JP3119314B2 - 固定化リパーゼ及びその製法 - Google Patents

固定化リパーゼ及びその製法

Info

Publication number
JP3119314B2
JP3119314B2 JP04102862A JP10286292A JP3119314B2 JP 3119314 B2 JP3119314 B2 JP 3119314B2 JP 04102862 A JP04102862 A JP 04102862A JP 10286292 A JP10286292 A JP 10286292A JP 3119314 B2 JP3119314 B2 JP 3119314B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lipase
immobilized
tris
buffer
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP04102862A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05292965A (ja
Inventor
真二 田羅間
俊郎 菊地
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP04102862A priority Critical patent/JP3119314B2/ja
Publication of JPH05292965A publication Critical patent/JPH05292965A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3119314B2 publication Critical patent/JP3119314B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Immobilizing And Processing Of Enzymes And Microorganisms (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Saccharide Compounds (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機溶媒中でのエステ
ル交換反応において高活性を有し、かつ加水分解などの
副反応をほとんど生じない固定化リパーゼ及びその製法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】リパーゼ(EC 3.1.1.3)は、古くからそ
の存在が知られているにもかかわらず、基質が水に不溶
性の油脂であり、常温では固体のものもあることから、
アミラーゼやプロテアーゼに比べるとその利用は著しく
遅れ、消化剤やフレーバー剤の加工等に限られていた。
しかし最近になって、リパーゼを洗剤用酵素として使用
したり、油脂の高度化加工、エステル合成や交換、さら
には光学異性体の分割に利用しようとする研究が盛んに
行われるようになり、工業的に最も注目されている酵素
の一つとなってきた。また、油脂の高度化加工、エステ
ル合成やエステル交換、及び光学異性体の分割等は、
(1) 脂溶性基質の溶解度を高める、(2) 熱学的平衡を合
成へシフトさせる、または(3) 副反応として生じる加水
分解反応を回避するなどの利点から有機溶媒中で行なわ
れることが多い。しかし、リパーゼを有機溶媒中でその
ままあるいは不適当な固定化をして用いた場合、分散
性、水分の不足または添加剤による阻害などにより、ほ
とんど活性を示さないか、あるいは微弱な活性しか示さ
ない。したがって、有用なリパーゼの工業的利用を飛躍
的に拡大させるためには、有機溶媒中で活性の高いリパ
ーゼを供給することが必要である。
【0003】従来より、リパーゼを有機溶媒中で作用さ
せる例としては、種々報告されているが、クリバノフら
による豚膵臓由来のリパーゼを用いた低含水量の有機溶
媒中でのエステル交換反応の報告〔サイエンス(Scienc
e)224, 1249(1984)〕、山根らによるシュードモナス属
由来のリパーゼを用いて、糖類と共にセライトに固定化
することにより、より高いラクトン化反応を得た報告
〔バイオテクノロジー・アンド・バイオエンジニアリン
グ(Biotechnol.Bioeng.)36, 1063(1990)〕などがある。
また、クリバノフらはリパーゼを至適pHの緩衝液に溶
解後、凍結乾燥を行うことにより、水と混和しない溶媒
中で高い反応効率を得たことを報告〔プロシーディング
ス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエ
ンシズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・ア
メリカ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)82,3192(1985)〕して
いるが、その後、山根らによって高純度のリパーゼを用
いた固定化酵素の調製において、pHを調節するために
加えた無機塩類はむしろ反応を阻害することが報告され
た〔バイオテクノロジー・アンド・バイオエンジニアリ
ング(Biotechnol.Bioeng.)36, 1063(1990)〕。従って、
水と混和しない有機溶媒中でリパーゼを有効に用いるた
めには、糖類などの安定化剤を添加し、担体を用いて分
散性を向上させた固定化酵素が比較的有効であると考え
られていた。しかし、これらの何れの報告によっても、
リパーゼの添加量に対して有機溶媒中での活性は十分で
なく、工業的に用いるためには過剰のリパーゼを添加す
る必要がある。また、水と混和しない又は水不溶の有機
溶媒中でリパーゼを反応させる際に微量の水が必要であ
るが、水の含有量が高くなると副反応である加水分解反
応を生じ、エステル合成及びエステル交換反応等にとっ
て問題となるため、リパーゼに適した水分の調整が必要
である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的はリパー
ゼの有機溶媒中でのエステル交換反応において高い活性
を有し、かつ副反応である加水分解活性をほとんど生じ
ない固定化リパーゼ及びその製法を提供することであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは種々鋭意研
究した結果、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン
またはグッド緩衝剤を含むことにより上記目的が達成さ
れることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発
明はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンおよびグ
ッド緩衝剤よりなる群から選ばれた1種または2種以上
の化合物、固定化担体およびリパーゼを含有することを
特徴とする固定化リパーゼである。本発明の固定化リパ
ーゼはさらに種類を含有してもよい。また本発明はトリ
ス(ヒドロキシメチル)アミノメタンおよびグッド緩衝
剤よりなる群から選ばれた1種または2種以上の化合
物、固定化担体およびリパーゼを含有し、かつ水分を
0. 1〜30重量%含有する固定化リパーゼである。さ
らに本発明はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン
およびグッド緩衝剤よりなる群から選ばれた1種または
2種以上の化合物を含む緩衝液中で固定化担体にリパー
ゼを固定化し、乾燥することを特徴とする固定化リパー
ゼの製造法およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメ
タンおよびグッド緩衝剤よりなる群から選ばれた1種ま
たは2種以上の化合物を含む緩衝液中で固定化担体にリ
パーゼを固定化し、乾燥した後、湿度40〜100%の
空気中で吸湿させることにより、あるいは乾燥時に残留
水分量を調節することにより、水分を0.1〜30重量
%含有させることを特徴とする固定化リパーゼの製造法
である。
【0006】本発明に用いるトリス(ヒドロキシメチ
ル)アミノメタン(以下、Trisと略称する)は緩衝
剤の一種である。この緩衝剤は塩酸とともにTris−
HCl緩衝液として使用する。また本発明に用いるグッ
ド緩衝剤としては、2−(N−モルホリノ)エタンスル
ホン酸(MES)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)
−2,2′,2″−ニトリロトリエタノール(Bis-tri
s)、N−(2−アセトアミド)イミノジ酢酸(AD
A)、ピペラジン−N,N′−ビス(2−エタンスルホ
ン酸)(PIPES)、N−(2−ヒドロキシエチル)
−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、3−(N−
モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、N−ト
リス(ホドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンス
ルホン(TES)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジ
ン−N′−2−エタンスルホン酸(HEPES)、N−
トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン (Tricin
e)、グルシンアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエ
チル)グリシン (Bicine) 、N−トリス(ヒドロキシメ
チル)メチル−2−アミノプロパンスルホン酸(TAP
S)、シクロヘキシルアミノエタンスルホン酸(CHE
S)、シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸(CA
PS)などが挙げられる。好ましくは、例えば水酸基を
有する緩衝剤としてN,N−ビス(2- ヒドロキシエチ
ル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、N−2
−ヒドロキシエチルピペラジン−N′−2−エタンスル
ホン酸(HEPES)、N−トリス(ヒドロキシメチ
ル)メチル−2−アミノプロパンスルホン酸(TAP
