JP3039312B2 - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置

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JP3039312B2
JP3039312B2 JP7042084A JP4208495A JP3039312B2 JP 3039312 B2 JP3039312 B2 JP 3039312B2 JP 7042084 A JP7042084 A JP 7042084A JP 4208495 A JP4208495 A JP 4208495A JP 3039312 B2 JP3039312 B2 JP 3039312B2
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清孝 石川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真方式を用いた
画像形成装置に係わり、特に画像を常に所定品質に保つ
ための制御を、低コストでしかも精度良く行え、さらに
商品開発時のデータ採取や最適化設計にかかる開発工数
を著しく低減することができる画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子写真方式を用いた画像形
成装置においては、画像濃度を最適に保つためのフィー
ドバック制御がごく一般に用いられている。これは、静
電気を用いた電子写真方式では、その日の温度や湿度な
どの環境条件、あるいは感光体や現像剤の経時的な劣化
などにより、装置自体の画像出力状態が変わり、濃度再
現性が変動してしまうためである。
【0003】従来のフィードバック制御の内容をより具
体的に説明すると、濃度パッチにより濃度再現状況をモ
ニタして目標濃度との誤差分を求め、これにフィードバ
ックゲインを乗じることによって、制御用アクチュエー
タの設定値補正量を算出する方法がもっとも一般的であ
る。
【0004】ここで、上記濃度パッチは、現像像パッチ
であることが多い。これは用紙上に作成される転写像や
定着像に比較して、現像像の方が作成および消去が簡単
であり、しかもユーザが手にする定着画像濃度との相関
が極めて高いためである。また、制御用アクチュエータ
としては、現像特性を左右する帯電器印加電圧や露光
量、現像バイアスなどがよく用いられている。
【0005】例えば、特開昭63−177176号公
報、63−177177号会報、63−177178号
公報に記載される技術では、現像電位を可変することで
現像濃度を所望の値に制御している。この現像電位を可
変する方式は、一成分および二成分のどちらの現像方式
でも成立する。
【0006】しかしながら、最適な現像電位は、制御不
可能な種々の外的要因、すなわち温度、湿度、累積複写
枚数などにより常に影響を受けており、帯電電位や露光
量、現像バイアスの設定はこれらの条件を常時考慮して
行わなければならないという困難さをもっている。しか
も、温度、湿度などの状態量と帯電や露光量、現像バイ
アス設定値との関係は複雑であり、現状の技術レベルで
は十分な物理モデル化はなされていない。
【0007】そこで、近似式を用いて定量化した制御な
どが行われているが、静電気的プロセスが主である電子
写真技術では、通常、状態量に対する帯電、露光量、お
よびバイアスの最適な設定値の関係は非線形であるた
め、十分な制御精度が得られていない。こうした事情に
より、事前にさまざまな環境条件、例えば高温多湿状態
や低温低湿状態での環境の影響や、経時的な劣化などの
影響を把握しなければならず、高度な制御性能を目指す
ほど、広い条件範囲に渡って詳細にデータを採取しなけ
ればならないため、膨大な開発工数が必要であった。
【0008】しかも、そのように膨大な工数を投じて決
定したフィードバックゲインも、一台一台の機差や多様
なユーザの使用条件などのために、必ずしも常に最適と
いうわけにはいかなかった。特に、経時劣化の画像濃度
への影響は、一台一台に使われている部品の劣化度合い
やユーザの使い方次第で大きく異なるため、市場に出て
からの長期的な画像濃度制御性能は必ずしも万全である
とは言えなかった。
【0009】また、上述のような制御方法であることか
ら、制御精度を得るために中間的なパラメータである帯
電電位や露光電位をモニタするための電位センサや、環
境条件をモニタするための温度センサや湿度センサを必
要とする制御方式が多く、コストアップが問題となって
いた。
【0010】また、最近になって、特開平4−3199
71号公報、4−320278号公報などに示されるよ
うに、ファジーやニューラルネットワークを用いる方法
が行われるようになってきた。これらはファジーやニュ
ーラルネットワークが入力と出力の関係が複雑な非線形
の場合にも対応できるという特徴を利用して、もっぱら
制御精度を高めるための手段として用いられている。こ
のため、上述した問題点、すなわち大量のデータ採取な
どに投じなければならない膨大な開発工数や、センサを
多用することによるコストアップ、さらに市場に出てか
らの一台一台の長期的な画像濃度制御性能が必ずしも確
保できていないなどの問題の解決には、ほとんど役に立
っていない。
【0011】むしろ、ファジーやニューラルネットワー
クを用いて、制御精度を向上させる場合は、多入力多出
力演算に適しているという特長を活かすために、多入力
化、すなわち多数のセンサを用いる場合が多く、かえっ
てコストアップになっている。
【0012】さらにファジーでは技術者によるメンバー
シップ関数のチューニングが必要であり、ニューロでは
学習作業そのものは自動化できるものの、そのための教
師データを技術者が事前に用意しなければならないな
ど、かなりの開発工数を必要とするのが実情であった。
【0013】しかも、予め経時劣化データを採取し、こ
れを考慮に入れたファジーやニューラルネットワークを
用いた場合であっても、その入力と出力の関係自体が実
際の経時劣化や機差、部品交換などによって変化してし
まった場合には、自律的に対応できないという問題があ
った。すなわち、市場に出てからの一台一台の長期的な
画像濃度制御性能は、たとえファジーやニューラルネッ
トワークを用いた場合であっても保証することはできな
かった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した従
来技術の欠点を除くためになされてものであって、その
目的とするところは、センサの数を極力減らし、以てコ
ストを低減することにある。例えば、画像濃度を制御す
る場合に、画像浪度センサ以外に従来使われていた電位
センサや温度センサ、湿度センサなどを不要にして、低
コスト化を実現することにある。
【0015】また他の目的は、技術者が事前にさまざま
な環境条件や経時的劣化などの影響を把握しなくても精
度の良い制御が自動的に行えるようにして、開発工数を
大幅に低減することにある。
【0016】さらに他の目的は、膨大な台数の画像形成
装置が市場に出て、それぞれがさまざまな使い方をされ
たり、随時部品交換が行われたりした場合であっても一
台一台の画像濃度制御性能を常に自動的に確保できる技
術を提供することにある。
【0017】またさらに他の目的は、要求されている制
御精度自体を制御装置に直接に指示設定することを可能
とし、制御装置自身がその要求精度を満たすよう自動的
に対応するように構成することで、精度向上のためのコ
ストアップや開発工数の増大を一切不要にすることにあ
る。
【0018】さらに他の目的は、上記の目的を限られた
メモリ容量でも実現可能にすることである。
【0019】またさらに他の目的は、より現状に適した
最適な制御を実現可能にすることである。
【0020】さらに他の目的は、ノイズなどの明かな異
常が生じても、現状に適した最適な制御を実現可能にす
ることである。
【0021】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、請求項1記載の発明においては、操作量に応じ
て出力画像の品質を変化させる画像品質可変手段と、出
力画像の制御事例を記憶する制御事例記憶手段と、前記
制御事例記憶手段に記憶された複数の制御事例から状態
が同一とみなせる制御事例を含む制御事例面を求め、前
記制御事例面から制御ルールを抽出する制御ルール抽出
手段と、出力画像品質を検出し、検出結果を制御量とし
て出力する検出手段と、前記制御ルール抽出手段によっ
て抽出された制御ルールを用いて、前記制御量が目標品
質に対応する値となるように新たな操作量を求める操作
量算出手段とを具備し、前記操作量算出手段によって求
められた操作量を前記画像品質可変手段に供給すること
を特徴としている。
【0022】また、請求項2に記載の発明においては、
操作量に応じて出力画像の品質を変化させる画像品質可
変手段と、出力画像の制御事例のうち、画像形成装置の
状態量が類似しているものを集めてクラスタとして記憶
するクラスタ記憶手段と、前記クラスタ記憶手段に記憶
された各クラスタ毎に制御ルールを抽出するクラスタ別
制御ルール抽出手段と、出力画像品質を検出して、制御
量として出力する検出手段と、前記クラスタ別制御ルー
ル抽出手段によって抽出された各制御ルールを用い、前
記制御量が目標品質に対応した値となるように新たな
作量を求める操作量算出手段とを具備し、前記操作量算
手段によって求められた操作量を前記画像品質可変手
段に供給することを特徴とする。
【0023】また、請求項3に記載の発明にあっては、
請求項2に記載の画像形成装置において、前記操作量
出手段は、前記クラスタ別制御ルール抽出手段によって
抽出された各制御ルールについて、直前の制御事例に対
する適合度を判定し、各制御ルールについて適合度に応
じた重み付けを行って平均し、その結果を用いて新たな
操作量を求めることを特徴とする。
【0024】また、請求項4に記載の発明にあっては、
請求項3記載の画像形成装置において、前記操作量算出
手段は、各制御ルールが記述されている座標空間内で、
制御ルールを示すn次元平面と、直前の制御事例を示す
座標点との間の距離の逆数を、各制御ルールについて規
格化して前記適合度を求めることを特徴とする。
【0025】また、請求項5または6に記載の発明にあ
ては、請求項3または4記載の画像形成装置において、
前記操作量算出手段は、適合度が所定値以下である制御
ルールを除き、他の制御ルールについて再び適合度を判
定し、これらの制御ルールについて適合度に応じた重み
付けを行って平均した結果を用いることを特徴とする。
【0026】また、請求項7に記載の発明にあっては、
請求項1記載の画像形成装置において、制御量と目標品
質とを比較し、この比較結果が予め設定された許容値を
超えている場合に限り、当該制御量を前記制御事例記憶
手段に記憶させ、次回以降の制御に供せられるようにす
る比較手段を具備することを特徴とする。
【0027】また、請求項8に記載の発明にあっては、
請求項2記載の画像形成装置において、制御量と目標品
質とを比較し、この比較結果が予め設定された許容値を
超えている場合に限り、当該制御量を前記クラスタ記憶
手段内の対応するクラスタに追加記憶させ、次回以降の
制御に供せられるようにする比較手段を具備することを
特徴とする。
【0028】また、請求項9に記載の発明にあっては、
請求項7記載の画像形成装置において、制御事例を追加
記憶した結果、記憶容量の残りが所定量より少なくなっ
た場合には、前記制御事例記憶手段内の制御事例のうち
最も古いものを消去することを特徴とする。
【0029】また、請求項10に記載の発明にあって
は、請求項8記載の画像形成装置において、制御事例を
追加記憶した結果、記憶容量の残りが所定量より少なく
なった場合には、前記クラスタ記憶手段内のクラスタの
うち最も古いものを消去することを特徴とする。
【0030】また、請求項11に記載の発明にあって
は、請求項3に記載の画像形成装置において、前記制御
ルールをその作成時刻情報とともに記憶し、かつ、前記
各制御ルールの適合度の累積値を更新記憶する制御ルー
ル記憶手段を具備し、前記制御ルール記憶手段の記憶容
量の残りが所定量より少なくなった場合には、すでに記
憶している制御ルールの中で、所定の時点以前に作成さ
れ、かつ、適合度の累積値がもっとも小さいものを選択
して前記制御ルール記憶手段から消去することを特徴と
する。
【0031】また、請求項12に記載の発明にあって
は、請求項2記載の画像形成装置において、出力画像の
制御事例を記憶する制御事例記憶手段を有し、前記クラ
スタ記憶手段は前記制御事例記憶手段内の制御事例のう
ち、状態量が類似しているものを集めてクラスタとして
記憶するとともに、一つのクラスタが完成した時点でそ
のクラスタの構成要素である事例を前記制御事例記憶手
段から消去することを特徴とする。
【0032】また、請求項13に記載の発明にあって
は、請求項1〜12いずれかに記載の画像形成装置にお
いて、前記制御事例は、操作量、制御量、および装置が
おかれている状態に関する状態量の3種から構成される
ことを特徴とする。
【0033】また、請求項14に記載の発明にあって
は、請求項1〜12いずれかに記載の画像形成装置にお
いて、前記制御ルールは、n個の制御対象に応じて設定
されるn種の前記操作量を示す軸および前記制御対象に
ついての制御量を示す軸で構成されるn+1次元空間内
で、制御事例を示す複数の座標点の最小二乗誤差n次平
面として抽出されることを特徴とする。
【0034】また、請求項15に記載の発明にあって
は、請求項1〜12いずれかに記載の画像形成装置にお
いて、制御対象となる出力画像品質は、画像濃度である
ことを特徴とする。
【0035】また請求項16に記載の発明にあっては、
請求項8記載の画像形成装置において、前記比較手段に
よる前回の比較結果が予め設定された許容値を越えた直
後に、前記比較手段による今回の比較結果が予め設定さ
れた許容値に収まった場合にも、今回の制御量と該制御
に供せられた操作量とを前記クラスタ記憶手段に記憶さ
せ、次回以降の制御に供せられるようにすることを特徴
とする。
【0036】また、請求項17に記載の発明にあって
は、請求項16記載の画像形成装置において、前記クラ
スタ記憶手段は、前記比較手段による前回の比較結果が
予め設定された許容値を越えた直後に、前記比較手段に
よる今回の比較結果が予め設定された許容値に収まった
場合には、該今回の制御事例を最新クラスタに分類する
ことを特徴とする。
【0037】また、請求項18に記載の発明にあって
は、請求項16または17記載の画像形成装置におい
て、前記比較手段による比較結果に基づき、該比較結果
が予め設定された許容値を越えた直後に、再び、予め設
定された許容値に収まった場合の変化を検知する収束検
知手段を具備することを特徴とする。
【0038】また、請求項19に記載の発明にあって
は、請求項8記載の画像形成装置において、前記クラス
タ記憶手段は、前記比較手段による前回の比較結果が予
め設定された許容値に収まった直後に、前記比較手段に
よる今回の比較結果が予め設定された許容値を越えた場
合には、該今回の制御事例を新たなクラスタに分類する
ことを特徴とする。
【0039】また、請求項20に記載の発明にあって
は、請求項19記載の画像形成装置において、前記比較
手段による比較結果に基づき、該比較結果が予め設定さ
れた許容値に収まった直後に、再び、予め設定された許
容値を越えた場合の変化を検知する非収束検知手段を具
備することを特徴とする。
【0040】
【作用】請求項1に記載の発明においては、装置が稼働
状態になると、制御事例記憶手段内に制御事例が蓄積さ
れていき、この蓄積された制御事例に基づいて制御ルー
ル抽出手段が制御ルールを抽出する。一方、操作量算出
手段においては、検出手段が検出した制御量と目標品質
とが比較され、制御量が目標品質に近づくような操作量
が求められる。この際、抽出された制御ルールを参照し
て操作量が算出されるので、過去の事例を参照した操作
量となる。そして、この操作量が画像状態可変手段に供
給され、画像品質が操作される。
【0041】また、請求項2に記載の発明においては、
クラスタ記憶手段において制御事例を記憶する際に、状
態量が類似する制御事例ものを集めて、クラスタという
まとまりで記憶される。そして、クラスタ別ルール抽出
手段によってクラスタ毎の制御ルールが抽出され、制御
量算出手段では各制御ルールを用いて制御量を算出す
る。したがって、次回の制御に必要な制御ルールを適宜
選択することができ、より状況に適した制御を行うこと
ができる。
【0042】また、請求項3に記載の発明においては、
前記制御量算出手段は、前記クラスタ別の制御ルールを
用いる際に、直前の制御事例に対する適合度を判定し、
各制御ルールについて適合度に応じた重み付けを行って
平均し、その結果を用いて新たな制御量を求めるように
しているので、関連の深いクラスタの影響が大、関連の
少ないクラスタの影響が小となり、変化する状況に対応
した制御が行われる。
【0043】また、請求項4に記載の発明にあっては、
請求項3記載の画像形成装置における前記制御量算出手
段が、各制御ルールが記述されている座標空間内で、制
御ルールを示すn次元平面と、直前の制御事例を示す座
標点との間の距離の逆数を、各制御ルールについて規格
化して前記適合度を求めるので、適合度の算出を座標上
で行うことができる。したがって、算出処理を高速に行
うことができる。
【0044】また、請求項5または6に記載の発明にあ
っては、請求項3または4記載の画像形成装置におい
て、適合度が所定値以下である制御ルールを除き、他の
制御ルールについて再び適合度を判定し、これらの制御
ルールについて適合度に応じた重み付けを行って平均し
た結果を用いるようにしているので、関連の少ないクラ
スタを無視することができ、状況に適した制御を高精度
で行うことができる。
【0045】また、請求項7および8に記載の発明にあ
っては、制御量と目標品質とを比較し、この比較結果が
予め設定された許容値を超えている場合は、当該制御量
を次回以降の制御に供せられるようにする比較手段を具
備したので、許容値に応じた制御事例の取り込みが行わ
れる。すなわち、許容値の適宜設定することにより、装
置の精度を任意に調整することができる。
【0046】また、請求項9および10に記載の発明に
あっては、制御事例を追加記憶した結果、記憶容量の残
りが所定量より少なくなった場合には、前記制御事例記
憶手段内の制御事例のうち最も古いものを消去するよう
にしたので、メモリを効率よく使用することができる。
【0047】また、請求項11に記載の発明にあって
は、新たに作成された制御ルールが制御ルール記憶手段
に順次記憶されていく。しかし、記憶容量が少なくなっ
た場合は、所定の時点以前に作成され、かつ、適合度の
累積値がもっとも小さいもの、すなわち、重要性の低い
制御ルールから順次消去される。
【0048】また、請求項12に記載の発明のように、
一つのクラスタが完成した時点でそのクラスタの構成要
素である事例を前記制御事例記憶手段から消去するよう
にしても、メモリを効率良く使用することができる。
【0049】また、請求項13に記載の発明にあって
は、請求項1〜12いずれかに記載の画像形成装置にお
ける前記制御事例は、操作量、制御量、および装置がお
かれている状態に関する状態量の3種から構成されるの
で、環境を反映する状態量を単位にして制御事例を分類
する等の処理が可能になる。例えば、状態量に応じてク
ラスタ分けをすることなどができる。
【0050】また、請求項14に記載の発明にあって
は、請求項1〜12いずれかに記載の画像形成装置にお
いて、前記制御ルールは、n個の制御対象に応じて設定
されるn種の前記操作量を示す軸および前記制御対象に
ついての制御量を示す軸で構成されるn+1次元空間内
で、制御事例を示す複数の座標点の最小二乗誤差n次平
面として抽出されるので、統計的に誤差の少ないルール
を作成することができる。
【0051】また、請求項15に記載の発明にあって
は、請求項1〜12いずれかに記載の画像形成装置にお
いて、画像濃度を出力対象としているから、複写機等に
おいて画像品質を決定する重要なファクターが過去の制
御事例に従って制御される。
【0052】また、請求項16に記載の発明にあって
は、請求項7記載の画像形成装置において、比較手段に
よる前回の比較結果が予め設定された許容値を越えた直
後に、比較手段による今回の比較結果が予め設定された
許容値に収まった場合にも、今回の制御量と該制御に供
せられた操作量とを制御事例記憶手段に記憶させ、次回
以降の制御に供せられるようにするので、制御ルールを
抽出する場合、過去に抽出した制御ルールのみでなく、
現状を把握した最新の制御ルールを用いて、操作量を最
適に決定することができる。
【0053】また、請求項17に記載の発明にあって
は、請求項16記載の画像形成装置において、クラスタ
記憶手段は、比較手段による前回の比較結果が予め設定
された許容値を越えた直後に、比較手段による今回の比
較結果が予め設定された許容値に収まった場合には、該
今回の制御事例を最新クラスタに分類するので、新たに
クラスタ作成に必要な数の制御事例が集まる前に、制御
量が許容値に収まった場合でも、その実際の状態変化の
情報を有する制御事例を、クラスタに取り込むことがで
きる。したがって、同一クラスタ内に取り込んだ制御事
例が多くなるため、そのクラスタに基づいて抽出した制
御ルールの精度を向上することができ、現状を把握した
最新の制御ルールを用いて、操作量を最適に決定するこ
とができる。
【0054】また、請求項18に記載の発明にあって
は、請求項16または17記載の画像形成装置におい
て、比較手段による比較結果に基づき、該比較結果が予
め設定された許容値を越えた直後に、再び、予め設定さ
れた許容値に収まった場合の変化を検知する収束検知手
段を具備したので、今回の制御量と該制御に供せられた
操作量とを次回以降の制御に用いることができ、制御ル
ールの精度を向上することができる。
【0055】また、請求項19に記載の発明にあって
は、請求項8記載の画像形成装置において、クラスタ記
憶手段は、比較手段による前回の比較結果が予め設定さ
れた許容値に収まった直後に、比較手段による今回の比
較結果が予め設定された許容値を越えた場合には、該今
回の制御事例を新たなクラスタに分類するので、十分な
数の制御事例を獲得すると、現状の変化に、より適切に
対応できる制御ルールを作成することができる。また、
ノイズなどにより一時的に許容値を越える制御量が生じ
ても、これら異常な制御事例は、これまでに獲得し作成
してきた正しい制御量からなる制御事例を分類している
正常なクラスタに追加せずに済む。さらに、ノイズなど
による明らかに異常な制御事例を含むクラスタからは、
制御ルールを算出しないので、ノイズを含む制御事例の
影響がない、より正しい制御ルールを確保することがで
き、現状の変化により適切に対応できる制御ルールに基
づいて制御を行うことができる。
【0056】また、請求項20に記載の発明にあって
は、請求項19記載の画像形成装置において、比較手段
による比較結果に基づき、該比較結果が予め設定された
許容値に収まった直後に、再び、予め設定された許容値
を越えた場合の変化を検知する非収束検知手段を具備し
たので、ノイズなどにより一時的に許容値を越える異常
な制御事例を検出できる。
【0057】
【実施例】以下に、本発明による具体的な実施例を説明
する。なお、以下で述べる基本的構成、ならびに現像パ
ッチ作成機構およびそのモニタ機構は、後述する第1な
いし第3の実施例で共通である。 A:第1実施例の構成 (1)基本的構成 先ず、本発明による画像形成装置の画像出力部IOT
(イメージアウトプットターミナル)の概要を図2に示
す。なお、図2では、画像読み取り部や画像処理部は省
略している。すなわち、電子写真方式による画像出力部
IOTのみを示している。
【0058】図2を用いて画像形成手順を説明すると、
まず、画像読み取り部(図示せず)で原稿を読み取った
り、あるいは外部のコンピュータ(図示せず)などで作
成されたりして得られた原画像信号に、画像処理部(図
示せず)で適切な処理を行う。これにより得られる入力
画像信号は、レーザー出力部1に入力され、レーザー光
線Rを変調する。このようにして、入力画像信号によっ
て変調されたレーザー光線Rが、感光体2上にラスター
照射される。
【0059】一方、感光体2はスコロトロン帯電器3に
よって一様に帯電され、レーザー光線Rが照射される
と、その表面には入力画像信号に対応した静電潜像が形
成される。次いで、現像器6により上記静電潜像がトナ
ー現像され、転写装置7によって現像トナーが用紙(図
示せず)上に転写され、定着装置8によって定着され
る。その後、感光体2はクリーナー11によりクリーニ
ングされ、一回の画像形成動作が終了する。また、10
は現像濃度センサであり、画像エリア外に形成される現
像パッチ(後述)の濃度を検出する。
【0060】(2)現像パッチ作成機構およびそのモニ
タ機構 ここで、この実施例における現像パッチおよびそのモニ
タ機構について説明する。現像パッチは、出力画像濃度
をモニタするためのものであり、図3に示すように、ベ
タ(網点カバレッジ100%)濃度パッチa1とハイラ
イト(網点カバレッジ20%)濃度パッチa2の二種類
を採用している。そして、これらベタ濃度パッチa1、
ハイライト濃度パッチa2は、図3に示すように、いず
れも2〜3cm角程度の大きさに設定され、感光体2の
画像エリア外に形成されるようになっている。すなわ
ち、図4に示すように、画像エリア2aに潜像が形成さ
れた後、空きエリア2bにおいてベタ濃度パッチa1と
ハイライト濃度パッチa2が順次形成されるようになっ
ている。
【0061】また、濃度センサ10は、感光体2の表面
に光を照射するLED照射部と、感光体2の表面からの
正反射光または拡散光を受光するフォトセンサとから構
成されており、図3に示すラインL1は、現像濃度セン
サ10の検出ラインである。したがって、ベタ濃度パッ
チa1とハイライト濃度パッチa2は、検出ラインL1
上に形成されるようになっており、現像濃度センサ10
の近傍を順次通過する。
【0062】ここで、図5は、現像濃度センサ10の出
力信号の一例を示す図である。図示のように、まず、原
稿の画像に応じた濃度検出信号が得られ、次いで、ベタ
濃度パッチa1とハイライト濃度パッチa2の各濃度検
出信号が得られる。ベタ濃度パッチa1とハイライト濃
度パッチa2は、画像エリア外に形成されているため、
用紙に転写されることはなく、また、クリーナー11の
部分を通過する際に消去される。
【0063】なお、この実施例において、現像パッチの
濃度を検出しているのは、ユーザーが手にする定着画像
の濃度(最終画像濃度)と相関が高く、しかもクリーナ
ー11による除去が可能なためである。また、現像パッ
チは、画像形成時以外のタイミングであれば、画像エリ
ア内に形成してもよい。
【0064】(3)第1の実施例による制御部の構成 次に、図1は、スコロトロン帯電器3およびレーザー出
力部1を制御する制御部20の構成を示すブロック図で
ある。図において、21は濃度調整ダイアルであり、操
作者が所望の濃度に応じた値を設定する。濃度調整ダイ
アル21の設定値は、変換器22によって、現像濃度セ
ンサ10の出力に換算した値(この第1の実施例の場合
は「0」〜「255」の間の値)に変換される。変換器
22から出力される目標濃度は、制御量メモリ23にお
いて保持される。この場合、制御量メモリ23は、許容
誤差量も記憶している。
【0065】一方、現像濃度センサ10の出力信号とメ
モリ23の出力信号とは、濃度コンパレータ24におい
て比較される。この比較においては、メモリ23が記憶
している許容誤差量が参照される。そして、現象濃度セ
ンサ10の出力信号は、両者の差が許容値以内であれ
ば、制御ルール検索器30に供給され、許容値以上であ
れば制御事例メモリ25に供給される。
【0066】制御事例メモリ25は、制御事例を記憶す
るメモリであり、状態量、操作量、制御量の3種の量を
一組にして記憶する。このように、制御事例を記憶する
のは、本第1の実施例においては、過去に記憶された制
御事例に基づいて種々の制御を行うためである。これ
は、事例ベース推論と呼ばれる手法に基づく制御手法で
ある。
【0067】ここで、制御事例メモリ25に記憶される
状態量とは、電子写真のプロセスに支配的な影響を及ぼ
す温度や湿度、あるいは経時的劣化量などをいうが、こ
れらの状態量がある限られた時間内ではほぼ一定とみな
せるため、この第1の実施例の場合は、その代用として
事例の発生時刻(日付と時分秒)を用いている。ただ
し、発生時刻が、所定の時間単位(3分、5分あるいは
10分等の予め決めた時間単位)内にあれば、状態量と
しては等しいとして取り扱うようにしている。これは、
発生時刻が互いに近い事例同士であれば、両者はほぼ同
様な温度湿度下にあって、経時的劣化の度合いも同じ程
度であろうと期待できるためである。また、発生時刻を
示す時刻データは、この第1の実施例においては、図1
に示すクロックタイマ40から供給されるようになって
いる。
【0068】次に、操作量とは、被制御対象の出力値を
変化させるパラメータの調整量をいい、この第1の実施
例の場合は、スコロトロン帯電器3のグリッド電圧設定
値(0〜255、以下スコロ設定値と略称する)とレー
ザーパワー設定値(0〜255、以下LP設定値と略称
する)の2種である。この2つの量を操作量としたの
は、制御しようとしている最終画像濃度がベタ濃度部と
ハイライト濃度部の二点であること、および、スコロ設
定値とLP設定値が、ベタ濃度とハイライト濃度に相関
が高いためである。
【0069】また、スコロ設定値およびLP設定値は、
各々操作量メモリ32に記憶されており、操作量補正演
算器31の出力信号に対応した値が適宜読み出されるよ
うになっている。そして、操作量メモリ32から読み出
されたスコロ設定値はグリッド電源15に供給され、こ
れにより、グリッド電源15はスコロ設定値に応じた電
圧をスコロトロン帯電器3に印加する。また、操作量メ
モリ32から読み出されたLP設定値は、光量コントロ
ーラ16に供給され、これにより、光量コントローラ1
6は、LP設定値に応じたレーザーパワーをレーザー出
力部1に与える。
【0070】次に、制御事例メモリ25に供給される制
御量は、現像濃度センサ10の出力信号であり、以上の
結果、制御メモリ25には、例えば、次表に示すような
制御事例が記憶される。
【0071】
【表1】 この表において、例えば、事例1は、状態量(発生時
刻)が1994年4月1日12時0分10秒、LP設定
値が「83」、スコロ設定値が「130」、制御量(セ
ンサ出力値)がベタ部分について「185」、ハイライ
ト部分について「23」であり、事例4は、状態量19
94年4月2日9時0分5秒、LP設定値が「14
8」、スコロ設定値が「115」、制御量がベタ部につ
いて「185」、ハイライト部について「30」であ
る。
【0072】次に、図1に示す状態量コンパレータ2
6、クラスタメモリ27および制御ルール演算器28
は、制御事例メモリ25に記憶された制御事例を参照し
て制御ルールを抽出する機能を有している。なお、これ
らのブロックの作用については、後に詳述する。
