D 23/02

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】溶鋼処理を行う際に使用される単孔ランス
   の下端部に着脱可能に取着され、ガスの吹付け角度がガ
   スを斜め下向き或いは水平に拡散して吹付ける従来の地
   金切り用ランスと同一ないし同程度をなす地金切り用治
   具であって、止着手段が、上吹きランスの吹出し口内壁
   に対称形に突設される凸部と、吹き出し口に挿入される
   治具部分の外周に対称形に形成され、かつ凸部が嵌合す
   る垂直溝及び該溝下部につながる水平溝よりなる縦断面
   がＬ形ないし鉤形の凹部とよりなる地金切り用治具。