JP3125618B2 - 超電導多層電極、超電導多層電極を用いた高周波伝送線路、高周波共振器、高周波フィルタ、高周波デバイス及び超電導多層電極の設計方法 - Google Patents

超電導多層電極、超電導多層電極を用いた高周波伝送線路、高周波共振器、高周波フィルタ、高周波デバイス及び超電導多層電極の設計方法

Info

Publication number
JP3125618B2
JP3125618B2 JP07068453A JP6845395A JP3125618B2 JP 3125618 B2 JP3125618 B2 JP 3125618B2 JP 07068453 A JP07068453 A JP 07068453A JP 6845395 A JP6845395 A JP 6845395A JP 3125618 B2 JP3125618 B2 JP 3125618B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
superconductor
dielectric
transmission line
frequency
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP07068453A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08265008A (ja
Inventor
容平 石川
青路 日高
則文 松井
智之 伊勢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Murata Manufacturing Co Ltd filed Critical Murata Manufacturing Co Ltd
Priority to JP07068453A priority Critical patent/JP3125618B2/ja
Priority to CA002172656A priority patent/CA2172656C/en
Priority to CN96107372A priority patent/CN1114965C/zh
Priority to DE69618838T priority patent/DE69618838T2/de
Priority to EP96104887A priority patent/EP0735606B1/en
Priority to KR1019960008673A priority patent/KR960036194A/ko
Priority to US08/621,651 priority patent/US6066598A/en
Publication of JPH08265008A publication Critical patent/JPH08265008A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3125618B2 publication Critical patent/JP3125618B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01PWAVEGUIDES; RESONATORS, LINES, OR OTHER DEVICES OF THE WAVEGUIDE TYPE
    • H01P7/00Resonators of the waveguide type
    • H01P7/08Strip line resonators
    • H01P7/082Microstripline resonators
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01PWAVEGUIDES; RESONATORS, LINES, OR OTHER DEVICES OF THE WAVEGUIDE TYPE
    • H01P1/00Auxiliary devices
    • H01P1/20Frequency-selective devices, e.g. filters
    • H01P1/201Filters for transverse electromagnetic waves
    • H01P1/203Strip line filters
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01PWAVEGUIDES; RESONATORS, LINES, OR OTHER DEVICES OF THE WAVEGUIDE TYPE
    • H01P3/00Waveguides; Transmission lines of the waveguide type
    • H01P3/02Waveguides; Transmission lines of the waveguide type with two longitudinal conductors
    • H01P3/06Coaxial lines
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01PWAVEGUIDES; RESONATORS, LINES, OR OTHER DEVICES OF THE WAVEGUIDE TYPE
    • H01P3/00Waveguides; Transmission lines of the waveguide type
    • H01P3/02Waveguides; Transmission lines of the waveguide type with two longitudinal conductors
    • H01P3/08Microstrips; Strip lines
    • H01P3/081Microstriplines
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01PWAVEGUIDES; RESONATORS, LINES, OR OTHER DEVICES OF THE WAVEGUIDE TYPE
    • H01P3/00Waveguides; Transmission lines of the waveguide type
    • H01P3/02Waveguides; Transmission lines of the waveguide type with two longitudinal conductors
    • H01P3/08Microstrips; Strip lines
    • H01P3/088Stacked transmission lines
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01PWAVEGUIDES; RESONATORS, LINES, OR OTHER DEVICES OF THE WAVEGUIDE TYPE
    • H01P3/00Waveguides; Transmission lines of the waveguide type
    • H01P3/18Waveguides; Transmission lines of the waveguide type built-up from several layers to increase operating surface, i.e. alternately conductive and dielectric layers
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N60/00Superconducting devices
    • H10N60/80Constructional details
    • H10N60/85Superconducting active materials
    • H10N60/855Ceramic superconductors
    • H10N60/857Ceramic superconductors comprising copper oxide
    • H10N60/858Ceramic superconductors comprising copper oxide having multilayered structures, e.g. superlattices

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Electromagnetism (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Superconductor Devices And Manufacturing Methods Thereof (AREA)
  • Control Of Motors That Do Not Use Commutators (AREA)
  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、マイクロ波、準ミリ
波又はミリ波の高周波帯において用いられる超電導多層
電極、超電導多層電極を用いた各種デバイス(高周波伝
送線路、高周波共振器、高周波フィルタ、高周波デバイ
スなど)および超電導多層電極の膜厚設定方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】マイクロ波、準ミリ波又はミリ波の高周
波帯において、TEM、TE、TMの各モードを用いた
空洞共振器または誘電体共振器などの電子部品は、高誘
電率材料を用いて小型化し軽量化すると同時に、導体損
失も低下し、高い無負荷Qを得ることが望ましい。高周
波デバイスのエネルギー損失は、表皮効果による導体損
失と、誘電体材料による誘電体損失とに大きく分類する
ことができる。近年の誘電体材料は、高誘電率なもので
も低損失な特性を有する材料が開発実用化されており、
従って、誘電体損失よりも導体損失の方が回路の無負荷
Qにおいて支配的である。この問題を解決するため、本
出願人は、誘電体層と薄膜導体層を交互に積層した多層
電極を提案している(特願平6−310900号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】TEM、TE、TMの
各モードを用いた空洞共振器または誘電体共振器など電
子部品の電極または遮蔽導体に超電導材料を用いる場
合、超電導体は、電気抵抗がゼロであり、表面抵抗が小
さくなるので、好ましい。超電導体が電磁界中に置かれ
ると、超電導体の表面に超電導電流が流れ、電磁界の侵
入を妨げる。しかし、電磁界が大きくなり、超電導電流
が臨界電流密度を越えると、超電導体は常電導体にな
り、超電導体ではなくなる。したがって、超電導体は、
臨界電流密度以下で使用しなければならない。この臨界
電流密度が電子部品の耐電力性の上限を小さくし、耐電
力性を実用レベルとしては小さくしていた。また、この
ことが、超電導材料をマイクロ波・ミリ波領域における
実用的なデバイスへ応用することの技術的困難となって
いた。
【0004】本発明の第1の目的は、超電導材を用いた
電極の臨界電流密度を実効的に上昇させて耐電力性を飛
躍的に向上させた超電導多層電極およびそれを用いた電
子部品を提供することである。本発明の第2の目的は、
そのような超電導多層電極の設計方法を提供することで
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る第1の超電
導多層電極は、誘電体基板の一方の側に超電導体層を形
成し、この超電導体層を最下層の導体層として、超電導
体層と誘電体層とを交互に積層することによって、誘電
体層を挟設する1対の超電導体層によってそれぞれ構成
される少なくとも1つのTEMモード伝送線路が積層さ
れてなり、上記の超電導体層と誘電体層は、各超電導体
層を流れる電流密度の最大値が同じになるように設定さ
れた膜厚を有する。さらに、最下層(k=n)から最上
層(k=1)までの上記の超電導体層と誘電体層の膜厚
は、ロンドンの侵入深さで規格化した第k層の超電導体
層の膜厚をξkと表し、ロンドンの侵入深さで規格化し
た第k層の誘電体層の膜厚をxkと表し、誘電体基板の
誘電率をεmと表し、誘電体層の誘電率をεsと表し、超
電導体層の数をnと設定したとき、第10層以下におい
て、下の表6に表される膜厚ξkとxk(k≦n)を有す
る。
【0006】
【表6】
【0007】本発明に係る第2の超電導多層電極は、誘
電体基板の一方の側に導体層を形成し他方の側に超電導
体層を形成し、誘電体基板とその両側の導体層と超電導
体層とによって構成された第1のTEMモード伝送線路
上に形成するための超電導多層電極であって、上記の超
電導多層電極は、上記の超電導体層を最下層の導体層と
して、超電導体層と誘電体層とを交互に積層することに
よって、誘電体層を挟設する1対の超電導体層によって
それぞれ構成される少なくとも1つの第2のTEMモー
ド伝送線路が積層されてなり、上記の超電導体層と誘電
体層は、各超電導体層を流れる電流密度の最大値が同じ
になるように設定された膜厚を有する。さらに、最下層
(k=n)から最上層(k=1)までの上記の超電導体
層と誘電体層の膜厚は、ロンドンの侵入深さで規格化し
た第k層の超電導体層の膜厚をξkと表し、ロンドンの
侵入深さで規格化した第k層の誘電体層の膜厚をxk
表し、誘電体基板の誘電率をεmと表し、誘電体層の誘
電率をεsと表し、超電導体層の数をnと設定したと
き、上の表6に表される膜厚ξkとxk(k≦n)を有す
る。
【0008】
【0009】本発明に係る第1の超電導多層電極を備え
た高周波伝送線路は、超電導多層電極を備えた高周波伝
送線路である。この超電導多層電極は、超電導体層を最
下層の導体層として、超電導体層と誘電体層とを交互に
積層することによって、誘電体層を挟設する1対の超電
導体層によってそれぞれ構成される少なくとも1つのT
EMモード伝送線路が積層されてなり、上記の超電導体
層と誘電体層は、各超電導体層を流れる電流密度の最大
値が同じになるように設定された膜厚を有する。さら
に、最下層(k=n)から最上層(k=1)までの上記
の超電導体層と誘電体層の膜厚は、ロンドンの侵入深さ
で規格化した第k層の超電導体層の膜厚をξkと表し、
ロンドンの侵入深さで規格化した第k層の誘電体層の膜
厚をxkと表し、誘電体基板の誘電率をεmと表し、誘電
体層の誘電率をεsと表し、超電導体層の数をnと設定
したとき、第10層以下において、上の表6に表される
膜厚ξkとxk(k≦n)を有する。好ましくは、この高周
波伝送線路は導波管である。本発明に係る第2の超電導
多層電極を備えた高周波伝送線路は、第1の伝送線路
と、超電導体層と誘電体層とを交互に積層することによ
って誘電体層を挟設する1対の超電導体によって構成さ
れる少なくとも1つのTEMモードの第2の伝送線路と
を備え、上記の超電導体層と誘電体層は、各超電導体層
を流れる電流密度の最大値が同じになるように設定され
た膜厚を有する。さらに、上記の超電導体層と誘電体層
の膜厚は、超電導体層の数をnと設定したとき、k番目
の層を第k層とし、最上層を第1層(k=1)とし、最
下層を第n層(k=n)とし、ロンドンの侵入深さで規
格化した第k層の超電導体層の膜厚をξkと表し、ロン
ドンの侵入深さで規格化した第k層の誘電体層の膜厚を
kと表し、誘電体基板の誘電率をεmと表し、誘電体層
の誘電率をεsと表し、第10層以下において、上の表
6に表される膜厚ξkとxk(k≦n)を有する。好ましく
は、上記の高周波伝送線路はマイクロストリップ線路で
ある。好ましくは、上記のマイクロストリップ線路は、
誘電体基板の第1の面上に上記の第2の伝送線路がスト
リップ導体として形成される一方、上記の誘電体基板の
第2の面上に接地導体が形成される。好ましくは、上記
マイクロストリップ線路は、誘電体基板の第1の面上に
上記の第2の伝送線路がストリップ導体として形成され
る一方、上記の誘電体基板の第2の面上に別の上記の第
2の伝送線路が接地導体として形成される。好ましく
は、上記の高周波伝送線路はストリップ線路である。好
ましくは、上記の高周波伝送線路は同軸線路である。本
発明に係る第1の高周波共振器は、上記の高周波伝送線
路を備え、上記の高周波伝送線路が、上記の高周波伝送
線路を伝送する信号の管内波長の1/4に等しい伝送方
向の長さを有する。本発明に係る第2の高周波共振器
は、上記の高周波伝送線路を備え、上記の高周波伝送線
路が、上記の高周波伝送線路を伝送する信号の管内波長
の1/2に等しい伝送方向の長さを有する。本発明に係
る高周波フィルタは、上記の高周波共振器と、上記高周
波共振器に高周波信号を入力する入力端子と、上記高周
波共振器から高周波信号を出力する出力端子とを備え
る。本発明に係る高周波帯域除去フィルタは、一端で高
周波信号を入力しかつ他端でこの高周波信号を出力する
伝送線路と、この伝送線路と結合する上記の高周波共振
器とを備える。
【0010】本発明に係る誘電体共振器は、超電導体を
含む共振器ケースと、上記の共振器ケース内に載置され
た所定の形状の誘電体とを備えた誘電体共振器であり、
上記の超電導体は超電導多層電極である。上記の超電導
多層電極は、誘電体基板の一方の側に超電導体層を形成
し、この超電導体層を最下層の導体層として、超電導体
層と誘電体層とを交互に積層することによって、誘電体
層を挟設する1対の超電導体層によってそれぞれ構成さ
れる少なくとも1つのTEMモード伝送線路が積層され
てなり、上記の超電導体層と誘電体層は、各超電導体層
を流れる電流密度の最大値が同じになるように設定され
た膜厚を有する。さらに、最下層(k=n)から最上層
(k=1)までの上記の超電導体層と誘電体層の膜厚
は、ロンドンの侵入深さで規格化した第k層の超電導体
層の膜厚をξkと表し、ロンドンの侵入深さで規格化し
た第k層の誘電体層の膜厚をxkと表し、誘電体基板の
誘電率をεmと表し、誘電体層の誘電率をεsと表し、超
電導体層の数をnと設定したとき、第10層以下におい
て、上の表6に表される膜厚ξkとxk(k≦n)を有す
る。本発明に係る高周波フィルタは、上記の誘電体共振
器と、この誘電体共振器に電磁的に結合され、誘電体共
振器に高周波信号を入力する入力端子と、上記の誘電体
共振器に電磁的に結合され、誘電体共振器から高周波信
号を出力する出力端子とを備える。本発明に係る高周波
デバイスは、電極を備えて所定の高周波動作を行う高周
波デバイスであって、上記の電極は、上記の超電導多層
電極を有する。
【0011】本発明に係る第1の超電導多層電極の膜厚
設定方法は、誘電体基板に超電導体層を形成し、この超
電導体層を最下層の導体層として超電導体層と誘電体層
とを交互に積層することによって、誘電体層を挟設する
1対の超電導体層によってそれぞれ構成される少なくと
も1つのTEMモード伝送線路が積層されてなる超電導
多層電極の膜厚の設定において、真空層のインピーダン
スを決定する第1ステップと、真空層のインピーダンス
を用いて、上記の各薄膜超電導体のうちの最上層である
第1層の超電導体層の下面から空気層を見たときのイン
ピーダンスが最小になるように第1の超電導体層の膜厚
と、第1の超電導体層の下面から空気層を見たときのイ
ンピーダンスとを決定する第2ステップと、各超電導体
層を流れる電流密度の最大値が同じであるという条件の
下で、第k層の超電導体層の下面から上を見たときのイ
ンピーダンスが最小になるように、上記の第k層の超電
導体層に積層して形成される第k層の誘電体層と第(k
+1)層の超電導体層のそれぞれの膜厚、および、第k
層の超電導体層の上面から上を見たときのインピーダン
スを計算する第3ステップとからなり、上記の第3ステ
ップを全超電導体層の膜厚が計算されるまで繰り返す。
本発明に係る第2の超電導多層電極の膜厚設定方法は、
真空層のインピーダンスを決定する第1ステップと、真
空層のインピーダンスを用いて、上記の各薄膜超電導体
層のうちの最上層である第1層の超電導体層の下面から
空気層を見たときのインピーダンスが最小になるように
第1の超電導体層の膜厚と、第1の超電導体層の下面か
ら空気層を見たときのインピーダンスとを決定する第2
ステップにおいて、各超電導体層の下面の電流密度が同
じであるという条件の下で、第k層の超電導体層の下面
から上を見たときのインピーダンスが最小になるよう
に、上記の第k層の超電導体層に積層して形成される第
k層の誘電体層と第(k+1)層の超電導体層のそれぞれ
の膜厚、および、第k層の超電導体層の下面から上を見
たときのインピーダンスを計算する第3ステップとから
なり、上記の第3ステップを全超電導体層の膜厚が計算
されるまで繰り返す。本発明に係る第3の超電導多層電
極の膜厚設定方法では、真空層のインピーダンスを決定
する第1ステップと、(ωτ)2《1かつ(σr/σi)《1
の条件(ここにωは周波数を、τは超電導体の電子の運
動量緩和時間を、σrとσiは導電率の実数成分と虚数成
分を表す)において、上記の各薄膜超電導体のうちの最
上層である第1層の超電導体層の膜厚を、第1層に十分
な電流が流れるように設定し、第1層の下面から空気層
を見たときのインピーダンスを純虚数として決定する第
2ステップと、各超電導体層の下面の電流密度が同じで
あるように設定されたという条件の下で、第k層の超電
導体層の下面から上を見たときのインピーダンスが最小
になるように、上記の第k層の超電導体層に積層して形
成される第k層の誘電体層と第(k+1)層の超電導体層
のそれぞれの膜厚、および、第k層の超電導体層の下面
から上を見たときのインピーダンスを計算する第3ステ
ップとからなり、上記の第3ステップを全超電導体層の
膜厚が計算されるまで繰り返す。
【0012】
【作用】本発明に係る第1と第2の超電導多層電極にお
いては、超電導体層と誘電体層を交互に積層する。ここ
で、超電導体層と誘電体層の膜厚は耐電力性を大きくす
るように設定する。これにより、臨界電流密度を実効的
に上昇させ、耐電力性を向上させることができる。ま
た、本発明に係る第1と第2の超電導多層電極を用いた
高周波伝送線路において、超電導体層と誘電体層の膜厚
は耐電力性を大きくするように設定する。これにより、
臨界電流密度を実効的に上昇させ、耐電力性を向上させ
る。同様に、本発明に係る各種高周波電子部品(高周波
フィルタ、高周波帯域除去フィルタ、誘電体共振器、高
周波デバイスなど)においても、上記の超電導多層電極
を用いて、耐電力性を向上させる。
【0013】本発明に係る第1から第3の超電導多層電
極の膜厚設定方法では、耐電力性を最大にするための条
件を、近似なしまたは種々の近似下で導出して、超電導
体層と誘電体層の膜厚を決定する。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を、添付の図面を参照
して、以下の順序で説明する。なお、添付図面において
同一のものについては同一の参照符号を付す。 (1)超電導多層電極および高周波伝送線路の概要 (2)二流体モデルによる超電導体内部の高周波電磁界
解析 (3)超電導多層電極線路の位相定数を繰り込んだ集中
定数等価回路 (4)超電導多層電極の耐電力性向上のための最適膜厚
設計 (5)最適膜厚の計算 (6)膜厚の最適値からのずれの影響
【0015】(1)超電導多層電極および高周波伝送線
路の概要 図1は、本発明に係る実施例である超電導多層電極を用
いた1/2波長線路型共振器を用いたフィルタの斜視図
である。この1/2波長線路型共振器は、薄膜超電導体
1〜5と薄膜誘電体30−1〜30−4とが交互に積層
された構造を有する本発明に係る超電導多層電極を用い
た伝送線路を用いることを特徴としている。この伝送線
路においては、その下面に接地導体11が形成された誘
電体基板10の上面に、最下層である薄膜超電導体5が
接するように超電導体多層電極が形成される。これによ
って、薄膜超電導体5と、接地導体11と、薄膜超電導
体5と接地導体11間に挟設された誘電体基板10とに
よってTEMモードのマイクロストリップ線路(以下、
主伝送線路という。)LN10が構成される一方、当該
主伝送線路LN10上に、それぞれ1つの薄膜誘電体が
1対の薄膜超電導体で挟設されてなる4個のTEMモー
ドのマイクロストリップ線路(以下、副伝送線路とい
う。)LN1〜LN4が積層されている。図1において
は、副伝送線路の参照符号を、その副伝送線路の各誘電
体に対して括弧の中に付している。ここで、特に、
(a)各薄膜誘電体30−1〜30−4の膜厚x1〜x4
と誘電率εsを後述するように設定することによって、
主伝送線路LN10と各副伝送線路LN1〜LN4を伝
搬するTEM波の位相速度を互いに実質的に一致させ、
かつ(b)各薄膜超電導体2〜5の膜厚ξ2〜ξ5を、後
で説明するように、上層ほど厚くなるように所定の値に
設定することによって、互いに隣接する主伝送線路LN
10と副伝送線路LN4,副伝送線路LN4と副伝送線
路LN3,副伝送線路LN3と副伝送線路LN2,副伝
送線路LN2と副伝送線路LN1の間で各電磁界を互い
に結合させる。これにより、主伝送線路LN10に流れ
る高周波エネルギーを副伝送線路LN4、LN3,LN
2,LN1に一部移行させ、各薄膜超電導体1〜5にお
いてそれぞれに高周波電流が流れるように構成され、高
周波による表皮効果を大幅に抑圧することを特徴とす
る。
【0016】図1に示すように、裏面全面に接地導体1
1が形成された誘電体基板10上に、長手方向の長さが
λg/2(λgは管内波長)である帯形状の薄膜超電導
体5が形成される。ここで、薄膜超電導体5と、接地導
体11と、薄膜超電導体5と接地導体11の間に挟設さ
れた誘電体基板10とによってマイクロストリップ線路
にてなる主伝送線路LN10が構成される。次いで、薄
膜超電導体5上に、薄膜誘電体30−4、薄膜超電導体
4、薄膜誘電体30−3、薄膜超電導体3、薄膜誘電体
30−2、薄膜超電導体2、薄膜誘電体30−1、薄膜
超電導体1の順で積層して形成される。ここで、以下の
ように副伝送線路LN1〜LN4が構成されている。 (a)薄膜誘電体30−1が1対の薄膜超電導体1と薄
膜超電導体2によって挟設されて副伝送線路LN1が構
成される。 (b)薄膜誘電体30−2が1対の薄膜超電導体2と薄
膜超電導体3によって挟設されて副伝送線路LN2が構
成される。 (c)薄膜誘電体30−3が1対の薄膜超電導体3と薄
膜超電導体4によって挟設されて副伝送線路LN3が構
成される。 (d)薄膜誘電体30−4が1対の薄膜超電導体4と薄
膜超電導体5によって挟設されて副伝送線路LN4が構
成される。なお、各薄膜超電導体1〜5のそれぞれの膜
厚である超電導体膜厚ξ1〜ξ5と各薄膜誘電体30−1
〜30−4のそれぞれの膜厚である誘電体膜厚x1〜x4
は、後で説明するように、図13〜15のフローで示す
ように設定される。
【0017】さらに、誘電体基板10上に、入力端子用
導体12が、薄膜超電導体5の長手方向の一端と所定の
ギャップg1だけ離れかつ電磁的に互いに結合するよう
に近接して形成される一方、出力端子用導体13が、薄
膜超電導体5の長手方向の他端と所定のギャップg2だ
け離れかつ電磁的に互いに結合するように近接して形成
される。なお、第1の実施例においては、入力端子用導
体12と薄膜超電導体5の一端との結合と、出力端子用
導体13と薄膜超電導体5の他端との結合とは、容量結
合である。ここで、誘電体基板10は、例えばアルミナ
の単結晶であるサファイアにてなり、薄膜誘電体30−
1〜30−4は、例えばSiO2にてなる。一方、接地
導体11及び薄膜超電導体1〜5は、少なくとも1つの
材料として以下に示す超電導体を用いてもよい。好まし
くは、下記のセラミック系酸化物超電導材料が用いられ
る。 (a)Nb、Pbなどの純金属系超電導材料。 (b)Nb−Ti合金系、Nb−Zr合金系などの合金
系超電導材料。 (c)Nb3Sn、V3Siなどの金属間化合物系超電導
材料。 (d)以下に一例を示すセラミック系酸化物超電導材料 (d−1)例えばLa1.85Sr0.15CuO4などのLa
2-xBaxCuO4-δ系又はLa2-xSrxCuO4-δ系。 (d−2)例えばYBa2Cu37などYBa2Cu3
7-δ系(酸素欠損量δ=0〜1)。 (d−3)Bi−Sr−Ca−Cu−O系。ここで、B
i−Sr−Ca−Cu−O系超電導材料は、Bi23
SrCO3,CaCO3及びCuOの混合された粉末を8
00〜870°Cの温度で仮焼した後、850〜880
°Cの温度の大気中で焼結させて得られる。 (d−4)Tl−Ba−Ca−Cu−O系。ここで、T
l−Ba−Ca−Cu−O系超電導材料は、Tl23
CaO、BaO及びCuOの各粉末を混合し成形した
後、1気圧の酸素を含む石英管中に封入し、880°C
の温度で3時間加熱することによって主成分Tl2Ca
Ba2Cu2xの超電導材料が得られる。 (d−5)EBCO系。 (d−6)BPSCCO系。 (e)以下に一例を示す有機系超電導材料 (e−1)例えば(TMTSF)2ClO4などのテトラ
メチルテトラセレナフルバレン(tetramethyltetrasele
nafulvalene:TMTSF)系超電導材料。 (e−2)例えばβ(BEDT−TTF)23などのビ
ス(エチレンジチオロ)テトラチアフルバレン(bis(et
hylenedithiolo)tetrathiafulvalene:BEDT−TT
F)系超電導材料。 (e−3)dmit系超電導材料。
【0018】図2は、本発明に係る第2の実施例である
超電導多層電極を用いた電磁界結合型薄膜積層伝送線路
を用いた1/4波長線路型帯域除去フィルタの斜視図で
ある。図2に示すように、裏面全面に接地導体11が形
成された誘電体基板10上にストリップ導体41を形成
することによってマイクロストリップ線路LN11が形
成される。そして、各薄膜超電導体1〜5及び各薄膜誘
電体30−1〜30−4を備え1/4λgの長さを有す
る第1の実施例の薄膜積層電極が、マイクロストリップ
線路LN11のストリップ導体41に対して、最も下側
の薄膜超電導体5が電磁的に結合するようにギャップg
3だけ離れて近接し、かつ、各薄膜超電導体1〜5及び
各薄膜誘電体30−1〜30−4の長手方向がストリッ
プ導体41の長手方向と平行となるように、形成され
る。ここで、第2の実施例の1/4波長線路型帯域除去
フィルタの各薄膜超電導体1〜5の膜厚ξ1〜ξ5と各薄
膜誘電体30−1〜30−4の膜厚x1〜x5は第1の実
施例と同じ厚さに構成される。
【0019】以上のように構成された回路においては、
1/4波長線路の電磁界結合型薄膜積層伝送線路によっ
て導体損失が極めて小さな共振器を構成することができ
るので、それに電磁的に結合するマイクロストリップ線
路LN11を形成することによって、極めて大きな無負
荷Qを有する1/4波長線路型帯域除去フィルタを構成
することができる。
【0020】第2の実施例において、マイクロストリッ
プ線路LN11を用いているが、本発明はこれに限ら
ず、コプレーナ線路、スロット線路又はトリプレート型
ストリップ線路などの伝送線路で構成してもよい。
【0021】また、本発明に係る超電導多層電極は、例
えば、特開平3−292006号公報に開示されるよう
な、コア誘電体とキャビティとが一体成形されたTMモ
ードシングルモード型誘電体共振器におけるキャビティ
の外表面に設けた電極膜部分に適用することができる。
また、TMモード誘電体共振器としては、TMモードシ
ングルモード型に限らず、例えば特開昭63−3139
01号公報に開示されるような二重モード型誘電体共振
器に適用することができるとともに、さらには、特開昭
61−157101号公報に開示されるような三重モー
ド型誘電体共振器に適用することができる。すなわち、
使用モード数を問わず、TMモード誘電体共振器の電極
膜部分に、本発明に係る超電導多層電極を適用すること
ができる。
【0022】図3は、変形例の二重モード型誘電体共振
器75の一例を示す。誘電体の外表面がメタライズされ
た正方筒形状の共振器ケース77内の中央部に、ケース
77と一体成形された十字形状の誘電体76が設けられ
て二重モード型誘電体共振器75が構成されている。こ
こで、共振器ケース77の電極は、本発明に係る超電導
体多層電極を用いる。これによって、上記電極の表面抵
抗を大幅に低下させることができるので、当該誘電体共
振器の損失を低下させ無負荷Qを増大させることができ
る。
【0023】図4は、変形例のTM01δモード型2段誘
電体帯域通過フィルタ80の一例を示す。当該帯域通過
フィルタ80は、以下のように構成される。外周電極8
2を有する円筒形状の誘電体管81の両端部にそれぞ
れ、入出力用のSMAコネクタ83,84が取り付けら
れ、ここで、SMAコネクタ83,84の接地導体は外
周電極82に接続される一方、SMAコネクタ83,8
4の中心導体にはそれぞれ、誘電体管81内で互いに対
向するモノポールアンテナ85,86が接続される。上
記モノポールアンテナ85,86間の誘電体管81内
で、所定の間隔だけ離れて、かつ誘電体管81の内周面
に内接するリング形状の誘電体支持台89,90を介し
て円柱形状の2つの誘電体共振器87,88が設けられ
る。この帯域通過フィルタ80においても、外周電極8
2は、本発明に係る超電導体多層電極を用いる。これに
よって、外周電極82の表面抵抗を大幅に低下させるこ
とができるので、誘電体フィルタの損失を低下させ無負
荷Qを増大させることができる。
【0024】さらに、以下に示す変形例において、本発
明に係る超電導多層電極を用いることにより、電極の表
面抵抗を従来に比較して大幅に低減させ、これによっ
て、伝送損失を大幅に小さくすることができる。図5の
(a)は、本発明に係る超電導多層電極を用いたマイク
ロストリップ線路の斜視図であり、マイクロストリップ
線路のストリップ導体51及び接地導体52に超電導多
層電極を用いる。なお、ストリップ導体51のみに超電
導多層電極を用いてもよいし、接地導体52のみに超電
導多層電極を用いてもよい。また、図5の(b)は、本
発明に係る超電導多層電極を用いたトリプレート型スト
リップ線路の斜視図であり、ストリップ線路のストリッ
プ導体61と接地導体62,63に超電導多層電極を用
いる。なお、ストリップ導体61のみに超電導多層電極
を用いてもよいし、接地導体62,63の少なくとも1
つのみに超電導多層電極を用いてもよい。さらに、図5
の(c)は、本発明に係る超電導多層電極を用いた同軸
線路の斜視図であり、当該同軸線路の中心導体71と接
地導体72に超電導多層電極を用いる。中心導体71の
み超電導多層電極を用いてもよいし、接地導体72のみ
に超電導多層電極を用いてもよい。またさらに、図5の
(d)は、本発明に係る超電導多層電極73を用いたT
01モード円形導波管の縦断面図であり、円形導波管の
外表面電極に超電導多層電極を用いる。また、図示しな
いが、超電導多層電極は、サスペンデッド線路、コプレ
ーナー線路、スロットライン、矩形導波管、リッジ導波
管、円形導波管、誘電体線路、G線路、イメージ線路、
H線路などの外面電極に用いてもよい。
【0025】さらに、アイソレータ、アンテナ、チップ
コイルなどのインダクタ、キャパシタなどのそれぞれ所
定の高周波動作を行う種々の高周波デバイスの電極に、
本発明に係る超電導多層電極を用いることができる。
【0026】以上の実施例において、固体の薄膜誘電体
30−1〜30−4を用いているが、本発明はこれに限
らず、薄膜誘電体30−1〜30−4の代わりに空気の
ような気体や液体であってもよい。
【0027】以上の実施例において、接地導体11は、
例えばCu、Ag又はAuなどの電気的導電性を有する
導体にてなる。なお、超電導多層電極は、複数の異なる
超電導材料または複数の異なる誘電体材料から成ってい
てもよい。たとえば、超電導体層と誘電体層との間に、
化学的、物理的安定のためにバッファ層として薄い別の
誘電体層、金属層をはさんでもよい。
【0028】(2)二流体モデルによる超電導体内部の
高周波電磁界解析 (2−1)まとめ 超電導材料を用いて高周波部品を設計するためには、超
電導体の特性を簡単な媒質定数で表す必要がある。まず
超電導体の高周波特性を説明するモデルとして知られて
いる二流体モデル(たとえば、小林嶺夫,“酸化物超伝導
体のマイクロ波電気伝導”固体物理24巻,12号,pp.31-
39 (1989)参照)より、超電導体中の電流と電界を結び付
ける媒質定数である複素導電率を導出する。つぎに、複
素導電率を用いて超電導体内部の平面波の電磁界につい
て解析し、複素導電率を用いることによって、超電導体
の高周波特性を通常導体と同様に取り扱えることを示
す。
【0029】(2−2)二流体モデルと複素導電率 高周波における超電導体の電気電導は二流体モデルで説
明できる。二流体モデルとは、超電導体中に抵抗をもた
ない超伝導電子と抵抗をもつ常伝導電子の2種類の電子
が存在すると考えるモデルである。超伝導電子と常伝導
電子の密度をそれぞれnsおよびnnとすると、全電子密度
はそれらの和で表される。
【数1】 n=ns+nn (1) nおよびnnの温度依存性は次式で表され、nは温度T
に依存しない。ここに、Tcは超電導転移温度である。
【数2】 ns/n=1−(T/Tc)4, nn/n=(T/Tc)4 (2)
【0030】超電導電子による電流Jsおよび常電導電
子による電流Jnはそれぞれ次式で表される。
【数3】 Js=ensvs (3)
【数4】 Jn=ennvn (4) ここでe=-1.60×10-19Cは電子の電荷、vs,vnはそれぞ
れ超電導電子、常伝導電子の速度である。これらの電子
に対するNewtonの運動方程式は次式のようになる。
【数5】 me dvs/dt=eE (5)
【数6】 me dvn/dt+me vn/τ=eE (6) ここでme=9.11×10-31kgは電子の質量、τは電子の運
動量緩和時間、Eは電界である。時間依存性が単一周波
数ωであるとして、時間因子をexp(jωt)とおく。(3)-
(6)式を解くと全電流Jは次式のように表される。
【数7】 ただし、
【外1】 は複素導電率であり、次式で与えられる。
【数8】
【数9】 σr=nne2τ/{me2τ2+1)} (9)
【数10】 σi=nse2/(meω)+nne2τ2ω/{me2τ2+1)} (10)
【0031】このように通常導体の導電率σの代わり
に、複素導電率を用いれば、超電導体中の電流と電界と
の関係を結び付けることができる。ただし、この二流体
モデルではnsが磁界に依存しないと仮定している。しか
し、厳密にはnsは磁界依存性をもつことが知られてい
る。nsが磁界に依存しないとして取り扱うためには、磁
界が臨界磁界より十分小さいという制限を加えておく必
要がある。また、純粋な金属超電導体の場合、コヒーレ
ンス長さξがLondonの侵入深さλLに比べて長い。した
がって、(7)式においてJはその点でのEにより決まら
ず、非局所性を考慮する必要がある。これに対して、酸
化物超電導体ではλL>>ξであり、この極限をLondon li
mitと呼ぶ。以下ではこの場合について考察する。
【0032】(2−3)表面インピーダンス、伝搬定数 z方向に伝搬する平面波の一次元問題として扱う場合、
(7)式をMaxwell方程式に代入すると次式を得る。
【数11】 ∂Ex/∂z=−jωμ0y (11)
【数12】 これらの式を連立すると、次のHelmholtz方程式を得
る。
【数13】
【数14】 この解は次のようになる。
【数15】 Ex=E0exp(-γz) (15)
【数16】 Hy=H0exp(-γz) (16)
【数17】 ここでγは伝搬定数である。γ=α+jβとすると、
σriを用いて次のように表される。
【数18】
【数19】 ただしωε<<1の近似を用いた。また表面インピーダン
スZsは次のように求められる。
【数20】 s=Rs+jXsとすると、Rs,Xsはσriを用いて次
のように表される。
【数21】
【数22】 実際に測定される量はRs,Xsなので、これらの関係式
を逆に解くと、σriは次式のように表される。
【数23】 σr=2ωμ0ss/(Rs 2+Xs 2)2 (23)
【数24】 σi=ωμ0(Xs 2−Rs 2)/(Rs 2+Xs 2)2 (24)
【0033】(2−4)Zs,γの周波数依存性 マイクロ波域ではω2τ2<<1であるので、(9),(10)式は
次のように近似できる。
【数25】 σr=nne2τ/me (25)
【数26】 σi=nse2/meω (26) さらにT<<Tc(Tは温度を、Tcは転移温度を表わす)
では(σri)2<<1であることを用いると(21),(22)式よ
り次式を得る。
【数27】
【数28】 これらより、Rsはω2に比例し、Xsはωに比例するこ
とがわかる。また、同様にして(18),(19)式より次式を
得る。
【数29】
【数30】 ここでλLはLondonの侵入深さである。このようにマイ
クロ波域での電磁界の侵入深さは周波数に依存せず、λ
Lに等しいことがわかる。このことは直流の場合のLondo
nの法則に一致する。
【0034】(3)超電導多層電極線路の位相定数を繰
り込んだ集中定数等価回路 (3−1)まとめ (2)で説明したように、超電導体の等価回路は複素導
電率を用いることによって通常導体と同様に表すことが
できる。まず、通常導体の一次元等価回路およびT字等
価回路から超電導体の一次元等価回路およびT字等価回
路をそれぞれ導出する。また、超電導多層電極の設計の
ために、通常導体の薄膜多層電極と同様の手法により、
超電導多層電極の位相定数を繰り込んだ集中定数回路
を、通常導体の薄膜多層電極の集中定数回路から導出し
た。これをもとに周波数異存性のある表面インピーダン
スに関する漸化式を得た。さらに規格化因子R0で規格
化することにより、漸化式を無次元化した形で表すこと
ができる。
【0035】(3−2)超電導体の一次元等価回路 平面波が伝搬する常電導体の等価回路は図6のように表
される。ただし、μ,ε,σはそれぞれ透磁率、誘電率、
導電率である。また、超電導体内を伝搬する平面波は、
通常導体の導電率σを複素導電率
【外2】 に代えることにより同様に取り扱える。ただし複素導電
率σは次式のように表される。
【数31】 したがって、平面波が伝搬する超電導体の等価回路は、
図7のように表される。
【0036】(3−3)超電導体のT字等価回路 図8は、厚さがΔξの超電導体のT字等価回路を表し、
その各回路定数は次式で与えられる。
【数32】 Z=Zs0 tanh(γΔξ/2) Y=1/Zs0 sinh(γΔξ) (32) ただし超電導体の伝搬定数γおよび表面インピーダンス
s0は、二流体モデルによるとマイクロ波帯以下の低い
周波数では次のように表される(2−4参照)。
【数33】 γ≡α+jβ =1/λL(1+j2Qc) (33)
【数34】 Zs0=Rs+jXs =1/σi(β+jα) =1/σiλL(2Qc+j) (34) ここでαおよびβはそれぞれ減衰定数および位相定数で
あり、Londonの侵入深さλLと次式の関係が成り立つ。
【数35】 λL=1/α (35) またQcは次式で定義される。
【数36】 Qc≡β/(2α)=σr/(4σi) (36)
【0037】(3−4)超電導薄膜多層電極線路の集中
定数回路通常導体の薄膜多層電極線路の集中定数回路の
導体部分を、前節の超電導体の等価回路で置き換えるこ
とにより、図9に示す超電導薄膜多層電極線路の集中定
数回路を得る。
【数37】 L=μ0(Δx/Δy)(1/β0) (37)
【数38】 C=ε(Δy/Δx)(1/β0) (38)
【数39】 Z=((2Qc+j)/σiλL)(1/Δy)(1/β0)tanh((1+j2Qc)/2(Δξ/λL) ) (39)
【数40】 Y=(σiλL/(2Qc+j))Δyβ0sinh((1+j2Qc)(Δξ/λL)) (40)
【数41】 ただし、主線路のときε=εm,副線路のときε=εs
する。また、Δyは線路の幅、Δx,Δξはそれぞれ誘電
体層、超電導体層の厚さである。
【0038】(3−5)集中定数回路の漸化式とその規
格化 積層数がn層の多層電極の集中定数回路は図10のよう
になる。図10に示されるZs,kは最上層から数えて第k
層目の表面インピーダンスを表す。このZs,kに関する
漸化式は次式で与えられる。
【数42】 Zs,1=Z1+(Y1+(Z1+ZL)-1)-1 (42)
【数43】 Zs,k=Zk+(Yk+(Zk−jWk-1+Zs,k-1)-1)-1 (k=2,3,...,n) (43) ここで、ZLは真空層のインピーダンスであり、次式で
与えられる。
【数44】 また、(33)式のWkは次式で定義される。
【数45】 −jWk≡jωLk+1/jωCk (45)
【0039】Wkはさらに次式のように変形できる。
【数46】 Wk=(1/σi0λL)(1/Δy)(1/β0)(ΔxkL)((ω0/ω)(εms)−ω/ω0) (46) ここでσi0は角周波数がω0のときの複素導電率の虚部
である。二流体モデルによるとσiは次式のような周波
数依存性をもつ。
【数47】 σi=σi00/ω) (47) また(45)式から(46)式への書換において次の関係を
用いた。
【数48】
【数49】 ω0μ0=1/(σi0λL 2) (49) ただしλLは周波数に依存しない。
【0040】いま次式で表される規格化因子R0を用い
て(43)式の漸化式を次のように規格化する。
【数50】 R0=1/(σi0λLΔyβ0) (50)
【数51】 ただし、^記号は規格化された量であることを意味し、
それぞれ次式で定義される。
【数52】
【数53】
【数54】
【数55】
【数56】 ξk≡Δξk/λL, xk≡Δxk/λL (56) ただしQcは次式のような周波数依存性をもつ。
【数57】 Qc=Qc0(ω/ω0) (57) 特にω=ω0のとき(52)〜(54)式は次式のようにな
る。
【数58】
【数59】
【数60】
【0041】以上の解析により、通常導体の一次元等価
回路およびT字等価回路から超電導体の一次元等価回路
およびT字等価回路をそれぞれ導出した。また通常導体
の薄膜多層電極の集中定数回路から超電導多層電極の集
中定数回路を導出した。これをもとに周波数異存性のあ
る表面インピーダンスに関する漸化式を得た。さらに規
格化因子R0で規格化することにより、漸化式を無次元
化した形で表すことができた。
【0042】(4)超電導多層電極の耐電力性向上のた
めの最適膜厚設計 (4−1)はじめに フィルタなどの高周波部品の電極として超電導体を用い
ると電極での損失が低減できる。しかし、超電導電極で
はその臨界電流のために投入できる電力が制限されると
いう問題点があり、このことが超電導電極の実用化への
最大の難点となっている。この問題を解決する手段とし
て、超電導体と誘電体を交互に積層した超電導多層電極
を提案する。超電導多層電極の解析手法としてその等価
回路は既に(2)節で導出されており、ここではその等
価回路を用いて超電導多層電極の最適膜厚の設計手法を
導出する。通常導体の多層電極では表面抵抗が最小とな
る設計方法が既に(3)節で提案されている。しかし、
その設計方法では局所的に電流密度が高くなるため、超
電導多層電極の耐電力性向上には不向きである。ここで
は、(2)、(3)節で得られた集中定数回路および漸化式
を用いて、耐電力性向上の観点から、臨界電流密度を超
えない範囲内で最大の電流を流すための最適膜厚を解析
的手法により導く。
【0043】(4−2)超電導多層電極の等価回路 積層数がn層の超電導多層電極の集中定数等価回路は、
(3)節で導出したように、図10で表せる。ここで、
(ωτ)2《1および(σr/σi)2《1を仮定している。こ
こに、設計中心の周波数における各回路定数は次式で与
えられる。
【数61】 Zk=(2Qc0+j)tanh((1+j2Qc0)/2 ξk) (61)
【数62】 Yk=1/(2Qc0+j)sinh((1+j2Qc0k) (62)
【数63】 Wk=xkm/εs−1)
(63)
【数64】 ここで
【数65】 ξk≡Δξk/λL, xk≡Δxk/λL (6
5)
【数66】 Qc≡σr/(4σi), Qc=Qc0 ω/ω0 (66)
【数67】 ただし、Δxk,Δξkはそれぞれ第k層の誘電体層、超電
導体層の厚さであり、
【外3】 およびλLはそれぞれ超電導体の複素導電率およびLondo
nの侵入深さ、εmおよびεsはそれぞれ主線路および副
線路の誘電率である。また、Δyを線路の幅として、各
回路定数は次式で表される規格化因子R0で規格化され
ている。
【数68】 R0=1/(σi0λLΔyβ0) (68)
【0044】第k層(k=1〜n)の下面から上を見た表
面インピーダンスZs,kは、次の漸化式より求められ
る。
【数69】 Zs1=Z1+(Y1+(Z1+ZL)-1)-1 (k=1) (69)
【数70】 Zs,k=Zk+(Yk+(Zk−jWk-1+Zs,k-1)-1)-1 (k=2,3,...,
n) (70)
【0045】(4−3)最適条件 超電導多層電極の耐電力性を向上させるための最適条件
を考える。耐電力性を最大にすることは、超電導体内部
のどの部分においても臨界電流密度Jを超えない範囲
内で、多層電極全体に流れる電流を最大にすることであ
る。いま、ある決まった膜厚の単層の超電導体層を考え
る。一般に超電導体層内部の膜厚方向の電流密度分布は
不均一であり、ある部分で最大電流密度Jmaxが存在す
る。したがって、この超電導体層に流せる電流はJc>J
maxなる条件によって制限される。次に積層数が2層の
場合を考える。このとき、各層ごとに最大電流密度が存
在し、それぞれJ1,max,J2,maxとする。この2層の多
層電極に電流を流すとき、J1,maxまたはJ2,maxのいず
れか一方でもJcを超えてはいけないので、すなわち
1,maxとJ2,maxの大きい方の値によって制限される。
たとえばJ1,max>J2,maxであったとすると、2層目に
は流せる電流にまだ余裕があり、最大限の電流を流して
いないことになる。したがって、両層共に最大限の電流
を流すためにはJ1,max=J2,maxとすればよい。
【0046】積層数がn層の場合も同様であり、最適条
件の一つめとして次式で表される。
【数71】 J1,max=J2,max=...=Jn,max (71) さらにこの条件を満足した上で、多層電極全体に流れる
電流Itotを最大にすることがもう一つの条件である。
【数72】 Itot⇒max (72) この式はItotをそれがとり得る最大値にすることを表
す。
【0047】さらに(11),(12)式の条件をもう少し解析
しやすい表現に書き換える。多層電極のある一つの超電
導体層内部の電流密度分布は、層の下側(主線路に近い
側)の界面で最大となることが回路シミュレーションに
よって確認されている。また電流密度Jと電界強度Eと
の間には次式の関係が成り立っている。
【数73】 複素導電率は場所に依らず一定なのでJはEに比例す
る。したがって、第k層の下側界面の電界強度をEs,k
して、(71)式の条件は次式のように書き換えられる。
【数74】 Es,1=Es,2=...=Es,n (74) また多層電極全体に流れる電流Itotは主線路から多層
電極全体をみた表面インピーダンスZs,totに反比例す
るため、(72)式の条件は次式のように書き換えられる。
【数75】 Zs,tot⇒min (75)
【0048】次に(74),(75)式の条件を等価回路上での
条件に書き換える。実モデルの電界は等価回路上の電圧
に対応し、表面インピーダンスはインピーダンスに対応
する。したがって、(74),(75)式の条件はそれぞれ次式
のように書き換えられる。
【数76】 │V1│=│V2│=...=│Vn│ (76)
【数77】 │Zs,n│⇒min (77) (76),(77)式で表される最適条件は、次式のよ
うな漸化的な最適条件を第2層から順に各層ごとに満足
すればよい。
【数78】 │Vk│=│Vk-1│ (78)
【数79】 │Zs,k│⇒min (k=2,3,...,n) (79) (78),(79)式が、得られた最適条件である。
【0049】(4−4)一般解 図11は、第k層(k=2,3,...,n)から上の等価回路を示
す。VkとVk-1との関係は次式で与えられる。
【数80】 Vk-1=Zs,k-1/{Zk+(1+Zkk)(Zs,k-1+Zk-jk-1)}Vk (80) したがって、(78)式の条件より次式を得る。
【数81】 │Zs,k-1│=│Zk+(1+Zkk)(Zs,k-1+Zk-jk-1)│ (81) また(70)式より第k層の下面から上を見たインピーダン
スZs,kの絶対値は次式で表される。
【数82】 │Zs,k│=│Zk+(1+Zkk)(Zs,k-1+Zk-jk-1)│ /│1+Yk(Zs,k-1+Zk-jk-1)│ (82) (82)式の右辺の分子は(8)式の右辺に等しいので、
次式のように書き換えることができる。
【数83】 │Zs,k│=│Zs,k-1│/│1+Yk(Zs,k-1+Zk-jk-1)│ (83)
【0050】いまZs,k-1は一定条件のもとで考えるの
で、Zs,kを最小にするためには(83)式の右辺の分母を
最大にすればよい。したがって(89)式の条件は次式のよ
うになる。
【数84】 │1+Yk(Zs,k-1+Zk-jk-1)│⇒max (84) したがって、(81)式の条件下で(84)式を最小にする超電
導体膜厚と誘電体膜厚の組み合わせが最適膜厚である。
しかし、超電導体膜厚ξkの関数であるZk,Ykの表現式
が複雑な複素関数であるため、これを一般的に解くこと
は困難である。また、これらの条件を満足する場合、第
1層に流れる電流は単層の場合の電流に等しい。したが
って、単層に対する電流の増加率Iupは次式より求ま
る。
【数85】 Iup≡│In│/│I1│=│Zs,1│/│Zs,n│ (85)
【0051】いま伝送線路(主線路)の特性インピーダ
ンスZ0が一定であるとすると、伝送電力は次式で与え
られる。
【数86】 P=Z0n 2 (86) したがって、電力の増加率Pupは次式のようになる。
【数87】 Pup=Iup 2 (87)
【0052】(4−5)近似解 ここで、(ωτ)2《1および(σr/σi)《1を仮定す
る。これは、マイクロ波帯以下の周波数で、転移温度よ
り十分低い温度に相当する。この条件は、超電導材料に
依存するが、たとえば周波数が1GHz程度以下の低周
波で満足される。このときQc<<1と近似できる。この
ときZkとYkは次式のようになり、純虚数とみなすこと
ができる。
【数88】 Zk=jtanh(1/2 ξk) (88)
【数89】 Yk=−jsinh(ξk) (89) 以上のような近似のもとで、(88),(89)式で表される最
適条件の近似解を求める。
【0053】まず第1層について考える。第1層に電流
を最大に流すためには超電導体層の膜厚を十分厚くすれ
ばよい。ξ1→∞とすると
【数90】 Z1=j, Y1=−j∞ (90) となり、Zs1は次式のように純虚数となる。
【数91】 Zs1=j (91) また(88),(89)式よりZk,Ykは純虚数なので、(70)式よ
り、Zs,k-1が純虚数なら、Zs,kも純虚数となる。した
がってZs,kは常に純虚数となり次式のように表され
る。
【数92】 Zs,k=jXs,k (92) このことから、(81),(83)式は両辺の絶対値をはずし
て、次式のように表すことができる。
【数93】 Zs,k-1=Zk+(1+Zkk)(Zs,k-1+Zk-jk-1) (93)
【数94】 Zs,k=Zs,k-1/{1+Yk(Zs,k-1+Zk-jk-1)} (94) さらに(93)式を変形して(94)式に代入すると次式を得
る。
【数95】 Zs,k=Zs,k-1(1+Zkk)/(1+Zs,k-1k) (95)
【0054】(95)式に(88),(89),(92)式を代入し、次式
を得る。
【数96】 Xs,k=Xs,k-1 cosh(ξk)/{1+Xs,k-1 sinh(ξk)} (96) ただしこの変形には次式の関係を用いた。
【数97】 1+tanh(x/2)sinh(x)=1+2sinh2(x/2)=cosh(x) (97) (96)式を最小にするためにはこの式をξkで微分し
てゼロとなればよい。
【数98】 ∂Xs,k/∂ξk=Xs,k-1{sinh(ξk)−Xs,k-1}/(1+Xs,k-1 sinh(ξk))2 (98) (98)式がゼロとなるために、ξkは次のように求ま
る。
【数99】 ξk=sinh-1(Xs,k-1) (99) また、(99)式を(96)式に代入して変形すると次のXs,k
の漸化式を得る。
【数100】 1/Xs,k 2=1+1/Xs,k-1 2 (100)
【0055】Xs1=1であるので漸化式は解析的に解く
ことができ、次式のようになる。
【数101】
【数102】
【数103】
【数104】
【数105】 k-1は(83)式を変形して次式より求まる。
【数106】 Wk-1=−jZk{2+(Zs,k-1+Zk)Yk}/(1+Zkk) (106) (106)式に(103),(104),(105)式を代入して整理す
ると次式を得る。
【数107】 このWkより、xkは次式で求まる。
【数108】
【0056】また、電流の増加率Iupは、(85)式に(10
5)式を代入して次式のようになる。
【数109】 (87)式より電力の増加率Pupは次式のようになる。
【数110】 Pup=n (110) すなわち、n層の超電導体の電圧Vkを同じとし、電流
密度を同じにできたので、全体の電流は√n倍に増加す
る。これにより、耐電力性もn倍に増加する。たとえ
ば、n=5とすると、5倍に増加する。
【0057】(4−6)まとめ 超電導多層電極の耐電力性向上のための最適条件は、各
超電導体層の下側界面の電圧の絶対値を一定にする条件
下で、表面インピーダンスZs,nの絶対値を最小にする
ことである。周波数が1GHz程度以下の低い周波数で
は、Qc<<1であり、表面インピーダンスが純虚数であ
り、伝搬定数が実数であるとみなせる。そのとき、k番
目の層の超電導体層の厚さΔξkとk番目の誘電体層の厚
さΔxkの最適値および電流の増加率は近似的に次式で与
えられる。ここに、εmは基板の誘電率を表わし、εs
電極の誘電体層の誘電率を表わす。
【数111】
【数112】
【数113】
【数114】 Pup=n (110)
【0058】表1は、(ωτ)2<<1,(σri)<<1(周
波数が1GHz程度以下)の場合の超電導体層と誘電体
層の最適膜厚の設計値を示す。ここに、kは層の積層の
順番を表わし、ξkは、k番目の超電導体層の厚さΔξk
を磁界侵入深さλLで規格化した厚さ(=Δξk/λL)を
表わし、無次元パラメータWkにおいて、xkはk番目の誘
電体層の厚さを表わす。ここでは、n=50までの最適
設計性が示される。たとえば、n=5の場合は、表1に
おいてk≦5の値を用いる。
【0059】
【表7】
【表8】
【0060】(5)超電導多層電極の設計方法 図12は、上述した耐電力を最大にするための規格化超
電導体膜厚ξkと規格化誘電体膜厚xkを計算して出力す
る最適膜厚設定装置の構成を示すブロック図である。こ
の最適膜厚設定装置は、マイクロコンピュータ101と
キーボード102とディスプレイ103とプリンタ10
4とからなる。マイクロコンピュータ101は最適膜厚
設定計算処理を実行する。キーボード102は、所定の
入力パラメータと第1層の薄膜超電導体の規格化膜厚ξ
1とを入力するための入力装置であって、入力されたデ
ータをマイクロコンピュータ101に出力する。ここ
で、キーボード102からマイクロコンピュータ101
への入力処理は、割り込み処理によって実行される。デ
ィスプレイ103は、導体膜厚ξ1〜ξnと誘電体膜厚x
1〜xnと規格化表面インピーダンスZs1〜ZsnとQ上昇
率RQの各計算結果を表示する。プリンタ104は、デ
ィスプレイ103で表示された各計算結果を印字する。
以下、図13〜15のフローチャートを用いて、最適膜
厚設定計算処理装置で実行される最適膜厚設定計算処理
について説明する。
【0061】図13〜図15は、図12の膜厚設定計算
処理装置において実行する最適膜厚設定計算処理プログ
ラムのフローチャートである。図13は、物理的意味か
ら、近似条件を用いずに最適膜厚を設計するプログラム
のフローを示す。まず、ステップS2において、以下に
示す所定の入力パラメータを入力する。ここで、所定の
パラメータとは、(1)基板(主線路)の誘電率εm
(2)各薄膜誘電体(副線路)30−kの誘電率εs
(3)超電導体kの複素導電率σ、(4)各薄膜超電導
体のロンドン侵入深さλLの4個のパラメータのことで
ある。ここで、各薄膜超電導体kの導電率σは同じ値に
設定し、各薄膜誘電体30−kの誘電率εsは同じ値に
設定する。次に、ステップS4において、真空層のイン
ピーダンスZLを外側の媒質より決定する。このインピ
ーダンスZLは、最上層の薄膜超電導体1の下面から空
気層を見たときの空気層の規格化インピーダンスであ
る。
【0062】次に、第1層について計算するため、ステ
ップS6において、k=1と設定する。そして、ステッ
プS8において、
【数115】 Zs1→min (111) となるように、第1層の超電導体の規格化した膜厚ξ1
を決定する。ここに、Zs1は、第1層より上側を見た表
面インピーダンスである。
【0063】次に、漸化式を用いて、各超電導体と各誘
電体の膜厚を決定する。まず、ステップS10におい
て、
【数116】 Zs1=Zs11,ZL) (112) より、表面インピーダンスZs1を求める。そして、ステ
ップS12において、kを1つ増加する。そして、ステ
ップS14において、各層の内部の電流密度(厚さ方向
の位置の関数)の最大値が同一であるという条件
【数117】 Max(Jk)=Max(J1) (113) の下で、
【数118】 Zsk→min (114) となるように、第k−1層の誘電体の膜厚xk-1と第k
層の超電導の膜厚ξkとを決定する。
【0064】次に、ステップS16において、
【数119】 Zsk=Zsk(x,ξk,Zsk-1) (115) より、表面インピーダンスZskを求める。ここに、Zsk
は、第k層より上側を見た表面インピーダンスである。
そして、ステップS18を経て、ステップS12に戻
り、次の誘電体と超電導体の膜厚を求める。
【0065】ステップS18において、第n層まで求め
られたと判定されると、次に、ステップS20に進み、
耐電力性向上率RPを、次の式
【数120】 RP=(Zs1/Zsn2 (116) より計算する。ここで、nは薄膜導体kと薄膜誘電体3
0−kとが交互に積層されることによって構成される副
伝送線路LNkの数である。次に、ステップS22にお
いて、超電導体膜厚ξ1〜ξnと、誘電体膜厚x1〜xn-1
と、規格化表面インピーダンスZs1〜Zsnと、耐電力性
向上率とをディスプレイ上に表示し、ステップS24に
進み、これらの値を印字して、最適膜厚設定プログラム
を終了する。
【0066】図14は、先に(4)節において説明した
等価回路による一般解の表現を用いて最適膜厚を設計す
るプログラムのフローを示す。ここで、
【数121】 (ωτ)2《1 (117)
【数122】 (σr/σi)2《1 (118) と仮定する。すなわち、周波数が低く(マイクロ波程
度)、温度が転移温度Tcより十分に低いとする。ま
ず、ステップS102において、以下に示す所定の入力
パラメータを入力する。ここで、所定のパラメータと
は、(1)基板(主線路)の誘電率εm、(2)各薄膜
誘電体(副線路)30−kの誘電率εs、(3)超電導
体kの複素導電率σ、(4)各薄膜超電導体のロンドン
侵入深さλLの4個のパラメータのことである。ここ
で、各薄膜超電導体kの導電率σは同じ値に設定し、各
薄膜誘電体30−kの誘電率εsは同じ値に設定する。
次に、ステップS104において、式(64)を用いて、
真空層のインピーダンスZLを外側の媒質より決定す
る。このインピーダンスZLは、最上層の薄膜超電導体
1のした面から空気層を見たときの空気層の規格化イン
ピーダンスである。
【0067】次に、第1層について計算するため、ステ
ップS106において、k=1と設定する。そして、ス
テップS108において、
【数123】 Zs1→min (119) となるように、第1層の超電導体の規格化した膜厚ξ1
を決定する。ここに、Zs1は、第1層より上側を見た表
面インピーダンスである。
【0068】次に、漸化式を用いて、各超電導体と各誘
電体の膜厚を決定する。まず、ステップS110におい
て、式(69)
【数124】 Zs1=Zs11,ZL) (120) より、表面インピーダンスZs1を求める。そして、ステ
ップS112において、kを1つ増加する。そして、ス
テップS114において、等価回路上の電圧(物理的に
は各超電導体層の最下面の電流密度)が同一であるとい
う条件
【数125】 |V1|=|Vk| (121) の下で、式(84)より、
【数126】 Zsk→min (122) となるように、第k−1層の誘電体の膜厚xk-1と第k
層の超電導の膜厚ξkとを決定する。
【0069】次に、ステップS116において、式(7
0)から、
【数127】 Zsk=Zsk(x,ξk,Zsk-1) (123) より、表面インピーダンスZskを求める。ここに、Zsk
は、第k層より上側を見た表面インピーダンスである。
そして、ステップS118を経て、ステップS112に
戻り、次の誘電体と超電導体の膜厚を求める。
【0070】ステップS118において、第n層まで求
められたと判定されると、次に、ステップS120に進
み、耐電力性向上率RPを、次の式
【数128】 RP=(Zs1/Zsn2 (124) より計算する。ここで、nは薄膜導体kと薄膜誘電体3
0−kとが交互に積層されることによって構成される副
伝送線路LNkの数である。次に、ステップS122に
おいて、超電導体膜厚ξ1〜ξnと、誘電体膜厚x1〜x
n-1と、規格化表面インピーダンスZs1〜Zsnと、耐電
力性向上率とをディスプレイ上に表示し、ステップS1
24に進み、これらの値を印字して、最適膜厚設定プロ
グラムを終了する。
【0071】なお、上記の近似条件が成立しない場合
は、(4)節で展開した等価回路を用いた膜厚設計法は
適用できない。しかし、下記の回路定数を用いてシミュ
レータにより設計可能である。その場合の設計のフロー
は図13に示したのと同様である。ここで、次の2つの
定数は、式(32)、(39)、(40)から変形して得られ
る。
【数129】 Zk=Zs0(1/Δy)(1/β0)tanh(γΔζk/2) (125)
【数130】 Yk=(1/Zs0)Δyβ0sinh(γΔζk) (126) また、次の5つの定数Lk、Ck、γ、Zs0、β0は、式
(37)、(38)、(77)、(80)、(41)と同じであ
る。
【0072】図15は、先に(4)節において説明した
等価回路による近似解の表現を用いて最適膜厚を設計す
るプログラムのフローを示す。ここで、
【数131】 (ωτ)2《1 (127)
【数132】 (σr/σi)《1 (128) と仮定する。すなわち、周波数ωが低く(マイクロ波帯
程度以下の周波数。ただし、材料や温度に依存する。)
と、転移温度より十分低い温度を仮定する。まず、ステ
ップS202において、以下に示す所定の入力パラメー
タを入力する。ここで、所定のパラメータとは、(1)
基板(主線路)の誘電率εm、(2)各薄膜誘電体(副
線路)30−kの誘電率εs、(3)超電導体kの複素
導電率σ、(4)各薄膜超電導体のロンドン侵入深さλ
Lの4個のパラメータのことである。ここで、各薄膜超
電導体kの導電率σは同じ値に設定し、各薄膜誘電体3
0−kの誘電率εsは同じ値に設定する。次に、ステッ
プS204において、式(64)を用いて、真空層のイン
ピーダンスZLを外側の媒質より決定する。このインピ
ーダンスZLは、最上層の薄膜超電導体1の下面から空
気層を見たときの空気層の規格化インピーダンスであ
る。
【0073】次に、第1層について計算するため、ステ
ップS206において、k=1と設定する。そして、ス
テップS208において、膜厚が十分に厚い(ξ1
∞)として、
【数133】 Zs1→min (129) となるように、第1層の超電導体の規格化した膜厚ξ1
を決定する。ここに、Zs1は、第1層より上側を見た表
面インピーダンスである。
【0074】次に、漸化式を用いて、超電導体と誘電体
の各層の膜厚を決定する。まず、ステップS210にお
いて、式(91)
【数134】 Zs1=jXs1=j (130) より、表面リアクタンスXs1を求める。そして、ステッ
プS212において、kを1つ増加する。そして、ステ
ップS214において、式(99)、(117)、(118)
【数135】 ξk=sinh-1(Xsk-1) (131)
【数136】 Wk-1=Xsk-1 (132)
【数137】 xk-1=Wk-1m/εs−1)-1 (133) を用いて、第k−1層の誘電体の膜厚xk-1と第k層の
超電導体の膜厚ξkとを決定する。
【0075】次に、ステップS216において、式(1
10)、
【数138】 Xsk=(1+1/Xsk-1 2)-1 (134) より、表面リアクタンスXskを求める。ここに、X
skは、第k層より上側を見た表面インピーダンスの虚数
成分である。そして、ステップS218を経て、ステッ
プS212に戻り、次の誘電体と超電導体の膜厚を求め
る。
【0076】ステップS218において、第n層まで求
められたと判定されると、次に、ステップS220に進
み、耐電力性向上率RPを、次の式
【数139】 RP=(Zs1/Zsn2 (135) より計算する。ここで、nは薄膜導体kと薄膜誘電体3
0−kとが交互に積層されることによって構成される副
伝送線路LNkの数である。次に、ステップS222に
おいて、超電導体膜厚ξ1〜ξnと、誘電体膜厚x1〜x
n-1と、規格化表面インピーダンスZs1〜Zsnと、耐電
力性向上率とをディスプレイ上に表示し、ステップS2
24に進み、これらの値を印字して、最適膜厚設定プロ
グラムを終了する。
【0077】以上のようにして計算された超電導体膜厚
ξkと誘電体膜厚xkに基づいて、下面に接地導体11を
備えた誘電体基板10の上面に、スパッタリング装置を
用いて、YBCO系材料などの超電導材料を、計算され
た膜厚になるまで連続的に堆積させることにより、薄膜
導体を形成する。そして、その上面に、スパッタリング
装置を用いて、Si02等の誘電体材料を、計算された
誘電体膜厚になるまで連続的に堆積させることにより薄
膜誘電体を形成する。同様にして、最上層の薄膜導体1
まで、交互に薄膜導体kと薄膜誘電体30−kを形成す
る。最適膜厚の超電導多層線路を形成することができ
る。なお、上記各薄膜導体kと上記各薄膜誘電体30−
kの成膜には、スパッタリング装置を用いたが、蒸着装
置、プラズマCVD等の他の薄膜形成装置を用いてもよ
い。
【0078】(6)膜厚の最適値からのずれの影響 誘電体薄膜または超電導薄膜の膜厚が最適設計値からず
れた場合の耐電力性向上率(最適値の場合の(110)式参
照)の変化をn=2〜5層について、それぞれ、図16
〜図23に示す。これらの図の見方をn=4の場合(図
20と図21)を例として説明する。図20に示す耐電
力性向上率は、第3層までの全膜厚ξ1、ξ2、ξ3、x1,x
2および第4層の超電導膜厚ξ4が設計どおりの膜厚にな
っていることを前提条件として、最下層の誘電体の膜厚
3のみが設計値からずれている場合の変化を表す。図
21に示す耐電力性向上率は、第3層までの全膜厚ξ1
ξ2、ξ3、x1,x2および次の誘電体層のx3が設計どおり
の膜厚になっていることを前提条件として、第4層の超
電導体の膜厚ξ4のみが設計値からずれている場合の変
化を表す。ここで、両図とも、近似条件(ωτ)2《1と
r/σi)《1が成り立つものとし、また、どの層も臨
界電流密度を越えないことを前提条件として耐電力性を
計算している。横軸は、規格化された膜厚の最適設計値
からの変化率を表す。これが1.0のところが最適設計
値である。縦軸は、最適設計がされている第3層に対し
て、第4層を付け加えたことによる耐電力性向上率を示
す。すなわち、(4層全体の耐電力性向上率)を(3層
の最適な耐電力性向上率=3)で割った値である。した
がって、この値の最大値が4/3である。この値が1.
0以下の場合は、第4層を付加することによる効果がな
いことを意味する。
【0079】図20と図21より理解されるように、誘
電体薄膜または超電導薄膜の膜厚が、表1に示す最適設
計値から多少ずれても、耐電力性向上の効果は存在す
る。したがって、超電導多層電極の各層の膜厚は、最適
設計値から多少ずれていてもよい。
【0080】
【発明の効果】n層の超電導体層とその間に(n−1)
層の誘電体層を交互に積層した電極において、超電導多
層電極の耐電力がn倍上昇する。ここで、超電導体層と
誘電体層の膜厚は、ロンドンの磁界侵入深さに対してあ
る一定の最適配列で成膜したときに、この効果が期待で
きる。また、適用周波数範囲は、超電導体の複素導電率
の実部σrが虚部σiに比べて十分小さいとき、すなわ
ち、10GHz程度以下で有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例の超電導多層線路を用いた1/2
波長線路型共振器を用いたフィルタの斜視図である。
【図2】 第2実施例の超電導多層線路を用いた1/4
波長線路型共振器を用いたフィルタの斜視図である。
【図3】 変形実施例である2重モード型誘電体共振器
の図である。
【図4】 変形実施例であるTM01δモード型2段通過
フィルタの図である。
【図5】 変形実施例である各種電子部品の斜視図であ
る。
【図6】 通常導体の等価回路図である。
【図7】 超電導体の等価回路図である。
【図8】 超電導体のT字等価回路図である。
【図9】 超電導多層電極の1素子の等価回路図であ
る。
【図10】 超電導多層電極の集中定数回路の図であ
る。
【図11】 超電導多層電極の第k層から上の等価回路
図である。
【図12】 最適膜厚設定装置のブロック図である。
【図13】 最適膜厚設定の第1のフローチャートであ
る。
【図14】 最適膜厚設定の第2のフローチャートであ
る。
【図15】 最適膜厚設定の第3のフローチャートであ
る。
【図16】 n=2の場合の誘電体膜厚x1が変化した
ときの耐電力性向上率の変化のグラフである。
【図17】 n=2の場合の超電導体膜厚ξ2が変化し
たときの耐電力性向上率の変化のグラフである。
【図18】 n=3の場合の誘電体膜厚x2が変化した
ときの耐電力性向上率の変化のグラフである。
【図19】 n=3の場合の超電導体膜厚ξ3が変化し
たときの耐電力性向上率の変化のグラフである。
【図20】 n=4の場合の誘電体膜厚x3が変化した
ときの耐電力性向上率の変化のグラフである。
【図21】 n=4の場合の超電導体膜厚ξ4が変化し
たときの耐電力性向上率の変化のグラフである。
【図22】 n=5の場合の誘電体膜厚x4が変化した
ときの耐電力性向上率の変化のグラフである。
【図23】 n=5の場合の超電導体膜厚ξ5が変化し
たときの耐電力性向上率の変化のグラフである。
【符号の説明】
1,2,3,4,5 薄膜超電導体、 30−1,30−
2,30−3,30−4薄膜誘電体、 10 誘電体基
板、 LN1,LN2,LN3,LN4 副伝送線路、
41 ストリップ線路、 51 マイクロストリップ
線路のストリップ導体、 52 マイクロストリップ線
路の接地導体、 61 ストリップ線路のストリップ導
体、 62,63 ストリップ線路の接地導体、 73
導波管の外表面電極、 77 共振器ケース、 8
2 外周電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01P 7/08 ZAA H01P 7/08 ZAA 7/10 ZAA 7/10 ZAA 11/00 ZAA 11/00 ZAAG (72)発明者 伊勢 智之 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株 式会社村田製作所内 (56)参考文献 特開 平8−167804(JP,A) 特開 平8−191208(JP,A) 特開 平7−336118(JP,A) 特開 平8−242109(JP,A) 国際公開95/6336(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01P 3/18 H01P 1/20 H01P 1/203 H01P 1/208 H01P 7/08 H01P 7/10 H01P 11/00

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体基板の一方の側に超電導体層を形
    成し、この超電導体層を最下層の導体層として、超電導
    体層と誘電体層とを交互に積層することによって、誘電
    体層を挟設する1対の超電導体層によってそれぞれ構成
    される少なくとも1つのTEMモード伝送線路が積層さ
    れてなり、上記の超電導体層と誘電体層は、各超電導体
    層を流れる電流密度の最大値が同じになるように設定さ
    れた膜厚を有し、 最下層(k=n)から最上層(k=1)までの上記の超
    電導体層と誘電体層の膜厚は、ロンドンの侵入深さで規
    格化した第k層の超電導体層の膜厚をξkと表し、ロン
    ドンの侵入深さで規格化した第k層の誘電体層の膜厚を
    kと表し、誘電体基板の誘電率をεmと表し、誘電体層
    の誘電率をεsと表し、超電導体層の数をnと設定した
    とき、第10層以下において、下の表に表される膜厚ξ
    kとxk(k≦n)を有することを特徴とする超電導多層電
    極。 【表1】
  2. 【請求項2】 誘電体基板の一方の側に導体層を形成し
    他方の側に超電導体層を形成し、誘電体基板とその両側
    の導体層と超電導体層とによって構成された第1のTE
    Mモード伝送線路上に形成するための超電導多層電極で
    あって、 上記の超電導多層電極は、上記の超電導体層を最下層の
    導体層として、超電導体層と誘電体層とを交互に積層す
    ることによって、誘電体層を挟設する1対の超電導体層
    によってそれぞれ構成される少なくとも1つの第2のT
    EMモード伝送線路が積層されてなり、上記の超電導体
    層と誘電体層は、各超電導体層を流れる電流密度の最大
    値が同じになるように設定された膜厚を有し、 最下層(k=n)から最上層(k=1)までの上記の超
    電導体層と誘電体層の膜厚は、ロンドンの侵入深さで規
    格化した第k層の超電導体層の膜厚をξkと表し、ロン
    ドンの侵入深さで規格化した第k層の誘電体層の膜厚を
    kと表し、誘電体基板の誘電率をεmと表し、誘電体層
    の誘電率をεsと表し、超電導体層の数をnと設定した
    とき、下の表に表される膜厚ξkとxk(k≦n)を有する
    ことを特徴とする超電導多層電極。 【表2】
  3. 【請求項3】 超電導多層電極を備えた高周波伝送線路
    であって、 この超電導多層電極は、超電導体層を最下層の導体層と
    して、超電導体層と誘電体層とを交互に積層することに
    よって、誘電体層を挟設する1対の超電導体層によって
    それぞれ構成される少なくとも1つのTEMモード伝送
    線路が積層されてなり、上記の超電導体層と誘電体層
    は、各超電導体層を流れる電流密度の最大値が同じにな
    るように設定された膜厚を有し、 最下層(k=n)から最上層(k=1)までの上記の超
    電導体層と誘電体層の膜厚は、ロンドンの侵入深さで規
    格化した第k層の超電導体層の膜厚をξkと表し、ロン
    ドンの侵入深さで規格化した第k層の誘電体層の膜厚を
    kと表し、誘電体基板の誘電率をεmと表し、誘電体層
    の誘電率をεsと表し、超電導体層の数をnと設定した
    とき、第10層以下において、下の表に表される膜厚ξ
    kとxk(k≦n)を有することを特徴とする高周波伝送線
    路。 【表3】
  4. 【請求項4】 上記の高周波伝送線路は導波管であるこ
    とを特徴とする請求項3に記載した高周波伝送線路。
  5. 【請求項5】 第1の伝送線路と、 超電導体層と誘電体層とを交互に積層することによって
    誘電体層を挟設する1対の超電導体によって構成される
    少なくとも1つのTEMモードの第2の伝送線路とを備
    え、 上記の超電導体層と誘電体層は、各超電導体層を流れる
    電流密度の最大値が同じになるように設定された膜厚を
    有し、 上記の超電導体層と誘電体層の膜厚は、超電導体層の数
    をnと設定したとき、k番目の層を第k層とし、最上層
    を第1層(k=1)とし、最下層を第n層(k=n)と
    し、ロンドンの侵入深さで規格化した第k層の超電導体
    層の膜厚をξkと表し、ロンドンの侵入深さで規格化し
    た第k層の誘電体層の膜厚をxkと表し、誘電体基板の
    誘電率をεmと表し、誘電体層の誘電率をεsと表し、第
    10層以下において、下の表に表される膜厚ξkとx
    k(k≦n)を有することを特徴とする高周波伝送線路。 【表4】
  6. 【請求項6】 上記の高周波伝送線路はマイクロストリ
    ップ線路であることを特徴とする請求項3〜5のうちの
    1つに記載した高周波伝送線路。
  7. 【請求項7】 上記のマイクロストリップ線路は、誘電
    体基板の第1の面上に上記の第2の伝送線路がストリッ
    プ導体として形成される一方、上記の誘電体基板の第2
    の面上に接地導体が形成されたことを特徴とする請求項
    6に記載した高周波伝送線路。
  8. 【請求項8】 上記のマイクロストリップ線路は、誘電
    体基板の第1の面上に上記の第2の伝送線路がストリッ
    プ導体として形成される一方、上記の誘電体基板の第2
    の面上に別の上記の第2の伝送線路が接地導体として形
    成されたことを特徴とする請求項6または7に記載した
    高周波伝送線路。
  9. 【請求項9】 上記の高周波伝送線路はストリップ線路
    であることを特徴とする請求項3〜5のうちの1つに記
    載した高周波伝送線路。
  10. 【請求項10】 上記の高周波伝送線路は同軸線路であ
    ることを特徴とする請求項3〜5のうちの1つに記載し
    た高周波伝送線路。
  11. 【請求項11】 請求項3〜10のうちの1つに記載し
    た高周波伝送線路を備え、上記の高周波伝送線路が、上
    記の高周波伝送線路を伝送する信号の管内波長の1/4
    に等しい伝送方向の長さを有することを特徴とする高周
    波共振器。
  12. 【請求項12】 請求項3〜10のうちの1つに記載し
    た高周波伝送線路を備え、上記の高周波伝送線路が、上
    記の高周波伝送線路を伝送する信号の管内波長の1/2
    に等しい伝送方向の長さを有することを特徴とする高周
    波共振器。
  13. 【請求項13】 請求項11または12に記載した高周
    波共振器と、 上記の高周波共振器に高周波信号を入力する入力端子
    と、 上記の高周波共振器から高周波信号を出力する出力端子
    とを備えたことを特徴とする高周波フィルタ。
  14. 【請求項14】 一端で高周波信号を入力しかつ他端で
    この高周波信号を出力する伝送線路と、 この伝送線路と結合する請求項11または12に記載し
    た高周波共振器とを備えたことを特徴とする高周波帯域
    除去フィルタ。
  15. 【請求項15】 超電導体を含む共振器ケースと、上記
    の共振器ケース内に載置された所定の形状の誘電体とを
    備えた誘電体共振器であって、 上記の超電導体は超電導多層電極であり、上記の超電導
    多層電極は、 誘電体基板の一方の側に超電導体層を形成し、この超電
    導体層を最下層の導体層として、超電導体層と誘電体層
    とを交互に積層することによって、誘電体層を挟設する
    1対の超電導体層によってそれぞれ構成される少なくと
    も1つのTEMモード伝送線路が積層されてなり、上記
    の超電導体層と誘電体層は、各超電導体層を流れる電流
    密度の最大値が同じになるように設定された膜厚を有
    し、 最下層(k=n)から最上層(k=1)までの上記の超
    電導体層と誘電体層の膜厚は、ロンドンの侵入深さで規
    格化した第k層の超電導体層の膜厚をξkと表し、ロン
    ドンの侵入深さで規格化した第k層の誘電体層の膜厚を
    kと表し、誘電体基板の誘電率をεmと表し、誘電体層
    の誘電率をεsと表し、超電導体層の数をnと設定した
    とき、第10層以下において、下の表に表される膜厚ξ
    kとxk(k≦n)を有することを特徴とする誘電体共振
    器。 【表5】
  16. 【請求項16】 請求項15に記載した誘電体共振器
    と、 この誘電体共振器に電磁的に結合され、誘電体共振器に
    高周波信号を入力する入力端子と、 上記の誘電体共振器に電磁的に結合され、誘電体共振器
    から高周波信号を出力する出力端子とを備えたことを特
    徴とする高周波フィルタ。
  17. 【請求項17】 電極を備えて所定の高周波動作を行う
    高周波デバイスであって、 この電極は、請求項1または2に記載した超電導多層電
    極を有することを特徴とする高周波デバイス。
  18. 【請求項18】 誘電体基板に超電導体層を形成し、こ
    の超電導体層を最下層の導体層として超電導体層と誘電
    体層とを交互に積層することによって、誘電体層を挟設
    する1対の超電導体層によってそれぞれ構成される少な
    くとも1つのTEMモード伝送線路が積層されてなる超
    電導多層電極の膜厚設定方法であって、 真空層のインピーダンスを決定する第1ステップと、 真空層のインピーダンスを用いて、上記の各薄膜超電導
    体のうちの最上層である第1層の超電導体層の下面から
    空気層を見たときのインピーダンスが最小になるように
    第1の超電導体層の膜厚と、第1の超電導体層の下面か
    ら空気層を見たときのインピーダンスとを決定する第2
    ステップと、 各超電導体層を流れる電流密度の最大値が同じであると
    いう条件の下で、第k層の超電導体層の下面から上を見
    たときのインピーダンスが最小になるように、上記の第
    k層の超電導体層に積層して形成される第k層の誘電体
    層と第(k+1)層の超電導体層のそれぞれの膜厚、およ
    び、第k層の超電導体層の下面から上を見たときのイン
    ピーダンスを計算する第3ステップとからなり、 上記の第3ステップを全超電導体層の膜厚が計算される
    まで繰り返すことを特徴とする超電導多層電極の膜厚設
    定方法。
  19. 【請求項19】 誘電体基板に超電導体層を形成し、こ
    の超電導体層を最下層の導体層として超電導体層と誘電
    体層とを交互に積層することによって、誘電体層を挟設
    する1対の超電導体層によってそれぞれ構成される少な
    くとも1つのTEMモード伝送線路が積層されてなる超
    電導多層電極の膜厚設定方法であって、 真空層のインピーダンスを決定する第1ステップと、 真空層のインピーダンスを用いて、上記の各薄膜超電導
    体層のうちの最上層である第1層の超電導体層の下面か
    ら空気層を見たときのインピーダンスが最小になるよう
    に第1の超電導体層の膜厚と、第1の超電導体層の下面
    から空気層を見たときのインピーダンスとを決定する第
    2ステップと、 各超電導体層の下面の電流密度が同じであるという条件
    の下で、第k層の超電導体層の下面から上を見たときの
    インピーダンスが最小になるように、上記の第k層の超
    電導体層に積層して形成される第k層の誘電体層と第
    (k+1)層の超電導体層のそれぞれの膜厚、および、第
    k層の超電導体層の下面から上を見たときのインピーダ
    ンスを計算する第3ステップとからなり、 上記の第3ステップを全超電導体層の膜厚が計算される
    まで繰り返すことを特徴とする超電導多層電極の膜厚設
    定方法。
  20. 【請求項20】 誘電体基板に超電導体層を形成し、こ
    の超電導体層を最下層の導体層として超電導体層と誘電
    体層とを交互に積層することによって、誘電体層を挟設
    する1対の超電導体層によってそれぞれ構成される少な
    くとも1つのTEMモード伝送線路が積層されてなる超
    電導多層電極の膜厚設定方法であって、 真空層のインピーダンスを決定する第1ステップと、 (ωτ)2≪1かつ(σr/σi)≪1の条件(ここにωは周
    波数を、τは超電導体の電子の運動量緩和時間を、σr
    とσiは導電率の実数成分と虚数成分を表す)におい
    て、上記の各薄膜超電導体のうちの最上層である第1層
    の超電導体層の膜厚を、第1層に十分な電流が流れるよ
    うに設定し、第1層の下面から空気層を見たときのイン
    ピーダンスを純虚数として決定する第2ステップと、 各超電導体層の下面の電流密度が同じであるように設定
    されたという条件の下で、第k層の超電導体層の下面か
    ら上を見たときのインピーダンスが最小になるように、
    上記の第k層の超電導体層に積層して形成される第k層
    の誘電体層と第(k+1)層の超電導体層のそれぞれの膜
    厚、および、第k層の超電導体層の下面から上を見たと
    きのインピーダンスを計算する第3ステップとからな
    り、 上記の第3ステップを全超電導体層の膜厚が計算される
    まで繰り返すことを特徴とする超電導多層電極の膜厚設
    定方法。
JP07068453A 1995-03-27 1995-03-27 超電導多層電極、超電導多層電極を用いた高周波伝送線路、高周波共振器、高周波フィルタ、高周波デバイス及び超電導多層電極の設計方法 Expired - Fee Related JP3125618B2 (ja)

Priority Applications (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP07068453A JP3125618B2 (ja) 1995-03-27 1995-03-27 超電導多層電極、超電導多層電極を用いた高周波伝送線路、高周波共振器、高周波フィルタ、高周波デバイス及び超電導多層電極の設計方法
CA002172656A CA2172656C (en) 1995-03-27 1996-03-26 Superconducting multilayer electrode and method of producing same
DE69618838T DE69618838T2 (de) 1995-03-27 1996-03-27 Supraleitende Mehrschichtelektrode und Verfahren zu ihrer Herstellung
EP96104887A EP0735606B1 (en) 1995-03-27 1996-03-27 Superconducting multilayer electrode and method of producing same
CN96107372A CN1114965C (zh) 1995-03-27 1996-03-27 超导多层电极及其制造方法
KR1019960008673A KR960036194A (ko) 1995-03-27 1996-03-27 최전도 다층 전극 및 이의 제조방법
US08/621,651 US6066598A (en) 1995-03-27 1996-04-30 Superconducting multilayer electrode and method of producing same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP07068453A JP3125618B2 (ja) 1995-03-27 1995-03-27 超電導多層電極、超電導多層電極を用いた高周波伝送線路、高周波共振器、高周波フィルタ、高周波デバイス及び超電導多層電極の設計方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08265008A JPH08265008A (ja) 1996-10-11
JP3125618B2 true JP3125618B2 (ja) 2001-01-22

Family

ID=13374141

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP07068453A Expired - Fee Related JP3125618B2 (ja) 1995-03-27 1995-03-27 超電導多層電極、超電導多層電極を用いた高周波伝送線路、高周波共振器、高周波フィルタ、高周波デバイス及び超電導多層電極の設計方法

Country Status (7)

Country Link
US (1) US6066598A (ja)
EP (1) EP0735606B1 (ja)
JP (1) JP3125618B2 (ja)
KR (1) KR960036194A (ja)
CN (1) CN1114965C (ja)
CA (1) CA2172656C (ja)
DE (1) DE69618838T2 (ja)

Families Citing this family (21)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
SE506313C2 (sv) * 1995-06-13 1997-12-01 Ericsson Telefon Ab L M Avstämbara mikrovågsanordningar
US9054094B2 (en) 1997-04-08 2015-06-09 X2Y Attenuators, Llc Energy conditioning circuit arrangement for integrated circuit
US7321485B2 (en) 1997-04-08 2008-01-22 X2Y Attenuators, Llc Arrangement for energy conditioning
US7336468B2 (en) 1997-04-08 2008-02-26 X2Y Attenuators, Llc Arrangement for energy conditioning
DE69831549T2 (de) * 1997-10-21 2006-06-14 Murata Manufacturing Co Dünnfilm-Mehrschichtelektrode, Hochfrequenzübertragungsleitung, Hochfrequenzresonator und Hochfrequenzfilter
JP2002064312A (ja) * 2000-08-23 2002-02-28 Japan Science & Technology Corp 電磁波素子
JP2003174306A (ja) * 2001-09-27 2003-06-20 Murata Mfg Co Ltd 共振器、フィルタ、デュプレクサ、および高周波回路装置
FR2858463B1 (fr) * 2003-07-28 2007-08-24 Centre Nat Rech Scient Procede et systeme de realisation de composants inductifs supraconducteurs en couches minces, et dispositifs incluant de tels composants
FR2866979A1 (fr) * 2004-02-27 2005-09-02 Centre Nat Rech Scient Composants supraconducteurs en couches minces a inductance accordable, procede de realisation et dispositifs incluant de tels composants
GB2411743A (en) * 2004-03-02 2005-09-07 Agilent Technologies Inc Modelling current flows in three-dimensional conductive and dielectric bodies
FR2880991B1 (fr) * 2005-01-17 2007-04-06 Centre Nat Rech Scient Utilisation de composants supraconducteurs en couches minces comme inductance variable, dispositifs incluant de tels composants, et procede de commande associe
GB2439861A (en) 2005-03-01 2008-01-09 X2Y Attenuators Llc Internally overlapped conditioners
DE102006047427B4 (de) * 2006-10-06 2012-10-25 Epcos Ag Substrat mit HF-tauglicher Leitung
KR100953408B1 (ko) * 2009-04-22 2010-04-19 주식회사 서남 초전도 마이크로파 필터
ITMI20092185A1 (it) * 2009-12-14 2011-06-15 Siae Microelettronica Spa Linea in microstriscia per trasmissioni ad alta frequenza
US10626666B2 (en) 2013-12-19 2020-04-21 Merck Patent Gmbh Device for regulating the passage of light
KR20210093929A (ko) 2018-11-28 2021-07-28 호시덴 가부시기가이샤 고주파 전송 장치 및 고주파 신호 전송 방법
CN111864047A (zh) * 2019-04-25 2020-10-30 芯恩(青岛)集成电路有限公司 一种超导隧道结、超导电子元件及其制备方法
US12015185B2 (en) * 2021-03-03 2024-06-18 International Business Machines Corporation Quantum transducers with embedded optical resonators
US11657314B1 (en) 2021-03-03 2023-05-23 International Business Machines Corporation Microwave-to-optical quantum transducers
CN113312783B (zh) * 2021-06-09 2022-07-01 广东电网有限责任公司 一种超导直流电缆建模方法及***

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US2769148A (en) * 1951-03-07 1956-10-30 Bell Telephone Labor Inc Electrical conductors
DE954528C (de) * 1952-09-24 1956-12-20 Siemens Ag Hochfrequenzleiter mit abwechselnd uebereinander angeordneten Metall- und Isolierschichten
US2769150A (en) * 1952-11-14 1956-10-30 Bell Telephone Labor Inc Laminated conductor
US4918050A (en) * 1988-04-04 1990-04-17 Motorola, Inc. Reduced size superconducting resonator including high temperature superconductor
JPH0585705A (ja) * 1991-09-26 1993-04-06 Sumitomo Electric Ind Ltd 酸化物超電導薄膜
CN1122327C (zh) * 1993-08-27 2003-09-24 株式会社村田制作所 高频电磁场耦合的薄膜多层电极

Also Published As

Publication number Publication date
KR960036194A (ko) 1996-10-28
CN1114965C (zh) 2003-07-16
CA2172656C (en) 2001-03-13
EP0735606A1 (en) 1996-10-02
JPH08265008A (ja) 1996-10-11
EP0735606B1 (en) 2002-01-30
CN1138758A (zh) 1996-12-25
CA2172656A1 (en) 1996-09-28
DE69618838T2 (de) 2002-06-20
US6066598A (en) 2000-05-23
DE69618838D1 (de) 2002-03-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3125618B2 (ja) 超電導多層電極、超電導多層電極を用いた高周波伝送線路、高周波共振器、高周波フィルタ、高周波デバイス及び超電導多層電極の設計方法
JP3089666B2 (ja) 高周波伝送線路、高周波共振器、高周波フィルタ及び高周波帯域除去フィルタ
US6895262B2 (en) High temperature superconducting spiral snake structures and methods for high Q, reduced intermodulation structures
US4918050A (en) Reduced size superconducting resonator including high temperature superconductor
Ekholm et al. Attenuation and dispersion for high-T/sub c/superconducting microstrip lines
US20030222731A1 (en) Dual-mode bandpass filter with direct capacitive couplings and far-field suppression structures
EP0812025B1 (en) Multi-layer thin-film electrode, high-frequency transmission line, high-frequency resonator, and high-frequency filter
JP3362535B2 (ja) 高周波電磁界結合型薄膜積層電極、高周波伝送線路、高周波共振器、高周波フィルタ、高周波デバイス及び高周波電磁界結合型薄膜積層電極の膜厚設定方法
EP0567407B1 (en) Microwave component of oxide superconducter material
US7231238B2 (en) High temperature spiral snake superconducting resonator having wider runs with higher current density
JP3391271B2 (ja) 高周波用低損失電極
Oates et al. Submicron Nb microwave transmission lines and components for single-flux-quantum and analog large-scale superconducting integrated circuits
Porch et al. Surface impedance measurements of YBa/sub 2/Cu/sub 3/O/sub 7/thin films using coplanar resonators
Vogt et al. An HTS narrow bandwidth coplanar shunt inductively coupled microwave bandpass filter on LaAlO/sub 3
JPH07336113A (ja) 高周波電極及び高周波伝送線路
US6252475B1 (en) High-frequency circuit element
Ceremuga-Mazierska Transmission of microwave signals through superconducting thin films in waveguides
JPH05299914A (ja) 超伝導高周波共振器およびフィルター
Chaloupka et al. Applications of HTSC thin films with low microwave losses to linear devices
JP2003218415A (ja) トンネル接合素子を用いた同調回路および超伝導集積回路
US20020005766A1 (en) RF resonator
JPH0722810A (ja) マイクロストリップラインフィルター
US20080039333A1 (en) High temperature superconducting structures and methods for high Q, reduced intermodulation structures
Gashinova et al. Reduction of microwave loss by use of laminated electrodes
JPH0722822A (ja) マイクロストリップライン共振器及びマイクロストリップライン共振器用シールドの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071102

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081102

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091102

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees