JP3059802U - 低層建築物における床部の排水処理構造 - Google Patents

低層建築物における床部の排水処理構造

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宗且 園田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンクリート製床板材のシール材が劣化した
り、床板材が割れても、漏水を防止する。 【解決手段】 両桁材4,5に支持された床下地材6
と、床下地材上に敷設された防水シート22と、防水シ
ート22上に敷設されたコンクリート製床板材とからな
り、前桁材4は、底板部から起立する一対の側板部の一
方に受片を長手方向に沿って設け、受片と側板部との間
を水流入口とするとともに、内部に排水空間を長手方向
に形成した構成とし、床下地材は、水勾配の傾斜下端側
を桁材の受片上に載置して水流入口に臨ませた。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、二階建て、あるいは三階建てアパートや木造住宅などの低層建築物 におけるバルコニー、ベランダ、廊下、階段の踊り場などに適する床部の排水処 理構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の床部、例えばアパートの外廊下の床部は、騒音の発生を抑えるとともに 耐火性を得るために一般的には、コンクリート製床板材を複数並べて敷設し、隣 り合う床板材の間(継目)にシリコン樹脂系のシール材を充填する防水処理を施 していた。そして、コンクリート製床板材は、アスベストを混入したコンクリー トを用いて強度を高めていた。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、アスベストを混入したコンクリートは、必要な強度を得られる 反面、肺癌を誘発するなどの問題が生じるため、今後、床板材として使用するこ とができない。アスベストに代えてガラス繊維等の強化繊維を混入することも考 えられるが、強化繊維を混入させたコンクリート製床板材は製造が煩雑でコスト アップとなり易い。そして、コンクリート製板材は長年使用するとクラックが発 生し易い特性がある。 また、コンクリート製床板材の継目にシール材を充填して防水処理を施しても 、経年変化で劣化し、長期間経過すると防水機能が低下してしまい、漏水の原因 となる。
【0004】 本考案は、上記事情に鑑み提案されたものであり、敷設したコンクリート製床 板材の継目に充填したシール材が劣化したり、あるいはコンクリート製床板材に クラックや割れが発生したりしても、漏水を防止することができる低層建築物に おける床部の排水処理構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本考案は上記目的を達成するために提案されたもので、請求項1に記載のもの は、間隔をあけて対向する位置に水平方向に配設された前後の桁材と、 両桁材に支持された床下地材と、 この床下地材上に形成された防水層と、 この防水層上に敷設された床板材とからなり、 前記桁材の一方は、底板部から起立する一対の側板部を有し、床板材側である 内側の側板部の上縁には略水平方向に延出する受片を長手方向に沿って設け、こ の受片と側板部との間を水流入口とするとともに、上記底板部及び一対の側板部 で囲まれる排水空間を長手方向に沿って形成した構成とし、 前記床下地材は、水勾配の傾斜下端側を桁材の上記受片上に載置した状態で水 流入口に臨ませ、 前記床板材はコンクリートを板状に成型した構成とし、 少なくとも防水層上の雨水を桁材の排水空間内に集水して排水処理するように したことを特徴とする低層建築物における床部の排水処理構造である。
【0006】 請求項2に記載のものは、複数の床板材を順次隣り合わせて敷設し、隣りの床 板材との間にシール材を充填したことを特徴とする請求項1に記載の低層建築物 における床部の排水処理構造である。
【0007】 請求項3に記載のものは、前記床板材が透水性コンクリートを成型した透水性 コンクリート板であり、この床板材上の雨水を内部に染み込ませてから防水層上 を流して桁材の排水空間内に集水して排水処理することを特徴とする請求項1に 記載の低層建築物における床部の排水処理構造である。
