JP3110704B2 - クレーンのリヤポストペンダントロープ接続装置及びリヤポストペンダントロープ接続方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はタワーブームの先端
部に枢着されたシブの起伏動作をフロントポストとリヤ
ポスト間の角度を変更して行うようにしたクレーンに関
するものであり、特に、リヤポストの先端部とタワーブ
ームの下部とを連結するリヤポストペンダントロープの
接続装置及びリヤポストペンダントロープ接続方法に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】図８は大型クレーンを示し、機体１の前
部にタワーブーム２が取り付けられており、タワーブー
ム２の後部にライブマスト３とハイマスト４が枢着され
ている。タワーブーム２の先端部とライブマスト３の先
端部をブーム支持ロープ５にて連結し、ライブマスト３
の先端部とハイマスト４の先端部に夫々シーブ６，７を
枢着して、双方のシーブ６，７間にブーム起伏ロープ８
を掛け回す。

【０００３】一方、タワーブーム２の先端部にタワーヘ
ッド９を装着し、該タワーヘッド９の前方部にジブ１０
を枢着するとともにジブ１０の後部にフロントポスト１
１とリヤポスト１２を枢着してある。前記ジブ１０の先
端部とフロントポスト１１の先端部をジブ支持ロープ１
３にて連結し、フロントポスト１１の先端部とリヤポス
ト１２の先端部に夫々シーブ１４，１５を枢着して、双
方のシーブ１４，１５間にジブ起伏ロープ１６を掛け回
す。

【０００４】更に、リヤポスト１２の先端部とタワーブ
ーム２の下部をリヤポストペンダントロープ１７にて連
結する。リヤポストペンダントロープ１７は左右に１本
ずつ設けられており、タワーブーム２の下部に取付ラグ
１８を夫々左右１つずつ固設して、左右のリヤポストペ
ンダントロープ１７の下端を夫々の取付ラグ１８にピン
結合してある。

【０００５】而して、ウインチ１９を駆動してブーム起
伏ロープ８を巻上げ下げすれば、前記ライブマスト３と
ハイマスト４間の角度が変化してタワーブーム２が起伏
する。また、ウインチ２０を駆動してジブ起伏ロープ１
６を巻上げ下げすれば、フロントポスト１１とリヤポス
ト１２間の角度が変化して、ジブ１０が起伏する。

【０００６】ここで、図９に示すように、水平状態に倒
回したタワーブーム２とリヤポスト１２との間にリヤポ
ストペンダントロープ１７を接続する際には、先ずリヤ
ポスト１２の先端部にリヤポストペンダントロープの一
端１７ａを連結するとともに、リヤポストペンダントロ
ープの他端１７ｂにハンドウインチ２１のワイヤ２２を
係止する。

【０００７】次に、二点鎖線で示すように、リヤポスト
１２を補助クレーン（図示せず）で吊り上げ、作業者が
前記ハンドウインチ２１のワイヤ２２を巻上げてリヤポ
ストペンダントロープ１７を引張り、リヤポストペンダ
ントロープの他端１７ｂを取付ラグ１８側へ引き寄せ
る。そして、リヤポストペンダントロープの他端１７ｂ
を取付ラグ１８にピン結合した後に、ハンドウインチ２
１のワイヤ２２を弛緩してリヤポストペンダントロープ
の他端１７ｂから取り外す。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】大型クレーンに於い
て、タワーブーム２とリヤポスト１２との間にリヤポス
トペンダントロープ１７を接続するに際しては、前述し
たように、ハンドウインチ２１を使用して人力作業で行
っているが、リヤポストペンダントロープ１７は自重に
より弓なりに撓んでいるので大きな張力を必要とし、且
つ、取付ラグ１８へコネクトピンを挿入するときに孔位
置が合わせにくい。従って、リヤポストペンダントロー
プ１７の接続作業が困難であるとともに、危険性も伴っ
ていた。

【０００９】これに対して、図１０に示すように、リヤ
ポストバックストップ２３を油圧シリンダにて構成し、
油圧装置の操作により該リヤポストバックストップ２３
を収縮すれば、リヤポスト１２が後方へ傾斜してリヤポ
ストペンダントロープ１７が弛緩するため、リヤポスト
ペンダントロープの他端１７ｂを取付ラグ１８へ接続す
る作業が容易になる。また、リヤポストペンダントロー
プ１７を無理に緊張させないので、接続作業時の安全性
も確保できる。しかし、リヤポストバックストップ２３
の油圧シリンダを駆動するためにノンリークバルブや油
圧源が別途必要となり、コストアップになる。

【００１０】そこで、水平状態に倒回したタワーブーム
とリヤポストとの間にリヤポストペンダントロープを接
続する際に、安全性を確保しつつ容易に接続作業を行え
るようにし、且つ安価な接続装置を提供するために解決
すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの
課題を解決することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために提案されたものであり、タワーブームの先端
部にタワーヘッドを装着し、該タワーヘッドにジブを枢
着するとともにジブの後部にフロントポストとリヤポス
トを枢着し、フロントポストとリヤポスト間の角度を変
更してジブを起伏するようにしたクレーンに於いて、前
記タワーブームの下部に固設された取付ラグと前記リヤ
ポストの先端部とを連結するリヤポストペンダントロー
プであって、該リヤポストペンダントロープの下端は連
結バー及び連結リンクを介して前記取付ラグにピン結合
され、この取付ラグの下方位置にガイドシーブを枢着
し、ウインチから繰り出したウインチロープをガイドシ
ーブを通して前記連結バーへ係止可能に形成し、このウ
インチロープを連結バーへ係止して緊張させたときに、
ガイドシーブに案内されたウインチロープの先端部分と
前記リヤポストペンダントロープとが側面視で略一直線
となるように構成したクレーンのリヤポストペンダント
ロープ接続装置、及び、水平状態に倒回したタワーブー
ムとリヤポストとの間にリヤポストペンダントロープを
接続する際には、前記リヤポストの先端部にリヤポスト
ペンダントロープの一端を連結するとともに、該リヤポ
ストペンダントロープの他端に連結バーを連結し、ウイ
ンチから繰り出したウインチロープをガイドシーブを通
して前記連結バーへ係止した後にリヤポストを引き起こ
し、前記ウインチを駆動してウインチロープを緊張させ
たときに、前記ガイドシーブの案内によりウインチロー
プの先端部分とリヤポストペンダントロープとが側面視
で略一直線となるようにし、更に、ウインチロープを巻
き上げて連結バーを取付ラグへ引き寄せながら、前記連
結バーにピン結合された連結リンクのピン孔と前記取付
ラグのピン孔とを一致させ、双方のピン孔にコネクトピ
ンを挿入して前記取付ラグに連結リンクをピン結合した
後、前記ウインチロープを弛緩して連結バーから取り外
すクレーンのリヤポストペンダントロープ接続方法を提
供するものである。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に従って詳述する。図１はタワーブーム２を水平に倒回
した状態の大型クレーンを示し、該大型クレーンの主な
構成は図８に示したクレーンと略同一であるので、同一
構成部分には同一符号を付してその説明を省略する。該
大型クレーンは、タワーブーム２の下部に左右の取付ラ
グ１８，１８が固設されており、該取付ラグ１８の下方
位置にはタワーブーム２の左右中央部にガイドシーブ２
５を枢着してある。

【００１３】タワーブーム２とリヤポスト１２との間に
リヤポストペンダントロープ１７を接続する際には、先
ずリヤポスト１２の先端部にリヤポストペンダントロー
プの一端１７ａを連結するとともに、リヤポストペンダ
ントロープの他端１７ｂに連結バー３０を連結する。

【００１４】図２に示すように、該連結バー３０は側断
面視がＩ形のバー３１と、その両端に固着された左右の
プレート３２，３２とから成り、夫々のプレート３２の
前方部にはピン孔３２ａが開穿され、該ピン孔３２ａに
コネクトピン３３を挿入して左右のリヤポストペンダン
トロープの他端１７ｂがピン結合されている。また、夫
々のプレート３２の後方部にはピン孔３２ｂが開穿さ
れ、該ピン孔３２ｂにコネクトピン３４を挿入して左右
の連結リンク３５がピン結合されている。

【００１５】尚、夫々の連結リンク３５の下端には、タ
ワーブーム２の取付ラグ１８へ連結するためのピン孔３
５ｂが開穿されている。また、前記連結バー３０の両側
に連結リンク３５，３５を介装して取付ラグ１８，１８
へ連結できるように、左右のプレート３２，３２間の寸
法は左右の取付ラグ１８，１８間の寸法と略等しく形成
されている。

【００１６】一方、前記Ｉ形のバー３１の略中央下面部
にブラケット３６を固設し、このブラケット３６にウイ
ンチロープ用のピン孔３６ａを開穿してある。同図の二
点鎖線で示すように、ウインチロープ４０の先端をブラ
ケット３６に係合し、前記ピン孔３６ａへコネクトピン
３７を挿入して、このブラケット３６にウインチロープ
４０を連結する。図１に示すように、該ウインチロープ
４０はウインチ４１から繰り出され、前記ガイドシーブ
２５の下方を通って連結バー３０へ係止される。

【００１７】そして、補助クレーン（図示せず）または
ウインチ４１を駆動してリヤポスト１２を引き起こした
後に、図３に示すように、ウインチ４１を駆動して前記
ウインチロープ４０を巻上げれば、リヤポストペンダン
トロープ１７が引張られて緊張する。このとき、前記ガ
イドシーブ２５の取付位置及びシーブ直径を予め最適に
設定しておくことにより、このガイドシーブ２５の案内
によって、ウインチロープ４０の先端部分とリヤポスト
ペンダントロープ１７とが、連結バー３０を介して側面
視で略一直線となる。

【００１８】この状態でウインチロープ４０を更に巻上
げれば、図４に示すように、前記連結バー３０が矢印方
向Ａへ移動し、左右のプレート３２の後部に連結されて
いる連結リンク３５が前記取付ラグ１８に接近し、該連
結リンク３５の下端のピン孔３５ｂが前記取付ラグ１８
のピン孔１８ａと一致する。該連結リンク３５はピン３
４を中心に自由に回動するため、双方のピン孔３５ｂ，
１８ａの位置合わせは極めて簡単である。

【００１９】図５及び図６に示すように、左右の連結リ
ンク３５のピン孔３５ｂが左右の取付ラグ１８のピン孔
１８ａに一致したとき、双方のピン孔３５ｂ，１８ａに
コネクトピン４２を挿入して、連結リンク３５の下端を
取付ラグ１８へピン結合する。斯くして、タワーブーム
２とリヤポスト１２との間にリヤポストペンダントロー
プ１７が接続された状態となる。

【００２０】然る後に、ウインチロープ４０を巻下げて
弛緩すると、図５及び図７の二点鎖線で示すように、リ
ヤポスト１２によりリヤポストペンダントロープ１７が
前方へ引かれて、前記連結リンク３５がコネクトピン４
２を中心に図中反時計方向へ回動する。そして、連結バ
ー３０のブラケット３４からウインチロープ４０を取り
外せば、リヤポストペンダントロープ１７の接続作業が
終了する。

【００２１】ここで、符号４３はリヤポストバックスト
ップであり、自由に伸縮できるように形成されている。
図７に示したリヤポストペンダントロープ１７の接続時
には、該リヤポストバックストップ４３が最収縮位置で
固定される。尚、クレーンの分解時にリヤポストペンダ
ントロープを取り外す際には、上記接続時とは逆の操作
にて簡単に作業を行うことができる。

【００２２】而して、本発明は、本発明の精神を逸脱し
ない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明
が該改変されたものに及ぶことは当然である。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明では左右２
本またはそれ以上のリヤポストペンダントロープを、連
結バーを介して１本のウインチロープで引張ることによ
り、作業者の労力を必要とせず、複数本のリヤポストペ
ンダントロープを短時間でタワーブームの取付ラグへ接
続することが可能となった。また、ウインチロープはガ
イドシーブを通して前記連結バーに係止されているの
で、該ウインチロープを緊張させたときに、ガイドシー
ブに案内されたウインチロープの先端部分と前記リヤポ
ストペンダントロープとが側面視で略一直線となり、且
つ、連結バーに対して連結リンクが自由に回動するた
め、コネクトピンの位置合わせが容易になるとともに作
業時の安全性も向上する。また、油圧機器を使用しない
ため、安価な接続装置を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態を示し、タワーブームを水
平に倒回した状態の大型クレーンの側面図。

【図２】本発明の実施の形態を示し、（ａ）は連結バー
の平面図、（ｂ）は連結バーの側面図。

【図３】本発明の実施の形態を示し、リヤポストペンダ
ントロープの接続過程を示す大型クレーンの側面図。

【図４】リヤポストペンダントロープの接続過程を示す
取付ラグ及びガイドシーブの要部側面図。

【図５】リヤポストペンダントロープを接続した状態を
示す取付ラグ及びガイドシーブの要部側面図。

【図６】図５の要部平面図。

【図７】リヤポストペンダントロープを接続した状態の
大型クレーンの側面図。

【図８】従来の大型クレーンの側面図。

【図９】従来のリヤポストペンダントロープの接続過程
を示す大型クレーンの側面図。

【図１０】従来のリヤポストペンダントロープの他の接
続過程を示す大型クレーンの側面図。

【符号の説明】

２ タワーブーム ９ タワーヘッド １０ ジブ １１ フロントポスト １２ リヤポスト １７ リヤポストペンダントロープ １８ 取付ラグ ２５ ガイドシーブ ３０ 連結バー ３５ 連結リンク ４０ ウインチロープ ４１ ウインチ

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 タワーブームの先端部にタワーヘッドを
   装着し、該タワーヘッドにジブを枢着するとともにジブ
   の後部にフロントポストとリヤポストを枢着し、フロン
   トポストとリヤポスト間の角度を変更してジブを起伏す
   るようにしたクレーンに於いて、前記タワーブームの下
   部に固設された取付ラグと前記リヤポストの先端部とを
   連結するリヤポストペンダントロープであって、該リヤ
   ポストペンダントロープの下端は連結バー及び連結リン
   クを介して前記取付ラグにピン結合され、この取付ラグ
   の下方位置にガイドシーブを枢着し、ウインチから繰り
   出したウインチロープをガイドシーブを通して前記連結
   バーへ係止可能に形成し、このウインチロープを連結バ
   ーへ係止して緊張させたときに、ガイドシーブに案内さ
   れたウインチロープの先端部分と前記リヤポストペンダ
   ントロープとが側面視で略一直線となるように構成した
   ことを特徴とするクレーンのリヤポストペンダントロー
   プ接続装置。
2. 【請求項２】 水平状態に倒回したタワーブームとリヤ
   ポストとの間にリヤポストペンダントロープを接続する
   際には、前記リヤポストの先端部にリヤポストペンダン
   トロープの一端を連結するとともに、該リヤポストペン
   ダントロープの他端に連結バーを連結し、ウインチから
   繰り出したウインチロープをガイドシーブを通して前記
   連結バーへ係止した後にリヤポストを引き起こし、前記
   ウインチを駆動してウインチロープを緊張させたとき
   に、前記ガイドシーブの案内によりウインチロープの先
   端部分とリヤポストペンダントロープとが側面視で略一
   直線となるようにし、更に、ウインチロープを巻き上げ
   て連結バーを取付ラグへ引き寄せながら、前記連結バー
   にピン結合された連結リンクのピン孔と前記取付ラグの
   ピン孔とを一致させ、双方のピン孔にコネクトピンを挿
   入して前記取付ラグに連結リンクをピン結合した後、前
   記ウインチロープを弛緩して連結バーから取り外す請求
   項１記載のリヤポストペンダントロープ接続装置を使用
   したクレーンのリヤポストペンダントロープ接続方法。