JP3075438B2 - 新規なアシル化ケフィラン及びその用途ならびに製造方法 - Google Patents

新規なアシル化ケフィラン及びその用途ならびに製造方法

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JP3075438B2
JP3075438B2 JP04081977A JP8197792A JP3075438B2 JP 3075438 B2 JP3075438 B2 JP 3075438B2 JP 04081977 A JP04081977 A JP 04081977A JP 8197792 A JP8197792 A JP 8197792A JP 3075438 B2 JP3075438 B2 JP 3075438B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、天然の中性高分子多糖
であるケフィランに酸無水物、カルボン酸又はそのハラ
イドを反応させることによって生成する新規なアシル化
ケフィラン、及びその用途ならびに製造方法に関し、よ
り詳しくは、ケフィランにアシル基を少なくとも部分的
に導入することによって、ケフィランの欠点を改良し、
保湿剤及び増粘剤としての特性を向上せしめた新規なア
シル化ケフィラン及びその用途ならびに製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】合成化学をはじめとする近代科学の進歩
によって、新素材開発が進むようになり、化粧品や医薬
品分野においても機能性原料や複合原料の開発が活発に
なってきている。人間の皮膚科学の研究によって開発さ
れた保湿性原料もその中のひとつに位置付けられ、いま
までにも数々の原料が商品化されている。例えば、天然
多糖類としては、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、
キチン、キトサン、プルラン、キサンタンガム、海藻か
ら得た多糖類等があり、合成高分子化合物ではカルボキ
シビニルポリマー、PCAソーダ、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン等、また、多価アルコールと
してはグリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロ
ピレングリコール等がある。これらの中で、とりわけ天
然多糖類はそれなりの効果を上げたが、pHや熱による
粘度変化もなく、使用感に優れた汎用性の高い原料とし
ては未だに不十分であった。
【0003】本出願人は、これらの従来の欠点を解決す
べく研究を進めた結果、微生物生産中性多糖であるケフ
ィランが、上記問題点を解決できることを見いだし、こ
れを配合した外用剤を特許出願した(特願平2−244
233号)。さらに、本発明者は前記発明を追試する過
程において、ケフィランには種々の優れた機能性がある
ものの、それ自体低温でゲル化したり、或いはアルコー
ルを含む処方系においては白濁するなどの特性があり、
例えば透明タイプのローションなどには適さないなど
の、使用上、及び外観上の問題が残されている。また、
この低温保存での白濁やゲル化の問題は、アルコールの
配合によって濃度依存的に促進されるが、アルコール無
添加の場合においてもケフィラン水溶液の濃度に依存し
ているため、ケフィラン水溶液を高濃度配合する製剤、
例えばエッセンスなどの場合には処方設計上の配慮が必
要で、配合量も剤型によって制限されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の目
的は、ケフィランの特性を保持しつつ、低温保存及びア
ルコールの配合によって白濁や、ゲル化が生じない新規
の機能性原料、及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねてきた結果、天然の中
性高分子多糖であるケフィランに酸無水物、各種カルボ
ン酸又はそのハライドを反応することによって、ケフィ
ラン中のOH基にアシル基を少なくとも部分的に導入す
