JP3062672U - ボタン型電池 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属製容器口部のかしめ作業時に、容器内に
内装された絶縁・封口用のガスケットが位置ずれを起こ
してかしめ不良を発生することを防止する。 【解決手段】 正負いずれかの側の電極端子を構成する
有底筒状の金属製容器１と、他方の側の電極端子を構成
する金属製蓋体２とによって電池ケースが構成され、金
属製容器１の内壁面に沿って絶縁・封口用のリング状ガ
スケット３を内装するとともに、該リング状ガスケット
３の内側空間部内に陰極剤，陽極剤，電界液吸収体など
の発電要素部材を収容し、金属製容器１の側壁上縁部１
ａを金属製蓋体２の周縁部２ａに向けて折り曲げながら
かしめることにより、金属製容器１と金属製蓋体２を電
気的絶縁を保ちながら分離不可能に一体化したボタン型
電池において、有底筒状になる金属製容器１の内底面１
ｂに、リング状ガスケット３の内周部に嵌まり込んでリ
ング状ガスケット３を定位置に係止するリング状突起５
などの突起部を形成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本発明は、水銀電池やリチウム電池などのいわゆるボタン型電池に関し、特に 、電池製造における金属容器口部のかしめ作業時に、容器内に内装した絶縁・封 口用のリング状ガスケットが位置ずれを起こしてかしめ不良を発生するおそれの ないボタン型電池に関する。

【０００２】

【従来の技術】

図８〜図１０に、従来のボタン型電池を示す。図８（ａ）〜（ｄ）はボタン型 電池の全体形状を示す図、図９は組立断面図、図１０は金属製容器と金属製蓋体 のかしめ方法の説明図である。

【０００３】 従来のボタン型電池は、図示するように、例えば陽極（＋）端子を構成する有 底筒状の金属製容器１と、陰極（−）端子を構成する金属製蓋体２とによって電 池ケースが構成されている。そして、前記金属製容器１の内壁面に沿わせて、断 面略Ｕ字形になる絶縁・封口用のリング状ガスケット３を内装するとともに、該 リング状ガスケット３の内側空間部内に、陰極剤，陽極剤，電界液吸収体などの 発電要素部材（図示略）を収容し、前記リング状ガスケット３のＵ字形部３ａ内 に前記金属製蓋体２の周縁部２ａを嵌挿した後、治具４（図９参照）によって前 記金属製容器１の側壁上縁部１ａを前記金属製蓋体２の周縁部２ａに向けて折り 曲げてかしめることにより、金属製容器１と金属製蓋体２を電気的絶縁を保ちな がら一体に封口したものである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記構造になるボタン型電池の場合、金属製容器１の内底面１ ｂが滑らかで平らな面とされているため、治具４によるかしめ作業時に、かしめ 圧力によってリング状ガスケット３が定位置からずれてしまい、かしめ不良を引 き起こして電気的な絶縁不良や液漏れ発生の原因になるおそれがあった。

【０００５】 本発明は、上記のような問題を解決するためになされたもので、電池製造にお ける金属容器口部のかしめ作業時に、容器内に内装した絶縁・封口用のリング状 ガスケットが位置ずれを起こしてかしめ不良を発生するおそれのないボタン型電 池を提供することを目的とするものである

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、本発明のボタン型電池は、正負いずれかの側の電極 端子を構成する有底筒状の金属製容器と、他方の側の電極端子を構成する金属製 蓋体とによって電池ケースが構成され、前記有底筒状の金属製容器の内壁面に沿 って絶縁・封口用のリング状ガスケットを内装するとともに、該リング状ガスケ ットの内側空間部内に発電要素部材を収容し、前記金属製容器の側壁上縁部を前 記金属製蓋体の周縁部に向けて折り曲げながらかしめることにより、前記金属製 容器と金属製蓋体を電気的絶縁を保ちながら分離不可能に一体化したボタン型電 池において、前記有底筒状になる金属製容器の内底面に、前記リング状ガスケッ トの内周部に嵌まり込んでリング状ガスケットを定位置に係止する突起部を形成 したものである。

【０００７】 なお、前記突起部はリング状突起あるいは皿状突起とすることができる。また 、リング状突起は円形状に切れ目なく一周する連続突起としてもよいし、円周上 に並んだ不連続突起として形成してもよいものである。

【０００８】 さらに、前記リング状突起あるいは皿状突起を初めとする前記突起部は、プレ ス加工によって金属製容器の内底面に一体成形してもよいし、金属製容器とは別 体の突起部材を金属製容器の内底面に一体に固設することによって形成してもよ いものである。

【０００９】 上記のような構成とした場合、リング状ガスケットの内周部に嵌まり込んだ突 起部によってリング状ガスケットの動きが阻止される。このため、リング状ガス ケットは金属製容器内に位置して常に定位置をとるようになる。したがって、金 属製容器と金属製蓋体のかしめ作業時にリング状ガスケットにかしめ圧力が作用 しても、リング状ガスケットが定位置からずれるようなことがなく、正確で確実 なかしめを実現することができる。

【００１０】

【考案の実施の形態】

以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。 図１〜図３に、本発明に係るボタン電池の一実施の形態を示すもので、図１（ ａ）〜（ｄ）はボタン型電池の全体形状を示す図、図２はその組立断面図、図３ は金属製容器と金属製蓋体のかしめ方法の説明図である。なお、各図中、前述し た従来例と同一部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。

【００１１】 図示例のボタン型電池は、金属製容器１の内底面１ｂに位置して、リング状ガ スケット３の内周部にぴったりと嵌まり込む大きさの半径からなり、かつ、突起 部断面が三角形もしくは逆Ｕ字形とされたリング状突起５を、プレス加工によっ て一体成形したものである。金属製容器１の内底面１ｂにこのようなリング状突 起５を形成すると、金属製容器１内に内装されたリング状ガスケット３はこのリ ング状突起５によってその動きを阻止されて定位置に係止され、常に金属製容器 １の内壁面にびったりと沿った状態となる。

【００１２】 したがって、図３に示すように、治具４によるかしめ時に、リング状ガスケッ ト３にかしめ圧力が作用しても、リング状ガスケット３が定位置から動くような ことがなくなり、正確で確実なかしめを実現することができる。このため、従来 のボタン型電池に比べ、金属製容器１と金属製蓋体２の間の電気的絶縁と封口精 度が格段に向上し、かしめ不良によって絶縁が悪くなったり、内溶液が漏れ出す というようなことがなくなる。

【００１３】 なお、前記実施の形態では、リング状突起５を円形状に切れ目なく一周する連 続突起によって構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、図４（ａ ）〜（ｃ）に示すように、所定間隔毎に切れ目を置きながら円形状に一周する不 連続突起６によって構成してもよい。

【００１４】 また、リング状突起５の突起部断面形状を三角形もしくは逆Ｕ字形に形成した が、これに限定されるものではなく、リング状ガスケット３を係止可能な突起形 状であればどのような断面形状であってもよい。たとえば、図５（ａ）（ｂ）に 示すように、突起部断面形状が台形もしくは矩形状になるリング状突起７として もよい。さらに、突起部の全体的な形状も、前述した円形周縁部のみがリング状 に盛り上がった形状だけに限らず、例えば、図６（ａ）（ｂ）に示すように、金 属製容器１の内底面１ｂ全体が凸状に盛り上がった皿状突起８としてもよいもの である。

【００１５】 また、前記実施の形態では、リング状突起５をプレス加工によって金属製容器 １の内底面１ｂに一体成形したが、これに限定されるものではなく、例えば、図 ７（ａ）〜（ｃ）に示すように、金属製容器１とは別体の所定断面形状になる突 起部材９〜１１を用い、この突起部材９〜１１を金属製容器１の内底面１ｂに溶 着、接着などの適当な方法によって一体に固設してもよいものである。

【００１６】

【考案の効果】

以上説明したように、本発明によれば、有底筒状の金属製容器の内底面に、リ ング状ガスケットの内周部に嵌まり込んでリング状ガスケットを定位置に係止す る突起部を形成したので、電池製造における金属容器口部のかしめ作業時に、容 器内に内装されたリング状ガスケットが定位置から動いて位置ずれを起こすよう なことがなくなる。このため、正確で確実なかしめを行なうことができ、電気的 絶縁不良や液漏れの心配のない高品質のボタン型電池を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施の形態に係るボタン型電池の形状を示すも
ので、（ａ）は平面図、（ｂ）は底面図、（ｃ）は側面
図、（ｄ）は縦断面図である。

【図２】実施の形態に係るボタン型電池の組立断面図で
ある。

【図３】実施の形態に係るボタン型電池の金属製容器と
金属製蓋体のかしめ方法の説明図である。

【図４】リング状突起の他の例を示すもので、（ａ）は
２分割した不連続突起とした場合の例を示す底面図、
（ｂ）は３分割した不連続突起とした場合の例を示す底
面図、（ｃ）は８分割した不連続突起とした場合の底面
図である。

【図５】突起部断面が台形状をしたリング状突起の例を
示すもので、（ａ）は縦断面図、（ｂ）は底面図であ
る。

【図６】全体が凸状に盛り上がった皿状突起の例を示す
もので、（ａ）は縦断面図、（ｂ）は底面図である。

【図７】突起部を金属製容器とは別体の突起部材で構成
した場合の例を示すもので、（ａ）は断面形状が三角形
をしたリング状突起の場合の略示断面図、（ｂ）は断面
形状が台形をしたリング状突起の場合の略示断面図、
（ｃ）は全体が盛り上がった皿状突起の場合の例を示す
略示断面図である。

【図８】従来のボタン型電池の形状を示すもので、
（ａ）は平面図、（ｂ）は底面図、（ｃ）は側面図、
（ｄ）は縦断面図である。

【図９】従来のボタン型電池の組立断面図である。

【図１０】従来のボタン型電池の金属製容器と金属製蓋
体のかしめ方法の説明図である。

【符号の説明】

１ 金属製容器 １ａ 金属製容器の側壁上縁部 １ｂ 金属製容器の内底面 ２ 金属製蓋体 ２ａ 金属製蓋体の周縁部 ３ リング状ガスケット ３ａ Ｕ字形部 ４ 治具 ５ リング状突起 ６ 不連続突起 ７ リング状突起 ８ 皿状突起 ９〜１１ 突起部材

Claims (7)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 正負いずれかの側の電極端子を構成する
   有底筒状の金属製容器と、他方の側の電極端子を構成す
   る金属製蓋体とによって電池ケースが構成され、前記有
   底筒状の金属製容器の内壁面に沿って絶縁・封口用のリ
   ング状ガスケットを内装するとともに、該リング状ガス
   ケットの内側空間部内に発電要素部材を収容し、前記金
   属製容器の側壁上縁部を前記金属製蓋体の周縁部に向け
   て折り曲げながらかしめることにより、前記金属製容器
   と金属製蓋体を電気的絶縁を保ちながら分離不可能に一
   体化したボタン型電池において、 前記有底筒状になる金属製容器の内底面に、前記リング
   状ガスケットの内周部に嵌まり込んでリング状ガスケッ
   トを定位置に係止する突起部を形成したことを特徴とす
   るボタン型電池。
2. 【請求項２】 前記突起部がリング状突起からなること
   を特徴とする請求項１記載のボタン型電池。
3. 【請求項３】 前記リング状突起が円形状に切れ目なく
   一周する連続突起からなることを特徴とする請求項２記
   載のボタン型電池。
4. 【請求項４】 前記リング状突起が円周上に並んだ不連
   続突起からなることを特徴とする請求項２記載のボタン
   型電池。
5. 【請求項５】 前記突起部が皿状突起からなることを特
   徴とする請求項１記載のボタン型電池。
6. 【請求項６】 前記突起部がプレス加工によって金属製
   容器の内底面に一体成形されていることを特徴とする請
   求項１〜５のいずれかに記載のボタン型電池。
7. 【請求項７】 前記突起部が金属製容器とは別体の突起
   部材を金属製容器の内底面に一体に固設することにより
   形成されていることを特徴とする請求項１〜５のいずれ
   かに記載のボタン型電池。