JP3132603B2 - 摩擦圧接中空バルブの製造方法 - Google Patents

摩擦圧接中空バルブの製造方法

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JP3132603B2
JP3132603B2 JP04256914A JP25691492A JP3132603B2 JP 3132603 B2 JP3132603 B2 JP 3132603B2 JP 04256914 A JP04256914 A JP 04256914A JP 25691492 A JP25691492 A JP 25691492A JP 3132603 B2 JP3132603 B2 JP 3132603B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、摩擦圧接中空バルブの
製造方法に関し、更に詳しくは、軸部が中空であり、接
合部の軸径が40mm以上と大径であり、大型船舶用ディ
ーゼル機関のバルブとして好適な摩擦圧接中空バルブを
製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】船舶の高速化や大型化に伴い、その主機
関であるディーゼルエンジンのバルブも、より過酷な使
用条件で使用されつつある。そして、これらのバルブ
は、高温下における耐腐食性,耐摩耗性,強度などにお
いて、より高性能のものが要請されている。
【0003】従来のこの種のバルブには、ナイモニック
80A(Nimonic 80A)として知られている
Ni基超耐熱合金から一体成形されたものや、耐熱鋼製
のバルブ傘部のバルブシート当接部位にステライト合金
を肉盛したものや、傘表にInconel 625を溶
射したものや、同じくフェースおよび傘表に粉末Nim
onic 80AをHIP接合法により接合した複合バ
ルブなどが知られている。また、異なる材質の傘部と軸
部、例えば、前記Nimonic 80A製の傘部と耐
熱鋼であるSUH3製の軸部とを摩擦圧接した複合バル
ブも知られている。
【0004】これらのバルブのうち、Nimonic
80Aから一体成形されたバルブは、高温下における耐
腐食性,耐摩耗性,強度特性において他のものより優れ
ており、必要なバルブ寿命期間における補修などをほと
んど必要とせず、いわゆるメンテナンスフリーのバルブ
として注目されている。しかしながら、バルブを上記し
たような超合金で一体成形すると、材料費が割高なもの
となる。そのため、高温に晒される傘部だけをNimo
nic 80Aで成形し、軸部は安価な耐熱鋼で構成す
る摩擦圧接バルブが最も好ましい形態であると考えられ
ている。この摩擦圧接バルブは、傘部と軸部とを、第1
の押圧力P1 で押圧しながら相対回転させ、そのときに
発生する摩擦熱で接合部を加熱し、その後回転を停止
し、傘部と軸部とを第2の押圧力P2 で据え込んで圧接
することにより製造される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Nim
onic 80Aの傘部と耐熱鋼の軸部を摩擦圧接して
摩擦圧接バルブを製造する方法においては、従来、接合
部の軸径が約40mm以下の小型バルブが実用化されてい
るに過ぎず、軸径が40mm以上の大径バルブでは接合部
の継手性能の面で信頼性のある製造方法が未だ確立され
ていないという現状にある。
【0006】軸径が40mm以上の摩擦圧接バルブにおい
て、満足な継手性能が得られない原因としては、以下の
ようなことが考えられる。TiやAlなどの活性金属を
多量に含むNimonic 80Aが高温に晒されると
酸化あるいは窒化作用を受けて、圧接界面が汚染され易
いこと、また、圧接界面にチタンカーバイト(TiC)
がフィルム状に折出して圧接界面における割れの伝播が
起こり易くなり、接合部破断が生じやすくなることなど
である。
【0007】上記した圧接界面の汚染などの傾向は、摩
擦圧接バルブ製造時の加熱工程における加熱むらが生じ
易い大型バルブになるほど顕著に現れてくる。すなわ