S)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−ア
ミノエタンスルホン酸(TES)、N−トリス(ヒドロ
キシメチル)メチルグリシン (Tricine)などが挙げられ
る。Trisまたはグッド緩衝剤の量は、0.05〜5
0重量%、好ましくは0.2〜10重量%である。これ
らのTrisまたはグッド緩衝剤は、pHの維持になる
とともに水分の保持能力を有する。
【0007】上記緩衝剤に加えて糖類を使用するとさら
に有機溶媒中でのエステル交換反応において高い活性が
見られる。糖類は水分の保持とともに、リパーゼの安定
化を行う。本発明に用いる糖類としては、いずれのもの
でも良いが、例えばグルコース、ガラクトースなどの単
糖類、マンニトール、ソルビトールなどの糖アルコー
ル、シュークロース、ラクトース、トレハロースなどの
二糖類などが挙げられる。糖類の量は、0.1〜30重
量%、好ましくは1〜10重量%である。
【0008】本発明に用いるリパーゼとしては、いずれ
のリパーゼでもよいが、例えばシュードモナス属、ムコ
ール属、クロモバクテリウム属、リゾプス属、アスペル
ギルス属、ペニシリウム属、フザリウム属などの微生物
由来のリパーゼ、あるいは動物臓器由来のリパーゼなど
が挙げられる。さらにDNA組換え技術により生産され
るリパーゼであってもよい。
【0009】また、本発明に用いる固定化担体として
は、リパーゼが固定化される担体であればいずれの担体
でも良いが、例えば商品名、ハイフロスーパーセル(Joh
n Manville Sales社製) などの珪藻土、イオン交換樹
脂、ゲル濾過担体などのポリマー担体、シリカゲル及び
多孔性ガラスなどが挙げられる。固定担体の形状は、微
粒子状、ビーズ状、膜状あるいは繊維状などいずれの形
状のものでも良いが、好ましくは微粒子状、あるいはビ
ーズ状のものが良い。
【0010】本発明において固定化リパーゼを製造する
には、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンおよび
グッド緩衝剤よりなる群から選ばれた1種または2種以
上の化合物を含む緩衝液中で固定化担体にリパーゼを固
定化し、乾燥する。固定化担体にリパーゼを固定化する
方法としては、結合、吸着、沈着及び包括などのいずれ
の方法でも良いが、例えば適当なpHに調製した上記緩
衝剤を含有する緩衝液中に必要に応じて糖類を添加した
後、リパーゼ及び固定化担体を混和し、固定化担体の表
面もしくは微細孔にリパーゼを吸着または結合させる等
の方法が挙げられる。固定化する条件は、0〜50℃、
好ましくは5〜30℃の温度で10分間〜1週間、好ま
しくは1〜48時間静置あるいは攪拌しながら保存すれ
ばよい。次いで凍結乾燥、減圧乾燥、加熱乾燥等により
乾燥することができる。このようにして得られた固定化
リパーゼは有機溶媒中でのエステル交換反応における活
性が著しく高い。
【0011】また本発明の固定化リパーゼを製造するに
は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンおよびグ
ッド緩衝剤よりなる群から選ばれた1種または2種以上
の化合物を含む緩衝液中で固定化担体にリパーゼを固定
化し、乾燥した後、湿度40〜100%の空気中で吸湿
させることにより、あるいは乾燥時に残留水分量を調節
することにより、水分を0.1〜30重量%含有させ
る。本発明の固定化リパーゼに水分を0. 1〜30重量
%、好ましくは1〜10%含有させることにより、さら
に著しくリパーゼの有機溶媒中でのエステル交換反応活
性を上昇させることができる。水分を含有させる方法と
しては、乾燥時に水分含有量を調節する方法及び乾燥後
に所定量の水分を含有させる方法のいずれの方法でも良
い。望ましくは乾燥後、直接水を添加することなく、湿
度40〜100%の空気で吸湿させることにより、ある
いは乾燥時に残留水分量を調節することにより、高いエ
ステル交換反応活性を有し、加水分解などの副反応を伴
わない固定化リパーゼを製造することができる。
【0012】次に本発明の固定化リパーゼの活性測定法
を示す。反応液として、50mM2, 2, 2- トリフル
オロエチルオクタノエート(TFEO)及び0.2Mエ
タノールを含む乾燥ジイソプロピルエーテル10mlを
スターラーバーの入った共栓付試験管に採り、撹拌しな
がら25. 5℃で10分間予備加温する。これに固定化
リパーゼ約20mgを添加し、1〜20分間に数回サン
プリングし、キャピラリーガスクロマトグラフィー(D
B−5、(J&WScientific 社製)160℃)にて、
未反応のTFEO及び生成したエチルオクタノエート
(EO)を定量する。TFEO及びEOのリテンション
タイムは約2. 14及び2. 54分である。反応転換率
の対数を反応時間に対してプロットし、得られた直線の
傾きにより反応初期速度を求め、これより1分間に生成
するEO量を求めて、酵素活性を算出する。なお、1分
間に1マイクロモルのEOを生成する酵素活性を1Uと
する。本発明の固定化リパーゼは油脂の高度化加工、エ
ステル合成やエステル交換あるいは光学異性体の分割等
に使用される。
【0013】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明を具体的に示す。 実施例1 表1に示す所定のpHに調製した20mMの各種緩衝液
10mlに、シュードモナス属由来リパーゼ(東洋紡
製)10mg及び商品名、ハイフロスーパーセル(John-
Manville Sales社製) を添加し、4℃にて2日自然乾燥
した後、減圧乾燥し、各固定化リパーゼの活性を測定し
た。その結果を表1に示す。
【0014】
【表1】 リン酸緩衝液、ブリトンロビンソン緩衝液では、リン酸
塩により活性発現の阻害が認められたが、Tris−H
Cl緩衝液中では、緩衝液無添加、リン酸緩衝液、及び
ブリトンロビンソン緩衝液と比較して高いエステル交換
反応の力価となった。また、該固定化リパーゼの最適p
Hは該リパーゼの水溶液中での至適pHとよく一致し
た。なお、いずれの固定化リパーゼも、上記有機溶媒中
でのエステル交換反応の際に加水分解反応などの副反応
は全く認められなかった。
【0015】実施例2 表2に示す20mMの各種緩衝液(pH8. 0)5ml
に、シュードモナス属由来リパーゼ(東洋紡製)20m
g及び商品名、ハイフロスーパーセル(John-Manville S
ales社製) 2gを添加し4℃にて1日間保存した後、凍
結乾燥法により乾燥した。その後20℃、湿度90%に
て、吸湿させて水分を調製した固定化リパーゼを得、そ
のエステル交換反応の活性を測定した。その結果を表2
に示す。
【0016】
【表2】
【0017】緩衝液無添加のものと比較して、Tris
−HCl緩衝液や種々のグッド緩衝液を添加した固定化
リパーゼは高い力価となった。又これらの中でも水酸基
を有する緩衝剤ではより活性が高くなっており、緩衝剤
の構造により固定化リパーゼの活性が影響を受けること
が推察できる。なお、いずれの固定化リパーゼも、上記
有機溶媒中でのエステル交換反応の際に加水分解反応な
どの副反応は全く認められなかった。
【0018】実施例3 20mMTris−HCl緩衝液(pH8. 0)5ml
にシュードモナス属由来リパーゼ(天野製薬製)10m
g、商品名、ハイフロスーパーセル(John-Manville Sal
es社製)1g及び表3に示す各種糖類75mgを添加し
て凍結乾燥した。又、その後25℃、湿度95%で1日
間吸湿させ、吸湿前後の固定化リパーゼの活性を測定し
た。その結果を表3に示す。
【0019】
【表3】 単糖類、二糖類あるいは糖アルコール等の各種糖類を添
加したものでは、いずれも無添加と比較してより高活性
となった。また、該固定化リパーゼを吸湿させることに
よって水分を含有させることで著しく活性が増大した。
なお、いずれの固定化リパーゼも、上記有機溶媒中での
エステル交換反応の際に加水分解反応などの副反応は全
く認められなかった。
【0020】実施例4 20mMTris−HCl緩衝液(pH8. 0)5ml
にシュードモナス属由来リパーゼ(天野製薬製)10m
g、商品名、ハイフロスーパーセル(John-Manville Sal
es社製)1g及び表4に示す各種糖類75mgを添加
し、4℃にて2日間自然乾燥した後、塩化カルシウムを
入れたデシケーター内で1日間減圧乾燥し、その後さら
に五酸化二リンを入れたデシケーター内で3日間減圧乾
燥して、水分を調製した固定化リパーゼを得、その活性
を測定した。その結果を表4に示す。
【0021】
【表4】 塩化カルシウムを入れたデシケーター内での1日間の減
圧乾燥では水分が残留しているため、糖類を添加した固
定化リパーゼは無添加のものと比較するとより高い活性
を示すが、更に乾燥を進めると活性が低下し、糖の添加
効果は低下する。即ち、乾燥時に残留水分を調製するこ
とで、高い活性の固定化リパーゼが得られた。なお、い
ずれの固定化リパーゼも、上記有機溶媒中でのエステル
交換反応の際に加水分解反応などの副反応は全く認めら
れなかった。
【0022】実施例5 20mMTris−HCl緩衝液(pH8. 0)5ml
に商品名、ハイフロスーパーセル(John-Manville Sales
社製)1g、シュークロース75mg及び表5に示す各
種リパーゼを添加した後、4℃にて2日間自然乾燥し、
塩化カルシウム入りのデシケーター内で25℃にて1日
間減圧乾燥により乾燥した。その後25℃、湿度95%
にて吸湿させて調製した固定化リパーゼの活性を測定し
た。その結果を表5に示す。
【0023】
【表5】 いずれのリパーゼも、吸湿によって水分を含有させるこ
とにより、高力価となった。なお、いずれの固定化リパ
ーゼも、上記有機溶媒中のエステル交換反応の際に加水
分解反応などの副反応は全く認められなかった。
【0024】実施例6 20mMTris−HCl緩衝液(pH8. 0)10m
lにシュードモナス属由来リパーゼ(東洋紡製)10m
g及び表6に示す各種固定化担体を1g添加し、4℃に
て2日間自然乾燥した後、塩化カルシウム入りデシケー
ター内で25℃にて1日間減圧乾燥した。その後25
℃、湿度95%にて吸湿させて調製した固定化リパーゼ
の活性を測定した。その結果を表6に示す。
【0025】
【表6】 いずれの固定化担体でも高力価の固定化リパーゼが得ら
れた。なお、いずれの固定化リパーゼも、上記有機溶媒
中でのエステル交換反応の際に加水分解反応などの副反
応は全く認められなかった。
【0026】実施例7 20mMTris−HCl緩衝液(pH8.0)5ml
にシュードモナス属由来リパーゼ(天野製薬製)10m
g、商品名、ハイフロスーパーセル(John-Manville Sal
es社製)1g及び表7に示す各種糖類75mgを添加
し、4℃にて2日間自然乾燥した後、塩化カルシウム入
りデシケーター内で室温にて1日間乾燥して調製した固
定化リパーゼの活性を測定した。また活性測定時に反応
液に水を所定量添加し、固定化リパーゼ活性及び副反応
として生じる加水分解反応を測定した。なお全反応に占
める加水分解反応の割合は下記の計算式により算出し
た。エステル交換反応によって生成するEOのモル濃度
を[EO]、加水分解反応によって生じるオクタン酸
(OA)のモル濃度を[OA]とした。 加水分解反応の割合(%)=[OA]/([EO]+
[OA])×100 その結果を表7に示す。
【0027】
【表7】 糖類を添加しない固定化リパーゼでは水分を添加するに
従って活性は増大してきた(クリバノフらをはじめとし
て一般的に行なわれてきた方法)。しかし一方で加水分
解反応も生じ、最も活性が高くなる30μl(全反応液
の約0. 3%)では、同時に加水分解反応も49. 8%
とエステル交換と同程度生じた。シュークロース、トレ
ハロースを添加したものでは酵素活性発現に必要な微量
の水分を保持しているため、水を添加しないものでも固
定化リパーゼは高活性を示す。また水を添加すると、固
定化リパーゼ活性はほとんど変化しないが、加水分解反
応のみ増大し、10μl(全反応液の0. 1%)の添加
で約15%の加水分解反応の割合となった。
【0028】
【発明の効果】本発明の固定化リパーゼはトリス(ヒド
ロキシメチル)アミノメタンおよびグッド緩衝剤を含有
することにより、有機溶媒中でのエステル交換反応にお
いて高い活性を有し、かつ加水分解反応などの副反応を
ほとんど生じない。また水分を0.1〜30重量%に調
整することにより有機溶媒中での高い活性を維持でき
る。したがって有機溶媒中に水分を添加してエステル交
換反応を行う必要がない。また糖類をさらに含有するこ
とにより、水分が保持され、高い活性が見られた。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−174384(JP,A) 特開 昭60−203192(JP,A) 特開 平1−153097(JP,A) 特開 平3−130079(JP,A) 特開 平3−49684(JP,A) 特開 昭48−91267(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 11/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタ
    ンおよびグッド緩衝剤よりなる群から選ばれた1種また
    は2種以上の化合物、単糖、糖アルコール、および二糖
    類よりなる群から選ばれた1種または2種以上の化合
    物、固定化担体ならびにリパーゼを含有することを特徴
    とする固定化リパーゼ。
  2. 【請求項2】 水分を0.1〜30重量%含有すること
    を特徴とする請求項1記載の固定化リパーゼ。
  3. 【請求項3】 トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタ
    ンおよびグッド緩衝剤よりなる群から選ばれた1種また
    は2種以上の化合物ならびに単糖、糖アルコール、およ
    び二糖類よりなる群から選ばれた1種または2種以上の
    化合物を含む緩衝液中で固定化担体にリパーゼを固定化
    し、乾燥することを特徴とする固定化リパーゼの製造
    法。
  4. 【請求項4】 トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタ
    ンおよびグッド緩衝剤よりなる群から選ばれた1種また
    は2種以上の化合物ならびに単糖、糖アルコール、およ
    び二糖類よりなる群から選ばれた1種または2種以上の
    化合物を含む緩衝液中で固定化担体にリパーゼを固定化
    し、乾燥した後、湿度40〜100%の空気中で吸湿さ
    せることにより、あるいは乾燥時に残留水分量を調節す
    ることにより、水分を0.1〜30重量%含有させるこ
    とを特徴とする固定化リパーゼの製造法。
JP04102862A 1992-04-22 1992-04-22 固定化リパーゼ及びその製法 Expired - Fee Related JP3119314B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04102862A JP3119314B2 (ja) 1992-04-22 1992-04-22 固定化リパーゼ及びその製法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04102862A JP3119314B2 (ja) 1992-04-22 1992-04-22 固定化リパーゼ及びその製法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05292965A JPH05292965A (ja) 1993-11-09
JP3119314B2 true JP3119314B2 (ja) 2000-12-18

Family

ID=14338730

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP04102862A Expired - Fee Related JP3119314B2 (ja) 1992-04-22 1992-04-22 固定化リパーゼ及びその製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3119314B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
BR112020010347A2 (pt) 2017-11-24 2020-10-20 Novozymes A/S pequenas partículas enzimáticas para interesterificação
EP3744838A1 (en) 2019-05-29 2020-12-02 Novozymes A/S Lipolytic polymer particles for esterification and interesterification
US20240076648A1 (en) 2021-02-26 2024-03-07 Novozymes A/S Polystyrene/divinylbenzene particles for lipase immobilization

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05292965A (ja) 1993-11-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Kearney Enzyme hydrolysis, purification and properties of enzyme responsible for hydrolyzing phenylcarbamates
EP0906417B1 (en) Cross-linked protein crystal formulations and their use as catalysts in organic solvents
Fishbein et al. Purification and Properties of an Enzyme in Human Blood and Rat Liver Microsomes Catalyzing the Formation and Hydrolysis of γ-Lactones: I. TISSUE LOCALIZATION, STOICHIOMETRY, SPECIFICITY, DISTINCTION FROM ESTERASE
JPH03501922A (ja) リパーゼの固定化方法
JPS62134090A (ja) 酵素剤の製造法
JP2678341B2 (ja) 固定化リパーゼ
US5387514A (en) Acylation of alcohols with Pseudomonas lipase immobilized on a polystyrene resin
JPH0416156B2 (ja)
KR20190125826A (ko) 써모마이세스 라누지노서스 유래 자체 고정화 리파아제를 이용한 트리메틸올프로판 트리에스테르의 제조방법
US5508182A (en) Esterification of hydrophilic polyols by adsorption onto a solid support and employing a substrate-immiscible solvent
JP3119314B2 (ja) 固定化リパーゼ及びその製法
JPH04507193A (ja) 固定化リパーゼ調製品およびエステル合成のための該調製品の使用
Murakami et al. Borate buffer dramatically enhances the activity of poly (ethylene glycol)-α-chymotrypsin complex catalytically active in anhydrous isooctane than conventional phosphate buffer even at low concentration
Chen et al. Polyvinyl formal resin plates impregnated with lipase-entrapped sol–gel polymer for flavor ester synthesis
Kawakami et al. Entrapment of lipase in silica glass by the sol-gel method and its esterification activity in organic media
US4632904A (en) Immobilized enzyme composites having carriers derivatized with an organotitanate
JP3603325B2 (ja) 高エステル交換活性酵素剤およびその製造方法
EP0571421B1 (en) Enzymatic reverse hydrolysis of hydrophilic substrates - preparation of amphiphilic compounds
Bruno et al. Ester synthesis catalyzed by Mucor miehei lipase immobilized on magnetic polysiloxane-polyvinyl alcohol particles
Kanwar et al. Enhancement of ethyl propionate synthesis by poly (AAc-co-HPMA-cl-MBAm)-immobilized pseudomonas aeruginosa MTCC-4713, exposed to Hg 2+ and NH 4+ ions
EP0498889A1 (en) Stabilized immobilized enzyme
Stevenson et al. High-yield syntheses of ethyl and 2-fluoroethyl β-d-galactopyranosides using Streptococcus thermophilus β-galactosidase
JPS6219090A (ja) 酵素法によるジグリセリドの製造法
Khasanov et al. State of fungal lipases of Rhizopus microsporus, Penicillium sp. and Oospora lactis in border layers water—solid phase and factors affecting catalytic properties of Enzymes
SI9200192A (en) Process for higher enantioselectivity of candid lypase by chiral alcohols estering and imobilised candid lypase

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071013

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081013

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081013

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091013

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091013

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101013

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111013

Year of fee payment: 11

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees