JP3102655B2 - 超音波制御による薬物放出製剤 - Google Patents

超音波制御による薬物放出製剤

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JP3102655B2 JP03360032A JP36003291A JP3102655B2 JP 3102655 B2 JP3102655 B2 JP 3102655B2 JP 03360032 A JP03360032 A JP 03360032A JP 36003291 A JP36003291 A JP 36003291A JP 3102655 B2 JP3102655 B2 JP 3102655B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生体内で活性を有する
薬物を必要時に放出する製剤に関する。さらに詳しく
は、本製剤を疾患により決定される任意の位置に埋め込
み、超音波発生装置が発生する生体にダメージを与えな
い強度の超音波によって、製剤が有する物質透過部での
薬物の透過速度を制御し、任意に製剤からの薬物放出を
制御することができる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、薬物を必要量、必要時、必要とす
る患部に供給して薬効を最大限に発揮させ、副作用は最
小限に抑えるというドラッグデリバリーシステム(Drug
Delivery System、DDS)の開発が行われている。例え
ば、生体内半減期の短い生体内活性物質の薬効を引き出
すために、生体内存在時間を延長する持続性製剤(特開
昭62-174031 号公報)や、生体リズムに合わせた薬物投
与を図るために製剤の複層化によるパルス的薬物放出等
(特開昭63-239212 号公報)も検討されている。特開昭
62-174007 号公報および特開昭62-174031 号公報にはシ
リコーンエラストマーの膜を薬物容器とし、内部に封入
された薬物を長時間持続的に透過放出するリザーバータ
イプ製剤が開示されている。
【0003】しかし、薬物によっては生体内で長時間存
在すると目的レセプターの減少が生じ、薬効の低下をき
たす場合がある。また、生体内では周期的にその薬物を
必要とする場合があり、これらの場合には、従来の徐放
化技術だけでは対応できない。また、生体のリズムは一
人ひとりに特異的で、薬物の必要な時期が一定しておら
ず、さらには発作状態のようにアトランダムに投薬の必
要な時が巡って来る場合もあり、複層化製剤のように事
前に薬物の放出周期が決定されている製剤では対応でき
ない場合もある。よって任意に薬物放出をコントロール
できる製剤の開発が望まれている。
【0004】このような製剤は企業、大学において、盛
んに研究されており、例えば薬剤放出・溶出過程を制御
する超音波を併用したDDSに関しては次のようなもの
がある。宮崎らは親水性のエチレンビニルアルコール共
重合体膜でインスリンを保持し、超音波照射による担体
の加熱によって放出制御が可能であることを示している
(J.Pharm.Pharmacol., vol.40,pp.716-717,1988)。根
岸らは、超音波吸収係数の異なるポリエチレン、ポリメ
チルメタクリレート、ポリスチレン、コラーゲンを担体
とするマトリックス型製剤で、超音波照射による担体の
加熱によって抗癌剤メソトレキセートの担体からの放出
促進を示している。(人口臓器 vol. 13(3),pp.1205-12
08,1984 )。また、加熱以外の作用を利用する超音波照
射による方法として、R.LANGERらの生体内分解
性担体であるポリ無水物マトリックス(例えば〔ビス
(p−カルボキシフェノキシ)アルカン無水物〕)やエ
チレンと酢酸ビニルのコポリマーにインシュリンやフェ
ロモンを含有せしめたマトリックス型製剤を体内に埋め
込む方法が知られている。すなわち、担体の生体内分解
による薬物放出に加えて、超音波を照射することによっ
て、衝撃波による担体破壊で薬物放出量を増加させうる
ことや、超音波照射で発生するキャビテーションでの作
用による放出量の増加が報告されている(特開昭63-315
37号公報)。又、共鳴器の中に薬物を入れ、体外からの
固有共鳴超音波照射によって、薬剤放出を促す方法(特
開平2−144075号公報)もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、超音波
を使用した薬剤の放出に関する制御技術は種々研究され
ているが、未だ満足すべきものは見出されていない。す
なわち、任意の放出制御に関して、熱による作用を利用
するものは、外部からの熱刺激があった場合に問題とな
る。例えば、季節的変動や日常生活における熱の発生
(入浴時など)で薬物の放出が懸念されるからである。
また、従来のマトリックス型製剤や親水性ポリマーを使
用したリザーバー型製剤は、放出のON−OFF制御に
は自然放出が大きいため、OFFの状態を保つことがで
きない。R.LANGERらの生体内分解性担体を使用
したマトリックス型製剤も、生体内に埋め込むだけで超
音波の照射以前に薬物の放出が起こる。従って、必要時
にのみ薬物放出を得たい場合には適当ではない。その上
一般にマトリックス型製剤は、薬物含量がその担体の大
きさによって制限されること、放出量がその製剤の表面
積によって影響を受けること、さらに自然に放出される
薬物量が大きいなどの問題がある。
【0006】共鳴器を用いる手法は、薬物の種類が広く
利点はあるものの、超音波(音波)に共鳴して、薬物放
出に開閉する共鳴容器が問題で、現在、サイズ、形状に
依存する共鳴周波数と一致する周波数の超音波を照射
し、生体内で容器の弁口を開閉させる実用化品はない。
恐らく、生体組織圧あるいは血圧に抗して容器弁口を開
閉させるための超音波エネルギーレベルは非常に高いも
のになることが、問題の一つではないかと考えられる。
このように、熱などの自然界に存在する刺激による薬物
の放出が無く、かつ生体に対する安全性の確立された刺
激によってのみ薬物の放出が制御され、単に生体に埋め
込むだけでは含有薬物の減少のほとんどない製剤の開発
が望まれている状況にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明者らは鋭意検討した結果、リザーバー型製剤
の物質透過部としてシリコーンエラストマーを使用する
ことで、超音波非照射時には、薬物の放出がおこらず、
超音波照射時のみ、薬物が放出される(ON−OFF放
出)ことを見い出し、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は内部に薬物を保持し、
生体の任意の特定の位置に留置して使用され、超音波照
射により、薬物の透過速度を増加させ、かつ超音波照射
が停止したのちは、実質的に薬物を透過させないシリコ
ーンエラストマーからなる物質透過部を持つことを特徴
とする生体内留置型リザーバー型製剤に関する。さらに
詳細には、本発明製剤は、薬物を内部に保持させたリザ
ーバー型製剤であり、かつリザーバーの全体あるいは一
部分が物質透過部で構成される製剤である。本発明の製
剤は、超音波非照射時は、ほとんど薬物を放出しない
が、超音波を照射するとその音場効果によって物質透過
部での網目構造の変化により薬物の透過速度を著しく増
加させ、薬物を放出させるものである。
【0009】本発明は、薬物貯溜容器の形状、サイズに
は関係なく、物質透過部の組織構造間隔あるいは膜チャ
ンネル特性に超音波を作用させ放出を行うもので、照射
超音波による膜透過性を制御し、その結果薬物放出量を
制御するものである。即ち、前述の容器形状、サイズに
依存する固有共鳴特性ではなく、製剤自体、あるいは製
剤の壁となる膜それ自体の薬物透過特性に関与するもの
である。薬物の膜透過量を制御する超音波エネルギーレ
ベルは、それ程高くなく生体内への適用可能なレベルで
制御可能である。
【0010】本発明における物質透過部は、シリコーン
エラストマーからなる。本発明においてシリコーンエラ
ストマーとはメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロ
キサン、ジメチルメチルビニルポリシロキサンなどのシ
リコーンポリマーからなる弾性体であり生理学的に許容
しうるものであれば特に制限されるものではないが、取
扱の容易さ、物質の熱に対する安定性などを考慮する
と、室温硬化型のシリコーンエラストマーが好ましい。
これは液状のエラストマーベースに加硫剤(例えばスタ
ンナスオクテート、塩化白金酸)を加えることで固状ゴ
ムが得られるものであり、特に式:
【化1】 〔式中、nは100 〜5000の整数を、およびRはメチル
基、ヒドロキシ基、またはビニル基を意味する。〕で示
されるジメチルポリシロキサン、たとえばダウコーニン
グ社製のダウコーニング(Dow corning (登録商標))
360 、シラスティック(Silastic(登録商標))382 、
ダウコーニング(Dow corning (登録商標))MDX−
4−4210などが挙げられる。
【0011】または式:
【化2】 〔式中、nは100 〜10000 の整数を、およびmは1〜10
0 の整数を意味する。〕で示されるメチルビニルポリシ
ロキサン、たとえばダウコーニング社製のシラスティッ
ク(Silastic(登録商標))メディカルグレードETR
などのシリコーンポリマーの使用が推奨される。また、
シリコーンエラストマーの架橋の程度も、薬物あるいは
透過速度に応じて調節することもできる。
【0012】さらに、物質透過部に薬物の活性に影響を
与えない例えばタングステン、カーボン、またはチタン
を加えることによって、超音波によって増加する物質透
過部の薬物の透過速度を抑えることができる。従って、
このことを応用すれば物質透過部での自然放出が大きい
薬物でも自然放出を抑えることが出来、本発明に適用可
能な薬物の範囲を広げることが出来る。これらの含量
は、生体埋め込み部において、製剤の必要強度が保たれ
るのであれば特に制限はないが、好ましくはシリコーン
エラストマーの50%以下である。
【0013】物質透過部を構成するシリコーンエラスト
マーの膜厚は、薬物がヒト血清アルビミンまたはインタ
ーフェロンなどの高分子物質、またはプロスタグランジ
ン、5−FUなどの水溶性低分子物質である場合、通
常、0.01〜0.5mm 未満、好ましくは0.01〜0.3mm 、特に
好ましくは0.01〜0.15mmの範囲である。薬物がインドメ
タシンなどの脂溶性低分子物質である場合は通常、0.1
〜20mm、好ましくは0.2 〜10mm、特に好ましくは0.5 〜
3mm の範囲である。リザーバーの一部が物質透過部の場
合、物質透過部以外の部分はどんな材質でも構わない
が、生体適合性の良好な例えばポリウレタン、テフロ
ン、セラミック、またはポリプロピレンなどが好まし
い。
【0014】本発明製剤により、生体のリズムに合わせ
た投薬が可能になるのみならず、過剰な投与による生体
のフィードバック機構を回避できる。さらには緊急を要
する場合において、本人に意識がなくても第三者が超音
波を照射することによって投薬することも可能である。
本発明における薬物とは、たとえばペプタイド、蛋白
質、糖蛋白質、多糖類等の高分子物質から低分子物質ま
で特に限定はないが、分子量100万以下が好ましい。
また、本発明に適用するためにはシリコーンエラストマ
ーの透過部に透過性の少ないこと、あるいはタングステ
ン、カーボン、またはチタンのシリコーンエラストマー
への添加によって透過性が薬効を発現しない量以下にで
きる薬物が好ましい。
【0015】適用薬物の例を挙げれば、成長調節作用、
骨代謝関連作用、血栓溶解作用、免疫調節作用、喘息抑
制作用、解熱鎮痛消炎作用、心機能調節作用、血糖値調
節作用、催眠鎮静作用、または脳循環代謝改善作用等を
有する物質が挙げられる。例えば、鎮痛消炎作用を有す
るインドメタシンを本発明に適用し、例えば関節の近傍
に埋め込み、超音波によって痛みの程度に応じた薬物量
を投与することにより副作用が生じることを防ぎ、かつ
痛みに対して即座に対応する事ができる。さらに、適用
薬物の具体例を以下に示す。
【0016】成長調節作用を有する物質としては、たと
えば成長ホルモン(GH)、成長ホルモン放出因子(G
RF)、およびソマトメジン(SM)が挙げられる。G
RFはGH放出活性を示すペプタイドでありアミノ酸数
が44、40、37または29から成る数種類のペプタ
イドで、それぞれについて活性が認められているが、本
発明に用いる場合はいずれでもよく、またこれらの混合
物でもよい。SMはソマトメジングループとして認めら
れているものでありSM−A、SM−B、SM−Cおよ
びIGF(インスリン様成長因子)−IとIGF−IIの
ほかMSA(マルチプリケーションスティミュレイティ
ングアクティビティー)など、さらにSM−CがIGF
−Iと同一物質であるという報告もあるが、本発明に用
いる薬物としてはいずれでもよく、またこれらの混合物
でもよい。脳細胞成長調節因子としては、神経栄養因子
(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニュー
ロトロピン−3(NT−3)、酸性または塩基性繊維芽
細胞成長因子(FGF)、神経芽細胞種増殖抑制因子
(NGIF)などが挙げられる。これらは、常時存在す
るよりも、日内において特定のリズムで存在・消失を繰
り返した方が生体恒常性の維持の面でより自然である。
よって本発明に適している。
【0017】骨代謝関連作用を示す薬物としては、たと
えばカルシトニン、副甲状腺ホルモン、インターロイキ
ン−1(IL−1)、腫瘍壊死因子(TNF)、または
IGFなどが挙げられる。また血栓溶解作用を有する薬
物としては、たとえば組織プラスミノーゲン活性化因子
(t−PA)が挙げられる。免疫調節作用を有する薬物
としてはたとえばインターフェロン(IFN)、インタ
ーロイキン(IL)、コロニー刺激因子(CSF)、マ
クロファージ活性化因子(MAF)、マクロファージ遊
走阻止因子(MIF)が挙げられる。なおここでいうイ
ンターフェロンとはα、β、γその他いずれのインター
フェロンでもよく、またそれらの組み合わせでもよい。
同様にインターロイキンは、IL−1、IL−2、IL
−3その他いずれでもよく、コロニー刺激因子は multi
−CSF(多機能性CSF)、GM−CSF(顆粒球−
単球マクロファージCSF)、G−CSF(顆粒球−C
SF)またはM−CSF(単球マクロファージCSF)
その他いずれのCSFでもよく、またこれらの混合物で
もよい。MAFおよびMIFについても、今後の研究に
より精製、分離が期待される各サブタイプはそれぞれ同
様の分子量をもつ糖蛋白質または蛋白質であると予想さ
れ、本発明の適用によりいずれも必要に応じた投与が可
能であると考えられる。これらも連続的に投与されるよ
りも、活性の出現による反応が収まった後に再度投与す
る方が薬物の過剰投与を回避できる。また、本発明によ
って患者が投与を受けるために病院まで通う頻度を低減
できる。本発明に用いるペプタイド、蛋白質、糖蛋白質
などはその製法によらず、生体からの抽出物質、人工合
成物質または遺伝子組換え法によって得られたもののい
ずれであってもよい。
【0018】喘息抑制作用を有する薬物としては、たと
えばテオフィリンが挙げられる。解熱鎮痛消炎作用を有
する薬物としては、たとえばインドメタシン、イブプロ
フェン、ケトプロフェン、またはジクロフェナクナトリ
ウム等が挙げられる。心機能調節作用を有する薬物とし
ては、たとえばニトログリセリン、塩酸ドパミン、ジゴ
キシン、またはプロスシラリジン等が挙げられる。血糖
値調節作用を有する薬物としては、たとえばインシュリ
ン等、催眠・鎮静作用を有する薬物としては、たとえば
エスタゾラム、塩酸リルマザホン、またはアルプラゾラ
ム等が挙げられる。脳循環代謝改善作用を有する薬物と
しては、プロスタサイクリン等である。
【0019】本発明製剤における薬物の含有量はその薬
物の投与量、希望する放出回数とその量などにより調節
すればよい。本製剤は薬物の放出が終了してもそのまま
体内に残るため、頻繁に出し入れ出来るものではない場
合は、過量の薬物を充填しておくことが好ましく、ある
いは外部から薬物の補充が出来るような構造にしておく
ことが望ましい。さらに薬物の安定性向上のためにアミ
ノ酸やグリセリン、界面活性剤、アルブミン等を薬物と
共に添加することも自然放出に影響を与えない範囲であ
れば問題ない。本発明製剤に使用する超音波は照射した
際に、生体にダメージを与ない(キャビテーションを起
こさない)条件であればよく、周波数は製剤の種類や大
きさ、材質、膜厚、物質の性質、投与部位によって最適
な周波数を選択すれば良い。好ましい周波数は、20KH
Z 〜20MHZ 、さらに好ましくは50KHZ 〜3MHZ の範
囲である。超音波の生体に対する安全性は、日超医超音
波医用機器に関する委員会では1984年に、連続波では約
1W/cm2 、パルス波ではSPTA(空間ピーク時間平
均強度) 240mW/cm2 が生体作用を示す最小強度である
と報告している。よって連続波では1W/cm2 以下が、
パルス波ではSPTA 240mW/cm2 以下が適している。
照射超音波の波形は、連続波、周期パルス状波形(なお
周期は、規則的でも不規則でも疑似不規則でもよい)、
または高周波パルス状波形(なお周期は、規則的でも不
規則でも疑似不規則でもよい)を選べばよく、かつその
振幅も、経時的に一定値、減衰繰り返し、増高繰り返し
を選べばよい。なお、それぞれの波形・振幅の組合わせ
よりなる構成とすることも可能である。
【0020】本発明に使用される超音波発生装置は特に
制限はないが、例えば(A)超音波発生部(プロー
ブ)、(B)振動子駆動回路、(C)波形発生回路、
(D)生体同期回路、(E)プローブ固定具、(F)装
置携帯保持具、および(G)電源部の全て、またはその
一部で構成される。また、超音波照射時間を任意に設定
する機能を有することもできる。照射超音波発生部(プ
ローブ)は、生体内又は生体上の固定部位に合わせた形
状を有することができ、超音波プローブで形成される発
生超音波音場は、生体内の薬剤の体表からの距離、幾組
みもの容器合成体ではそれぞれの容器の位置に合致する
よう超音波音場ビームの焦点及び音場形成位置を調整で
きる。ただし、無焦点も含む。
【0021】本装置は、上記A〜Eを一体とした筒体に
納めることができ、あるいは、例えば超音波発生部と、
生体へのプローブ固定具よりなる部分と、残りの部分と
いうように、電線を介して装置の各部を分離することも
できる。また、机あるいは、ベット上などに設置するこ
とも、ヒトが直接携帯することもできる。生体同期回路
は、超音波照射を心拍に同期させたり、呼吸に同期させ
て行うなど、薬物放出を生体変動に同期させる機能を有
する。
【0022】次に本発明製剤の製造方法を詳しく説明す
る。例えば、まず注型成形により例えばチューブのよう
な任意の形状のシリコーンエラストマーの中空製剤を得
る。次に薬学上許容される安定化剤、保存剤、放出調節
剤、または溶解補助剤などの添加剤を必要に応じて加え
た薬物を液体状、粉末状、または固体状でシリコーンエ
ラストマーの中空製剤に注入し、その後両端をシリコー
ンエラストマーで封することで調製できる。つまり外部
をシリコーンエラストマーで作成し、その内部に薬物を
含有させることにより、外部シリコーンエラストマーか
らの薬物の透過、放出性を抑制する膜透過型の超音波放
出制御型製剤とする。この際薬物の封入形態は、薬物単
独、あるいは薬物を薬学上許容される担体に分散させた
ものなど制限がなく、粉末あるいは粒状の薬物を流動性
のあるシリコーンエラストマーに分散させたものなどが
挙げられる。封入された内容物の状態は液体、ゲル状、
または固体状など特に限定されるものではない。薬学上
許容される種々の添加剤としては、たとえば水溶性混合
剤(たとえば、ポリエチレングリコール400 、ポリエチ
レングリコール200 、エチレングリコール、グリセロー
ル、ポリソルベトール80、アルギン酸ナトリウム、L
−アラニン、塩化ナトリウム)、または脂溶性混合剤
(たとえばポリジメチルチルシロキサン)等が挙げられ
る。
【0023】これらの方法によって得られる本発明製剤
の形状は球状、半球状、円柱状、ボタン状、シート状、
カプセル状、またはきのこ状など任意であり、使用する
部位に適合した形であればよい。投与方法は例えば皮下
投与、生体内埋め込み、体膣内挿入、または脳内留置な
どの方法で投与することができる。製剤の大きさには制
限がないが特に直径4mm以下(好ましくは0.5mm〜2mm
程度)長さ約50mm以下(好ましくは5mm〜30mm程
度)の円柱状に成形すれば手術を伴わずに生体に簡便に
投与することが可能である。すなわち、ファイバースコ
ープ、鉗子針、または留置針など特開昭 60-227772号公
報に記載の投与器具などを用いて注射的投与をすること
が可能である。さらに好ましくは直径を1.7mm以下に成
形すれば通常の留置針(14G)を用いてより簡便に投
与できる。ボタン状の製剤は手術による留置によって使
用され、その大きさは留置部位、薬物の含量によって特
定されるが、直径10mm、厚さ5mm程度のものから、直
径 150mm、厚さ40mm程度までの大きさが好ましい。シ
ート状の製剤は、ボタン状と同様に一辺10mm、厚さ5
mm程度の直方体から一辺 100mm、厚さ40mm程度の直方
体が好ましい。カプセル状製剤は胴径5mm、長さ10mm
程度のものから胴径30mm、長さ 100mm程度までが好ま
しい。きのこ状製剤は例えばきのこの笠の部分に薬物を
内包させ、柄の部分を薬物を導く配管として利用するこ
とも可能である。これは、特に体内の深部に薬物を送達
させたいときに有用である。本製剤の大きさは、笠の部
分が直径20mmから 100mm、笠の厚さが2mmから30mm
が好ましく、柄の長さは目的臓器までの長さであれば特
に問わない。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、必要なときに超音波を
使用して薬物を放出できるので、より自然な効果が期待
でき、また不要な副作用を回避できる。また、発作等で
本人に意識が無いような場合でも第三者が超音波を操作
して投薬が可能であり、さらに、脳内に薬物を投与する
場合の一例として、頭蓋骨内部に本製剤を手術により留
置し、頭皮から超音波を照射するだけで薬物を投与する
ことが可能となる。これにより患者の感染の危険性およ
び手術に対する負担を著しく軽減することができる。ま
たこれまでの熱による放出制御製剤と異なり、音場の強
弱によって薬物放出が起こるので日常生活の加温による
薬物放出が発生せず、より安全で厳密な制御が可能とな
る。
【0025】
【実施例】以下に本発明を実施例、および実験例を挙げ
て詳細に説明する。 実施例1 外径5mm、内径4.92mm、長さ13mmのシリコーンエラス
トマー製チューブ(シラスコン(登録商標)RX−5
0)に、25%ヒト血清アルブミン(HSA)水溶液 1
60μlを入れ、シリコーンエラストマー製接着剤(SILA
STIC(登録商標)Q7-2947 、Medical Adhesive Silicon
e )で両端の封をして製剤を得た。HSA含量は40mg
/製剤である。
【0026】実施例2 外径5mm、内径4mm、長さ10mmのシリコーンエラスト
マー製チューブ(シラスコン(登録商標)RX−50)
に、インドメタシンが5mg/ml濃度に、懸濁した40%
ポリエチレングリコール水溶液70mlを入れ、実施例1と
同様にシリコーンエラストマー製接着剤で両端の封をし
て製剤を得た。インドメタシン含量は 350μg/製剤で
ある。
【0027】実施例3 外径5mm、内径 4.6mm(膜厚0.2mm )、長さ10mmのシ
リコーンエラストマー製チューブ(シラスコン(登録商
標)RX−50)を使用し、実施例2と同様にインドメ
タシン含有シリコーンリザーバー型製剤を得た。 実施例4 外径5mm、内径 4.9mm(膜厚0.05mm)、長さ10mmのタ
ングステンを含有するシリコーンエラストマー製チュー
ブ(シラスコン(登録商標)RX−50)の両端をシリ
コーンエラストマー製剤着剤(SILASTIC(登録商標)Q7
-2947,MedicalAdheslve Silicone)で封をし、インドメ
タシンが5mg/ml 濃度に懸濁した40%ポリエチレングリ
コール水溶液80μlを入れ、インドメタシン含有シリ
コーンリザーバー製剤を得た。インドメタシン含量は平
均 400μg/製剤であった。
【0028】実施例5 外径5mm、内径4.92mm(膜厚0.04mm)、長さ10mmのシ
リコーンエラストマー製チューブ(シラスコン(登録商
標)RX−50)を使用し、実施例2と同様にインドメ
タシン含有シリコーンリザーバー製剤を得た。 実験例1 実施例1で調製した製剤を37℃に保温したリン酸緩衝
液(pH7.4)中にいれ、経時的に緩衝液中に放出され
るHSA量を、BIORAD社製プロテインアッセイ液で、H
SAをスタンダードにして定量し、超音波照射による影
響を調べた。超音波条件は、1MHz、0.6w、6時間
照射とした。図1に示すように3回繰り返し実施したと
ころ、非照射時は検出限界以下であったのに対し、照射
時は有意に放出量の増加が認められた。また、照射停止
後は放出量も照射前の状態に戻っており、可逆的な超音
波による放出促進であることがわかった。
【0029】実験例2 実施例2で調製したインドメタシン含有製剤を37℃に
保温したポリエチレングリコール水溶液中に入れ、水溶
液に放出されるインドメタシン量を、高速液体クロマト
グラフィーで定量し、超音波照射による影響を調べた。
超音波条件は、1MHz、0.6w、2時間照射とした。
3回繰り返実施したところ、非照射時に比べ有意に放出
の増加が認められた。その結果を図2に示す。 実験例3 実施例2で調製したインドメタシン含有製剤を使用し温
