JP3103417B2 - 導波路型光分波回路 - Google Patents

導波路型光分波回路

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JP3103417B2
JP3103417B2 JP643992A JP643992A JP3103417B2 JP 3103417 B2 JP3103417 B2 JP 3103417B2 JP 643992 A JP643992 A JP 643992A JP 643992 A JP643992 A JP 643992A JP 3103417 B2 JP3103417 B2 JP 3103417B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、導波路型光分波回路に
関し、特に、同一の光導波路内を伝搬してきた波長の異
なる複数の光を各波長毎に分離する分波器、及び、この
分波器と光検出器とを集積化した半導体基板上の光分波
・光検出集積回路に関するものである。
【0002】なお、本発明は、光導波路内を伝搬してき
たTE(Transverse Electric:電界が基板に平行)、T
M(Transverse Magnetic:磁界が基板に平行)の2つの
偏光の中、一方の偏光を基板に放射し、他方を通過させ
る導波路型偏光子、及び、電流注入又は電圧印加等によ
り導波光の強度レベルを変調する光変調器(オンオフス
イッチ)にも関している。
【0003】
【従来の技術】現在実用化されている光通信システム
は、送信側のレーザダイオードと受信側の光検出器を光
ファイバで一対一に結ぶ単純なシステムである。しか
し、将来は、光LANや加入者系の導入に伴い、光ファ
イバ通信の高速、大容量化が要求されることは確実であ
る。近年、その実現のために、超高速AM変調方式、コ
ヒーレント光通信方式、あるいは、これらの方式におい
て同一の光ファイバで波長の異なる光を多重化して伝送
する波長多重(Wavelength Dvision Multiplexing:略し
てWDM)方式等、新しい通信方式が提案されている。
波長多重方式において、波長間隔を非常に狭くして多重
度を著しく高くした方式は、周波数多重(Frequency Dv
ision Multiplexing: 略してFDM)方式あるいは高密
度波長多重(dense WDM:略してDWDM)方式と呼
ばれる。これらの通信方式では、レーザダイオード、光
検出器の他に、光分波器、光合波器、光スイッチ、偏光
子等の様々な光回路を付加した高性能なシステムが必要
となる。しかしながら、現状の技術でこれらの光回路を
実現するためには、個別に製作した個々の素子を組み合
わせて構成する必要があり、大量生産性、安定性には難
がある。したがって、将来は、安定かつ高性能、低コス
ト、大量生産等の目的で、これらの素子を有機的に一体
集積化した光集積回路に置き換えられると予想される。
【0004】上記の各素子は、個別に製作すれば高性能
であるが、そのほとんどは、モノリシックに光集積回路
上に製作することは困難である。光集積回路内では、各
種の素子は光導波路により結合されるので、これらの素
子は、光導波路型かあるいは光導波路と組み合わせたも
のが最適である。
【0005】前述の波長多重方式では、波長の異なる複
数の光を多重化して1本の光ファイバで伝送するので、
伝送されてきた波長の異なる複数の光の中から特定の波
長の光を分離する光分波器が必要不可欠である。近年、
波長の多重度が比較的少ないWDM方式が実用化されよ
うとしているが、さらに将来は、多重化する波長間隔が
非常に狭く多重度が非常に多いDWDMあるいはFDM
方式へと移行すると予想される。
【0006】DWDMあるいはFDM方式用の導波路型
の分波器としては、現在、マッハツェンダ干渉型(J.Li
ghtwave Technol.,vol.6,pp.1003-1010(1988) )、グレ
ーティング型(IEEE J.Quantum Electron.,QE-15,No.7,
p.632(1979);IEEE Trans. Circuits Syst.,CAS-26,No.1
2,p.1049(1979))、非対称方向性結合器(Appl. Phys.