【0008】 請求項4に記載のものは、前記床板材が非透水性コンクリートを成型した板材 であって、水勾配の傾斜下端側の上面に排水溝を形成し、この排水溝の傾斜下端 に排水流路を接続し、この排水路と排水空間からの排水路とを合流させたことを 特徴とする請求項1または2に記載の低層建築物における床部の排水処理構造で ある。
【0009】 請求項5に記載のものは、前記床板材が、非透水性コンクリート層の上面に透 水性コンクリート層を形成して板状に成型され、非透水性コンクリート層と透水 性コンクリート層との境界面を下り傾斜させて、透水性コンクリートの内部にし み込んだ雨水を上記境界面に沿って排水空間側に流下させるようにしたことを特 徴とする請求項1に記載の低層建築物における床部の排水処理構造である。
【0010】 請求項6に記載のものは、前記床下地材が、金属板材を、下方に突出した断面 略矩形パルス形状に折り曲げ成形し、当該折り曲げ部分を根太とした支持板材で 構成され、この支持板材の上面に防水シートを敷設したことを特徴とする請求項 1から5のいずれかに記載の低層建築物における床部の排水処理構造である。
【0011】 請求項7に記載のものは、床板材の下面に弾性層を形成したことを特徴とする 請求項1から6のいずれかに記載の低層建築物における床部の排水処理構造であ る。
【0012】
【考案の実施の形態】
以下、本考案の実施の形態を図面に基づいて説明する。 図1から図5に示す第1の実施形態は、本願考案を廊下1に適用したものであ り、所定の間隔をあけて建てた第1棟Aの外壁2aと第2棟Bの階壁2b間に設 けて第1棟Aと第2棟Bとで共用できるようにしたものであり、第2棟B側に階 段3を設けてある。 この廊下1は、図2に示すように、両側の対向する外壁(壁部)2a,2bに 配設された前桁材4と後桁材5と、両桁材4,5に支持された床下地材6と、こ の床下地材6上に形成された防水層と、この防水層上に敷設された床板材7とか ら概略構成されており、後桁材5側から前桁材4側に向けて下り傾斜した水勾配 が付けてある。
【0013】 後桁材5は、本実施形態では、図2および図3に示すように、にアングル材等 の断面L字状の長尺な型材を壁部にボルトで水平方向に固定することにより構成 されている。
【0014】 一方、前桁材4は、本実施形態では、図2および図4に示すように、底板部1 0から起立する一対の側板部11を有し、床板材7側である内側の側板部11の 上縁には略水平方向に延出する受片12を長手方向に沿って設け、この受片12 と側板部11との間を水流入口13とするとともに、上記底板部10及び一対の 側板部11で囲まれる排水空間14を長手方向に沿って形成し、端板により両端 を塞ぎ、底板部10にドレン管15を下方に向けて設け、外側の側板部11を壁 部2にボルト16で固定することにより構成されている。
【0015】 床下地材6は、本実施形態では、図5に示すように、鉄板等の金属板材の両端 および幅方向の途中を、下方に突出した断面略矩形パルス形状に折り曲げ成形し 、当該折り曲げ部分を根太部20とした支持板材21により構成されている。そ して、この支持板材21を前桁材4と後桁材5との間に架設するには、図3に示 すように、根太部20の一端を後桁材5の上面に載置し、また、図4に示すよう に、他端を前桁材4の受片12上に載置して傾斜下端を水流入口13に臨ませた 状態でそれぞれネジ止めする。なお、支持板材21の根太部20は、金属板の端 部を断面L字状に屈曲しておき、隣り合わせに施工した状態で断面が略矩形パル ス形状になるように構成してもよい。
【0016】 この様にして支持板材21を架設したならば、支持板材21の上面に、防水層 として合成樹脂製の防水シート22を敷設する。なお、この防水シート22を敷 設する際には、接着剤により接着し、また、水密性を維持するために各継目を確 実に接着することが望ましい。
【0017】 床板材7はコンクリートを板状に成型し、下面に弾性層を形成したものであり 、本実施形態では図2に示すように、押し出し成型することにより、内部に中空 部23を形成して軽量化を図り、また、長手方向の辺の一方に凸部24を、他方 に凹部25を形成し、凸部24と凹部25とが嵌合し得る構成としてある。また 、水勾配の傾斜上端に敷設する床板材7の上面の端部に隆状部26を形成し、水 勾配の傾斜下端に敷設する床板材7の上面の端部近傍に排水溝27をそれぞれ長 手方向に沿って形成し、下面には不織繊維製のマットを弾性層29として接着す る。