度による放出への影響を調べた。製剤を含むポリエチレ
ングリコール水溶液を37℃→42℃→37℃のように
各温度の水浴に入れ換えて放出量に及ぼす温度の影響を
調べた。その結果、図3に示すように若干の放出量増加
が認められたが、超音波照射時と比べてその増加は小さ
かった。よって図2の結果は、超音波による放出効果で
あると確認された。
【0030】実験例4 実施例3で調製したインドメタシン含有製剤を37℃に
保温したポリエチレングリコール水溶液中に入れ、水溶
液に検出されるインドメタシン量を定量し、超音波照射
時、前後で放出量を調べた。その結果、下記の図4のよ
うであった。超音波条件は1MHz、0.6w、2時間
照射とした。3回繰り返し実施したところ、非照射時に
比べ有意に放出が認められた。 実験例5 実施例4で調製したインドメタシン含有製剤を37℃に
保温したポリエチレングリコール水溶液中に入れ、水溶
液に検出されるインドメタシン量を定量し、超音波照射
時、前後で放出量を調べた。その結果、下図の図5のよ
うであった。超音波条件は、1MHz、0.6w、2時
間照射とした。2回繰り返し実施した。タングステイン
を含有するチューブを使用すると自然放出が抑えられ、
照射時には有意に放出の増加が認められた。
【0031】実験例6 実施例5で調製したインドメタシン含有製剤を37℃に
保温したポリエチレングリコール水溶液中に入れ、水溶
液に検出されるインドメタシン量を定量し、自然放出量
を調べた。実験例2、4および5でのインドメタシン製
剤の自然放出量とこれらを比較した。その結果図6のよ
うであった。これらからタングステンをシリコーンエラ
ストマー膜内に混入することによってシリコーンエラス
トマー膜の硬度を高めたために製剤からのインドメタシ
ンの自然放出量が減少したことが確認された。タングス
テンをシリコーンエラストマー膜に混入することによっ
て製剤からの自然放出が抑制できることが明らかとなっ
た。
【0032】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例1で得られた製剤の超音波照射に
よるHSAの放出量の変化を示す。
【図2】図2は実施例2で得られた製剤の超音波照射に
よるインドメタシンの放出量の変化を示す。
【図3】図3は実施例2で得られた製剤の熱によるイン
ドメタシンの放出量の変化を示す。
【図4】図4は実施例3で得られた製剤の超音波照射に
よるインドメタシンの放出量の変化を示す。
【図5】図5は実施例4で得られた製剤の超音波照射に
よるインドメタシンの放出量の変化を示す。
【図6】図6は実施例2、3、4および5で得られた製
剤の自然放出量を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤岡 敬治 大阪府茨木市蔵垣内1丁目3番45号 住 友製薬株式会社内 (72)発明者 佐々木 慶雄 大阪府茨木市蔵垣内1丁目3番45号 住 友製薬株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−31537(JP,A) 特開 平4−135571(JP,A) 特開 昭62−174007(JP,A) 特開 昭62−174031(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 9/00 - 9/72 A61M 31/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に薬物を保持し、生体の任意の特定
    の位置に留置して使用され、超音波照射により、薬物の
    透過速度を増加させ、かつ超音波照射が停止したのち
    は、実質的に薬物を透過させないシリコーンエラストマ
    ーからなる物質透過部を持つことを特徴とする生体内留
    置型リザーバー型製剤。
  2. 【請求項2】 物質透過部に、タングステン、カーボ
    ン、またはチタンのいずれか一種以上を含む請求項1記
    載の製剤。
JP03360032A 1991-12-27 1991-12-27 超音波制御による薬物放出製剤 Expired - Fee Related JP3102655B2 (ja)

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