JP3100785B2 - 新規エバーメクチン誘導体、その製造方法ならびにその生産微生物 - Google Patents

新規エバーメクチン誘導体、その製造方法ならびにその生産微生物

Info

Publication number
JP3100785B2
JP3100785B2 JP04295436A JP29543692A JP3100785B2 JP 3100785 B2 JP3100785 B2 JP 3100785B2 JP 04295436 A JP04295436 A JP 04295436A JP 29543692 A JP29543692 A JP 29543692A JP 3100785 B2 JP3100785 B2 JP 3100785B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
medium
embedded image
formula
producing
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP04295436A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05320186A (ja
Inventor
智 大村
治生 池田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kitasato Institute
Original Assignee
Kitasato Institute
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kitasato Institute filed Critical Kitasato Institute
Priority to JP04295436A priority Critical patent/JP3100785B2/ja
Publication of JPH05320186A publication Critical patent/JPH05320186A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3100785B2 publication Critical patent/JP3100785B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Saccharide Compounds (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規エバーメクチン誘
導体、その製造方法ならびにその生産微生物に関する。
【0002】
【従来の技術】エバーメクチン(avermectin
s)はストレプトミセス・エバーミチリスの培養物から
得られる16員環マクロライド系抗寄生虫性抗生物質と
して既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】エバーメクチンは、抗
寄生虫性抗生物質として、広く利用されている。このよ
うなことから、新しいエバーメクチン化合物を見出すこ
とはきわめて意義のあることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の新規エバーメク
チン誘導体の化合物群は、ストレプトミセス・エバーミ
チリス(Streptomyces avermiti
lis)の1菌株の培養液から単離される一連のマクロ
ライドである。新規エバーメクチン誘導体は、1あるい
は2糖によって置換された16員環の骨格を有するこ
と、及びその骨格上に融合した2環性のスピロケタール
を有することにより特徴づけられる。
【0005】本発明は、新規エバーメクチン誘導体、及
びストレプトミセス エバーミチリスのエバーメクチン
誘導体生産突然変異体の培養液からの新規エバーメクチ
ン誘導体の製造方法、ならびに新規エバーメクチン誘導
体生産能を有するストレプトミセス・エバーミチリスに
属する微生物である。
【0006】従って、本発明の目的はそのような新規エ
バーメクチン誘導体を得ることであり、他の目的はスト
レプトミセス・エバーミチリス(Streptomyc
esavermitilis)の突然変異株、K205
7及びその形質転換体K2057/pKU109::a
veD1を得ることであり、更に他の目的は、培養液か
らの新規エバーメクチン誘導体の製造方法ならびにその
生産微生物を得ることである。
【0007】本発明の新規化合物である新規エバーメク
チン誘導体は以下の5つの構造式である式〔I〕、式
〔II〕、式〔III 〕、式〔IV〕および式〔V〕によって
表される。
【0008】
【化11】
【0009】
【化12】
【0010】
【化13】
【0011】
【化14】
【0012】
【化15】 上述の新規化合物である新規エバーメクチン誘導体
〔I〕、〔II〕、〔III 〕および〔VI〕を生産する微生
物は、ストレプトミセス・エバーミチリス(Strep
tomyces avermitilis)K2038
(FERM BP−2775)の突然変異株であって、
本菌株は親株ストレプトミセス・エバーミチリスK20
38(FERM BP−2775)の胞子懸濁液をN−
メチル−N′−ニトロ−N−ニトロソグアニジンで処理
し、次いで寒天培地上で生育させ、無作為にコロニーを
選択することによって得られたものである。
【0013】上記変異株は、ストレプトミセス・エバー
ミチリスK2057として工業技術院微生物工業技術研
究所に「微工研菌寄第12829号(FERM P−1
2829)として寄託されている。
【0014】新規エバーメクチン誘導体〔V〕を生産す
る微生物は、ストレプトミセス・エバーミチリスK20
57株にエバーメクチン生合成に関与する遺伝子(エバ
ーメクチンB 5−O−メチルトランスフエラーゼ遺伝
子)を導入したものである。上記の形質転換体はストレ
プトミセス・エバーミチリスK2057/pKU10
9::aveD1として工業技術院微生物工業技術研究
所に「微工研菌寄第12830号(FERM P−12
830)として寄託されている。
【0015】変異の誘導そのものは、通常の微生物変異
処理方法によって比較的容易に行うことができる。すな
わち、親株を紫外線、X線あるいはガンマ線照射する
か、あるいは変異誘発剤、例えばN−メチル−N′−ニ
トロ−N−ニトロソグアニジン、N−ニトロソウレア、
エチルメタンスルホン酸、ナイトロジェンマスタード、
亜硝酸、ヒドロキシルアミン、2−アミノプリン等で処
理した後、得られたコロニーをそれぞれ適当な生産培地
中で培養し、培養終了後、培養液を有機溶剤で抽出す
る。抽出した培養物を薄層クロマトグラフイーあるいは
高速液体クロマトグラフイー等で分析し、新規なエバー
メクチン化合物を生産している変異株を取得すれば良
い。
【0016】本発明の新規エバーメクチン誘導体生産変
異株ストレプトミセス・エバーミチリスK2057は、
ストレプトミセス・エバーミチリスK2038の突然変
異体ではあるが、それが由来した親株と同一の形態学上
の特徴を有しており、親株の形態学的性質は、米国特許
4310519号明細書に記載されている。
【0017】さらに、ストレプトミセス・エバーミチリ
スK2057株にエバーメクチン生合成に関与する遺伝
子(エバーメクチンB 5−O−メチルトランスフエラ
ーゼ遺伝子)を導入した形質転換体K2057/pKU
109::aveD1株は式〔I〕で示した化合物の5
位メチル化体を蓄積させることができる。
【0018】従って、本発明のストレプトミセス・エバ
ーミチリスK2057およびK2057/pKU10
9::aveD1は、前記式〔I〕、式〔II〕、〔III
〕、〔IV〕および式〔V〕で表される新規エバーメク
チン誘導体生産能を有する点で、従前のストレプトミセ
ス・エバーミチリスK2038、その他の同種菌株と性
質を異にするものである。
【0019】本発明の新規エバーメクチン誘導体は、ス
トレプトミセス・エバーミチリスK2057株及びK2
057/pKU109::aveD1株を以下に説明す
る条件下、適当な液体栄養培地中で好気的に発酵させる
ことによって生産される。多くの抗生物質の生産に使用
されているのと同様な液体培地がこれら新規エバーメク
チン誘導体の生産過程での使用に適している。
【0020】そのような栄養液体培地は、本微生物によ
って資化される炭素および窒素源、そして一般に低レベ
ルの無機塩を含有する。更に、発酵培地は本微生物の生
育に必須な微量の金属を含有することが可能である。こ
れらの微量金属は一般に栄養源として使用される複雑な
炭素および窒素源中に十分量存在するが、必要ならば培
地に別々に添加することも可能である。
【0021】一般に、糖のような炭水化物たとえばブド
ウ糖、ショ糖、マルトース、ラクトース、デキストリ
ン、澱粉、セルロース等が栄養培地中の適した資化し得
る炭素源である。培地中に使用する炭素源の正確な量
は、培地中の他の成分に依存するが、培地重量の0.5
%ないし5%の炭水化物が満足すべき結果が通常見出さ
れている。これらの炭素源は、同一培地中で併用するこ
とが可能である。
【0022】酵母の加水分解物、酵母自己消化物、大豆
粉、カゼイン水解物、酵母抽出物、大豆水解物、コーン
スチープリカー、デイステイラーズソルブル、綿実粉、
肉エキス等の窒素源が新規エバーメクチン誘導体の生産
において、ストレプトミセス・エバーミチリスによって
容易に資化される。種々の窒素源を単独で、あるいは併
用して培地重量の0.2%から6%の範囲内で使用する
ことが可能である。
【0023】培地中に添加し得る栄養無機塩として、ナ
トリウム、カリウム、マグネシム、アンモニウム、カル
シウム、リン酸塩、硫酸塩、塩化物、炭酸塩等のイオン
を放出し得る通常の塩が挙げられる。更に、含有しても
よいものは、コバルト、マンガン、鉄等の微量金属であ
る。
【0024】培養は好気的条件下で行われる。培養の
間、培地のpHは5から9に、温度は25から35℃に調
節され、120から240時間振とうまたは通気培養す
れば好ましい結果が得られる。上記の培養において新規
化合物を採取することが目的であるならば、培地中に少
なくとも新規エバーメクチン誘導体が生成蓄積されるよ
うな生産株及び生産培地を用いることはいうまでもな
い。
【0025】本発明の新規エバーメクチン誘導体は、人
間および動物の健康および農業において駆虫薬、殺虫剤
および殺ダニ剤としての重要な殺寄生虫活性を有してい
る。
【0026】本発明の化合物の単離には、周知の標準的
な抽出、精製技術が採用される。溶媒抽出、カラムクロ
マトグラフイー、薄層クロマトグラフイー、分取薄層ク
ロマトグラフイー、高速液体クロマトグラフイー等の技
術が、本発明の化合物の単離、精製に有用である。
【0027】実施例 1 ストレプトミセス・エバーミチリスK2057株の取
得:ストレプトミセス・エバーミチリスK2038株の
胞子を常法によりN−メチル−N′−ニトロ−N−ニト
ロソグアニジン処理(1mg/ml、pH9.0で30℃90
分間)した後、この胞子を平板あたり200個のコロニ
ーが生育するように滅菌水で希釈し、YMS平板に塗り
広げ、30℃5日間培養した。
【0028】生じたコロニーを釣菌分離し、YMS平板
に1cm2 のパッチ状に移植し、これをマスター平板とし
た。マスター平板を生産寒天培地にレプリカし、30℃
で8日間培養した。培養終了後、生産寒天培地上のそれ
ぞれのパッチ状の菌体を寒天培地ごと切り出し、プラス
チックチューブに入れ、0.5mlのアセトンを加え、室
温で15分間放置して培養物を抽出した。
【0029】菌体および寒天片を除き、抽出液を濃縮乾
固した。得られた抽出物を0.025mlのアセトンに溶
解し、その0.005mlをシリカゲル薄層板(Merk
Kiesel gel 60F254 )にスポットし、1
5%v/vイソプロパノール/ヘキサンで展開した。展
開終了後、クロマトグラフイーを紫外線254nm下で
培養物の成分を観察し、新規化合物を生産しているスト
レプトミセス・エバーミチリスK2057株を取得し
た。
【0030】実施例 2 ストレプトミセス・エバーミチリスK2057株の発酵 ストレプトミセス・エバーミチリスK2057株の胞子
懸濁液0.1mlを100mlの種培地を含有する500ml
容三角フラスコに接種し、フラスコをロータリーシェー
カー上、28℃2日間、200rpmで培養した。この
種培養液2mlづつを100mlの生産培地を含有する50
0ml容三角フラスコ65本に移植し、フラスコをロータ
リーシェーカー上、28℃8日間、180rpmで培養
した。
【0031】実施例 3 ストレプトミセス・エバーミチリスK2057株培養液
からの新規化合物の製造 実施例2で得た発酵終了後の培養液6000mlを濾過
し、濾液を除去した。菌体を1000mlのイオン交換水
に懸濁した後、再び濾過し菌体を集めた。洗浄した菌体
を1000mlのアセトンで1時間攪拌して抽出した。抽
出後濾過を行い、濾液を集め、再度菌体を1000mlの
アセトンを加え十分洗浄した後、濾過を行い濾液と合わ
せ、アセトン抽出物とした。
【0032】アセトン抽出物2000mlを減圧下濃縮
し、500mlとし、イオン交換水を500ml加え、50
0mlの塩化メチレンで2回抽出した。塩化メチレン抽出
物を合わせ、100gの無水硫酸ナトリウムで処理して
濾過し脱水した。この溶液を減圧下濃縮した。
【0033】濃縮抽出物を5mlの酢酸エチルに溶解し、
25gのシリカゲルを充填したカラムに通塔し、さらに
50mlの酢酸エチルを流した。通過液を集め、減圧濃縮
し式〔I〕、式〔II〕および式〔III 〕で示す化合物を
含む粘張な油状物2.43gを得た。
【0034】実施例 4 式〔I〕で示した化合物の単離 実施例3で得られた油状物2.43gを5mlのヘキサン
/塩化メチレン/メタノール(10:10:1)に溶解
し、予め同混合溶媒で平衡化しておいたセファデックス
LH−20(120g)カラムに通塔した。上記混合溶
媒で溶出し、4mlづつ分画した。画分41−54を集
め、減圧濃縮し、1.15gの抽出物を得た。
【0035】得られた抽出物1.15gを2mlのヘキサ
ン/イソプロパノール(85:15)に溶解し、予め同
混合溶媒で平衡化した中圧シリカゲルカラム(35φ×
300mm)に通塔した。ヘキサン/イソプロパノール
(85:15)で溶出し、14mlづつ分画した。画分4
3−70を集め、減圧濃縮乾固し46mgの淡黄色粉末を
得た。
【0036】更に得られた46mgの淡黄色粉末を少量の
クロロホルムに溶解し、分取用シリカゲルプレート(2
0×20cm、厚さ0.25mm)5枚に帯状にスポット
し、ヘキサン/イソプロパノール(85:15)で展開
した。Rf値0.31に相当するバンドをかきとり、ク
ロロホルム/メタノール(5:1)で溶出し、溶出液を
減圧濃縮して式〔I〕で示す13mgの化合物を得た。
【0037】特徴付けデータ λmax(CH3 OH)242nmおよび236nm 〔α〕D+52.80(c=1.00メチルアルコール
中) m/z=737(M+Na) IR:図1に示すとおり1 H−NMR:図2に示すとおり
【0038】実施例 5 式〔II〕で示した化合物の単離 実施例4で行ったセファデックス(Sephadex)
LH−20カラムクロマトグラフイーの画分36−40
を集め、減圧下濃縮し、50mgの淡黄色粉末を得た。得
られた50mgの淡黄色粉末を少量のクロロホルムに溶解
し、分取用シリカゲルプレート(20×20cm、厚さ
0.25mm)5枚に帯状にスポットし、ヘキサン/イソ
プロパノール(85:15)で展開した。Rf値0.5
1に相当するバンドをかきとり、クロロホルム/メタノ
ール(5:1)で溶出し、溶出液を減圧濃縮して式〔I
I〕で示す13mgの化合物を得た。
【0039】特徴付けデータ λmax(CH3 OH)235nm 〔α〕D+7.00(c=1.00メチルアルコール
中) m/z=735(M+Na) IR:図3に示すとおり1H−NMR:図4に示すとおり
【0040】実施例 6 式〔III 〕で示した化合物の単離 実施例4および5で行った分取用シリカゲルプレート上
のRf値0.36に相当するバンドをかきとり、クロロ
ホルム/メタノール(5:1)で溶出し、溶出液を減圧
濃縮した。実施例4からのプレートより20mg、実施例
5のプレートより式〔III 〕で示す白色粉末の14mgの
化合物を得た。
【0041】特徴付けデータ λmax(CH3 OH)236nm 〔α〕D+1.00(c=1.00メチルアルコール
中) m/z=753(M+Na〕 IR:図5に示すとおり1 H−NMR:図6に示すとおり
【0042】実施例 7 実施例4で行ったセファデックスLH−20カラムクロ
マトグラフイーの画分28−35を集め、減圧濃縮し、
1.04gの淡黄色油状物を得た。得られた1.04g
の油状物のうち70mgを少量のクロロホルムに溶解
し、分取用シリカゲルプレート(20×20cm、厚さ
0.25mm)4枚に帯状にスポツトし、ヘキサン/イ
ソプロパノール(85:15)で展開した。Rf値0.
39に相当するバンドをかきとり、クロロホルム/メタ
ノール(5:1)で溶出し、溶出液を減圧濃縮し、8.
2mgの白色粉末を少量のメタノールに溶解し、分取用
HPLC(ODS5μm、10φmm×300mm、溶
媒:アセトニトリル/メタノール/水(62:18:2
0)、流速3ml/分、検出246nm)に供し、2
8.7分に溶出される画分を集め、減圧濃縮して式〔I
V〕で示す4.0mgの化合物を得た。
【0043】特徴付けデータ λmax(CH3 OH)249nm m/z=879(M+Na〕 IR:図7に示すとおり1 H−NMR:図8に示すとおり
【0044】実施例 8 ストレプトミセス・エバーミチリスK2057/pKU
109::aveD1株の取得 ストレプトミセス・エバーミチリス2057株の胞子
を、30%ショ糖及び5mM塩化マグネシウムを含むY
EME培地50mlを含む500ml容三角フラスコに移植
し、ロータリーシェーカー上、28℃で3日間、200
rpmで培養した。得られた培養液を3000rpm、
10分間遠心し、菌体を集めた。
【0045】得られた菌体を20mlのP10培地に懸濁
し、遠心によつて洗浄菌体を得た。洗浄菌体を1mg/ml
の卵白リゾチームを含むP10培地10mlに懸濁し、3
7℃60分間保温して、プロトプラストとした。得られ
たプロトプラストを10mlのP20培地に加えよく混合
した後、綿栓を通過させ未消化の菌糸を除去した。プロ
トプラストを3000rpm、10分間遠心して集め、
P20培地を加え、109 プロトプラス/mlとなるよう
に懸濁した。
【0046】得られたプロトプラスト50μl に組換え
プラスミドpKU109::aveD1を1ngを加
え、さらに500μl のポリエチレングリコール溶液
(25%ポリエチレングリコールMW1000、0.1
mMリン酸二水素カリウム、0.1M塩化カルシウム、
50mMトリス−マレイン酸緩衝液pH8.0)を加え、
室温で1分間放置した。
【0047】500μl のP20培地を加えよく混合し
た後、その100μl づつをRM14寒天培地上にの
せ、2.5mlの軟寒天RM14培地とともに塗り広げ
た。30℃で21時間培養した後、200μg/mlのチ
オストレプトンを含む2.5mlの軟寒天培地を重層し
た。30℃で10日間培養し、チオストレプトンに耐性
な形質転換体を得た。
【0048】実施例 9 ストレプトミセス・エバーミチリスK2057/pKU
109::aveD1株の醗酵 ストレプトミセス・エバーミチリスK2057/pKU
109::aveD1株の胞子懸濁液0.1mlを5μg
/mlのチオストレプトンを含む100mlの種培地を含有
する500ml容三角フラスコに接種し、フラスコをロー
タリーシェーカー上、28℃2日間、200rpmで培
養した。この種培養液2mlづつを5μg/mlのチオスト
レプトンを含む100mlの生産培地を含有する500ml
容三角フラスコ7本に移植し、フラスコをロータリーシ
ェーカー上、28℃8日間、180rpmで培養した。
【0049】実施例 10 ストレプトミセス・エバーミチリスK2057/pKU
109::aveD1株培養液からの化合物の製造 実施例9で得た醗酵終了後の培養液600mlを濾過し、
濾液を除去した。菌体をイオン交換水500mlで洗浄し
た後、洗浄菌体を100mlのアセトンで2回抽出した。
アセトン抽出物を減圧濃縮して50mlとし、イオン交換
水50mlを加え、100mlの塩化メチレンで2回抽出し
た。塩化メチレン抽出物を合わせ、10gの無水硫酸ナ
トリウムで処理して濾過し脱水した。この溶液を減圧濃
縮した。濃縮抽出物を2mlの酢酸エチルに溶解し、10
gのシリカゲルを充填したカラムに通塔し、さらに20
mlの酢酸エチルを流した。通過液を集め、減圧濃縮し、
式〔IV〕で示す化合物を含む粘張な油状物730mgを得
た。
【0050】実施例 11 式〔V〕で示した化合物の単離 実施例10で得られた油状物730mgを少量のクロロホ
ルムに溶解し、分取用シリカゲルプレート(20×20
cm、厚さ1.0mm)5枚に帯状にスポツトし、ヘキサン
/イソプロパノール(85:15)で展開した。Rf値
0.67に相当するバンドをかきとり、クロロホルム/
メタノール(5:1)で溶出した。溶出液を濃縮乾固し
た後、少量のメタノールに溶解し、分取用HPLC(O
DS5μm、10φmm×300mm、溶媒:アセトニトリ
ル/メタノール/水(62:18:20)、流速3ml/
分、検出246nm)に供し、60.5分に溶出される
画分を集め、減圧濃縮して式〔V〕で示す2.03mgの
化合物を得た。
【0051】特徴付けデータ λmax(CH3 OH)242nm m/z=751(M+Na) IR:図9に示すとおり1 H−NMR:図10に示すとおり
【0052】前記実施例において使用した各種培地の組
成は以下に示すごとくである。 YMS培地の組成 麦芽エキス(Difco) 10g 酵母エキス(Difco) 4g 可溶性デンプン(Difco) 4g 寒天 20g 蒸留水 1000ml 2N水酸化カリウムでpH7.2とした後、121℃15
分間、高圧蒸気滅菌にかける。滅菌終了後、塩化マグネ
シウム、硝酸カルシウムを10mM、8mMとなるよう
に加える。
【0053】 生産寒天培地 グルコース 46g ペプトン化牛乳(Oxoid) 24g 酵母自己消化物(Difco) 2.5g 寒天 20g 蒸留水 1000ml 2N水酸化ナトリウムでpH7.2とした後、121℃1
5分間、高圧蒸気滅菌にかける。
【0054】 種培地 ラクトース 20g ディステイラーズソルブル 15g 酵母自己消化物(Difco) 2.5g 蒸留水 1000ml 2N水酸化カリウムでpH7.2とした後、121℃15
分間、高圧蒸気滅菌にかける。
【0055】 生産培地 グルコース 46g ペプトン化牛乳(Oxoid) 24g 酵母自己消化物(Difco) 2.5g ポリプロピレングリコール#2000 2.5ml 蒸留水 1000ml 2N水酸化カリウムでpH7.2とした後、121℃15
分間、高圧蒸気滅菌にかける。
【0056】 微量元素溶液 塩化第二鉄6水和物 200mg 塩化亜鉛 40mg 塩化第二銅2水和物 10mg 塩化マンガン4水和物 10mg ホウ酸ナトリウム10水和物 10mg モリブデン酸アンモニウム4水和物 10mg 蒸留水 1000ml 上記成分を溶解後、4℃で保存。
【0057】 YEME培地 グルコース 10g ペプトン(Difco) 5g 酵母エキス(Difco) 3g 麦芽エキス(Oxoid) 3g 蒸留水 1000ml pH無調整、121℃15分間、高圧蒸気滅菌にかける。
【0058】 P10培地 ショ糖 103g 硫酸カリウム 0.25g 塩化マグネシウム6水和物 2.03g 微量元素溶液 2.0ml 上記成分を蒸留水800mlに溶解後、121℃15分
間、高圧蒸気滅菌をかけて、下記の成分を加える。
【0059】 0.5%リン酸二水素カリウム 10ml 3.68%塩化カルシウム2水和物 100ml 0.25M*MES緩衝液pH6.5 100ml *2−morpholinoethane sulfonic acid
【0060】 P20培地 ショ糖 205g 硫酸カリウム 0.25g 塩化マグネシウム6水和物 2.03g 微量元素溶液 2.0ml 上記成分を蒸留水800mlに溶解し、121℃15分間
蒸気滅菌をかけ、冷却後下記の成分を加える。
【0061】 0.5%リン酸二水素カリウム 10ml 3.68%塩化カルシウム2水和物 100ml 0.25M MES緩衝液pH6.5 100ml
【0062】 RM14培地 ショ糖 205g 硫酸カリウム 0.25g 塩化マグネシウム6水和物 10.12g グルコース 10.0g カザミノ酸(Difco) 0.1g L−プロリン 3.0g 酵母エキス(Difco) 2.0g 微量元素溶液 2.0ml オートミール寒天培地(Difco) 3.0g 寒天 20.0g 上記成分を蒸留水870mlに溶解し、121℃15分
間、高圧蒸気滅菌をかけた後、下記の成分を加える。
【0063】 0.5%リン酸二水素カリウム 10ml 3.68%塩化カルシウム2水和物 80ml 0.25M MES緩衝液pH6.5 40ml
【0064】 軟寒天RM14培地 ショ糖 205g 硫酸カリウム 0.25g 塩化マグネシウム6水和物 10.12g グルコース 10.0g カザミノ酸(Difco) 0.1g L−プロリン 3.0g 酵母エキス(Difco) 2.0g 微量元素溶液 2.0ml オートミール寒天培地(Difco) 3.0g 寒天 5.0g 上記成分を蒸留水870mlに溶解し、121℃15分
間、高圧蒸気滅菌をかけた後、下記の成分を加える。
【0065】 0.5%リン酸二水素カリウム 10ml 3.68%塩化カルシウム2水和物 80ml 0.25M MES緩衝液pH6.5 40ml
【図面の簡単な説明】
【図1】式〔I〕に示した化合物の赤外線吸収スペクト
ルである。
【図2】式〔I〕に示した化合物のプロトン核磁気共鳴
スペクトルである。
【図3】式〔II〕に示した化合物の赤外線吸収スペクト
ルである。
【図4】式〔II〕に示した化合物のプロトン核磁気共鳴
スペクトルである。
【図5】式〔III 〕に示した化合物の赤外線吸収スペク
トルである。
【図6】式〔III 〕に示した化合物のプロトン核磁気共
鳴スペクトルである。
【図7】式〔IV〕に示した化合物の赤外線吸収スペクト
ルである。
【図8】式〔IV〕に示した化合物のプロトン核磁気共鳴
スペクトルである。
【図9】式〔V〕に示した化合物の赤外線吸収スペクト
ルである。
【図10】式〔V〕に示した化合物のプロトン核磁気共
鳴スペクトルである。
【図11】ストレプトミセス・エバーミチリスK205
7/pKU109::aveD1株を作成するために用
いた組み換えプラスミドpKU109::aveD1の
地図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12R 1:465) (C12P 19/62 C12R 1:465)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式[I]、[II]、[III]、
    [IV]または[V]で表される新規エバーメクチン誘
    導体。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 【化5】
  2. 【請求項2】 ストレプトミセス属に属する式[I]、
    [II]、[III]、[IV]または[V]で表され
    るエバーメクチン化合物生産能を有する微生物を培地に
    培養し、培養物より式[I]、[II]、[III]、
    [IV]または[V]で表されるエバーメクチン化合物
    を単離することを特徴とする式[I]、[II]、[I
    II]、[IV]または[V]で表されるエバーメクチ
    ン化合物の製造方法。 【化6】 【化7】 【化8】 【化9】 【化10】
  3. 【請求項3】 ストレプトミセス属に属する式[I]、
    [II]、[III]、[IV]または[V]で表され
    るエバーメクチン化合物生産能を有する微生物が、スト
    レプトミセス・エバーミチリス(Streptomyc
    es avermitilis)K2057(FERM
    P−12829)あるいはK2057/pKU10
    9::aveD1(FERM P−12830)である
    請求項2記載の製造方法。
JP04295436A 1992-03-26 1992-11-04 新規エバーメクチン誘導体、その製造方法ならびにその生産微生物 Expired - Fee Related JP3100785B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04295436A JP3100785B2 (ja) 1992-03-26 1992-11-04 新規エバーメクチン誘導体、その製造方法ならびにその生産微生物

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4-68704 1992-03-26
JP6870492 1992-03-26
JP04295436A JP3100785B2 (ja) 1992-03-26 1992-11-04 新規エバーメクチン誘導体、その製造方法ならびにその生産微生物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05320186A JPH05320186A (ja) 1993-12-03
