JP3125892B2 - アクリロニトリル‐スチレン系共重合体樹脂及びその製造方法 - Google Patents

アクリロニトリル‐スチレン系共重合体樹脂及びその製造方法

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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
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    • C08F212/00Copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by an aromatic carbocyclic ring
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    • C08F212/04Monomers containing only one unsaturated aliphatic radical containing one ring
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    • C08F212/08Styrene
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なアクリロニトリ
ル‐スチレン系共重合樹脂及び改良されたアクリロニト
リル系共重合体樹脂の製造方法に関するものである。さ
らに詳しくいえば、本発明は、共重合体の組成分布が狭
く、かつ良好な色調、優れた透明性を有し、かつ優れた
剛性や耐薬品性をもつアクリロニトリル‐スチレン系共
重合樹脂及び優れた物性をもつアクリロニトリル系共重
合体を生産性よく製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、透明性及び加工性が良く、安価に
入手しうる樹脂としてアクリロニトリル‐スチレン系共
重合樹脂が知られている。このアクリロニトリル‐スチ
レン系共重合樹脂は、通常重合発熱が大きいことから、
工業的には水分散重合法、すなわち懸濁重合法や乳化重
合法により製造されている。
【0003】しかしながら、積分重合法である懸濁重合
法や乳化重合法においては、アクリロニトリルとスチレ
ンとの共重合反応性から、モノマーとポリマーのアゼオ
組成であるアクリロニトリル(AN)/スチレン(S
T)重量比25/75の組成を除いては広い組成範囲に
わたって透明な樹脂が得られにくいという欠点がある。
【0004】一方、微分重合法である連続重合法におい
ては、アクリロニトリルの重合発熱が大きいことから、
所望の重合温度を維持するには生産性が低下するのを免
れない上、アゼオ組成から大きく外れたAN/ST重量
比15近傍及び45近傍の共重合体は組成分布の制御が
困難であって、透明なものが得られにくいという欠点が
ある。
【0005】ところで、アクリロニトリル‐スチレン系
共重合樹脂を連続溶液重合法で製造する場合、溶媒とし
て、通常ソルビティパラメータ[SP値、(J/m
×1/2×10−3](「ポリマーハンドブック」ウイ
リィインタナショナル社出版)が17〜19であって、
アクリロニトリル‐スチレン系共重合体のSP値20〜
25と異なる溶媒が用いられる。この場合、重合系の粘
度が低下し、反応生成物の系内移送が容易となるもの
の、共重合体の重合反応液に対する溶解性が低下すると
いう問題が生じる。溶解性を向上させる方法として、重
合温度を高めることが考えられるが、重合温度を高くす
ると除熱効率の低下をもたらし、重合温度の制御が困難
となって、製品品質の劣化や重合暴走反応などの好まし
くない事態を招来するおそれがある上、アクリロニトリ
ル単位の含有量が高いアクリロニトリル‐スチレン系共
重合体は熱による分子内反応や酸素及び熱が関与した酸
化反応によって着色するという欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
連続溶液重合法における共重合体の重合反応液に対する
溶解性の問題、重合熱の効率的除去の問題、共重合体組
成分布による樹脂の不透明化の問題及び樹脂の着色など
の問題を解決し、共重合体の組成分布が狭く、かつ色調
が良好で透明性に優れる上、剛性や耐薬品性にも優れた
アクリロニトリル‐スチレン系共重合樹脂を生産性よく
製造する方法及びこのような方法により得られる新規な
アクリロニトリル‐スチレン系共重合体樹脂を提供する
ものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、アクリロ
ニトリルと他の単量体を共重合させて、アクリロニトリ
ル単位30〜50重量%を含む優れた物性のアクリロニ
トリル系共重合体を製造する方法について鋭意研究を重
ねた結果、特定の重合開始剤を用い、脱揮条件を含む特
定の反応手段で重合させることにより、透明性、機械的
強度、耐薬品性の良好なアクリロニトリル系共重合体が
得られること、そして、この方法によると共重合体組成
分布が非常に狭い新規なアクリロニトリル‐スチレン系
共重合体樹脂が得られることを見出し、この知見に基づ
いて本発明をなすに至った。
【0008】すなわち、本発明は、アクリロニトリル単
位30〜50重量%を含み、アクリロニトリル単位の平
均値をX重量%としたとき、(X±5)重量%の範囲外
のアクリロニトリル単位を含む共重合体の含有割合が5
重量%以下(X±10)重量%の範囲外のアクリロニト
リルを含む共重合体の含有割合が1重量%以下という狭
い共重合体組成分布をもち、かつ10%メチルエチルケ
トン溶液としたときの25℃における溶液粘度が4.5
〜13センチポアズであることを特徴とするアクリロニ
トリル‐スチレン系共重合体樹脂及びアクリロニトリル
とスチレン又はそれらとその他の共重合可能な単量体を
共重合させてアクリロニトリル単位30〜50重量%を
含む共重合体樹脂を製造するに当り、10時間半減期を
与える分解温度が60〜120℃のラジカル重合開始剤
を原料単量体の合計量に対し1.0重量%以下の割合で
用い、他の仕込み成分とともに100℃以上160℃未
満の範囲の一定温度に保持された完全混合槽型反応器内
の液相反応帯域に連続的に供給しながら重合反応を行わ
せ、この間液相反応帯域の上方に形成された反応中に生
成する揮発性成分を含む気相帯域より該揮発性成分を凝
縮回収して液相反応帯域に循環させるとともに、液相反
応帯域から連続的に抜き出した反応混合物から未反応単
量体を主体とする低沸点成分を連続的に分離除去するこ
とを特徴とするアクリロニトリル系共重合体樹脂の製造
方法を提供するものである。
【0009】本発明の新規なアクリロニトリル‐スチレ
ン系共重合体樹脂は、これまで良質なものが得られにく
いとされていたアクリロニトリル単位を30〜50重量
%の範囲で含む共重合体からなる、共重合体組成分布が
非常に狭いものであって、優れた透明性、機械的強度及
び耐薬品性を有する。このような新規なアクリロニトリ
ル‐スチレン系共重合体樹脂は、前記した10時間半減
期を与える分解温度が60〜120℃のラジカル重合開
始剤を用い、脱揮条件を含む特定の反応手段に従ってア
クリロニトリルとスチレンとを共重合させることにより
製造することができる。
【0010】この方法は、上記のアクリロニトリルとス
チレンとの共重合体のほかに、アクリロニトリルとスチ
レンと他の単量体、例えばアルキルアクリレート、アル
キルメタクリレート、N‐フェニルマレイミドなどとの
共重合体、すなわちアクリロニトリル‐スチレン‐アル
キルアクリレート共重合体、アクリロニトリル‐スチレ
ン‐アルキルメタクリレート共重合体、アクリロニトリ
ル‐スチレン‐N‐フェニルマレイミド共重合体などの
製造にも用いることができる。
【0011】アクリロニトリルの重合発熱量は347k
cal/kgであって、スチレン170kcal/k
g、メチルメタクリレート130kcal/kgに比べ
て極めて大きく、このため、本発明においてはこの重合
発熱量を反応混合物の蒸発潜熱で抑制し、反応帯域で蒸
発した揮発性成分を熱交換器により凝縮回収して該反応
帯域に戻すプロセスが用いられる。
【0012】このプロセスを実施するための反応器とし
ては完全混合槽型反応器が用いられ、中でも供給口、排
出口及び反応域全体にわたって混合機能をもつかきまぜ
手段を備えたものが好適である。反応域全体にわたって
均一な混合が行われないようなプラグフロータイプの反
応器は本発明の実施には適していない。また、完全混合
槽型反応器は、反応操作条件下において上部に気相帯域
が存在し、重合発熱量の一部を反応混合物中の揮発性成
分の蒸発潜熱で除去し、蒸発した揮発性成分を外部熱交
換器によって凝縮循環する形式のものが用いられる。
【0013】前記凝縮液中の単量体はアクリロニトリル
を主体とするものであって、その単量体組成は反応帯域
における単量体組成と異なることから、液相反応帯域の
かきまぜが十分に均一でないと、重合生成物の共重合体
組成ムラが大きくなり、透明性及び機械的物性が低下す
る。
【0014】共重合体組成を均一にするためには、槽型
反応器のかきまぜ強度、凝縮液の反応帯域への導入位置
及び揮発性成分分離工程における後重合の防止などが極
めて重要であり、これらの条件を十分に満たすことによ
り、透明性及び機械的物性に優れた均一組成のアクリロ
ニトリル‐スチレン系共重合樹脂が得られる。
【0015】前記槽型反応器のかきまぜ強度は、液単位
体積当りのかきまぜ所要動力Pv(kw/m)で表わ
すと3.0〜10.0kw/mの範囲が好ましい[た
だし、Pv=(Np/gc)ρn/d、Np:
動力数、gc:重力換算係数、ρ:かくはん液密度、
d:かくはん翼径]。
【0016】凝縮液の液相反応帯域への戻り位置は、か
くはん翼の回転による液相反応帯域中の拡散が最も速い
位置を選び、気相帯域でなく反応液中に戻すのが有利で
ある。特に主原料を反応器に供給する直前の配管に接続
して、主原料とともに液相反応帯域に戻すのが混合性の
点から好ましい。
【0017】さらに、共重合体の組成分布をできるかぎ
り均一にするためには、前記したように揮発性成分分離
工程での後重合を防止することが重要であり、この後重
合を防止するためには、ラジカル重合開始剤などの重合
開始性成分が揮発性成分分離工程における反応混合物中
に高濃度に存在してはならないし、また反応性の高い単
量体であるアクリロニトリル濃度が低い方が好ましい。
このような条件を満たすためには、液相反応帯域へ供給
される重合開始剤は、反応液の滞留時間内に十分に消費
されるものを選ぶことが必要であるとともに、揮発性成
分分離工程ではアクリロニトリル濃度が稀薄になってか
ら、温度を高くする必要があり、したがって低温、低真
空下でアクリロニトリルを分離したのち、高温、高真空
下で所望の揮発性成分濃度になるように分離操作を実施
するのが望ましい。
【0018】本発明方法においては、このような理由か
ら、重合開始剤として、10時間半減期を与える分解温
度が60〜120℃の範囲にあるラジカル重合開始剤が
用いられる。このようなラジカル重合開始剤としては、
例えばブチルパーオキシ‐2‐エチルヘキサノエート、
ベンゾイルパーオキサイド、t‐ブチルパーオキシイソ
ブチレート、1,1‐ビス(t‐ブチルパーオキシ)‐
3,3,5‐トリメチルシクロヘキサン、1,1‐ビス
(t‐ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t‐ブチル
パーオキシラウレート、t‐ブチルパーオキシ‐3,
5,5‐トリメチルヘキサノエート、シクロヘキサノン
パーオキサイド、t‐ブチルパーオキシアリルカーボネ
ート、t‐ブチルパーオキシイソプロピルカーボネー
ト、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ベンゾイルパーオ
キシ)ヘキサン、2,2‐ビス(t‐ブチルパーオキ
シ)オクタン、t‐ブチルパーオキシアセテート、2,
2‐ビス(t‐ブチルパーオキシ)ブタン、t‐ブチル
パーオキシベンゾエート、n‐ブチル‐4,4‐ビス
(t‐ブチルパーオキシ)バレエート、ジクミルパーオ
キサイド、t‐ブチルクミルパーオキサイドなどの有機
過酸化物、さらには一般式
【化1】 (式中のl及びnは1〜20の整数、mは0又は1〜5
の整数、R、R、R及びRはそれぞれ水素原
子、アルキル基、フェニル基又はシクロヘキシル基であ
る)及び
【化2】 (式中のRはシクロヘキシレン基又はメチルシクロヘ
キシレン基、Rはエチレン基、ビニレン基又はフェニ
レン基である)で表わされる繰り返し単位を有し、かつ
10時間半減期を与える分解温度が60〜120℃の有
機過酸化物などが挙げられる。
【0019】また、1,1′‐アゾビス(1‐シクロヘ
キサンカーボニトリル)、2‐カルバモイルアゾイソブ
チロニトリル、2,2′‐アゾビス(2,4,4‐トリ
メチルペンタン)などの有機アゾ系化合物も用いること
ができる。
【0020】これらの重合開始剤の中で、t‐ブチルパ
ーオキシイソプロピルカーボネートは、特に無色透明な
アクリロニトリル‐スチレン系共重合樹脂を与えるので
好適である。
【0021】これらの重合開始剤の使用量は、原料単量
体に対して1.0重量%以下、好ましくは0.01〜
0.5重量%の範囲で選ぶことが必要である。この量が
1.0重量%を超えると得られる共重合樹脂の分子量が
低下する傾向がみられる。
【0022】本発明における溶媒としては、前記SP値
が17〜19の範囲にあるもの、例えばベンゼン、トル
エン、キシレン、エチルベンゼン、メチルイソブチルケ
トンなどが好ましく用いられる。これらは1種用いても
よいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、所望
により、連鎖移動剤として、例えばオクチルメルカプタ
ンやドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類、α‐
メチルスチレンダイマーなどを用いることができる。さ
らに、所望により、各種添加剤、例えばヒンダードフェ
ノール系酸化防止剤などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾ
ール系紫外線吸収剤などの紫外線吸収剤、ミネラルオイ
ルなどの可塑剤、モノグリセリン高級脂肪酸エステルな
どの滑剤などを用いることができる。
【0023】次に、本発明の実施態様の1例を添付図面
に従って説明すると、図1は本発明方法を実施するため
の反応装置の1例の概略図であって、まず、単量体、溶
媒、重合開始剤及び必要に応じて用いられる連鎖移動剤
やその他の添加剤から成る仕込液を、仕込液貯槽1から
ポンプ2を介して、連続的に反応槽3に供給し、100
〜160℃の温度にて重合反応を行う。反応槽3は二段
傾斜タービン翼を備えたかきまぜ機付完全混合槽であっ
て、ジャケット及び熱交換器4に接続された気相ガス抜
き出しラインを有している。熱交換器4で凝縮した液は
ポンプ5を介して反応槽3に戻される。
【0024】最適重合温度は、使用する重合開始剤や連
鎖移動剤の種類、反応槽の様式などにより定められる。
また、共重合体の組成を均一にするためには、反応槽か
ら連続的に抜き出される反応混合物中の重合開始剤の濃
度が5ppm以下になるようにして、後重合を防止する
必要であり、このためには、重合開始剤分解による濃度
減衰挙動が前記条件を満たすように、該重合開始剤と重
合温度や滞留時間との組合せを適宜選択することが必要
である。
【0025】また、反応条件下における反応混合物の粘
度は共重合体の分子量や濃度及び重合温度などによって
左右されるが、共重合体の組成を均一にするための極め
て重要な因子であって、10〜100ポイズの範囲にな
るように操作するのが望ましい。さらに、共重合体の重
合液に対する溶解性も共重合体の組成を均一にするため
の極めて重要な因子であり、この溶解性は共重合体中の
アクリロニトリル単位の含有量、重合液中に含まれるア
クリロニトリル単量体の量及び重合温度によって決定さ
れる。適正な重合速度は工業的には必要であるし、共重
合体の重合液に対する溶解性及び適正な反応系の粘度は
反応槽のかきまぜの均一性を確保し、共重合体の組成分
布を狭くするためにも重要である。
【0026】重合温度が100℃未満では重合速度が遅
すぎて実用的でない上、共重合体の重合液に対する溶解
性が低く、かつ反応系の粘度が高くて、かきまぜの均一
性を十分に保持することが困難であるし、160℃を超
えると低重合物(分子量1000以下のオリゴマー)が
生成しやすく、所望の分子量の共重合体が得られにくく
なる。また、平均滞留時間は0.5〜4.5時間の範囲
が好ましく、反応混合物中のポリマー濃度は40〜60
重量%の範囲にあるのが有利である。
【0027】反応混合物は反応槽3の排出口から連続的
に抜き出され、ポンプ6を経て熱交換器7により100
〜160℃の温度に加熱保持されたのち、分離槽8に供
給され、真空度500〜900トール程度の条件で、揮
発成分の一部が除去される。反応混合物の温度と分離槽
の真空度は揮発性成分の脱揮量を制御する重要な因子で
あり、この脱揮操作により、反応混合物中のポリマー濃
度を40〜60重量%から70〜90重量%に高める場
合には、前記の温度100〜160℃、真空度500〜
900トールの条件が適当である。
【0028】この第一分離槽において、特に蒸気圧の低
い未反応のアクリロニトリルが脱揮され、反応混合物中
の濃度が低下し、その結果重合反応性が極端に低下して
後重合による共重合体組成の不均一性が拡大するのが防
止されるとともに、アクリロニトリルに起因する加熱に