Lett., vol.33,No.2,pp.161-163(1978);IEEE J.Quantum
Electron.,vol.QE-14,No.11,pp.843-847(1978) )等の
素子の研究が盛んに行われている。
【0007】マッハツェンダ干渉型分波器は、図14に
示すように、2つの光路の長さが異なる非対称マッハツ
ェンダ干渉系を基本として、これを複数個組み合わせて
構成したものである。1つの入力ポートに入力した複数
の波長の光は、波長ごとに分離され、各出力ポートから
出力される。このタイプでは、波長数Å程度の間隔で多
数の波長に分離できるが、1つのマッハツェンダ干渉系
でも最大寸法は1cmを越えるから、チャンネル数が多
い場合、その組み合わせ数も多くなり、回路全体の大き
さは少なくとも数cm程度になる。したがって、多種の
素子からなる光集積回路の一素子として用いるには難が
ある。
【0008】次に、グレーティング型の基本構成を図1
5に示す。この図に示したものは多波長型分波器として
最も高性能なタイプで、グレーティング部と光検出器を
一組としてカスケードにアレイ化したものである。この
タイプでも、波長間隔数Å程度で個々の波長に分離して
光検出をすることが可能である。しかし、グレーティン
グ部において導波光に散乱が生じ、特にアレイ端末での
検出効率が低下する。また、波長選択作用には2次元的
な広がりを持つグレーティングを用いており、導波路も
その幅に広げる必要があるので、素子の小型化には限界
がある。
【0009】非対称方向性結合器型分波器は、図16
(a)にその構成を示すように、コアの屈折率及び幅が
異なる2本の導波路からなる方向性結合器で構成され
る。各導波路の伝搬定数βa 、βb の波長依存性は図1
6(b)のようになり、選択波長λ1 においてβa =β
b となる。導波路aに入射したλ1 の光は、位相整合に
より導波路aから導波路bへ結合する。結合部の長さは
波長λ1 に対する完全結合長L1 で、波長λ1 の光は導
波路bから出力される。波長がλ1 から離れると、βa
とβb は相違し、位相不整合により結合は生じない。し
たがって、波長に対する導波路bからの出力強度は、図
16(c)のようになる。このタイプの分波器でも、選
択波長幅は数Å程度になるが、図16(c)のように、
選択波長の左右にサイドローブが発生し、これが大きな
問題となる。これは、選択波長λ1 からわずかにずれた
波長でも弱い結合が生じ、結合部の長さが一定であるの
に対し、完全結合長が波長に対して大きく変化するため
である。さらには、一般にこれらの分波器においては、
分波特性がTE偏光とTM偏光でわずかにずれるため
に、波長がわずかにずれた2つの波長のTE成分とTM
成分がクロストークを生じやすい。したがって、分波特
性の偏光依存性を除去する何らかの工夫が必要になる。
【0010】一方、導波路型偏光子に関しては、TE通
過・TM放射(又は、吸収)のタイプとしては、金属ク
ラッド装荷型、異方性光学結晶装荷型、ARROW型偏
光子等が提案されている。この中で、ARROW型が特
に特性が優れているが、コアの厚さを光ファイバと同程
度にすると、偏光子機能が低下する。また、TM通過・
TE放射機能は、異方性光学結晶装荷型のものを用いる
ことにより実現できるが、この素子は大量生産には不向
きで、また、高価である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような状
況に鑑みてなされたものであり、その目的は、上記従来
の光分波器における各種の問題を解決して、選択波長幅
が非常に狭く、スペクトル特性のサイドロープが発生せ
ず、高効率、小型化可能で、製作が容易で、光検出器と
の集積化が可能であり、光集積回路に適した光分波器の
実現が可能となる導波路型光分波器を提供することであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の導波路型光分波器は、基本的には、多層クラッド光
導波路の一種である。図1は本発明の分波器の最も基本
的な構造の断面図(a)と屈折率分布(b)を示す図で
あり、この分波器は、半導体基板5上の3層のクラッド
2、3、4とコア1とから構成される多層クラッド導波
路である。各層の屈折率の関係は、半導体基板5が高屈
折率であり、コア層1とクラッッド層3がクラッッド層
2、4に比較して相対的に高くなっている。なお、図1
には、選択波長1.3μmにするための各層の厚さと屈
折率の数値例を示してあるが、これは単に1例にすぎな
い。各クラッド層2、3、4を、上から順に、第1クラ
ッド層2、第2クラッド層3、第3クラッド層4と呼ぶ
ことにする。この導波路の波長に対する伝搬放射損失
(基板5への放射による損失)は、図2のような特性に
なり、波長λ1 において損失は非常に大きくなるが、波
長がλ1 からわずかに離れれば、損失は急激に低下す
る。したがって、本導波路は選択中心波長がλ1の狭帯
域幅分波器として機能することが分かる。
【0013】本発明の導波路がこのような特性をもつ原
理を、前述の非対称方向性結合器の概念を用いて説明す
る。図1の各層の屈折率に注目すると、第2クラッド層
3は隣接する上下の層2、4より屈折率が高くなってい
るので、上部コア層1を除去すれば、3層のクラッドは
第2クラッド層3をコア、第1クラッド層2及び第3ク
ラッド層4をクラッドとした導波路とも考えることがで
きる。すなわち、コア1と3層のクラッド2〜4から構
成される本発明の導波路の構造は、コア層1及び第2ク
ラッド層3をコアとする2つの導波路が平行して接近し
ている非対称方向性結合器の一種と見なすことができ
る。そこで、第2クラッド層3をコアと見なした導波路
の導波モードを第2クラッドモード、これと区別するた
めに、本発明の導波路の本来のコア1をコア層とする導
波モードをコアモードと呼ぶことにする。これを従来技
術で示した図16の方向性結合器と比較すると、コア層
1は導波路a、第2クラッド層3は導波路bに相当す
る。導波路a、bは完全な閉じ込め型導波路であるが、
本発明の素子の場合は、コアモード及び第2クラッドモ
ードでは、光の一部が外部すなわち基板5へ漏れる漏れ
モードである。ただし、コアモードはその漏れの程度が
非常に小さく、第2クラッドモードでは、第2クラッド
層3が高屈折率の基板5に接近しているために、光が基
板5に放射される程度が非常に高く、光をほとんど導波
することはできない。したがって、本発明の導波路型光
分波器と従来の非対称方向性結合器型分波器の相違点
は、この下部の高屈折率層(基板)5の存在にある。
【0014】コアモード及び第2クラッドモードの伝搬
定数βc 、β2 の波長に対する特性の例を図3に示す。
第2クラッド層3の屈折率及び厚さがコア層1と大きく
異なると、βc 、β2 の特性は大きく相違するが、中心
波長λ1 でβc =β2 となる。さて、図1に示すよう
に、本発明の導波路に波長λ1 の光が入射すると、その
導波モードすなわちコアモードは第2クラッドモードと
伝搬定数が等しいため、位相整合により第2クラッドモ
ードへ結合し、コア層1から第2クラッド層3へとパワ
ーが移行する。しかし、第2クラッドモードに移行した
パワーは直ちに基板5へと放射される。光はパワーが完
全に第2クラッド層3へ移行した後に基板5へ放射され
るのではなく、第2クラッド層3へ移行した光から順次
基板5へ放射されて行く。そして、第2クラッド層3へ
完全に結合するまでには、ほとんどの光は基板5へ放射
される。数値解析によれば、波長λ1 の完全結合長は1
mm以下であるので、導波路長がその程度あれば、波長
λ1 の光は99.9%以上が基板5へ放射されることに
なる。一方、図2のように、波長がλ1 からずれた波長
では、βc とβ2 は相違するので、本発明の導波路に入
射しても、位相不整合により第2クラッドモードには結
合せず、低損失で通過して行く。したがって、本発明の
導波路型分波器の選択波長幅は非常に狭く、選択波長の
光は高効率で基板5へ放射され、それ以外の波長の光は
低損失で伝搬して行くことになる。波長がλ1 からわず
かにずれた光は第2クラッドモードへ不完全な結合を起
こすので、従来の非対称方向性結合器では、これが図1
6(c)のようなサイドローブ発生の原因となっていた
が、本発明の素子では、第2クラッド3へ不完全に結合
した光は直ちに基板(高屈折率層)5へ放射されてコア
1へは戻らないので、サイドローブは発生しない。
【0015】コア層1と第2クラッド層3の厚さ、屈折
率を大きく相違させれば、図3において、コアモードと
第2クラッドモードの伝搬定数特性の傾きの差(∂βc
/∂λ−∂β2 /∂λ)が大きくなり、図2の損失特性
は鋭くなる。また、従来の非対称方向性結合器型分波器
では、図16(c)のように、サイドローブが発生する
のに対し、本発明の素子では、第2クラッド層3からそ
れに平行な基板5へ光を放射させるので、サイドローブ
は発生し得ない。さらに、本発明の分波器の場合、コア
モードの基本モードを第2クラッドモードの任意の次数
のモードに結合させることができる。第2クラッドモー
ドは擬導波モードであり、0次の他に、1次、2次等の
高次モードが存在し得る。一般に、基本モードに対し
て、高次モードの方が伝搬定数の波長依存性(∂β/∂
λ)が大きく、放射損失も大きいので、この高次モード
に結合させた方が分波器の波長選択幅が狭くなり、選択
波長の放射効率も大きくなる。さらに、後述するよう
に、本発明の分波器の偏波依存性は非常に大きく、TE
偏光に対する分波波長とTM偏光に対する分波波長が非
常に離れている。このことは、言い換えれば、同じ波長
のTE偏光を分波させるための膜厚とTM偏光を分波さ
せるための膜厚が大きく異なることを意味する。したが
って、後に詳しく述べるように、TE偏光に対する複数
波長の分波器と、TM偏光に対する同じ波長の分波器を
縦列に配置することにより、偏波ダイバーシティ受信が
可能となるという特長がある。
【0016】以上、本発明の分波器の原理を方向性結合
器の概念により説明したが、厳密には、上記のコアモー
ド及び第2クラッドモードは、これらのコアがそれぞれ
独立に存在する場合に伝搬するモードであり、結合導波
路の放射損失特性は、一般の多層クラッド導波路の理論
を用いないと計算することはできない。例えば、第2ク
ラッドモードの放射効率は、第3クラッド4の厚さd3
を薄くすれば限りなく大きくなり、選択波長の放射効率
が大きくなるように考えられるが、実際にはd3 だけで
なく、第1クラッド2の厚さd1 、第2クラッド3の厚
さd2 も適当な厚さに設定しないと、放射効率は大きく
ならない。したがって、本発明の分波器を最適設計する
には、単に非対称方向性結合器の片方の導波路に光を放
射させるための層(基板)を接近させ、結合した光を放
射させるものと考えて設計すことはできない。
【0017】本発明の分波器では、選択波長のみを基板
へ放射させるので、その部分の基板(半導体)上に光検
出器を製作しておけば、その波長の光のみを検出するこ
とができる。すなわち、本発明の分波器は、半導体基板
上の光検出器と集積化することに意味がある。光分波器
を用いるシステムでは、分波した光を直ちに光検出器で
検出する場合が大半で、また、分波した光を処理してか
ら検出する場合も、前者の回路に置き換えられる場合が
多い。
【0018】なお、多波長の場合は、図4に断面を示す
ように、3層クラッドCのパラメータ、特に結合層3の
厚さを順に変えて各波長毎の分波器11、12、13を
構成し、対応する基板5の位置に光検出器7を集積化し
て、分波・光検出集積素子をアレイ状に接続することに
より、多数の波長の光を個別に検出するようにすること
ができる。
【0019】これまでは、本発明による多層クラッド導
波路の光分波器への応用について説明したが、その他、
偏光子、光スイッチへの応用が考えられる。
【0020】本発明による導波路は、選択波長において
放射効率が高くなるのはTE、TM何れか一方の偏光で
あり、他方の偏光は低損失で通過させる。すなわち、波
長依存性は大きいが、高消光比、低挿入損失のTE通過
・TM放射の偏光子、あるいは、TM通過・TE放射の
偏光子に適用することができる。あるいは、前述と同様
に、基板上の光検出器と集積化することにより、偏光分
離・TE(あるいは、TM)偏光検出器を構成すること
ができる。なお、この集積素子は波長分波機能を兼ねて
おり、偏光分離、光分波、光検出の機能を持つ。
【0021】次に、本発明の導波路は、伝搬損失が波長
