JP3110720B2 - イオン交換膜電解槽における気液分離方法 - Google Patents

イオン交換膜電解槽における気液分離方法

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JP3110720B2 JP10200729A JP20072998A JP3110720B2 JP 3110720 B2 JP3110720 B2 JP 3110720B2 JP 10200729 A JP10200729 A JP 10200729A JP 20072998 A JP20072998 A JP 20072998A JP 3110720 B2 JP3110720 B2 JP 3110720B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電解槽における気液
分離方法に関し、とくにイオン交換膜法塩化アルカリ電
解槽の如く電解反応によって発生した気泡を含む電解液
の電極室上部において気液分離を行う気液分離方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】イオン交換膜法フィルタープレス型電解
槽は食塩水の電気分解による塩素と苛性ソーダの製造を
始めとして、有機電解、海水電解等に広く用いられてい
る。フィルタープレス型電解槽は陽極室と陰極室の隔壁
を、導電部材を介して、あるいは圧接等の手段により電
気的及び機械的に結合した複極式電解槽ユニットを陽イ
オン交換膜を挟持して多数積層し、両端には陽極あるい
は陰極のいずれかを片面に有する端部電解槽ユニットを
積層して油圧式プレス等で固定した複極式フィルタープ
レス型電解槽があり、また額縁状の電極室枠の両面に陽
極もしくは陰極を有する陽極室ユニットと陰極室ユニッ
トを陽イオン交換膜を介して多数積層し、両端部には片
面のみ陽極または陰極を有する端部極室ユニットを積層
した単極式フィルタープレス型電解槽がある。
【0003】イオン交換膜法食塩電解槽においては陽極
では塩素ガスが発生し、陰極では高濃度の水酸化ナトリ
ウムと水素が生成するので陽極室には表面に安定な不働
態化被膜を形成する耐食性の優れたチタンあるいはその
合金を使用しており、陰極室には水素を吸収して脆化す
るチタンに代えて耐アルカリ性のニッケル、ステンレス
等の鉄系の金属あるいはその合金を使用している。ま
た、それぞれの電極室には隔壁に結合した導電リブに陽
極と陰極を取り付けており、側壁には電解液供給ノズル
と濃度が低下もしくは上昇した電解液、電解反応の生成
物である気体、気泡を混合した電解液の排出ノズルが設
けられている。
【0004】陽極にはチタン等の多孔板、エキスパンデ
ッドメタル等を基材としてその表面にルテニウム、イリ
ジウム、パラジウム等の白金族の金属の酸化物等を被覆
した陽極が用いられている。陰極には鉄、ステンレス又
はニッケル等の多孔板、エキスパンデッドメタル等を基
材として、その表面をニッケル系、白金族金属系等の陰
極触媒物質によって被覆した陰極が使用されている。ま
た、イオン交換膜には、スルホン酸基、カルボン酸基等
を有するフッ素樹脂系の陽イオン交換膜が使用されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】フィルタープレス式イ
オン交換膜法電解槽において、食塩の電気分解などのよ
うに気体が発生する電気分解反応を行うと、気泡を含む
陽極液又は陰極液を電極室から抜き出す時気泡に起因す
る電極室内圧力の変動が生じる。
【0006】一般に用いられている縦型の塩化アルカリ
電解槽の電極室内における陽極液又は陰極液は電極で発
生した気泡によって上部ほど気泡の割合である気泡率が
増大し、電極室液の上層部近くになると気泡が集合して
泡沫層となり最上部に泡沫から分離した気体からなる気
相を形成している。その結果、電極室上部より電解液及
び発生気体を排出しようとすると流出状態は気液混相、
液相と気相が入り混じった気泡流、管路を閉塞するプラ
グ流、波状流などによる電極室内圧力を変動させる複雑
な流れを生じる。特に陽極室側で形成される塩素気泡
は、塩水粘度、表面張力などに起因して、陰極室側で苛
性ソーダと水素から形成される水素気泡に比べて気泡が
消えにくく、陽極室内の圧力変動を引き起こす。このた
め、陽極室内の圧力変動は、電解条件によって異なるが
50〜200mmH2O 、場合によっては300mmH
2O を超え、イオン交換膜を常時振動させて電極面と接
触したり離れることを繰り返し、陽イオン交換膜の表面
に摩擦による傷を生じ、また振動による疲労のために陽
イオン交換膜に亀裂が生じることが起こる。その結果、
陽イオン交換膜の特性が劣化するとともに、一般には電
極室内の圧力が高い陰極室内から陽極室内へ流入するア
ルカリによる電極の損傷を生じて電極の寿命に悪影響を
及ぼすこととなる。
【0007】そこで、食塩水のイオン交換膜法電解槽に
おいては、陰極室の圧力を陽極室圧力の変動最大値より
大きく保って膜を常時陽極面に圧着して振動を防止する
方法、電極室上部に電解液面より高いチャンバーを設
け、チャンバー内に気液分離ゾーンを形成し、チャンバ
ー内において自然消泡して波状流、成層流として側壁の
排出ノズルより取り出す方法、実開平2−17013号
公報に示されている如き電極室上壁にその内面より30
mm以上内部に開口させ、ノズル内の液流速が0.5な
いし20m/秒となるノズルを設ける方法等が提案され
ている。
【0008】しかしながら、陽極室圧力変動の最大値よ
り大きい圧力を陰極室に付加する方法は膜がエキスパン
デッドメタルもしくは多孔板からなる陽極表面を常に過
度に圧着し、陽極の開孔部に食い込むため塩素発生の陽
極過電圧を大きくし電解槽電圧を数〜10数mV高めて
電力の損失を招くだけでなく、長期的にみれば陰極側か
ら逆泳動するアルカリによる陽極の触媒活性被覆の浸食
も、陰極加圧の圧力が小さい場合に比して大きく電極の
寿命を短くする欠点がある。
【0009】電極室の上部を高くして気液分離ゾーンを
設ける方法は圧力変動防止に有効であるが、電極室の容
量の増加分の材料費、加工費が高価となるきらいがあ
る。さらに、電極室の上部の壁面より排出ノズルを差し
込む方法は、発生ガス量と電極室内での電解液の循環量
の比率によって、排出ノズルの大きさ等を定める必要が
あるために電解槽の運転の自由度が小さく、また複極式
電解槽ではとくに、排出ノズルを通して流れるリーク電
流による腐食防止の対策が必要となる。
【0010】さらに、排出ノズルによる方法では、電極
室の上部のイオン交換膜の表面が乾燥状態となり、陽イ
オン交換膜を透過する気体状の塩素によって陽イオン交
換膜が悪影響を受けるので、電極室の上部の隔壁面に陽
イオン交換膜表面を湿潤状態に保持するための電解液の
溢流する堰を溶接等によって設ける必要であることが明
らかにされている(「ソーダと塩素」第41巻第4号第
18ページ(1990年4月))。
【0011】一方、複極式電解槽の鍋状の電極室をチタ
ン、ニッケル、ステンレス等の薄板を使用して金型プレ
スにより製作する方法は、製造が容易であり量産性が大
であるため、電解槽のコスト低減に極めて有効であるの
で好ましい製作方法であるが、これに気液分離チャンバ
ーを継ぎ足したり、堰等を溶接によって取り付けること
はプレス成型の特徴を失うこととなる。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、イオン交換膜
電解槽における気液分離方法において、電極室内で発生
した気液混合物を、電解槽上部に形成した電極面に平行
で、断面積が小さな通路を上昇させた後に、間隙から放
出することによって、断面積が小さな通路への流入によ
る圧縮と間隙からの放出による減圧によって気液分離を
行うイオン交換膜電解槽における気液分離方法である。
また、電解槽上部に形成した通路の一方の面が上部が開
口したU型管路の側壁によって形成されるとともに、間
隙がU型管路の側壁とU型管路の上部に設けた壁面との
間に形成されたものであって、U型管路に放出される際
に気液分離されるイオン交換膜電解槽における気液分離
方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の気液分離方法は、電極室
内で発生した気液混合物を、電解槽上部に形成した電極
面に平行で、断面積が小さな通路を上昇させた後に、間
隙から放出することによって、断面積が小さな通路への
流入による圧縮と間隙からの放出による減圧によって気
液分離を行うイオン交換膜電解槽における気液分離方法
である。そして、電極室の上部に設けた断面がU字状の
上面が開口した管路により、電極室の上部空間が狭めら
れる結果、気泡を含む電解液の流路が狭くなり、気泡は
接触合一拡大して、電極室の上部の壁面と管路の側壁と
の間で形成された狭い間隙から圧縮されて管路中へ流入
する。流入の際拡大した気泡の多くは圧縮と圧力の変化
によって破裂して管路内を残留する泡沫を含む電解液と
気体が排出ノズルに向かって流れる。また、管路中にお
いて気泡が泡沫に閉塞された場合には管路の側壁に設け
た連通路によってU型管路と隔壁との間に形成された空
間へ気体を流入させ排出ノズルにバイパスさせることが
できる。
【0014】以下に図面を参照して、本発明をさらに詳
細に説明する。図1は、本発明のイオン交換膜電解槽に
おける気液分離方法に使用する電解槽の一実施例を示す
図であり、複極式電解槽ユニットの一部を切り欠いた平
面図を示し、図2は図1をA−A線で切断した断面図を
示す。複極式の電解槽ユニット1は、炭素鋼等の剛体で
成形された額縁状フレーム2を骨格として左右に陽極室
3と陰極室4が形成されており、チタンまたはチタン合
金などの薄板を鍋状に加工した陽極室側の隔壁5と鉄、
ステンレス、ニッケル等の薄板を同様に鍋状に加工した
陰極室側の隔壁6を結合部7で電気的および機械的に結
合している。陽極室、陰極室には隔壁に結合した導電リ
ブ8、9に、それぞれ白金族の金属あるいは酸化物を含
有する被覆を形成した陽極10とニッケル系、白金族系
の陰極活性物質を被覆した陰極11が取り付けられてお
り、電極室の上部にはU型管路12、13が設けられて
いる。U型管路は、電極および隔壁と間隔を設けて取り
付けられており、U型管路の電極面側の側壁14と電極
室の上部壁15の間には、上昇した電解液および気泡が
流入する狭い間隙16が形成されており、U型管路の隔
壁側の壁面には連通路17が設けられている。
【0015】また、U型管路の一端は電解槽ユニットの
側壁部18に取り付けた電解液および気体を外部へ取り
出すための排出ノズル19に結合され、電解槽ユニット
の下部には電解液の供給ノズル20が取り付けられてお
り、電解槽ユニットの側壁には電解槽ユニットを架台に
取り付ける取り付けアームが設けられている。
【0016】図3は、U型管路を電解液の排出ノズルか
ら電解槽内部へ取り付ける図を示している。電解槽ユニ
ットの側壁部18に設けた排出ノズル19にU型管路1
2、13を取り付けている。U型管路は電解槽中での電
蝕を防止するために、フッ素樹脂、ポリプロピレン等の
合成樹脂を用いることが好ましい。U型管路はガスケッ
ト21を介して排出ノズル19に取り付けられており、
電極を取り付ける導電リブ8にはU型管路のガイドとな
る切り欠き部22を形成している。また、U型管路の側
壁には連通路17が設けられている。
【0017】図4は、複極式の電解槽を示す図であり、
5個の複極式の電解槽ユニット1と端部陽極ユニット2
3と端部陰極ユニット24から組み立てられており、各
電解槽ユニットの間には、陽イオン交換膜25を取り付
けて架台26に載置して油圧プレス、タイロッド等によ
って固定しており、電解槽ユニット側壁の排出ノズル1
9、供給ノズル20に管路を結合し、両端部の電解槽ユ
ニットに電解電流を供給している。
【0018】図5は、電解槽に設けたU型管路への電解
液の流れを説明する図である。U型管路は、電極室の全
体にわたり気液混相状態の電解液の上昇流を均整化する
とともに、電極室の隔壁側空間27に液面28を保持
し、気体のバイパス流路を形成するためには、電極室の
両側壁間の長さと相応する高さを必要とする。また、U
型の管路の側壁の高さは電極側の電解液の上昇路におい
て気泡の合一を促進する距離すなわち高さが必要であ
り、電流密度3kA/m2 、温度85℃、塩水濃度20
0g/lの標準的な電解条件のもとでの実験により求め
た結果では、電解槽の液面深さに対して4%以上好まし
くは5%以上必要であることがわかった。
【0019】陽極室の電解空間部29は電解液の塩水中
を塩素気泡群が複雑な流体抵抗を受けつつも自由上昇し
ている領域であるが、上昇流がU型管路によって区切ら
れた部分に達すると気泡の大部分は電極側空間30の流
路に入って液と共に上昇するのに対し、隔壁側空間27
には気液の上昇はなく液面28が形成される。隔壁側空
間に液面28を形成し、電極側空間に上昇流を形成する
ためには、電極側の空間が隔壁側の空間より2倍以上大
きいことが必要であり、隔壁側空間の大きさは毛細管現
象を生じない範囲で狭い程好ましく、2〜4mmとする
ことが好ましい。 また、図5に示すように、U型管路
の両側の液面の高さには差が形成される。これは、電極
室内では電極側の方を主に発生気体の気泡が上昇するの
で、隔壁側の領域の電解液の密度と電極側の密度に差を
生じ、その結果U型管路と隔壁との間に形成した空間の
液面はU型管路の電極側に形成されるからである。
【0020】U型管路の幅は電解液供給量と気体の発生
量に見合う気液を管路に流入させ、排出ノズルに混乱な
く移動させるのに必要な流路断面積を形成することが必
要であり、10mm以上とすることが好ましい。またU
型管路の高さは、大きいほど電解液の流れる流路面積が
大きくなるが、反面導電リブを通じての電極上端への電
流分配が不十分となる可能性があるので、U型管路の高
さは60〜100mmとすることが好ましい。とくに、
実施例に示した電解槽ではU型管路と隔壁の間に気相の
空間を設けて発生気体のバイパスを形成したので、U型
管路の幅を小さくすることが可能となる。
【0021】また、電極側空間を上昇した気液混相流は
電極室の上部の壁面に達し、電極室の上部の壁面とU型
管路の電極側の側壁の上部によって形成された間隙から
U型管路中へ流入し、間隙を通過の際に多くの気泡は破
裂し、泡末を含んだ電解液がU型管路中へ、U型管路か
ら排出ノズルを通じて外部へ取り出されるが、U型管路
の側壁と電極室の上部壁との間で形成される間隙は、3
〜6mmとすることが適当であり、さらに4〜5mmと
することが好ましく、3mm以下となると流路抵抗が大
きくなり、逆に圧力変動が大きくなるので好ましくな
く、間隙が大きいと電極室内の圧力変動が大きくなって
好ましくない。
【0022】本発明の電解方法は、電極室の上部に断面
積が小さな気液混合物が上昇する流路を設けるととも
に、流路の上部には間隙から放出されるようにしたの
で、気液混合物中の気泡は狭められた流路で、上昇しな
がら圧縮されて、近傍の気泡と合体化して拡大し、次い
で狭い間隙から管路中へ流入し、流入の際の圧縮と膨張
の圧力変化を受けてその多くは破裂して気液分離され
る。
【0023】
【実施例】
実施例1 厚み1mmのチタン板とステンレス板をプレス金型によ
り縦140cm×横93.5cm×深さ3cmの陽極室
と陰極室を成型し、これにU型管路を固定するための切
り欠きを上端に設けた厚み4mm、幅3cm、長さ13
0cmのチタン及びステンレスの導電リブを電極室横幅
の中心から18cmの間隔で5本を溶接で取り付け、両
極室側壁の下部に電解液供給ノズルとして電極室と同材
質で内径13mm、外径17.3mm、長さ100mm
のフランジ付短管を取り付け、電解液と電解生成気体の
排出ノズルとして電極室と同材質の厚み1.5mm縦
6.5cm×横3cm×長さ10cmのフランジ付角型
パイプを溶接して取りつけた。 次いで、額縁状の枠体
と陽極室および陰極室を、陽極室側に取り付けたチタン
と銅とのクラッド体と陰極室側の隔壁を特開平3−24
0984号公報に記載されているように、半田を用いて
電気炉内でろう付けを行って両電極室の隔壁を結合する
とともに額縁状の枠体を一体化した。
【0024】しかる後、厚み1mmのチタン板から得ら
れた開口率が35%のエキスパンデッドメタルに貴金属
酸化物を含有する陽極活性被覆を施した縦1.399m
×横0.933m電解有効面積1.3m2 の陽極(ペル
メレック電極(株)製)と厚み1.5mmのステンレス
板から得られた開口率37%のエキスパンデッドメタル
にニッケル系の活性陰極被覆を施した、陽極と同寸法の
陰極を導電リブにスポット溶接して複極式電解槽ユニッ
トを製造した。
【0025】また陽極室と陰極室がそれぞれ単独の端部
陽極ユニットと端部陰極ユニットを製作し、3個の複極
式電解槽ユニットをフランジ面に耐食性ガスケットを設
けて、両端部には端部陽極ユニットと端部陰極ユニット
を設けてイオン交換膜を挟持して積層した。電極間間隔
は2mmとし、陽イオン交換膜としてNafionN9
54(デュポン社商品名)を4枚有する複極式電解槽を
組み立てた。次いで、フッ素樹脂製の厚み1.5mm、
高さ57mm、幅18mm、全長1025mm、上部開
口部長さ93mmであり、隔壁側の側壁には5mmの孔
を3個有するU型管路を、電極室の上部壁面とU型管路
の側壁との間隔を5mmとし、電極面との間隔を8m
m、隔壁との間隔を4mmとなるように挿入し、排出用
ノズルと結合した。
【0026】各ノズルには、電解液供給用主管と電解液
及び生成気体排出用主管にフッ素樹脂製フレキシブルチ
ューブを介して接続し、直流電源と電解槽の陽極端子、
陰極端子とを接続して電解槽を完成させた。陰極室には
純水を供給し、陽極室には300g/lの食塩水を供給
し、陰極室からは32%の苛性ソーダを、陽極室からは
食塩水濃度を200g/lの戻り食塩水を取り出し、電
解槽温度85℃、電解電流5.2kA、電流密度3kA
/m 2 で通電し30日間運転した。この間の苛性ソーダ
の生成電流効率は96.2%、4対の電解槽ユニットの
平均槽電圧3.05Vであり、陽極室内圧力変動は15
mmH2O 以内で極めて安定した状態であった。次いで
高負荷電解条件における圧力変動状況確認を目的として
電流密度4kA/m2 、塩水供給量を戻り塩水を循環さ
せることにより標準供給量の2〜4倍量に増加して陽極
室内圧力変動を測定し、結果を表1に示す。また、電解
槽の運転を停止して、陽イオン交換膜を点検したが変
色、変質などの異常は全く見られなかった。
【0027】実施例2 実施例1のU型管路の電極側の側壁と陽極室の上部壁面
との間隔を10mmとしたU型管路を取り付けた点を除
いて、実施例1と同様の条件で15日間運転した結果電
流効率は95.6%、平均槽電圧は3.06Vであり、
初期電解性能は実施例1とほぼ同等であった。陽極室内
圧の変動を実施例1と同様に測定し、その結果を表1に
示す。また、運転停止後の陽イオン交換膜の上部には幅
約5mmの変色がみられた。 実施例3 実施例1のU型管路の電極側の側壁と陽極室の上部壁面
との間隔を15mmとしたU型管路を取り付けた点を除
いて、実施例1と同様の条件で15日間運転した結果電
流効率は95.2%、平均槽電圧は3.09Vであり、
初期電解性能は実施例1とほぼ同等であった。陽極室内
圧の変動を実施例1と同様に測定し、その結果を表1に
示す。また、運転停止後の陽イオン交換膜の上部には幅
約10mmの塩素によるとみられる変色が観察された。
【0028】
【表1】 圧力変動(mmH2O) 塩水流量 U型管路側壁と上部壁面との間隔 (リットル/分) 5mm 10mm 15mm ───────────────────────────── 2(1.5) 10 60 80 3(2.3) 20 140 160 4(3.1) 20 150 180 5(3.8) 30 180 190
【0029】比較例1 実施例2の電解槽よりU型管路を取り除き、実施例2で
使用した陽イオン交換膜を使用して電解槽の再組立を行
い、実施例2と同様の条件で15日間運転した。電流効
率は94.8%、平均槽電圧は3.11Vで電解性能の
低下が認められた。 又、陽極室内圧力は−10〜12
0mmH2O の範囲で常時変動し実施例2より更に大き
く、排出ノズルにおいてプラグ流が生じ、間欠流出現象
が見られた。運転の停止後に陽イオン交換膜を点検した
ところ、陽イオン交換膜の上部には幅約100mmの茶
褐色の変色が見られ排出ノズルの下辺より35mm下ま
で変色と直径約2mmの小ブリスターが散在し、又やす
り状の活性陰極表面に触れたと見られる黒褐色の変色と
擦過傷が一部に見られた。
【0030】比較例2 U型管路に代えて、高さ57mm、横幅18mmのL字
型の部材の上端と電極室上壁との間隔を5mm、電極と
の間隔を8mmとして電極室隔壁に溶接して取りつけた
上、電極室側壁の排出ノズルを改造して櫃底部の位置に
内径25mm×外径27.2mmの排出ノズルを設け電
極を修復して電解槽に組み込みその他は実施例1と同じ
標準電解条件のもとで15日間運転した。電流効率は9
5.8%、槽電圧は3.08Vであた。電極室内圧力は
−20〜180mmH2 Oの範囲で大きく変動し排出ノ
ズルからの気液の流出状態は典型的な間欠的プラグ流で
あった。電流密度および循環倍率を夫々4KA/m2
3倍に変えた条件での圧力変動は−40〜200mmH
2O に増加した。開槽した膜の上部には活性陰極に触れ
たと見られる黒褐色の変化が見られた。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の電解方法
は、電極室内で発生した電解液と生成ガスの混合流体を
面積の小さな流路を上昇させた後に、間隙から放出する
ことによって気液分離した後に排出ノズルから放出する
ことによって、電極室内の圧力の変動とこれによるイオ
ン交換膜の振動を防止し、イオン交換膜および電極を長
寿命化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のイオン交換電解槽における気
液分離方法に使用する電解槽の一実施例を示す図であ
る。
【図2】図1におけるA−A線の断面図である。
【図3】図3は、U型管路を電解槽ユニットの側壁から
電解槽内部への取り付けを説明する図である。
【図4】図4は、複極式の電解槽を示す図である。
【図5】図5は、電解槽に設けたU型管路への電解液の
流れを説明する図である。
【符号の説明】
1…電解槽ユニット、2…額縁状フレーム、3…陽極
室、4…陰極室、5…陽極室側の隔壁、6…陰極室側の
隔壁、7…結合部、8、9…導電リブ、10…陽極、1
1…陰極、12、13…U型管路、14…U型管路の電
極面側の側壁、15…電極室の上部壁、16…間隙、1
7…連通路、18…側壁部、19…排出ノズル、20…
供給ノズル、21…ガスケット、22…切り欠き部、2
3…端部陽極ユニット、24…端部陰極ユニット、25
…陽イオン交換膜、26…架台、27…隔壁側空間、2
8…液面、29…電解空間部、30…電極側空間

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオン交換膜電解槽における気液分離方
    法において、電極室内で発生した気液混合物を、電解槽
    上部に形成した電極面に平行で、断面積が小さな通路を
    上昇させた後に、間隙から放出することによって、断面
    積が小さな通路への流入による圧縮と間隙からの放出に
    よる減圧によって気液分離を行うことを特徴とするイオ
    ン交換膜電解槽における気液分離方法。
  2. 【請求項2】 電解槽上部に形成した通路の一方の面が
    上部が開口したU型管路の側壁によって形成されるとと
    もに、間隙がU型管路の側壁とU型管路の上部に設けた
    壁面との間に形成されたものであって、U型管路に放出
    される際に気液分離されることを特徴とする請求項1記
    載のイオン交換膜電解槽における気液分離方法。
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