JP3041122U - 調温マット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】使用感が良く、荷重や反復使用に対して強靭
で、保冷或いは保温に役立つ健康的な調温マットを提供
する。 【構成】プラスチックフィルムと布状体が積層した積層
シートを重ね合わせ、これに複数の筋状癒着部を設ける
ことによって迷路状の連続通路からなるマット状袋体を
形成し、望ましくはその連続通路をマット中央部で相対
的に幅広、その両横部で幅狭にし、内部に調温性流動物
を密封充填して調温マットとする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は枕の上に載置或いは内部に収めて頭寒状にしたり、その他、人体を 快適な温度に保つのに適した調温マットとして利用される。

【０００２】

【従来の技術】

一般に頭寒足熱といわれているように、頭部を乗せる枕の場合は陶器やアイス ノン等のような冷感を与えるものが望まれており、一部で用いられている。特に ある種の化学物質を用いると、単なる比熱よりも大きな恒温性を持たせることが できるので、これを利用した保冷マットなども提案されている。

【０００３】 その際に使用する材料が流動体の場合は、丈夫なプラスチックフィルムを２枚 重ねて周囲をウエルダー癒着した袋体の中にこれを密封充填し、マット状に形成 している。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

このようなものに使われる保冷材、或いはある種の高分子系蓄熱材などは、一 般に液状ないし流動状を呈していることが多く、従ってこれを使用し易いマット 状にするためには、２枚のフィルムを重ねて周辺をウエルダーで癒着し、密閉袋 状にしてその内部に流動性材料を充填する必要がある。

【０００５】 しかしながらその場合、内部の流動性材料はすぐ片方に移動して偏ってしまう ので、これを防ぐために多数の仕切りを設けて多数の小袋に分割する試みもなさ れたが、そうすると充填が甚だ煩雑かつ困難となり、量産に適さなくなる。

【０００６】 またこのようなマット状体に加圧があると、その加圧部は潰れて内部の流動性 材料が逃げた部分を生じ、肝心の保冷機能を失ったり、或いは内部の圧力に負け て癒着部の境界域から破けたりする憂いがあった。

【０００７】 本考案はこのような問題点を解消して、より実用的な保冷ないし保温（本考案 ではこれをまとめて調温と称する）マットを提供することを課題とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

塩ビやシリコンゴムのようなプラスチックフィルム（１）と不織布（２ａ）或 いは織布（２ｂ）等のように繊維体で形成された布状体（２）とが一体に積層さ れている積層シート（１２）を（２枚向かい合わせるように）重ね合わせ、これ に複数の筋状癒着部（３）を設けることによって迷路状の連続通路を内部とする マット状袋体を形成し、その内部に調温性流動物（４）を密封充填して調温マッ ト（Ａ）とする。

【０００９】 この際、特に望ましくは、図１に示すように上記の連続通路がマット中央部で 相対的に幅広であり、その両横部で幅狭であるようにする。

【００１０】 実際にはプラスチックフィルム（１）が内側で布状体（２）が外側にくること が好ましく、布状体（２）も図２に示すように、綿のような織布（２ｂ）を最外 側にもってきてその内側に更にナイロン等の不織布（２ａ）を積層することが好 ましい。

【００１１】 なお必要に応じ、本考案者が別に開発した炭素配合シートのような導電性シー ト（５）などを更に積層して、より有用なものに仕上げてもよい。

【００１２】 内部に収める調温性流動物（４）としては、例えば互いの干渉作用により結晶 が成長しない状態になっている２種の液状冷却剤から成っていて、対流と結晶の 生成及び溶解の繰り返しにより、上に乗せた頭部を冷状態に保つようなもの等が 該当する。また逆にある種の高分子のように、一旦蓄えた熱を長時間にわたって 放出し続けるようなものもある。

【００１３】 なお、特に好ましい調温性流動物（４）として、粘土や波動石等の微粉末を塩 水または水酸化ナトリウム溶液で混練してスラリー状にしたもの等がある。

【００１４】

【作用】

本考案による調温マットは、このようにプラスチックフィルムと布状体が積層 したシートを重ね合わせてこれに筋状癒着部を設けているから、それによって仕 切られる通路を袋状に膨らませて内部に流動物を充填した場合、該癒着部と通路 との境界部において立ち上がりの急な折れ曲がりが防止され、布状体のもつ繊維 が耐剪断力を与えることと相まって、フィルムのみの場合のようにそこで裂けて 破れるようなことがなくなる。

【００１５】 ちなみに後述の実施例の試作物による耐圧テストによれば、このマットの中央 部に１００ｋｇの荷重を与えても破裂することがなく、従来のものに比べて数倍 の強度があることが判明した。

【００１６】 また本考案のマット状袋体は連続通路になっているため、流動物の注入・充填 は１ケ所から一度に行うことができ、しかも迷路状になっているから、傾けたり 偏った荷重を与えても、内部の流動物が急速かつ極端に偏在することがない。

【００１７】 更に連続通路がマット中央部で相対的に幅広であり、その両横部でより幅狭に なっていると、荷重は中央幅広部に与えられるが、そのとき押されて横に逃げよ うとする流動物は、その両横部の通路状袋体をより膨らませてそこに収まろうと しても、幅狭部では容積変動の余地がほとんど無いためそれができず、従って中 央部には十分広い接触面積があるにもかかわらず、潰れてそこに肝心の調温性流 動物が無くなるようなことが起こりにくくなる。

【００１８】

【実施例】

塩ビフィルム、炭素を用いた導電性シート、ナイロン系不織布、及び綿系布地 をその順序で積層した縦２４５ｍｍ、横３２５ｍｍの積層シートを２枚、塩ビフ ィルム側を互いに向かい合わせて、図１のように、周辺の幅１２ｍｍと、中央部 に３本の長さ２００ｍｍ、幅６ｍｍと、その両横に各４本の長さ９０ｍｍ、幅３ ｍｍの癒着部をウエルダー加工で形成する。周辺に一部残した非癒着部より内部 の通路部に向けて先ず空気を注入して膨らませ、次に粒径１μ以下の粘土及び波 動石の微粉末と濃塩水の７：３混合物を注入して空気を追い出し、周辺非癒着部 を融着密封して枕用保冷マットとする。

【００１９】

【考案の効果】

このように本考案によれば、人体に対する感触が良好であると同時に加圧に対 して甚だ破れにくく、流動性保冷剤などのような内容物が偏在したり潰れて喪失 することが少ないため、ユーザーが既成の枕に取り付けて任意に頭寒枕に形成し たり、人体に対し反復使用に耐えられるような健康に適した調温マットを提供す るのに甚だ役立つ効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案一例の平面図

【図２】図１の一部拡大断面図

【符号の説明】

１……プラスチックフィルム ２……布状体 ２ａ……不織布 ２ｂ……織布 １２……積層シート ３……筋状癒着部 ４……調温性流動物 ５……導電性シート Ａ……調温マット

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】プラスチックフィルムと布状体が積層した
   積層シートを重ね合わせ、これに複数の筋状癒着部を設
   けることによって迷路状の連続通路からなるマット状袋
   体を形成し、その内部に調温性流動物を密封充填したこ
   とを特徴とする調温マット。
2. 【請求項２】連続通路がマット中央部で相対的に幅広で
   あり、その両横部で幅狭である請求項１記載の調温マッ
   ト。