JP3100785B2 true JP3100785B2 (ja) 2000-10-23

Family

ID=13381430

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP04295436A Expired - Fee Related JP3100785B2 (ja) 1992-03-26 1992-11-04 新規エバーメクチン誘導体、その製造方法ならびにその生産微生物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3100785B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05320186A (ja) 1993-12-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4530835A (en) CL-1577 Antibiotic compounds and their production
JPS6316120B2 (ja)
JPS5910798B2 (ja) 新しいリフアマイシン類の製造方法
JPS61148189A (ja) Cl−1577dおよびcl−1577e抗生/抗腫瘍化合物およびそれらの製法
JPH03254678A (ja) エバーメクチンの特定成分を選択生産するための微生物およびその選択的製造法
JP3100785B2 (ja) 新規エバーメクチン誘導体、その製造方法ならびにその生産微生物
JP5283927B2 (ja) 新規化合物アミコラマイシン、その製造方法及びその用途
WO2010122669A1 (ja) 新規化合物アミコラマイシン、その製造方法及びその用途
EP0002589B1 (en) A-40104 antibiotics, their preparation, and formulations containing them
JPS5948992B2 (ja) 抗生物質c−14482a↓1
EP0042172B1 (en) Antibiotic compounds, pharmaceutical compositions containing such compounds, process for production thereof
SU582772A3 (ru) Способ получени деацетоксицефалоспорина с
JPH03141290A (ja) 抗腫瘍抗生物質bmy―41339
US4870185A (en) Hapalindoles
JPH04261180A (ja) 13β−13−デオキシ−22,23−ジヒドロアベルメクチン−Bla/Blbアグリコンの微生物学的製造
JP3002347B2 (ja) 5−オキソ−エバーメクチン誘導体の直接醗酵法ならびにその生産微生物
US4816448A (en) Thermal isomer of difficidin and thermal isomer of oxydifficidin antibacterials
JP3192723B2 (ja) 新規マクロライド抗生物質sf2748b物質、sf2748c1物質、sf2748d物質およびsf2748e物質ならびにその製造法
JPS6219599A (ja) 新規マクロライド系抗生物質m119
JPH0196189A (ja) 新規抗生物質sf2446a2物質、sf2446a3物質、sf2446b1物質、sf2446b2物質及びsf2446b3物質
KR950005548B1 (ko) 항생물질 gtx-01 및 그 제조방법
JPH0625095B2 (ja) 抗生物質sf−2415物質およびその製造法
JP3063804B2 (ja) 新規マクロライド抗生物質sf2748物質およびその製造法
JPH03103186A (ja) 醗酵法によるエバーメクチンA1a、A2a、B1aおよびB2aの製造法およびストレプトミセス・アベルミチルスに属する新菌株
JPH02275893A (ja) マクロライド系化合物

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees