JP3071178U - サニタリーシステム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 身障者等の自立した生活に好適な、便所、化
粧室及び浴室の順に配列されたサニタリーシステムを提
供する。 【解決手段】 サニタリーシステム１を、便所２、化粧
室３及び浴室４の順に配列する。便所２と化粧室３との
間に着脱可能な間仕切りパネル５を設け、化粧室３に、
外部から通じる入口部６を設ける。間仕切りパネル５
は、天井に設けられた着脱可能な枠部材７と、この枠部
材７に摺動動可能に配設された２枚の建具８、９とを有
して構成されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、便所、化粧室及び浴室の順に配列されたサニタリーシステムに係り 、特に、車椅子及び天井用走行リフトを必要とする老齢者及び身障者等が、*** 、洗面及び入浴等を自立して行うことのできる、又は介護者が介護しやすいサニ タリーシステムに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、車椅子での利用が可能な便所、洗面所等を有するサニタリーシステムは 、病院・各種公共施設等には設置されていたが、個人住宅では未だ普及していな い。しかし、介護保険制度の施行にあたり、従来は病院や各種施設で介護されて いた車椅子等を必要とする高齢者等を、自宅で介護する必要性が生ずる場合があ る。また、高齢化に伴い、或いはけが等で足が不自由になった場合でも、***、 洗面及び入浴等の人間の基本的かつ必要不可欠な行為は、できるだけ自立して行 うことが望ましい。従って、個人住宅においても、車椅子等での利用が可能なサ ニタリーシステムの構築が必要である。

【考案が解決しようとする課題】

【０００３】 しかしながら、既存の建物を改造するにしても、スペース、配置等の物理的な 欠陥のため、車椅子等での利用が可能なサニタリーシステムを構築することが困 難な場合もある。そこで、狭いスペースで車椅子での利用を確保するため、洗面 台と便器が間仕切り無く配置され、或いはこれに浴槽、シャワー等が併設された 構成のサニタリーシステムが提案されている。しかし、このようなサニタリーシ ステムにおいては、便器及び洗面台が間仕切り無く構成されているので、通常の 形態、すなわち便所と化粧室とが間仕切りされた形態で使用したい場合は、改造 しなければならず、コストがかかるばかりか、資材の無駄を余儀なくされる。そ こで、狭いスペースで、かつ家族構成等の変動に応じて、通常の形態と、車椅子 等での利用を確保できる形態とを、容易に変更することのできるサニタリーシス テムが要望されていた。

【０００４】 本考案は、上述したような従来のサニタリーシステムにおける問題点を解決す るために提案されたもので、その目的は、狭いスペースでも、車椅子及び天井用 走行リフトを必要とする高齢者等が自立して***、洗面等を行うことができ、又 は介護者が介護しやすく、かつ通常の形態、すなわち便所と化粧室とが間仕切り された形態に容易に戻すことのできるサニタリーシステムを提供することである 。

【０００５】 また、本考案の他の目的は、短い工期で建築でき、気密性、断熱性及び耐震性 に優れたサニタリーシステムを提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案のうち請求項１に記載の考案は、便所、化 粧室及び浴室の順に配列されたサニタリーシステムであって、少なくとも化粧室 に外部から通じる入口部を有し、かつ、便所と化粧室との間に着脱可能な間仕切 りパネルを設けたことを特徴とする。

【０００７】 このような手段を講じたことにより、間仕切りパネルを取り外すことにより、 化粧室に設けられた入口部から入室して、化粧室と便所という狭いスペースでも 車椅子による回転が可能となる。また、間仕切りパネルを取り付ければ、いつで も、元の通常の、すなわち便所と化粧室とが間仕切りされた形態に戻すことがで き、資材を無駄にすることもない。従って、個人住宅でも抵抗なく採用すること ができる。なお、本考案に係るサニタリーシステムは、母屋に接続して、或いは 別個に離れた形式で建てることもできる。また、必要に応じ、便所にも外部から の入口部を設けることができる。

【０００８】 ここで、前記間仕切りパネルは、着脱可能であれば、いずれの手段によって達 成してもよいが、請求項２に記載の構成とすることができる。すなわち、請求項 ２に記載の考案は、前記間仕切りパネルが、天井に設けられた着脱可能な枠部材 と、この枠部材の長手方向に沿って設けられた２以上の凹部のそれぞれに嵌合さ れて摺動可能に配設された２以上の建具とを有して構成されていることを特徴と する。

【０００９】 このような構成としたことにより、建具を取り外すことにより、車椅子での使 用がスムーズに行える便所及び化粧室が形成される。また、天井に設けた枠部材 を取り外すことができるので、天井用走行リフトを設置することも可能であり、 身障者等が自立できるサニタリーシステムをより構築しやすい。ここで、枠部材 は、着脱可能な固着手段、例えばビス等により天井に固着することで、着脱可能 な構成とすることができる。

【００１０】 また、間仕切りパネルを装着した場合には、摺動可能な建具が、便所と化粧室 との間を出入りするための手段となるので、便所には外部からの入口部を設ける 必要がなく、資材を節約することができる。さらに、便所と化粧室が、建具によ って仕切られているので、通常の使用の際にも抵抗感なく採用できる。

【００１１】 ここで、化粧室と浴室との間の間仕切りとして、請求項３に記載の考案のよう に、床から天井までの高さを有する引き戸を使用することができる。このような 手段を講じると、天井用走行リフトの設置が容易となり、障害者等の病状に応じ 、より自立した生活を促すことができる。

【００１２】 さらに、請求項４に記載の考案は、請求項１〜３のいずれか１項に記載のサニ タリーシステムにおいて、前記サニタリーシステムの周囲の内壁構造を、上下方 向に延びる縦枠板と左右方向に延びる横枠板とで構成される矩形状の枠体の室内 側に構造用合板が固着され、この構造用合板の室外側に、前記縦枠板及び前記横 枠板の前記構造用合板側に設けられた段部に周囲が嵌入されて付設された断熱板 を有する壁パネルを、土台、柱及び梁の間に嵌合させた構造としたことを特徴と する。

【００１３】 このような手段を講じたので、建築現場において内壁構造を形成する際、筋交 いや間柱等を設け、断熱材を充填する工程を省略することができ、工期を短縮す ることができる。従って、このようなサニタリーシステムが必要になった場合に も比較的短期間で対応することができる。また、気密性、断熱性及び耐震性にも 優れるので、離れの形態で建築した場合にも好適である。さらに、室内側に構造 用合板が設けられているので、所望の場所に手すり等を取り付けることができ、 従来から多用されている石膏ボードに比し、身障者等の自立した生活に至便であ る。

【００１４】

【考案の実施の形態】

以下、本考案の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。 図１は、本考案に係るサニタリーシステム１の概略を示す透視図であって、こ のサニタリーシステム１は、便所２、化粧室３、浴室４、及び便所２と化粧室３ との間に配設された間仕切りパネル５とから主に構成され、化粧室３に、外部か らの入口部６を有している。なお、図２は、本サニタリーシステム１の平面図で あり、図３は、間仕切りパネル５を取り外した状態の平面図である。

【００１５】 ここで、間仕切りパネル５は、図４に示すように、天井ｃに着脱可能な枠部材 ７を有する。この枠部材７には、長手方向に２本の凹部７ａ、７ｂが設けられ、 その凹部７ａ、７ｂの適所の数カ所で、ビス７ｃにより天井ｃに固着されている 。そして、この凹部７ａ、７ｂに摺動可能に建具８、９が設けられている。この 建具８、９は、その上端に、それぞれ凹部７ａ、７ｂに嵌合される突部８ａ、９ ａを有する。下端には、摺動部８ｂ、９ｂが、それぞれ床ｆに埋設されたフラッ ターレール８ｃ、９ｃ上を摺動可能に設けられている。通常は、建具８、すなわ ち、入口部６から離れた方を固定し、建具９、すなわち入口部６に近い方を可動 式建具として、便所２と化粧室３との出入りの手段として使用する。そして、身 障者等の利用に供する場合には、建具８、９を取り外すことにより、図３に示す ように、車椅子ｗの回転も可能となる。また、枠部材７も取り外せば、天井用走 行リフト(図示せず)の設置も容易に行うことができる。

【００１６】 便所２には、洋式の便器１０が設けられ、化粧室３には、洗面台１１が配設さ れている。この洗面台１１は、車椅子での使用が可能なように、図示しない装置 により昇降できる構成となっている。

【００１７】 また、入口部６には、天井までの高さを有する引き戸６ａ、６ａが、摺動可能 に配設され、浴室４の外部側壁に設けられた収納部４ａに収納される構成となっ ている。この引き戸６ａ、６ａは、床に埋設された図示しないフラッターレール 上を摺動可能に設けられている。このように、天井までの高さを有する引き戸を 採用しているので、天井用走行リフトの設置を容易に行うことができる。また、 フラッターレールの採用により、外部からの入口部６の床を実質的に同一の面と することができる。

【００１８】 化粧室３と浴室４との間には大きな段差を設けず、その間仕切りとして、床か ら天井までの高さを有する３枚の引き戸１２を使用している。この引き戸１２に 近接した浴室４の洗い場１３には、３枚の引き戸の全幅に渡って排水溝１４を設 けている。従って、浴室４の水が化粧室３側に流出することを防止することがで きる。また、浴室４には、浴槽１５、シャワー１６等が配設されている。なお、 足が不自由な身障者等が腰掛け、或いはいざって浴槽１５に入ることができるよ うに、浴槽１５のリム１５ａに隣接して移乗台(図示せず)を設けることができる 。

【００１９】 本サニタリーシステム１の周囲の内壁構造は、壁パネル２０を、基礎３０上に 設けられた土台３１、柱３２及び梁３３に嵌合させた構造となっている(図６参 照)。壁パネル２０は、上下方向に延びる縦枠板２１ａ、２１ｂと、左右方向に 延びる横枠板２２ａ、２２ｂのそれぞれの端部同士が固着された矩形状の枠体２ ３を有する。横枠板２２ａ、２２ｂは、それぞれのほぼ中間の位置で中枠板２４ で連結されている。枠体２３の室内側には、枠体２３を形成する矩形形状と同一 の大きさの構造用合板２５が固着されている。縦枠板２１ａ、２１ｂ、横枠板２ ２ａ、２２ｂ及び中枠板２４の幅方向の構造用合板２５側には、それぞれ段部ｓ が設けられている。この段部ｓに、硬質発泡ウレタンからなる断熱板２６の周囲 が嵌入され、構造用合板２５に付設されている。そして、このような壁パネル２ ０が、柱３２の間に所望の枚数配置され、内壁構造が形成されている。そして、 その外側に、防湿シート２７が貼着され、縦胴縁２８を介して外壁材２９が施さ れることにより、サニタリーシステム１の壁が構成されている(図５参照)。

【００２０】 上述のような内壁構造の採用により、建築現場においては、筋交いや間柱を設 け、断熱材を充填する工程を省略できるので、本サニタリーシステム１は短い工 期で建築できる。また、断熱板２６が各枠板に嵌入された構成となっているので 、気密性、断熱性に優れる。さらに、壁パネル２０は、それ自体で壁下地、筋交 い、間柱の機能を果たすので、壁面強度が高く、耐震性にも優れたサニタリーシ ステム１とすることができる。また、室内側に構造用合板２５を有しているので 、室内の所望の場所に手すりや器具等を容易に取り付けることができ、身障者等 の自立をより一層快適なものとすることができる。さらに、防湿シート２７が施 され、かつ、防湿シート２７と断熱板２６との間、及び防湿シート２７と外壁材 ２９との間に、それぞれ空気層ａ１及び空気層ａ２が形成されるので、これらが 通気空間として機能し、冬場における結露を有効に防止できる。なお、壁パネル ２０として、株式会社ホーメックス製のＨＰパネルを使用できる。

【００２１】 なお、本考案のサニタリーシステムは、本実施の形態に限定されるものではな く、本考案の目的の範囲内で適宜設計変更できるものである。例えば、上述の間 仕切りパネル５として２枚の建具を使用したが、３枚の建具を使用することもで きる。この場合には、スペースが許せば、建具の一部若しくはすべてを取り外す ことなく、車椅子での使用を可能にすることもできる。また、便所２にも外部か らの入口部を設けることもでき、通常の形態での使用に便利である。

【００２２】

【考案の効果】 以上説明したように、本考案のサニタリーシステムは、狭いスペースでも、車 椅子及び天井用走行リフトを必要とする高齢者等が自立して***、洗面等を行う ことができ、又は介護者が介護しやすく、かつ通常の形態、すなわち便所と化粧 室とが間仕切りされた形態に容易に戻すことができる。

【００２３】 また、本考案のサニタリーシステムは、短い工期で建築でき、気密性、断熱性 及び耐震性に優れる。さらに、天井用走行リフトの設置、所望の場所への手すり 等の取り付けの容易性についても配慮されているので、身障者等の自立した生活 に非常に有用である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るサニタリーシステムの一実施形態
の概要を示す透視図である。

【図２】本考案に係るサニタリーシステムの一実施形態
の平面図である。

【図３】同図において、間仕切りパネルを取り外した状
態を示す。

【図４】本考案に係る一実施形態の間仕切りパネルの側
面を示す説明図である。

【図５】本考案に係る一実施形態の壁構造を示す水平端
面図である。

【図６】本考案に係る一実施形態の内壁構造の説明図で
ある。

【符号の説明】

１ サニタリーシステム ２ 便所 ３ 化粧室 ４ 浴室 ５ 間仕切りパネル ６ 入口部 ７ 枠部材 ７ａ、７ｂ 凹部 ８ 建具(固定式) ９ 建具(可動式) １０ 便器 １１ 洗面台 １２ 引き戸 ２０ 壁パネル ２１ａ、２１ｂ 縦枠板 ２２ａ、２２ｂ 横枠板 ２３ 枠体 ２５ 構造用合板 ２６ 断熱板 ３１ 土台 ３２ 柱 ３３ 梁 ｃ 天井 ｆ 床 ｓ 段部 ｗ 車椅子

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 便所、化粧室及び浴室の順に配列された
   サニタリーシステムであって、少なくとも化粧室に外部
   から通じる入口部を有し、かつ、便所と化粧室との間に
   着脱可能な間仕切りパネルを設けたことを特徴とするサ
   ニタリーシステム。
2. 【請求項２】 前記間仕切りパネルが、天井に設けられ
   た着脱可能な枠部材と、この枠部材の長手方向に沿って
   設けられた２以上の凹部のそれぞれに嵌合されて摺動可
   能に配設された２以上の建具とを有して構成されている
   ことを特徴とする請求項１に記載のサニタリーシステ
   ム。
3. 【請求項３】 前記化粧室と前記浴室との間の間仕切り
   として、床から天井までの高さを有する引き戸を使用し
   たことを特徴とする請求項１又は２に記載のサニタリー
   システム。
4. 【請求項４】 前記サニタリーシステムの周囲の内壁構
   造を、上下方向に延びる縦枠板と左右方向に延びる横枠
   板とで構成される矩形状の枠体の室内側に構造用合板が
   固着され、この構造用合板の室外側に、前記縦枠板及び
   前記横枠板の前記構造用合板側に設けられた段部に周囲
   が嵌入されて付設された断熱板を有する壁パネルを、土
   台、柱及び梁の間に嵌合させた構造としたことを特徴と
   する請求項１〜３のいずれか１項に記載のサニタリーシ
   ステム。