JP3059850U - 橋桁補強ケーブルの定着用サドル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】製造加工が容易で高生産性を有し、強度、剛
性、耐熱、耐寒性、耐酸性及び寸法安定性に優れ、さら
に一層の軽量化を実現し、施工作業性を向上した橋桁補
強ケーブルの定着用サドルを提供する。 【解決手段】フェノール樹脂積層板の六面体よりなるサ
ドル本体８の底面にアウトケーブルを止め金具１０によ
って抱持する半円形の案内凹溝９を形成し、サドル本体
８の上面に主橋桁と交差する横橋桁に固定するための取
り付けプレート１１をベースプレート１２を介して固定
した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、高架橋の橋桁補強ケーブルの定着用サドルに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

高速道路等のコンクリート高架橋は一般に図５で示すように、橋脚１間に支持 されたコンクリート又は鋼鉄の主橋桁２と、この主橋桁２と交差する横橋桁３と の上に路面４（舗装板）が形成されている。

【０００３】 前記主橋桁２が鋼鉄の場合は、それ自体の剛性で強度を保持しているが、コン クリートの場合は、コンクリート内にピアノ線を埋めこみ、このピアノ線（イン ナーケーブル）に引張力を加え、予圧縮応力を付与して増強したプレストレスコ ンクリート（ＰＣコンクリート）が用いられている。

【０００４】 鋼鉄又はＰＣコンクリートの主橋桁２の何れにおいても所要の強度を保持して いるが、底版設計荷重が１９９４年にＴＬ−２０からＴＬ−２５に変更したこと と、経時変化の安全性の確保のために図５で示すように主橋桁２の側方に主橋桁 ２の長手方向に沿ってアウトケーブル５を張設し、一端はブロック７にアンカー し、他端はブロック７に偏向装置（引張装置）を設け、アウトケーブル５を緊張 して鋼鉄又はＰＣコンクリートの主橋桁２に引張力による予圧縮応力を付与した 補強工法が採用されている。

【０００５】 前記アウトケーブル５を張設するときは、橋脚１間でアウトケーブル５を引き 上げた状態とするためにアウトケーブル５を案内抱持するサドル６を横橋桁３に 固定している。

【０００６】 前記従来のサドルは、鋳物あるいは鉄塊であり、この鋳物あるいは鉄塊にアウ トケーブル５を抱持する案内凹溝を鋳型成形あるいは機械加工している。従って 従来のサドルは、その重量が４０〜５０ｋｇであり、高所の横橋桁に固定する作 業が重労働であると共に危険性を伴っている問題があった。

【０００７】 そこで、上記のような問題を解消するために本願出願人は、サドル本体を金属 箱内に補強筋を設け、この金属箱内にモルタルを充填した構造のものを実用新案 登録第３０４３９１５号で登録した。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、前記実用新案登録第３０４３９１５号のサドル本体は、金属箱 の製造、この金属箱内への補強筋の設定及び金属箱内へのモルタルの充填を要し ているため、面倒な製造工数が多く生産性に難点があることと、金属箱内へ充填 したモルタルが固化までには時間が必要であり、製造加工後に直ちに使用するこ とができない上に、金属箱、補強筋及びモルタルの構成により鋳物よりは軽量化 されているものの、未だ相当の重量があり、施工作業性にも難点があって、これ を改善することが課題になっており、今般、試行錯誤の結果、これらの問題を全 て解消したものである。

【０００９】 本考案の目的は、製造加工が容易で高生産性を有し、強度、剛性、耐熱、耐寒 性、耐酸性及び寸法安定性に優れ、さらに一層の軽量化を実現し、施工作業性を 向上した橋桁補強ケーブルの定着用サドルを提供することである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するため本考案は、橋脚間に支持されるコンクリート又は鋼 鉄の主橋桁を緊張したアウトケーブルでテンションを与えて補強する橋桁補強ケ ーブルの定着用サドルであって、フェノール樹脂積層板の六面体よりなるサドル 本体の底面に前記アウトケーブルを止め金具によって抱持する半円形の案内凹溝 を形成し、前記サドル本体の上面に、前記主橋桁と交差する横橋桁に固定するた めの取り付けプレートを設けたことを特徴とするものである。

【００１１】

【考案の実施の形態】

本考案の実施の形態を図面に基づいて説明する。図１乃至図４において、６は 本考案によるサドルである。このサドル６を構成するサドル本体８は、フェノー ル樹脂積層板の六面体よりなるものである。前記フェノール樹脂積層板は、布に フェノール樹脂を含浸させて板状（商標名ベークライト）とし、これを所要枚数 重ねて圧縮一体化して六面体のブロック状にしたものである。

【００１２】 前記サドル本体８の底面にはアウトケーブル５が案内され、止め金具１０によ って抱持する案内凹溝９が形成され、上面には横橋桁３に固定するための取り付 けプレート１１が設けられている。

【００１３】 前記取り付けプレート１１はサドル本体８の上面に皿ボルト１３によって固定 されたベースプレート１２上で横橋桁３の幅Ｂと対応した所定間隔で対面してお り、主ボルト穴１４ａと、この主ボルト穴１４ａと離間した部位に副ボルト穴１ ４ｂとが開設されている。前記主ボルト穴１４ａと副ボルト穴１４ｂとによって サドル６は横橋桁３に回り止めして強固に固定される。

【００１４】 上記図１乃至図４で示すサドル６はアウトケーブル５の水平部を案内抱持する 構造である。すなわち、サドル本体８の底面に形成されているアウトケーブル５ の案内凹溝９は、水平直線で形成されている。アウトケーブル５の張設は必ずし も水平ではなく、張設部位によっては曲線部位がある。このような部位に対処す るため、図４で示すように、基本的な構成は前記図１乃至図４の構成と同様であ るが、フェノール樹脂積層板の六面体よりなるサドル本体８の底面に曲線部を設 け、この曲線部に倣った曲線のアウトケーブル５の案内凹溝９ａを形成する。こ の曲線部位用のサドル６ａは、前記水平直線用のサドル６に比較して、その長手 方向の長さが長いため、サドル本体８の上面に固定されるベースプレート１２は 長くなるので、皿ボルト１３と六角ボルト１３ａとを併用して固定強度を確保す ることが望ましい。

【００１５】 前記アウトケーブル５の緊張時に摩擦抵抗を少なくするために、図３で示すよ うに、前記案内凹溝９（図４では，案内凹溝９ａ）にフッ素樹脂等の底部樹脂加 工１５ｂを施し、フッ素樹脂等の樹脂チューブ１５ａをアウトケーブル５の外周 に抱かせて止め金具１０によって案内凹溝９（図４では，案内凹溝９ａ）に抱持 させる。この樹脂チューブ１５ａ（減摩擦抵抗材）は円周を２分割した形態のも のがアウトケーブル５の外周に抱かせるときの取り扱いが容易である。尚、案内 凹溝９（図４では，案内凹溝９ａ）の底部樹脂加工１５ｂ及び樹脂チューブ１５ ａはフッ素樹脂以外の滑りの良い樹脂でもよい。

【００１６】 本考案は上記の通りサドル６を構成するサドル本体８は、フェノール樹脂積層 板の六面体よりなるものであるから、製造加工が容易で高生産性を有し、強度、 剛性、耐熱、耐寒性、耐酸性及び寸法安定性に優れ、さらに一層の軽量化を実現 し、高所の横橋桁にサドル６を固定する作業が容易となり、安全性を確保した施 工作業性を向上し、従来の補強筋を内設してモルタルを充填した金属箱のサドル の問題点を解消しているものである。

【００１７】 さらに、案内凹溝９（図４では，案内凹溝９ａ）のフッ素樹脂等による底部樹 脂加工１５ｂとアウトケーブル５の外周に抱かせたフッ素樹脂等の樹脂チューブ １５ａとにより、アウトケーブル５を緊張させるときにサドル本体８の案内凹溝 ９（図４では，案内凹溝９ａ）に抱持したアウトケーブル５は摩擦抵抗が低減し て滑りが良好に得られ、アウトケーブル５に引張力を確実に付与させることがで きる。

【００１８】 尚、本考案によるサドルは高速道路のコンクリート高架橋に限らず、鉄道のコ ンクリート高架橋、その他一般のコンクリート橋梁にも適用することができるこ とを付言する。

【００１９】

【考案の効果】

以上のように本考案のフェノール樹脂積層板の六面体よりなるサドル本体の橋 桁補強ケーブルの定着用サドルによると、補強筋を内設してモルタルを充填した 従来の金属箱のサドルに比較して、製造加工が容易で高生産性を有し、強度、剛 性、耐熱、耐寒性、耐酸性及び寸法安定性に優れ、さらに一層の軽量化が実現さ れ、高所の横橋桁にサドル固定する施工作業性が容易となり、安全性が確保され る利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の側面図

【図２】本考案の底面図

【図３】本考案の正面図

【図４】本考案の変形例を示す側面図

【図５】橋桁補強ケーブルの定着用サドルの実施状態を
示す側面図

【符号の説明】 １ 橋脚 ２ 主橋桁 ３ 横橋桁 ４ 路面（舗装板） ５ アウトケーブル ６ サドル ７ ブロック ８ サドル本体 ９ 案内凹溝（水平） ９ａ 案内凹溝（曲線） １０ 止め金具 １１ 取り付けプレート １２ ベースプレート １３ 主ボルト穴 １３ａ 副ボルト穴 １４ａ 樹脂チューブ １４ｂ 底部樹脂加工

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 橋脚間に支持されるコンクリート又は鋼
   鉄の主橋桁を緊張したアウトケーブルでテンションを与
   えて補強する橋桁補強ケーブルの定着用サドルであっ
   て、フェノール樹脂積層板の六面体よりなるサドル本体
   の底面に前記アウトケーブルを止め金具によって抱持す
   る半円形の案内凹溝を形成し、前記サドル本体の上面
   に、前記主橋桁と交差する横橋桁に固定するための取り
   付けプレートを設けたことを特徴とする橋桁補強ケーブ
   ルの定着用サドル。