JP3115503B2 - 鉄道車両用車体傾斜装置付台車 - Google Patents

鉄道車両用車体傾斜装置付台車

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JP3115503B2
JP3115503B2 JP07094246A JP9424695A JP3115503B2 JP 3115503 B2 JP3115503 B2 JP 3115503B2 JP 07094246 A JP07094246 A JP 07094246A JP 9424695 A JP9424695 A JP 9424695A JP 3115503 B2 JP3115503 B2 JP 3115503B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄道軌道の曲線軌道
間内における鉄道車両の走行性能を向上するための鉄道
車両用車体傾斜装置付台車に関する。
【0002】
【従来の技術】図8は、従来の、能動的に傾斜制御を行
うコロ式の車体傾斜装置付車両(振子車)における車体
の重心、車体の傾斜中心、軸ばね中心、まくらばね(空
気ばね)中心の位置関係を示す模式的正面図である。図
9は、図8の車両において車体を傾斜させた状態を示す
模式的正面図である。ここで、1は車体、2はまくらば
ね、3は振子はり、7は台車枠、9は軸ばね、10は輪
軸、13は車体傾斜用アクチュエータ、20は車体傾斜
装置(コロ式)、Gは車体の重心、O0 は車体の傾斜中
心、O1 は軸ばね中心、O2 はまくらばね中心である。
【0003】コロ式車体傾斜装置付車両は、車体1、ま
くらばね2、振子はり3、台車枠7、軸ばね9、輪軸1
0、車体傾斜装置(コロ式)20などから構成されてい
る。自然振子式の(能動的に傾斜制御を行わない)車両
では、曲線軌道部で、車体の重心Gに作用する遠心力に
より、車体の傾斜中心O0 を回転中心として車体傾斜さ
せている。また、最近では、曲線軌道出入り口部に設け
られている緩和曲線軌道で、車体の傾斜を遅れなくかつ
緩やかに行わせて乗心地を向上させるため、振子はり3
と台車枠7の間に空気圧シリンダなどの車体傾斜用アク
チュエータ13を取り付け、車体の重心Gに作用する遠
心力にプラスして車体傾斜制御力を付加して積極的に傾
斜制御を行う制御付車体傾斜装置も実用化している。た
だし、制御付車体傾斜装置の場合も、車体傾斜制御のフ
ェイル時には、遠心力のみで車体傾斜をさせる自然振子
を可能にするため、車体の傾斜中心高さは従来の自然振
子の場合と同じにしている。
【0004】このように日本国内の従来の振子車は、基
本的に、車体傾斜力として曲線軌道走行時に生じる遠心
力を利用しているため、図8のように車体の傾斜中心O
0 の高さはレール面上2275〜2300 mm の高さに極力高く
し、車体の重心Gの高さはレール面上1300〜1500mmに極
力低くして、車体の重心Gに働く遠心力による車体傾斜
中心回りのモーメント力(車体傾斜中心〜車体重心の距
離がモーメントの腕の長さとなる)が大きくなるように
している。また、まくらばねの中心O2 の高さは、車体
の構成上からほとんどの車両がレール面上9001〜000mm
としている。
【0005】しかし、こうした従来の車体傾斜装置付車
両の車体の重心、車体の傾斜中心、まくらばね中心の高
さの関係では、車体傾斜装置付車両の性能を向上しよう
とする場合に種々の問題が生じて、性能向上が不可能で
ある。というのは、曲線軌道で車体を車体傾斜中心回り
曲線軌道の内側に傾斜させると、車体の重心Gは、
線軌道の軌道中心より外軌側に移動するため(図9にお
けるGーG´間のS)、台車の内軌側の車輪にかかる輪
重が小さくなる。その結果、極端な場合、脱線の危険性
が生じて、曲線軌道走行速度を向上する場合の制限要因
となる。
【0006】また、車体の重心Gに働く遠心力による車
体傾斜中心回りのモーメント力を大きくして自然振子を
行い易くするために、車体の傾斜中心の高さを従来の車
体傾斜装置付車両のように高くすると、車体傾斜時に車
体床面の左右動揺量が大きくなる。そうなると、立って
いる乗客や歩行中の乗客は足をすくわれる感じがし、ま
た、座っている乗客も左右振動が大きくなるため、乗心
地が悪くなり、更に、曲線軌道走行速度を向上するのが
困難になる。
【0007】最近、自動車や飛行機などとの競争から、
曲線軌道走行速度や乗心地を一層向上することが鉄道の
重要な課題となっている。この課題を達成するために、
車体傾斜装置付車両の構成を、走行性能や乗心地を大幅
に向上できるように変える必要があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術でも述べた
ように、これまでに日本国内で実用化されている車体傾
斜装置付車両は、自然振子を可能とするためや車両の構
成上の理由から、車体の傾斜中心、車体の重心、まくら
ばね中心の高さの関係を、図8のように車体の傾斜中心
は極力高く、車体の重心は極力低く、まくらばねは車体
台枠の下に配置するのが一般的であった。
【0009】そのため、曲線軌道走行時に車体を曲線軌
内側に傾斜させると、車体の重心は曲線軌道の外軌側
に移動し、台車の内軌側の輪重が小さくなるので、曲線
軌道の速度向上が制限されるという問題点があった。ま
た、車体傾斜中心が高いと車体傾斜時に車体床面の左右
動揺量が大きくなり、乗り心地が悪くなるという問題点
があった。さらに、まくらばねの取りつけ高さが低い
と、曲線軌道走行時に車体がローリングして外傾するた
め、車体傾斜装置による車体傾斜角度が実質的に若干小
さくなり、乗心地を悪化させるという問題点があった。
【0010】最近、車体傾斜装置付車両の曲線軌道走行
速度や緩和曲線軌道走行時の乗心地を一層向上させたい
というニーズが非常に強くなっている。本発明の目的
は、従来の振子車の車両構造を大幅に変更して、車体傾
斜中心高さ、車体重心高さ、まくらばね中心高さの関係
を従来と変えることによって、曲線軌道走行速度を更に
向上した場合にも、台車の内軌側の輪重が減少するのを
防止して走行性能を向上し、また、車体傾斜時の車体床
面の左右動揺量や車体のローリングを抑えて乗心地を向
上することである。
【0011】本発明の他の目的は、車体支持装置のまく
らばねを高い位置に装架して曲線軌道走行時の遠心力で
車体を自然に数度、曲線軌道の内側に傾斜させて遠心加
速度の影響を小さくして乗心地を改善すると共に、車体
傾斜制御がフェイルした場合にも乗心地が極端に悪化し
ないようにした鉄道車両用車体傾斜装置付台車を提供す
ることである。
【0012】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明の鉄道車
両用車体傾斜装置付台車は、車輪、車軸、軸箱等を含む
輪軸組立体と、輪軸組立体上に支持された台車枠と、台
車枠上に立てられた車体の屋根付近にまで立ち上る支持
架台と、支持架台の上部に配置された、車体下部の車体
傾斜中心を中心として揺動する揺動部材と、上記支持架
台と揺動部材間に設けられた車体傾斜用アクチュエー
、及び、車両が曲線軌道を走行中に車体に働く遠心力
を車体内において見掛け上打ち消すように該車体傾斜用
アクチュエータを駆動させる制御装置と、上記揺動部材
と車体間に設けられた車体の弾性支持手段(まくらバ
ネ)と、を具備し、 上記車体傾斜中心が車体の重心より
下であることを特徴とする。
【0013】本発明の1態様の鉄道車両用車体傾斜装置
付台車は、鉄道車両の輪軸と、該輪軸上に軸ばねを介し
て支持した台車枠と、車体を支持する空気ばねなどから
なる、車体屋根に近い高い位置に装架した車体支持装置
と、曲線軌道で車体を曲線軌道の内側に傾斜させるベア
リングガイド式あるいはコロ式あるいはリンク式などの
車体傾斜装置と、車体の傾斜を制御する油圧シリンダあ
るいは空気圧シリンダなどのアクチュエータを含み、車
両が曲線軌道を走行中に車体に働く遠心力を車体内にお
いて見掛け上打ち消すように該車体傾斜用アクチュエー
タを駆動させる車体傾斜制御装置と、該車体支持装置お
よび該車体傾斜装置を車体屋根に近い高い位置に装架す
るために該台車枠の上に固定した支持架台と、で構成し
た鉄道車両用車体傾斜装置付台車において;該車体傾斜
装置のベアリングガイドあるいはコロ式ガイドの曲率や
リンク式のリンクなどの車体傾斜装置の構成により、車
体の傾斜中心が車体の重心より下で、車体の床面高さ程
度になるように設定することにより、曲線軌道で車体を
曲線軌道内側に傾斜させる場合に、車体の重心が曲線軌
の軌道中心より内側に移動して、各台車の内軌側の輪
重が小さくなるのを防いで走行性能を向上し、また、車
体傾斜時の車体床面の左右動揺が小さくなり乗り心地が
向上するようにし、空気ばねなどの車体支持装置を車体
屋根に近い高い位置に装架することにより、上記車体傾
斜装置による車体傾斜角度に加えて、曲線軌道走行時に
車体が遠心力により曲線軌道の内側に自然に数度傾斜す
ため車体床面での左右定常加速度が減少して乗り心地
が良くなり、また、車体傾斜制御がフェイルした場合で
も、この自然振子作用により乗り心地が極端に悪くなる
のを防ぐようにしたことを特徴とする。
【0014】従来の車体傾斜中心が高い位置にある車体
傾斜装置付車両では、車体を曲線軌道の内側に傾斜させ
ると車体の重心は、必ず曲線軌道の外軌側に移動し、各
台車の内軌側の輪重が小さくなる。従来の車体傾斜装置
付車両の構成のままで、車体傾斜時の各台車の内軌側の
輪重減少を防止しようとすると、車体全体を車体傾斜の
タイミングに合わせて曲線軌道内側に水平に移動しなけ
ればならない。しかし、このやり方では、装置が非常に
大掛かりになり現実的でない。また、車体の傾斜中心が
従来形の車体傾斜装置付車両のように高い位置にある
と、車体傾斜時に、車体床面の左右動揺が必然的に大き
くなり対策が難しい。
【0015】そこで、従来の車体傾斜装置付車両の車体
の傾斜中心、車体の重心、まくらばね中心の高さの関係
を変更して、曲線軌道で車体を傾斜させる際に各台車の
内軌側の輪重が減少しないよう、また、車体床面の左右
動揺を小さくするような種々の車両構成を検討した。
【0016】図1は車体傾斜装置付車両の車体の重心、
車体の傾斜中心、まくらばね中心の高さの関係を示す説
明図である。ここで、Gは車体の重心、O0 は車体の傾
斜中心、O1 は軸ばね中心、O2 はまくらばね中心であ
る。ケース[1]からケース[5]は、車体傾斜装置付
車両の曲線軌道走行時の走行性能や乗心地を向上させる
ように、車体の重心G、車体の傾斜中心O0 、軸ばね中
心O1 、まくらばね中心O2 の高さの関係を種々に組み
合わせた車両構成の例である。
【0017】ケース[1]は、従来の車体傾斜装置付車
両の構成で、車体の傾斜中心O0 を極力高く、車体の重
心Gを極力低くして自然振子を行い易くしている。ケー
ス[2]は、ケース[1]に対して、自然振子が可能な
範囲で車体の傾斜中心O0 を低くし、車体の重心Gの移
動量や床面の左右動揺量を小さく抑えるようにした車両
構成である。ケース[3]は、ケース[2]に対して、
車体の傾斜中心O0 および車体の重心Gを同時に極力低
くし、車体傾斜装置付車両として一層の性能向上を図っ
た構成である。
【0018】ケース[4]は、ケース[3]に対して、
車体の傾斜中心O0 、車体の重心Gの高さは同等のま
