JP3065255B2 - 接着剤組成物及びそれを用いた紙管 - Google Patents

接着剤組成物及びそれを用いた紙管

Info

Publication number
JP3065255B2
JP3065255B2 JP8244986A JP24498696A JP3065255B2 JP 3065255 B2 JP3065255 B2 JP 3065255B2 JP 8244986 A JP8244986 A JP 8244986A JP 24498696 A JP24498696 A JP 24498696A JP 3065255 B2 JP3065255 B2 JP 3065255B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
adhesive composition
parts
weight
vinyl acetate
dried film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP8244986A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1030077A (ja
Inventor
達夫 早崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP8244986A priority Critical patent/JP3065255B2/ja
Publication of JPH1030077A publication Critical patent/JPH1030077A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3065255B2 publication Critical patent/JP3065255B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、厚紙を金属心棒に
巻き付けて紙管を製造する際に、金属心棒に巻回された
厚紙の側縁部同士を接着するために好適に使用される接
着剤組成物、及び、その接着剤組成物を使用して製造さ
れる紙管に関する。
【0002】
【従来の技術】紙、箔、織物等のシート状物品等を巻く
ための心棒として使用される紙管は、通常、厚紙を金属
心棒に螺旋状に巻回して、その厚紙の隣接する側縁部同
士を接着剤組成物によって接着することによって製造さ
れている。このような紙管の製造に使用される接着剤組
成物は、通常、澱粉、ポリビニルアルコール(PV
A)、ポリ酢酸ビニル樹脂等をベースとして製造されて
いる。
【0003】このような紙管用の接着剤組成物が、例え
ば、特開平5−125341号公報に開示されている。
この接着剤組成物は、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの
固形分に対して、無機充填剤と、PVAと、硼酸とが、
それぞれ特定の割合で添加されて構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】紙管の製造に使用され
る接着剤組成物は、紙管に巻回されるシート状物品等に
よる圧力によって紙管が破損しないような耐圧強度を有
するように、乾燥して形成される皮膜が高弾性率で固く
なっていることが要求される。又、紙管を製造する際に
は、製造される各紙管の口径が一定になるように、金属
心棒に巻回された厚紙が広がらないように保持できるよ
うに、初期接着性に優れていることも必要になる。
【0005】前述の公報に開示された接着剤組成物で
は、乾燥皮膜は高い弾性率を有しており、製造される紙
管は耐圧強度に優れたものになる。しかも、初期接着強
度も優れたものになっている。しかしながら、紙管は、
巻回されるシート状物品によっては、さらなる耐圧強度
が要求され、そのために、紙管の製造に使用される接着
剤組成物としても、乾燥皮膜の弾性率及び初期接着強度
のいずれもが、一層向上したものが要求されている。
【0006】本発明は、このような問題を解決するもの
であり、その目的は、乾燥皮膜の弾性率が高く、初期接
着力や耐水性等に優れており、従って、紙管を製造する
際に好適に用いられる接着剤組成物を提供することにあ
る。又、本発明の他の目的は、所定の均一な口径を有
し、優れた耐圧強度や耐水性等を発揮する紙管を提供す
ることにある。
【0007】本発明は、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン
の固形分に対して、無機充填剤と、カルボキシル基変性
ポリビニルアルコール、澱粉、デキストリンからなる群
より選ばれる少なくとも1種の水溶性高分子と、硼酸と
を、特定の割合で添加して、乾燥皮膜におけるテトラヒ
ドロフラン(THF)の未溶解物を90重量%以上とす
ることにより、得られる接着剤組成物の乾燥皮膜が高弾
性率になり、しかも、初期接着力も著しく向上するとい
う知見に基づくものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明(以
下、「第1発明」と記す)による接着剤組成物は、酢酸
ビニル樹脂系エマルジョンの固形分100重量部に対し
て、80〜170重量部の無機充填剤と、35〜70重
量部のカルボキシル基変性ポリビニルアルコール、澱
粉、デキストリンからなる群より選ばれる少なくとも1
種の水溶性高分子と、1〜5重量部の硼酸とが添加され
てなる接着剤組成物であって、その乾燥皮膜は、テトラ
ヒドロフランによる未溶解物が90重量%以上とされて
いることを特徴とする。
【0009】又、請求項2記載の発明(以下、「第2発
明」と記す)による接着剤組成物は、上記第1発明によ
る接着剤組成物において、酢酸ビニル樹脂系エマルジョ
ンは、その乾燥皮膜のアセトンによる抽出率が45重量
%以上とされていることを特徴とする。
【0010】さらに、請求項3記載の発明(以下、「第
3発明」と記す)による接着剤組成物は、上記第1発明
又は第2発明による接着剤組成物において、酢酸ビニル
樹脂系エマルジョンは、酢酸ビニルモノマー100重量
部に対して、エチレン性不飽和モノマー0.1〜5重量
部を乳化共重合して得られるものであることを特徴とす
る。
【0011】さらに又、請求項4記載の発明(以下、
「第4発明」と記す)は、上記第1発明〜第3発明のい
ずれかによる接着剤組成物が、厚紙を心棒に巻き付けて
紙管を製造する際に、厚紙の隣接する側縁部同士を接着
するために使用されることを特徴とする。
【0012】請求項5記載の発明(以下、「第5発明」
と記す)による紙管は、上記第1発明〜第3発明のいず
れかによる接着剤組成物によって、心棒に巻き付けられ
た厚紙の隣接する側縁部同士が接着されて製造されてい
ることを特徴とする。
【0013】第1発明による接着剤組成物に主成分とし
て用いられる酢酸ビニル樹脂系エマルジョンは、酢酸ビ
ニルモノマー単独、もしくは、酢酸ビニルモノマーと該
酢酸ビニルモノマーと共重合可能なモノマーとを、ポリ
ビニルアルコール(以下「PVA」と記す)等を保護コ
ロイドとして、重合開始剤の存在下に水中で乳化(共)
重合させることによって得ることが出来る。尚、ここで
「(共)重合」とは、「重合」もしくは「共重合」を意
味する。
【0014】上記酢酸ビニルモノマーと共重合可能なモ
ノマーとしては、特に限定されるものではないが、(メ
タ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、
2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチレング
リコールモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メ
タ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等
のエチレン性不飽和モノマー;2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アク
リレート等の水酸基含有モノマー等が挙げられ、これら
の1種もしくは2種以上が好適に用いられる。尚、ここ
で「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」もしくは
「メタクリル」を意味する。
【0015】又、上記保護コロイドとしては、特に限定
されるものではないが、PVA、カルボキシル基変性P
VA等の変性PVA、イソブチレンと無水マレイン酸の
共重合体等のα−オレフィンと不飽和カルボン酸の共重
合体もしくはその誘導体の塩基性物質による水溶化物、
カルボキシメチルセルロース等が挙げられ、これらの1
種もしくは2種以上が好適に用いられるが、なかでも得
られる接着剤組成物の初期接着力が向上するという点
で、PVAがより好適に用いられる。
【0016】さらに、上記重合開始剤としては、特に限
定されるものではないが、過酸化水素水;過硫酸アンモ
ニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸
塩;酒石酸、蟻酸、蓚酸等の還元剤等が挙げられ、これ
らの1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0017】第1発明による接着剤組成物においては、
前記酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの固形分100重量
部に対して、80〜170重量部、好ましくは115〜
140重量部、の無機充填剤が添加されていることが必
要である。
【0018】上記無機充填剤としては、特に限定される
ものではないが、クレー、水酸化アルミニウム、炭酸カ
ルシウム、カオリン、タルク等が挙げられ、これらの1
種もしくは2種以上が好適に用いられるが、なかでも無
機充填剤の分散性及び得られる接着剤組成物の皮膜強度
が向上するという点でクレーがより好適に用いられる。
【0019】酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの固形分1
00重量部に対する上記無機充填剤の添加量が80重量
部未満であると、得られる接着剤組成物の乾燥皮膜の弾
性率が十分向上せず、逆に170重量部を超えると、得
られる接着剤組成物の初期接着力が低下する。
【0020】又、第1発明による接着剤組成物において
は、前記酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの固形分100
重量部に対して、35〜70重量部、好ましくは45〜
60重量部、より好ましくは50〜55重量部のカルボ
キシル基変性PVA、澱粉、デキストリンからなる群よ
り選ばれる少なくとも1種の水溶性高分子(以下、単に
「水溶性高分子」と記す)が添加されていることが必要
である。
【0021】上記カルボキシル基変性PVAとしては、
例えば、PVAにカルボン酸を反応させてPVAの末端
にカルボキシル基を導入したもの等が挙げられ、好適に
用いられる。上記反応に用いられるカルボン酸として
は、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、(無水)マレイ
ン酸等が挙げられるが、特にこれらに限定されるもので
はない。
【0022】上記カルボキシル基変性PVAの鹸化度
は、特に限定されるものではないが、88モル%以上で
あることが好ましく、なかでも96モル%以上であるこ
とがより好ましい。又、上記カルボキシル基変性PVA
の平均重合度は、特に限定されるものではないが、10
00〜2500であることが好ましく、なかでも150
0〜2000であることがより好ましい。
【0023】上記澱粉としては、特に限定されるもので
はないが、とうもろこし、小麦、馬鈴薯、米、タピオ
カ、甘薯等から得られる生澱粉、α澱粉等の物理的に変
性された澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化
澱粉等の化学的に変性された澱粉等が挙げられ、これら
の1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0024】上記デキストリンとしては、特に限定され
るものではないが、澱粉に熱、熱と酸もしくはアルカ
リ、酵素等を作用させて得られる白色デキストリン、黄
色デキストリン、ブリティッシュガム等が挙げられ、こ
れらの1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0025】酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの固形分1
00重量部に対する上記水溶性高分子の添加量が35重
量部未満であると、得られる接着剤組成物の乾燥皮膜の
弾性率が不十分となり、逆に70重量部を超えると、得
られる接着剤組成物の接着力が低下する。
【0026】さらに、第1発明による接着剤組成物にお
いては、前記酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの固形分1
00重量部に対して、1〜5重量部、好ましくは2〜
3.5重量部、の硼酸が添加されていることが必要であ
る。
【0027】酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの固形分1
00重量部に対する上記硼酸の添加量が1重量部未満で
あると、得られる接着剤組成物の耐水性や初期接着力が
十分向上せず、逆に5重量部を超えると、得られる接着
剤組成物の粘度の経時的安定性が低下する。
【0028】さらに又、第1発明による接着剤組成物に
おいては、その乾燥皮膜は、テトラヒドロフラン(以
下、「THF」と記す)による未溶解物が90重量%以
上とされていることが必要である。
【0029】上記乾燥皮膜のTHFによる未溶解物が9
0重量%未満であると、乾燥皮膜の弾性率が低下する。
【0030】上記乾燥皮膜のTHFによる未溶解物を9