よるゲル化や着色も抑制される。第一分離槽から排出さ
れる反応混合物中の揮発性成分量は10〜30重量%の
範囲にあるのが望ましく、この量が10重量%未満で
は、第二分離槽へ移送する場合に、反応混合物の粘度が
高いために管壁抵抗が大きく、好ましくないし、30重
量%を超えるとアクリロニトリルの残存量が多く、着色
が生じ好ましくない。
【0029】第一分離槽8からギヤポンプ9を介して排
出された反応混合物は、熱交換器10で220〜280
℃程度の温度に加熱されたのち、第二分離槽11に供給
され、真空度20〜100トール程度の条件で揮発性成
分が除去される。この脱揮操作により、反応混合物中の
ポリマー濃度は99重量%以上となる。
【0030】本発明において、このような揮発性成分の
分離に用いられる装置は、一般にデボラタイザーと呼ば
れるものである[「デボラチリゼイション」ハンザー社
刊行(1983年)に記載されているもの、例えば米国
特許第2,434,707号明細書、同第2,836,
851号明細書、同第2,736,058号明細書、同
第2,753,595号明細書、同第2,774,10
5号明細書、特公平1−30848号公報などに記載さ
れている装置に相当するもの]。
【0031】第二分離槽11において揮発性成分が除去
された共重合体は、溶融状態でギヤポンプ12を介して
排出され、所望形状の製品となる。本発明のアクリロニ
トリル‐スチレン系共重合体樹脂は、メチルエチルケト
ンの10重量%溶液の温度25℃における粘度が4.5
〜13センチポイズの範囲にあって、アクリロニトリル
単位の平均値をX重量%としたとき(X±5)重量%の範
囲外のアクリロニトリル単位を含む共重合体の含有割合
が5重量%以下(X±10)重量%の範囲外のアクリロ
ニトリル単位を含む共重合体の含有割合が1重量%以下
であることが必要である。共重合体組成分布が前記より
広い場合には、透明性及び機械的物性に優れたアクリロ
ニトリル‐スチレン系共重合体樹脂とはならない。
【0032】
【発明の効果】本発明の連続溶液重合法によると、重合
熱の除去が容易であって、共重合体の組成分布が狭く、
均一で、かつ色調が良好で透明性、剛性や耐薬品性が優
れたアクリロニトリル‐スチレン系共重合体樹脂を生産
性よく製造することができる。
【0033】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。なお、共重合体の組成分布及びイエロ
ーインデックス(YI)は次のようにして求めた。
【0034】(1)共重合体の組成分布 試料0.05gを40mlのTHF(テトラヒドロフラ
ン)に溶解し、高速液体クロマトグラフを用いて共重合
体中のAN組成分布を測定した。なおカラム充填剤とし
て島津製作所製ゾルバックCNを用いた。
【0035】(2)イエローインデックス 下記条件にて射出成形を行い、得られた試験片をスガ試
験機のSMカラーコンピュターSM‐Sを用いてイエロ
ーインデックス(YI)を測定した(ASTMD‐19
25)。 射出成形機;東芝IS80 金型;50×90×3mm シリンダー温度;220,230,240℃ 金型温度;40℃ 射出成形滞留時間;2分
【0036】実施例1 アクリロニトリル43.4重量部、スチレン32.5重
量部、エチルベンゼン24.1重量部、α‐メチルスチ
レンダイマー0.3重量部、t‐ブチルパーオキシイソ
プロピルカーボネート0.01重量部から成る単量体混
合物を空気と接触を断った状態で調製し、連続的に反応
器に供給した。重合温度は142℃に調整した。かくは
ん回転数は95回転で十分な混合を行わせ、P/Vは
4.0kw/mであった。平均滞留時間は1.65時
間とした。重合率60%、ポリマー濃度50wt%の溶
液を連続的に反応器から抜き出し、第一分離槽へ移送し
た。熱交換器にて160℃に加熱し、真空度60トール
で脱揮して反応混合物中のポリマー濃度を65wt%に
したのち、第一分離槽から排出して第二分離槽へ移送し
た。熱交換器にて260℃に反応混合物を加熱し、真空
度32トールで脱揮して反応混合物中の揮発性成分の含
有量を0.7wt%、ポリマー成分99.4wt%にし
たのち、排出してペレット状の製品を得た。
【0037】このようにして得られた共重合体樹脂は、
揮発性成分として、スチレン480ppm、アクリロニ
トリル80ppm、エチルベンゼン150ppm、アク
リロニトリル‐スチレンの二量体、三量体から成るオリ
ゴマー5000ppmを含有し、そのイエローインデッ
クスは15であり、またアクリロニトリル単位の含有量
が45.3wt%で、スチレン単位の含有量が54.7
wt%で、共重合体中のアクリロニトリル単位の分布は
シャープであった。アクリロニトリル単位40.3重量
%を含有する共重合体の含有量は0.1重量%、アクリ
ロニトリル単位50.3重量%を含有する共重合体の含
有量は0.3重量%であった。
【0038】実施例2〜5 表1に示す組成の単量体混合物を用い、かつ表1に示す
条件で実施例1と同様な操作を行い、共重合樹脂を製造
した。結果を表1に示す。なお、表1における記号は次
を意味する。 A‐1:t‐ブチルパーオキシイソプロピルカーボネー
ト A‐2:1,1′‐アゾビス(1‐シクロヘキサンカー
ボニトリル) A‐3:[化3]で示される繰返し単位7個を有する過
酸化物、10時間半減期63.5℃ B‐1:ブチルアクリレート B‐2:N‐フェニルマレイミド
【表1】 注1)重合溶媒としてエチルベンゼン(100重量部‐
単量体重量部)を、連鎖移動剤としてα‐メチルスチレ
ンダイマー0.3重量部を用いた。 2)W:アクリロニトリル単位の平均値より5wt%
離れた共重合体の含有量 W:アクリロニトリル単位の平均値より10wt%離
れた共重合体の含有量
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法を実施するための反応装置のフロ
ーシート。
【符号の説明】
1 仕込液貯槽 2,5,6 ポンプ 3 反応槽 4,7,10 熱交換器 8 第一分離槽 9,12 ギヤポンプ 10 第二分離槽
【化3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−5808(JP,A) 特開 昭61−276807(JP,A) 特開 昭58−29807(JP,A) 特開 平3−205411(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/00 C08F 212/10 C08F 220/44

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリロニトリル単位30〜50重量%
    を含み、アクリロニトリル単位の平均値をX重量%とし
    たとき、(X±5)重量%の範囲外のアクリロニトリル
    単位を含む共重合体の含有割合が5重量%以下(X±1
    0)重量%の範囲外のアクリロニトリルを含む共重合体
    の含有割合が1重量%以下という狭い共重合体組成分布
    をもち、かつ10%メチルエチルケトン溶液としたとき
    の25℃における溶液粘度が4.5〜13センチポアズ
    であることを特徴とするアクリロニトリル‐スチレン系
    共重合体樹脂。
  2. 【請求項2】 アクリロニトリルとスチレン又はそれら
    とその他の共重合可能な単量体を共重合させてアクリロ
    ニトリル単位30〜50重量%を含む共重合体樹脂を製
    造するに当り、10時間半減期を与える分解温度が60
    〜120℃のラジカル重合開始剤を原料単量体の合計量
    に対し1.0重量%以下の割合で用い、他の仕込み成分
    とともに100℃以上160℃未満の範囲の一定温度に
    保持された完全混合槽型反応器内の液相反応帯域に連続
    的に供給しながら重合反応を行わせ、この間液相反応帯
    域の上方に形成された反応中に生成する揮発性成分を含
    む気相帯域より該揮発性成分を凝縮回収して液相反応帯
    域に循環させるとともに、液相反応帯域から連続的に抜
    き出した反応混合物から未反応単量体を主体とする低沸
    点成分を連続的に分離除去することを特徴とするアクリ
    ロニトリル系共重合体樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 アクリロニトリル系共重合体樹脂がアク
    リロニトリルとスチレンとの共重合体、アクリロニトリ
    ルとスチレンとアルキルアクリレート又はアルキルメタ
    クリレートとの共重合体又はアクリロニトリルとスチレ
    ンとN‐フェニルマレイミドとの共重合体である請求項
    2記載の製造方法。
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