JP3093586B2 - 連続鋳造鋳片の縦割れ検知方法 - Google Patents

連続鋳造鋳片の縦割れ検知方法

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JP3093586B2 JP06281498A JP28149894A JP3093586B2 JP 3093586 B2 JP3093586 B2 JP 3093586B2 JP 06281498 A JP06281498 A JP 06281498A JP 28149894 A JP28149894 A JP 28149894A JP 3093586 B2 JP3093586 B2 JP 3093586B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は連続鋳造法による鋳造中
に発生する鋳片の縦割れの核発生検知方法に関する。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造の過程においては、鋳型に溶鋼
を注入し所定断面に成形した後、それを鋳型下方より連
続的に引き抜いて鋳片が製造されている。そして溶鋼の
初期凝固状況により、製造される鋳片の品質、連続鋳造
の操業が大きく左右される。
【0003】例えば鋳片の品質については、潤滑材とし
て用いられるパウダーの不均一流入等により、初期凝固
中に鋳型内に局所的な抜熱不良の部分があると、その部
分だけ凝固殻の厚みが薄くなり、この薄い部分が縦割れ
の核となって、2次冷却帯において成長し、最終的に鋳
片表面の長手方向に縦割れが発生する。縦割れが発生し
た鋳片は品質不良として手入れを必要とするため、手入
れに要する費用の増大、下工程である圧延工程での操業
計画の遅延等の事態を招き、生産性を著しく妨げられて
いる。
【0004】現状で縦割れの有無は、その鋳片が鋳型を
通過して1時間程度後の疵検査工程で、初めて判定られ
るので鋳造中にその発生を知ることはできない。このた
め、鋳型内の溶鋼攪拌を促進して凝固殻の不均一を解消
し、縦割れの核の生成を防いだり、2次冷却帯を緩冷却
にして縦割れの核の成長を抑制したり、鋳片を熱間のう
ちに表面溶削できるように重量保証して、鋳片の切り合
わせを反映させる等の、縦割れの被害を最小限に押さえ
るのに有効な、操業上のアクションをとることができな
いでいる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述した理由により縦
割れの核発生を、鋳造中に正確に予知する方法が必要で
ある。そしてその予知方法は容易に調節できなければな
らない。つまり判定に用いる定数をできるだけ少なくす
る必要がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するためになされたもので、連続鋳造機の鋳型の幅方
向に設置された、鋳型の鋳造方向に複数個の温度検出手
段をもつ温度検出列に現れる鋳型壁の温度の時系列変化
をもとに、1次遅れと共分散値を用いて鋳造欠陥の指標
を数値化し、その大小により判定する正確でかつ調節が
容易な縦割れ検知方法にあり、その要旨とするところ
は、連続鋳造機の鋳型に、その鋳造方向に複数の温度測
定素子を設置して鋳型温度を測定し、その測定値が降下
した際、その降下開始点からの1次遅れ温度を演算した
後、該1次遅れ温度と前記測定した鋳型温度からその温
度差を求める演算を鋳造方向の温度測定素子別に行い、
該鋳造方向上流側の温度測定素子で測定した鋳型温度を
基に求めた前記温度差と、該上流側温度測定素子と下流
側温度測定素子の設置距離及び鋳片の引抜速度から求め
た時間後に該下流側温度測定素子で測定した鋳型温度を
基に求めた前記温度差との積算値を演算し、この積算値
が所定値以上になったときに鋳片の縦割れの核発生とし
て検知することを特徴とする連続鋳造鋳片の縦割れ検知
方法にある。
【0007】
【作用】鋳造欠陥の一つとして、前述した、鋳型内での
初期凝固中の局所的に凝固殻の薄い部分により形成され
る縦割れの核を検知することによって、縦割れを予知す
る方法について説明する。図2は鋳型1に設置した温度
検出列2の一例を示したもので、矢印aで示す鋳造方向
に複数の温度検出点3a、3bを持つ。鋳片の長手方向
に細長い縦割れの核4とは、いわゆる抜熱不良の部分で
あり、これが温度検出列2a近辺を通過する際、温度検
出点3aと3bの時系列温度変化は、図1(a)に示す
ような、正常時の温度から大きく下降して後に上昇して
元に戻る(いわゆる谷型)という両者相似な温度変化パ
ターンが、3a,3bの順に通過するタイミングに合わ
せて、つまり引抜速度による時間遅れv(t)を伴って
現れる。
【0008】この温度変化パターンに対して、引き抜き
による時間遅れv(t)が0になるように温度検出点3
aの時系列変化を時間軸上で未来の方向に平行移動させ
ると、図1(b)に示すように、相似な温度変化が同一
タイミングで現れ、この温度変化を正常時の温度C
(t),D(t)からの下降分つまり偏差ΔTA,ΔT
Bで捕捉する。そして偏差ΔTAとΔTBの積により算
出した、いわゆる共分散値N(t)が図1(c)に示す
ように、縦割れの核が通過するときにのみ大きな値とな
るので、縦割れの核を正確に検知する際の指標として非
常に適している。このある時刻tにおける共分散値N
(t)を数式で表すと次の(1)式のようになる。
【0009】 N(t)=ΔTA(t−v(t))×ΔTB(t) ・・・(1−1) ΔTA(t)=C(t)−A(t) ・・・(1−2) ΔTB(t)=D(t)−B(t) ・・・(1−3) ΔTA(t):時刻(t)における温度検出点3aの温
度偏差(℃) ΔTB(t):時刻(t)における温度検出点3bの温
度偏差(℃) v(t) :時刻tにおける引き抜き速度による温度
検出点3a,3b間の時間遅れ(秒) A(t) :時刻tにおける温度検出点3aの温度
(℃) B(t) :時刻tにおける温度検出点3bの温度
(℃) C(t) :時刻tにおける温度検出点3aの正常時
の温度(℃) D(t) :時刻tにおける温度検出点3bの正常時
の温度(℃) 式中のt−v(t)は時刻がtよりv(t)秒前である
ことを示しており、これが時間軸上の平行移動にあた
る。そして引抜速度による温度検出点3a,3b間の時
間遅れv(t)を数式で表すと次の(2)式のようにな
る。
【0010】v(t)=L/W(t)
・・・(2)v(t):時刻tに
おける引抜速度による温度検出点3a,3b間の時間遅
れ(秒) L :温度検出点3a,3b間の距離(m) W(t):時刻tにおける引抜速度(m/秒) また偏差ΔTA,ΔTBは、急激な温度の下降のときに
のみ大きくなるように、正常時の温度をその時刻での温
度と1次遅れ温度の高い方となるようにしている。これ
を数式で表すと次の(3),(4)式のようになる。
【0011】 C(t)=max{A(t),E(t)} ・・・(3) D(t)=max{B(t),F(t)} ・・・(4) E(t):時刻tにおける温度検出点3aの1次遅れ温
度(℃) F(t):時刻tにおける温度検出点3bの1次遅れ温
度(℃) 式中の1次遅れ温度は温度検出点3の、今回サンプリン
グ温度A(t),B(t)と、前回サンプリング温度に
より算出した正常時の温度C(t−Δt),D(t−Δ
t)と、1次遅れ係数より次の(5),(6)式を用い
て求める。
【0012】 E(t)=ALFA×A(t)+(1−ALFA)×C(t−Δt) ・・・(5) F(t)=ALFA×B(t)+(1−ALFA)×D(t−Δt) ・・・(6) ALFA(t):時刻tにおける1次遅れ係数 Δt :サンプリング周期(秒) そして1次遅れ係数を次(7)式より求める。 ALFA=1/{1+TAU/Δt} ・・・(7) TAU:時刻tにおける1次遅れ時定数(秒) この時定数を、温度検出点3における温度が低下してい
る部分の継続時間より長くすれば、縦割れの核の通過に
よる温度変化を容易に捕捉できる。この7つの式より共
分散値を求める際に、調節を必要とする定数は1次遅れ
時定数のみでこの値も温度変化パターンより容易に決定
できるため、実質的には調節する必要性はない。
【0013】さらに、この共分散値が操業上の外乱より
受ける影響について述べ、その改良点について説明す
る。鍋交換や鍋注入末期による溶鋼温度の変動と人為的
な湯面変更については、溶鋼温度の上昇や湯面の下降の
場合は、温度検出点の温度が上昇し正常時の温度がこれ
に追随するため偏差が0となり誤検知を避けることがで
き、また溶鋼温度の下降や湯面の上昇の場合も、温度検
出点の温度が下降するがその傾きが緩やかであるため正
常時の温度がこれに追随し偏差が0となり誤検知を避け
ることができる。
【0014】人為的でない湯面変動についても、湯面の
下降の場合は、温度検出点の温度が上昇し正常時の温度
がこれに追随するため偏差が0となり誤検出を避けるこ
とができ、また湯面の上昇の場合も、温度検出点の温度
が急激に下降するため偏差が生じるが、この偏差は湯面
から距離のある温度検出点については小さな値となるた
め偏差の積をとる共分散値は小さな値となり誤検知を避
けることができる。
【0015】ただし引き抜き速度の変動については、そ
の上昇の場合は、温度検出点の温度が上昇し正常時の温
度がこれに追随するため偏差が0となり誤検知を避ける
ことができるが、下降の場合は全ての温度検出点の温度
が下降するため偏差が生じ共分散値が大きな値となり誤
検知となってしまう。そこで引き抜き速度低下の際の
み、温度検出点の正常時の温度をその時刻の温度に追随
するよう改良して偏差を0とし、この誤検知を避ける。
このようにして求めた共分散値は縦割れの核が通過する
ときにだけ大きな値となり、縦割れの核の指標として非
常に適しているということができる。
【0016】上記に示す方法により求めた共分散値の時
系列推移に対して、あらかじめ設定しておいた縦割れ発
生限界値9と比較してより大きな場合に、初めて縦割れ
の核として認識し、この核がその後2次冷却帯にて成長
し縦割れとなるであろうと予測して、縦割れの発生を予
知することができる。この縦割れ発生限界値は調節を要
する定数ではあるが、温度変化パターンより容易に見積
もることができるため、実質的には調節する必要がな
い。また縦割れの核として1つの値に数値化されている
ため、発生限界値を正常(発生無し)、注意(発生の可
能性有り)、異常(発生)の範囲の境界値として設定
し、縦割れの発生を段階的に予知することもできる。つ
まり縦割れの核が通過する際に、正常域から注意域そし
て異常域という経過をたどることになる。
【0017】以上は温度検出列1列に温度検出点が2点
ある場合の予知方法について説明したが、温度検出点が
いったい何点あればよいのかについて述べると、1点の
場合には、その温度検出点での正常時の温度からの偏差
だけで予知することになるが、検出点が湯面に近い場合
は湯面変動による誤検知、湯面から遠い場合には凝固殻
と鋳型の間の凝固収縮により生じる空隙による誤検知を
避けることが困難となり、充分な検知精度が確保できな
い。
【0018】また3点以上ある場合には、引き抜き速度
による時間遅れを補正して1次遅れを用いて算出した3
点目、4点目等の温度検出点の正常時の温度からの偏差
を、共分散値の算出式に第3項、第4項として新たにか
けるだけでよい。このときは2点の場合よりも正確に検
知できる。しかし多数の温度検出点の整備費用の増加と
いう問題点がある。実操業において温度検出点が1点、
2点、3点の場合について調査したところ、1点の場合
には上記のような精度の問題があったが、2点と3点の
間に精度上の相違点はなかった。したがってこの予知方
法では、温度検出列一列につき温度検出点が最低限2点
あればよい。
【0019】また温度検出点3の1点毎の正常時の温度
6と移動平均値を採用する方法もあるが、この場合は縦
割れの核が連続的に多数通過する際には、移動平均値が
正常時の温度よりも低くなるため偏差が小さくなり、共
分散値が小さくなるため未検知のおそれが生じるのであ
まり適した方法とはいえない。他にも指標を算出する際
に偏差の積でなく和をとる方法もあるが、この場合は湯
面変動と縦割れの核の識別が困難なのでこちらもあまり
適した方法とはいえない。
【0020】
【実施例】本発明の一実施例を図1〜9を参照して説明
する。鋳片の縦割れの核発生の検知を行うための処理フ
ローを図3を基に説明する。図中、100は鋳型1にお
ける温度検出点2a,2bで検出された鋳型温度と連続
鋳造機のピンチロール(いずれも図示せず)で検出した
鋳片引抜速度Wを入力し、これをもとに時々刻々共分散
値N(t)を算出する共分散値算出部、101は共分散
値算出部100で演算した共分散値N(t)を縦割れの
指標として操業監視画面CRTに出力すると共に予め設
定した縦割発生限界値Tmと比較し、前記演算共分散値
N(t)が縦割発生限界値Tmより大きいときに縦割れ
発生と判定する縦割れ判定部、102は上記縦割れ判定
部101から縦割れ判定情報を入力すると縦割れの発生
の被害を最小限に押さえる防止対策(鋳造パウダーの変
更、電磁攪拌装置の攪拌力調整、2次冷却水量の調整、
鋳片引抜速度の調整)を選択して連続鋳造操業オペレー
タに指示する縦割れ防止制御部である。
【0021】前記共分散値算出部100の処理フローを
図4に示すフローチャートで説明する。まず、前記鋳型
1の温度検出点3a,3bで検出された鋳型温度A
(t),B(t)とピンチロールで測定した鋳片の引抜
速度W(t)を読込む(S41)。この読込んだ時刻t
における引抜速度W(t)による温度検出点3aと3b
間の時間遅れ、すなわち、鋳片のある位置が温度検出点
3aを通過して温度検出点3bに達する時間v(t)を
前記(2)式により算出する(S42)と共に読込んだ
経済的引抜速度から鋳片の引抜速度W(t)の変化を判
定する(S43)。
【0022】そして、引抜速度W(t)に変化がない場
合、または引抜速度W(t)が上昇している場合には、
あらかじめ設定した温度検出点3a,3bのサンプリン
グ周期Δtと時刻tにおける1次遅れ定数TAUをもと
に前記(7)式により1次遅れ係数ALFAを算出する
(S44)。さらに、前回のサンプリング時に演算して
求めて記憶した正常値の温度(C(t−Δt),D(t
−Δt))、今回のサンプリング時の温度検出点3a,
3bの鋳型温度A(t),B(t)、上記演算した1次
遅れ係数ALFAを基に前記(5)式と(6)式により
時刻tにおける温度検出点3aの1次遅れ温度E(t)
と時刻tにおける温度検出点3bの1次遅れ温度F
(t)を算出する(S45),(S46)。そして、こ
の両1次遅れ温度E(t),F(t)と前記S41で読
込んだ温度検出点3a,3bの鋳型温度A(t),B
(t)にて前記(3),(4)式により正常時の温度C
(t),D(t)を求める(S47)。
【0023】一方、前記S42において、引抜速度の速
度変化が下降中であると判定した場合には、今回読込ん
だ鋳型温度を正常時の温度とする(S48)。つまり、
この場合は偏差が生じず共分散値N(t)が0となるた
め、引抜速度が下降中の誤検知を回避することができ
る。このようにして求めた正常時の温度を記憶(セッ
ト)して(S49)、次回サンプリング時にS45にて
用いる。
【0024】そして、これらから前記(1−1)式によ
り共分散値N(t)を算出する(S4A,S4B)もの
であり、この模式図を図1の(a),(b)に示す。す
なわち、前記時刻tより前記温度検出点3a,3b間の
時間遅れv(t)前における温度検出点3aで測定した
鋳型温度A(t−v(t))と前記正常時の温度C(t
−v(t))の偏差ΔTA(t−v(t))を前記(1
−2)式で求めると共に時刻tにおける温度検出点3b
で測定した鋳型温度B(t)と前記正常時の温度D
(t)の偏差ΔTB(t)を前記(1−3)式で求める
(S4A)。次に、前記偏差ΔTA(t−v(t))と
ΔTB(t)を積算、つまり、前記(1−1)式により
共分散値N(t)を算出(S4B)し、S4Cにてセッ
ト(記憶)して、操業状況監視画面CRTに出力して操
業者に操業状況の認識を促すと共に縦割れ判定部101
に出力する。
【0025】次に、縦割れ判定部101の処理フローを
図5に示すフローチャートで説明する。この模式図を図
1の(C)に示す。まず、上記共分散値算出部100で
算出された共分散値N(t)を読込んで縦割れの指標と
して認識し(S51)、その値をあらかじめ設定した縦
割れ発生限界値Tmと比較して、縦割れ発生限界値Tm
以内か否かを判定し(S52)、縦割れ発生限界値以内
の場合には縦割れ無しとセット(記憶)し(S53)、
縦割れ発生限界値Tm以上の場合には縦割れの核発生と
セット(記憶)する(S54)。そして、割れ判定結果
を操業状況監視画面CRTに出力すると共に縦割れ防止
制御部102に出力し、さらに、縦割れの核発生と判定
した場合には警報装置103に出力する。
【0026】さらに、縦割れ防止制御部102の処理フ
ローを図6に示すフローチャートにより説明する。ま
ず、縦割れ判定部101にセットされた縦割れ核発生判
定結果を読込み(S61)、縦割れ無しの情報か、縦割
れの核発生の情報かを判別し(S62)、縦割れ無しの
情報であった場合には何もしない。しかし、縦割れの核
発生の情報であった場合には、以後(同一鋳造鋳片内ま
たは次に鋳造する鋳片)に縦割れの核発生防止、縦割れ
の核発生した鋳片にそれ以上の縦割れの拡大を防止する
ため、あらかじめ設定した以下のような防止対策を選択
指示する。
【0027】 モールド内の溶鋼攪拌を促進し、次の
鋳片での縦割れの核の生成を未然に防止するため、S6
3にて電磁攪拌磁束密度の上昇の指示する(S63)。 パウダー流入の均一化を促進し、次の鋳片での縦割
れの核の生成を未然に防止するため、S64にて溶融パ
ウダーまたは別銘柄パウダーへの切り替えを指示する
(S64)。 2次冷却帯を緩冷却化させ、該鋳片で縦割れの核が
成長して鋳片表面に開口して縦割れとなるのを防止する
ため、S65にて鋳片引抜き速度および2次冷却水流量
の低下を指示する(S65)。
【0028】図7〜9は炭素濃度:0.13%の高炭ア
ルミキルド鋼(縦割れが比較的多発する包晶領域の鋼
種)を湾曲型連続鋳造設備により、鋳造幅:1830m
m、鋳造厚:282mm、引抜速度:1.3m/min
で鋳造時の鋳型温度と共分散値(縦割れの核の指標)を
示す例である。なお、鋳型温度検出列は鋳型長辺中央部
(図2中の2a)のもので、温度検出点3aと3bの距
離は130mmであった。そして共分散値を求める際の
パラメータとして、1次遅れの時定数TAUは50秒、
サンプリング周期Δtは0.5秒とした。
【0029】図7は上段が温度検出点3aと3bの温度
を、下段が共分散値算出部100で算出した共分散値N
(t)を、それぞれ縦軸に、測定開始からの経過時間を
横軸に、時系列推移を示したものである。そして、下段
の共分散値の150の値より横軸に平行な直線が描かれ
ているが、この150という数値が縦割れ発生限界値T
mである。この図からわかるように、共分散値N(t)
は1470秒付近で300程度で縦割れ発生限界値Tm
より高くなり、この部分の鋳片に縦割れの核が発生した
と判定され、実際にこの部位に縦割れが発生していたこ
とが後に目視検査により確認された。
【0030】また、2600秒付近では湯面変動による
温度変化が発生しているが、共分散値N(t)が120
程度と縦割れ発生限界値Tmより低く、縦割れ無しと判
定され、実際の鋳片にも縦割れの発生はなかったことが
同様に確認された。これから、操業上の外乱による誤検
知をなくし、縦割れの核発生のみを正確に検知できると
がわかった。この判定結果をより詳細に分析するため
に、図7のX部分、Y部分における時間軸(横軸)を拡
大すると共に上記(3)式,(4)式により算出した正
常時の温度C(t),D(t)を図8,9に示し、これ
をもとに説明する。
【0031】図8は縦割れ発生と判定され、実際に縦割
れの核が発生したX部分の時系列推移であり、図中、1
460秒付近で温度検出点3aの温度が約210℃で正
常時の温度(約220℃)と約10℃の偏差を生じてお
り、引抜速度による時間遅れが10秒なので、10秒遅
らせた1470秒付近の温度検出点3bにおける温度が
約160℃で正常時の温度(約180℃)と約20℃の
偏差が生じている。この両者の偏差10℃と20℃を掛
け合わせた約200程度の値が共分散値であり、148
0秒付近でこの共分散値が最大300程度となってい
る。この温度変化は縦割れの核発生によるもので、温度
検出列を通過する際に共分散値が縦割れ発生限界値15
0よりも高くなり、縦割れの核発生と判定されたもので
ある。
【0032】図9は湯面変動であるために縦割れの核発
生無しと判定され、実際に縦割れの核が発生しなかった
2600秒付近の時系列推移である。図中の温度検出点
3bの温度には縦割れの核が通過する際の温度変化、つ
まり温度の下降が現れていないために共分散値も低く、
縦割れの核発生無しと判定されている。つまり湯面変動
という操業上の外乱による誤検知を回避したことがわか
った。
【0033】
【発明の効果】本発明の実施により、鋳造欠陥(縦割
れ)を正確に、かつ確実に予知することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)鋳片縦割れ発生時の鋳型温度変化を示し
た図、(b)鋳型温度の時間遅れを補正して示した図、
(c)温度変化を共分散値で示した図
【図2】鋳型に設置した温度検出点を示す図
【図3】鋳片縦割れ検知装置例のブロック図
【図4】共分散値算出部の動作フローを示す図
【図5】鋳片縦割れ判定部の動作フローを示す図
【図6】鋳片縦割れ防止制御部の動作フローを示す図
【図7】実施例での鋳型温度時間経過と鋳片縦割れ核指
標の変化を示す図
【図8】図7の時間経過拡大図
【図9】図7の時間経過拡大図
【符号の説明】
1 鋳型 2a 鋳型温度検出列(鋳型長辺中央部) 2b 鋳型温度検出列(鋳型長辺縁部) 3a 鋳型上方部温度検出点 3b 鋳型下方部温度検出点 4 縦割れ発生核
フロントページの続き (72)発明者 井上 郁 大分県大分市大字西ノ洲1番地 新日本 製鐵株式会社 大分製鐵所内 (56)参考文献 特開 平5−57412(JP,A) 特開 昭62−124055(JP,A) 特開 昭61−200453(JP,A) 特開 昭62−192243(JP,A) 特開 昭56−95461(JP,A) 特開 昭58−148063(JP,A) 特開 平3−60852(JP,A) 特開 平3−138057(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/16 104

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続鋳造機の鋳型に、その鋳造方向に複
    数の温度測定素子を設置して鋳型温度を測定し、その測
    定値が降下した際、その降下開始点からの1次遅れ温度
    を演算した後、該1次遅れ温度と前記測定した鋳型温度
    からその温度差を求める演算を鋳造方向の温度測定素子
    別に行い、該鋳造方向上流側の温度測定素子で測定した
    鋳型温度を基に求めた前記温度差と、該上流側温度測定
    素子と下流側温度測定素子の設置距離及び鋳片の引抜速
    度から求めた時間後に該下流側温度測定素子で測定した
    鋳型温度を基に求めた前記温度差との積算値を演算し、
    この積算値が所定値以上になったときに鋳片の縦割れの
    核発生として検知することを特徴とする連続鋳造鋳片の
    縦割れ検知方法。
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