0重量%以上とするためには、特に限定されるものでは
ないが、酢酸ビニルモノマーを単独で乳化重合して得ら
れる酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを用いるより、酢酸
ビニルモノマーと前述したエチレン性不飽和モノマーや
水酸基含有モノマー等とを乳化共重合して得られる酢
ビニル樹脂系エマルジョンを用いる方が好ましい。
【0031】尚、上記乾燥皮膜のTHFによる未溶解物
(重量%)は、重量で乾燥皮膜の20倍量のTHF中に
接着剤組成物の乾燥皮膜を室温で48時間浸漬して溶解
物を抽出した後、次式によって算出される。{(乾燥皮
膜の重量−THF抽出物の乾燥重量)/乾燥皮膜の重
量}×100
【0032】第1発明による接着剤組成物においては、
酢酸ビニル樹脂系エマルジョンに添加される無機充填剤
、カルボキシル基変性PVA、澱粉、デキストリンか
らなる群より選ばれる少なくとも1種の水溶性高分子と
の作用によって、高い弾性率を有する乾燥皮膜と優れた
初期接着力が得られる。又、酢酸ビニル樹脂系エマルジ
ョンに添加される硼酸の作用によって、優れた初期接着
力と耐水性が得られる。さらに、接着剤組成物の乾燥皮
膜のTHFによる未溶解物が90重量%以上とされてい
るので、乾燥皮膜の弾性率と初期接着力がより向上す
る。
【0033】次に、第2発明による接着剤組成物は、上
述した第1発明による接着剤組成物において、主成分で
ある酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの乾燥皮膜のアセト
ンによる抽出率が45重量%以上とされていることが必
要である。
【0034】上記酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの乾燥
皮膜のアセトンによる抽出率を45重量%以上とするこ
とにより、最終的に得られる接着剤組成物の乾燥皮膜の
弾性率や初期接着力が著しく向上する。換言すれば、上
記乾燥皮膜のアセトンによる抽出率が45重量%未満で
あると、最終的に得られる接着剤組成物の乾燥皮膜の弾
性率や初期接着力が十分に向上しない。
【0035】上記酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの乾燥
皮膜のアセトンによる抽出率を45重量%以上とするた
めには、酢酸ビニルモノマーを単独で乳化重合して得ら
れる酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを用いるより、酢酸
ビニルモノマーと前述したエチレン性不飽和モノマーや
水酸基含有モノマー等とを乳化共重合して得られる酢
ビニル樹脂系エマルジョンを用いる方が好ましい。
【0036】又、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの乳化
(共)重合における初期重合時のモノマーの量を全モノ
マー量の10〜20重量%とし、重合開始剤の量を全重
合開始剤量の20重量%とすることが好ましい。
【0037】尚、上記乾燥皮膜のアセトンによる抽出率
(重量%)は、重量で乾燥皮膜の20倍量のアセトン中
に酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの乾燥皮膜を室温で4
8時間浸漬して溶解物を抽出した後、次式によって算出
される。 (アセトン抽出物の乾燥重量/乾燥皮膜の重量)×10
【0038】次に、第3発明による接着剤組成物は、上
述した第1発明又は第2発明による接着剤組成物におい
て、主成分である酢酸ビニル樹脂系エマルジョンは、酢
酸ビニルモノマー100重量部に対して、エチレン性不
飽和モノマー0.1〜5重量部を乳化共重合して得られ
るものであることが必要である。
【0039】上記エチレン性不飽和モノマーとしては、
特に限定されるものではないが、前記第1発明による接
着剤組成物の説明のなかで例示した酢酸ビニルモノマー
と共重合可能な各種モノマーが挙げられ、それらの1種
もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0040】酢酸ビニルモノマーに対して、エチレン性
不飽和モノマーを乳化共重合することにより、得られる
酢酸ビニル樹脂系エマルジョンはグラフト化率の高いも
のとなり、その乾燥皮膜のアセトンによる抽出率は45
重量%以上となると共に、最終的に得られる接着剤組成
物の乾燥皮膜の弾性率や初期接着力等が著しく向上す
る。
【0041】酢酸ビニルモノマー100重量部に対する
上記エチレン性不飽和モノマーの共重合量が0.1重量
部未満であると、最終的に得られる接着剤組成物の乾燥
皮膜の弾性率や初期接着力等が十分向上せず、逆に上記
エチレン性不飽和モノマーの共重合量が5重量部を超え
ると、重合の安定性が悪くなり粗粒子が多くなる。
【0042】第1発明〜第3発明による接着剤組成物の
粘度は、特に限定されるものではないが、使用時の塗工
作業性等を考慮すると、30℃において1000センチ
ポイズ(cps)以下程度であることが好ましい。
【0043】又、第1発明〜第3発明による接着剤組成
物には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応
じて、粘着付与樹脂、界面活性剤、可塑剤、軟化剤、顔
料、染料、消泡剤、防腐剤、防黴剤、有機溶剤等の各種
添加剤の1種もしくは2種以上が添加されていても良
い。
【0044】次に、第4発明においては、厚紙を心棒に
巻き付けて紙管を製造する際に、上述した第1発明〜第
3発明のいずれかによる接着剤組成物が、厚紙の隣接す
る側縁部同士を接着するために使用されることが必要で
ある。
【0045】又、第5発明による紙管は、上述した第1
発明〜第3発明のいずれかによる接着剤組成物によっ
て、心棒に巻き付けられた厚紙の隣接する側縁部同士が
接着されて製造されていることが必要である。
【0046】尚、前述した第1発明〜第3発明による接
着剤組成物は、上記紙管用に限らず、紙包装用、木工
用、一般用等としても好適に用いられる。
【0047】
【作用】第1発明による接着剤組成物は、酢酸ビニル樹
脂系エマルジョンに対して、特定量の無機充填剤と、特
定量のカルボキシル基変性PVA、澱粉、デキストリン
からなる群より選ばれる少なくとも1種の水溶性高分子
が添加されているので、乾燥皮膜は高い弾性率を有する
と共に、優れた初期接着力を発揮する。又、酢酸ビニル
樹脂系エマルジョンに対し、特定量の硼酸が添加されて
いるので、優れた初期接着力と耐水性を発揮する。さら
に、上記接着剤組成物は、乾燥皮膜のTHFによる未溶
解物が90重量%以上とされているので、乾燥皮膜の弾
性率と初期接着力がより向上している。
【0048】又、第2発明による接着剤組成物は、上記
第1発明による接着剤組成物において、主成分である酢
酸ビニル樹脂系エマルジョンの乾燥皮膜のアセトンによ
る抽出率が45重量%以上とされているので、乾燥皮膜
の弾性率と初期接着力が一段と向上している。
【0049】さらに、第3発明による接着剤組成物は、
上記第1発明又は第2発明による接着剤組成物におい
て、主成分である酢酸ビニル樹脂系エマルジョンは、酢
酸ビニルモノマーに対して、特定量のエチレン性不飽和
モノマーが乳化共重合されてグラフト化率の高いものと
なっているので、乾燥皮膜の弾性率及び初期接着力や耐
水性等が著しく向上している。
【0050】次に、第4発明においては、厚紙を心棒に
巻き付けて紙管を製造する際に、上記第1発明〜第3発
明のいずれかによる接着剤組成物が、厚紙の隣接する側
縁部同士を接着するために使用されるので、所定の均一
な口径であって、優れた耐圧強度や耐水性等を有する紙
管を作業性良く容易に得ることが出来る。
【0051】又、第5発明による紙管は、上記第1発明
〜第3発明のいずれかによる接着剤組成物によって、心
棒に巻き付けられた厚紙の隣接する側縁部同士が接着さ
れて製造されているので、所定の均一な口径を有すると
共に、優れた耐圧強度や耐水性等を発揮する。
【0052】
【発明の実施の形態】本発明をさらに詳しく説明するた
め以下に実施例とともに比較例及び参考例を挙げるが、
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、
実施例において番号1〜3及び番号13〜15は欠番と
する。実施例、比較例及び参考例中の「部」は「重量
部」を意味し、「%」は特に記載の無いかぎり「重量
%」を意味する。又、「粘度」は「30℃における粘
度」であり、無機充填剤、水溶性高分子及び硼酸の「添
加量」は、「固形分の添加量」である。
【0053】(参考例1)
【0054】(1)酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの重
合 攪拌機、還流冷却管、温度計及び滴下漏斗を備えた反応
器に、水120部とポリビニルアルコール(商品名「ク
ラレPVA−CST」、鹸化度96モル%、平均重合度
1700、クラレ社製)11部を仕込み、90℃で1時
間攪拌してポリビニルアルコール(以下、「PVA」と
記す)の水溶液を得た。次に、このPVA水溶液を75
℃に冷却し、これに酢酸ビニルモノマー10部と重合開
始剤0.1部(過酸化水素水0.06部及び酒石酸0.
04部)を添加して初期重合を行わせた。次いで、酢酸
ビニルモノマー90部を3時間かけて滴下すると共に、
重合開始剤0.4部(過酸化水素水0.24部及び酒石
酸0.16部)を3.5時間かけて滴下し乳化重合を完
了させた。さらに、酢酸ビニルモノマーの滴下終了後、
85℃で1時間熟成して、固形分48%、粘度8000
cpsの酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを得た。次い
で、得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョンに対し、可
塑剤、消泡剤、防腐剤及び水を添加して、固形分45
%、粘度4000cpsの酢酸ビニル樹脂系エマルジョ
ン(A)を得た。得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョ
ン(A)の乾燥皮膜のアセトン抽出率は53%であっ
た。
【0055】(2)接着剤組成物の作製 上記で得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョン(A)の
固形分100重量部に対して、無機充填剤としてクレー
(30%水スラリー)125部、水溶性高分子としてP
VA(商品名「117」、クラレ社製、15%水溶液)
50部、硼酸(3%水溶液)2.5部及び水を添加し、
均一に攪拌混合して、固形分26%、粘度500cps
の接着剤組成物を得た。得られた接着剤組成物の乾燥皮
膜のテトラヒドロフラン(THF)未溶解物は95%で
あった。
【0056】(3)評価 上記で得られた接着剤組成物の各種性能(皮膜の引張
り強度、皮膜の弾性率、初期接着力、耐水性、
経時粘度安定性)を以下の方法で評価した。その結果は
表1に示すとおりであった。尚、評価は、特に記載の無
いかぎり、20℃−65%RHの雰囲気下で行った。
【0057】皮膜の引張り強度、及び、皮膜の弾性
率 ポリエチレン板上に接着剤組成物を塗布し、その接着剤
組成物の塗布層を、20℃−65%RHの雰囲気下で3
日間養生して、厚み300〜500μmの乾燥皮膜を形
成した後、形成された乾燥皮膜を1号ダンベルで打ち抜
いて試験片を作成した。次いで、作成した試験片を引張
り試験器にセットして、引張り速度10mm/分で引張
り、引張り強度(kg/cm2 )を測定した。又、伸び
率10%時点での引張り強度と伸び率から弾性率(kg
/cm2 )を求めた。
【0058】初期接着力(剪断接着力) 40mm×100mmと50mm×100mmに裁断し
た2枚のB級紙管原紙(福山製紙社製)を試験片とし、
接着剤組成物によって接着して、接着試験片を作成し
た。次いで、この接着試験片を用いて初期接着力{剪断
接着力(kg/cm2 )}を測定した。この時の接着条
件及び測定条件は以下のとおりであった。 〔接着条件〕塗布量(wet):30g/m2 、塗布ス
ピード:0.6m/秒、オープンタイム:0.5秒、圧
締圧:3kg/cm2 、圧締時間:6秒,8秒,10秒
の3種類 〔測定条件〕解圧後放置時間:0.5秒、引張り速度:
100mm/分
【0059】耐水性(落下時間) 25mm×50mmに裁断した上記と同様のB級紙管原
紙2枚を試験片とし、一方の試験片の片面の半分に接着
剤組成物を、塗布面積25mm×25mm、塗布量(w
et)0.05g/(25mm)2 となるように塗布
し、この塗布面に他方の試験片の片面の半分を互い違い
に貼り合わせ、この貼り合わせ部分を1kg/(25m
m)2 の圧力で60秒間圧締した後、20℃−65%R
Hの雰囲気下で24時間養生して接着試験片を作成し
た。次いで、この接着試験片の一方の試験片の下端に1
00gの分銅を吊り下げた状態で40℃の温水中に垂直
に浸漬し、試験片が接着面で剥離して落下する迄の時間
(分)を測定した。
【0060】経時粘度安定性 接着剤組成物を40℃の雰囲気下に1ケ月放置した後、
粘度を測定し、初期粘度(放置前粘度)と比較して、粘
度上昇度(倍)を求めた。
【0061】(参考例2) 接着剤組成物の作製において、クレーの添加量を90
部、PVA「117」の添加量を40部及び硼酸の添加
量を1.2部としたこと以外は参考例1と同様にして、
固形分25.5%、粘度450cpsの接着剤組成物を
得た。得られた接着剤組成物の乾燥皮膜のTHF未溶解
物は92%であった。
【0062】(参考例3) 接着剤組成物の作製において、クレーの添加量を165
部、PVA「117」の添加量を65部及び硼酸の添加
量を4.7部としたこと以外は参考例1と同様にして、
固形分27%、粘度600cpsの接着剤組成物を得
た。得られた接着剤組成物の乾燥皮膜のTHF未溶解物
は96%であった。
【0063】(実施例4) 接着剤組成物の作製において、水溶性高分子として、P
VA「117」50部の代わりに、カルボキシル基変性
PVA(商品名「KL−117」、クラレ社製)50部
を添加したこと以外は参考例1と同様にして、固形分2
6%、粘度550cpsの接着剤組成物を得た。得られ
た接着剤組成物の乾燥皮膜のTHF未溶解物は96%で
あった。
【0064】(実施例5) 接着剤組成物の作製において、水溶性高分子として、P
VA「117」40部の代わりに、カルボキシル基変性
PVA「KL−117」40部を添加したこと以外は
考例2と同様にして、固形分25.5%、粘度480c
psの接着剤組成物を得た。得られた接着剤組成物の乾
燥皮膜のTHF未溶解物は91%であった。
【0065】(実施例6) 接着剤組成物の作製において、水溶性高分子として、P
VA「117」65部の代わりに、カルボキシル基変性
PVA「KL−117」65部を添加したこと以外は
考例3と同様にして、固形分27%、粘度660cps
の接着剤組成物を得た。得られた接着剤組成物の乾燥皮
膜のTHF未溶解物は95%であった。
【0066】(実施例7) 接着剤組成物の作製において、水溶性高分子として、P
VA「117」50部の代わりに、澱粉(商品名「ペト
ロコートC−8」、日澱化学社製)50部を添加したこ
と以外は参考例1と同様にして、固形分26%、粘度5
00cpsの接着剤組成物を得た。得られた接着剤組成
物の乾燥皮膜のTHF未溶解物は95%であった。
【0067】(実施例8) 接着剤組成物の作製において、水溶性高分子として、P
VA「117」40部の代わりに、澱粉「ペトロコート
C−8」40部を添加したこと以外は参考例2と同様に
して、固形分25.5%、粘度450cpsの接着剤組
成物を得た。得られた接着剤組成物の乾燥皮膜のTHF
未溶解物は90%であった。
【0068】(実施例9) 接着剤組成物の作製において、水溶性高分子として、P
VA「117」65部の代わりに、澱粉「ペトロコート
C−8」65部を添加したこと以外は参考例3と同様に
して、固形分27%、粘度600cpsの接着剤組成物
を得た。得られた接着剤組成物の乾燥皮膜のTHF未溶
解物は96%であった。
【0069】(実施例10) 接着剤組成物の作製において、水溶性高分子として、P
VA「117」50部の代わりに、デキストリン(商品
名「赤玉デキストリン(黄)」、日澱化学社製)50部
を添加したこと以外は参考例1と同様にして、固形分2
6%、粘度400cpsの接着剤組成物を得た。得られ
た接着剤組成物の乾燥皮膜のTHF未溶解物は92%で
あった。
【0070】(実施例11) 接着剤組成物の作製において、水溶性高分子として、P
VA「117」40部の代わりに、デキストリン「赤玉
デキストリン(黄)」40部を添加したこと以外は参考
例2と同様にして、固形分25.5%、粘度400cp
sの接着剤組成物を得た。得られた接着剤組成物の乾燥
皮膜のTHF未溶解物は90%であった。
【0071】(実施例12) 接着剤組成物の作製において、水溶性高分子として、P
VA「117」65部の代わりに、デキストリン「赤玉
デキストリン(黄)」65部を添加したこと以外は参考
例3と同様にして、固形分27%、粘度500cpsの
接着剤組成物を得た。得られた接着剤組成物の乾燥皮膜
のTHF未溶解物は96%であった。
【0072】(比較例1) 接着剤組成物の作製において、クレー(無機充填剤)を
添加しなかったこと以外は参考例1と同様にして、固形
分25%、粘度450cpsの接着剤組成物を得た。得
られた接着剤組成物の乾燥皮膜のTHF未溶解物は80
%であった。
【0073】(比較例2) 接着剤組成物の作製において、クレーの添加量を200
部としたこと以外は参考例1と同様にして、固形分27
%、粘度600cpsの接着剤組成物を得た。得られた
接着剤組成物の乾燥皮膜のTHF未溶解物は92%であ
った。
【0074】(比較例3) 接着剤組成物の作製において、クレーの添加量を60部
としたこと以外は参考例1と同様にして、固形分24
%、粘度550cpsの接着剤組成物を得た。得られた
接着剤組成物の乾燥皮膜のTHF未溶解物は83%であ
った。
【0075】(比較例4) 接着剤組成物の作製において、PVA「117」の添加
量を30部としたこと以外は参考例1と同様にして、固
形分25.5%、粘度450cpsの接着剤組成物を得
た。得られた接着剤組成物の乾燥皮膜のTHF未溶解物
は84%であった。
【0076】(比較例5) 接着剤組成物の作製において、PVA「117」の添加
量を90部としたこと以外は参考例1と同様にして、固
形分25.5%、粘度450cpsの接着剤組成物を得
た。得られた接着剤組成物の乾燥皮膜のTHF未溶解物
は94%であった。
【0077】(比較例6) 接着剤組成物の作製において、硼酸の添加量を0.5部
としたこと以外は参考例1と同様にして、固形分25.
5%、粘度450cpsの接着剤組成物を得た。得られ
た接着剤組成物の乾燥皮膜のTHF未溶解物は86%で
あった。
【0078】(比較例7) 接着剤組成物の作製において、硼酸の添加量を6部とし
たこと以外は参考例1と同様にして、固形分25.5
%、粘度450cpsの接着剤組成物を得た。得られた
接着剤組成物の乾燥皮膜のTHF未溶解物は92%であ
った。
【0079】(比較例8) 接着剤組成物の作製において、クレー、PVA「11
7」及び硼酸のいずれも添加しなかったこと以外は参考
例1と同様にして、固形分25%、粘度350cpsの
接着剤組成物を得た。得られた接着剤組成物の乾燥皮膜
のTHF未溶解物は53%であった。
【0080】(比較例9) 酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの重合において、酢酸ビ
ニルモノマー3部と重合開始剤0.025部(過酸化水
素水0.015部及び酒石酸0.01部)を添加して初
期重合を行い、次いで、酢酸ビニルモノマー97部及び
重合開始剤0.475部(過酸化水素水0.285部及
び酒石酸0.19部)を滴下して乳化重合を行ったこと
以外は参考例1と同様にして、固形分45%、粘度90
00cpsの酢酸ビニル樹脂系エマルジョン(B)を得
た。得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョン(B)の乾
燥皮膜のアセトン抽出率は38%であった。
【0081】接着剤組成物の作製において、上記で得ら
れた酢酸ビニル樹脂系エマルジョン(B)を用いたこと
以外は参考例1と同様にして、固形分26%、粘度50
0cpsの接着剤組成物を得た。得られた接着剤組成物
の乾燥皮膜のTHF未溶解物は85%であった。
【0082】(比較例10) 接着剤組成物の作製において、クレーを添加しなかった
こと以外は実施例4と同様にして、固形分25%、粘度
500cpsの接着剤組成物を得た。得られた接着剤組
成物の乾燥皮膜のTHF未溶解物は73%であった。
【0083】(比較例11) 接着剤組成物の作製において、クレーを添加しなかった
こと以外は実施例7と同様にして、固形分25%、粘度
450cpsの接着剤組成物を得た。得られた接着剤組
成物の乾燥皮膜のTHF未溶解物は71%であった。
【0084】(比較例12) 接着剤組成物の作製において、クレーを添加しなかった
こと以外は実施例10と同様にして、固形分25%、粘
度400cpsの接着剤組成物を得た。得られた接着剤
組成物の乾燥皮膜のTHF未溶解物は73%であった。
【0085】実施例4〜12、参考例2、3、及び、比
較例1〜12で得られた23種類の接着剤組成物の各種
性能を参考例1と同様にして評価した。その結果は、表
(実施例4〜12及び参考例1〜3)、及び、表2
(比較例1〜12)に示すとおりであった。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】(参考例4)
【0089】(1)酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの重
合 攪拌機、還流冷却管、温度計及び滴下漏斗を備えた反応
器に、水120部とPVA「クラレPVA−CST」1
1部を仕込み、90℃で1時間攪拌してPVAの水溶液
を得た。次に、このPVA水溶液を75℃に冷却し、こ
れに酢酸ビニルモノマー100部とエチレングリコール
ジメタクリレート2部からなる混合モノマー8.16部
と重合開始剤0.1部(過酸化水素水0.06部及び酒
石酸0.04部)を添加して初期共重合を行わせた。次
いで、上記混合モノマー93.84部を3時間かけて滴
下すると共に、重合開始剤0.4部(過酸化水素水0.
24部及び酒石酸0.16部)を3.5時間かけて滴下
し乳化共重合を完了させた。さらに、混合モノマーの滴
下終了後、85℃で1時間熟成して、固形分48%、粘
度8000cpsの酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを得
た。次いで、得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョンに
対し、可塑剤、消泡剤、防腐剤及び水を添加して、固形
分45%、粘度4000cpsの酢酸ビニル樹脂系エマ
ルジョン(C)を得た。得られた酢酸ビニル樹脂系エマ
ルジョン(C)の乾燥皮膜のアセトン抽出率は53%で
あった。
【0090】(2)接着剤組成物の作製 上記で得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョン(C)の
固形分100重量部に対して、無機充填剤としてクレー
(30%水スラリー)125部、水溶性高分子としてP
VA「117」(15%水溶液)50部、硼酸(3%水
溶液)2.5部及び水を添加し、均一に攪拌混合して、
固形分26%、粘度500cpsの接着剤組成物を得
た。得られた接着剤組成物の乾燥皮膜のテトラヒドロフ
ラン(THF)未溶解物は95%であった。
【0091】(参考例5) 接着剤組成物の作製において、クレーの添加量を90
部、PVA「117」の添加量を40部及び硼酸の添加
量を1.2部としたこと以外は参考例4と同様にして、
固形分25.5%、粘度450cpsの接着剤組成物を
得た。得られた接着剤組成物の乾燥皮膜のTHF未溶解
物は92%であった。
【0092】(参考例6) 接着剤組成物の作製において、クレーの添加量を165
部、PVA「117」の添加量を65部及び硼酸の添加
量を4.7部としたこと以外は参考例4と同様にして、
固形分27%、粘度600cpsの接着剤組成物を得
た。得られた接着剤組成物の乾燥皮膜のTHF未溶解物
は96%であった。
【0093】(実施例16) 接着剤組成物の作製において、水溶性高分子として、P
VA「117」50部の代わりに、カルボキシル基変性
PVA「KL−117」50部を添加したこと以外は
考例4と同様にして、固形分26%、粘度550cps
の接着剤組成物を得た。得られた接着剤組成物の乾燥皮
膜のTHF未溶解物は96%であった。
【0094】(実施例17) 接着剤組成物の作製において、水溶性高分子として、P
VA「117」40部の代わりに、カルボキシル基変性
PVA「KL−117」40部を添加したこと以外は
考例5と同様にして、固形分25.5%、粘度480c
psの接着剤組成物を得た。得られた接着剤組成物の乾
燥皮膜のTHF未溶解物は93%であった。
【0095】(実施例18) 接着剤組成物の作製において、水溶性高分子として、P
VA「117」65部の代わりに、カルボキシル基変性
PVA「KL−117」65部を添加したこと以外は
考例6と同様にして、固形分27%、粘度660cps
の接着剤組成物を得た。得られた接着剤組成物の乾燥皮
膜のTHF未溶解物は97%であった。
【0096】(実施例19) 接着剤組成物の作製において、水溶性高分子として、P
VA「117」50部の代わりに、澱粉「ペトロコート
C−8」50部を添加したこと以外は参考例4と同様に
して、固形分26%、粘度500cpsの接着剤組成物
を得た。得られた接着剤組成物の乾燥皮膜のTHF未溶
解物は95%であった。
【0097】(実施例20) 接着剤組成物の作製において、水溶性高分子として、P
VA「117」40部の代わりに、澱粉「ペトロコート
C−8」40部を添加したこと以外は参考例5と同様に
して、固形分25.5%、粘度450cpsの接着剤組
成物を得た。得られた接着剤組成物の乾燥皮膜のTHF
未溶解物は91%であった。
【0098】(実施例21) 接着剤組成物の作製において、水溶性高分子として、P
VA「117」65部の代わりに、澱粉「ペトロコート
C−8」65部を添加したこと以外は参考例6と同様に
して、固形分27%、粘度600cpsの接着剤組成物
を得た。得られた接着剤組成物の乾燥皮膜のTHF未溶
解物は96%であった。
【0099】(実施例22) 接着剤組成物の作製において、水溶性高分子として、P
VA「117」50部の代わりに、デキストリン「赤玉
デキストリン(黄)」50部を添加したこと以外は参考
例4と同様にして、固形分26%、粘度400cpsの
接着剤組成物を得た。得られた接着剤組成物の乾燥皮膜
のTHF未溶解物は96%であった。
【0100】(実施例23) 接着剤組成物の作製において、水溶性高分子として、P
VA「117」40部の代わりに、デキストリン「赤玉
デキストリン(黄)」40部を添加したこと以外は参考
例5と同様にして、固形分25.5%、粘度400cp
sの接着剤組成物を得た。得られた接着剤組成物の乾燥
皮膜のTHF未溶解物は93%であった。
【0101】(実施例24) 接着剤組成物の作製において、水溶性高分子として、P
VA「117」65部の代わりに、デキストリン「赤玉
デキストリン(黄)」65部を添加したこと以外は参考
例6と同様にして、固形分27%、粘度500cpsの
接着剤組成物を得た。得られた接着剤組成物の乾燥皮膜
のTHF未溶解物は97%であった。
【0102】(比較例13) 接着剤組成物の作製において、クレーを添加しなかった
こと以外は参考例4と同様にして、固形分25%、粘度
450cpsの接着剤組成物を得た。得られた接着剤組
成物の乾燥皮膜のTHF未溶解物は80%であった。
【0103】(比較例14) 接着剤組成物の作製において、クレーの添加量を200
部としたこと以外は参考例4と同様にして、固形分27
%、粘度600cpsの接着剤組成物を得た。得られた
接着剤組成物の乾燥皮膜のTHF未溶解物は92%であ
った。
【0104】(比較例15) 接着剤組成物の作製において、クレーの添加量を60部
としたこと以外は参考例4と同様にして、固形分24
%、粘度550cpsの接着剤組成物を得た。得られた
接着剤組成物の乾燥皮膜のTHF未溶解物は83%であ
った。
【0105】(比較例16) 接着剤組成物の作製において、PVA「117」の添加
量を30部としたこと以外は参考例4と同様にして、固
形分25.5%、粘度450cpsの接着剤組成物を得
た。得られた接着剤組成物の乾燥皮膜のTHF未溶解物
は84%であった。
【0106】(比較例17) 接着剤組成物の作製において、PVA「117」の添加
量を90部としたこと以外は参考例4と同様にして、固
形分25.5%、粘度450cpsの接着剤組成物を得
た。得られた接着剤組成物の乾燥皮膜のTHF未溶解物
は94%であった。
【0107】(比較例18) 接着剤組成物の作製において、硼酸の添加量を0.5部
としたこと以外は参考例4と同様にして、固形分25.
5%、粘度450cpsの接着剤組成物を得た。得られ
た接着剤組成物の乾燥皮膜のTHF未溶解物は86%で
あった。
【0108】(比較例19) 接着剤組成物の作製において、硼酸の添加量を6部とし
たこと以外は参考例4と同様にして、固形分25.5
%、粘度450cpsの接着剤組成物を得た。得られた
接着剤組成物の乾燥皮膜のTHF未溶解物は92%であ
った。
【0109】(比較例20) 接着剤組成物の作製において、クレー、PVA「11
7」及び硼酸のいずれも添加しなかったこと以外は参考
例4と同様にして、固形分25%、粘度350cpsの
接着剤組成物を得た。得られた接着剤組成物の乾燥皮膜
のTHF未溶解物は53%であった。
【0110】(比較例21) 酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの重合において、酢酸ビ
ニルモノマー100部とエチレングリコールジメタクリ
レート2部からなる混合モノマー3.06部と重合開始
剤0.025部(過酸化水素水0.015部及び酒石酸
0.01部)を添加して初期共重合を行い、次いで、混
合モノマー98.94部と重合開始剤0.475部(過
酸化水素水0.285部及び酒石酸0.19部)を滴下
して乳化共重合を行ったこと以外は参考例4と同様にし
て、固形分45%、粘度9000cpsの酢酸ビニル樹
脂系エマルジョン(D)を得た。得られた酢酸ビニル樹
脂系エマルジョン(D)の乾燥皮膜のアセトン抽出率は
38%であった。
【0111】接着剤組成物の作製において、上記で得ら
れた酢酸ビニル樹脂系エマルジョン(D)を用いたこと
以外は参考例4と同様にして、固形分26%、粘度50
0cpsの接着剤組成物を得た。得られた接着剤組成物
の乾燥皮膜のTHF未溶解物は85%であった。
【0112】(比較例22) 接着剤組成物の作製において、クレーを添加しなかった
こと以外は実施例16と同様にして、固形分25%、粘
度450cpsの接着剤組成物を得た。得られた接着剤
組成物の乾燥皮膜のTHF未溶解物は78%であった。
【0113】(比較例23) 接着剤組成物の作製において、クレーを添加しなかった
こと以外は実施例19と同様にして、固形分25%、粘
度450cpsの接着剤組成物を得た。得られた接着剤
組成物の乾燥皮膜のTHF未溶解物は72%であった。
【0114】(比較例24) 接着剤組成物の作製において、クレーを添加しなかった
こと以外は実施例22と同様にして、固形分25%、粘
度450cpsの接着剤組成物を得た。得られた接着剤
組成物の乾燥皮膜のTHF未溶解物は74%であった。
【0115】実施例16〜24、参考例4〜6、及び、
比較例13〜24で得られた24種類の接着剤組成物の
各種性能を参考例1と同様にして評価した。その結果
は、表3(実施例16〜24及び参考例4〜6)、及
び、表4(比較例13〜24)に示すとおりであった。
【0116】
【表3】
【0117】
【表4】
【0118】
【発明の効果】以上述べたように、本発明による接着剤
組成物は、乾燥皮膜の弾性率が高いと共に、優れた初期
接着力と耐水性及び貯蔵安定性等を有するので、紙管用
等として好適に用いられる。
【0119】又、本発明による接着剤組成物を用いるこ
とにより、所定の均一な口径を有し、耐圧強度や耐水性
等に優れる紙管を容易に得ることが出来る。
【0120】さらに、本発明による接着剤組成物を用い
て製造された紙管は、所定の均一な口径を有すると共
に、優れた耐圧強度や耐水性等を発揮するので、各種用
途に好適に用いられる。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの固形分
    100重量部に対して、80〜170重量部の無機充填
    剤と、35〜70重量部のカルボキシル基変性ポリビニ
    ルアルコール、澱粉、デキストリンからなる群より選ば
    れる少なくとも1種の水溶性高分子と、1〜5重量部の
    硼酸とが添加されてなる接着剤組成物であって、その乾
    燥皮膜は、テトラヒドロフランによる未溶解物が90重
    量%以上とされていることを特徴とする接着剤組成物。
  2. 【請求項2】 前記酢酸ビニル樹脂系エマルジョンは、
    その乾燥皮膜のアセトンによる抽出率が45重量%以上
    とされていることを特徴とする請求項1記載の接着剤組
    成物。
  3. 【請求項3】 前記酢酸ビニル樹脂系エマルジョンは、
    酢酸ビニルモノマー100重量部に対して、エチレン性
    不飽和モノマー0.1〜5重量部を乳化共重合して得ら
    れるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2
    記載の接着剤組成物。
  4. 【請求項4】 厚紙を心棒に巻き付けて紙管を製造する
    際に、厚紙の隣接する側縁部同士を接着するために使用
    されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    の接着剤組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかに記載の接着剤
    組成物によって、心棒に巻き付けられた厚紙の隣接する
    側縁部同士が接着されて製造されていることを特徴とす
    る紙管。
JP8244986A 1996-05-15 1996-09-17 接着剤組成物及びそれを用いた紙管 Expired - Fee Related JP3065255B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8244986A JP3065255B2 (ja) 1996-05-15 1996-09-17 接着剤組成物及びそれを用いた紙管

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8-120266 1996-05-15
JP12026696 1996-05-15
JP8244986A JP3065255B2 (ja) 1996-05-15 1996-09-17 接着剤組成物及びそれを用いた紙管

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1030077A JPH1030077A (ja) 1998-02-03
JP3065255B2 true JP3065255B2 (ja) 2000-07-17

Family

ID=26457879

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8244986A Expired - Fee Related JP3065255B2 (ja) 1996-05-15 1996-09-17 接着剤組成物及びそれを用いた紙管

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3065255B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1030077A (ja) 1998-02-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3640921B2 (ja) 合成樹脂エマルジョン、それを含んでなる易水膨潤性粘着剤組成物、および合成樹脂エマルジョンの製造方法
US5319020A (en) Redispersible waterborne pressure sensitive adhesive polymer
JP4351834B2 (ja) フィルム基材用水性粘着剤組成物
JP2001200227A (ja) 感熱性粘着剤組成物および感熱性粘着シート又はラベル
JP3065255B2 (ja) 接着剤組成物及びそれを用いた紙管
JPH11106727A (ja) 紙管用接着剤およびこれを用いた紙管
JP3348920B2 (ja) エマルジョン組成物
JP3874859B2 (ja) 速硬化性の2液分別塗布型の接着剤組成物
JP2000355680A (ja) 成形体の製造方法
JP3348919B2 (ja) 接着剤
JP2001131503A (ja) 感圧接着シート
JPS6333516B2 (ja)
JPH07286153A (ja) 接着剤組成物及び該接着剤組成物を用いた紙管
JP2002155252A (ja) 接着剤用水性エマルジョン及びその組成物
JP2000026823A (ja) 接着剤組成物及びそれを用いた紙管
JP3770596B2 (ja) 瞬間硬化水性接着剤
JP2006124616A (ja) 接着剤、その製造法及び紙管
JP2006063250A (ja) 接着剤組成物の製造法、接着剤組成物及び紙管
JP3979657B2 (ja) 接着剤組成物
JP2000212537A (ja) ポリエステル化粧板用接着剤組成物
JP5019769B2 (ja) 接着剤組成物
JP2001131515A (ja) 酢酸ビニル樹脂系エマルジョン接着剤及びそれを用いた紙管
JP3085850B2 (ja) 接着剤組成物及び該接着剤組成物を用いた紙管
JPH0885777A (ja) 接着剤組成物及び該接着剤組成物を用いた紙管
JP2004204007A (ja) 接着剤組成物

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090512

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090512

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100512

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110512

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110512

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120512

Year of fee payment: 12

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees