JP3040959B2 - 凝集性アルコール発酵酵母及びその育種方法 - Google Patents
凝集性アルコール発酵酵母及びその育種方法Info
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Description
発酵酵母、特に、遺伝子操作によりアルコール発酵酵母
に凝集性遺伝子が導入された凝集性アルコール発酵酵母
及びその育種方法に関する。
母であるサッカロマイセス・セレビシエの中で特にアル
コール生産性の高い株(以下、アルコール発酵酵母とい
う)を用いて、回分発酵法という手法に基づき実施され
ている。
かに糖蜜等の原料とともに前記アルコール発酵酵母の前
培養液を加えて所定の条件下で培養することにより、原
料に含まれる糖が発酵分解されてアルコールが生成され
る。ここで生成されたアルコールは、酵母を含んだ状態
の培養液を加熱することにより蒸留回収される。一方、
アルコールが回収された後の培養液中の酵母は、加熱に
より死滅することになる。従って、再びアルコールを生
成する場合には、発酵槽に添加する前培養液の調製を行
うことから開始されることになる。
産規模が大きな場合には、この前培養液もかなりの量が
必要となるため、その調製にはかなりの労力を要する。
そこで、この労力を軽減すべく種々の技術が開発されて
いる。その一つとして凝集性酵母を用いた繰り返し回分
法が挙げられる。
互作用して凝集塊を形成し静置状態の培地中で液底に沈
降する性質(以下、この性質を凝集性という)を有する
酵母をいう。この凝集性酵母を用いた繰り返し回分法
は、この凝集性酵母の凝集性を利用して、蒸留によるア
ルコールの回収を行う前に酵母と培養上清とを分離し、
分離された酵母が次のアルコール生産に繰り返し使用で
きることを特徴としている。
酵母とを加えて、所定の条件で培養し、アルコールを生
成させる。そして、この培養工程終了後、培養液を静置
することにより酵母を液底に凝集沈降させる。アルコー
ル回収工程では、この培養液の上清のみを分離し、この
上清を蒸留することによりアルコールの回収が行われ
る。一方、発酵槽に残された酵母は、新たな原料を加え
ることにより次のアルコール生産に繰り返し使用され
る。この結果、従来の前培養液の調製を省略することが
可能になるため、アルコール生産における作業効率及び
生産効率を向上させることが可能となる。
凝集性酵母は、多くは自然界から凝集性を指標としてス
クリーニングにより得られたものである。しかし、自然
界から得られた凝集性酵母では、凝集性は備えているも
ののアルコール生産性の点で不十分な場合が多く、アル
コール生産、特に工業用アルコール生産における酵母と
しては実用性に欠けていた。
と高いアルコール生産性とを兼備した酵母(以下、凝集
性アルコール発酵酵母という)を人工的に作り出すこと
が試みられている。その一例として、特開平5−236
942号公報があり、ここには細胞融合法を用いた凝集
性アルコール発酵酵母の育種技術が開示されている。す
なわち、従来から使用されているアルコール生産能の高
いアルコール発酵酵母と凝集性を有する凝集性酵母とを
細胞融合させることにより、凝集性アルコール発酵酵母
が作り出されている。
た細胞融合法は、一般に融合が行われる両細胞が完全に
核融合するとは限らないという問題がある。そのため、
アルコール生産等に用いられている高いアルコール生産
能を有する酵母のように倍数性が高い株においては、目
的とする高いアルコール生産能を担う遺伝情報が融合細
胞に伝達されたか否かを確認するため、多数の融合株を
スクリーニングしなければならず多大なる労力を要する
ことになる。
たとしても、凝集性酵母に備えられた目的以外の予期し
ない性質が融合酵母に伝わることが予想され、この性質
によりアルコール生産等に影響を与えることも考えられ
る。
の凝集性について遺伝子レベルの解析が進められ、この
凝集性に関与する遺伝子(以下、凝集性遺伝子という)
がいくつか単離、同定されている。この遺伝子の一つと
してFLO1遺伝子があり、その配列が特表平7−50
9372号に開示されている。
高いアルコール生産能を有する酵母に凝集性のみが付与
された実用的な凝集性アルコール発酵酵母とその育種方
法を開発した。
ル発酵酵母の育種方法は、アルコール発酵酵母の染色体
上の任意のマーカー遺伝子領域に外来DNAである凝集
性遺伝子発現カセットを導入することにより実行する。
トは、前記所定の遺伝子領域を分断するかまたはその内
部配列と置換するように制御領域を含む凝集性遺伝子を
配列させて構成されている。なお、この凝集性遺伝子を
配列させるに当たっては、凝集性遺伝子とマーカー遺伝
子との転写方向を同方向または逆方向のいずれの方向と
してもよいが、方向により凝集性遺伝子の発現効率が異
なる場合には、凝集性遺伝子の発現が効率的に行われる
方向を選択して使用する。
遺伝子領域の配列を発現カセットの両端に備えることに
より、酵母内では、染色体上のマーカー遺伝子領域と相
同組換えが起き、凝集性遺伝子を目的の領域に効率よく
導入することが可能となる。
目的とする遺伝情報、すなわち凝集性遺伝子のみが確実
に導入されるため、従来の細胞融合法のようにアルコー
ル生産作用に影響を及ぼす可能性のある他の遺伝情報の
導入を防止することが可能となる。また、この方法によ
れば、導入される酵母が倍数性であっても問題はなく、
むしろ、対象となるマーカー遺伝子領域の数が増えるた
め、凝集性遺伝子の導入効率が上昇することも考えられ
る。
法のように凝集性遺伝子が染色体上に存在する場合とは
異なり、凝集性遺伝子が比較的短いDNA配列からなる
カセット上に存在することから、このカセット上の凝集
性遺伝子を種々修飾することにより適切な凝集性を示す
変異型に改変してから導入することもできる。
しては、種々の既知の凝集性遺伝子を利用することがで
きるが、後述する理由から同種酵母、すなわちサッカロ
マイセス・セレビシエ由来の凝集性遺伝子を用いること
が好ましい。サッカロマイセス・セレビシエ由来の凝集
性遺伝子の場合、例えば、上述したFLO1L遺伝子
(特表平7−509372号公報)を好適に使用するこ
とができる。
制御領域も種々選択することができる。ここで使用でき
る制御領域としては、既存の制御領域から任意に選択す
ることができるが、後述する理由から同種酵母サッカロ
マイセス・セレビシエ由来の制御領域を利用することが
好ましい。サッカロマイセス・セレビシエ由来の制御領
域として既に知られたものとしては、例えば、ADH1
(アルコールデヒドロゲナーゼ1)の制御領域などが挙
げられる。
方法は、いわゆる遺伝子組換えに基づくものであるた
め、用いるDNA材料によっては、例えば科学技術庁の
組換えDNA実験指針などに基づいて、所定の設備等の
下で実施する必要が生じる。また、ここで作られた凝集
性アルコール発酵酵母を用いてアルコール生産を行う場
合にも、通産省の組換えDNA技術工業化指針などに従
い実施する必要がある。
ち、凝集性遺伝子発現カセットが、受容体であるアルコ
ール発酵酵母と分類学上同一の種に属する生物由来の場
合には、セルフクローニング系として取り扱われ、上記
した遺伝子組換えという枠からはずれることになる。そ
の結果、上記育種方法の実施及びこの方法で育種された
酵母を用いたアルコール生産方法の実施は、一般の設備
すなわち既存の設備下でも行えることになる。このこと
から、本発明においては、凝集性遺伝子発現カセットを
アルコール発酵酵母と同種のサッカロマイセス・セレビ
シエ由来のDNAから調製することが好ましく、また、
経済的である。
ーカー遺伝子に関しては、凝集性遺伝子発現カセットが
導入された形質導入体を容易にスクリーニング可能とす
るために、前記発現カセットが導入されることにより表
現型が変化する選択可能なマーカー遺伝子であることが
好ましい。すなわち、前記発現カセットが導入されるこ
とにより前記マーカー遺伝子が破壊され、その結果、形
質転換体の表現型が変化し、この変化を指標に容易に選
択することが可能となる。この表現型の変化としては、
栄養要求性における変化、特定の薬物に対する感受性の
変化などが挙げられる。より好ましくは、前記マーカー
遺伝子として、凝集性遺伝子発現カセットの導入などに
より破壊された場合に特定の薬物などに対して耐性を獲
得するポジティブ選択が可能な遺伝子を用いる。即ち、
ここでポジティブ選択とは、特定の遺伝子(ここではマ
ーカー遺伝子)が改変されることにより特定の薬剤に対
して耐性を獲得し、生存可能となったものを選択するこ
とをいう。
を利用した場合、形質転換後特定の薬物を含有する培地
上で培養することにより、凝集性遺伝子発現カセットの
導入などによりその遺伝子配列が破壊された酵母株のみ
が生存可能となる。この結果、目的とする形質転換細胞
を容易に取得することが可能となる。
としては、例えば、URA3遺伝子、LYS2遺伝子、
CAN1遺伝子、CYH2遺伝子などが挙げられ、これ
ら遺伝子に対する特定の薬剤としては、5−フルオロオ
ロチン酸(5−FOA)、α−アミノアジピン酸、カナ
バニン、シクロヘキシミドがそれぞれ対応する。
子への突然変異を誘発する性質を有することから、特に
アルコール生産に使用されているアルコール発酵酵母の
ように倍数性酵母(多くの場合2倍体酵母)における形
質転換酵母のスクリーニングに好適に使用することがで
きる。
アルコール発酵酵母が例えば2倍体である場合、複数の
染色体上の各マーカー遺伝子に凝集性遺伝子発現カセッ
トが導入される必要はなく、少なくとも一つのマーカー
遺伝子に該カセットが導入されれば、凝集性の付与とい
う点で十分である。しかし、他方のマーカー遺伝子が完
全な状態で残っているため、このような酵母を選別する
ことは困難であるが、上記性質を有効に利用することに
より、該酵母を簡易に選別することが可能となる。つま
り、一方のマーカー遺伝子に該カセットが導入され、他
方のマーカー遺伝子には前記薬剤に基づき一定の割合で
突然変異が導入される。その結果、双方のマーカー遺伝
子が破壊された形質転換酵母が形成されて上記薬剤に耐
性を獲得し、前記薬剤を含有する培地上で他の酵母と選
別することが可能となる。
母細胞は複数の染色体上のマーカー遺伝子すべてに突然
変異が生じなければ、前記薬剤を含有する培地上で生育
することができず、その頻度は低いと予想される。すな
わち、該カセット導入操作後に該培地で生育してくる株
は染色体上のマーカー遺伝子の少なくとも一つの位置に
該カセットが目的通り導入されている確率が非常に高い
と言える。
ル発酵酵母は、アルコール発酵酵母のマーカー遺伝子に
凝集性遺伝子発現カセットが導入されて、元来有するア
ルコール生産能を維持したまま、凝集性のみが付加され
ることになる。例えば、アルコール生産能が高い酵母の
場合には、その性質を維持したままさらに凝集性が加え
られるため、アルコール生産等にとって、より有用な酵
母が形成されることになる。
を用いて説明する。
ing, A LABORATORY MANUAL, Cold Spring Harbor Labor
atory Press (1989))に従い、凝集性遺伝子、この凝集
性遺伝子を発現させるための制御DNAをマーカー遺伝
子を分断するか内部配列と置換するように、適宜連結し
て構築することができる。
遺伝子又はこの凝集性遺伝子を改変したものを用いるこ
とができるが、これに限定されることはない。セルフク
ローニングという観点からは、ここで用いる凝集性遺伝
子は、サッカロマイセス・セレビシエ由来であることが
好ましい。サッカロマイセス・セレビシエの凝集性遺伝
子には、FLO1遺伝子、FLO5遺伝子、FLO8遺
伝子などがある。これら凝集性遺伝子は、染色体から単
離して調製するか、簡便にはFLO1遺伝子のように既
にプラスミド上に単離されたものを用いることもでき
る。また、凝集性を有効に保持していれば、この既存の
凝集性遺伝子を改変して利用することもできる。
には、凝集性遺伝子の発現に必要なプロモータ、発現の
終結に必要なターミネータが含まれ、また必要であれば
プロモータからの発現を上昇させるエンハンサーを含め
ることもできる。このような制御領域は、凝集性遺伝子
自身が備える制御領域や現在知られている多数の制御領
域から、サッカロマイセス・セレビシエ内で機能するも
のを適宜選択して使用することができる。また、上記と
同様に、セルフクローニングという観点からは、ここで
用いる制御領域は、サッカロマイセス・セレビシエから
調製することが好ましい。サッカロマイセス・セレビシ
エ由来の制御領域としては、例えば、ADH1、GAP
DH、PHO、GAL、PGK、ENO、TRP、HI
Pなどの遺伝子の制御領域を利用することができる。
の遺伝子配列が破壊されたときに表現型、例えば、栄養
要求性や薬剤に対する感受性が変化するような選択可能
な遺伝子を用いる。さらに好ましくは、その配列の破壊
により特定の薬剤に対して耐性を獲得するようなポジテ
ィブ選択が可能な遺伝子を用いる。このようなポジティ
ブ選択可能な遺伝子には、上述したように、例えば、U
RA3遺伝子、LYS2遺伝子、CAN1遺伝子、CY
H2遺伝子などが挙げられる。そして、これら遺伝子に
対する特定の薬剤としては、5−フルオロオロチン酸
(5−FOA)、α−アミノアジピン酸、カナバニン、
シクロヘキシミドがそれぞれ対応する。尚、前記URA
3遺伝子及びLYS2遺伝子は、その配列の破壊により
栄養要求性も変化する。
カー遺伝子に連結して凝集性遺伝子発現カセットを形成
する場合、例えば、以下の順序で実行することができ
る。先ず、上記凝集性遺伝子に上記制御DNAを接続し
て、凝集性遺伝子が発現可能なユニットを形成する。次
いで、ここで形成されたユニットを前記マーカー遺伝子
領域を分断するか又はその内部配列と置換するよう接続
する。換言すれば、両側にマーカー遺伝子の配列を残し
た状態で、その内部に前記ユニットを接続できれば、い
かなる順序でこれらを接続してもよい。
を備えていれば、前記ユニットとマーカー遺伝子との接
続向きは同方向であっても逆方向であってもよく、選択
したDNA材料によって発現効率のよい接続方向を選択
することが好ましい。
子の長さは、少なくとも酵母内で染色体上のマーカー遺
伝子と相同組換えが可能な長さを備えていれば、その範
囲で長さを変更することができる。尚、サッカロマイセ
ス・セレビシエにおいて、組換えに必要な最小限の長さ
として38−50bpが必要であることが示されている
(Gene, 158, 113-117(1995))。
用いるために増幅する場合、上記発現カセットを適当な
プラスミドに挿入して、プラスミドとして増幅させるこ
とが簡便である。そして、ここで増幅されたプラスミド
より発現カセットの部分を制限酵素で切断し、この切断
断片を常法に従い精製することにより大量の発現カセッ
トを調製することができる。
ー遺伝子の少なくとも一つを含有するプラスミドが存在
する場合には、このプラスミド上で上記発現カセットを
構築し、最終的にこのプラスミドから前記発現カセット
を切り出し精製することにより調製することもできる。
母、またはサッカロマイセス・セレビシエの任意のアル
コール生産能を有する株を選択して用いることができ
る。例えば、396−9−6V株(微工研受託番号FE
RMP−12804)のように工業用アルコール発酵酵
母を好適に用いることができる。
換に使用する場合には、適当な液体培地を用いて適当な
生育段階まで該アルコール発酵酵母を培養し、適切な溶
液に懸濁し懸濁液とする。
子発現カセットの形質転換 形質転換は、常法に従い、プロトプラスト法、酢酸リチ
ウム法、エレクトロポレーション法等の任意の方法を用
いて実施することができる。
遺伝子に基づく表現型の変化を指標に実行することが好
ましい。ここで、マーカー遺伝子が、例えば栄養要求性
に関与する遺伝子の場合には、その栄養要求性の変化に
基づいて実施することができ、また、薬剤に対する感受
性に関与する遺伝子の場合には、その薬剤に対する感受
性の変化を指標に実施することができる。
は、上記したURA3遺伝子などのようなポジティブ選
択が可能な遺伝子を用いることが望ましい。例えば、U
RA3遺伝子を用いた場合には、5−FOAを含有する
培地上で形質転換後の酵母群を培養することにより、U
RA3遺伝子が破壊された形質転換体のみがその培地上
で生育することが可能となる。その結果、この方法によ
れば、簡便に形質転換体のみを選別することが可能とな
る。
は、所定の量の発酵試験用培地(例えば、合成培地;1
% yeast extract、2% peptone、24%glucose、
及び、糖蜜培地;全糖濃度24%インドネシア産糖蜜)
に所定濃度の酵母培養液を接種して、32℃、6日間振
とう培養後、培養上清中のエタノール濃度をガスクロマ
トグラフィーにより測定することで実施することができ
る。
CO2ガスの発生量に基づいて測定することができる。
らの方法(Yeast Genetics: Fundamental and Applied
Aspects, 205-224(1983))に従い実施することができ
る。
的確認 アルコール生産能、凝集性を有することが確認された形
質転換体において、導入された凝集性遺伝子の存在を遺
伝子レベルで確認することが望ましい。この場合には、
例えば、サザンハイブリダイゼーション法やPCR(Po
lymerase chainreaction )法を好適に利用することが
できる。
写されていることを確認するためには、例えば、ノーザ
ンハイブリダイゼーション法を好適に利用することがで
きる。上記各方法は、Molecular Cloning, A LABORATOR
Y MANUAL, Cold Spring Harbor Laboratory Press(198
9)などに従い適切に実施することができる。
に説明するが、本発明はこれに限定されることはない。
用アルコール高生産性酵母であるサッカロマイセス・セ
レビシエ396−9−6V株を使用し、また、マーカー
遺伝子としてはURA3遺伝子、凝集性遺伝子としては
サッカロマイセス・セレビシエのFLO1L遺伝子を用
いた。
の構築 凝集性遺伝子発現カセットは図1に示すYIp-dU-FLO1Lプ
ラスミドから調製した。このYIp-dU-FLO1Lは、YIp5プラ
スミドのURA3遺伝子内の制限酵素NcoI−Stu
I領域をADH1プロモータ−FLO1L−ADH1タ
ーミネータのユニットで置換し構築した。
ミドを制限酵素NcoI/StuI消化後、末端を平滑
化しBAP処理した。その後、アガロース電気泳動にて
分離・抽出し5.3kbの断片を得た一方、プラスミド
YRpGL10-ADH1-FLO1L(Watariら, Agricultural Biologic
al Chemistry, vol.55, 1547(1991))をBamHI消化
後同様に末端を平滑化し、アガロース電気泳動にて分離
・抽出し6.6kb断片を得た。そして、上記5.3k
b断片とこの6.6kb断片をT4DNAリガーゼで連
結して構築した(図1)。尚、図1には詳細には示され
ていないが、このプラスミドはURA3の転写方向とF
L01Lの転写方向とは逆向きに接続されている。次
に、このプラスミドを大腸菌SURE株(Stratagene
社)を用いて増幅し、制限酵素PstI、SmaIで消
化し、直鎖状のDNA断片である凝集性遺伝子発現カセ
ットを回収した。
凝集性遺伝子発現カセットの導入 この形質転換において酵母内で生じる予想メカニズムを
図2に模式的に示す。
片を導入すると、多くは一本の染色体上のURA3領域
に断片が組み込まれ、ウラシル非要求性の形質転換体
(B)が形成される。この株を5−FOA(フルオロオ
ロチン酸)で選択すると他の染色体上のURA3に突然
変異が導入され、ウラシル要求性の形質転換体(C)が
形成される。
倍数性アルコール発酵酵母396−9−6V株の形質転
換をItoら(Journal of Bacteriology, Vol.153,163(19
83))による酢酸リチウム法を一部改変して実施した。
PD培地(1% yeast extract、2% polypeptone、
2% glucose)中で振とう培養し、対数増殖期に遠心
分離によって集菌した。この菌体を5mlのTE緩衝液
で洗浄した後、同じ緩衝液0.25mlに懸濁した。こ
の懸濁液に等量の0.2M酢酸リチウム溶液を添加した
後、1時間、30℃で緩やかに振とうした。この懸濁液
から0.1mlを採取し1.5mlマイクロチューブに
移し、そこに上記DNA断片を含むDNA溶液(5μg
/μl)10μlを添加した。添加後、30℃、30分
間静置した。さらにこの混合液に70%PEG4000
を0.1ml加えよく混和し、30℃、1時間静置し
た。次いで、この混合液を含むマイクロチューブを42
℃の恒温水槽に移し、5分間静置した。そのマイクロチ
ューブを室温下に置き、菌体を室温まで放冷した。放冷
後、菌体を滅菌水で洗浄し、最終的に2mlのYPD培
地に再懸濁した。
期に沈降する株、即ち凝集性を示唆する株のみを新しい
培地に植え継ぐことを10回繰り返して形質転換体を濃
縮した。次いでこの濃縮液を1mg/mlの5−フルオ
ロオロチン酸及び50μg/mlのウラシルを含むSD
培地(FOAプレート:0.67% yeast nitrogen b
ase without amino acids、2% glucose、2% aga
r)において30℃、1週間培養した。この培養によ
り、ウラシル要求性かつFOA耐性のコロニーが31株
得られた。この際の形質転換の頻度は、0.62コロニ
ー/μgDNAであった。この31株からウラシル要求
性及び凝集性が安定な株として28株を選択し、次の発
酵試験を行った。
写方向が逆向きの発現カセットを用いた場合、その形質
転換頻度は同方向の発現カセットの30倍高い結果が得
られた。
を準備した。前培養は、試験管中のYM培地(2ml)
に新鮮な酵母細胞を1白金耳植菌し、30℃で1晩振と
う培養して行った。
で行った。L字型試験管中の10mlの発酵試験用培地
(合成培地:1% yeast extract、2% peptone、2
4%glucose;糖蜜培地:全糖濃度24%インドネシア
産糖蜜)を準備し、そこに前培養溶液を100μl植菌
し、30℃で7日間振とう培養して行った。発酵性能の
優れた1株を選択し、この株をFSC27株と名付け
た。次いでこの株の凝集性を調べた。この株をYPD液
体培地を用いて2週間植え継ぎ、その沈降度から安定な
凝集性を有することを確認した。
る凝集性の特徴であるCa2+依存性であるか否か調べ
た。
価 FSC27株を定常期まで培養した10mlの凝集性酵
母菌体培養液に1mlの0.5mM EDTA溶液(p
H8.0)を加えよく攪拌した後、これを集菌し、Ca
2+を含む凝集用バッファー(0.51g/ml CaS
O4、6.8g/ml CH3COONa、4.0g/m
l CH3COOH、pH4.5)に再懸濁し、その際
の沈降度から、凝集性の有無を確認した。
存性であることが示された。次ぎにこのFSC27株の
遺伝子解析を行った。
子発現カセットが存在することをサザンハイブリダイゼ
ーション法により確認した。尚、このサザンハイブリダ
イゼーション法には、プローブとしてURA3遺伝子断
片及びFLO1遺伝子断片を用いた。
行った。この全DNAの調製は、Philippsenらの方法
(Methods in Enzymology, Vol 194, 169(1990))に従
い行った。また、サザンハイブリダイゼーション法及び
プローブの標識は、Amersham社のECL direct nucleic
acid and detection systemに従って行った。その結果
を図3に示す。
の結果を示し、図3Bには、FLO1プローブを用いた
際の結果を示した。また、図3Cには、陰性の対照とし
てpBR322をプローブとして用いた際の結果を示
す。
ドYIp-dU-FLO1 を、各レーン2には親株の396−9−
6V株の全DNAを、各レーン3には、FSC27株の
全DNAを泳動した。尚、各レーンのDNAサンプル
は、Hind III消化後に泳動を行った。
RA3プローブを用いて約0.8kbのシグナルが検出
されたが、一方のFSC27株(レーン3)では、親株
よりも長い約2.0kbのシグナルが検出された。この
ことから、FSC27株には、URA3遺伝子領域に凝
集性遺伝子発現カセットが挿入されていることが示され
た。
を用いた場合、FSC27株(レーン3)では、親株
(レーン2)にはみられない約3kbの導入したFLO
1由来と考えられるシグナルが検出されている。従って
FSC27株において確認された凝集性が、導入された
FLO1遺伝子由来であることが示された。尚、親株に
おいて検出されたシグナルはFL01と類似する凝集性
には関与しない配列に由来するものと考えられる。
の母体となるpBR322プローブを用いて、FSC2
7株内に、凝集性遺伝子発現カセット以外のDNA配列
が導入されているか否かを解析した。その結果、シグナ
ルはプラスミドYIp-dU-FLO1(レーン1)でのみ検出さ
れ、レーン2及びレーン3には検出されなかった。すな
わち、FSC27株には、前記発現カセットのみが導入
されたことが示された。この発現カセットは、396−
9−6V株と同種のサッカロマイセス・セレビシエから
構成されていることから、このFSC27株がセルフク
ローニング株であることが確認された。
O1遺伝子由来であることをより確実にするために、F
LO1遺伝子の転写をノーザンハイブリダイゼーション
により解析した。
O1遺伝子の転写解析 FLO1遺伝子の転写の解析は、FLO1をプローブと
したノーザンハイブリダイゼーション法により行った。
FSC27株からの全RNAの回収は、Schmitt らの方
法(Nucleic Acids Research, Vol. 18,309(1990) )に
準じて行った。ノーザンハイブリダイゼーション操作及
びプローブの標識は、ベーリンガーマイハイム社のDI
Gシステムを用いて実施した。陽性の対照として、プラ
スミドYCpHF19L(FL01自身の制御領域下でFL01
遺伝子が発現するプラスミド)をYJW6株に導入した
株を作成し、プラスミド上でFLO1遺伝子を発現さ
せ、上記と同様の操作を行った。
上記陽性の対照株の全RNAを、レーン2には親株の3
96−9−6V株からの全RNAを、レーン3にはFS
C27株の全RNAを泳動した。
陽性の対照であるレーン1と同じ位置にシグナルが検出
された。このことからFSC27株において、導入され
たFLO1遺伝子が発現されていることが確認された。
従って、FSC27株の凝集性がFLO1遺伝子由来で
あることが確実となった。
ルコール生産能)を解析した。
験 FSC27株の発酵性能を親株の発酵性能と比較するこ
とにより解析した。
ルで行った。発酵試験を行うに当たり、先ず、FSC2
7株及び親株である396−9−6V株について、上述
と同様にそれぞれ新鮮な前培養液を調製した。次いで、
各マイセル氏発酵管付き三角フラスコに上述した24%
糖蜜培地(285ml)にそれぞれ前培養液(15m
l)を接種し、マグネチックスターラーのような撹拌器
により撹拌をしながら32℃で6日間培養を行った。培
養終了後、培養液を遠心分離器により12000rpm
で5分間遠心分離を行い、上清を回収して、この上清中
のエタノール濃度をガスクロマトグラフィー(島津GC
−8A,カラム2m×3mmφ,ガスクロパック54
@)により測定した。その結果を表1に示す。
ため、24%糖蜜培地にはウラシル濃度を0−100μ
g/mlの範囲で添加し、ウラシル添加によるエタノール生
産への影響についても試験を行った。
ない培地では、親株のエタノール濃度が12.09%で
あったのに対し、FSC27株では11.73%であ
り、親株に比して発酵性能がやや劣っていた。しかし、
ウラシル(50μg/ml、100μg/ml)を添加した培地
では、親株に比してFSC27株ではいずれも約0.5
%上回っていた。このことは発酵歩合においても同様な
結果が示された。
非含有培地におけるエタノール濃度を100%とした場
合の親株の各ウラシル含有培地におけるエタノール濃度
及びFSC27株の各ウラシル含有培地におけるエタノ
ール濃度を示した。この比率から示されているように、
親株では培地へのウラシル添加による発酵性能への影響
は見られなかったが、一方のFSC27株では、培地へ
のウラシル添加により発酵性能が上昇することが示され
た。
加により発酵速度が上昇することが示された。この発酵
速度は、培養中のCO2ガス発生量に基づいてに測定し
た。その結果を図5に示した。尚、図5において、○:
396−9−6V株(ウラシル0μg/ml)、△:396
−9−6V株(ウラシル50μg/ml)、□:396−9
−6V株(ウラシル100μg/ml)、●:FSC27株
(ウラシル0μg/ml)、▲:FSC27株(ウラシル5
0μg/ml)、黒塗り□:FSC27株(ウラシル100
μg/ml)として示した。
では、ウラシル非含有培地では親株に比して発酵速度の
遅れがみられた。一方、各ウラシル含有培地では、FS
C27株の発酵速度は、親株に比して初期にやや発酵速
度の遅れがみられるものの、中期(72時間目)以降は
むしろFSC27株の発酵速度が親株を上回った。
認 上記アルコール生産能を測定すると同時に凝集性につい
ても測定した。
SC27株をそれぞれYPD培地中で30℃、一晩培養
した後、1分間静置した際のそれぞれ凝集性を示す。こ
れらより、FSC27株は凝集性遺伝子発現カセットの
導入により、親株(396−9−6V株)には存在しな
い凝集性を獲得したことが示された。
方法(Yeast Genetics: Fundamental and Applied Aspe
cts, 205-224(1983))に従って行った。すなわち、凝集
性の程度(DF値)を0から5の6段階で評価する。
尚、0:非凝集性、1:非常に弱い凝集性、2:弱い凝
集性、3:中程度の凝集性、4:強い凝集性、5:非常
に強い凝集性とした。
V株では凝集性の程度は「0」すなわち非凝集性であっ
たが、FSC27株では、凝集性の程度は「5」すなわ
ち非常に強い凝集性が示された。
して凝集性を測定するための標準株(ABXL−1D、
ABXR−11B)を用い、FSC27株の凝集性の程
度をこれら標準株と比較して測定した。尚、ABXL−
1D株は凝集性遺伝子FLO1の標準株として、ABX
R−11B株は凝集性遺伝子FLO5の標準株として用
いた。
遺伝子を備えたABXL−1D株では、その凝集性の程
度は「3」(中程度の凝集性)であったのに対し、FS
C27株は「5」であった。また、異なる凝集性遺伝子
FLO5を有するABXR−11B株と比較しても、F
SC27株の凝集性は高かった。
酵母と比較しても、かなり高い凝集性を有していること
が示された。
発酵酵母との比較 さらに、本実施例では、上述した細胞融合により創製さ
れた凝集性アルコール発酵酵母(F−5株)(特開平5
−236942号)と上記FSC27株との比較検討を
行った。その結果を表3に示す。
株、396−9−6V株に由来し、この親株に凝集性遺
伝子であるFLO5遺伝子を有する酵母を融合させて創
製されたものである。
ない培地中では、FSC27株は、F−5株に比して生
成エタノール濃度として0.3%程度低かった。しか
し、ウラシル含有培地(50μg/ml、100μg/ml)で
は、FSC27株は、F−5株に比して生成エタノール
濃度として約0.3%高いことが示された。
2ガス発生量に基づいて測定した。その結果を図7に示
した。尚、図において、○:F−5株(ウラシル0μg/
ml)、△:F−5株(ウラシル50μg/ml)、□:F−
5株(ウラシル100μg/ml)、●:FSC27株(ウ
ラシル0μg/ml)、▲:FSC27株(ウラシル50μ
g/ml)、黒塗り□:FSC27株(ウラシル100μg/
ml)として示した。
では、ウラシル非含有培地ではF−5株に比して発酵速
度の遅れがみられたが、各ウラシル含有培地では、FS
C27株の発酵速度は、F−5株と同程度の発酵速度が
示された。
に、FSC27株では凝集性の程度が「5」であるのに
対し、F−5株ではFSC27株よりも低い「3」(中
程度の凝集性)であった。この結果は、その創製方法の
違いに由来する差であるか、または、利用した凝集性遺
伝子、制御領域などのDNA材料の違いに由来するかは
不明である。
工学技術研究所において受託番号FERM P−160
23として寄託されている。
ル発酵酵母に凝集性遺伝子のみを導入することができる
ため、元来有する高いアルコール生産能に影響を与える
ことなく、アルコール発酵酵母に凝集性を付与すること
が可能となる。
においてより実用的な凝集性アルコール発酵酵母を提供
することが可能となるとともに、本発明の凝集性アルコ
ール発酵酵母をアルコール生産過程に使用することによ
り、生産効率の上昇、生産工程の合理化を図ることが可
能となる。
するプラスミドを示す図である。
模式図である。
NAを電気泳動後、URA3プローブ(A)、FLO1
プローブ(B)、PBR322プローブ(C)を用いて
サザンハイブリダイゼーションを行った際の電気泳動パ
ターンを示す写真である。
NAを電気泳動後、FLO1をプローブとしてノーサン
ハイブリダイゼーションを行った際の電気泳動パターン
を示す写真である。
−9−6V株)との発酵速度を比較したグラフである。
−9−6V株)との凝集性を比較した際の生物(各酵母
株)の形態を示す写真である。
アルコール発酵酵母(F−5株)との発酵速度を比較し
たグラフである。
Claims (15)
- 【請求項1】 倍数体の凝集性アルコール発酵酵母を育
種する方法であって、マ ーカー遺伝子領域を分断するかまたはその内部配列と
置換するように制御領域を含む凝集性遺伝子が挿入され
た凝集性遺伝子発現カセットを、倍数体のアルコール発
酵酵母の内在の前記マーカー遺伝子領域に導入し、前記
アルコール発酵酵母を形質転換する形質転換工程と、 前記形質転換後のアルコール発酵酵母のうち凝集性酵母
を選択する濃縮工程と、 前記マーカー遺伝子領域が破壊されたことにより生じる
表現形を指標として形質転換体を選択する形質転換体選
択工程と、を有する 凝集性アルコール発酵酵母の育種方
法。 - 【請求項2】 前記制御領域及び凝集性遺伝子が前記ア
ルコール発酵酵母と同種の酵母由来であることを特徴と
する請求項1に記載の凝集性アルコール発酵酵母の育種
方法。 - 【請求項3】 前記マーカー遺伝子は、その配列が破壊
されることにより所定の薬剤を含有した条件下で生存可
能となるポジティブ選択が可能な遺伝子であることを特
徴とする請求項1または2に記載の凝集性アルコール発
酵酵母の育種方法。 - 【請求項4】 前記マーカー遺伝子がウラシルの生合成
に関与する遺伝子であることを特徴とする請求項3に記
載の凝集性アルコール発酵酵母の育種方法。 - 【請求項5】 前記凝集性遺伝子発現カセットにおい
て、前記マーカー遺伝子と前記凝集性遺伝子とが、逆向
きに配置されていることを特徴とする請求項1〜4に記
載の凝集性アルコール発酵酵母の育種方法。 - 【請求項6】 前記濃縮工程が、形質転換後のアルコー
ル発酵酵母を液体培地を用いて培養し、培養時に沈降す
る酵母を新たな培地に植え継ぐことにより、凝集性酵母
のみが選択濃縮されることを特徴とする請求項1〜5の
いずれかに記載の凝集性アルコール発酵酵母の育種方
法。 - 【請求項7】 アルコール発酵酵母の染色体上の任意の
マーカー遺伝子領域に凝集性遺伝子発現カセットを導入
して凝集性アルコール発酵酵母を育種する方法であっ
て、 前記凝集性遺伝子発現カセットは、前記マーカー遺伝子
領域を分断するかまたはその内部配列と置換するよう
に、制御領域を含む凝集性遺伝子が、前記マーカー遺伝
子に対して逆向きに挿入されていることを特徴とする凝
集性アルコール発酵酵母の育種方法。 - 【請求項8】 前記マーカー遺伝子は、その配列が破壊
されることにより所定の薬剤を含有した条件下で生存可
能となるポジティブ選択が可能な遺伝子であることを特
徴とする請求項7に記載の凝集性アルコール発酵酵母の
育種方法。 - 【請求項9】 前記マーカー遺伝子がウラシルの生合成
に関与する遺伝子であることを特徴とする請求項7に記
載の凝集性アルコール発酵酵母の育種方法。 - 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかの凝集性アル
コール発酵酵母の育種方法により育種された凝集性アル
コール発酵酵母。 - 【請求項11】 前記凝集性アルコール発酵酵母がFS
C27株(FERMP−16023)であることを特徴
とする請求項10に記載の凝集性アルコール発酵酵母。 - 【請求項12】 酵母に内在するマーカー遺伝子領域を
備え、 前記マーカー遺伝子領域を分断するかまたはその内部配
列と置換するように、制御領域を含む凝集性遺伝子が挿
入され、 前記凝集性遺伝子が前記マーカー遺伝子と逆向きに挿入
されていることを特徴とする凝集性遺伝子発現カセッ
ト。 - 【請求項13】 前記マーカー遺伝子は、その配列が破
壊されることにより所定の薬剤を含有した条件下で生存
可能となるポジティブ選択が可能な遺伝子であることを
特徴とする請求項12に記載の凝集性遺伝子発現カセッ
ト。 - 【請求項14】 前記マーカー遺伝子がウラシルの生合
成に関与する遺伝子であることを特徴とする請求項13
に記載の凝集性遺伝子発現カセット。 - 【請求項15】 請求項12〜14のいずれかに記載の
凝集性遺伝子発現カセットを備えたベクター。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5843597A JP3040959B2 (ja) | 1997-02-26 | 1997-02-26 | 凝集性アルコール発酵酵母及びその育種方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5843597A JP3040959B2 (ja) | 1997-02-26 | 1997-02-26 | 凝集性アルコール発酵酵母及びその育種方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10234368A JPH10234368A (ja) | 1998-09-08 |
JP3040959B2 true JP3040959B2 (ja) | 2000-05-15 |
Family
ID=13084326
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5843597A Expired - Lifetime JP3040959B2 (ja) | 1997-02-26 | 1997-02-26 | 凝集性アルコール発酵酵母及びその育種方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3040959B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3874775B2 (ja) * | 2004-10-08 | 2007-01-31 | 日本アルコール産業株式会社 | 凝集性アルコール発酵酵母の生産方法及び凝集性アルコール発酵酵母 |
BRPI0908930A2 (pt) | 2008-03-18 | 2015-08-04 | Univ Yamaguchi | Levedura floculenta e método para produção da mesma |
-
1997
- 1997-02-26 JP JP5843597A patent/JP3040959B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (7)
Title |
---|
Agric.Biol.Chem.,Vol.55,No.6(1991)p.1547−1552 |
Gene,Vol.158,No.1(1995)p.113−117 |
J.Gen.Appl.Microbiol.,Vol.44,No.5(1998)p.347−353 |
Yeast,Vol.12,No.2(1996)p.129−134 |
Yeast,Vol.12,No.3(1996)p.259−265 |
日本農芸化学会誌,第69巻,臨時増刊号(1995)p.275 |
日本農芸化学会誌,第71巻,臨時増刊号(1997.Mar.)p.226 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10234368A (ja) | 1998-09-08 |
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