ま、まくらばねを高い位置に装架することにより、曲線
軌道走行時に遠心力とまくらばねのばね作用で、車体傾
斜装置による車体傾斜角にプラスして車体を数度、曲線
軌道の内側に傾斜させて車体傾斜装置付車両の乗心地向
上を図った構成である。
【0019】ケース[5]は、本発明の1態様の鉄道車
両用車体傾斜装置付台車を装架した車両構成で、ケース
[4]に対して、まくらばね中心O2 、車体の重心Gの
高さは同等のまま、車体の傾斜中心O0 が車体の重心G
より低くなるように車体傾斜装置を構成し、曲線軌道
車体を曲線軌道の内側に傾斜させる際に車体の重心を
線軌道の中心より内側に移動させ、各台車の内軌側の輪
重の減少を抑える工夫をしている。ケース[5]のよう
に車体の傾斜中心O0 を極力低く、まくらばね中心O2
を高く構成することにより、車体傾斜装置付車両の課題
であった走行性能と乗心地を同時に、かつ、大幅に向上
することが可能となる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。まず、図
10、図11及び図12を参照しつつ本発明の鉄道車両
用車体傾斜装置付台車の有する車体の揺動支持機構につ
いて説明する。本発明の鉄道車両用車体傾斜装置付台車
は、次の2つの揺動支持機構を併用している。 車体
下部の車体傾斜中心を中心として揺動する揺動部材(振
子はり等)及びその駆動アクチュエータ(以下振子メカ
ニズムという): 車体上部(支持架台上部)に配置された揺動部材と
車体間に設けられた弾性支持手段(以下まくらバネによ
る傾斜メカニズムという):
【0021】図10は、本発明の1実施例に係る鉄道車
両用車体傾斜装置付台車における、車体の揺動支持機構
を模式的に示す正面図である。図11は、図10の鉄道
車両用車体傾斜装置付台車で、振子メカニズムの作動し
た状態を模式的に示す正面図である。図12は、図10
の鉄道車両用車体傾斜装置付台車で、まくらバネによる
車体傾斜メカニズムの作動した状態を模式的に示す正面
図である。
【0022】図10において、車体1(ハッチングされ
ている)は、空気ばね等の比較的柔らかいまくらバネ2
を介して、振子はり3によって支持されている。振子は
り3は、車両のかなり上の部分(車体1の天井に近い位
置)に置かれており、車両のかなり下に位置する車体傾
斜中心Oo を中心として、半径Rの円弧を描いて揺動す
る。具体的には、振子はり3の下縁は半径Rの円弧上と
なっており、支持架台5の上部に取り付けられたコロ式
車体傾斜装置20(ベアリングガイドであってもよい)
に、揺動自在に置かれている。
【0023】支持架台5は、台車枠7上に立てられた、
左右一対の柱状の構造体である。支持架台5の上端は、
車体1の天井近くまで伸び、その上端は繋ぎはり6によ
って連結されている。
【0024】振子はり3は、車体傾斜制御シリンダ13
(油又は空圧シリンダ等)によって、支持架台5に対し
て駆動される。車体傾斜制御シリンダ13の基部は支持
架台5に固定されており、ロッドの先端は振子はり3に
固定されている。すなわち、シリンダ13のロッドが伸
びると、振子はり3は右に移動し、シリンダ13のロッ
ドが縮むと、振子はり3は左に移動する。
【0025】台車枠7は、軸箱22上に軸バネ9を介し
て支持されている。軸バネ9は、比較的強いコイルバネ
やゴム等で構成されている。軸箱22は、車軸26、車
輪24に支持されている。車輪24、車軸26、軸箱2
2等を輪軸組立体という。
【0026】図11は、図10の鉄道車両用車体傾斜装
置付台車で、振子メカニズムの作動した状態を模式的に
示す正面図である。すなわち、車体傾斜制御シリンダ1
3のロッドが縮んで、振子はり3が左に移動(揺動)し
ている。振子はり3の揺動に伴って、振子はり3に支持
されている車体1も、車体傾斜中心Oo を中心として左
に角度αだけ傾いている。この時、車体1の中心Gは、
距離Sだけ左側のG´へと移動している。
【0027】図11のように左に車体1を傾けるのは、
車両の左側遠方の点を中心とする曲線軌道上を車両が走
行中のときである。そのようなときには図の右方向に遠
心力が働くが、この遠心力を車体1内において見かけ上
打ち消すために、車体1を傾斜させるのである。このよ
うに車体1を能動的に傾斜させたとき、車体1の重心が
GからG´へと左へ、すなわち曲線軌道内側に移動する
ことが本発明のひとつの特徴である。この重心の移動に
よって、内側(左側)の車輪24´の輪重を増すことが
でき、遠心力による内輪の輪重低下を補うことができ
る。
【0028】次に、図12を参照しつつ、図10の車体
傾斜装置付鉄道車両のもうひとつの車体傾斜メカニズム
である、まくらバネの伸縮による車体傾斜メカニズムを
説明する。図12においては、能動的な振子メカニズム
により車体傾斜は行われていない。図11の場合と同様
に、車両が左側遠方の点を中心とする曲線軌道上を進行
しているときには、図の右側に遠心力が働く。その遠心
力は、車体1を支えるまくらバネ2の反力の差によるモ
ーメント、並びに、左右のまくらバネ2の不均一伸縮に
よる車体1の傾斜による重力の斜め成分によって打ち消
される。そのような作用の結果、車体1は、両方のまく
らバネ2のほぼ中心の点O3 を中心として右側に振ら
れ、左側に傾く。
【0029】本発明の鉄道車両用車体傾斜装置付台車
は、上記2つの車体傾斜メカニズムを混在させるか、場
合によってどちらかを選択的に作動させることとしてい
る。振子メカニズム及びまくらバネによる傾斜メカニズムの
両方を作動させるモード: このモードにおいても、振子メカニズムによる車体傾斜
を基本として、まくらバネによる傾斜は、追加的な意味
あいとなる。例えば、緩和曲線軌道の入口や出口で、車
体の傾斜動作が遅れないよう、遠心力の発生あるいは消
失に先行して車体傾斜を開始あるいは停止する場合は、
振子メカニズムによる傾斜で対応する。このモードの場
合、実際の傾斜角を時々刻々測定して制御装置にフィー
ドバックし、その時の目標車体傾斜角からまくらバネに
よる傾斜を差引き、残りの角度を振子メカニズムによる
必要傾斜角として制御を行うこととなる。
【0030】振子メカニズムのみを作動させるモード: これが最も一般的なモードであって、このモードにおい
ては、まくらバネによる傾斜メカニズムをロックして、
振子メカニズムのみを作動させる。なお、まくらバネに
よる傾斜をロックする具体的手段としては、まくらバネ
の高さ調節装置を設け、まくらバネの高さを常に一定に
保つものがある。例えば、まくらバネとして空気ばねを
用いる場合に一般的に実用化されている装置は、空気ば
ねの高さを常に測定しておいて、基準高さから外れる
と、空気ばねに空気を給排することにより、空気ばねの
高さを一定に保つように働く装置である。しかし、この
ような装置を設けた場合でも、高さ調節装置の調節動作
の時間遅れや高さの調節動作に不感帯が存在するため、
まくらバネも若干車体の傾斜を起こさせる。そのため、
車体の傾斜角が常にプラス気味になるので左右定常加速
度が小さく乗心地が良くなる。なお、このモードにおい
ても、振子メカニズムの制御がフェイルした場合には、
まくらバネによる傾斜を行うモードに切換えれば、乗心
地が極端に悪化するのを防げるという利点がある。
【0031】まくらバネによる傾斜メカニズムのみを作
動させるモード: 振子メカニズムの制御装置がフェイルした場合には、ま
くらバネによる傾斜メカニズムを作動させ、乗心地が極
端に悪くならないようにする。また、振子メカニズによ
る制御を行うのに必要な曲線軌道のデータが無い線区を
車両が走行する場合に、このまくらバネによる傾斜メカ
ニズムを働かせて走行すれば、乗心地を余り悪くせずに
非振子車より高速で走行できるという利点がある。な
お、振子メカニズムに傾斜を起こさせないようにする具
体的手段としては、振子メカニズムの制御装置を切り、
車体傾斜抑制シリンダで振子はりの動きを固定する方法
がある。また、まくらバネによる傾斜メカニズムを生か
すには、空気ばねの高さ調節装置を作動させないように
したり、左右の空気ばねの空気室を連通管で連通させる
という方法がある。
【0032】次に、本発明の鉄道車両用車体傾斜装置付
台車を連接車に適用した場合について、図面を参照しつ
つ説明する。図2は、本発明の1実施例に係る鉄道車両
用車体傾斜装置付台車を連接車に適用して、車体間に配
置した場合の側面図である。図3は、図2の台車及び車
両をA−Aから見た矢視図である。図4は、図2の台車
及び車両をB−Bから見た矢視図である。図5は、図2
〜図4の実施例の台車に用いられているベアリングガイ
ド式車体傾斜装置を構成するベアリングガイドの詳細斜
視図である。図6は、図2の台車及び車両をC−Cから
見た矢視図である。図7は、車体傾斜制御を中止した場
合や車体傾斜制御がフェイルした場合に、車体を中立位
置に保持する車体傾斜抑制用アクチュエータを有する本
発明の1実施例に係る台車の正面図である。
【0033】ここで、1は車体、2はまくらばね、(空
気ばね)、3は振子はり、4は車体傾斜装置(ベアリン
グガイド式)、5は支持架台、6は支持架台の繋ぎは
り、7は台車枠、8は軸箱支持装置、9は軸ばね、10
は輪軸、11は車体間の貫通路、12はヨーダンパ、1
3は車体傾斜用アクチュエータ、14は車体傾斜抑制用
アクチュエータ、15は車両限界、16はベアリングガ
イドのブロック、17はベアリングガイドのレール、1
8はベアリングガイドのボール、19はベアリングガイ
ドブロックのシール、Gは車体の重心、O0 は車体の傾
斜中心、O1 は軸ばね中心、O2 はまくらばね中心、R
は車体傾斜装置ガイドの曲率半径である。
【0034】本実施例の車体傾斜装置付台車の基本的な
考え方は、まくらばね(空気ばね)2は極力高い位置に
装架すると同時に、車体の傾斜中心O0 は、車体の重心
Gより更に低く、車体床面付近の高さになるように車体
傾斜装置を構成することである。そこで、本発明の1実
施例について説明する。まくらばね(空気ばね)2は、
図2〜図4のように、車体1の屋根近くの高い位置に装
架した。また、車体傾斜装置(ベアリングガイド式)4
は、従来の車体傾斜装置付台車のように台車と車体間に
装架する構成では、車体の傾斜中心O0 を車体床面程度
の高さに設定することが難しいため、図2〜図4のよう
に振子はり3と車体傾斜装置(ベアリングガイド式)4
も、まくらばね(空気ばね)2と同様に高い位置に装架
するようにした。
【0035】本実施例は連接車であるため、空気ばね2
などの車体支持装置と振子はり3、車体傾斜装置(ベア
リングガイド式)4は、図2に示されているように、前
後の各車体を独立に支持し、かつ、傾斜させられるよう
に、1台車に前後2組を設け、これらの図2〜4で示さ
れているように、台車枠7から立上る支持架台5で支持
した。また、左右の支持架台5を、図6に示されている
ように、支持架台の繋ぎはり6で連結して支持架台5の
強度を高めた。
【0036】なお、車体傾斜装置(ベアリングガイド
式)4は、小形・軽量で、高い位置に装架する場合でも
構成が容易なベアリングガイド式車体傾斜装置を採用し
ている。ベアリングガイド式車体傾斜装置を構成するベ
アリングガイドの詳細は、図5に示されている。すなわ
ち、車体傾斜装置ガイドの曲率半径Rの円弧状のベアリ
ングガイドのレール17に数条の溝17aが加工され、
この溝17aとベアリングガイドのブロック16中を循
環するベアリングガイドのボール18列が噛み合い、ベ
アリングガイドのブロック16は、ベアリングガイドの
レール17の曲率中心を中心とする円弧運動を行うと共
に、ベアリングガイドのレール17との間で荷重の伝達
を行うことができる。
【0037】図2〜図4の台車では、2個のまくらばね
(空気ばね)2を支持する振子はり3と支持架台5の間
に、図5のベアリングガイドを2組または4組、そのガ
イドレールの曲率中心が、車体床面高さ付近になるよう
に設定した車体の傾斜中心O0 に一致するように取り付
けている。また、図2、図3に示されているように、振
子はり3と支持架台5の間には、空気圧または油圧の車
体傾斜用アクチュエータ13を取り付けて、緩和曲線軌
や円曲線軌道を走行中の車体1の傾斜を制御して乗心
地向上を図っている。
【0038】次に、本発明の他の1実施例について説明
する。図7に示されている台車においては、車体傾斜制
御を中止した場合や車体傾斜制御がフェイルした場合に
車体1が倒立振子状態となって左右の一方向に傾くのを
防ぐため、振子はり3の中央部に設けたストッパ用ブラ
ケット3aを左右から挟み込み、車体1を中立位置に戻
して保持する車体傾斜抑制用アクチュエータ14を、支
持架台の繋ぎはり6に装架している。
【0039】
【発明の効果】本発明は以上説明したように、車体傾斜
中心を車体重心より低い、車体床面高さ程度に設定した
り、車体支持装置のまくらばねを車体屋根付近の高い位
置に装架したりするなどして、車体傾斜装置や車体支持
装置の構成を従来の振子車に対して大幅に変えることに
より、各台車の曲線軌道内軌側の輪重減少を防止して走
行性能を向上したり、車体傾斜時の車体床面の左右動揺
を小さくして乗心地を向上するなどが可能となり、曲線
軌道走行性能を大幅に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車体傾斜装置付車両の車体の重心、車体の傾斜
中心、まくらばね中心の高さの関係の変遷を示す説明図
である。
【図2】本発明の1実施例に係る、鉄道車両用車体傾斜
装置付台車を連接車に適用して、車体間に配置した場合
の側面図である。
【図3】図2の台車及び車体をA−Aから見た矢視図で
ある。
【図4】図2の台車及び車体をB−Bから見た矢視図で
ある。
【図5】図2〜図4に用いられているベアリングガイド
式車体傾斜装置を構成するベアリングガイドの詳細図で
ある。
【図6】図2の台車及び車体をC−Cから見た矢視図で
ある。
【図7】本発明の他の1実施例に係る、車体を中立位置
に保持する車体傾斜抑制用アクチュエータの構成状況を
示した図である。
【図8】従来のコロ式制御付車体傾斜装置付車両(振子
車)における車体傾斜中心、車体重心、まくらばね中
心、軸ばね中心の位置関係を示す説明図である。
【図9】図8の車両において車体を傾斜させた状態を示
す模式的正面図である。
【図10】本発明の1実施例に係る鉄道車両用車体傾斜
装置付台車における、車体の揺動支持機構を模式的に示
す正面図である。
【図11】図10の鉄道車両用車体傾斜装置付台車で、
振子メカニズムの作動した状態を模式的に示す正面図で
ある。
【図12】図10の鉄道車両用車体傾斜装置付台車でま
くらバネによる車体傾斜メカニズムの作動した状態を模
式的に示す正面図である。
【符号の説明】
1 車体 2 まくらばね
(空気ばね) 3 振子はり 4 車体傾斜装置 (ベアリングガイド式) 5 支持架台 6 支持架台の繋
ぎはり 7 台車枠 8 軸箱支持装置 9 軸ばね 10 輪軸 11 車体間の貫通路 12 ヨーダンパ 13 車体傾斜用アクチュエータ 14 車体傾斜抑
制用アクチュエータ 15 車両限界 16 ベアリング
ガイドのブロック 17 ベアリングガイドのレール 18 ベアリング
ガイドのボール 19 ベアリングガイドブロックのシール 20 車体
傾斜装置(コロ式) 22 軸箱 24 車輪 26 車軸 O0 車体の傾斜中心 O1 軸ばね中
心 O2 まくらばね中心 G 車体の重
心 O3 まくらばね中心 R 車体傾斜装置
ガイドの曲率半径

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪、車軸、軸箱等を含む輪軸組立体
    と、 輪軸組立体上に支持された台車枠と、 台車枠上に立てられた車体の屋根付近にまで立ち上る支
    持架台と、 支持架台の上部に配置された、車体下部の車体傾斜中心
    を中心として揺動する揺動部材と、 上記支持架台と揺動部材間に設けられた車体傾斜用アク
    チュエータ、及び、車両が曲線軌道を走行中に車体に働
    く遠心力を車体内において見掛け上打ち消すように該車
    体傾斜用アクチュエータを駆動させる制御装置と、 上記揺動部材と車体間に設けられた車体の弾性支持手段
    (まくらバネ)と、 を具備し、 上記車体傾斜中心が車体の重心より下である ことを特徴
    とする鉄道車両用車体傾斜装置付台車。
  2. 【請求項2】 鉄道車両の輪軸と、 該輪軸上に軸ばねを介して支持した台車枠と、 車体を支持する空気ばねなどからなる、車体屋根に近い
    高い位置に装架した車体支持装置と、曲線軌道 で車体を曲線軌道の内側に傾斜させるベアリン
    グガイド式あるいはコロ式あるいはリンク式などの車体
    傾斜装置と、 車体の傾斜を制御する油圧シリンダあるいは空気圧シリ
    ンダなどのアクチュエータを含み、車両が曲線軌道を走
    行中に車体に働く遠心力を車体内において見掛け上打ち
    消すように該車体傾斜用アクチュエータを駆動させる
    体傾斜制御装置と、 該車体支持装置および該車体傾斜装置を車体屋根に近い
    高い位置に装架するために該台車枠の上に固定した支持
    架台と、 で構成した鉄道車両用車体傾斜装置付台車において; 該車体傾斜装置のベアリングガイドあるいはコロ式ガイ
    ドの曲率やリンク式のリンクなどの車体傾斜装置の構成
    により、車体の傾斜中心が車体の重心より下で、車体の
    床面高さ程度になるように設定することにより、曲線軌道 で車体を曲線軌道内側に傾斜させる場合に、車
    体の重心が曲線軌道の軌道中心より内側に移動して、各
    台車の内軌側の輪重が小さくなるのを防いで走行性能を
    向上し、 また、車体傾斜時の車体床面の左右動揺が小さくなり乗
    り心地が向上するようにし、 空気ばねなどの車体支持装置を車体屋根に近い高い位置
    に装架することにより、 上記車体傾斜装置による車体傾斜角度に加えて、曲線軌
    走行時に車体が遠心力により曲線軌道の内側に自然に
    数度傾斜するため車体床面での左右定常加速度が減少し
    て乗り心地が良くなり、また、車体傾斜制御がフェイル
    した場合でも、この自然振子作用により乗り心地が極端
    に悪くなるのを防ぐようにしたことを特徴とする鉄道車
    両用車体傾斜装置付台車。
  3. 【請求項3】 車体傾斜制御を中止した場合や車体傾斜
    制御がフェイルした場合に、倒立振り子作用で車体が左
    右の一方向に傾くのを防ぐため、該車体傾斜制御装置に
    車体を中立位置に保持する該車体傾斜抑制用アクチュエ
    ータを付加して、車体を中立位置に戻して保持するよう
    にした請求項1又は2記載の鉄道車両用車体傾斜装置付
    台車
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