れば、低温時における白濁、ゲル化が起こらず、アルコ
ールを高濃度配合しても白濁やゲル化現象が促進されな
いばかりか、ケフィランよりも優れた使用感が得られる
ことを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明によれば、ケフィランと
酸無水物またはカルボン酸またはそのハライドとの少な
くとも部分的なアシル化によって生成するアシル化ケフ
ィランが提供される。また、本発明によれば、ケフィラ
ンと酸無水物またはカルボン酸またはそのハライドとの
少なくとも部分的なアシル化によって生成するアシル化
ケフィランを有効成分とする保湿剤及び増粘剤の用途が
提供される。さらに、本発明によれば、pH7.0以上
の条件下でケフィランと酸無水物又はカルボン酸又はそ
のハライドとを反応させて少なくとも部分的なアシル化
をすることを特徴とするアシル化ケフィランの製造方法
が提供される。本発明によって提供されるアシル化ケフ
ィランは、低温ゲル化ならびにアルコールの配合禁忌の
ない安定で優れた使用感を有する新規な機能性原料であ
る。
【0007】
【発明の具体的説明】本発明における酸無水物として
は、特に制限されるものではないが、好ましくは、例え
ば無水コハク酸、無水酢酸、無水マレイン酸、無水イタ
コン酸、無水フタル酸等があげられる。カルボン酸とし
ては、炭素数1ないし6の低級のモノおよびジカルボン
酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸
の他、炭素数7ないし18の各種中級・高級脂肪酸、例
えば、ラウリン酸、ミリスチン酸があげられるが、反応
効率の面から見れば、炭素数2ないし6のカルボン酸が
好ましい。
【0008】また、ケフィランは、ケフィールまたはグ
レインから抽出精製したものやケフィラン生産菌、例え
ばLactobacillus kefiranofaciensを培養して精製した
ものをいずれも使用することができ、特に制限されない
が、目的生成物であるアシル化ケフィランの特性、特に
使用感の点からは、通常分子量が100万以上のものが
好ましく、場合によっては物性をコントロールするため
に、例えば、加水分解、酵素分解等によって低分子化し
たものを用いても良い。
【0009】本発明はケフィランに、前述の各種酸無水
物又はカルボン酸又はそのハライドを添加して、一定の
pH条件および温度条件下で撹拌反応させることを特徴
とするものである。ケフィランと酸無水物、カルボン酸
又はそのハライドとの反応は、pH7.0以上の中性な
いしアルカリ性領域、温度5℃ないし50℃の条件下で
行うのが好ましい。pH7.0未満の場合は反応効率が
悪く、収率をあげるために過剰の原料が必要であった
り、あるいは反応終了までに長い時間を必要とするなど
経済的にも不利な条件となる。温度条件も前述の至適範
囲を超えると反応生成物のばらつきが大きくなり、不均
一になるため好ましくない。
【0010】このアシル化に使用されるケフィランは、
水溶液の状態で反応させるのが好ましく、その場合の水
溶液の濃度は特に制限されないが、8重量%以上の濃度
になると水溶液の粘性が高すぎるため撹拌効率、反応の
進行が低下するので、2ないし5重量%が好ましい。酸
無水物、カルボン酸またはそのハライドの添加量は特に
制限はされないが、重量比でケフィラン1に対し、0.
5以上の割合で添加するのが反応的にも経済的にも有利
である。
【0011】このような条件下で反応させて得られた生
成物を常法により洗浄、精製することにより、ケフィラ
ンの構成単位成分であるグルコースとガラクトースの水
酸基が少なくとも部分的にアシル化された所望のケフィ
ラン誘導体を得ることができる。この発明によるアシル
化ケフィランは、NMR、IRによって同定され、生成
物中のアシル基の含有率は反応モル比、pH、反応温度
および反応時間などの条件によって調整することができ
るが、いずれの場合もケフィランのOH基に少なくとも
部分的にアシル基が導入されたものであれば、低温ゲル
化ならびにアルコールの配合禁忌のない安定で優れた保
湿能や使用感を有するものとなる。
【0012】したがって、このアシル化ケラフィンは通
常に用いられる種々の公知の有効成分、例えば塩化カル
プロニウム、セファランチン、ビタミンE、ビタミンE
ニコチネート、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチ
ン酸ベンジル、ショウキョウチンキ、トウガラシチンキ
などの抹消血管拡張剤、カンフル、メントールなどの清
涼剤、ヒノキチオール、塩化ベンザルコニウム、ウンデ
シレン酸などの抗菌剤、塩化リゾチーム、グリチルリチ
ン、アラントインなどの消炎剤、アスコルビン酸、アル
ブチン、コウジ酸などの色白剤、センブリエキス、ニン
ニクエキス、ニンジンエキス、オウゴウンエキス、ロー
ズマリーエキス、アロエエキス、ヘチマ抽出物、イチョ
ウ抽出物、ニワトコ抽出物、胎盤抽出液、肝臓抽出物、
乳酸菌培養抽出物などの動物・植物・微生物由来の各種
抽出物などを含有する医薬品、医薬部外品、化粧品の公
知の形態に自由に添加して使用することができる機能性
の高い原料として有用である。
【0013】医薬品、医薬部外品、化粧品の公知の形態
とは、経口のみならず外用可能なあらゆる形態を意味
し、経口可能な形態としては、例えば錠剤、カプセル
剤、顆粒剤、シロップ剤、粉剤、エキス剤などが例示で
き、外用可能な形態としてはパップ剤、プラスター剤、
点眼剤、ペースト剤、クリーム、軟膏、エアゾール剤、
乳剤、ローション、乳液、エッセンス、パック、ゲル
剤、パウダー、ファンデーション、リップクリーム、口
紅、サンケア、バスソルトなどの皮膚適用剤やヘアトニ
ック、ヘアシャンプー、ヘアリンスなどの頭髪適用剤が
例示できる。
【0014】また、前述の医薬品、医薬部外品、化粧品
には公知の有効成分や界面活性剤、油脂類などの基剤成
分の他、必要に応じて公知の保湿剤、増粘剤、防腐剤、
酸化防止剤、紫外線吸収剤・散乱剤、キレート剤、pH
調整剤、香料、着色剤など種々の添加剤を併用できるこ
とは言うまでもないことである。
【0015】保湿剤としては、例えばグリセリン、プロ
ピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ソル
ビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、ジ
プロピレングリコール等の多価アルコール類、アミノ
酸、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム
等のNMF成分、ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチ
ン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、フィブロネ
クチン、セラミド類、ヘパリン類似様物質、キトサン等
の水溶性高分子物質等を例示することができる。
【0016】増粘剤としては、例えばアルギン酸ナトリ
ウム、キサンタンガム、マルメロ種子抽出物、トラガン
トゴム、デンプン等の天然高分子物質、メチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセ
ルロース、可溶性デンプン、カチオン化セルロース等の
半合成高分子物質、カルボキシビニルポリマー、ポリビ
ニルアルコール等の合成高分子物質等を例示することが
できる。
【0017】防腐剤としては、例えば安息香酸塩、サリ
チル酸塩、ソルビン酸塩、デヒドロ酢酸塩、パラオキシ
安息香酸エステル、2,4,4’−トリクロロ−2’−
ヒドロキシジフェニルエーテル、3,4,4’−トリク
ロロカルバニド、塩化ベンザルコニウム、ヒノキチオー
ル、レゾルシン、エタノール等を例示することができ
る。
【0018】酸化防止剤としては、例えばジブチルヒド
ロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子
酸プロピル、アスコルビン酸等を例示することができ
る。紫外線吸収剤としては、例えば4−メトキシベンゾ
フェノン、オクチルジメチルパラアミノベンゾエート、
エチルヘキシルパラメトキシサイナメート、酸化チタ
ン、カオリン、タルク等を例示することができる。
【0019】さらに、キレート剤としては、例えばエチ
レンジアミン四酢酸、ピロリン酸、ヘキサメタリン酸、
クエン酸、酒石酸、グルコン酸およびそれらの塩類等を
例示することができ、pH調整剤としては、水酸化ナト
リウム、ホウ酸、ホウ砂、リン酸水素カリウム等をそれ
ぞれ例示することができる。
【0020】また、本発明のアシル化ケフィランは、前
述の医薬品・医薬部外品・化粧品のほか食品の添加剤、
特に保湿剤、増粘剤としても有用であり、ゼリー、キャ
ンディ、ドリンク、ジャム、ビスケット、チョコレー
ト、ケーキなどの種々の形態に適宜自由に使用できる。
【0021】その際、必要に応じて、食品として使用可
能な防腐剤、香料、安定剤、着色剤、乳化剤、酸化防止
剤、調味料、増粘剤などの種々の公知の添加剤、例えば
アルコール、プロタミン、赤色2号、黄色4号、BH
A、カラギーナン、天然香料、β−カロチン、モノグリ
セライド、グルタミン酸ナトリウム、ソルビトール、ス
テビア、果糖、クエン酸などと併用しても良い。
【0022】
【実施例】次に、本発明の実施例並びにその効果の試験
例を挙げるが、これらは本発明を何ら限定するものでは
ない。
【0023】<参考例1>ブドウ糖50g/l、酵母エ
キス5g/l、ペプトン5g/l、酢酸ナトリウム2g
/l、消泡剤0.5g/lを含むpH6.0の液体培地
にケフィラン生産菌(Lactobacillus kefiranofaciens
)を接種し、嫌気的に30℃、pH5.5制御下で培
養を行った。7日間培養した後、該培養液1リットルを
10,000rpm,30分間遠心分離して菌体画分と培養液上清
液画分に分けた。培養液上清液画分に1リットルのエタ
ノールを加えて沈殿部に粗多糖2.39gを得た。得ら
れた粗多糖を500ml の精製水に溶解した後、ろ過し、イ
オン交換クロマトグラフィー(TSK-GEL DEAE-TOYOPEARL
650)によって精製し、500ml のエタノールを加えて沈殿
物を乾燥し、精製ケフィラン1.37gを得た。
【0024】<参考例2>ケフィールグレイン100g
をミキサーで磨砕し、精製水1リットルを加えて90℃
で60分間煮沸した。これを冷却後、10,000rpm で30
分間遠心分離し、上清液を回収して1リットルのエタノ
ールを加えて沈殿を生成させた。この沈殿物を500ml の
精製水に溶解後、ろ過し、イオン交換クロマトグラフィ
ー(TSK-GELDEAE-TOYOPEARL 650)によって精製し、500ml
のエタノールを加えて、沈殿物を乾燥し、精製ケフィ
ラン3.18gを得た。
【0025】製造例1 2%ケフィラン水溶液100gに、無水コハク酸2%を
加え、pHを7.0ないし8.0に保ちながら溶解し、
30℃で、3時間撹拌する。反応終了後、エタノールを
用いて該沈殿物(サクシニルケフィラン)を分画する。
得られたサクシニルケフィランを乾燥して精製水に溶解
後、除菌ろ過を行って製品とする。ケフィラン粉末2g
からサクシニルケフィラン2.38gを得た。
【0026】製造例2 1%ケフィラン水溶液100gに、無水酢酸4%を加
え、pHを8.0ないし9.0に保ちながら溶解し、4
0℃で、一夜撹拌する。反応終了後、エタノールを用い
て該沈殿物(アセチルケフィラン)を分画する。得られ
たアセチルケフィランを乾燥して精製水に溶解後、除菌
ろ過を行って製品とする。ケフィラン粉末1gからアセ
チルケフィラン1.18gを得た。
【0027】製造例3 2%ケフィラン水溶液100gに、無水マレイン酸1%
を加え、pHを7.5ないし8.5に保ちながら溶解
し、35℃で、2時間撹拌する。反応終了後、エタノー
ルを用いて該沈殿物(マレイルケフィラン)を分画す
る。得られたマレイルケフィランを乾燥して精製水に溶
解後、除菌ろ過を行って製品とする。ケフィラン粉末2
gからマレイルケフィラン2.41gを得た。
【0028】製造例4 5%ケフィラン水溶液100gに、pHを7.5ないし
8.5に保ちながら、30℃で塩化アセチル10gを3
0分間にわたって滴下した。その後、反応溶液を1時間
攪拌する。反応終了後、エタノールを用いて該沈殿物を
分画する。得られたアセチルケフィランを乾燥して精製
水に溶解後、除菌ろ過を行って製品とする。ケフィラン
粉末5gからアセチルケフィラン6.47gを得た。
【0029】製造例5 2%ケフィラン水溶液100gに、コハク酸2gおよび
1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ)プロピルカル
ボジイミド塩酸塩9gを加え、25℃、pH7.0ない
し8.0で3時間攪拌する。反応終了後、エタノールを
用いて該沈殿物を分画する。得られたサクシニルケフィ
ランを乾燥して精製水に溶解後、除菌ろ過を行って製品
とする。ケフィラン粉末2gからサクシニルケフィラン
2.64gを得た。
【0030】2)効果データ ゲル形成試験 ケフィラン(比較対照)およびアシル化ケフィランのゲ
ル形成試験を行って、両者を比較した。試験は、ケフィ
ランおよびアシル化ケフィランを以下の各濃度に調製
し、各々5,15および30℃の温度条件に2か月放置
してゲル形成の度合いや有無を調べた。観察は1週間ご
とに顕微鏡や目視で行い、各試験品の状態を判定した。
なお、ケフィランは参考例1のものを、またアシル化ケ
フィランは製造例1のものを使用した。
【0031】結果を表1に示した。
【0032】 以上の結果から明らかなように、ケフィランはいずれの
濃度においても低温時にコロイド状の沈殿もしくはゲル
の形成が認められ、ゲル形成はケフィラン濃度に依存し
ている。これに対して、本発明のサクシニルケフィラン
は、高濃度でも低温下においてコロイド状の沈殿もしく
はゲルの形成が認められなかった。
【0033】 ゲル防止効果 アシル化ケフィランのゲル防止効果(アルコール添加に
よるゲル形成促進の防止効果能)を調べるために、エタ
ノールを添加しゲル形成が顕著な低温下(5℃)以下に
2か月間保存した。この場合エタノールの添加濃度範囲
は5ないし40%とし、比較対照としてはケフィランを
用いた。観察は1週間毎に顕微鏡や目視で行い、各試験
品の状態を判定した。なお、ケフィランは参考例2のも
のを、またアシル化ケフィランは製造例3のものを使用
した。
【0034】結果を表2に示した。 表2の結果から明らかなように、ケフィランはエタノー
ルの共存によりゲル化が促進されたが、マレイルケフィ
ランは高濃度のエタノールと共存してもゲルは形成しな
かった。
【0035】 保湿性 高周波インピーダンスメーター(IBS社製:MODEL IB
-355)を用い、精製水をコントロールとして0.5%の
アシル化ケフィラン溶液(製造例1)の保湿性を調べ
た。他の多糖類と比較するために保湿性が高いヒアルロ
ン酸ナトリウムおよびケフィラン(参考例1)の0.5
%溶液を対照として同様に調べた。
【0036】測定方法 ヒト前腕部内側に試料を塗布(2cm ×2cm )し、30秒
後すばやくガーゼで軽く拭き取り、30秒毎に皮膚の電導
度(コンダクタンス)を経時的に10分まで測定した
(測定条件:測定室内温度20℃,湿度60%,測定回
数n=10)。
【0037】結果を図1に示した。図1の結果は、電導
度が高いほど保湿性が高いことを示しており、本発明の
アシル化ケフィランは、保湿性が優れているケフィラン
よりも優れた保湿性を示しており、保湿剤として優れて
いることが確認された。
【0038】 使用感評価試験(官能試験) 本発明のアシル化ケフィランを使用した化粧水(後述の
処方例3)を用いて従来の多糖類(ケフィラン、ヒアル
ロン酸ナトリウム)との使用感を官能試験により比較し
た。使用感評価は、40名の乾燥肌の女性を各群10名
ずつの4群にランダムに分けたパネラーにより行った。
【0039】第1群には処方例3の化粧水(本発明)
を、第2群には処方例3のアシル化ケフィランのみをケ
フィランにかえた化粧水(比較例1)を、第3群には処
方例3のアシル化ケフィランのみをヒアルロン酸ナトリ
ウムにかえた化粧水(比較例2)を、第4群には処方例
3のアシル化ケフィランを除いた化粧水(基剤:比較例
3)を使用してもらった。
【0040】この4群のパネラーには、化粧水を毎日朝
と夜の2回、洗顔後、顔面に適量塗布することを1ヵ月
間続けてもらい、「肌の弾力性」「肌のしっとり感」
「肌あれ改善」の3項目について有効性を評価してもら
った。評価はそれぞれ使用前に比べてどのように改善さ
れたかについて、「著効」「有効」「やや有効」「変化
なし」の4段階で判定してもらった。
【0041】結果を表3ないし表5に示す。なお、表中
の有効率は、有効以上で算出したものを意味する。
【0042】
【0043】 表3ないし表5についてχ2 検定を行った結果、いずれ
の場合においても、本発明と比較例1および比較例2と
の間に危険率5%で有意差が認められ、比較例3との間
に危険率1%で有意差が認められた。以上の試験結果か
ら、本発明のアシル化ケフィランを配合した化粧水に
は、明らかに優れた使用感特性が認められた。
【0044】次ぎに、本発明のアシル化ケフィランを配
合する処方例を示す。なお、処方例の配合中、「適量」
とは、全体で100重量%になる量を意味する。 <処方例>処方例1 クリーム (重量%) A モノステアリン酸 2.0 ポリエチレングリコール(40.E.0. ) 自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 5.0 ステアリン酸 5.0 ベヘニルアルコール 1.0 流動パラフィン 10.0 トリオクタン酸グリセリル 10.0 B グリセリン 5.0 エチルパラベン 0.1 アシル化ケフィラン(製造例1のもの) 4.0 精製水 適 量 Aに属する成分を加熱溶解する。別に、Bに属する成分
を加熱溶解する。AにBを添加して撹拌、乳化後、冷却
してクリームを製造した。
【0045】処方例2 乳液 (重量%) A モノステアリン酸 ポリオキシエチレンソルビタン(20.E.0) 1.0 モノステアリン酸 ポリオキシエチレンソルビット(60.E.0) 0.5 親油型モノステアリン酸グリセリン 1.0 ステアリン酸 0.5 ベヘニルアルコール 0.5 アボガド油 4.0 トリオクタン酸グリセリル 4.0 B 1,3−ブチレングリコール 5.0 アシル化ケフィラン(製造例2のもの) 8.0 メチルパラベン 0.2 精製水 適 量 Aに属する成分を加熱溶解する。別に、Bに属する成分
を加熱溶解する。AにBを添加して撹拌、乳化後、冷却
して乳液を製造した。
【0046】処方例3 化粧水 (重量%) ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60.E.0) 8.0 エタノール 15.0 アシル化ケフィラン(製造例1のもの) 5.0 エチルパラベン 0.1 クエン酸 0.1 クエン酸ナトリウム 0.3 1,3−ブチレングリコール 4.0 エデト酸二ナトリウム 0.01 精製水 適 量 上記の各成分を混合、均一に撹拌、溶解し化粧水を製造
した。
【0047】処方例4 クリームパック (重量%) A ビーガム 5.0 スクワラン 2.0 プロピレングリコール 5.0 アシル化ケフィラン(製造例3のもの) 0.5 ビタミンB12 0.05 精製水 適 量 B 酸化亜鉛 10.0 C エタノール 5.0 Aに属する成分を混合、撹拌して膨張させ、Bを少しず
つ加える。これにCを徐々に加えてペースト状になるま
で混錬しクリームパックを製造した。
【0048】処方例5 エッセンス (重量%) 1%カルボキシビニルポリマー溶液 10.0 グリセリン 20.0 ヒアルロン酸 0.5 エタノール 1.0 アシル化ケフィラン(製造例4のもの) 20.0 精製水 適 量 上記の各成分を混合、均一に撹拌、溶解しエッセンスを
製造した。
【0049】処方例6 親水性軟膏 (重量%) A ポリオキシエチレンセチルエーテル 2.0 グリセリルモノステアレート 10.0 流動パラフィン 10.0 ワセリン 4.0 セタノール 5.0 B プロピレングリコール 10.0 メチルパラベン 0.1 アシル化ケフィラン(製造例5のもの) 7.0 精製水 適 量 Aに属する成分を加熱溶解する。別に、Bに属する成分
を加温溶解する。AにBを添加して撹拌、乳化後、冷却
して親水性軟膏を製造した。
【0050】処方例7 エアゾール剤 (重量%) A コウジ酸 2.0 アシル化ケフィラン(製造例3のもの) 2.0 ニコチン酸ベンジル 0.01 ビタミンEアセテート 0.05 セタノール 1.2 プロピレングリコール 4.0 エタノール 8.0 精製水 ないし100 B フロン123/141b(57:43) 7.0 Aに属する成分を均一に混合溶解してエアゾール容器に
入れ、常法によりBを容器に充填してエアゾール剤を製
造した。
【0051】処方例8 パップ剤 (重量%) A ポリアクリル酸 30.0 モノオレイン酸ソルビタン 1.0 精製水 30.7 B ポリアクリル酸ソーダ 7.0 塩化アルミニウム 0.3 アシル化ケフィラン(製造例4のもの) 10.0 濃グリセリン 20.0 酸化チタン 1.0 Aに属する成分を加温溶解する。別に、Bに属する成分
を加温溶解して撹拌、混合し、パップ剤を製造した。
【0052】処方例9 錠菓 (重量%) クエン酸 1.0 脱脂粉乳 15.0 ショ糖脂肪酸エステル 1.0 フレーバー 0.8 アシル化ケフィラン(製造例1のもの) 0.55 グラニュー糖 20.0 乳糖 61.65 上記原料を均一に混合し、これを造粒して打錠して製造
した。
【0053】処方例10 キャンディ (重量%) A 粉末マルビット 83.0 クエン酸 0.4 アシル化ケフィラン(製造例5のもの) 0.799 水 14.8 B フレーバー 1.0 黄色4号 0.001 Aの混合液をバキュームパンで減圧下、加熱して水分2
ないし5%になるまで濃縮し、これを冷却盤上に移した
後、Bを順次加えて60℃位まで冷却し、これをローラ
ーまたはスタンピングマシンで成形して製造した。
【0054】処方例11 ドリンク剤 (100ml中) ぶどう糖、果糖、液糖 1500mg アシル化ケフィラン(製造例2のもの) 500mg ハチミツ 500mg ビタミンC 300mg ビタミンB6 5mg ビタミンB12 1mg イソロイシン 5mg フェニルアラニン 5mg ガラナエキス 1ml アルコール 1ml 水 適量 香 料 微量 上記の原料を均一に撹拌・混合し、ドリンク剤を製造し
た。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、ケフィランに部分的に
アシル基が導入された新規のアシル化ケフィランが提供
され、同化合物は、低温ゲル化ならびにアルコールの配
合禁忌のない安定で優れた保湿能や使用感を有するた
め、特に医薬品、医薬部外品、化粧品および食品に自由
に配合することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアシル化ケフィランの電導度を示すグ
ラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61K 7/48 C09K 3/00 103 C09K 3/00 103 A23L 1/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケフィランと酸無水物またはカルボン酸
    またはそのハライドとの少なくとも部分的なアシル化に
    よって生成するアシル化ケフィラン。
  2. 【請求項2】 ケフィランと酸無水物またはカルボン酸
    またはそのハライドとの少なくとも部分的なアシル化に
    よって生成するアシル化ケフィランを有効成分とする保
    湿剤。
  3. 【請求項3】 ケフィランと酸無水物またはカルボン酸
    またはそのハライドとの少なくとも部分的なアシル化に
    よって生成するアシル化ケフィランを有効成分とする増
    粘剤。
  4. 【請求項4】 pH7.0以上の条件下でケフィランと
    酸無水物又はカルボン酸又はそのハライドとを反応させ
    て少なくとも部分的なアシル化をすることを特徴とする
    アシル化ケフィランの製造方法。
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