JP3057560B2 - 立体祭壇装置における祭礼用容器の展示装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、人間や愛玩動物な
どの遺骨や遺品を収納する祭礼用容器（以下、祭礼用容
器という）を保管すると共に、個別的に取り出して祭事
に供する、立体祭壇装置における祭礼用容器の展示装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】近時、墓地や墓石の高騰化に伴い墓地の
入手が困難となりつつある。このような背景から、自動
倉庫形式の慰霊施設が特開昭５９−１９２１６５号公報
に開示されている。この施設は多数の小型祭壇を安置す
る棚部と、棚部と礼拝場所との間をコンピュータ制御に
より搬送する搬送装置とにより構成されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記した慰霊施設にあ
っては、収納対象が実際の仏壇などの祭壇を小形化した
ものであるため、小型祭壇を収容する各収納室のスペー
スが大きくなり、限られたスペースにおける収容能力が
低い。収容能力を高めるには棚の数を増やす方法が考え
られるが、棚の増設に伴い通路もまた新たに必要とな
り、施設全体が大型化する難点がある。また各小形祭壇
がそれぞれ独立した完成品であるため、墓石と同等に高
価なものとなる。

【０００４】本発明は、以上の点に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは収納性の改善と製造コスト
の低減が図れ、礼拝施設としての品位向上が図れる、立
体祭壇装置における祭礼用容器の展示装置を提供するこ
とにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明はパレットに載置
した祭礼用容器を収容する複数の収納室を上下左右方向
に形成した収納棚と、個別に祭礼用容器を静置して展示
する祭壇部とを具備し、前記収納室と祭壇部との間で祭
礼用容器を搬送する機械搬送手段を具備する立体祭壇装
置において、祭礼用容器の側面に戒名などを表示する表
示部を形成し、祭壇部に祭礼用容器の表示部のみを露出
する表示窓を形成すると共に、前記表示窓の下部に祭礼
用台座を形成し、搬送手段により祭壇部へ祭礼用容器を
搬送し、表示窓から露出する祭礼用容器の表示部を祭礼
用台座の上部に合体させて祭礼用碑を構成し、前記祭礼
用容器の表示部を容器側面から突出させて形成し、前記
祭壇部の表示窓を前記表示部に嵌合可能な寸法に形成す
ることを特徴とする、立体祭壇装置における祭礼用容器
の展示装置である。

【０００６】

【発明の実施の形態１】以下、図１〜図４を参照しなが
ら本発明の実施の形態について説明する。

【０００７】＜イ＞立体祭壇装置 図１に立体祭壇装置の一例を示す。立体祭壇装置は多数
の祭礼用容器１０を格納する収納棚２０と、隔壁３０を
隔てて形成した祭壇部４０と、収納棚２０及び祭壇部４
０の間で祭礼用容器１０を搬送する搬送装置とを具備し
ている。以下各部について詳述する

【０００８】＜ロ＞祭礼用容器 図２に祭礼用容器１０の一例を示す。祭礼用容器１０は
下部を開口した箱体１１と、この箱体１１を載置する取
手１２付きのパレット１３とよりなり、その内部に遺骨
や遺品類の入った別途の容器や壺を格納する。取手１２
は搬送装置に掛止する係止具で、フック状に形成されて
いる。祭礼用容器１０は取手１２を通路２３に面した向
きで、収容棚２０の各収納室２１内に収容される。箱体
１１の一部の側面１１ａ（本例では正面）に宗教的意義
を持つ戒名などの各種宗教文字や絵柄などを表示する表
示部１４を形成している。本発明は祭礼用容器１０を単
に展示するのではなく、後述するように表示部１４と祭
壇部４０の祭礼用台座４４とを合体させて祭礼用碑を構
成するように工夫したものである。そのため、表示部１
４の輪郭形は、各宗教に応じた祭礼用碑に合致する形状
を選択して決定する性質のものである。また本例では表
示部１４のみを箱体１１の側面１１ａから***させて形
成する場合について説明するが、***させずに側面１ａ
の全面を平らにしても良い。

【０００９】＜ハ＞収納棚 収納棚２０は上下左右方向に多数の収納室２１を形成し
ていて、各収納室２１に祭礼用容器１０を収容できるよ
うになっている。収納棚２０は隔壁３０に面して一列だ
け配置しても良いが、通路２３を間に挟んで両側に併設
してもよい。

【００１０】図４を基に収納室２１の一例について説明
すると、収納室２１の床部の両側に祭礼用容器１０の出
入方向に向けてＬ字形の支持板２１ａ，２１ａが配置さ
れ、これらの一対の支持板２１ａ，２１ａが縦材２１ｂ
に固着されている。各支持板２１ａの上下方向の設置間
隔は祭礼用容器１０の全高より僅かに高く設定され、ま
た各支持板２１ａ，２１ａの対向間隔は祭礼用容器１０
の横幅とほぼ等しく設定されている。各支持板２１ａ，
２１ａの前後両端部には上方に折曲してストッパ２１ｃ
が形成され、このストッパ２１ｃで以て祭礼用容器１０
の前後方向の位置決めがされるようになっている。

【００１１】また図１に示すように隔壁３０に開設した
表示窓３１に面する一部の収納室は展示室２２として利
用される。収納棚２０は展示室２２は祭礼用容器１０を
祭事目的で載置するための室であるから、図示するほか
にように通路２３の両側に設けても良く、また展示室２
２を複数箇所に設け、宗派に応じた祭壇の位牌の位置に
対応させることもできる。

【００１２】＜ニ＞祭壇部 図１，３を基に祭壇部４０について説明する。図１にお
いて表示窓３１を設けた隔壁３０の表側には祭壇４１が
設けられている。祭壇４１上には焼香台４２や燈明４３
等の礼拝に必要な器具が置かれる。本発明は祭壇４１の
最上段に祭礼用碑の下部を構成する祭礼用台座４４を設
置し、展示室２２に静置した祭礼用容器１０の表示部１
４が表示窓４を塞いで、表示部１４と祭礼用台座４４と
が合体してはじめて祭礼用碑を構成するように工夫した
ものである。

【００１３】表示部１４と祭礼用台座４４とにより祭礼
用碑を構成するには、祭礼用台座４４の上面と表示窓３
１の下辺とを一致させ、かつ、表示部１４と表示窓３１
の間に隙間を発生させないように設計することが肝要で
ある。また祭壇部４０には表示窓３１を開閉可能な扉４
５が配設されている。扉４５は表示窓３１に対して上下
方向又は左右方向に移動可能な一枚の扉又は分割された
扉、又は巻取可能なシャッターを含み、モータ等の駆動
源４６の正逆転にしたがって開閉する。駆動源４６は祭
礼用容器１０を展示室２２に静置した後に扉４５が開扉
し、展示室２２から所定の収納室２１へ返却する直前に
扉４５が閉扉するように制御する。

【００１４】＜ニ＞搬送装置 搬送装置は展示室２２と収納棚２０の特定の収納室２１
との間で、祭礼用容器１０を保持して搬送可能な装置で
あれば、例えばロボットや一般の自動倉庫に用いられる
各種搬送装置５０装置を適用できる。図示した搬送装置
について説明すると、通路２３の上下部に収納棚２０と
平行に固定レール５１，５１が敷設されている。このレ
ール５１，５１間に縦柱５２がレール５１に沿って移動
できるように配置されている。

【００１５】縦柱５２には昇降自在にキャッチャー５０
が取り付けられている。キャッチャー５０は縦柱５２に
昇降自在に設けられたＬ字形の昇降架台５３と、架台５
３の水平部に３６０度の回転を可能に搭載したターンテ
ーブル５４と、ターンテーブル５４に進退自在に搭載し
た掛止体５５とにより構成される。掛止体５５は祭礼用
容器１の取手１２に掛止可能なフックが形成されてい
る。ターンテーブル５４は通路２３の両側に収納棚２０
が配置されている場合に機能するもので、通路２３の片
側だけに収納棚２０が設置されている場合は、省略され
る。

【００１６】昇降架台５３による縦柱５２に沿った昇降
移動により掛止体５５を所定の高さにコントロールで
き、ターンテーブル５４の回転により掛止体５５の向き
をコントロールでき、またターンテーブル５４上で掛止
体５５が進退することでキャッチャー５０と展示室２２
又は収納室２１３との間で祭礼用容器１０を受け取り及
び受け渡しをできるように構成されている。

【００１７】縦柱５２の移動手段、昇降架台５３の昇降
手段、キャッチャー５０の進退手段、ターンテーブル５
４の回転手段、掛止体５５の進退手段は、例えば公知の
直線歯車と円盤歯車を組み合わせた走行機構や流体式シ
リンダによる進退機構、歯車による回転機構など公知の
機構を適宜適用でき、これらの各運動の制御は、公知コ
ンピュータ制御を適用できる。

【００１８】またコンピュータには収納棚２０の各室２
１や表示室２２の位置を三次元空間における座標データ
として予め入力しておき、キャッチャー５０が特定の室
２１と展示室２２との間を移動できるように各駆動源の
制御プログラムが組み込まれている。また扉４５の開扉
及び閉扉操作も同様にコンピュータで制御される。

【００１９】

【作用】次に立体祭壇装置の作動について説明する。

【００２０】＜イ＞搬出 図１において、収容棚２０の各室２１内には、取手１２
を通路２３へ向けた状態で祭礼用容器１０が予め収容さ
れている。また搬送装置であるキャッチャー５０は通路
２３に位置している。

【００２１】所定の室２１から祭礼用容器１０を取り出
して展示室２２へ搬送する場合の作動について説明する
と、特定の室２１をコンピュータで指定すると、コンピ
ュータは以下のように搬送装置の駆動部を制御する。す
なわち、レール５１，５１に沿って縦柱５２が横移動す
ると共に、縦柱５２に沿って昇降架台５３が昇降するこ
とで、掛止体５５を指定の室２１の高さまで移動させ
る。

【００２２】次に可動架台６０が固定レール４１に沿っ
て横移動し、キャッチャー６２が指定した室２３の正面
位置に達すると可動架台６０の横移動が停止する。

【００２３】次に、掛止体５５が指定された室２１内に
進入し、掛止体５５のフックを祭礼用容器１０に当接す
るまで前進し、つぎに昇降架台５３を僅かに上昇させて
掛止体５５のフックを祭礼用容器１０の取手１２に嵌合
させた後、掛止体６５を後退させて、室２３内の祭礼用
容器１０をターンテーブル５４上へ移送する。

【００２４】収納室２１から取り出した祭礼用容器１０
を縦柱５２の横移動運動、及び昇降架台５３の昇降運動
により展示室２２の前まで移送した後、掛止体５５を前
進させてターンテーブル５４上の祭礼用容器１０を展示
室２２の室奥部へ受け渡す。この間、扉４５は閉じてい
る。

【００２５】展示室２２に祭礼用容器１０が静置される
ことで、祭礼用容器１０の表示部１１４が表示窓３１を
閉鎖し、その結果、祭礼用容器１０の表示部１４が祭壇
部４０の祭礼用台座４４と合体して祭礼用碑を構成す
る。

【００２６】次に扉４３が開扉する。礼拝者は合体に気
付くことなく、表示部１４及び祭礼用台座４４の合体し
た祭礼用碑を目視して礼拝することになる。尚、展示室
２２に載置した祭礼用容器１０は掛止体５５がついたま
まで祭事に供されるか、或いは掛止体５５が外れた状態
で祭事に供される。

【００２７】＜ロ＞格納 祭事が完了したら、搬出と逆の操作手順で展示室２２か
ら所定の収納室２１へ祭礼用容器１０を返却する。

【００２８】

【発明の実施の形態２】前記した実施の形態１では祭礼
用容器１０の収納単位が１つの場合について説明した
が、１台のパレット１３に複数の祭礼用容器１０を搭載
する場合に適用することも可能である。

【００２９】図５は展示室２２と祭壇部４０の境界部を
水平に破断した状態を示す。同図は１台のパレット１３
に２つの祭礼用容器１０，１０を搭載したもので、この
場合、表示部１４，１４は祭礼用容器１０，１０の側面
（パレット１３の長手方向に沿った面）に設けられ、ま
た表示窓３１，３１や扉４４，４４もそれぞれ２組設け
られる。

【００３０】１台のパレット１３に搭載する祭礼用容器
１０の数は２つに限らず、３つ以上であっても良いこと
は勿論である。

【００３１】またパレット１３に複数の祭礼用容器１０
を搭載した場合、各扉４４，４４を同時に開閉操作する
ことの他に、個別に開閉操作するようにしても良い。
尚、パレット１３に複数の祭礼用容器１０を搭載した場
合、展示室２２にパレット１３を出し入れする方向はパ
レット１３の長手方向と直行する方向となる。

【００３２】

【発明の効果】本発明は次の効果を得ることができる。 ＜イ＞ 単に納骨箱を展示しただけでは威厳性や厳粛性
にかけるところがある。また格納及び展示形態を立派な
小形祭壇とすると、威厳性や厳粛性等が増す反面、コス
ト高や低収納効率の問題がある。本発明は、シンプルな
祭礼用容器の一部の側面に形成した表示部を、祭壇部に
設けた祭礼用台座に合体させて祭礼用碑を構成できる。
そのため、礼拝施設として要求される威厳性や厳粛性を
保持して品位の向上が図れると共に、収納効率が著しく
高くなる。 ＜ロ＞ シンプルな祭礼用容器の一部の側面に表示部を
形成するだけであるから、小形祭壇を格納展示する従来
技術と比べて製造コストを大幅に削減できる。 ＜ハ＞ 祭礼用容器の表示部を***させると、礼拝者が
表示部と祭礼用台座の合体にまったく気付かない程、祭
礼用碑の完成度が増す。 ＜ニ＞ 収納及び展示単位が単数または複数でも対応で
き、汎用性に富む。 ＜ホ＞ 展示時に祭礼用碑の形態を採るが、収納時はシ
ンプルな祭礼用容器のままであり、収納棚の収容効率が
高くなる。そのため、立体祭壇装置の小形化を図ること
ができる。 ＜ヘ＞ 最近の墓地不足に対応して、安価で威厳のある
立体祭壇装置を得ることができる。 ＜ト＞ 祭礼用容器を保管したまま各種宗教的祭事に供
することができ、最近の墓地不足の問題を解消できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 立体祭壇装置の横断面図

【図２】 祭礼用容器の組立図

【図３】 祭壇部と展示室の境界部の一部を破断した斜
視図

【図４】 収納棚の収納室の斜視図

【図５】 他の実施の形態にかかる説明図で、展示室と
祭壇部の境界部を水平に破断した断面図

【符号の説明】

１０ 祭礼用容器 １１ 箱体 １２ 取手 １３ パレット １４ 表示部 ２０ 収納棚 ２１ 収納室 ２１ａ，２１ａ 支持板 ２１ｂ 縦材 ２１ｃ ストッパ ２２ 展示室 ２３ 通路 ３０ 隔壁 ４０ 祭壇部 ４１ 祭壇 ４２ 焼香台 ４３ 燈明 ４４ 祭礼用台座 ４５ 扉 ４６ 扉の駆動源 ５０ キャッチャー ５１，５１ レール ５２ 縦柱 ５３ 昇降架台 ５４ ターンテーブル ５５ 掛止体

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 パレットに載置した祭礼用容器を収容す
   る複数の収納室を上下左右方向に形成した収納棚と、個
   別に祭礼用容器を静置して展示する祭壇部とを具備し、
   前記収納室と祭壇部との間で祭礼用容器を搬送する機械
   搬送手段を具備する立体祭壇装置において、 祭礼用容器の側面に戒名などを表示する表示部を形成
   し、 祭壇部に祭礼用容器の表示部のみを露出する表示窓を形
   成すると共に、 前記表示窓の下部に祭礼用台座を形成し、 搬送手段により祭壇部へ祭礼用容器を搬送し、表示窓か
   ら露出する祭礼用容器の表示部を祭礼用台座の上部に合
   体させて祭礼用碑を構成し、 前記祭礼用容器の表示部を容器側面から突出させて形成
   し、 前記祭壇部の表示窓を前記表示部に嵌合可能な寸法に形
   成する ことを特徴とする、 立体祭壇装置における祭礼用容器の展示装置。