【0018】 上記した構成からなる床板材7を敷設するには、一方の床板材7の凸部24と 隣りの床板材7の凹部25とを嵌合しながら順次敷設し、嵌合した継目に防水シ ール材30を充填して防水処理を施す。なお、床板材7の下面に弾性層29を形 成したので、床板材7をボルト等で固定しなくても地震等で移動することがない し、また、いわゆるスワリが良好である。 そして、図3に示すように、水勾配の傾斜上端に敷設する床板材7の隆状部2 6に水切り板31の下端を被せ、水勾配の傾斜下端に敷設する床板材7の端部は 支持板材21の傾斜下端よりも突出させて壁部2に防水シール材30を介して当 接し、排水溝27にはカバー32を被せる。また、排水溝27の傾斜下端から排 水流路として接続した樋33と、前桁材4のドレン管15から排水流路として接 続したフレキシブルパイプ34とを集水桝35で合流させ、この集水桝35から 雨樋36を接続して下水道に繋げる。
【0019】 なお、本実施形態では、床下地材6である支持板材21の下方に間隔をあけて 天井板材37を張って廊下1の下面を覆っているので、前記集水桝35を支持板 材21と天井板材37との間の間隔内に配置すると、下方から集水桝35が見え ない。また、天井板材37は、厚さ1.6mmの鋼板製の板材の上面に軽カル板( 炭酸カルシウム板)を添設して構成してあるので、火災発生時における防火機能 を備える。
【0020】 この様な構成からなる廊下1においては、床板材7が非透水性コンクリート製 であり、また、隣り合う床板材7の継目は防水シール材30を充填してあるので 、降雨時等には雨水等が水勾配によって床板材7上を順次流れて排水溝27内に 流れ込み、排水流路を介して集水桝35に集水されてから下水道に排水処理され る。
【0021】 また、施工してから長期間経過すると、経年変化等により防水シール材30が 劣化して防水機能が低下したり、床板材7が割れたりすることがある。この様な 場合には、雨水等が床板材7の継目や割れ目にしみこむが、本実施形態において は、継目や割れ目にしみこんだ雨水等は防水シート22と床板材7との隙間を水 勾配によって前桁材4側に向かって流れる。そして、防水シート22上を流れた 雨水は、支持板材21の傾斜下端から前桁材4の水流入口13から排水空間14 内に集水され、ドレン管15からフレキシブルパイプ34を流下して集水桝35 に流れ込み、この集水桝35で排水溝27からの雨水と合流し、下水道に排水処 理される。したがって、床板材7の継目に施した防水処理の防水機能が失われた 場合や床板材7にクラックが発生したり割れた場合であっても、床板材7上の雨 水等が階下に漏れることを防止することができる。 なお、本実施形態は、第1棟Aと第2棟Bとの両方の棟で使用する共用廊下と して説明したが、一般的なアパートの外廊下としても何等支障なく適用すること ができるし、また、建物の外壁面の内側に設ける廊下としてもよい。
【0022】 次に、第2の実施形態について説明する。この実施形態は、本考案をアパート 等のバルコニー40に適用したものであり、床板材7として透水性コンクリート 板を使用している。建物の内部に設ける廊下に使用しても、防水機能が確実なの で、清掃作業等で廊下を安心して水洗いすることができる。
【0023】 バルコニー40は、図6から図8に示すように、建物の側壁に後桁材としての 受金物41を水平方向に固定し、この受金物41の両端から軒先側に妻桁42を 並行にそれぞれ延設し、左右の妻桁42の先端に前桁材4を接続し、この前桁材 4と妻桁42から支柱43を立設するとともに支柱43の上端の間を横材44で 接続し、この横材44よりも下方の支柱43間にパンチングボード45を張り、 横材44上に笠木46を設け、図7に示すように、上記受金物41と前桁材4と 妻桁42とで囲まれた部分に床板材7を敷設するとともに、避難ハッチユニット 47を設けてある。すなわち、本実施形態では、後桁材としての受金物41と前 桁材4とが間隔をあけて対向する位置に水平方向に配設されている。 なお、図8に示すように、装飾カバー49により前桁材4、妻桁42を覆って 体裁を向上させることが望ましい。
【0024】 受金物41は、図8および図9に示すように、断面略L字状の長尺材であり、 建物の二階の床面よりも少し下方の壁部2に、壁部2から屋外側に突出する状態 で水平方向に固定する。そして、図9に示すように、受金物41の端部には切欠 部50が形成されており、この切欠部50に妻桁42の基端部を位置させ、この 基端部を壁部2に強固に固定する。
【0025】 妻桁42は、図10に示すように、断面コ字形状の鋼材からなり、一方の端部 (基端部)には上片のほぼ中央と下片のほぼ中央との間を接続するように取付片 51を溶接で固定し、この取付片51には、壁部2側に固定するための取付孔を 開設し、他方の端部には、前桁材4に固定するための取付孔が開設されている。 なお、右側の妻桁42と左側の妻桁42とは、コ字状開口部を内側に向けた左右 対称の構成である。
【0026】 妻桁42を壁部2側(建物側)に固定するには、壁部2側に固定した妻桁取付 ブラケット52とL型ブラケット53を使用してボルト・ナットで固定する。 妻桁取付ブラケット52は、図11(a)に示すように、壁部2側に当接する 基板54の左右中央から支持板55を前方に突設した断面T字状の部材であり、 基板54には壁部2側に固定するボルト56を通す取付孔が、支持板55には、 妻桁42を取り付けるボルト57を通す取付孔がそれぞれ開設されている。また 、L型ブラケット53は、図11(b)に示す断面L字状のブラケットであり、 両取付片51にボルトを挿通する取付孔が開設されており、図11(c)に示す ように、建物側に設けられた床根太59の両側面から、この床根太59を左右か ら挟み込むように取付片51を当接し、取付孔に挿通したボルト・ナットを締結 して固定する。そして、このL型ブラケット53の取付孔から挿入した通しボル ト56を壁部2の貫通孔に通して壁部2の表側に当接した妻桁取付ブラケット5 2の取付孔に貫通させ、ナットを螺合して締結することにより固定する。
【0027】 この様にして取り付けると、妻桁取付ブラケット52が壁部2と床根太59と の両方に一体化されるので、妻桁取付ブラケット52を壁部2にボルト等で取り 付ける従来工法に比べて強固に固定することができ、妻桁42を下から支える支 柱を設けなくても強度を従来よりも高めることができ、大きな負荷に耐え得る。
【0028】 そして、妻桁42の取付片51を妻桁取付ブラケット52の支持板55に重ね 合わせて両方の取付孔を連通状態にしてボルト・ナットにより締結して妻桁42 を壁部2側に固定する。このように左右の妻桁42の基端部をそれぞれ壁部2側 に固定したならば、両妻桁42の先端間に前桁材4を接続する。
【0029】 前桁材4は、図12に示すように、鋼板を屈曲した長尺材であり、底板部10 の両側縁から起立する一対の側板部11を有し、床板材7側である内側の側板部 11の上縁には略水平方向に延出する受片12を長手方向に沿って設け、外側の 側板部11の上縁を上記受片12よりも上方に延出させると共に内向きの上面片 60を長手方向に沿って設けて、この上面片60と上記受片12との間に横向き に開口する水流入口13を形成し、該水流入口13に連通すると共に上記底板部 10及び一対の側板部11で囲まれる排水空間14を長手方向に沿って形成して ある。また、排水空間14の左右端面には、図12(d)に示すような端面板6 1を溶接等により固定して閉塞し、一方の端面部分の近傍の底板部10にドレン 管15を下向きに設ける。 なお、端面板61には、妻桁42との接続に使用する止着孔を開設してある。 したがって、この止着孔内にボルトを通して左右に妻桁42を接続すると、前桁 材4が前記受金物41と同じ高さで並行に配置され、この前桁材4と受金物41 との間に床下地材6を架設することができる。
【0030】 床下地材6は、前記第1実施形態と同様に、金属板を屈曲して根太部20を形 成した支持板材21を使用する。そして、支持板材21を架設する場合には、建 物側の端部を受金物41の受片上に載置し、軒先側の端部を前桁材4の水流入口 13が臨む受片12上に載置してそれぞれボルト等により固定することにより架 設する。この状態で支持板材21には軒先側に向かって下り傾斜した水勾配が形 成される。
【0031】 このようにして架設した支持板材21の上面に防水層として合成樹脂製の防水 シート22を敷設し、この防水シート22の上に床板材7を敷設する。上述した ように支持板材21には水勾配があるので、支持板材21に敷設される防水シー ト22及び床板材7にも軒先側に向かって水勾配が設けられる。なお、防水シー ト22は、支持板材21全体を一連に覆うことが望ましいので、全ての支持板材 21を敷設した後に敷いて接着剤等により止着することが望ましい。
【0032】 床板材7は、透水性コンクリートを板状に成型して下面に下地層を形成したも のであり、透水性コンクリートが露出した上面から内部に雨水をしみ込ませて下 面側への排水処理を可能にしたものである。そして、透水性コンクリートは、図 13に示すように、ガラスを主成分として微細な独立気泡を内蔵させて造粒した 人工骨材63を使用し、セメントを主成分としたバインダー64により人工骨材 63間に小さな空隙部65を形成した状態で結合するコンクリートである。
【0033】 この透水性コンクリートに使用する人工骨材63は、例えば酒類・飲料メーカ ー、空瓶回収業者などから使用済みガラス(カレット)を集め、このガラスを粉 砕し、内部に微細な独立気泡を無数に内蔵した状態で造粒して焼成したものであ り、ハニコウム構造を有する。本実施形態では、例えば、粒径約1mm前後の人工 骨材63を使用するが、この人工骨材63の特性は、単位容積質量が0.3〜0 .4kg/L、吸水率5〜7%である。詳しくは、粒度0.3〜1.2mmの1号は 、単位容積質量が0.31〜0.47kg/L、点加重強度が1〜2kg、吸水率( 24%)が3〜7、粒度1.2〜2.5mmの2号は、単位容積質量が0.29〜 0.42kg/L、点加重強度が3〜5kg、吸水率(24%)が5〜8、粒度2. 5〜5.0mmの3号は、単位容積質量が0.26〜0.38kg/L、点加重強度 が3〜7kg、吸水率(24%)が7〜10である。
【0034】 この人工骨材63を結合するセメントは、普通セメント、早強セメント、白セ メント、高炉セメント、アルミナセメントなどのセメントを使用することができ る。また、バインダー64にはこれらのセメントの他に、セメントのバインダー 力を高め、高い強度で空隙部65の割合を大きくするために、ダレ防止剤、セメ ント分散剤、粉末エマルジョンなどのセメント混和剤を使用する。
【0035】 これらは、例えば白セメント1Kg、混和剤0.02Kg、人工骨材63の1 号と2号を半々にして1.5Kg、水を0.38Kg配合して混練する。この場 合、人工骨材63にセメントペーストをまぶした状態に混練するため、回転数の 速い高速回転コンクリートミキサーを使用することが望ましい。混練時の単位容 積質量は0.85Kg/Lである。このようにして透水性コンクリートが作り上 げられ、透水性コンクリートに混練されたバインダー64と人工骨材63との間 に形成された空隙部65が透水機能を担保する。そして、ビニロン繊維やグラス ファイバー等の強化繊維を混練すると、一層強度を高めることができる。
【0036】 なお、透水性コンクリートは、ガラスを主成分としているので、使用済みのガ ラス瓶を原料として使用することができ、ガラスのリサイクル促進に寄与するこ とができる。また、透水性コンクリートを使用した床板材7は、従来のコンクリ ート製床板材7に比較して大幅に軽量化できるので、現場での作業も容易である 。
【0037】 そして、透水性コンクリートは、前記した人工骨材63を使用したものに限定 されるものではなく、透水性を有すればよい。例えば、セメント100、セメン トバインダー642、硅砂(粒径2.5〜0.3mm)700、水400の重量割 合で配合しものでもよい。硅砂を含ませると、対摩耗性を向上させることができ る。
【0038】 一方、床板材7の下面に形成する弾性層29は、透水性と弾性を有する層であ り、例えば合成樹脂繊維による不織材により構成する。
【0039】 本実施形態における床板材7は、下面に弾性層29を備えているので、支持板 材21上に順次敷設した場合に、いわゆるスワリが良好であり、また、床板材7 の多少の反りを弾性によって吸収することができ、ガタツキが生じない。
【0040】 そして、この様な構成からなるバルコニー40に雨が降った場合、各床板材7 上に降った雨水は、上面から透水性コンクリートの内部にしみ込んでしまう。し たがって、床板材7の表面に雨水が溜ることは殆どない。そして、床板材7の内 部にしみ込んだ雨水は、当該床板材7の下面近くまでしみ込むと、その下には防 水シート22を敷いた支持板材21があるので、バルコニー40の下方に滴り落 ちることはない。
【0041】 床板材7の下面までしみ込んだ雨水は、支持板材21の水勾配により各床板材 7の内部下端を支持板材21の表面に沿って軒先側に向かって浸透してゆく。す なわち、このバルコニー40においては、雨水が床板材7の表面を流れるのでは なく、床板材7の内部を順次流れるのである。したがって、流れる雨水の水位が 床板材7の厚さ(透水性コンクリートの厚さ)以下であれば、床板材7の表面に 雨水が溜ることがない。そして、各床板材7の内部を順次流れた雨水が前桁材4 の直前の床板材7内を流れて最終的に傾斜下端まで流れると当該床板材7の端面 から流出し、支持板材21の傾斜下端から前桁材4の水流入口13を通って排水 空間14内に流れ込む。この様にして前桁材4の排水空間14内に流れ込んだ雨 水は、図8に示すように、ドレン管15から樋内を流下して、建物の壁部2沿い に設けられた縦樋内に合流し、下水道等に排水処理される。
【0042】 この様に、本実施形態におけるバルコニー40においては、雨が降った場合、 床板材7の表面から内部にしみ込んでしまうので、表面に雨水が溜まることを防 止できる。したがって、履物や裾が濡れることを回避できる。また、床板材7の 表面は、人工骨材63間に空隙部65が形成される程度に疎である透水性コンク リートが露出して表面が小さな凹凸面で形成されるので、この人工骨材63の点 在による小さな凹凸がスリップ止めとして機能する。したがって、歩行時の滑り を防止できる。
【0043】 なお、図14に示すように、床板材7の下面に凹部70を所定間隔で複数形成 し、床板材7を支持板材21上に敷設した状態で各凹部70の下面開口を支持板 材21の表面(防水シート22)により閉塞するようにしてもよい。この様に構 成すると、支持板材21の表面に沿って雨水が流れる場合に、凹部70によって 雨水の流れ抵抗を減少することができるので、効率良く排水処理することができ 、短時間当たりの降雨量が多くても床板材7の表面に雨水が滞留することを有効 に防止できる。
【0044】 そして、床板材7の表面の一部分にタイル71を埋設してもよい。タイル71 を埋設する場合には、タイル71の間、すなわち目地間隔を十分に空けて、この 間隔に露出している透水性コンクリートから雨水を内部にしみ込ませて滞留を防 止し、タイル71により装飾性と対摩耗性を高めるように構成してもよい。
【0045】 また、床板材7は、内部に芯材を埋設することにより度を高めてもよいが、図 15に示すように、非透水性コンクリート層72の上面に透水性コンクリート層 73を形成して板状に成型し、非透水性コンクリート層72と透水性コンクリー ト層73との境界面74を下り傾斜させてもよい。この様な床板材7を敷設する 場合には、境界面74の下り傾斜方向を前桁材4側に向けて敷設し、降雨時に、 透水性コンクリート73の内部にしみ込んだ雨水を前記境界面74に沿って前桁 材4側に流下させるようにしてもよい。
【0046】 なお、前記した廊下1に係る第1の実施形態では床板材7として非透水性コン クリート製板を使用したが、透水性コンクリート板を使用してもよい。また、バ ルコニー40に係る第2の実施形態では床板材7として透水性コンクリート製板 を使用したが、これに代えて非透水性コンクリート製板を使用してもよい。 また、本考案に係る建築物の床部は、バルコニー40や廊下1に限定されるも のではなく、第1図に示すような階段3の踊り場75、外廊下、ベランダなどで もよい。要するに、防水機能が求められる床部であれば、どのような床部でもよ い。
【0047】
【考案の効果】
以上説明したように、本考案によれば以下の効果を奏する。 請求項1、2の考案によれば、床下地材上に防水層を形成し、桁材の一方は、 底板部から起立する一対の側板部を有し、床板材側である内側の側板部の上縁に は略水平方向に延出する受片を長手方向に沿って設け、この受片と側板部との間 を水流入口とするとともに、上記底板部及び一対の側板部で囲まれる排水空間を 長手方向に沿って形成し、前記床下地材は、水勾配の傾斜下端側を桁材の上記受 片上に載置した状態で水流入口に臨ませたので、コンクリートを板状に成型した 床板材が割れたり、あるいは隣り合う床板材の間に充填した防水シール材が劣化 して防水機能を失って雨水が床板材を通過して床下地材に到達したとしても、こ の床下地材上の防水層が雨水を桁材の排水空間内に流して排水処理することがで きる。 したがって、床板材が損傷したり防水シール材が劣化しても、階下への漏水を 防止することができる。このため、比較的クラックや割れが発生し易いコンクリ ート板を床板材として安心して使用することができる。 また、一方の桁材に受片を設けるとともに、内部に排水空間を形成したので、 水勾配の傾斜下端側に樋材を別途設ける必要がなく、これにより部品点数の減少 を図ることができるとともに、施工の省力化を図ることができ、さらに、樋材が 不要となることでデザイン上の煩雑さを解消することができる。
【0048】 請求項3の考案によれば、前記床板材が透水性コンクリートを成型した透水性 コンクリート板であり、この床板材上の雨水を内部に染み込ませてから防水層上 を流して桁材の排水空間内に集水して排水処理するので、床板材上に雨水が滞留 することを防止できる。したがって、滞留した雨水により足を滑らすなどの不都 合を解消することができる。
【0049】 請求項4の考案によれば、前記床板材が非透水性コンクリートを成型した板材 であって、水勾配の傾斜下端側の上面に排水溝を形成し、この排水溝の傾斜下端 に排水流路を接続し、この排水路と排水空間からの排水路とを合流させたので、 床板材上の雨水を確実に排水することができる。
【0050】 請求項5の考案によれば、前記床板材が、非透水性コンクリート層の上面に透 水性コンクリート層を形成して板状に成型し、非透水性コンクリート層と透水性 コンクリート層との境界面を下り傾斜させたので、透水性コンクリートの内部に しみ込んだ雨水を上記境界面に沿って前桁側に流下させることができる。
【0051】 請求項6の考案によれば、金属板材を、下方に突出した断面略矩形パルス形状 に折り曲げ成形し、当該折り曲げ部分を根太とした支持板材で床下地材を構成し たので、コンクリート製床板材に曲げ応力が作用しない状態で支持することがで き、コンクリート製床板材の割れを防止することができる。
【0052】 請求項7の考案によれば、床板材の下面に弾性層を備えているので、床下地材 上に順次敷設した場合に、いわゆるスワリが良好であり、また、床板材の多少の 反りを弾性によって吸収することができ、ガタツキが生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】廊下の平面図である。
【図2】廊下の断面図である。
【図3】廊下の後桁材側の断面図である。
【図4】廊下の前桁材側の断面図である。
【図5】支持板材と防水シートの断面図である。
【図6】(a)はバルコニーの正面図、(b)はその右
側面図である。
【図7】バルコニーの一部欠截平面図である。
【図8】バルコニーの断面図である。
【図9】受金物の端部の斜視図である。
【図10】(a)は妻桁の平面図、(b)はその正面
図、(c)はその左側面図、(d)は基端側の分解斜視
図である。
【図11】(a)は妻桁取付ブラケットの斜視図、
(b)はL型ブラケットの斜視図、(d)は壁部に固定
した状態を示す平面図である。
【図12】(a)は前桁材の正面図、(b)はその側面
図、(c)はA−A断面図、(d)は端面板の正面図で
ある。
【図13】透水性コンクリートの断面図である。
【図14】タイルを貼った透水性床板材の断面図であ
る。
【図15】床板材の他の実施形態の断面図である。
【符号の説明】
1 廊下 2 外壁(壁部) 2a 第1棟の外壁 2b 第2棟の外壁 3 階段 4 前桁部 5 後桁部 6 床下地材 7 床板材 10 底板部 11 側板部 12 受片 13 水流入口 14 排水空間 15 ドレン管 16 ボルト 20 根太部 21 支持板材 22 防水シート 23 中空部 24 凸部 25 凹部 26 隆状部 27 排水溝 29 弾性層 30 防水シール材 31 水切り板 32 カバー 33 樋 34 フレキシブルパイプ 35 集水桝 36 雨樋 37 天井板材 40 バルコニー 41 受金物 42 妻桁 43 支柱 44 横材 45 パンチングボード 46 笠木 47 避難ハッチユニット 49 装飾カバー 50 切欠部 51 取付片 52 妻桁取付ブラケット 53 L型ブラケット 54 基板 55 支持板 56,57 ボルト 59 床根太 60 上面片 61 端面板 63 人工骨材 64 バインダー 65 空隙部 70 凹部 71 タイル 72 非透水性コンクリート層 73 透水性コンクリート層 74 境界面

Claims (7)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 間隔をあけて対向する位置に水平方向に
    配設された前後の桁材と、 この両桁材に支持された床下地材と、 この床下地材上に形成された防水層と、 この防水層上に敷設された床板材とからなり、 前記桁材の一方は、底板部から起立する一対の側板部を
    有し、床板材側である内側の側板部の上縁には略水平方
    向に延出する受片を長手方向に沿って設け、この受片と
    側板部との間を水流入口とするとともに、上記底板部及
    び一対の側板部で囲まれる排水空間を長手方向に沿って
    形成した構成とし、 前記床下地材は、水勾配の傾斜下端側を桁材の上記受片
    上に載置した状態で水流入口に臨ませ、 前記床板材はコンクリートを板状に成型した構成とし、 少なくとも防水層上の雨水を桁材の排水空間内に集水し
    て排水処理するようにしたことを特徴とする低層建築物
    における床部の排水処理構造。
  2. 【請求項2】 複数の床板材を順次隣り合わせて敷設
    し、隣りの床板材との間にシール材を充填したことを特
    徴とする請求項1に記載の低層建築物における床部の排
    水処理構造。
  3. 【請求項3】 前記床板材が透水性コンクリートを成型
    した透水性コンクリート板であり、この床板材上の雨水
    を内部に染み込ませてから防水層上を流して桁材の排水
    空間内に集水して排水処理することを特徴とする請求項
    1に記載の低層建築物における床部の排水処理構造。
  4. 【請求項4】 前記床板材が非透水性コンクリートを成
    型した板材であって、水勾配の傾斜下端側の上面に排水
    溝を形成し、この排水溝の傾斜下端に排水流路を接続
    し、この排水路と排水空間からの排水路とを合流させた
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の低層建築物
    における床部の排水処理構造。
  5. 【請求項5】 前記床板材は、非透水性コンクリート層
    の上面に透水性コンクリート層を形成して板状に成型
    し、非透水性コンクリート層と透水性コンクリート層と
    の境界面を下り傾斜させて、透水性コンクリートの内部
    にしみ込んだ雨水を上記境界面に沿って排水空間側に流
    下させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の
    低層建築物における床部の排水処理構造。
  6. 【請求項6】 前記床下地材は、金属板材を、下方に突
    出した断面略矩形パルス形状になるように折り曲げ成形
    し、当該折り曲げ部分を根太とした支持板材で構成し、
    この支持板材の上面に防水シートを敷設したことを特徴
    とする請求項1から5のいずれかに記載の低層建築物に
    おける床部の排水処理構造。
  7. 【請求項7】 床板材の下面に弾性層を形成したことを
    特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の低層建築
    物における床部の排水処理構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0663301U (ja) * 1993-02-12 1994-09-06 ハリマ興産株式会社 チップソー
CN109440921A (zh) * 2018-12-14 2019-03-08 重庆迈高电梯有限公司 一种电梯廊桥

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