【0073】また、制御ルールメモリ29は、制御ルー
ル演算器28が算出した制御ルールを複数記憶するメモ
リであり、制御ルール検索器30から要求があると、そ
の要求に応じた制御ルールを返信する。この場合、制御
ルール検索器30は、濃度コンパレータ24から供給さ
れる濃度差および操作量メモリ32から供給される操作
量(すなわち、LP設定値、スコロ設定値)に応じた制
御ルールを、制御ルールメモリ29に要求するようにな
っている。
【0074】次に、操作量補正値演算器31は、制御ル
ール検索器30によって検索された制御ルールを用い
て、操作量の補正値を求め、求められた補正値を操作量
メモリ32に供給する。これにより、操作量メモリ32
は、操作量補正値に対応した操作量、すなわち、LP設
定値およびスコロ設定値を、グリッド電源15および光
量コントローラ16に各々供給する。
【0075】一方、基準パッチ信号発生器42は、ベタ
濃度パッチalとハイライト濃度パッチa2の作成を指
示する回路であり、パッチ作成タイミングにおいて校正
用基準パッチ信号を画像出力部ITOに出力する。これ
によって、図3に示すベタ濃度パッチa1とハイライト
濃度パッチa2が作成される。
【0076】この場合、基準パッチ信号発生器42の動
作タイミングは、I/O調整部41によって行われる。
I/O調整部41は、クロックタイマ40が出力するタ
イム信号を監視し、ベタ濃度パッチa1とハイライト濃
度パッチa2とが所定位置に形成されるように、基準パ
ッチ信号発生器42に動作タイミング信号を供給する。
【0077】B:第1の実施例の動作 (1)初期設定動作 次に、上記構成によるこの第1の実施例の動作について
説明するが、始めに、初期設定処理(いわゆる、機能の
立ち上げ処理)について説明する。まず、技術者は、制
御用パラメータとして選ばれたスコロ設定値とLP設定
値を適当に設定する。そして、制御部20は、ベタ現像
パッチa1とハイライト現像パッチa2を作成し、それ
ぞれを現像濃度センサ10により測定し、その内容を制
御事例として制御事例メモリ25に記憶させる。この結
果、制御事例メモリ25には、最初の制御事例(制御事
例1)が記憶される。なお、実際には、直接濃度を測定
できないので、光学的なセンサを用いて、光の反射光量
あるいは拡散光量を電位として測定している。これ以降
も、現像濃度測定とあるが、実際には、濃度に替わる物
理量(光量を電位としたもの)を測定している。
【0078】同様にして、スコロ設定値とLP設定値を
それぞれ変化させつつ、さらに2回分の制御事例を制御
事例メモリに記憶させる。すなわち、技術者は制御装置
立上げ時(状態量が等しい単位時間以内)に、合計して
3組の制御事例を作成して、制御事例メモリ25に記憶
させる。
【0079】ここで、3組という数は、制御対象の数+
1という意味であり、本第1の実施例では、制御対象の
数の2(ベタ濃度とハイライト濃度)に1をプラスした
ものである。なお、これより多くの制御事例を示すこと
は構わない。上記のようにして、初期設定時の3組(制
御対象の数+1個)の制御事例が制御事例メモリ25に
記憶されると、その記憶内容が状態量コンパレータ26
およびクラスタメモリ27を介して制御ルール演算器2
8に供給され、ここで、制御ルールが求められる。この
場合の制御ルールは、図6に示すような制御事例平面と
して抽出される。
【0080】図6において、P1,P2,P3は、初期
設定における3組の制御事例についてのスコロ設定値と
LP設定値の組み合わせを示す点である。ここで、点P
1,P2,P3に対応するハイライト濃度(ハイライト
濃度パッチの検出濃度)を示す点をH1,H2,H3と
し、同様に点P1,P2,P3に対応するベタ濃度(ベ
タ濃度パッチの検出濃度)を示す点をB1,B2,B3
とする。そして、点B1,B2,B3を通る平面をベタ
事例平面BPとし、点H1,H2,H3を通る平面をハ
イライト事例平面HPとする。ここで、状態量が変化し
ない場合に、スコロ設定値とLP設定億を適宜変化させ
たときに得られるベタ濃度を示す点は、すべてベタ事例
平面BP内に収まることになる。また、同様にして、状
態量が変化しない場合に、スコロ設定値とLP設定値を
適宜変化させたときに得られるハイライト濃度を示す点
は、全てハイライト事例平面HP内に収まる。このよう
に、ベタ事例平面BPおよびハイライト事例平面HP
は、状態量が変化しない場合の全ての事例を示している
ことになり、言い換えれば、これらの平面がイニシャル
時のベタ濃度とハイライト濃度に関する制御ルールを示
すことになる。以上の処理により、本第1の実施例にお
ける初期設定処理が終了する。
【0081】ここで、初期設定時に3組の事例を記憶さ
せた理由を述べると、以下の通りである。まず、一般に
は、制御対象の数をnとした場合、n+1個の制御事例
が必要になり、制御事例を示す面は、n+1次元空間の
n次平面になる。したがって、このn次平面を一義的に
決定するには、n+1個のデータ点が必要になる。この
第1の実施例の場合は、ベタ濃度とハイライト濃度とい
う2つの制御対象を設定しているため、n=2になり、
3組の制御事例が必要となるのである。
【0082】(2)稼動時の動作 基本的動作 次に、稼働時における本第1の実施例の動作について説
明する。ただし、以下の動作においては、上記のように
してイニシャルの制御ルールが決まった状態で、翌日か
ら実稼働制御を開始した場合を想定する。
【0083】まず、画像形成装置に電源が投入される
と、自動的にセットアップ動作が実行される。このセッ
トアップ動作においては、前回の(例えば、前日の最終
画像出力時の)各設定値を、そのまま今回の設定値とし
て、ベタ濃度パッチa1とハイライト濃度パッチa2が
作成され、これらの濃度が現像濃度センサ10によって
測定される。ここでは、LP設定値が「98」、スコロ
設定値が「76」であったとして、現像濃度センサ10
が検出した浪度を制御事例空間内にプロットする。今、
ベタ濃度パッチal、ハイライト濃度パッチa2の各濃
度が各々B4,H4であったとすると、図7に示すよう
なプロットが行われ、記憶されている制御事例に対応す
る今回の制御内容が認識される。
【0084】このプロットは、図1に示す制御ルール検
索器30が行う。すなわち、制御ルール検索器30は、
濃度コンパレータ25から転送される濃度B4,H4お
よび操作量メモリ32から転送されるLP設定値「9
8」、スコロ設定値「76」に基づき、制御ルールメモ
リ29内に記憶されている初期設定時の制御事例平面に
プロットする。
【0085】ところで、制御事例平面とは、ある状態の
下で、ある設定をしたときの出力値をプロットして作ら
れたものであり、従って状態になんらかの変化が生じ
て、同じ設定をしても出力値が異なるようになれば、当
然変化が生じる前の状態における制御事例平面とは一致
しなくなる。すなわち、上記の例のように今回のセット
アップ時の制御内容が、昨日の立上げ時に作成した制御
事例平面上に(実効上、距離を隔てることなく)プロッ
トされた場合というのは、立上げ時と今回の画像形成装
置の置かれている状態(例えば、温度や湿度や経時的変
化の度合いなど、電子写真プロセスが影響を受けるすべ
ての要因の影響)が、事実上同程度であるとみなせるこ
とを意味している。ここで、「実効上、距離を隔てるこ
となく」とは、制御事例平面上に一致しているとみなし
て制御した結果、実際に出力された画像濃度と目標濃度
の差異が、許容誤差量を越えない場合を言う。
【0086】次に、イニシャル設定されているプリント
濃度、あるいはユーザによって指定された所望のプリン
ト濃度を濃度センサ出力に換算して、目標濃度出力値を
求め、上述した制御事例空間内に目標濃度平面として設
定する。なお、上記プリント濃度とは、直接測定した実
際の濃度であり、濃度センサ出力とは、濃度の代替値
(光量を電位としたものなど)である。この設定は、回
路上は次のようにして行われる。
【0087】まず、濃度調整ダイアル21の調整値が変
換器22によって変換され、これがメモリ22に記憶さ
れる。そして、このメモリ22内の濃度目標値が濃度コ
ンパレータ24を介して制御ルール検索器30に転送さ
れる。制御ルール検索器30は、制御事例空間に濃度目
標値の平面(スコロ設定値軸−LP設定値軸平面に並行
な面)を記述し、制御ルールメモリ29から読み出した
ベタ事例平面BP、ハイライト事例平面HPに重ね合わ
せる。
【0088】以上の処理により、制御事例空間内には、
図7に示すように、ベタ濃度に関するベタ事例平面BP
と、ハイライト濃度に関するハイライト事例平面HP
と、ベタ目標濃度平面BTPと、ハイライト目標濃度平
面HTPが構成され、そこへ上述したセットアップ時の
制御内容がプロットされたことになる。
【0089】さて、図7から明らかなように、ベタ事例
平面BPとベタ目標濃度平面BTPが交差するベタ目標
実現ラインBTL上に今回の制御内容がプロットされて
いれば、ベタ目標濃度が実現できていることになる。今
回の制御内容が目標実現ライン上に載っていなかった場
合には、各設定値を変更して、すなわち補正して、ベタ
目標実現ラインBTL上にプロットされるような組合せ
を選べば、次回の画像出力はベタ目標濃度を実現できる
と予測できる。
【0090】同様にハイライト濃度についても、ハイラ
イト目標実現ラインHTL上にプロットされるような各
設定値の組合せを選べば、次回の画像出力時にハイライ
ト目標濃度が実現できると推論できる。したがって、ベ
タ濃度とハイライト濃度の両方を、それぞれ同時に目標
濃度にするように制御するためには、ベタ目標実現ライ
ンBTLとハイライト目標実現ラインHTLを、LP設
定値軸とスコロ設定軸で作られる平面へ射影して、その
交点のLP設定値とスコロ設定値を採用すれば良い。図
7で用いた例の場合、今回の設定値(98、76)を次
回は(128、115)に修正して設定すれば、ベタと
ハイライトのそれぞれの目標濃度が同時に実現できるこ
とが判る。このようにして、セットアップデータから、
ベタとハイライト濃度を所望の値に実現するための次の
LP設定値とスコロ設定値が決定できる。
【0091】上述した次回の設定値の算出処理は、操作
量補正演算器31が行い、その演算結果が操作量メモリ
32に転送される。この結果、操作量メモリ32から
は、新たなスコロ設定値およびLP設定値に対応する信
号が出力され、グリッド電源15および光量コントロー
ラ16に供給される。以後同様にして、目標濃度を実現
するために最適なLP設定値とスコロ設定値が設定さ
れ、的確な画像濃度制御が行われる。
【0092】クラスタの生成 本発明は、基本的には以上のようにして目標濃度を実現
するのであるが、現実には、常にその稼働時点の制御内
容が、ベタおよびハイライト事例平面上に(実効上、距
離を隔てることなく)プロットされるとは限らない。物
理的にそのメカニズムについて言えば、温度や湿度が変
化したり、経時劣化が進んだりすると、トナー帯電量や
感光体の帯電特性が変化するため、レーザーパワーとス
コロトロン・グリッド電圧が同一の設定値であっても、
濃度が大幅に異なってしまう。例えば、高温多湿時には
濃度が高い方にずれ、低温低湿時には濃度が低い方にず
れてしまう。すなわち、制御時点の温度や湿度、経時劣
化の度合いなどが、すでに採取・記憶されている制御事
例群とある程度以上ことなっていると、既存のベタおよ
びハイライト制御事例平面から大きく離れた座標空間上
にプロットされてしまう。
【0093】このような場合、あるひとつの制御事例平
面をそのまま今回の制御ルールとして用いると、推論の
誤差が大きくなる。なぜなら、上記のように物理的に画
像濃度再現メカニズムが影響を受けており、制御事例平
面が変化しているからである。そこで、本発明では、状
態が変化した場合の制御事例を追加記憶し、新たな状態
に適合した制御事例群からなる新たな制御事例平面を作
成していく。これにより、制御事例平面は、立ち上げ時
の一面のみの状態から、必要に応じて順次増加してい
く。すなわち、例えばAという状態下での制御事例群、
Bという別の状態下での制御事例群、‥‥‥というよう
にである。本発明では、これらそれぞれをクラスタと名
付けている。すなわちクラスタA、クラスタB、という
ようにである。制御事例を追加するか否かの判断は、制
御動作が実行された後に作成された現像パッチを用いて
制御結果の善し悪しを判断し、この判断結果に基づいて
行われる。
【0094】具体的に言えば、目標濃度と現実のベタお
よびハイライト現像パッチの濃度差を読み取り、この値
が許容誤差以内にあるかどうかを判定している。ちなみ
に本第1の実施例では、ベタ濃度の許容誤差を色差3以
内、ハイライト濃度の許容誤差を色差1以内と規定して
いる。ただし、この値は、システムの目標精度に応じて
任意に決定される。
【0095】そして、ベタおよびハイライトの両方が許
容誤差以内であれば、前述のように、そのまま次回の制
御動作に入るが、ベタおよびハイライトのうちどちらか
片方でも許容誤差量を越えるような大きな誤差があった
場合には、その内容、すなわち制御事例を制御事例メモ
リ25に追加記憶する。
【0096】この追加記憶は、次のようにして行われ
る。まず、図1に示す濃度コンパレータ24が許容値以
上であると判断し、その時の現像濃度センサ10の出力
信号を制御事例メモリ25に転送する。制御事例メモリ
25は、新たに供給された制御量とともに、状態量およ
び操作量を組にして記憶する。そして、状態量コンパレ
ータ26は、制御事例メモリ25に新たに書き込まれた
事例に基づき、最新クラスタと時刻を比較し、状態類似
が杏かを判定する。すなわち、制御事例群である最新ク
ラスタ内の制御事例の時刻情報と、制御事例メモリ25
に新たに書き込まれた制御事例の時刻情報とを比較し、
所定の時間内であれば、状態類似と判断し、所定の時間
以上離れていれば状態非類似と判断する。
【0097】そして、状態類似と判断された場合は、最
新クラスタについて制御事例を追加すべく、クラスタメ
モリ27に書き込む。このとき、制御ルール演算器28
は、新たに追加された制御事例を包含するような事例平
面を算出し、当該平面を示す係数を制御ルールメモリ2
9に転送する。
【0098】ここで、制御事例が増えた場合の制御ルー
ルの補正方法について説明する。前述のように、制御対
象の数をnとすれば、その制御のためには、n+1次元
空間のn次元平面が必要であり、また、これを一義的に
決定するためには、n+1個のデータ点が必要である。
このために、本第1の実施例においては、3組の制御事
例が初期設定において必要であった。このことは逆に、
n+1個以上であれは統計的にはより信頼性の高い事例
群が得られることになる。そこで、制御ルール演算器2
8は、追加された制御事例と、それ以前に記憶されてい
た制御事例を用いて(すなわち、n+1個以上のデータ
を用いて)最小二乗誤差法などの計算方法を用いて平面
を決定する。もちろん、最小二乗法に限定したものでは
なく、平均法など他の計算方法であってもよい。要する
に、制御事例に基づいてn次元平面が設定できれば、そ
の他の方法を用いてもよい。
【0099】一方、状態量コンパレータ26が、制御事
例メモリ25に新たに書き込まれた制御事例の状態を非
類似と判断した場合は、新規クラスタを作成して分類す
る。この新規クラスタはクラスタメモリ27に転送さ
れ、制御ルール演算器28により新たなルール(平面)
が演算される。ところで、制御ルールメモリ29におい
ては、制御ルール演算器28によって算出された平面を
示す式の係数だけが記憶され、記憶容量の増大化を極力
抑制している。
【0100】メモリ管理 前述のように、必要に応じて制御事例を追加記憶し、新
たなクラスタを作成していくと、次第に記憶されている
制御事例やクラスタの数が増加していき、やがて記憶容
量が一杯になるときがくる。そこで、本第1の実施例で
は、制御事例とクラスタを別々の記憶領域に記憶してお
き、各々の採取あるいは作成時刻に着目し、最も古いも
のから順に消去することにしている。
【0101】その理由は、現在の状態が時間とともに経
時的に変化した結果であるため、古い制御事例あるいは
古いクラスタほど当てはまりが悪くなっていると考えら
れることから、今後そのような制御事例あるいはクラス
タが必要になる確率は極めて低く、他のものより記憶保
存しておく価値が低いと判断できるからである。また、
本第1の実施例で示したように、状態量の類似度を日付
で判断する場合は、ある一定の期限が過ぎてクラスタが
確定したとき、すなわち、そのクラスタに対応する制御
ルールを抽出し終えたときは、そのクラスタに属してい
る制御事例を消去することができる。
【0102】このように、クラスタ確立時にそのクラス
タに含まれる制御事例を消去するように構成すると、メ
モリ容量を極めて低減することができる。例えば、本第
1の実施例では制御事例が三要素、クラスタも各設定値
軸方向の傾きと濃度軸切片の三要素から成っており、各
要素の記憶エリアの大きさを等しくnビットとすると、
1つのクラスタが作られるのに、3つの制御事例が必要
であるから、その全てを記憶すれば、3×4×nビット
の記憶エリアが必要になる。この場合において、クラス
タが形成できたときに制御事例を消去すれば、3×1×
nビットの記憶容量で済むから、全体で1/4の記憶容
量で足りることが判る。この方法は、多数のクラスタを
記憶する場合には、特に有効である。同様に、1つのク
ラスタが10の制御事例を含んでいれば、1/11の記
憶容量になり、100の制御事例を含んでいれば1/1
01の記憶容量になる。このように、大幅にメモリを節
約することができる。
【0103】勿論、メモリを節約しても、やがては大量
のクラスタでメモリ容量が不足することも有りうるが、
その場合には、上記のように、古いクラスタから順に消
去することで対処できる。
【0104】クラスタを複合して用いる制御 前述したことから明らかなように、本第1の実施例がさ
まざまな状態下で稼働すると、さまざまなクラスタが作
成されることになる。ただし、状態が変わったときに、
必ずしも新たな制御事例を追加記憶して新たなクラスタ
を作らなければならないとは限らない。例えば、湿度な
ど他の状態が実効的に全く同じで、温度だけが高温の場
合のクラスタと低温の場合のクラスタがすでに有った場
合、今回は中温で稼働することになった画像形成装置で
は、新たなクラスタを作らなくとも、高温クラスタと低
温クラスタを組み合わせて用いるだけで、十分な制御精
度を得られる場合が多い。このような場合、現在の制御
内容と複数の各制御事例平面からの距離に基づいて、現
在の制御内容がその面内に含まれるような新たな平面を
構築し、これをもって現状に適合した制御事例平面と見
なす制御を行っている。
【0105】ここで、クラスタの組み合わせによる平面
構築について、図8を参用して説明する。図8は、クラ
スタAのベタ事例平面と、クラスタBのベタ事例平面が
形成されている場合を示しており、新たにプロットされ
た点B5は、いずれの平面にも位置してない。このと
き、座標空間上で現在の制御内容を示す点、すなわち、
点B5と、各事例平面との間の距離を計算する。そし
て、その逆数を求め、それを規格化する。すなわち、各
々の制御事例平面からの距離の逆数を合計したものが1
となるようにする。このように規格化された値を適合度
と定義し、この適合度によって各事例平面の各座標軸方
向の傾きを重み付けして合計する。そして、合計した量
を、現状に適合できる新たな制御事例平面の各座標軸方
向の傾きとし、さらに現在の制御内容をその面上に含む
ような高さ(濃度軸の切片)に合わせ込んでいる。
【0106】このような処理は、適合度がほほ100%
とみなせる制御事例平面が検索できなかった場合に行わ
れる。ここで、適合度がほほ100%になる場合とは、
新たにプロットされる点が、既述したように、「制御平
面上に実効上、距離を隔てることなくプロットされる場
合」と同義である。
【0107】そして、以上の処理は、制御ルール検索器
30において、次のようにして行われる。まず、操作量
メモリ32から供給される操作量と、濃度コンパレータ
24から転送される現像濃度センサ10の検出値とに対
応する点を、座標空間にプロットする。そして、制御ル
ールメモリ29に記憶されている各クラスタの制御平面
を順次読み出し、新たにプロットした点との間の距離を
求める。ただし、ここでいう「距離」とは、操作量を制
御ルールの式に代入して得られる計算上の制御量と実測
された制御量との差であり、必ずしも面と点との間の最
短距離ではない場合がある。そして、このようにして求
めた距離から適合度を算出し、この適合度に応じて各事
例平面の座標軸方向の傾きを重み付けして合計する。こ
のように合計された各軸の傾きを持つ平面を新たな制御
事例平面とし、さらに、プロットされた点がその面上に
位置するように、新たな制御事例平面の高さ(濃度軸の
切片)を調整する。以上のようにして作成された新たな
制御事例平面を用いて、図7で示した場合と同様の手順
によって、次のLP設定値とスコロ設定値を求める。
【0108】なお、立上げ直後や、稼働時間あるいは画
像形成回数が少ない画像形成装置では、当然、制御事例
平面は立上げ時に作られた一面だけしか存在していない
が、この場合も本第1の実施例では、複数の制御事例平
面が存在する場合とまったく同一に取り扱える。すなわ
ち、制御事例平面が立上げ時に作られた一面だけの場合
には、その面の適合度が1(100%)になるため、面
の傾きは変化せずに、現在の制御内容が面内に含まれる
位置まで、立上げ時に作った制御事例平面を濃度軸方向
に平行移動したものが今回使われる制御事例平面とな
る。
【0109】一方、過去の制御事例だけでは、たとえ上
述のように適合度を用いて新たな制御事例平面を仮想的
に構築しても十分ではな<、現時点における実際の制御
事例を採取して制御ルールの改良を行わなければ次回以
降の制御精度も不十分であると予測される場合(すなわ
ち、濃度コンパレータ24で許容値以上と判断された場
合)は、前述のように、新たなクラスタを作成する。
【0110】C:第1の実施例効果 以上が、本第1の実施例の構成および制御手順である
が、以下に本第1の実施例の作用効果について説明す
る。 (1)先ず、本第1の実施例では上述の制御事例を用い
ることにより、温度センサ以外の物理量センサや技術者
による事前のデータ採取およびその解析作業に依存しな
い制御方法が実現できる。すなわち、センサや開発工数
が削減でき、コスト低減が図れる。一方、従来技術では
物理メカニズムにしたがった制御方式を用いていたため
に、本第1の実施例と同様な制御を行おうとした場合、
例えば電位センサを用いて帯電電位や露光電位といった
物理量をモニタし、これと現像バイアス設定値から現像
電位(露光電位と現像バイアスの差)およびクリーニン
グ電位(帯電電位と現像バイアスの差)を求め、事前に
データ採取しておいたベタ濃度と現像電位の関係から目
標ベタ濃度を実現するための最適現像電位を計算し、次
いで現像電位を最適現像電位に変えることによるハイラ
イト濃度の変化分を計算し、このハイライト濃度変化分
を加味した補正すべきハイライト濃度誤差を、事前にデ
ータ採取しておいたハイライト濃度とクリーニング電位
との関係から計算して、帯電電位と露光電位を決定す
る。そして、事前にデータ採取しておいた帯電電位とス
コロ設定値との関係およびそのような帯電電位の場合に
当てはまる露光電位とLP設定値の関係に従って、次回
の画像形成時に設定すべきLP設定値とスコロ設定値を
決定しなければならなかった。しかも、事前のデータ採
取は、電子写真方式の温湿度依存性の点から、さまざま
な温湿度環境下で行わなければならなかったのである。
【0111】(2)本第1の実施例においては、画像形
成装置が遭遇している状態も、状態量の代用値(サンプ
リング時刻)が使えるため、必ずしも状態量をセンシン
グする必要がない。このことは、画像形成の物理的メカ
ニズムという点から言えば、まったくのブラックボック
スであっても制御できるということを意味しており、電
子写真方式以外の方式であっても本発明が有効であると
言える。
【0112】また、別の作用としては、制御用アクチュ
エータとして任意のパラメータが採用できる。すなわ
ち、従来技術では、適当なセンサが存在しなかったり、
コストの点でセンサを使えなかったパラメータでも、本
発明によれば、その設定値を直接取り扱えるので任意に
選択し、制御に用いることができる。
【0113】(3)また、上述したように最低n+1個
の事例を入力してやるだけで、本第1の実施例の立上げ
(初期設定)ができる。すなわち、装置立上げ時のため
の特別な技術や装置などは不要になるという作用が有
る。しかも、これら最低n+1個の事例がたまたま目標
濃度から大きくずれていたとしても、その後の画像形成
装置の制御性能にはまったく悪影響を及ぼさないという
作用が有る。すなわち、画像形成装置自身が常に必要に
応じて新しいクラスタ、すなわち新しい状態に合致した
制御ルールを抽出することが可能だからである。
【0114】この作用を従来技術と比較すると、例えば
従来のニューラルネットワークによる制御ルールの学習
では、学習させる教師データとして最適なものが用意さ
れていないと、ニューラルネットワークの推論性能は損
なわれ、しかも自動的には追加学習や再学習が行われな
いために、十分な制御性能が得られない。あるいはファ
ジー推論を用いる従来技術では、技術者による試行錯誤
のチューニングが最適に行われなければ、十分な制御性
能が得られない。これらの比較から、本発明の作用がい
かに優れたものであるかが分かる。
【0115】さらに、本第1の実施例においては、画像
形成装置が今までに経験したことのない状態に初めて出
会ったとしても、最低n+1回のプリント動作を行うだ
けで、その環境に適合する新たな制御ルールを抽出する
ことができ、しかも、それ以後に同様の環境条件に出会
った場合には、即座に精度良く制御が行えることから、
事前のデータ採取を行うことなく、経時的変動に対応で
きる。つまり、経時的な変化が発生しても、常にその変
化した状況に追従し続けることができるようになる。
【0116】この作用があるために、従来であれば、何
万あるいは何十万も実際にプリント作業を実行して、経
時的変動についての事前のデータ採取を行わなければな
らなかった開発作業が、まったく不要になるという大き
な効果が得られる。
【0117】さらに、従来技術では、そのようにして採
取した経時的変動についてのデータであっても、一台一
台の画像形成装置に機差があるために、必ずしもすべて
の装置に有効ではないという問題や、ユーザがメーカに
おける事前のデータ採取時の条件と異なる状況下で、つ
まりメーカが想定していなかったような状況下で画像形
成装置を使用したために、予測した経時的変化とは異な
る変化が発生して、制御ルールが不適当になり、画像濃
度が所望の値に制御できないなどという問題があった
が、本発明によれば、事前のデータ採取や機差について
の何ら特別の処置なども全く必要なく、どのようなユー
ザ環境においても、一台一台の画像形成装置に完全に個
別対応して、経時変化による濃度変動を解決できるとい
う作用が有る。
【0118】この作用からは、例えば感光体や現像剤な
どという画像濃度に重大な影響を及ぼす要素部品を交換
した場合でも、最低n+1回のプリント動作を行うだけ
で、自動的に新しい要素部品に対応して所望の画像濃度
が得られるという、さらなる作用も得られる。
【0119】これは、従来技術ではサービスエンジニア
などが人手によって行っていた作業であり、この面での
人件費削減という効果がある。あるいはサービスエンジ
ニアなどの専門家でなくとも、一般のユーザが部品交換
しても、自動的に最良の画像形成状態が得られるため、
誰にでも扱い易いという作用もある。
【0120】しかも、本発明によれば、上記のようにし
て新たな状況に対応する際、過去の複数のクラスタに適
合度という概念を用いることにより、必ずしも新たな制
御事例を記憶する必要がないという作用も有る。すなわ
ち、最低n+1回のプリント動作の終了を待つことな
く、あるいは新たな制御事例を追加記憶するためのメモ
リを必要とせずに、新たな状況に即座に対応できるとい
う作用である。
【0121】(4)さらに、本第1の実施例において
は、制御精度そのものを任意に設定できるという作用が
有る。すなわち目標濃度に対する許容誤差量を直接に設
定でき、その許容誤差量に基づいて制御ルールの改良・
修正や新規作成が行えるため、必要にして十分な制御精
度に自動的に到達するという作用である。しかも必要に
して十分な制御精度が得られていれば、必要以上の制御
事例を記憶することがなく、メモリ容量を圧迫すること
もない。
【0122】(5)またさらに別の作用としては、本発
明における状態量またはその代用値としては、任意のも
のが使えるため、その画像形成装置の特性や目的に応じ
たさまざまな制御方式が可能になる。
【0123】すなわち、デイリー変動を制御したい場合
(状態量の分類に日付を用いる)や、主としてサイクル
ダウン/サイクルアップなどに起因する濃度変動を解消
したい場合(状態量の分類にスタートボタンを押してか
らのプリント枚数を用いる)などというように、着目し
ている制御内容が異なっても、別々の制御アルゴリズム
を構築しなければならないなどという従来の煩わしい開
発作業が、まったく不要になるという作用が有る。もち
ろん従来と同様に温度センサや湿度センサを用いた状態
認識などを行う場合にも、本発明はまったく何の変更も
なしにそのまま適用できる。
【0124】(6)さらに、本第1の実施例によれば、
メモリ容量を最大限有効に使えるという作用が有る。す
なわち、重要度の最も低いものから自動的に選択的に消
去され、重要なデータはたとえ限られたメモリ容量では
あっても、必ず記憶保存できるという作用をもってい
る。
【0125】D:第2の実施例 以下、本発明の第2の実施例について説明する。本第2
の実施例は、前述した第1の実施例に比べて、制御量と
目標品質である操作量との比較結果による制御事例の獲
得方法に違いがある。 (1)第2の実施例による制御部の構成 図9は、本発明の第2の実施例による制御部の構成を示
すブロック図である。なお、図1に対応する部分には同
一の符号を付けて説明を省略する。図9において、収束
判断部43は、前回のプリントの制御量(濃度)と目標
品質(濃度設定値)との差(濃度差)が許容値以上であ
る場合における濃度コンパレータ44の出力を検知し、
許容値以上から許容値以内に変化した場合に、すなわち
収束した場合に収束検知信号を状態量コンパレータ45
へ供給する。具体的には、差(濃度差)が許容値以上で
ある場合、すなわち、濃度コンパレータ44から出力が
ある場合には「0」を記憶し、許容値以内の場合、すな
わち、濃度コンパレータ44の出力がない場合には
「1」を記憶するとともに、「0」から「1」へと変化
した場合に収束したと判断し、収束検知信号を状態量コ
ンパレータ45へ供給するようになっている。このよう
に、第2の実施例における収束判断部43は、許容値を
越えた状態から許容値に収まった状態への変化を検知す
るようになっている。
【0126】また、濃度コンパレータ44は、許容値以
上から許容値以内に変化した場合にも、現像濃度センサ
10の出力(制御量)を制御事例メモリ25へ供給す
る。したがって、制御事例メモリ25には、許容値以上
になった場合以外、すなわち、許容値以上から許容値以
内に変化した場合にも、そのときの事例(状態量、操作
量、および制御量)が記憶されるようになっている。
【0127】また、状態量コンパレータ45は、前述し
た第1の実施例と同様に、制御事例メモリ25に新たに
書き込まれた事例に基づき、最新クラスタと時刻を比較
し、状態類似が否かを判定し、非類似と判断した場合
は、新規クラスタを作成して分類する一方、収束判断部
43から収束検知信号が供給された場合には、そのとき
の事例を最新クラスタ(直前のクラスタ)の制御事例と
して追加すべく、クラスタメモリ27に書き込む。この
とき、制御ルール演算器28は、新たに追加された制御
事例を包含するような事例平面を算出し、当該平面を示
す係数を制御ルールメモリ29に転送する。
【0128】ここで、前述した第1の実施例と本第2の
実施例との相違点について図10ないし図13を参照し
て説明する。第1の実施例では、図10に示すように、
濃度コンパレータ24によって濃度測定値(制御量)と
濃度設定値(操作量)とが比較され、両方の差が許容値
を越える場合にのみ、最新クラスタの制御事例として追
加されるか、事例数に応じて新規クラスタの事例として
分類される。例えば、図11に示す例では、最初の2つ
の事例は、許容値を越えているため、その事例数が十分
(例えば、3つ)であれば、新規クラスタに分類される
が、図示のように、事例が2つの場合には作成されな
い。
【0129】これに対して、本第2の実施例では、図1
2に示すように、濃度コンパレータ44による比較結果
に基づいて、濃度測定値(制御量)と濃度設定値(操作
量)との差が許容値を越える場合に加えて、許容値以上
になりその後許容値以内になったとき、その事例をも最
新クラスタに追加するようになっている。例えば、図1
3に示す例では、最初の2つの事例は許容値を越えてい
るので、各事例に対して「0」が記憶され、第3番目の
事例は許容値の範囲に収まっているので「1」が記憶さ
れ、この第3番目において、「0」から「1」に変わる
と、その時の事例(第3番目)が最新クラスタに追加さ
れる。
【0130】このように、第1の実施例では、制御量が
許容値を越えない限り、制御事例を獲得しなかったた
め、特に、状態が変わった直後で、新たなクラスタ作成
に必要な制御事例が集まる前に制御量が許容値に収まっ
た場合には、その実際の状態変化の情報をもった制御事
例を直ちにクラスタとして分類していなかった。このよ
うな場合、制御ルールを抽出していないので、過去に経
験した制御ルールを使わざるを得ない。これに対して、
本第2の実施例では、上述したような場合であっても、
その実際の状態変化の情報を有する制御事例をクラスタ
に獲得することができるようになっている。
【0131】E:第2の実施例の動作 次に、上記構成によるこの第2の実施例の動作について
説明する。なお、以下の説明では、前述した第1の実施
例と比較しながら説明する。図14は、第1の実施例に
よる制御事例の獲得例を示す概念図であり、図15は、
本第2の実施例による制御事例の獲得例を示す概念図で
ある。第1の実施例では、図14に示すように、制御量
と目標品質(濃度設定値)との比較結果が予め設定され
た許容値を越えた時に限り、制御事例を獲得しており、
○印で囲ってあるものが制御事例となった制御量を示し
ている。
【0132】ここでは、プリント枚数の1〜3枚目が制
御事例となり、クラスタに分類され、3番目の制御事例
を獲得したところで、このクラスタから制御ルールが抽
出される。さて、図に示す7枚目のプリントの後に、環
境などの状態が変化すると、そのあとのプリントの8,
9枚目は、当然、制御事例として獲得され、クラスタに
分類されている。しかしながら、10枚目は、制御量と
目標品質との比較結果が許容値を越えていないので、制
御事例としてクラスタに取り込まれない。したがって、
10枚目のプリントの時点では、まだ、制御ルールを抽
出できず、これまで記憶してきた既存の制御ルールの中
から、次の制御のための操作量を決定することになる。
【0133】そして、11枚目のプリントのように、再
び、制御量と目標品質との比較結果が予め設定された許
容値を越えた場合に、これが制御事例としてクラスタに
取り込まれるために、ようやく制御ルールを抽出するこ
とができる。ここで、この11枚目以降のプリントで
も、制御量と目標品質との比較結果が予め設定された許
容値を越えなかった場合には、7枚目のプリント直後に
おいて生じた環境などの状態変化に対して、直ちに制御
ルールを抽出できないため、8,9枚目のデータを、そ
の直後の制御に役立てることができない。
【0134】これに対して、本第2の実施例では、制御
量が予め設定された許容値を越えたときと、ある(前回
の)プリントの制御量が許容値を越えて、かつ今回のプ
リントの制御量が許容値に収まったときとの両方で、制
御事例の獲得を行っている。具体的には、図15におい
て、収束判断部43は、プリントの1〜3枚目に対し
て、予め設定された許容値を越えているので、「0」を
記憶する。状態量コンパレータ45は、この1〜3枚目
に対して、許容値を越えているので、第1の実施例と同
様に、制御事例として獲得し、クラスタとして分類し、
制御ルール演算器28で制御ルールを抽出する。
【0135】そして、収束判断部43は、4枚目に対し
て、許容値に収まっているので、「1」を記憶する。さ
らに、収束判断部43は、「0」から「1」に変化した
ことを検知し、状態量コンパレータ45に検知信号を供
給する。これに対して、状態量コンパレータ45は、許
容値に収まっている4枚目の制御量も制御事例として獲
得し、クラスタに取り込む。このように、本第2の実施
例では、第1の実施例に比べると、操作量を決定するた
めの情報量が多く、同じ制御ルール数でも、それを抽出
したクラスタを構成する制御量(制御事例)が多いた
め、制御ルールの精度がより高くなる。
【0136】そして、収束判断部43は、5〜6枚目に
対しては、制御量が許容値に収まっているので「1」を
記憶する。そして、7枚目以降で環境などの状態が変化
した場合についても、8,9枚目では、許容値を越えて
いるので、「0」を記憶し、第1の実施例と同様に、そ
の制御量も制御事例として獲得し、クラスタに取り込
む。そして、10枚目に対しては、その制御量が許容値
を越えているので、収束判断部43は「1」を記憶する
とともに、「0」から「1」に変化したことを検知し、
状態量コンパレータ45に検知信号を供給する。したが
って、状態量コンパレータ26は、許容値に収まってい
る10枚目の制御量も制御事例として獲得し、クラスタ
に取り込む。このように、10枚目のプリントの制御量
を制御事例として取り込んでいるために、この時点で、
すなわち、3つの制御事例を獲得した時点で、制御ルー
ルが抽出でき、ここでの環境などの状態の変化に直ちに
応答できる。
【0137】同様に、12枚目の制御量も制御事例とし
て獲得され、クラスタに取り込まれる。8〜12枚目に
かけて、クラスタ数は、第1の実施例と同じであるが、
そのクラスタに取り込まれている制御事例の数は多い。
したがって、8〜12枚目で抽出された制御ルールは、
より精度が高くなる。なお、上述した説明では、制御事
例が3つの場合に制御ルールが抽出されるとしたが、こ
れに限らず、いくつの制御事例でも構わない。
【0138】F:第2の実施例効果 以上が、本第2の実施例の構成および制御手順である
が、以下に本第2の実施例の作用効果について説明す
る。 (1)状態が変化した直後で、制御事例を獲得した後
に、特に、新たにクラスタ作成に必要な数の制御事例が
集まる前に、制御量が許容値に収まった場合でも、その
実際の状態変化の情報を有する制御事例を、クラスタに
取り込むことができる。 (2)したがって、制御ルールを抽出する場合、過去に
抽出した制御ルールのみでなく、現状を把握した最新の
制御ルールを用いて、操作量を最適に決定することがで
きる。 (3)さらに、同一クラスタ内に取り込んだ制御事例が
多くなるため、そのクラスタに基づいて抽出した制御ル
ールの精度を向上することができる。
【0139】G:第3の実施例 以下、本発明の第3の実施例について説明する。本第3
の実施例は、前述した第1の実施例に比べて、制御量と
目標品質である操作量との比較結果によるクラスタ作成
の方法に違いがある。 (1)第3の実施例による制御部の構成 図16は、本発明の第3の実施例による制御部の構成を
示すブロック図である。なお、図1に対応する部分には
同一の符号を付けて説明を省略する。図16において、
非収束判断部46は、前回のプリントの制御量(濃度)
と目標品質(濃度設定値)との差(濃度差)が許容値以
上である場合における濃度コンパレータ24の出力を検
知し、許容値以内から許容値以上に変化した場合に、非
収束検知信号を状態量コンパレータ47へ供給する。具
体的には、差(濃度差)が許容値以上である場合、すな
わち、濃度コンパレータ24から出力がある場合には
「0」を記憶し、許容値以内の場合、すなわち、濃度コ
ンパレータ24の出力がない場合には「1」を記憶する
とともに、「1」から「0」へと変化した場合に、非収
束検知信号を状態量コンパレータ47へ供給するように
なっている。このように、第3の実施例における非収束
判断部46は、前述した第2の実施例とは逆に、許容値
に収まっていた状態から許容値を越えた状態への変化を
検知するようになっている。
【0140】また、状態量コンパレータ47は、上記非
収束検知信号が供給されると、制御事例メモリ25に新
たに書き込まれた事例に基づき、新規クラスタを作成し
て分類する。このとき、制御ルール演算器28は、新た
に追加された制御事例を包含するような事例平面を算出
し、当該平面を示す係数を制御ルールメモリ29に転送
する。
【0141】ここで、前述した第1の実施例と本第3の
実施例との相違点について図17ないし図23を参照し
て説明する。第1の実施例では、図17に示すように、
濃度コンパレータ24によって濃度測定値(制御量)と
濃度設定値(操作量)とが比較され、両方の差が許容値
を越える場合にのみ、その直前の同一最新クラスタの制
御事例として追加される。例えば、図18に示す例で
は、最初の2つの事例は、許容値を越えているため、新
規クラスタに分類される。そして、3番目の制御量が収
束して、4番目で再び許容値を越えた場合には、直前に
作成した最新クラスタに分類される。そして、この状態
で、すなわち、制御事例数が3つになると、新たな制御
ルールが作成される。
【0142】また、第1の実施例では、図19に示すよ
うに、環境などの状態変化に対応できるように、プリン
ト枚数や、稼働時間を状態量とし、上記濃度コンパレー
タ24に対応する累積枚数コンパレータ24a、時間コ
ンパレータ24bによって、プリント枚数が予め設定さ
れたプリント枚数を越えた場合や、稼働時間が予め設定
された時間を越えた場合には、以後獲得していく制御事
例を、それまで獲得してきた制御事例が取り込まれたク
ラスタと、別の状態のものとして記憶するように、新た
なクラスタを作成し、以後獲得した制御事例を、この新
たなクラスタに取り込むようにしている。
【0143】例えば、図20に示す例では、1番目と2
番目の制御事例は、1つのクラスタに分類される。図に
おいて、3番目の制御事例としては、制御が収束した状
態、すなわち許容値に収まった状態が示されているが、
これは収束していなくても以下の動作は同じである。上
記3番目でプリント枚数、あるいは稼働時間のいずれか
が各々の設定値(プリント中に状態が変化するであろう
と思われる値を予め設定値として与えておく)を越えた
とすると、ここで、状態が変化したと判断する。したが
って、制御量が目標品質に対する許容値を越えた、4番
目のプリントで、新たなクラスタを作成して、この4番
目の制御事例を、上述した1番目、2番目の制御事例が
分類されているクラスタとは異なる、上記新たなクラス
タに分類する。
【0144】このように、より多くのクラスタを作成
し、各々のクラスタで制御ルールを抽出し、各々の制御
ルールと現状との適合度を判定し、制御ルールの重み付
けを行い、制御量が目標品質に対応した値となるよう
に、新たなより精度の高い制御量を算出している。しか
しながら、この方法では、予めプリント中に状態が変化
するであろうと思われる値(プリント枚数、稼働時間)
を予め設定値として与えておく必要がある。
【0145】これに対して、本第3の実施例では、非収
束判断部46は、図21に示すように、濃度コンパレー
タ24による比較結果に基づいて、濃度測定値(制御
量)と濃度設定値(操作量)との差が許容値以内にな
り、その後、許容値以上になったことを判断し、その事
例を新規に作成した新たなクラスタに追加するようにな
っている。例えば、図22に示す例では、最初の2つの
事例は許容値を越えているので、各事例に対して「0」
が記憶され、第3番目の事例は許容値の範囲に収まって
いるので「1」が記憶される。そして、3番目のプリン
ト後に状態が変化し、4番目のプリントで、制御量が目
標品質に対する許容値を越えると、「0」が記憶される
とともに、「1」から「0」に変化したことが検知され
る。この結果、新たなクラスタを作成して、この4番目
の制御事例を、上述した1番目、2番目の制御事例が分
類されているクラスタとは異なる、上記新たなクラスタ
に分類する。
【0146】この場合、制御事例が3つ集まると制御ル
ールを作成できるものとすると、図24に示す例では、
いずれのクラスタでも制御ルールは作成されない。この
あとも、制御量が許容値を越える場合には、4番目の制
御量は、その時のプリンタをとりまく状態が実際に変化
して起きたものとして、制御ルールを作成していくわけ
である。一方、このあと、制御量が許容値を越えなかっ
た場合には、4番目の制御量は、その時のプリンタをと
りまく状態が変化して起きたものではなく、単に、ノイ
ズなどの原因で一時的に許容値を越えたものとして捉
え、新たな制御ルールを作成しない。つまり、以後の制
御では、これまでの制御ルールに従って行えばよいと判
断するようになっている。
【0147】このように、第1の実施例では、プリント
枚数や時間が所定の設定値になるまで、新たなクラスタ
を作成しないので、例えその範囲内で状態が変化して制
御量が目標品質を越え、新たに制御事例が獲得できるよ
うになっても、それ以降の制御事例は、これまでと同じ
クラスタに分類される。したがって、時々刻々と変化す
る状態に、逐次対応できない。また、ノイズなどが原因
で、制御量や操作量など制御事例となる要因(特に制御
量)が一時的に異常な値になった場合、あるいは制御量
が許容値を連続して越えないような場合(多くの場合、
ノイズによる)には、第1の実施例では、それまでの制
御事例と同じクラスタに分類されてしまうので、ノイズ
を含めた形(ノイズ成分は、制御事例の数に応じて統計
的に薄められてしまうが、制御事例の数が少ない場合に
は重大なエラーを引き起こす問題となる)で、制御ルー
ルが更新されてしまう。あるいは、制御ルールを変更す
るほどではないにしろ、一旦、収束したあとで僅かに許
容値を越えてしまう場合でも、これまでの制御ルールが
現状に適合していても、制御ルールが更新されてしま
う。
【0148】これに対して、本第3の実施例では、一
度、収束した場合、すなわち、許容値に収まった場合に
は、次に許容値を越えた制御事例を、別の新たに作成し
たクラスタに分類することにより、現状の変化により適
切に対応できる制御ルールを作成することができ、ま
た、ノイズなどによる一時的な状態変化に対して、該ノ
イズによる異常な制御事例を、これまで獲得してきた制
御事例が分類されているクラスタ(最新クラスタ)に追
加しないようにして、制御ルールの精度が低下すること
を防止することができるようになっている。
【0149】H:第3の実施例の動作 次に、上記構成によるこの第3の実施例の動作について
説明する。なお、以下の説明では、前述した第1の実施
例と比較しながら説明する。 (1)環境などによって状態が変化した場合 図23は、第1の実施例による制御事例の獲得例を示す
概念図であり、図24は、本第3の実施例による制御事
例の獲得例を示す概念図である。まず、第1の実施例で
は、図23に示すように、プリント枚数が1〜3枚目
で、第1のクラスタが作成され、3枚目までに3つの制
御事例が獲得されているので、該第1のクラスタに基づ
いて制御ルールが作成される。そして、4〜7枚目のプ
リントでは、制御量と目標品質との比較結果が許容値を
越えていないので、クラスタは作成されない。
【0150】次に、7枚目のプリントが終了した直後
に、環境などの変化が生じ、8枚目のプリントから状態
が変化したとすると、当然、これまでの制御ルールで
は、操作量の補正を正確に行えなくなり、制御量と目標
品質との比較結果は許容値を越えてしまう。状態量コン
パレータ26は、制御事例群である最新クラスタ内の制
御事例の時刻情報と、制御事例メモリ25に新たに書き
込まれた制御事例の時刻情報とを比較し、所定の時間内
であれば、状態類似と判断し、所定の時間以上離れてい
れば状態非類似と判断する。この場合、3枚目から8枚
目のプリントまでそれほど時間が経過していないとする
と、上記判断結果は状態類似となり、8枚目の制御事例
は、図23に示すように、1〜3枚目で作成した第1の
クラスタに分類される。同様にして、9,10枚目のプ
リントでも、許容値を越えるので、それらの制御事例
は、上記第1のクラスタに分類される。このように、第
1の実施例では、環境などの状態変化が生じても、それ
以後の制御事例は、最新クラスタに分類されてしまうの
で、状態変化後(8枚目以後)に対応する制御ルールが
作成されることがない。
【0151】これに対して、本第3の実施例では、制御
量が予め設定された許容値を越えたときと、ある(前回
の)プリントの制御量が許容値を越えて、かつ今回のプ
リントの制御量が許容値に収まったときとの両方で、制
御事例の獲得を行っている。図24において、非収束判
断部46は、1〜3枚目に対して、予め設定された許容
値を越えているので「0」を記憶する。状態量コンパレ
ータ47は、この1〜3枚目に対して、許容値を越えて
いるので、第1の実施例と同様に、制御事例として獲得
し、クラスタとして分類する。そして、3つの制御事例
が獲得された時点で制御ルールを抽出する。したがっ
て、第1および第3の実施例のいずれの場合も、プリン
ト枚数が1〜3枚目で、第1のクラスタが作成され、3
枚目のプリントまでに3つの制御事例が獲得されている
ので、該第1のクラスタに基づいて制御ルールが作成さ
れる。
【0152】次に、4枚目のプリントに対しては許容値
に収まっているので、非収束判断部46は「1」を記憶
する。5〜7枚目のプリントに対しても同様である。次
に、前述したように、7枚目のプリントの直後に環境な
どの状態変化が生じ、8枚目のプリントから状態が変化
すると、当然、これまでの制御ルールでは、操作量の補
正を正確に行えなくなり、制御量と目標品質との比較結
果は許容値を越えてしまう。このとき、非収束判断部4
6は、許容値以上となるので、「0」と記憶するととも
に、「1」から「0」に変化したことを検知し、状態量
コンパレータ26に非検知信号を供給する。これに対し
て、状態量コンパレータ47は、第1のクラスタとは異
なる新たな第2のクラスタを作成し、該第2のクラスタ
に8枚目の制御量を分類する。
【0153】同様にして、以後の9,10枚目のプリン
トにおいても、この状況に最適な制御ルールが作成でき
ず、既存の制御ルールを用いているので、まだ、収束し
きれず、制御量は許容値を越えてしまう。したがって、
9,10枚目のプリントにおける制御事例を順次第2の
クラスタに分類する。そして、制御事例が3つ集まるこ
とで、第2のクラスタに基づいて新たな制御ルールが作
成される。この結果、第2のクラスタで作成された制御
ルールが以後のプリントに有効に利用できるので、制御
量と目標品質との比較結果は、その許容値に収まるよう
になる。このように、本第3の実施例では、現在の制御
量が許容値を越えた場合、直前の制御量が許容値に収ま
っていた場合には、許容値を越えた制御事例を、別の新
たに作成したクラスタに分類するので、現状の変化によ
り適切に対応できる制御ルールを作成することができ
る。
【0154】(2)一時的に変化した場合 図25は、第1の実施例による制御事例の獲得例を示す
概念図であり、図26は、本第3の実施例による制御事
例の獲得例を示す概念図である。まず、図25におい
て、1〜7枚目のプリントまでは、上述した図24と同
様に、プリント枚数が1〜3枚目で第1のクラスタが作
成され、該第1のクラスタに基づいて制御ルールが作成
される。そして、4〜7枚目のプリントでは、制御量と
目標品質との比較結果が許容値を越えていないので、ク
ラスタは作成されない。
【0155】次に、8枚目のプリントがノイズなどによ
り許容値を越えると、状態量コンパレータ47は、制御
事例群である最新クラスタ内の制御事例の時刻情報と、
制御事例メモリ25に新たに書き込まれた制御事例の時
刻情報とを比較し、所定の時間内であれば、状態類似と
判断し、所定の時間以上離れていれば状態非類似と判断
する。この場合、3枚目から8枚目のプリントまでそれ
ほど時間が経過していないとすると、上記判断結果は状
態類似となり、8枚目の制御事例は、図25に示すよう
に、1〜3枚目で作成した第1のクラスタに分類され
る。
【0156】そして、9枚目のプリントでは、第1のク
ラスタで作成した制御ルールや、これまで蓄えているそ
のほかの制御ルールに基づいて操作量を算出するが、ま
だノイズの影響があり、制御しきれずに許容値を越えて
しまうので、第1のクラスタに分類される。しかし、許
容値を越えた原因がノイズなどによる異常にあるので、
10枚目のプリントの制御事例は許容値に収まってい
る。そして、11枚目のプリントでも、ノイズなどによ
る異常により、許容値を越えたとすると、11枚目の制
御事例も上記第1のクラスタに分類される。このよう
に、第1の実施例では、ノイズなどによって一時的に異
常な制御量が生じた場合でも、それらの制御事例は、第
1のクラスタに分類されてしまうので、誤差が含まれて
しまう。
【0157】これに対して、本第3の実施例でも、1〜
7枚目までは、上述した図24と同様に、プリント枚数
が1〜3枚目で第1のクラスタが作成され、該第1のク
ラスタに基づいて制御ルールが作成される。そして、4
〜7枚目のプリントでは、制御量と目標品質との比較結
果が許容値を越えていないので、クラスタは作成されな
い。また、図26に示すように、非収束判断部46は、
1〜3枚目に対して、予め設定された許容値を越えてい
るので「0」を記憶し、4〜7枚目のプリントに対して
は許容値に収まっているので「1」を記憶する。
【0158】次に、前述したように、8枚目のプリント
がノイズなどにより許容値を越えると、非収束判断部4
6は「0」と記憶するとともに、「1」から「0」に変
化したことを検知し、状態量コンパレータ47に非検知
信号を供給する。これに対して、状態量コンパレータ4
7は、非検知信号を受信することにより、第1のクラス
タとは異なる新たな第2のクラスタを作成し、該第2の
クラスタに8枚目の制御量を分類する。そして、9枚目
のプリントでは、第1のクラスタで作成した制御ルール
や、これまで蓄えているそのほかの制御ルールに基づい
て操作量を算出するが、まだノイズの影響があり、制御
しきれず、許容値を越えてしまう。したがって、非収束
判断部46は「0」を記憶する。
【0159】次に、10枚目のプリントでは、前述した
ように、許容値に収まるので、非収束判断部46は
「1」を記憶する。そして、11枚目のプリントで再び
ノイズなどにより許容値を越えると、非収束判断部46
は「0」と記憶するとともに、「1」から「0」に変化
したことを検知し、状態量コンパレータ47に非検知信
号を供給する。これに対して、状態量コンパレータ26
は、非検知信号を受信することにより、第2のクラスタ
とは異なる新たな第3のクラスタを作成し、該第3のク
ラスタに11枚目の制御量を分類する。上述した第2お
よび第3のクラスタでは、ノイズなどが原因で作成され
たクラスタであるため、制御事例が少なく(3つ以上な
い)、制御ルールは作成されない。このように、本第3
の実施例では、ノイズなどにより一時的に許容値を越え
る制御量が生じても、これらは状態変化によって作成さ
れたクラスタ(第1のクラスタ)に分類されないので、
正常なクラスタに異常な制御事例を追加せずに済む。ま
た、ノイズなどによる明らかに異常な制御事例を含むク
ラスタから制御ルールを算出しないので、ノイズを含む
制御事例の影響がない、より正しい制御ルールを確保す
ることがでる。
【0160】(3)環境などによって状態が変化した場
合 図27は、第1の実施例による制御事例の獲得例を示す
概念図であり、図28は、本第3の実施例による制御事
例の獲得例を示す概念図である。図27、図28では、
各プリント枚数毎の制御量の変化は同じであるが、環境
などの状態が変化した場合について示している。まず、
第1の実施例では、図27に示すように、7枚目のプリ
ントの直後で、環境などにより状態が変化しており、
8,9,11枚目の制御量は、1〜3枚目で作成した第
1のクラスタに分類される。したがって、前述したよう
に、第1のクラスタに基づいて作成された制御ルール
は、8,9,11枚目の制御事例によって変更される。
【0161】これに対して、第3の実施例では、図28
に示すように、非収束判断部46による収束判断は、7
枚目のプリントから8枚目のプリントで「1」から
「0」に変化するので、この時点で新たな第2のクラス
タが作成され、該第2のクラスタに上記8枚目の制御量
が分類される。次に、9枚目の制御量は、許容値を越え
ているので上記第2のクラスタに分類される。このと
き、非収束判断部46は「0」を記憶する。そして、1
0枚目のプリントで許容値に収まるので、非収束判断部
46は「1」を記憶する。さらに、11枚目のプリント
は、再び、許容値を越えるので、非収束判断部46は
「1」を記憶する。また、10枚目のプリントから11
枚目のプリントで「1」から「0」に変化するので、こ
の時点で新たな第3のクラスタが作成され、該第3のク
ラスタに上記11枚目の制御量が分類される。上記第2
および第3のクラスタでは、獲得した制御事例が2つ、
もしくは1つであるので、新たな制御ルールは作成され
ない。
【0162】このように、第3の実施例では、第1の実
施例に比べ、環境などにより状態が変化した場合、それ
以後、許容値を越える制御事例が生じても、それら制御
事例は、状態が変化する前の第1のクラスタに分類され
ないので、正常なクラスタに異常な制御事例を追加する
ことがなくなる。
【0163】I:第3の実施例効果 以上が、本第3の実施例の構成および制御手順である
が、以下に本第3の実施例の作用効果について説明す
る。 (1)制御量が目標品質に対する許容値を越えた場合、
直前の制御量が収束していた場合には、新たなクラスタ
を作成し、上記許容値を越えた制御量を該新たなクラス
タに分類し、十分な数(3つ)の制御事例を獲得する
と、現状の変化により適切に対応できる制御ルールを作
成することができる。 (2)また、ノイズなどにより一時的に許容値を越える
制御量が生じても、これら異常な制御事例は、これまで
に獲得し作成してきた正しい制御量からなる制御事例を
分類している正常なクラスタに追加せずに済む。 (3)さらに、ノイズなどによる明らかに異常な制御事
例だけが新しいクラスタに分類され、さらに、ノイズ
(突発的なもの)はそれ以降継続して発生しないと考え
られるので、その新しいクラスタには、制御ルールを算
出するのに十分な数(例えば、3つ)の制御事例は集ま
らない。したがって、ここで新たに作成されたクラスタ
は記憶されることがない。この結果、これまで記憶して
きたクラスタからのみ、制御ルールを算出するので、ノ
イズの影響がない、より正しい制御ルールを獲得するこ
とができ、現状の変化により適切に対応できる制御ルー
ルに基づいて制御を行うことができる。
【0164】J:変形例 上述した第1ないし第3の実施例においては、以下に述
べるような種々の変形が可能である。 (1)前述した第1ないし第3の実施例は、画像出力部
IOTが、単色のレーザープリンタの例であったが、本
発明の適用は、これに限定されるものではなく、多色レ
ーザープリンタであっても、あるいはアナログ方式の複
写機であっても、全く同様の効果を発揮することかでき
る。さらに、電子写真方式に限らず、インクジェット方
式等の画像出力部でも、本発明は適用可能である。
【0165】(2)第1ないし第3の実施例において用
いたセンサは単なる一例であり、本発明の効果を得るた
めには、現像パッチの濃度が正しく測定できるセンサで
あれは、どのような方式のものでも構わない。また、モ
ニタする対象も、最終画像濃度と相関が高いものであれ
ば、どのようなものでも良く、例えば、現像像、転写
像、定着像のどれをモニタしても、ユーザが手にする最
終画像濃度と対応づけられれば良い。
【0166】(3)また、第1ないし第3の実施例で
は、現像パッチの濃度としてベタ(網点カバレッジ10
0%)濃度パッチと、ハイライト(網点カバレッジ20
%)濃度パッチの二種類を採用したが、これも、この二
種類に限定されることなく、たとえば、網点カバレッジ
50%に対応する濃度のみを制御対象としても良いし、
さらに多くの種類のパッチを用いて、より多くの階調ポ
イントを制御しても良い。ただし、各階調ポイントをそ
れぞれ独立に制御したい場合は、制御用パラメータの種
類を階調ポイント数に見合った数だけ用意する必要があ
る。
【0167】(4)第1ないし第3の実施例において
は、現像パッチの濃度をモニタしたが、再現画像濃度
(実際の濃度)を直接モニタしてもよく、さらに、その
代用となる他の物理量をモニタしてもよい。
【0168】(5)第1ないし第3の実施例では現像バ
イアス設定値を固定値としたか、例えばレーザーパワー
設定値を固定し、スコロトロン帯電器のグリッド電圧設
定値と現像バイアスとを制御パラメータとして採用する
こともできる。これは現像バイアスもベタ濃度とハイラ
イト濃度に高い相関をもっているためである。したがっ
て、別の組合せとして、スコロトロン帯電器のグリッド
電圧設定値を固定し、レーザーパワー設定値と現像バイ
アスとを制御パラメータとして採用することもできる。
【0169】あるいはまた、レーザーパワー設定値、現
像バイアス設定値、およびスコロトロン帯電器のクリッ
ド電圧設定値の三つを使って三つの階調ポイントを制御
することも可能である。すなわち、例えば、網点カバレ
ッジが100%、50%、20%というようにである。
【0170】(6)なお、第1ないし第3の実施例では
二成分現像方式を用いる場合を前提にして説明を行っ
た。この場合、現像剤におけるトナー濃度、すなわちト
ナーとキャリアの混合割合が現像濃度に関わるが、これ
についてはトナー供給量を、出力すべき画像のピクセル
数に比例させる方式で、別途、概略一定のトナー濃度に
制御している。あるいは他の方法としては、従来から一
般的に用いられている市販の磁性方式のセンサや光学方
式によるセンサでモニタすることで、概略一定のトナー
濃度に制御しても良い。
【0171】また、第1ないし第3の実施例では、トナ
ー濃度を積極的に可変制御して、画像濃度を所望の値に
制御するわけではないため、概略一定のトナー濃度に保
たれていれば十分である。これは、多少のトナー濃度の
変動があっても、上述の制御パラメータ(スコロ設定
値、LP設定値)の設定により吸収できてしまうからで
ある。
【0172】これに対して、一成分現像方式を用いるの
であれば、トナー濃度は常に100%であるため、直接
には画像濃度に影響しないので、現像剤の空検知等の従
来トナー量管理が十分である。
【0173】(7)第1の実施例における制御事例は、
状態量、設定値(操作量)、出力値(制御量)の三要素
からなっており、しかも、状態量として時刻を採用して
いるので、温度湿度などをモニタするための温度センサ
や湿度センサを用いる必要がない。
【0174】また、前述したように、別の例として、そ
の日に電源を投入してからのプリント枚数や画像形成装
置が稼働してからの累積プリント枚数、あるいはプリン
トボタンを押されてからの連続プリント枚数などを状態
量の代用値として用いてもよい。これは、電子写真方式
の場合、感光体の特性がプリント枚数に極端に依存する
ものがあり、例えば、一連の画像形成動作において、は
じめの数枚とそれ以降の画像濃度が大きく異なるような
画像形成装置があるからである。このような場合に、状
態量の代用値をプリント枚数として設定すると、非常に
効果を発揮する。なお、この例に対しては、前述した第
3の実施例を適用すれば、上記プリント枚数や、累積プ
リント枚数、連続プリント枚数を予め設定しておく必要
がなくなる。
【0175】このように、画像濃度に関わる状態量とし
て、必ずしも何らかの物理量をセンシングしなければな
らないのではなく、想定している画像形成装置の特性に
合わせて、任意の状態量あるいは状態量の代用値を用い
ることができる。
【0176】もちろん、コストやセンサの取付空間に余
裕があり、温度センサや湿度センサを用いて、より正確
に状態量を把握して、制御性能を高めたいという場合に
は、適宜、他の状態量をセンシングするためのセンサを
設けても良いことは言うまでもない。そのような場合で
も本発明に特別な処理や変更を加える必要はまったく無
い。
【0177】なお、実験によれば、温度センサや湿度セ
ンサを直接用いなくとも、結果的に温度変化や湿度変化
に対応した制御事例が分類でき、それぞれに対応する制
御ルールが自動的に作成されており、通常の画像形成装
置であれば、特に温度センサや湿度センサを用いること
の必要はなかった。
【0178】(8)次に、第1ないし第3の実施例とは
異なる制御ルールの獲得方法について説明する。すなわ
ち前述のような制御事例による「平面」ではなく、さら
に次数を上げた「曲面」を用いることもできる。
【0179】平面の場合と曲面の場合の比較をすると、
平面であれば、制御事例数は最低3つあれば良く、さら
に多くの事例がある場合には、統計的に平均化すること
によつて、計測誤差などの影響を軽減できる。しかも特
筆すべきことは、本発明によれば、制御ルールの精度に
応じて、制御ルールそのものが補完的に作られていくの
で、総合的な制御精度は所望なだけ得られるという長所
がある。この様子を図29に模式図として示す。
【0180】すなわち、ある制御事例平面で賄える領域
についてのみ、その平面が対応し、それを越える領域に
対しては、また別の制御事例平面が新たに生成されるこ
とになる。この制御ルールの生成は、前述するように、
所望の制御精度が得られるまで、自動的に継続されるよ
うになっている。
【0181】また、図30は、理解しやすいように次元
を一つ下げて(つまり、平面を直線で、曲面を曲線で)
表現してあるか、ひとつの制御ルールと隣り合う制御ル
ールの間では、両方の制御ルールの「適合度」に応じた
合成が行われるため、例えば両者のちょうど中間の位置
では、両者の適合度が50%ずつとなって、両者の傾き
の平均の傾きを持った平面が仮想的に作成され、しかも
実際の物理現象と一致するように平行移動される。した
がって、なめらかな曲面が存在しているのとまったく同
様な状態で制御が行えるようになっていることを示して
いる。
【0182】また、これとは逆に、高次の近似曲面を用
いた場合には、ひとつの制御ルールが広範囲の領域をカ
バーできるが、その分だけ、一つの制御ルールを立ち上
げるために多くの制御事例が必要となるため、応答速度
が遅くなるということが生じてくる。
【0183】したがって、どのような方針、すなわち制
御ルールを簡単な平面で迅速に決定し、必要に応じて多
数の平面を組み合わせていくか、初めから精度の良い制
御ルールを高次の曲面で表現し、曲面の数は少数で済ま
すかは、想定している画像形成装置、あるいはユーザに
とって、どのような制御特性が望ましいのかによって決
めれば良く、本発明はそのどちらの場合にも対応できる
ものである。
【0184】(9)なお、現像パッチの作成とそのセン
シングは、従来技術で行われているパッチ作成および検
出と全く同じ要領で良く、本発明を構成する上での特別
な制約は一切ない。すなわち、従来行われている例のよ
うに、画像形成するたびに毎回パッチを作成しても良い
し、一連のジョブの前のみ、あるいは後のみにパッチを
作成しても良い。あるいは、一定の枚数ごと、一定の時
間ごとにパッチを作成しても良い。
【0185】一般的にパッチ作成とその検出は、頻度が
高いほど精度良く画像濃度の再現状態を把握できるとい
う長所かあるが、その分だけトナーを消耗するなどの短
所ももっているため、その画像形成装置の仕様や目的に
合わせて、最適なパッチ作成頻度を採用すれば良い。
【0186】(10)状態量について 許容誤差量を越えるような誤差の発生が、本質的物理
的な変化によるものなのか、あるいは、これまでに記憶
している過去の事例の自体の測定精度が不十分であった
ためなのかを判断しなければならない。そして、本質的
物理的な変化によるものであれば、制御ルールそのもの
を新たに作成しなければならない。−方、本質的物理的
な変化は発生しておらず、単に過去の事例の精度不足
(測定誤差が大きかったなど)によって制御ルールの当
てはまりが良くなかったのであれば、むしろ過去の事例
と新しい事例を一緒に用いて、統計的に個々の事例が持
っている測定誤差の影響を軽減することの方が、より効
果的である。例えば、第1ないし第3の実施例の立上げ
時のように、最小限の三事例のみで制御事例平面を決定
するより、より多数の制御事例から最小二乗法などの統
計的計算方法を用いて誤差を軽減した方が、より精度の
高い制御ルールが得られると期待できる。
【0187】そこで、本発明では、このような区別を行
うために、制御事例の要素である状態量を用いるように
しており、前述の第1の実施例では状態量として、物理
量センシングを必要としない制御時刻を用いている。こ
のため、各事例の制御時刻の一致度合いで同一状態と見
なすかどうかを判定し、つまり日付が異なっていれば温
度湿度等の状態は異なっているとみなし、時間的に近い
制御事例同士は同じ状態下にあると見なしている。
【0188】ここで、「時間的に近い」という範囲の設
定は、その画像形成装置の要求仕様や、想定しているユ
ーザの使用環境などを鑑みて、最適に行うようにすれば
よい。例えば、季節により外気温が大きく変動するよう
な地域にあるオフィスでは、同じ一日の内でも、冷暖房
が働き始めたばかりの早朝と、冷暖房が十分に機能して
いる日中とでは、静電的なメカニズムで画像を作成して
いる電子写真方式の画像形成装置にとっては、環境条件
は大きく異なってしまう。
【0189】このような状況に対処するためには、例え
ば、午前中は一時間以内、午後は三時間以内の事例同士
を同一状態にあるものと見なしたり、午前十時以前と十
時以降を別の状態と見なしたりすることで対処できる。
このような分類分けは必要な分だけ細かく設定すること
が可能である。あるいは、そのような区分けがあまりに
も細かくなり過ぎて煩雑すぎるような場合には、前述の
ように温湿度センサを用いて、それらの測定値も制御事
例の状態量のひとつとして含まれるように構成すること
も可能である。
【0190】ここで、理解のために、デイリー変動の
みに対応した比較的単純な第1の実施例について説明を
行うことにする。すなわち、同一の日付を持った制御事
例は、同一の状態下であったと見なすことで、分類でき
るものとする。
【0191】さて、制御結果が許容誤差量を越えると、
上述したように制御事例を取り込み、その制御で用いた
制御ルールを抽出した制御事例群の状態量、すなわち制
御時刻を検討する。デイリー変動に対応させるために
は、同じ日付であるかどうかが判断基準になる。つまり
今回の制御事例と制御ルールを抽出した制御事例群とが
同じ日付であれば、今回の制御事例をその制御事例群に
追加することにより制御ルールの改良を行う。
【0192】逆に日付が異なっていれば、制御ルールそ
のものが本質的に変化してしまったものと見なし、新た
な制御ルールの作成を開始する。すなわち、その時点か
らn+1個以上の制御事例を記憶し、新たな制御事例が
n+1個以上得られた時点で新たな制御事例平面、つま
り新たな制御ルールが獲得される。なお、新たな制御事
例がn+1個以下の各制御時点では、不足した個数分
を、暫定的に、過去の制御事例の中で、最とも新しいも
ので代用することで制御ルールを更新してもよい。
【0193】また、n+1個以上の制御事例を採取する
かどうかは、n+1個の制御事例から作られた新たな制
御事例平面を制御ルールとして制御した結果が、上述の
許容誤差を満たしているかどうかで一義的に判断でき
る。すなわち、許容誤差を満たしていれば、十分精度の
良い制御を可能とするだけの制御ルールが得られている
わけであるし、許容誤差を満たしていなければ、さらに
制御事例を増やして、制御事例平面の精度を高める必要
が有ると判断する。このとき、上述のように、n+1個
目以降の制御事例と、n+1個目までの制御事例の状態
量、すなわち日付が比較され、同一日であるかどうかの
判断を行う。
【0194】なお、このような制御ルールの改良、あ
るいは新たな制御ルールの獲得は、同一状態量の判断基
準の如何によらないことはいうまでもない。すなわち、
日付単位の管理であっても時間単位の管理であっても、
あるいはある一定の温度変化幅単位の管理などであって
も、プリント枚数単位であっても、要するに同一状態量
と見なすか見なさないかということを、一義的に決定で
きるようにしておけば、制御ルールの改良、あるいは新
たな制御ルールの獲得ができるのである。
【0195】(11)第1ないし第3の実施例における
メモリ管理においては、古いデータから消去するように
したが、制御ルールについては、制御に使用される毎
に、その適合度を累積し、この結果得られる累積適合度
を用いて消去の有無を決定してもよい。すなわち、累積
適合度の小さい制御ルールは、使用される度合いが低い
制御ルールであるから、このようなものから順に消去し
ていけばよい。
【0196】次に、この消去方法についてより許しく述
べる。まず、制御ルールの重要性を判断する際、必ずし
も新旧のみに基づいて行うことが良いとは限らないこと
に留意する。なぜなら、電子写真プロセスによる画像形
成装置などでは、温湿度環境の影響を大きく受けるた
め、例えば、日本の四季との関係を考慮した場合、夏に
おける制御を行う上で、半年前である冬に抽出した制御
ルールよりも、一年前の夏に抽出した制御ルールの方が
有効となることもあり得るからである。
【0197】したがって、単にデータの新旧のみで重要
性を判断するのではなく、より的確な判断を行うことか
有意義である。そこで、制御に使用される毎に、その適
合度を累積し、この結果得られる累領適合度を用いて重
要性の判断を行うようにする。
【0198】ただし、この場合、単に累積適合度のみで
判断しようとすると問題が生じる。これは、新しい(出
来て間もない)制御ルールほど累積適合度か小さく、古
い制御ルールほど1回ごとの適合度が小さくとも(した
がって、重要性が低くても)、累積される回数が多いこ
とから、累積適合度が大きくなる可能性が高くなるから
である。
【0199】一方、画像形成装置に大きな影響を与える
温湿度といった外部環境は、特に日本の場合、四季によ
って大きく変化する。したがって、その制御ルールが抽
出された季節の類似環境状態が継続する期間にわたっ
て、適合度の累積状況を考慮することが望ましい。
【0200】例えば、3カ月前間は制御ルールが抽出さ
れた時点(季節)と類似した環境状態にあると見なし、
3カ月以上経過したルールの中で、もっとも累積適合度
の低い制御ルールを、もっとも重要性の低いルールとし
て消去する。このようにすれば、新しく抽出されたばか
りのルールがむやみに消去されてしまうことはない。す
なわち、抽出されてから3カ月以内であれば、適用頻度
が少なく、累積適合度も小さいことが普通であるが、こ
のような新しいルールかむやみに削除されてしまうこと
がなくなる。
【0201】さらに詳しく説明する。制御ルールを最小
二自乗法による一次近似により表現すれば、制御ルール
(あるいはクラスタ)の要素としては、表2のように記
憶される。
【0202】
【表2】
【0203】すなわち、表2の制御ルールは、 ベタ濃度=al×LP設定値+a2×スコロ設定値+a
3 ハイライト濃度=bl×LP設定値+b2×スコロ設定
値+b3 と近似できるような係数al、a2、a3、bl、b
2、b3と、作成された年月日分秒、すなわち、そのル
ールを抽出した制御事例群の中の最後の(最も新しい)
制御事例の発生時刻と、累積適合度との各要素から構成
されており、制御ルールが制御に使用されて適合度が算
出されるたびに、累積適合度は加算されていく。
【0204】なお、表2は表1に対応しており、事例1
〜3から制御ルール1が、事例4〜6から制御ルール2
か抽出された例を示している。
【0205】以上のような手法で、制御ルール(あるい
はクラスタ)が記述述されているため、メモリ残量が不
足した場合には、まず、作成された年月日時分秒に基づ
いて三カ月以上経過しているか否かが判定でき、次い
で、三力月以上経過している場合には、他の三力月以上
経過しているルールの累積適合度と比較して、重要度を
判定できるようになっている。
【0206】なお、予め用意してあるメモリ容量が小さ
いか、あるいは、極めて頻繁に新たな制御ルールが作成
された場合には、三力月に満たないうちにメモリ残量が
不足する事態もあり得る。その現合には、上述したよう
に、もっとも古いデータから単純に削除する。したかっ
て、どのような場合であっても、最新のデータを記憶す
るためのメモリは確保できるように構成することができ
る。
【0207】(12)制御ルール検索器において、制御
ルールの適合度を求めて合成する際に、適合度が所定値
(10%あるいは20%など)より小さいものは無視
し、残りの制御ルールについて再び適合度を求め、これ
らを合成して制御を行うようにしてもよい。このような
制御を行うことで、関連の薄い制御ルールの影響を受け
ずに済むので、より精度の高い制御を行うことができ
る。
【0208】(13)第1ないし第3の実施例において
は、画像濃度を制御対象にしたが、これに代えて、例え
ば、線幅、鮮鋭度、階調などを制御対象にしてもよい。
【0209】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1〜13に
記載の発明によれば、センサの数を極力減らし、以てコ
ストを低減することができる。また、技術者が事前にさ
まざまな環境条件や経時的劣化などの影響を把握しなく
ても精度の良い制御が自動的に行えるようにして、開発
工数を大幅に低減することができる。
【0210】さらに、膨大な台数の画像形成装置が市場
に出て、それぞれがさまざまな使い方をされたり、随時
部品交換が行われたりした場合であっても、一台一台の
画像濃度制御性能を常に自動的に確保できる。
【0211】さらに、請求項5,6に記載の発明におい
ては、要求されている制御精度自体を制御装置に直接に
指示設定することを可能とし、制御装置自身がその要求
精度を満たすよう自動的に対応するように構成すること
で、精度向上のためのコストアップや開発工数の増大を
一切不要にすることができる。
【0212】また、請求項8,9,10に記載の発明に
おいては、限られたメモリ容量を有効に利用しながら、
制御を行うことができる。
【0213】また、請求項16,17に記載の発明にお
いては、制御ルールを抽出する場合、過去に抽出した制
御ルールのみでなく、現状を把握した最新の制御ルール
を用いて、操作量をより最適に決定することができる。
また、新たにクラスタ作成に必要な数の制御事例が集ま
る前に、制御量が許容値に収まった場合でも、その実際
の状態変化の情報を有する制御事例を、クラスタに取り
込むことができる。したがって、同一クラスタ内に取り
込んだ制御事例が多くなるため、そのクラスタに基づい
て抽出した制御ルールの精度をより向上することができ
る。
【0214】また、請求項19,20に記載の発明にお
いては、十分な数の制御事例を獲得すると、現状の変化
に、より適切に対応できる制御ルールを作成することが
できる。また、ノイズなどにより一時的に許容値を越え
る制御量が生じても、これら異常な制御事例は、これま
でに獲得し作成してきた正しい制御量からなる制御事例
を分類している正常なクラスタに追加せずに済む。さら
に、ノイズなどによる明らかに異常な制御事例を含むク
ラスタには、制御ルールを算出するために十分な数の制
御事例が集まらないため、該クラスタからは制御ルール
が算出されず、ノイズを含む制御事例の影響がない、よ
り正しい制御ルールを確保することができ、現状の変化
に、より適切に対応できる制御ルールに基づいて制御を
行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1の実施例における制御部の構
成を示すブロック図である。
【図2】 同第1の実施例の画像出力部の概略を示す構
成図である。
【図3】 同第1の実施例における濃度パッチを示す概
略図である。
【図4】 同第1の実施例における濃度パッチの作成位
置を示す概略図である。
【図5】 同第1の実施例おける現像濃度センサの出力
信号の一例を示す波形図である。
【図6】 同第1の実施例の立上げ時の事例平面を示す
概念図である。
【図7】 同第1の実施例におけるベタおよびハイライ
ト濃度を制御するための推論方法を示す概念図である。
【図8】 同第1の実施例において、過去の複数のクラ
スタから、適合度を用いて新たなクラスタを作成する様
子を示す概念図である。
【図9】 本発明の第2の実施例による制御部の構成を
示すブロック図である。
【図10】 第1の実施例による許容値比較の概略を示
すブロック図である。
【図11】 第1の実施例による制御事例獲得とクラス
タ作成を説明するための概念図である。
【図12】 本第2の実施例による許容値比較の概略を
示すブロック図である。
【図13】 同第2の実施例による制御事例獲得とクラ
スタ作成を説明するための概念図である。
【図14】 第1の実施例による制御事例の獲得例を示
す概念図である。
【図15】 第2の実施例による制御事例の獲得例を示
す概念図である。
【図16】 本発明の第3の実施例による制御部の構成
を示すブロック図である。
【図17】 第1の実施例による許容値比較の概略を示
すブロック図である。
【図18】 第1の実施例による制御事例獲得とクラス
タ作成を説明するための概念図である。
【図19】 プリント枚数や、稼働時間を状態量とした
場合における許容値比較の概略を示すブロック図であ
る。
【図20】 プリント枚数や、稼働時間を状態量とした
場合における制御事例獲得とクラスタ作成を説明するた
めの概念図である。
【図21】 第3の実施例による許容値比較の概略を示
すブロック図である。
【図22】 同第3の実施例による制御事例獲得とクラ
スタ作成を説明するための概念図である。
【図23】 第1の実施例による制御事例獲得とクラス
タ作成を説明するための概念図である。
【図24】 第3の実施例による制御事例獲得とクラス
タ作成を説明するための概念図である。
【図25】 第1の実施例による制御事例獲得とクラス
タ作成を説明するための概念図である。
【図26】 第3の実施例による制御事例獲得とクラス
タ作成を説明するための概念図である。
【図27】 第1の実施例による制御事例獲得とクラス
タ作成を説明するための概念図である。
【図28】 第3の実施例による制御事例獲得とクラス
タ作成を説明するための概念図である。
【図29】 本発明において、任意の曲面からなる制御
ルールを、平面によって抽出された複数の制御ルールに
よって近似的に表現できる様子を示した模式図である。
【図30】 制御ルールを示す平面を直線にて、曲面を
曲線にて代用し、隣り合うクラスタ間を適合度でつなぐ
ことにより、近似精度が必要なだけ上げられる様子を示
す模式図である。図11は第1の実施例による許容値比
較による動作を説明するための機能ブロック図であり、
図12は同第1の実施例による制御事例とクラスタの関
係を示す概念図である。
【符号の説明】 1 レーザー出力部(画像状態可変手段) 3 帯電器(画像状態可変手段) 10 現像濃度センサ(検出手段) 15 グリッド電源(画像状態可変手段) 16 光量コントローラ(画像状態可変手段) 24,44 濃度コンパレータ(比較手段) 25 制御事例メモリ(制御事例記憶手段) 26,45,47 状態量コンパレータ(クラスタ記憶
手段) 27 クラスタメモリ(クラスタ記憶手段) 28 制御ルール演算器(制御ルール抽出手段:クラス
タ別制御ルール抽出手段) 29 制御ルールメモリ(操作量算出手段:制御ルール
記憶手段) 30 制御ルール検索器(操作量算出手段) 31 操作量補正演算器(操作量算出手段) 32 操作量メモリ(操作量算出手段) 43 収束判断部 46 非収束判断部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−320278(JP,A) 特開 平4−319971(JP,A) 特開 昭63−177176(JP,A) 特開 平5−134545(JP,A) 特開 平6−314011(JP,A) 特開 平7−38687(JP,A) 特開 平7−319334(JP,A) 米国特許5400120(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 15/00 303 G06F 9/44 550 G06T 5/00

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 操作量に応じて出力画像の品質を変化さ
    せる画像品質可変手段と、 出力画像の制御事例を記憶する制御事例記憶手段と、 前記制御事例記憶手段に記憶された複数の制御事例から
    状態が同一とみなせる制御事例を含む制御事例面を求
    め、前記制御事例面から制御ルールを抽出する制御ルー
    ル抽出手段と、 出力画像品質を検出し、検出結果を制御量として出力す
    る検出手段と、 前記制御ルール抽出手段によって抽出された制御ルール
    を用いて、前記制御量が目標品質に対応する値となるよ
    うに新たな操作量を求める操作量算出手段とを具備し、 前記操作量算出手段によって求められた操作量を前記画
    像品質可変手段に供給することを特徴とする画像形成装
    置。
  2. 【請求項2】 操作量に応じて出力画像の品質を変化さ
    せる画像品質可変手段と、 出力画像の制御事例のうち、画像形成装置の状態量が類
    似しているものを集めてクラスタとして記憶するクラス
    タ記憶手段と、 前記クラスタ記憶手段に記憶された各クラスタ毎に制御
    ルールを抽出するクラスタ別制御ルール抽出手段と、 出力画像品質を検出して、制御量として出力する検出手
    段と、 前記クラスタ別制御ルール抽出手段によって抽出された
    各制御ルールを用い、前記制御量が目標品質に対応した
    値となるように新たな操作量を求める操作量算出手段と
    を具備し、 前記操作量算出手段によって求められた操作量を前記画
    像品質可変手段に供給することを特徴とする画像形成装
    置。
  3. 【請求項3】 前記操作量算出手段は、前記クラスタ別
    制御ルール抽出手段によって抽出された各制御ルールに
    ついて、直前の制御事例に対する適合度を判定し、各制
    御ルールについて適合度に応じた重み付けを行って平均
    し、その結果を用いて新たな操作量を求めることを特徴
    とする請求項2記載の画像形成装置。
  4. 【請求項4】 前記操作量算出手段は、各制御ルールが
    記述されている座標空間内で、制御ルールを示すn次元
    平面と、直前の制御事例を示す座標点との間の距離の逆
    数を、各制御ルールについて規格化して前記適合度を求
    めることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
  5. 【請求項5】 前記操作量算出手段は、適合度が所定値
    以下である制御ルールを除き、他の制御ルールについて
    再び適合度を判定し、これらの制御ルールについて適合
    度に応じた重み付けを行って平均した結果を用いること
    を特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
  6. 【請求項6】 前記操作量算出手段は、適合度が所定値
    以下である制御ルールを除き、他の制御ルールについて
    再び適合度を判定し、これらの制御ルールについて適合
    度に応じた重み付けを行って平均した結果を用いること
    を特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
  7. 【請求項7】 制御量と目標品質とを比較し、この比較
    結果が予め設定された許容値を超えている場合に限り、
    当該制御量を前記制御事例記憶手段に記憶させ、次回以
    降の制御に供せられるようにする比較手段を具備するこ
    とを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  8. 【請求項8】 制御量と目標品質とを比較し、この比較
    結果が予め設定された許容値を超えている場合に限り、
    当該制御量を前記クラスタ記憶手段内の対応するクラス
    タに追加記憶させ、次回以降の制御に供せられるように
    する比較手段を具備することを特徴とする請求項2記載
    の画像形成装置。
  9. 【請求項9】 制御事例を追加記憶した結果、記憶容量
    の残りが所定量より少なくなった場合には、前記制御事
    例記憶手段内の制御事例のうち最も古いものを消去する
    ことを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
  10. 【請求項10】 制御事例を追加記憶した結果、記憶容
    量の残りが所定量より少なくなった場合には、前記クラ
    スタ記憶手段内のクラスタのうち最も古いものを消去す
    ることを特徴とする請求項記載の画像形成装置。
  11. 【請求項11】 前記制御ルールをその作成時刻情報と
    ともに記憶し、かつ、前記各制御ルールの適合度の累積
    値を更新記憶する制御ルール記憶手段を具備し、前記制
    御ルール記憶手段の記憶容量の残りが所定量より少なく
    なった場合には、すでに記憶している制御ルールの中
    で、所定の時点以前に作成され、かつ、適合度の累積値
    がもっとも小さいものを選択して前記制御ルール記憶手
    段から消去することを特徴とする請求項3記載の画像形
    成装置。
  12. 【請求項12】 出力画像の制御事例を記憶する制御事
    例記憶手段を有し、前記クラスタ記憶手段は前記制御事
    例記憶手段内の制御事例のうち、画像形成装置の状態量
    が類似しているものを集めてクラスタとして記憶すると
    ともに、一つのクラスタが完成した時点でそのクラスタ
    の構成要素である事例を前記制御事例記憶手段から消去
    することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
  13. 【請求項13】 前記制御事例は、操作量、制御量、お
    よび装置がおかれている状態に関する状態量の3種から
    構成されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか
    に記載の画像形成装置。
  14. 【請求項14】 前記制御ルールは、n個の制御対象に
    応じて設定されるn種の前記操作量を示す軸および前記
    制御対象についての制御量を示す軸で構成されるn+1
    次元空間内で、制御事例を示す複数の座標点の最小二乗
    誤差n次平面として抽出されることを特徴とする請求項
    1〜12のいずれかに記載の画像形成装置。
  15. 【請求項15】 制御対象となる出力画像品質は、画像
    濃度であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか
    に記載の画像形成装置。
  16. 【請求項16】 前記比較手段による前回の比較結果が
    予め設定された許容値を越えた直後に、前記比較手段に
    よる今回の比較結果が予め設定された許容値に収まった
    場合にも、今回の制御量と該制御に供せられた操作量と
    を前記クラスタ記憶手段に記憶させ、次回以降の制御に
    供せられるようにすることを特徴とする請求項8記載の
    画像形成装置。
  17. 【請求項17】 前記クラスタ記憶手段は、前記比較手
    段による前回の比較結果が予め設定された許容値を越え
    た直後に、前記比較手段による今回の比較結果が予め設
    定された許容値に収まった場合には、該今回の制御事例
    を最新クラスタに分類することを特徴とする請求項16
    記載の画像形成装置。
  18. 【請求項18】 前記比較手段による比較結果に基づ
    き、該比較結果が予め設定された許容値を越えた直後
    に、再び、予め設定された許容値に収まった場合の変化
    を検知する収束検知手段を具備することを特徴とする請
    求項16または17記載の画像形成装置。
  19. 【請求項19】 前記クラスタ記憶手段は、前記比較手
    段による前回の比較結果が予め設定された許容値に収ま
    った直後に、前記比較手段による今回の比較結果が予め
    設定された許容値を越えた場合には、該今回の制御事例
    を新たなクラスタに分類することを特徴とする請求項8
    記載の画像形成装置。
  20. 【請求項20】 前記比較手段による比較結果に基づ
    き、該比較結果が予め設定された許容値に収まった直後
    に、再び、予め設定された許容値を越えた場合の変化を
    検知する非収束検知手段を具備することを特徴とする請
    求項19記載の画像形成装置。
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