JP3046060B2 - 微粉末状アルミナ系複合酸化物、その製法及びインクジェット記録紙用填料 - Google Patents

微粉末状アルミナ系複合酸化物、その製法及びインクジェット記録紙用填料

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JP3046060B2
JP3046060B2 JP2334584A JP33458490A JP3046060B2 JP 3046060 B2 JP3046060 B2 JP 3046060B2 JP 2334584 A JP2334584 A JP 2334584A JP 33458490 A JP33458490 A JP 33458490A JP 3046060 B2 JP3046060 B2 JP 3046060B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、微粉状アルミナ系複合酸化物及びその製法
に関するもので、より詳細にはインクジェット記録紙用
填料として特に有用な微粉状アルミナ系複合酸化物及び
その製法に関する。本発明は更にインクジェット記録紙
及びそれに用いる記録紙用填料にも関する。
(従来の技術) インクジェット記録は、騒音が少なく、高速記録が可
能で、しかも多色化が容易である等の利点があり、各種
プリンター、ファクシミリ等への応用が行われている。
この用途に用いる記録紙としては、通常の上質紙やコー
ト紙では性能の点で使用困難であり、紙面に付着したイ
ンク滴が速やかに紙内に吸収されること、紙面上でのイ
ンク滴の拡がりや滲みが抑制されること、濃度のある鮮
明な画像が形成されること、及びこの画像が諸堅牢性に
優れていること等の特性が要求される。
これらの特性を紙基質の表面に与えるために、種々の
無機固体物質を、必要により結着剤と共に紙表面に塗布
し或いは内填することが提案されており、例えば合成シ
リカ及び/又はその塩を用いること(特開昭57−157786
号公報)、二価金属、例えばマグネシウム或いは亜鉛等
の弱酸塩や酸化物を被覆層として施こすこと(特開昭58
−94491号公報)、天然ゼオライト、合成ゼオライト、
ケイソウ土、合成雲母等を被覆層中に含有させること
(特開昭59−68292号公報)、インク吸収層を形成する
白色顔料としてクレー、タルク、炭酸カルシウム、カオ
リン、酸性白土、活性白土等を使用すること(特開昭58
−99391号公報及び特開昭59−95188号公報)等が既に知
られている。
しかしながら、インクジェット記録紙に用いる填剤に
は単にインクを吸収すればよいというものでは決してな
く、インク全体の吸収や水或いは溶剤の吸着と染料の吸
着との間に一定のバランスが要求される。本発明者の提
案に係る特開昭62−292476号公報には、インクジェット
記録において、インク滴の拡がりや滲みを防止するとい
う要求と、画像の濃度や鮮明さを向上させるという要求
とを、両立させて満足させ得るものとして、コールター
カウンター法で測定して2乃至15μmのメジアン径、18
0ml/100g以上の吸油量及び溶媒法で測定して1.450以上
の屈折率を有し、関係湿度90%及び温度25℃で200時間
吸湿させた条件での吸湿量が35%以上の範囲内にある非
晶質シリカをインクジェット記録紙用填料として用いる
ことが示されている。
また、アルミナ系填料をインクジェット記録に用いる
ことも既に知られており、特開昭60−245588号公報に
は、インク受理面のフィラーとして、細孔半径40〜1000
Å及び細孔容積0.4ml/g以上の多孔性アルミナキセロゲ
ルを用いることにより、水溶性染料の像の耐水性を向上
させ得ることが示されている。
(発明が解決しようとする問題点) インクジェット記録に使用される代表的な填料の内、
シリカ系填料は、インク滴の吸収性、インク滴の拡がり
や滲みの防止、及び高濃度の鮮明な画像の形成という点
では優れているが、水溶性染料により形成される画像の
耐水性に難点があり、記録後の画像が水に触れると、画
像の流れが生じる等、画像の堅牢性、保存性に難点があ
る。
一方、アルミナ系填料は、填料に吸着された水溶性染
料が不溶化されるため、耐水堅牢度等に顕著に優れてお
り、保存性の点で利点を有するが、アルミナはシリカに
比して細孔の度合いが小さいことから、インク滴の吸収
性が低く、滲みを生じ易く、画像の鮮明さに劣るという
難点がある。
従って、本発明の目的は、高い細孔容積と高い吸油量
とを有する微粉状アルミナ複合酸化物及びその製法を提
供するにある。
本発明の他の目的は、インクジェット記録に用いたと
き、インク滴を速やかに吸収して滲みを生じることがな
く、その結果として鮮明でしかも高濃度の耐水性画像を
形成することが可能なアルミナ系填料を提供するにあ
る。
本発明の更に他の目的は、上記多孔質微粉状アルミナ
複合酸化物を容易に製造し得る方法を提供するにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明によれば、式 Al2O3・yP2O5・nH2O 式中、yは0.14乃至0.01、特に0.09乃至0.01の数であ
り、nは1.8以下の数、特に1.7乃至1.4の数である。
で表わされる化学組成と、擬ベーマイト型水和アルミナ
に特有のX線回折像とを有し、且つ200ml/100g以上の吸
油量と0.35g/ml以下の見掛比重を有することを特徴とす
る微粉状アルミナ系複合酸化物が提供される。
本発明による微粉状アルミナ複合酸化物は、公知のア
ルミナ系填料に比して著しく小さい見掛比重を有するこ
とから、大きい吸油量と大きい細孔容積を有しており、
吸油量は一般に150ml/100g以上、特に200乃至300ml/100
gの範囲にあり、またN2吸着法で測定した細孔容積は0.5
cc/g以上、特に0.9乃至1.5cc/gの範囲内にある。更に、
この微粉状アルミナ複合酸化物は、著しく微細な一次粒
子径と填料に適した二次粒子径とを有しており、比表面
積(BET法)に基いて算出される平均一次粒子径が7nm以
下、特に3乃至6nmであり、且つコールターカウンター
法で測定される平均二次粒径(メジアン径)が10μm以
下、特に8μm以下のものが全体の80重量%を占めるよ
うな粒度分布を有する。
また、この微粉状アルミナ系複合酸化物は白色度に特
に優れており、一般に90%以上、特に95%以上のハンタ
ー白色度を示すと共に、波長280mμ(nm)における紫外
線反射率が90%以上、特に95%以上であるという、驚く
べき特性を示す。
本発明によればまた、リンのオキシ酸分を含有する塩
化アルミニウム水溶液と、アルミン酸アルカリ水溶液と
を、塩化アルミニウムとアルミン酸アルカリとがほぼ当
量となる量比で水溶性塩類を含有する水性媒体中に同時
注加し、次いで生成物を熟成することを特徴とする前記
微粉状アルミナ系複合酸化物の製造方法が提供される。
本発明によれば、更に上記微粉状アルミナ系複合酸化
物から成るインクジェット記録用填料及び該填料を紙基
体の少なくともインク受理面に有するインクジェット記
録紙が提供される。
(作用) 本発明は、擬ベーマイト型水和アルミナのアルミナ
(Al2O3)分の一部を、リン酸化物(P2O5)で置換した
構造の複合酸化物とすると、従来の擬ベーマイト型水和
アルミナに比して著しく嵩高で、見掛け比重が特に0.35
g/ml以下と著しく小さな微粉状アルミナ系複合酸化物が
形成されるという発見に基づくものである。
添付図面第1図は、後述する実施例1に従い、リン酸
分の共存下に塩化アルミニウムとアルミン酸ナトリウム
を反応させて得られるアルミナ系複合酸化物X線回折像
であり、一方第2図は後述する比較例の試料No.1−0に
従い、リン酸分を共存させない以外は実施例1の試料N
o.1−1と同様にして塩化アルミニウムとアルミン酸ナ
トリウムを反応させて得られるアルミン系酸化物のX線
回折像である。
水酸化アルミニウム乃至水和アルミナとしてはキブサ
イト、バイアライト、ベーマイト、ダイアスポアの外に
ベーマイドゲル(擬ベーマイト)が知られている。第2
図のX線回折像は擬ベーマイト型水和アルミナに特有の
ものであるが、本発明によるアルミナ系複合酸化物は、
かなりのリン酸化物成分を含有するにもかかわらず、リ
ン酸アルミニウムに特有のX線回折像を全く示さず、第
2図のものと同様に擬ベーマイト型水和アルミナに特有
のX線回折像を示すのである。
下記A表は、上記及従来の擬ベーマイト型水和アルミ
ナ及び本発明のアルミナ系複合酸化物について、見掛比
重、吸油量、細孔容積等を示したものである。
上記A表の結果から、擬ベーマイト水和アルミナ中に
P2O5分を組込むことによって、見掛比重が著しく低く、
嵩高な粒子構造のものとなると共に、粒子構造が嵩高な
ものとなる結果として、吸油量が増大し、細孔容積も顕
著に増大していることが明らかとなる。
本発明のアルミナ系複合酸化物においては、水和アル
ミナ分子の一部がP2O5で置換された形で存在するが、こ
のアルミナ系複合酸化物ではAl2O3とP2O5との結合の状
態がリン酸アルミニウムの結晶を形成する程大きくもな
く、また規則正しくもなく、単位構造が微細且つランダ
ムであり、これが水和アルミナ粒子構造を著しく嵩高な
ものとして理由と推定される。
本発明の微粉状アルミナ系複合酸化物において、P2O5
分が前述したモル比で含有されていることも重要であ
り、P2O5分の含有量が前記範囲よりも少ない場合には嵩
高な水和アルミナ粒子構造を形成させることが困難とな
り、一方P2O5分が前述した範囲を越えて多くなると、リ
ン酸アルミニウムの結晶が析出するようになって、やは
り嵩高な水和アルミナ粒子構造が損われるようになる。
本発明のアルミナ系複合酸化物は、上述した嵩高な水
和アルミナ粒子構造を有することから、インクジェット
記録紙用填料として用いたとき、インク滴を急速に吸収
して速乾性を有すると共に、インク滴の拡がりや水の浸
透による滲みを生じることなしに、高濃度で鮮明な画像
を形成することができる。また、この複合酸化物は、吸
着された水溶性染料と造塩乃至キレート化して水不溶化
することから、記録画像に顕著な耐水性を付与するとい
う利点をもたらす。更にこの複合酸化物は、水和アルミ
ナ中に不可避不純物として含有される鉄、マンガン、ク
ロム等の不純着色金属成分をマスキングしてハンター白
色度を著しく向上せしめると共に、リン酸塩系顔料の属
性として高い紫外線反射性を示すことから、染料像の耐
光性を著しく向上させるという利点をも与える。
更にまた、このアルミナ系複合酸化物は、微細で且つ
均斉な粒度分布を有することから、水等への分散性や安
定性に優れていると共に抄紙時の歩留り性や紙への塗布
性に優れており、更にこのものが水中で正への帯電特性
を有し、負に帯電した紙等の繊維に捕集され易いことも
あって、前述した利点が一層顕著に達成されることにな
る。
本発明の微粉状アルミナ系酸化物を製造するに当っ
て、塩化アルミニウムとアルミン酸アルカリとを反応さ
せることは、擬ベーマイト型水和アルミナを形成させる
上で必要であり、この擬ベーマイト型水和アルミナ中に
P2O5を有効に組込むためには、塩化アルミニウム水溶液
中にリンのオキシ酸分を遊離の酸或いは可溶性塩の形で
共存させておくことが必要である。擬ベーマイト構造を
維持させつつ、水和アルミナ中にリンのオキシ酸分を組
込むためには、リンのオキシ酸分を含む塩化アルミニウ
ム水溶液とアルミン酸アルカリ水溶液とを同時注加法で
反応させるのがよく、この際両原料溶液を注加する水性
媒体として、水溶性塩類の溶液を用いるのは、水和アル
ミナの過度の粒成長乃至凝集を防いで嵩高な粒子構造を
形成するためである。反応終了後の熟成を行うのは、上
記粒子構造を安定化させるためのものである。
(発明の好適態様) 複合酸化物の製造 本発明では、リンのオキシ酸分を含有する塩化アルミ
ニウム水溶液とアルミン酸アルカリ水溶液とを、Al2O3:
P2O5のモル比が一般に10乃至200、特に11乃至110の範囲
となり且つ塩化アルミニウムとアルミン酸アルカリがほ
ぼ当量となる量比で、同時注加により反応させる。
塩化アルミニウム水溶液中に共存させるリンのオキシ
酸分はオルトリン酸、メタリン酸、亜リン酸、ピロリン
酸等の遊離のリンのオキシ酸のでもよく、またこれらの
リンのオキシ酸の水溶性塩、例えばナトリウム塩、カリ
ウム塩等でもよい。勿論、塩は正塩でもよいし酸性塩で
あってもよい。一般にはオルトリン酸を用いるのがよ
い。
塩化アルミニウム水溶液におけるリンのオキシ酸分濃
度は、水溶液の安定性や製造の容易さの点で、Al2O3:P2
O5のモル比で2:1乃至52:1、特に3:1乃至35:1の範囲にあ
るのが望ましく一方この水溶液の濃度は、Al2O3の重量
濃度として2乃至10%、特に4乃至8%の範囲にあるの
がよい。
一方アルミン酸アルカリ溶液としては、アルミン酸ソ
ーダが好適に使用され、その濃度はAl2O3として、2乃
至23%、特に4乃至14%の範囲にあるものがよい。
これらの原料を同時注加する水性媒体中に存在させる
塩類は水溶性塩であれば特に制限を受けないが、一般に
アルカリ金属の鉱酸塩、例えば塩化ナトリウム、硫酸ナ
トリウム等が使用される。原料とイオンが共通である塩
化ナトリウムが好適である。水溶媒体中の塩類の濃度は
一般に0.05乃至20%、特に0.1乃至10%の範囲が適当で
ある。
同時注加反応の温度は特に制限を受けないが、一般に
30乃至60℃、特に30乃至50℃の範囲が適当である。同時
注加反応の時間も、注加を急激に行うものであってはい
けないが、一般に0.5乃至8時間、特に1乃至6時間に
わたって注加反応が続行されるようにするのがよい。
注加反応が終了後、反応物を熟成して所望の粒子構造
のアルミナ系複合酸化物とする。熟成は一般に30乃至60
℃の温度で、1乃至10時間程度、反応系をゆるやかに撹
拌して行うのがよい。熟成終了後、反応物を、ろ過、水
洗、乾燥して本発明の製品とする。
本発明のアルミナ系複合酸化物には、それ自体公知の
任意の後処理を行なうことができる。例えば、このアル
ミナ系複合酸化物を、アニオン系、ノニオン系或いはカ
チオン系の界面活性剤や、脂肪酸或いは樹脂酸、或いは
その金属塩で処理したり、或いは、シラン系、チタン系
或いはジルコニウム系のカップリング剤で処理したりす
ることができる。また、各種ワックスや樹脂によるコー
ティング処理や微粉末或いはゾル状のシリカ、アルミ
ナ、周期律表第二族金属酸化物によるコーティング処理
を行うことができる。
微粉状アルミナ系複合酸化物の用途 本発明による微粉状アルミナ系複合酸化物は、前述し
た特性を有することから各種紙への填料、成形用各種樹
脂に対する充填剤、各種塗料用添加剤の用途に有利に使
用される。
インクジェット記録の用途に対しては、上記複合酸化
物を、紙等の基体の表面に設けるか、或いは紙中に内填
してインクジェット用記録要素とする。紙等の基体表面
にこの填剤のコート層を設けるには、前記填剤を5乃至
40%、特に10乃至25重量%、及び必要により結着剤を1
乃至15重量%、特に2乃至10重量%含む水性スラリーを
製造し、填剤が3乃至20g/m2、特に5乃至15g/m2となる
ような塗工量で塗布し、乾燥する。
結着剤としては、水性系結着剤が有利であり、例えば
カルボキシメチルセルローズ、エチルセルローズ、ヒデ
ロキシエチルセルローズ、澱粉、カルボキシメチル澱
粉、シアノエチル化澱粉、カゼイン、アラビアゴム、ト
ラガントゴム、デキストリン、ポリビニルアルコール、
ビニルエーテル/マレイン酸共重合体、ポリビニルピロ
リドン、水溶性アクリル樹脂等の水溶性結着剤:自己乳
化型アクリル樹脂等の自己乳化型結着剤:スチレン−ブ
タジエン系共重合体ラテックス等の水性ラテックス系結
着剤等が使用される。
また、前記填剤を紙中に内填するには、抄紙用スラリ
ーに前記填剤を配合して、紙繊維中に繊維重量当り1乃
至20重量%、特に2乃至10重量%の填剤が抄き込まれる
ようにすればよい。
勿論、本発明においては、前記アルミナ系複合酸化物
を単独で填料として使用する他に、それ自体公知の他の
填料、例えばカオリン、シリカ、炭酸カルシウム、通常
の水和アルミナ、ケイ酸塩等と組合せで使用することも
可能である。
(発明の効果) 本発明によれば、擬ベーマイト型水和アルミナ中にそ
のX線回折学的構造が実質上破壊されないようにリン酸
分を組込んだことにより、嵩高な水和アルミナ粒子構造
とすることが可能となり、インクジェット記録紙用填料
として用いたとき、インク滴を急速に吸収して速乾性を
有すると共に、インク滴の拡がりや水の浸透による滲み
を生じることなしに、高濃度で鮮明な画像を形成するこ
とができる。また、この複合酸化物は、吸着された水溶
性染料と造塩乃至キレート化して水不溶化することか
ら、記録画像に顕著な耐水性を付与するという利点をも
たらす。更にこの複合酸化物は、水和アルミナ中に不可
避不純物として含有される鉄、マンガン、クロム等の不
純着色金属成分をマスキングしてハンター白色度を著し
く向上せしめると共に、リン酸塩系顔料の属性として高
い紫外線反射性を示すことから、染料像の耐光性を著し
く向上させるという利点をも与える。
更にまた、このアルミナ系複合酸化物は、微細で且つ
均斉な粒度分布を有することから、水等への分散性や安
定性に優れていると共に抄紙時の歩留り性や紙への塗布
性に優れており、更にこのものが水中で正への帯電特性
を有し、負に帯電した紙等の繊維に捕集され易いことも
あって、前述した利点が一層顕著に達成されることとな
る。
実施例 1 本発明による微粉状アルミナ系複合酸化物(以後、単
に新規複合酸化物と記す)及びその製法について説明す
る。
新規複合酸化物の製法 濃度10乃至200g/のNaCl水溶液(A溶液)を、温度3
0乃至60℃に加温し、この張り込み液中に塩化アルミニ
ウム水溶液とリンのオキシ酸水溶液とをAl2O3:P2O5で表
したモル比が2:1乃至43:1となる範囲に混合したB溶液
とアルミン酸ソーダ水溶液(C溶液)とを撹拌下に同時
注加をし、次いで得られたPH7乃至11の反応スラリー
を、温度70℃以下で1乃至10時間にわたって撹拌熟成を
した後、ろ過、水洗を行ない150℃で乾燥後、通常の方
法で粉砕、分級をして本発明による新規複合酸化物を調
製した。
次いでその性状を下記の方法で測定をしその結果を第
1、第2表に示した。
(1)BET比表面積(Sa) カルロエルバ(CARLO−ERABA)社製の自動BET測定装
置(Sorptomatic Series 1800)を用いて測定した。
(2)細孔容積(Pv) BET測定装置を用いて、10-2mmHg下の250℃で2時間脱
気後、液体N2飽和温度下、N2圧力735mmHgでのN2吸着量
から標準状態のN2吸着量(V1)を算出し、下記式から細
孔容積を求めた。
細孔容積(Pv)=V1×1.555×10-3(ml/g) (3)平均細孔半径() 細孔を円筒状と仮定して下記式より平均細孔半径を求
めた。
(4)平均粒径 コールターカウンター法(Coulter Counter,Mdel TA
−II型)によって得られた累積粒度曲線の体積分布50%
点から求められる粒径をいう。
(5)一次粒子径 電子顕微鏡法による数平均粒子径を示す。
(6)吸着量 JIS K5101−19の顔料試験方法に準拠し測定した。
(7)ハンター白色度 JIS P 8123に準拠し測定した。
(8)見掛比重 JIS K 6220の6・8項に記載の方法に準拠し測定し
た。
なお第1表に記載した本発明による試料No.1−1乃至
No.1−13についてX線回折を行ったところ、いずれも擬
ベーマイト型水和アルミナに特有のX線回折像を示し
た。
また、リン酸成分を無添加とした以外は、試料No.1−
1と同様にして調製した水和アルミナ(試料No.1−0)
についてX線回折を行ったところ、同様に擬ベーマイト
型水和アルミナ(添付第2図参照)に特有の回折像を示
した。
第1表及び第2表において、試料番号1−2、1−
3、1−4(Al2O3:P2O5のモル比1:0.14相当)、1−
7、1−8、1−10、1−13は本発明によるものであ
り、他の試料番号のものは本発明範囲外のものである。
実施例2 実施例1で調製した試料No.1−2,1−3,1−7,1−8,1−
13について、インクジェット記録紙用填料として評価す
るために塗布試験紙を作成し、下記に示す試験を行いそ
の結果を第3表に示した。
(2−1)試験用インクジェット記録紙の調製 填料8g(110℃乾燥基準)に結着剤としてポリビニル
アルコール((株)クラレ製PVA 117)の15%水溶液16g
を加え、さらに水を加えて全量を56gとなし、撹拌機で
充分に撹拌分散し、塗液を調製した。この塗液を、坪量
45g/m2の原紙(=PPC用紙紙用)に塗被量が約10g/m2
なるように塗布して記録用被紙を得た。
(2−2)インクジェット記録方法 パーソナルコンピューター(日本電気(株)製PC−98
01 VMO)に接続されたインクジェットカラーイメージ
プリンタ(シャープ(株)製10−0700)に(2−1)の
方法で得られた塗被紙をセットし、第3図に示すような
a(赤)、b(紫)、c(黒)、d(黄)、e(青)、
f(緑)、G(桃)色面からなるテストパターンのハー
ドコピーを得た。図3図のテストパターン像を肉眼及び
拡大鏡(スタンド・マイクロスコープ、倍率×50)で観
察することにより、画面の鮮明さを彩度・濃度・滲みの
有・無等の点から次のような評価基準で総合的に評価し
た。
また記録画像の耐水性を評価するために、それぞれの
テストパターンのハードコピーを水中に6時間浸したと
ころ、第3表に示した通り市販シリカは30分で全く画像
が消失(添付第5図参照)したが、その他はいずれも画
像色面のインクが多少溶出する程度で耐水性が良好であ
った(添付第4図参照)。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明のアルミナ系複合酸化物X線回折線図
である。 第2図は、擬ベーマイト型水和アルミナのX線回折線図
である。 第3図は試験方法(2−1)で得られた画像形成試験紙
状に得られたテストパターンを表わす図であり、図中の
a(赤)、b(紫)、c(黒)、d(黄)、e(青)、
f(緑)、g(桃)色面をそれぞれ表し、(A)は本発
明の実施例であり、(B)は(A)の耐水試験処理した
ものであり、(C)は市販シリカの耐水試験処理したも
のである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 榎本 和光 新潟県北蒲原郡中条町新栄町3番74号 (56)参考文献 特開 昭61−215206(JP,A) 特開 昭64−97678(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01F 7/00 B41M 5/00 D21H 17/67 C01B 25/36 CA(STN)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式 Al2O3・yP2O5・nH2O 式中、yは0.14乃至0.01の数であり、 nは1.8以下の数である。 で表わされる化学組成と、擬ベーマイト型水和アルミナ
    に特有のX線回折像とを有し、且つ200ml/100g以上の吸
    油量と0.35g/ml以下の見掛比重を有することを特徴とす
    る微粉状アルミナ系複合酸化物。
  2. 【請求項2】0.5ml/g以上の細孔容積(N2吸着法)を有
    する請求項1記載の複合酸化物。
  3. 【請求項3】リンのオキシ酸分を含有する塩化アルミニ
    ウム水溶液と、アルミン酸アルカリ水溶液とを、塩化ア
    ルミニウムとアルミン酸アルカリとがほぼ当量となる量
    比で水溶性塩類を含有する水性媒体中に同時注加し、次
    いで生成物を熟成することを特徴とする請求項1記載の
    微粉状アルミナ系複合酸化物の製造方法。
  4. 【請求項4】塩化アルミニウム水溶液が、Al2O3とP2O5
    とを2:1乃至52:1のモル比で含有する水溶液である請求
    項3記載の方法。
  5. 【請求項5】同時注加を30乃至60℃の温度で行う請求項
    3記載の方法。
  6. 【請求項6】熟成を30乃至60℃の温度で行う請求項3記
    載の方法。
  7. 【請求項7】式 Al2O3・yP2O5・nH2O 式中、yは0.14乃至0.01の数であり、 nは1.8以下の数である。 で表わされる化学組成と、擬ベーマイト型水和アルミナ
    に特有のX線回折像とを有し、且つ0.35g/ml以下の見掛
    比重、200ml/100g以上の吸油量及び0.5ml/g以上の細孔
    容積(N2吸着法)を有する微粉状アルミナ系複合酸化物
    から成ることを特徴とするインクジェット記録紙用填
    料。
  8. 【請求項8】95%以上のハンター白色度及び95%以上の
    紫外線反射率(波長280nmで測定)を有することを特徴
    とする請求項7記載のインクジェット記録紙用填料。
  9. 【請求項9】請求項7記載の填料を、少なくとも紙基体
    のインク受理面に有する、インクジェット記録紙。
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