JP3130020B2 - ニッケル合金を溶接ワイヤとして使用するミグ溶接用シールドガスと該ガスを使用したミグ溶接方法 - Google Patents

ニッケル合金を溶接ワイヤとして使用するミグ溶接用シールドガスと該ガスを使用したミグ溶接方法

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JP3130020B2 JP17342999A JP17342999A JP3130020B2 JP 3130020 B2 JP3130020 B2 JP 3130020B2 JP 17342999 A JP17342999 A JP 17342999A JP 17342999 A JP17342999 A JP 17342999A JP 3130020 B2 JP3130020 B2 JP 3130020B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化学工業、原子力
関係及び火力発電等の産業分野で用いられる、塔槽類、
加熱設備、ガスタービン、及びジェットエンジン等の装
置、機器類のステンレス鋼やニッケル合金及びその他の
金属材料の溶接にあたって、ニッケル合金よリなる溶接
ワイヤを用いるミグ溶接において、好適なミグ溶接用シ
ールドガスとこのガスを使用した溶接方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】一般に、上記した産業分野では広くニッ
ケル合金を溶接ワイヤとして使用した溶接によって、装
置や機器類が製造されたり組み立てられている。このニ
ッケル合金を溶接ワイヤに用いる溶接方法では、ミグ溶
接及びティグ溶接等のガスシールドアーク溶接が主体で
行なわれており、そのシールドガスとしてはアルゴンガ
スが用いられている。又、一方ステンレス鋼を溶接ワイ
ヤとして使用する溶接方法においては、ミグ溶接ではシ
ールドガスとしてアルゴンガス+数容量%の酸素ガスの
混合ガスが用いられ、ティグ溶接にあっては、アルゴン
ガスがシールドガスとして用いられている。更に、ニッ
ケル合金よリなるフラックス入りの溶接用ワイヤ(以下
「FCW」と称す)を溶接ワイヤとして使用するマグ溶
接にあっては、そのシールドガスとしてアルゴンガス+
20%二酸化炭素(CO2)の混合ガスが使用されてい
る。
【0003】しかるに、上記した如き溶接方法では、そ
の被溶接構造物の溶接結果に求められる評価は、溶接品
質や作業能率によって総合的に判断されるが、上記した
ニッケル合金を溶接ワイヤとして使用した上記シールド
ガス雰囲気中のミグ溶接は、ティグ溶接に比べて作業能
率は高いが、ミグ溶接には以下の如き問題点がある。 アークがやや不安定で、溶接ビードが不整になり易
い。 溶接ビードの濡れ性が悪く、オーバラップや凸ビード
になり易い。 従来のステンレス鋼溶接ワイヤ用のシールドガスであ
るアルゴンガス+酸素ガスの混合ガスを用いると、溶接
ビードが酸化して、溶接品質が劣化する。 FCWを用いた溶接では、スパッタの発生が著しい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した事
情に鑑みなされたもので、溶接ワイヤとしてニッケル合
金を用いたミグ溶接をしても、上記した不都合を生じる
ことなく、アークが安定して溶接ビードの濡れ性が改善
されて、均一な溶接ビードが形成される、シールドガス
を提供するとともに、溶接品質、作業能率を向上せしめ
る溶接方法を提供することを本発明の課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ため、請求項1に係る発明として、ニッケルを主成分と