に大きく依存するのと同様に、第2クラッド層の屈折率
の変化に対しても、伝搬損失は大小に大きく変化する。
したがって、第2クラッド層として例えば電気的に屈折
率が制御可能な材料を用い、電気的にこの層の屈折率を
適当に変化させるようにして、この素子を通過する光の
強度を大小に大きく変化させることができるので、光強
度変調器(特に、光スイッチ)として応用することがで
きる。この素子は、素子長が短くても、結合層の屈折率
をわずかに変動させるだけで、高い消光比がとれるの
で、低駆動電圧・電流、高速変調が可能となる。
【0022】すなわち、本発明の導波路型光分波回路
は、導波路の表面から順に、少なくとも、コア層、3層
以上のクラッド層、基板からなり、最外クラッド層以外
の中間の特定のクラッド層の屈折率を他のクラッド層に
比較して相対的に高くして結合層とし、かつ、基板の屈
折率をコア層及び結合層よりも高くして、コアの伝搬モ
ードと結合層の伝搬モードの伝搬定数を特定の波長のみ
で一致するように設定することにより、コア中を伝搬す
る光の中の特定の波長の光を結合層へ分離して結合する
と共に、分離された光を結合層から基板へ放射させるよ
うにしたことを特徴とするものである。
【0023】この場合、基板を半導体で形成し、基板上
に放射された光を検出する光検出器を集積化することが
望ましい。また、コア層と結合層と結合層以外のクラッ
ド層の少なくとも1層を屈折率可変材料で形成して、そ
の層の屈折率を変化させることにより、伝搬光の強度変
調又はスイッチングを行うようにすることもできる。
【0024】さらに、本発明のもう1つの導波路型光分
波回路は、導波路の表面から順に、少なくとも、コア
層、3層以上のクラッド層、基板からなり、最外クラッ
ド層以外の中間の特定のクラッド層の屈折率を他のクラ
ッド層に比較して相対的に高くして結合層とし、かつ、
基板の屈折率をコア層及び結合層よりも高くして、コア
の伝搬モードと結合層の伝搬モードの伝搬定数を特定の
波長のTE又はTM偏光のみで一致するように設定する
ことにより、コア中を伝搬する光の中の特定の波長のT
E又はTM偏光の光を結合層へ分離して結合すると共
に、分離された光を結合層から基板へ放射させるように
したことを特徴とするものである。
【0025】この場合も、基板を半導体で形成し、基板
上に放射された光を検出する光検出器を集積化すること
が望ましい。そして、伝搬定数が一致する波長が相互に
異なる上記の導波路型光分波回路を複数個縦列に接続す
ることにより偏光分離、波長分波を共に行うようにする
こともできる。
【0026】
【作用】本発明の第1のものにおいては、波長が異な
り、かつ、波長間隔の狭い複数の光が合波された光信号
を各波長ごとに分離することができ、光検出器を集積化
することにより、分離した各波長の光を基板上の光検出
器に放射させ、光検出器により電気信号に変換すること
ができる。多層クラッド層中の特定の層の厚さを導波路
方向にテーパ状に設定することにより、選択波長幅を広
くすることができる。
【0027】また、多層クラッド層中の屈折率可変の結
合層に電気的作用等を加えることにより、導波路損失を
大小に著しく変動させ、コア層に入射した光の強度の変
調、又は、スイッチングをすることができる。
【0028】また、本発明の第2のものにおいては、入
射したTE、TM2つの偏光を含む光に対して、TM偏
光を高効率で基板へ放射し、TE偏光を低損失で通過さ
せるか、あるいは、TE偏光を放射させ、TM偏光を通
過させることができる。または、各偏光ごとに分離し、
TE、TM偏光を個別に検出することができる。多層ク
ラッド中の特定の層の厚さを導波路方向にテーパ状に変
化させれば、偏光子機能の波長依存性を緩和することが
できる。
【0029】
【実施例】次に、本発明の導波路型光分波回路等の具体
的な実施例について説明する。
【0030】本発明による導波路の一般的な構造は、図
5に断面を示すように、3層以上からなる多層クラッド
C内の最外層以外の中間の特定の層3(1層とは限らな
い)を屈折率を相対的に高くして結合層とした多層クラ
ッド導波路からなるもので、これを分波器とする場合は
選択波長において、偏光子、光スイッチへ応用する場合
は使用波長において、コア層1のコアモードと第2クラ
ッド層3のモードの伝搬定数が一致するように、各層の
屈折率及び厚さを設定する。光分波・光検出集積素子、
偏光分離・光検出集積素子に応用する場合は、基板5を
半導体として、この導波路の下に光検出器を製作してお
く。コアモードは基本モードに限定されるが、コアモー
ドと結合させる第2クラッドモードの次数は任意であ
る。結合させるモード次数により、選択波長幅、基板へ
の放射効率が異なるので、使用目的により適当なモード
次数を選択する。一般に、モード次数が高い程、波長選
択幅は狭く、放射効率は高くなる。クラッド数は3層が
基本であるが、例えば放射効率を上げるため、基板5と
の境界に無反射層を設ける等、クラッド層は3層に限定
されない。
【0031】図1に、本発明の導波路の基本的な構造
と、選択波長を1.3μmにするための屈折率、層厚の
数値例を示す。この例では、第2クラッド層3が結合層
である。第1クラッド層2、第3クラッド層4の屈折率
は、コア1、第2クラッド3の屈折率より低くなってい
る。第2クラッド層3の屈折率は、コアの屈折率nc
1.54に対して、n2 =2.6と大きく、逆に、コア
の厚さdc =14μmに対してd2 =0.665μmと
非常に薄い。各クラッドの厚さは、数値計算により最適
化されている。図3に示すように、コアモード及び結合
モード(第2クラッドモード)の波長に対する伝搬定数
βc 、β2 の特性曲線の傾きは大きく相違し、ほぼ波長
1.3μmにおいてβc =β2 となる。この例では、コ
アモードは第2クラッドモードの2次モードに結合され
る。ただし、これらはTE偏光の場合である。図2は多
層クラッドの理論に基づいて計算されたこの導波路の波
長に対する伝搬損失(放射損失)を示すものである。中
心波長1.3μmにおいて、損失は100dB/cmを
越え、1cm当りで導波路光は−100dB以下に減衰
し、この光は基板5へ放射される。波長が1.3μmか
らわずかに離れると、損失は急激に減少し、損失が1d
B/cm以上になる波長幅は40Å程度と非常に狭い。
波長が1.3μmから離れる程、損失は減少し、光通信
用として実用的な波長の範囲0.8μm〜1.7μmで
はサイドローブは発生しない。この構造例では、コア厚
は14μmと厚く、直接光ファイバに接続しても、光フ
ァイバの伝搬モードとの整合性が良く、損失が少ない。
一方、各クラッド層の厚さは比較的薄いので、製作上有
利である。
【0032】次に、コア厚を薄くすると、光ファイバと
の界分布の整合が悪くなり、スポットサイズ整合器が必
要となるが、選択波長幅をほとんど変えずに、選択波長
における放射効率をさらに高くすることができる。図6
に図1の構造でコア厚を8μmとしたときの損失特性を
示す。中心波長1.3μmにおいて損失300dB/c
mを越え、素子長が1mm程度あれば、実用上必要なだ
けの光パワーを基板5へ導くことができる。一方、素子
長が短いだけ非選択波長(通過波長)の光の挿入損失が
低減する。
【0033】多波長の光を分波する場合は、図4に示し
たように、選択波長が異なる分波器11〜13と光検出
器7の集積素子を導波路に沿ってアレイ状に配置すれば
良い。図7に損失特性を示すように、特定のクラッド層
の厚さ、特に結合層の厚さd 2 を調節するだけで、中心
波長を任意に設定することができる。この回路により、
導波路内の多数の波長の光をそれぞれ個別に検出するこ
とができる。
【0034】さて、選択波長幅が狭いことが問題になる
場合、結合層3をコア1の屈折率に近い材料にすれば、
図8に損失特性を示すように、選択波長幅は広くなる。
この例では、n2 =1.6、d2 =3.78μmと、図
1の例より屈折率及び厚さがコア1に近く、コアモード
と結合モード(第2クラッドモード)の伝搬定数の波長
特性の傾き(∂β/∂λ)が近くなるためである。しか
し、図8のように損失特性の急峻さが失われる。そこ
で、図7から分かるように、クラッド層の中の特定の層
(1層とは限らない)の厚さを変化させると選択波長が
ずれるから、この層の厚さを光の伝搬方向にテーパ状に
変化させれば、立ち上がり、立ち下がりが急峻でかつ波
長選択幅の広い損失特性が得られる。例えば、図1の例
において、図9に断面を示すように、d2 を0.663
μmから0.667μmまで導波路方向に徐々に変化さ
せれば、選択波長は放射損失1dB/cm以上の幅で
1.295μm〜1.305μmとなり、選択波長幅は
100Å程度と広くなる。
【0035】さらに、図2に示すように、選択波長で
は、TE偏光は非常に高損失になるのに対して、TM偏
光は非常に低損失のままである。すなわち、この導波路
構造は、波長1.3μmの光に対して、TM通過・TE
放射の偏光子として作用する。一方、クラッド層の厚さ
を適当に設定すれば、図10に損失特性を示すように、
TE通過・TM放射の偏光子が構成できる。何れの場合
も、コアが14μmと厚いにもかかわらず、十分な消光
比が得られている。偏光子機能の波長依存性の大きさが
問題になる場合は、図9と同様に、特定のクラッド層の
厚さを導波路方向にテーパ状に変化させればよい。さら
に、基板上の光検出器7と集積化すれば、図11に断面
を示すように、TE偏光検出器14、TM偏光検出器1
5となる。これらの素子は光分波機能を持つので、これ
らのTE偏光分波器16、TM偏光分波器17を図12
のように組み合わせれば、多波長用の光分波・TE・T
M偏光個別検出回路(偏波ダイバーシティ型分波・光検
出集積素子)が構成できる。これにより、特定の波長を
分波し、かつ、TE、TM各偏光を個別に検出できるの
で、この素子は波長多重のコヒーレント光通信システム
等において非常に有用な素子となる。
【0036】次に、図13は前記のコア厚8μmの例
(図6)と同様の構造において、波長を1.3μmに固
定し、結合層(第2クラッド層)3の屈折率n2 を変化
させた場合の伝搬損失特性である。n2 =2.6では、
損失は300dB/cm以上であり、ほとんど光を伝搬
させないが、n2 をわずか0.2パーセント変化させた
けで、損失0.1dB/cm以下と急激に低減する。し
たがって、結合層3に屈折率可変の材料を用い、電圧印
加あるいは電流注入により結合層3の屈折率を可変にす
れば、光強度変調器、特に光スイッチが構成できる。わ
ずかな屈折率の変化で伝搬損失が大きく変わるので、低
駆動電圧・電流が可能であり、オフ状態(n2 =2.
6)での伝搬損失が非常に大きいので、消光比を十分大
きくとっても素子長を短くでき、これにより浮遊容量が
低減できるから、高速変調が可能となる。
【0037】以上、本発明の導波路型光分波回路等をそ
の原理といくつかの実施例に基づいて説明してきたが、
本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能で
ある。
【0038】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の導波路型光分波回路によると、波長の多重度を非常に
高くした将来のFDM方式あるいはDWDM方式の光通
信システムに必要な光分波・光検出機能が光集積回路上
で実現できる。
【0039】また、本発明の導波路型光分波回路を偏光
子に適用した場合、結晶プリズム、偏光ビームスプリッ
タ等の個別素子により得られた従来の偏光子機能を光集
積回路上で達成することができる。基板上の光検出器と
集積化することにより、TE、TM偏光を個別に検出で
きるだけでなく、光分波機能も兼ねることができる。
【0040】また、本発明の導波路型光分波回路を光ス
イッチに適用した場合、高消光比、低駆動電圧・電流、
高速変調の光強度変調が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導波路型光分波回路の最も基本的な構
造の断面図(a)と屈折率分布(b)を示す図である。
【図2】図1の導波路の波長に対する伝搬放射損失特性
を示す図である。
【図3】図1の導波路のコアモード及び第2クラッドモ
ードの伝搬定数の波長に対する特性の例を示す図であ
る。
【図4】多波長用分波・光検出集積回路の1例の断面図
である。
【図5】本発明による導波路の一般的な構造を示す断面
図である。
【図6】コアを薄くした場合の伝搬放射損失特性を示す
図である。
【図7】結合層の厚さを変えたときの伝搬放射損失特性
を示す図である。
【図8】結合層の屈折率、厚さをコアの屈折率、厚さに
近づけた場合の伝搬放射損失特性を示す図である。
【図9】結合層の厚さを導波路方向にテーパ状にした例
の断面図である。
【図10】TM偏光を対象にした場合の伝搬放射損失特
性を示す図である。
【図11】光分波・TE・TM偏光個別検出回路の1例
を示す断面図である。
【図12】多波長用光分波・TE・TM偏光個別検出回
路の1例を示す断面図である。
【図13】結合層の屈折率を変化させた場合の伝搬損失
特性の1例を示す図である。
【図14】従来のマッハツェンダ干渉型分波器の1例の
構成を示す図である。
【図15】従来のグレーティング型分波器の1例の構成
を示す図である。
【図16】従来の非対称方向性結合器型分波器の1例の
構成と特性を示す図である。
【符号の説明】
1…コア 2…第1クラッド層 3…第2クラッド層(結合層) 4…第3クラッド層 5…基板 C…多層クラッド 7…光検出器 11〜13…分波器 14…TE偏光検出器 15…TM偏光検出器 16…TE偏光分波器 17…TM偏光分波器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 6/12 - 6/14 JICSTファイル(JOIS)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導波路の表面から順に、少なくとも、コ
    ア層、3層以上のクラッド層、基板からなり、最外クラ
    ッド層以外の中間の特定のクラッド層の屈折率を他のク
    ラッド層に比較して相対的に高くして結合層とし、か
    つ、基板の屈折率をコア層及び結合層よりも高くして、
    コアの伝搬モードと結合層の伝搬モードの伝搬定数を特
    定の波長のみで一致するように設定することにより、コ
    ア中を伝搬する光の中の特定の波長の光を結合層へ分離
    して結合すると共に、分離された光を結合層から基板へ
    放射させるようにしたことを特徴とする導波路型光分波
    回路。
  2. 【請求項2】 基板を半導体で形成し、基板上に放射さ
    れた光を検出する光検出器を集積化したことを特徴とす
    る請求項1記載の導波路型光分波回路。
  3. 【請求項3】 前記コア層と結合層と結合層以外のクラ
    ッド層の少なくとも1層を屈折率可変材料で形成して、
    その層の屈折率を変化させることにより、伝搬光の強度
    変調又はスイッチングを行うようにしたことを特徴とす
    る請求項1又は2記載の導波路型光分波回路。
  4. 【請求項4】 導波路の表面から順に、少なくとも、コ
    ア層、3層以上のクラッド層、基板からなり、最外クラ
    ッド層以外の中間の特定のクラッド層の屈折率を他のク
    ラッド層に比較して相対的に高くして結合層とし、か
    つ、基板の屈折率をコア層及び結合層よりも高くして、
    コアの伝搬モードと結合層の伝搬モードの伝搬定数を特
    定の波長のTE又はTM偏光のみで一致するように設定
    することにより、コア中を伝搬する光の中の特定の波長
    のTE又はTM偏光の光を結合層へ分離して結合すると
    共に、分離された光を結合層から基板へ放射させるよう
    にしたことを特徴とする導波路型光分波回路。
  5. 【請求項5】 基板を半導体で形成し、基板上に放射さ
    れた光を検出する光検出器を集積化したことを特徴とす
    る請求項4記載の導波路型光分波回路。
  6. 【請求項6】 伝搬定数が一致する波長が相互に異なる
    請求項4又は5の導波路型光分波回路を複数個縦列に接
    続することにより偏光分離、波長分波を共に行うように
    したことを特徴とする導波路型光分波回路。
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1991年電子情報通信学会春季全国大会講演論文集 分冊4 221頁

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