JP3095509U - 微粉塵の捕捉分離及び、刺激性ガス・悪臭を吸着分解し、廃棄に際し生分解機能を備えた、耳掛け型マスク。 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課 題】スギ花粉等の微粉塵を濾過捕捉し、且つ、ノ
ックス、エタンガス、メルカプタン等の刺激性及び悪臭
性のガスを吸着・分解し、通気性の損失が低く更に素材
自身が、生分解性質により環境汚染する事無く自然に帰
る性質を持つ耳掛け型マスクを提供する。 【解決手段】木材パルプ等の天然繊維と、キチン・キト
サンを繊維化し、創られた不織布をフィルター基材と
し、更に、此れに電子線又は放射線照射を加え、繊維表
面をグラフト重合法により吸着・分解機能を持つ官能基
を生成させ、不織布の持つ通気性を低下する事無く、課
題を満足させるマスク素材２とする。この素材は、あく
まで天然繊維であり、廃棄に際しては生分解性であるた
め、環境汚染をする事無く自然に帰す事が出来る。この
不織布自身を、マスク本体とするか、又は、ガーゼ等の
ような天然繊維を用いて造られたマスク母体にこの不織
布をフィルターとして挿入し使用することも可能であ
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

人体の呼吸に際しての、健康を保護するために着用する、マスクに関するもの である。

【０００２】

【従来の技術】

従来、防塵・防臭等に用いられているマスクは、その多くは、木綿のガーゼが 主体であり、更に、此れにフィルターとして、活性炭、或いは二酸化チタン等を 、収納したフィルターを、挿入して用いたものが、多く開発されているが、此等 は、刺激正ガス等の吸着容量に限界があり、また、フィルターの厚みや、重量で 、使用上に、違和感があり、また、フィルターの交換時、廃棄処理にも、支障が あり、一般家庭人の使用には、不便を感じられるものであった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来の技術の項で述べたフィルター部分は、不織布で作られた袋に、活性炭繊 維を入れたものがあるが、此れは、フィルター層が厚く、マスクを着用した際の 違和感が大きい。また、二酸化チタンを繊維そのものに、吸着、或いは付着させ たもの、この両者を併用したものがあるが、実際には、マスクとして着用した場 合に、フィルターの厚さ・容積が制約され、吸着・分離容量に限界がある。特に 、子供達が使用するには、不自由を感じている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は、従来に技術による、このような、問題点を改善するべく為されたも のであり、フィルターの素材そのものが、スギ花粉等の微粉塵を分離捕捉し、刺 激性ガスや、悪臭を吸着分解する、而も、通気性の大きい素材を用いた。

【０００５】 この素材は、天然の木材パルプの繊維と、キチン・キトサンを繊維化したもの を組合せて造られた、不織布である。この不織布は、重金属や、放射性物質の吸 着作用があり、また、抗菌作用も有する。

【０００６】 更に、この不織布は一般に用いられている合成樹脂系の不織布と異なり、天然 木材パルプと、キチン・キトサンよりなるため、生分解性を持つため、このもの の廃棄に際しては、環境汚染する事無く、地中に埋めても、２〜３ヶ月で分解し て、土に帰る性質を有している。

【０００７】

【考案実施の形態】

本考案に採用した素材は、通気性を損なう事無く、数枚重ねて使用できる上に 、抗菌性であり、空気中の細菌に対し、捕捉し、殺菌する効果はあるが、刺激性 ガスに対しては、特に作用しない弱点があった。

【０００８】 そこで、この素材が、自然のセルローズとキチン・キトサンで出来ていること に着目し、この素材を、放射線・電子線・Ｘ線又は紫外線等を照射して、グラフ ト重合反応を与え、素材の本来の特性を損なう事無く、グラフト重合鎖を形成さ せる事により、ノックス・ソックス・アンモニア臭・エタン・メルカプタン・ア ルデヒド等の、吸着分解機能を付加する事を得た。

【０００９】 一般の化学繊維不織布では、グラフト重合の効果を大きくするために、ブドウ 糖や、他のビスコース類を、不織布に吸着させ、放射線等の照射を行なうもので あるが、本考案が採用した不織布は、本質が木材パルプとキチン・キトサンであ るために、蛋白質が豊富であり、不織布そのまま何等の前段処理を必要とせず、 グラフト重合が出来、重合鎖が豊富に形成され、他に比類のない、吸着・分解効 果が得られた。

【００１０】 グラフト重合鎖は、官能基導入に際して、酸性・アルカリ性の二種類の官能基 を附けることが出来る。従って、吸着するガスの性質に対応して、酸・アルカリ 性の二種類の不織布を、用いる事ができる。

【００１１】

【考案実施の例】

天然木材パルプ及び、キチン・キトサンを併せ、繊維化した不織布の 重量３ ０ｇ／１ｍ^２・幅１ｍ のシート状ロールに、加速電圧 １．５〜２．０ＭＶ． 電子線電流１〜１５ｍＡ．の条件下で、電子線を連続照射を行い、グラフト重合 鎖が形成されたものを、図 １に示す様な、木綿ガーゼ製のマスクに、そのサイ ズに合わせて、裁断したものを２枚重ねにして挿入したものと、図 ２の様に、 不織布自体を２枚重ねにしてマスクを製作した。 いずれも、通気性においては、使用感を損なう様なことはなかった。

【００１２】 本考案のもとに作られたマスクは、現在一般に市販されているマスクと、使用 上の感触は、違和感もなく、特筆すべき相違点は、まったくなかった。 刺激性ガス・悪臭の吸着分解機能については、市販のガス吸着マット、及び活 性炭繊維と比較試験を行なった結果、歴然としたその性能が認められた。

【００１３】 ガス吸着性能について、吸着容量の比較表を、表 １に示す。

【表 １の説明】 Ａ； 本考案の吸着シート Ｂ； 市販の吸着マット Ｃ； 活性炭繊維 ガス流入濃度 ； ６ 〜 ８ ｐｐｍ ガス流入速度 ； ４ｃｍ ／ 秒 素材重量 ； Ａ；０．４ｇ ； Ｂ；２．０ｇ ； Ｃ；０．８ｇ

【表１】

【図面の簡単な説明】

【図１】市販のガーゼマスクに本考案の吸着シート挿入
した例。

【図 ２】本考案の吸着シートを用いて、耳掛けマスク
とした例

【符号の説明】

１ 市販のガーゼマスク ２ 本考案の吸着シート ３ 耳掛けのゴム紐

【手続補正書】

【提出日】平成１５年１月２７日（２００３．１．２
７）

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】実用新案登録請求の範囲

【補正方法】変更

【補正内容】

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項 １】天然の木材パルプと、液化されたキチン
・キトサンにより合成された、不織布をフィルターとし
て、吸着・分離・分解機能を持った、耳掛け型マスク。

【請求項 ２】請求項 １に記載する、フィルター素材
の不織布は、天然のセルーロズを主成分としているの
で、紫外線・赤外線の照射により、ラジカル官能基が出
来るので、更に、吸着・分解機能を付加した事を、特長
とした耳掛け型マスク。

【請求項 ３】請求項 １，２に記載する吸着・分離・
分解機能を持つフィルターの不織布は、生分解性であ
り、環境汚染をする事無く、廃棄処分の出来ることを特
長とした、耳掛け型マスク。

【請求項 ４】請求項１，２，３に記載するフィルター
は、ガーゼ等天然繊維でつくられたマスクに、フィルタ
ー・素材として、挿入して用いることも出来る事を、特
長とした、耳掛け型マスク。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 久我 有孚 東京都千代田区五番町４−４サンビューハ イツ1807 (72)考案者 逸見 英一 東京都東村山市栄町１丁目７番地３−101

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項 １】天然の木材パルプと、液化されたキチン
   ・キトサンにより合成された、不織布をフィルターとし
   て、吸着・分離・分解機能を有した、耳掛け型マスク。
2. 【請求項 ２】請求項 １に記載する、フィルターの素
   材の不織布には、更に、その繊維表面に、放射線 又
   は、電子線の照射により、グラフト重合反応を与え、生
   成したグラフト鎖の官能基による、吸着・分解機能を付
   加した事を特徴とする。
3. 【請求項 ３】請求項 １，２，に記載する、吸着・分
   離・分解機能を有するフィルターの不織布は、更に、環
   境汚染をする事なく、廃棄処分の出来る、生分解機能を
   有することを特徴としている。
4. 【請求項 ４】請求項 １，２，３，に記載する不織布
   のフィルターは、それ自身で、マスク本体とするか、ガ
   ーゼ等天然繊維を素材として、作られたマスクに、フィ
   ルター・エレメントとして、挿入して用いることの出来
   る耳掛け型マスク。