するニッケル合金を溶接ワイヤとして使用する金属溶接
用のシールドガスであって、ヘリウムガス25乃至85
容量%、酸素ガス0.1乃至1.0容量%、残部がアルゴ
ンガスでなる3種類の混合ガスでなるとともに、アルミ
ニウム合金を除く金属の溶接用であることを特徴とする
ニッケル合金を溶接ワイヤとして使用するミグ溶接用シ
ールドガスとしたものである。そして、請求項2に係わ
る発明として、ニッケルを主成分とするニッケル合金を
溶接ワイヤとして使用する金属溶接用のシールドガスで
あって、ヘリウムガス25乃至85容量%、炭酸ガス
0.2乃至2.5容量%、残部がアルゴンガスでなる3種
類の混合ガスでなることを特徴とするニッケル合金を溶
接ワイヤとして使用するミグ溶接用シールドガスとした
ものである。又、請求項3に係わる発明として、ニッケ
ルを主成分とするニッケル合金を溶接ワイヤとして使用
する金属溶接用のシールドガスであって、ヘリウムガス
25乃至85容量%、酸素ガス(O2)と炭酸ガス(C
2)が2.5(O2)+(CO2)=0.25〜2.5容量
%、残部がアルゴンガスでなる4種類の混合ガスでなる
ことを特徴とするニッケル合金を溶接ワイヤとして使用
するミグ溶接用シールドガスとしたものである。
【0006】又、請求項4に係わる発明として、ニッケ
ルを主成分とするニッケル合金を溶接ワイヤとして使用
する金属のミグ溶接にあたって、ヘリウムガス25乃至
85容量%、酸素ガス0.1乃至1.0容量%、残部がア
ルゴンガスでなる3種類の混合ガスの雰囲気中でアルミ
ニウム合金を除く金属をミグ溶接することを特徴とする
ニッケル合金を溶接ワイヤとして使用するミグ溶接方法
としたものである。請求項5に係わる発明として、ニッ
ケルを主成分とするニッケル合金を溶接ワイヤとして使
用する金属のミグ溶接にあたって、ヘリウムガス25乃
至85容量%、炭酸ガス0.2乃至2.5容量%、残部が
アルゴンガスでなる3種類の混合ガスの雰囲気中でミグ
溶接することを特徴とするニッケル合金を溶接ワイヤと
して使用するミグ溶接方法。そして、請求項6に係わる
発明として、ニッケルを主成分とするニッケル合金を溶
接ワイヤとして使用する金属のミグ溶接にあたって、ヘ
リウムガス25乃至85容量%、酸素ガス(O2)と炭
酸ガス(CO2)が2.5(O2)+(CO2)=0.25
〜2.5容量%、残部がアルゴンガスでなる4種類の混
合ガスの雰囲気中でミグ溶接することを特徴とするニッ
ケル合金を溶接ワイヤとして使用するミグ溶接方法。そ
して又、請求項7に係わる発明として、ミグ溶接がパル
スミグ溶接であることを特徴とする請求項4乃至請求項
6のいずれか1項に記載のニッケル合金を溶接ワイヤと
して使用するミグ溶接方法としたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明は、溶接ワイヤとして例え
ばニッケル(Ni)ークロム(Cr)ーモリブデン(M
o)の如きニッケル合金を用いるミグ溶接におけるシー
ルドガスとして、アルゴンガスとヘリウムガスに、酸素
ガス及び炭酸ガスの少なくとも1つを混合した3種類又
は4種類の混合ガスとすることにより、アークが安定
し、溶接ビードが均一になるとともに、溶接ビードの濡
れ性が改善され、オーバラップや凸ビードの発生を防止
し得たものである。
【0008】そして、前記3種類の混合ガスの組成とし
ては、ヘリウムガス25〜85容量%、酸素ガス0.1
〜1.0容量%、残部アルゴンガスとした混合ガス、又
はヘリウムガス25〜85容量%、炭酸ガス0.2〜2.
5容量%、残部がアルゴンガスとした混合ガスをシール
ドガスとして用いることにより、高品質のミグ溶接が作
業効率良く行なうことができる。又更には、4種類の混
合ガスの組成としては、ヘリウムガス25〜85容量
%、酸素ガス(O2)と炭酸ガス(CO2)が2.5
(O2)+(CO2)=0.25〜2.5容量%、残部がア
ルゴンガスとした混合ガスをシールドガスとして用いる
ことにより、より高品質のミグ溶接が作業効率良く行な
うことができる。特に望ましくは、前記3種類の混合ガ
スの組成としては、ヘリウムガス25〜75容量%、酸
素ガス0.2〜1.0容量%、残部アルゴンガスとした混
合ガス、又はヘリウムガス25〜75容量%、炭酸ガス
0.5〜2.5容量%、残部がアルゴンガスとした混合ガ
スをシールドガスとして用いることにより、更により高
品質のミグ溶接が作業効率良く行なうことができる。
【0009】そして、かかる3種類又は4種類の混合ガ
スをシールドガスとして用いて、ニッケル合金を溶接ワ
イヤにして、アークを発生せしめて溶接するミグ溶接を
行なうことにより、溶接品質を向上せしめることができ
る。又、ミグ溶接として、特にパルス電源を用いたミグ
溶接を行なうことにより、安定したアークを持続して発
生し得て、スパッタ−の発生が低減して濡れ性の良い均
一の溶接ビードが強固に形成された溶接品質の良好な溶
接構造物が得られる。
【0010】
【実施例】本発明のニッケル合金を溶接ワイヤとしてミ
グ溶接する場合の好適なシールドガスを得るため、以下
の作業を行なった。 (1)従来のシールドガスによる問題点の改善に関する
検討 先ず、ニッケル合金よリなる溶接ワイヤを使用した場
合、従来一般に使用されているシールドガスで生じる不
都合を改善する検討を行なった。 (i)アークの不安定性の改善 一般にアーク溶接に用いられるシールドガスには、アー
クの安定性を高めるために、アルゴンガス等の不活性ガ
ス中に、二酸化炭素(炭酸ガス)や酸素ガスの如き酸化
性ガスを、例えば数%〜数十%の所定量添加している。
しかしながら、ニッケル合金は酸化し易いという問題が
あるため、アークを安定化するためには、必要最低限の
酸化性ガスを用いて、酸化の発生を最小限に抑止するこ
とが必要である。又、酸化性ガスとして炭酸ガスを用い
た場合には、その添加量によってはカーボンピックアッ
プが惹起されて、耐食性が損なわれるので、過度の炭酸
ガスの添加について注意することが必要である。
【0011】(ii)溶接ビードの濡れ性改善 溶接ビードの母材への濡れ性を改善するには、アルゴン
ガス中にヘリウムガスや水素ガスを添加する方法が考え
られるが、ヘリウムガスの過度な添加は、アーク起動発
生のスタート性を損うとともに、アークの不安定を招く
ことがある。又、水素ガスの添加は、ブローホールやピ
ットの発生を招く原因ともなるので、これを採用するこ
とは避けた方が好ましい、等の結論に到った。
【0012】(2)次に、上記した検討結果に基き、ニ
ッケル合金を溶接ワイヤに使用して溶接する場合の好適
なシールドガスを選定するため、以下の如きガス組成を
変化せしめて、アークの安定性、ビードの状態(濡れ
性、安定性(直進性)等)、スパッタの発生度合、スラグ
の有無・剥離性への影響等についての確認実験を行なっ
た。 (i)アルゴンガスとヘリウムガスの混合ガスをベース
ガスとして、これに添加する酸素ガス量を変化せしめた
混合ガスによる確認実験(実験1)。 (ii)アルゴンガスとヘリウムガスの混合ガスをベース
ガスとして、これに添加する炭酸ガス量を変化せしめた
混合ガスによる確認実験(実験2)。 (iii)アルゴンガスと酸素ガス又は炭酸ガスの混合ガ
スをベースガスとして、これに添加するヘリウムガス量
を変化せしめた混合ガスによる確認実験(実験3)。 (iv)上記実験1、2及び3の結果に基いて、アルゴン
ガスをベースガスとして、酸素ガス、炭酸ガス、ヘリウ
ムガスのそれぞれの添加量を変化せしめた混合ガスによ
る確認実験(実験4)。
【0013】上記した各実験は、以下の如き共通する溶
接条件で行なった。 [共通溶接条件] ・溶接母材:オーステナイト系ステンレス鋼(SUS
304)、厚さ3.0mm。 ・溶接ワイヤ:直径1.2mmのNiーCrーMo合金
(インコネル625)ワイヤ。 ・溶接の種類:ミグ溶接。 ・溶接機:インバータ制御パルス溶接機。 ・溶接電流:65A。 ・溶接電圧:20〜30V。 ・チップ母材間距離:15mm。 ・トーチ角度:60度。 ・溶接速度:25cm/min。 ・継手形状:重ね水平すみ肉 なお、実験はソリッドワイヤを使用するミグ溶接により
行なうこととして、そのアークの安定性を保持すること
からパルス電源を用いることとした。
【0014】[実験1]アルゴンガス(Ar)をベース
ガスにして、該アルゴンガス(Ar)中にヘリウムガス
(He)を50容量%にして混合し、これに酸素ガス
(O2)を0.05容量%から1.5容量%の濃度になる
よう添加酸素ガス量を変化せしめてシールドガスを作製
し、そのシールドガス雰囲気での溶接における、アーク
の安定性、濡れ性、ビード等の溶接部の状態を評価し
た。その結果を表1に示す。なお、表1中の○印、×印
及び△印は以下の如き評価を示すものである。○印は、
「ビード不整」、「スパッタ発生」、「酸化・すす付
着」の項についてはこれらの現象[無し]、そして「余
盛形状」及び「総合評価」の項については[良]の評価
を示すものである。×印は、「ビード不整」、「スパッ
タ発生」、「酸化・すす付着」の項についてはこれらの
現象[多く有]、そして「余盛形状」及び「総合評価」
の項については[不良]の評価を示すものである。△印
は、「ビード不整」、「スパッタ発生」、「酸化・すす
付着」の項についてはこれらの現象[少々有]、そして
「余盛形状」及び「総合評価」の項については[中]の
評価を示すものである。以下、表2乃至表5の表示にお
いても同様の評価を示すものである。
【0015】
【表1】
【0016】表1に示す如く、酸素ガス(O2)が0.1
容量%よりも少ないとアークは不安定になり、ビードが
不整となる。一方、酸素ガス(O2)が1容量%を超え
るビードの酸化が著しくなる。この実験1によると、ビ
ードの不整がなく、スパッタも発生することがないアー
クが安定した状態を保持し、酸化・すすの付着が少ない
溶接状態を得るには、酸素ガス(O2)の添加量は0.1
〜1.0容量%であることが必要であり、特により好ま
しい酸素ガス(O2)の添加量は0.2〜1.0容量%で
あることが確認された。
【0017】[実験2]アルゴンガス(Ar)をベース
ガスにして、該アルゴンガス(Ar)中にヘリウムガス
(He)を50容量%にして混合し、これに炭酸ガス
(CO2)を0.1容量%から3.0容量%の濃度になる
よう添加炭酸ガス量を変化せしめてシールドガスを作製
し、そのシールドガス雰囲気での溶接における、アーク
の安定性、濡れ性、ビード等の溶接部の状態を評価し
た。その結果を表2に示す。なお、表2中の○印、×印
及び△印は、前記表1での評価と同様の評価を示すもの
である。
【0018】
【表2】
【0019】表2で明らかなように、炭酸ガス(C
2)が0.2容量%より少なくなると、アークが不安定
になり、ビードが不整となる。0.2容量%以上の炭酸
ガス(CO2)を添加すると、アークが概ね安定する
が、炭酸ガス(CO2)が2.5容量%を超えると、ビー
ドの酸化は著しくなる。そして、この実験2では、ビー
ドに不整がなく、スパッタも発生することがないアーク
が安定した状態を保持し、酸化・すすの付着が少ない溶
接状態を得るには、炭酸ガス(CO2)の添加量は0.2
〜2.5容量%であることが必要であり、特により好ま
しい炭酸ガス(CO2)の添加量は0.5〜2.5容量%
であることが確認された。
【0020】[実験3] アルゴンガス(Ar)をベースガスにして、該アル
ゴンガス(Ar)中に炭酸ガス(CO2)を0.5容量%
の濃度になるよう添加し、酸素ガス(O2)を添加せず
に、この混合ガスにヘリウムガス(He)の添加量を変
化せしめて添加してシールドガスを作製した。 アルゴンガス(Ar)をベースガスにして、該アル
ゴンガス(Ar)中に酸素ガス(O2)を0.2容量%の
濃度になるよう添加し、炭酸ガス(CO2)を添加せず
に、この混合ガスにヘリウムガス(He)の添加量を変
化せしめて添加してシールドガスを作製した。そして、
これら上記のシールドガス雰囲気での溶接における、ア
ークの安定性、濡れ性、ビード等の溶接部の状態を評価
した。その結果として、前記項で作製した混合ガスの
評価については表3に、又前記項で作製した混合ガス
の評価については表4に、それぞれ表示する。なお、表
3及び表4中の○印、×印及び△印は、前記表1での評
価と同様の評価を示すものである。
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】表3、及び表4より明らかなように、85
容量%を超えてヘリウムガス(He)を添加すると、ア
ークが不安定になり、又スパッタの発生が著しくなっ
た。一方、ヘリウムガス(He)の量が25容量%未満
になると、アークは安定しているものの、濡れ性が悪く
なり凸状のビードを形成することとなった。そして、こ
の実験では、ビードに不整がなく、スパッタも発生する
ことがないアークが安定した状態を保持し、濡れ性が良
く、酸化・すすの付着が少ない溶接状態を得るには、ヘ
リウムガス(He)の添加量は25〜85容量%の範囲
である必要があることが確認された。そして、特に好ま
しいヘリウムガス(He)の添加量は25〜75容量%
であることも確認された。
【0024】[実験4]上記した、実験1乃至3の結果
に基き、 アルゴンガス(Ar)をベースガスとして、該アル
ゴンガス中にヘリウムガス(He)を25〜85容量%
の濃度範囲に、又酸素ガス(O2)を0.1〜1.0容量
%の濃度範囲になるよう、ヘリウムガス(He)の添加
量及び酸素ガス(O2)の添加量をそれぞれ変化せしめ
てシールドガスを作製した。 アルゴンガス(Ar)をベースガスとして、該アル
ゴンガス中にヘリウムガス(He)を25〜85容量%
の濃度範囲に、又炭酸ガス(CO2)を0.2〜2.5容
量%の濃度範囲になるよう、ヘリウムガス(He)の添
加量及び炭酸ガス(CO2)の添加量をそれぞれ変化せ
しめてシールドガスを作製した。 アルゴンガス(Ar)をベースガスとして、該アル
ゴンガス中にヘリウムガス(He)を25〜85容量%
の濃度範囲に、酸素ガス(O2)と炭酸ガス(CO2)と
が、2.5(O2)+(CO2)=0.25〜2.5容量%
の濃度範囲になるよう、ヘリウムガス(He)の添加
量、酸素ガス(O2)の添加量を及び炭酸ガス(CO2
の添加量をそれぞれ変化せしめて混合しシールドガスを
作製した。
【0025】そして上記各組成の混合ガスをシールドガ
スとした雰囲気での溶接における、アークの安定性、濡
れ性、ビード形状等の溶接部の状態を評価した。その結
果を表5に示す。なお表5には、前記項で作製した混
合ガスの評価について示した。そして項と項で作製
した混合ガスの評価は、前記実験3と同様な結果であっ
た。なお、表5中の○印、×印及び△印は、前記表1で
の評価と同様の評価を示すものである。
【0026】
【表5】
【0027】この実験4では、上記した各混合ガス組成
の全ての組成範囲において、概ね満足できるアークの安
定性、ビードの濡れ性、ビードの光沢、ビードの直進性
が得られた。
【0028】そして、更にスパッタの発生程度、スラグ
の形成度合いや剥離の容易性等を含めた総合的な溶接品
質を評価したところ、 ●アルゴンガス(Ar)+(25〜85容量%)ヘリウ
ムガス(He)+(0.1〜1.0容量%)酸素ガス
(O2)の組成範囲の混合ガス、 ●アルゴンガス(Ar)+(25〜85容量%)ヘリウ
ムガス(He)+(0.2〜2.5容量%)炭酸ガス(C
2)の組成範囲の混合ガス、 ●アルゴンガス(Ar)+(25〜85容量%)ヘリウ
ムガス(He)の混合ガスに、酸素ガス(O2)と炭酸ガ
ス(CO2)を2.5(O2)+(CO2)=0.25〜2.
5容量%の濃度範囲になるよう混合した組成範囲の混合
ガス、 等の混合ガスが当該ニッケル合金を溶接ワイヤとして用
いた場合のパルスミグ溶接のシールドガスとして適して
いることが確認された。
【0029】以上は、溶接すべき母材としてオーステナ
イト系ステンレス鋼を用いた場合について説明したが、
母材として以下の如き金属母材の溶接にも同様に適用す
ることができ、同様な作用効果を奏することが確認し得
た。 ●母材1(ニッケル(Ni)合金 インコネル625
肉厚3.0mm)同士の溶接。 [溶接条件] ・ワイヤ: NiーCrーMo合金 インコネル625 直径1.2mm ・溶接機: インバーター制御パルスミグ溶接機 ・継手形状: 重ね水平すみ肉 ・電流:65A、・電圧:21〜25V ・チップ母材間距離:15mm ・溶接速度:25cm/min
【0030】●母材2(軟鋼 SM490A 肉厚25
mm)と母材3(フェライト系ステンレス鋼 SUS4
05 肉厚5.0mm)との溶接。 ●母材3(フェライト系ステンレス鋼 SUS405
肉厚5.0mm)同士の溶接。 [溶接条件] ・ワイヤ: NiーCrーMo合金 インコネル82 直径1.2mm ・溶接機: インバーター制御パルスミグ溶接機 ・継手形状: 重ね水平すみ肉 ・電流:125A、・電圧:22〜29V ・チップ母材間距離:15mm ・溶接速度:30cm/min
【0031】上記した如く、材質が異なる3種類の母材
に対して、ミグ溶接を行うにあたり、Ni合金のワイヤ
を用いると同様な作用効果を奏することができることが
確認し得た。本発明は、上記した実施例に限定されるも
のでなく、例えばインコネル92等の他の如何なる組成
のニッケル(Ni)合金であってもNi合金であれば、本
発明の混合ガスは、ミグ溶接用のシールドガスとして好
適に適用し得ることは勿論である。又、溶接する母材の
材質に関係なく、溶接ワイヤとしてニッケル(Ni)合
金を使用するミグ溶接に適宜使用し得ることも勿論であ
る。
【0032】
【発明の効果】本発明は、上記したような形態で実施さ
れ、以下に記載するする如き効果を奏する。即ち、本発
明は、溶接ワイヤにニッケル合金を用いたミグ溶接用の
シールドガスとして、溶接品質を向上せしめ得る組成を
有する優れた混合ガスを提供するものである。特に、ア
ルゴンガスをベースガスとして、ヘリウムガス25乃至
85容量%、酸素ガス0.1乃至1.0容量%又は炭酸ガ
ス0.2乃至2.5容量%の組成範囲の3種類の混合ガス
としたり、更にはアルゴンガスをベースガスとして、ヘ
リウムガス25乃至85容量%、酸素ガス及び炭酸ガス
を適切な容量%に混合した組成の4種類の混合ガスとし
たことにより、酸化が生じない美しい溶接ビードが得ら
れるばかりでなく、耐食性にも優れた溶接ビードが得ら
れる。
【0033】又、溶接ビードの濡れ性も良く強固な接合
が得られ、かつ平坦な余盛りの溶接ビードが得られた。
更に、発生するアークが極めて安定した状態で保持され
ることにより、溶接ビードの止端部が一様に揃った美し
い溶接ビードが得られる。その上更に、このシールドガ
スを使用することにより、スパッタの発生が著しく低減
され、溶接後のスパッタの除去作業を軽減せしめること
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B23K 9/23 B23K 9/23 B G // B23K 103:08 (56)参考文献 特開 昭50−27746(JP,A) 特開 昭51−79656(JP,A) 特開 昭50−127846(JP,A) 特開 平11−197838(JP,A) 特開 昭54−31058(JP,A) 特開 昭57−184586(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 9/16 B23K 9/00 B23K 9/173 B23K 9/23 B23K 103:08

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニッケルを主成分とするニッケル合金を
    溶接ワイヤとして使用する金属溶接用のシールドガスで
    あって、ヘリウムガス25乃至85容量%、酸素ガス
    0.1乃至1.0容量%、残部がアルゴンガスでなる3種
    類の混合ガスでなるとともに、アルミニウム合金を除く
    金属の溶接用であることを特徴とするニッケル合金を溶
    接ワイヤとして使用するミグ溶接用シールドガス。
  2. 【請求項2】 ニッケルを主成分とするニッケル合金を
    溶接ワイヤとして使用する金属溶接用のシールドガスで
    あって、ヘリウムガス25乃至85容量%、炭酸ガス
    0.2乃至2.5容量%、残部がアルゴンガスでなる3種
    類の混合ガスでなることを特徴とするニッケル合金を溶
    接ワイヤとして使用するミグ溶接用シールドガス。
  3. 【請求項3】 ニッケルを主成分とするニッケル合金を
    溶接ワイヤとして使用する金属溶接用のシールドガスで
    あって、ヘリウムガス25乃至85容量%、酸素ガス
    (O2)と炭酸ガス(CO2)が2.5(O2)+(C
    2)=0.25〜2.5容量%、残部がアルゴンガスで
    なる4種類の混合ガスでなることを特徴とするニッケル
    合金を溶接ワイヤとして使用するミグ溶接用シールドガ
    ス。
  4. 【請求項4】 ニッケルを主成分とするニッケル合金を
    溶接ワイヤとして使用する金属のミグ溶接にあたって、
    ヘリウムガス25乃至85容量%、酸素ガス0.1乃至
    1.0容量%、残部がアルゴンガスでなる3種類の混合
    ガスの雰囲気中でアルミニウム合金を除く金属をミグ溶
    接することを特徴とするニッケル合金を溶接ワイヤとし
    て使用するミグ溶接方法。
  5. 【請求項5】 ニッケルを主成分とするニッケル合金を
    溶接ワイヤとして使用する金属のミグ溶接にあたって、
    ヘリウムガス25乃至85容量%、炭酸ガス0.2乃至
    2.5容量%、残部がアルゴンガスでなる3種類の混合
    ガスの雰囲気中でミグ溶接することを特徴とするニッケ
    ル合金を溶接ワイヤとして使用するミグ溶接方法。
  6. 【請求項6】 ニッケルを主成分とするニッケル合金を
    溶接ワイヤとして使用する金属のミグ溶接にあたって、
    ヘリウムガス25乃至85容量%、酸素ガス(O2)と
    炭酸ガス(CO2)が2.5(O2)+(CO2)=0.2
    5〜2.5容量%、残部がアルゴンガスでなる4種類の
    混合ガスの雰囲気中でミグ溶接することを特徴とするニ
    ッケル合金を溶接ワイヤとして使用するミグ溶接方法。
  7. 【請求項7】 ミグ溶接がパルスミグ溶接であることを
    特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載
    のニッケル合金を溶接ワイヤとして使用するミグ溶接方
    法。
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