ち、大型バルブでは、接合部における軸中心と軸周辺と
で回転速度が大きく異なるので、接合界面における内側
と外側で温度分布が不均一になり、内外での温度むらが
発生するからである。
【0008】本発明は、Nimonic 80Aのよう
なNi基合金の傘部と耐熱鋼の軸部とを摩擦圧接して製
造した複合バルブにおける上記したような問題を解決
し、軸部が中空で、しかも接合部の軸径が40mm以上と
大径であり、また、接合部が少なくとも母材と同等ある
いはそれ以上の高温強度を有し、接合部破断を起こすこ
とがなく、したがって、信頼性の高い大型の摩擦圧接中
空バルブを製造する方法の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明においては、C:0.20重量%以下,C
r:18〜30重量%,Al:0.5〜2.5重量%,T
i:1.0〜3.0重量%を必須成分として含むNi基合金
から成る傘部と、C:0.5重量%以下,Cr:10〜3
0重量%を必須成分として含む耐熱鋼から成る軸部と
を、第1の押圧力P 1 で押圧しながら相対回転させ、そ
のときの摩擦熱で接合部を加熱し、前記相対回転を停止
したのち、傘部と軸部とを第2の押圧力P2 で押圧して
据え込むときに、前記軸部として、外径が40mm以上
で、肉厚と外径との比が0.1〜0.3であるパイプを用
い、前記第1の押圧力P1 を4kgf/mm2 以上、前記第2
の押圧力P 2 を10kgf/mm2 以上、かつ、前記第1の押
圧力P1 に対する第2の押圧力P2の比P2 /P1 を1.
10以上にそれぞれ設定し、かつ、加熱時には寄り代が
3mm以上になるまで加熱し、据え込み時には、寄り代が
2mm以上になるまで据え込むことを特徴とする摩擦圧接
中空バルブの製造方法が提供される。
【0010】本発明方法においては、上記した組成のN
i基合金から成る傘部と、上記した組成の耐熱鋼から成
る中空パイプに、上記した摩擦圧接条件が適用される。
用いる傘部のNi基合金はNiをバランス成分とする
が、このNi基合金において、Cは、結晶粒の微細化お
よび粒界の強化に寄与する成分である。その含有量が多
すぎると、熱間加工性が損なわれるとともに、常温およ
び高温下における靱延性が低下するので、含有量は0.2
0重量%以下に設定される。好ましくは、0.10重量%
以下である。
【0011】Crは、耐酸化性,耐食性の向上に寄与す
る成分である。その含有量が少ない場合は酸化および腐
食による減耗がはやまり、また多くなりすぎると、熱間
加工性が損なわれるとともに、組織的に不安定となるた
め、高温下における使用中に脆化しやすくなるので、C
rの含有量は18〜30重量%の範囲内に設定される。
好ましくは、19〜22重量%である。
【0012】Alは、TiとともにNiとの金属間化合
物を生成し、その析出により強化に寄与する成分であ
り、その含有量が0.5重量%未満の場合はTiとの金属
間化合物が不安定となり、強度および靱延性の低下を招
きやすくなり、また2.5重量%より多くなると、熱間加
工性が損なわれるので、その含有量は0.5〜2.5重量%
の範囲内に設定される。好ましくは、1.5〜2.0重量%
である。
【0013】Tiは、AlとともにNiとの金属間化合
物による析出強化に寄与する成分であり、その含有量が
1.0重量%未満の場合は、析出硬化が充分でなく、高温
下における強度が保持されなくなり、また3.0重量%よ
り多くなると、熱間加工性が損なわれるとともに、常温
から高温にかけての靱延性が低下するので、その含有量
は1.0〜3.0重量%の範囲内に設定される。好ましく
は、2.0〜2.5重量%である。
【0014】本発明の製造方法で用いる傘部のNi基合
金は、上記した成分を必須とするが、更に必要に応じ
て、Co,Nb,W,Mo,Feの少なくとも1種が含
有されていてもよい。これら任意成分のうち、Coは固
溶によって基地を強化するとともに、Al,Tiおよび
Niとの金属間化合物の固溶温度を高めることにより、
高温下における強度を増大させるが、あまり多く含有さ
れていると、高温強度を低下させ、コスト的にもメリッ
トが失われるので、その含有量は22重量%以下にす
る。好ましくは、20重量%以下にする。また、Nb
は、その一部が基地強化にも寄与するが、Al,Tiと
同様に、Niとの金属間化合物を生成し、その析出によ
って強化に寄与する成分である。その含有量が7重量%
より多くなると、低融点化合物相が増加して熱間加工性
が損なわれるほか、常温から高温にかけての靱延性が低
下するので、7重量%以下に制限する。好ましくは、5
重量%以下にする。
【0015】MoおよびWは、基地に固溶して常温およ
び高温における強度向上にとって有効な成分であるが、
あまり多く含有されていると、熱間加工性が損なわれ、
常温から高温にかけての靱延性も低下するので、その含
有量は、それぞれ、7重量%以下であることが好まし
い。より好ましくは、5重量%以下である。また、Fe
は、熱間加工性に寄与する成分であるが、あまり多く含
有されていると、高温下における強度低下をはやめるの
で、その含有量を20重量%以下に制限する。好ましく
は、18重量%以下にする。
【0016】この傘部は上記したNi基合金のブロック
素材を加工して製造されるが、このとき、上記した組成
のNi基合金に対し一旦溶体化温度に加熱したのち、そ
の温度を下げ、例えば850〜1100℃というその再
結晶温度以下の温度で10〜75%の加工率でホットコ
ールド加工を行なうと、得られた傘部は、安定した強化
組織になり、高温硬さおよびクリープ破断強度も向上し
て好適である。
【0017】一方、中空軸部を構成する耐熱鋼におい
て、Cは、粒内および粒界の強化に寄与する成分であ
る。あまり多く含有されていると、熱間加工性が損なわ
れ、常温および高温下における靱延性が低下するような
不都合を生ずるので、その含有量は0.5重量%以下に設
定される。好ましくは、0.3重量%以下である。Cr
は、耐酸化性または耐食性の向上に寄与する成分であ
る。その含有量が10重量%未満の場合には、酸化また
は腐食による減耗がはやくなり、また30重量%より多
くなると、組織的に不安定となり熱間加工性が損なわ
れ、靱延性が低下するので、その含有量は10〜30重
量%に設定される。好ましくは、オーステナイト系耐熱
鋼では19〜22重量%,マルテンサイト系耐熱鋼では
11〜13重量%にする。
【0018】中空軸部の耐熱鋼は、Feをバランス成分
とし、上記成分を必須とするが、必要に応じて、更に、
Mo,Ni,W,Nbの少なくとも1種が含有されてい
てもよい。これら任意成分のうち、Mo,Wは、基地の
固溶強化に寄与するが、あまり多く含有されていると、
熱間加工性が損なわれて靱延性の低下を招くので、その
含有量は、それぞれ、2重量%以下に制限される。好ま
しくは、それぞれ、1.5重量%以下である。
【0019】Niは、オーステナイト系耐熱鋼では組織
的安定による高温強度の向上に寄与し、また、マルテン
サイト系耐熱鋼では焼入性の向上による強度および靱性
を高める。オーステナイト系耐熱鋼の場合、オーステナ
イト組織の安定化のためにはNiが8重量%以上含有さ
れていることが必要であるが、しかし18重量%より多
く含有されていると、コスト的に不利になるので、その
含有量は18重量%以下に限定される。
【0020】マルテンサイト系耐熱鋼の場合、Niが2
重量%より多く含有されていると、その耐熱鋼は軟化が
早く生じてくるので、その含有量は2重量%以下に限定
される。また、Nbは、基地強化および一部は炭化物と
なって分散して基地の強化に寄与するが、その含有量が
2重量%より多くなると、耐熱鋼の靱延性が低下しはじ
めるので、含有量は2重量%以下、好ましくは、1.5重
量%以下に制限される。
【0021】本発明方法において、軸部として耐熱鋼パ
イプを用いる場合、そのパイプの肉厚部が傘部と摩擦圧
接して接合部を形成する。そのときのパイプとしては、
外径が40mm以上、好ましくは50mm以上、更に好まし
くは60mm以上であり、かつ、肉厚(Tmmとする)と
外径(Dmmとする)との比(T/D)が0.1〜0.3で
ある形状のものが用いられる。
【0022】このT/Dが0.1より小さいパイプ形状の
場合は、接合部にかかる負荷が制約され、大型バルブの
製造に適用できない。また、T/Dが0.3より大きいパ
イプ形状の場合には、摩擦圧接時に、肉厚部の軸中心側
と周辺側との間における回転速度の違いに基づく摩擦熱
の不均一が生じはじめて接合部(パイプ肉厚部)におけ
る加熱むらが発生するようになり、その結果、信頼性に
富む高い接合強度が得られなくなる。
【0023】接合部での健全な継手特性を得るために
は、まず、加熱工程における第1の押圧力P1 を4kgf/
mm2 以上、好ましくは8kgf/mm2 以上に設定し、傘部と
パイプとをその第1の押圧力P1 で押圧しながら相対回
転させ、寄り代が(u1)2mm以上、好ましくは3mm以上
になるまで摩擦熱で接合部を加熱する。このような加熱
処理を施すことにより、加熱中に汚染された界面のT
i,Alの酸化物あるいは窒化物などを圧接部から押出
しながら、接合部に適度な厚みの軟化領域を形成させる
のである。
【0024】この加熱時における第1の押圧力P1 が低
すぎると、加熱時間が長くなり、そのため界面温度が高
くなって傘部やパイプの各結晶粒界の局部溶融あるいは
炭化物などの周辺で共晶が発生して接合部欠陥を招くこ
とがある。逆に、第1の押圧力P1 が高すぎると軟化領
域が押し出されて薄くなり、後続の据え込み時における
塑性加工量(寄り代)u2 が不足して充分な接合強度が
得られないことになる。したがって、第1の押圧力P1
の設定値は、上述の下限値以上とし、かつ、加熱時には
上述した寄り代u1 が得られ、かつ、据え込み時におい
ては後述する寄り代u2 が得られるように適宜な値に設
定する。
【0025】加熱時における加熱時間t1 は、一般に、
T/Dが大きくなる程長くなる。加熱時間t1 が短すぎ
ると軟化領域が薄くなり、そのため圧接時の寄り代u1
が不足して充分な接合強度が得られなくなる。そこで、
加熱時における加熱時間t1は、T/Dに応じて設定す
ることになるが、いずれにしても寄り代u1 が上述した
値3mm以上になるまで加熱する。
【0026】据え込み工程において、傘部とパイプの相
対回転を停止したのち、第2の押圧力P2 を10kgf/mm
2 以上、好ましくは14kgf/mm2 以上に設定し、第1の
押圧力に対する第2の押圧力の比P2 /P1 を1.10以
上、好ましくは1.20以上に設定し、寄り代u2 が2mm
以上、好ましくは3mm以上になるまで据え込む。第2の
押圧力P2 が低すぎると、加熱されたままの状態で塑性
加工量が不充分な領域が残存し、接合強度を弱めること
になる。この時間t2 は、T/Dが大きくなればなる
程、長く設定しなければならないが、この据え込み時間
2 が不足すると部分的に溶融していた部分が押し出さ
れずにそのまま固化するため、接合強度が損なわれる。
なお、パイプ状軸部の形成時における据え込み工程の終
了に関する判定は、据え込み時間t2 がT/Dで変化す
るので、この据え込み時間t 2 に代え、寄り代u2 が前
記した所定値を超えたときに、必要な塑性加工(アップ
セット加工)が終了したと判定する。
【0027】そして、適切な寄り代u2 を得るために
は、前述した通り、加熱時において適宜な厚みの軟化領
域を形成することが必要である。第1の押圧力P1 が大
であれば軟化領域が薄くなるので、据え込み時における
第2の押圧力P2 は、第1の押圧力P1 に比例した値に
設定しなければならない。押圧力の比P2 /P1 が1.1
0より小の場合には、据え込み時に必要な寄り代u2
得られない。
【0028】このパイプ状軸部の形成は、中実軸部の場
合よりも圧接面積が小さいので、摩擦圧接の条件が緩徐
になり、そのため、用いる摩擦圧接機の能力が小さくて
もよいという利点がある。なお、圧接する傘部と中空パ
イプの端面が各軸線に対して所要の直角度を備え、摩擦
圧接時に傘部とパイプの軸線が所定の公差で合致してい
なければならず、また、各端面が所要の仕上げ面粗さを
備えていなければならないことは勿論のことである。
【0029】また、摩擦加熱中における圧接界面の温度
が材料の融点近くに達すると、それぞれの材料の界面近
傍に偏析あるいは硫化物などの介在物が存在していた場
合には、そこに局部溶融が生じ、圧接時の応力下で割れ
に発展する。あるいは割れが生じなくともファイバーフ
ローが顕著となり、これと直角方向の靱延性を著しく損
なう恐れがある。したがって、傘部やパイプ状軸部に用
いる素材は可能な限り偏析や硫化物などの介在物が少な
いことが必要になる。
【0030】偏析はインゴットの均熱処理および熱間加
工によって相当程度軽減させることができる。しかし、
硫化物などの介在物は熱間加工によって析出形態は変化
するがその析出量はあまり変化しない。したがって信頼
性の高い圧接継手を得るためには、傘部,中空軸部のい
ずれにおいても、上記介在物生成の原因となるような不
純物の含有量を可能な限り少なくすることが望ましい。
【0031】ところで、傘部のNi基合金,中空軸部の
耐熱鋼は、いずれも、前記した各必須成分および任意成
分の外に、不可避的に不純物を含有している。例えば、
傘部のNi基合金において、P,S,Siなどの不純物
が多く含有されている場合は、圧接部の強度低下を引き
起こすことが判明した。それは、不純物がP,Sの場
合、これらP,Sは結晶粒界に集積するので、その集積
部を低融点にする。また、Siは他の成分と低融点化合
物を生成する。したがって、このような状態で摩擦圧接
を行うと、傘部の界面では局部溶融が起こり、圧接不良
を招いて圧接部の強度低下が引き起こされるものと考え
られる。
【0032】このため、本発明においては、傘部のNi
基合金に含有される不純物は、Pが0.010重量%以
下,Sが0.005重量%以下,更に好ましくは、0.00
3重量%以下,Siが0.20重量%以下に制限されるこ
とが好ましい。不純物の影響は中空軸部を構成する耐熱
鋼についても同様である。したがって、中空軸部の耐熱
鋼に含有される不純物は、Pが0.050重量%以下,S
が0.01重量%以下,更に好ましくは、0.005重量%
以下に制限されることが好ましい。
【0033】なお、本発明の圧接条件は、前記の圧接界
面の汚染層を充分な圧力を加えて排除するとともに、前
記局部溶融層の生じない範囲に規制される。例えば、P
1 ,P2 ,u1 ,u2 をそれぞれ上記した一定の値以上
に設定するとともに、P2 /P1 が大きくなりすぎる
と、接合部の展延性が下がるのでP2/P1 を1.20〜
3.0、または、u2 を3〜15mmの範囲に規制すること
が好ましい。
【0034】
【実施例】以下に、本発明方法による実施例、および本
発明方法に依らない比較例を説明する。図1は、船舶用
ディーゼル機関に使用される大型バルブ10の形状を示
す。このバルブ10は、前述したNi基超耐熱合金の傘
部12と耐熱鋼の中空軸部14が、接合部16(図1の
斜線で示す領域)において各軸端面12a,14aを突
き合わせて摩擦圧接され、その後、接合部の周囲を機械
加工により仕上げたものである。
【0035】傘部,中空軸部には、表1で示す組成の材
料を用いた。なお、傘部は、表示の材料に対し、温度1
050℃,加工率60%のホットコールド加工が施され
ている。
【0036】
【表1】
【0037】実施例および比較例のいずれにおいても、
実際には傘部12および中空軸部14に代えて、これら
に相当する軸径Dmmの、それぞれ同じ材質の丸棒とパイ
プを使用した。そして、実施例および比較例のいずれの
場合にも、傘部と中空軸部の軸線を合致させて、摩擦圧
接装置の固定台に傘部を固定する一方、中空軸部を主軸
に把持させた。主軸は、中空軸部を傘部に押圧しながら
回転させることができ、この回転速度および押圧力は調
整可能である。加熱時における軸部の回転速度は、実施
例および比較例いずれの場合にも、一定回転速度の40
0rpm に設定した。このときの第1の押圧力P1 ,加熱
時間t1 、寄り代u1 は、表2に示す通り種々変化させ
た。また、据え込み時における第2の押圧力P2 ,押圧
力の比P 2 /P1 ,寄り代u2 ,据え込み時間t2 も表
2に示す通り種々変化させた。
【0038】各条件で圧接バルブを20本製造し、各パ
イプ肉厚部の略中心から試験片を採取し、これら試験片
につき、JIS Z2241で規定する引張試験を実施
し、破断強度を求めた。求めた破断強度が母材の破断強
度(この場合、耐熱鋼の破断強度)より大、あるいはそ
れと同等である場合でかつ破断個所が母材にある場合に
は、母材破断と判定し、破断個所が接合部にある場合に
は接合部破断と判定した。そして、全て母材破断の場合
は○印、接合部での破断の場合には□印として表2に示
した。
【0039】なお、各テストピースの破断試験において
上記した接合部破断の発生率(%)を算出し、その結果
も表2に示した。
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
摩擦圧接中空バルブの製造方法によれば、接合部の軸径
が40mm以上の中空バルブを製造することができ、しか
もそのバルブは、満足のいく継手特性、すなわち、接合
部において少なくとも母材と同等あるいはそれ以上の高
温強度を有し、接合部破断が生じることがなく、しかも
信頼性の高い継手特性を有している。
【0042】そして、本発明方法においては、軸部が中
空であるため、全体として軽量で、しかもその軸部の中
空部に冷却用媒体を充填することができ、したがって、
優れた冷却効果を発揮することができる摩擦圧接中空バ
ルブを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法によって製造されるバルブの
構成部材を示す平面図である。
【符号の説明】
10 バルブ 12 傘部 14 パイプ 16 接合部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C22C 38/18 C22C 38/18 (72)発明者 奥山 和巳 神奈川県秦野市曽屋754−4 (56)参考文献 特開 平1−192488(JP,A) 特開 昭61−60283(JP,A) 特開 昭62−284909(JP,A) 特開 昭52−9709(JP,A) 特開 昭56−88908(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 20/12 F01L 3/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.20重量%以下,Cr:18〜3
    0重量%,Al:0.5〜2.5重量%,Ti:1.0〜3.0
    重量%を必須成分として含むNi基合金から成る傘部
    と、C:0.5重量%以下,Cr:10〜30重量%を必
    須成分として含む耐熱鋼から成る軸部とを、第1の押圧
    力P1 で押圧しながら相対回転させ、そのときの摩擦熱
    で接合部を加熱し、前記相対回転を停止したのち、傘部
    と軸部とを第2の押圧力P2 で押圧して据え込むとき
    に、前記軸部として、外径が40mm以上で、肉厚と外径
    との比が0.1〜0.3であるパイプを用い、前記第1の押
    圧力P1を4kgf/mm2 以上、前記第2の押圧力P2 を1
    0kgf/mm2 以上、かつ、前記第1の押圧力P1 に対する
    第2の押圧力P2 の比P2 /P1 を1.10以上にそれぞ
    れ設定し、かつ、加熱時には寄り代が3mm以上になるま
    で加熱し、据え込み時には、寄り代が2mm以上になるま
    で据え込むことを特徴とする摩擦圧接中空バルブの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 前記傘部のNi基合金に含有されている
    不純物が、P:0.010重量%以下,S:0.003重量
    %以下,Si:0.20重量%以下であり、また、前記軸
    部の耐熱鋼に含有されている不純物が、P:0.050重
    量%以下,S:0.005重量%以下である請求項1の摩
    擦圧接中空バルブの製造方法。
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