JP3038343B2 - 減衰装置および取付方法 - Google Patents

減衰装置および取付方法

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JP3038343B2 JP10653997A JP10653997A JP3038343B2 JP 3038343 B2 JP3038343 B2 JP 3038343B2 JP 10653997 A JP10653997 A JP 10653997A JP 10653997 A JP10653997 A JP 10653997A JP 3038343 B2 JP3038343 B2 JP 3038343B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】大地震時の強い地震動から構造物
を保護するために、地盤と構造物の間に、各種の免震装
置(各種の積層ゴム、すべり支承、転がり支承等)を配
置して地盤の振動が直接伝達されないようにした免震構
造物が実用化されている。本発明は、これらの免震構造
物の免震効果と安全性能を飛躍的に高めるために効果的
な高性能の減衰装置(=エネルギー吸収装置)を提案
し、より高性能で安全な免震構造物の実現を可能にする
ものである。また、本装置は、構造物の減衰性能を高め
る制振・制震構造物用の減衰装置として利用することも
可能である。
【0002】
【従来技術】大地震時の強い地盤振動から構造物を保護
するために、地盤と構造物の間に、積層ゴム免震装置や
すべり支承、転がり支承など等のアイソレータを配置し
て構造物を支え、それにエネルギー吸収装置としてのダ
ンパーを組み合わせて地震動から構造物を保護する免震
構造が実用化されている。また、アイソレータとダンパ
ーの両機能を兼ね備えた鉛プラグ入り積層ゴム免震装置
や高減衰積層ゴム免震装置も実用化されている。
【0003】エネルギー吸収を目的とする減衰装置とし
ては、金属の塑性変形に伴う履歴エネルギー吸収を利用
する鋼材ダンパー、鉛ダンパー、摩擦を利用する摩擦ダ
ンパー、オイルダンパーや粘性体ダンパー、粘弾性体ダ
ンパーなどが実用化されている。
【0004】また、免震効果を更に高めるために、アイ
ソレータとして積層ゴムやすべり支承など下方から構造
物を支える免震装置を採用せず、上方から構造物を吊り
下げるサスペンション方式の免震構造物(特許第250
1648号)等も提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】1995年の阪神淡路
大震災をはじめとして、近年の地震災害では地盤の水平
最大加速度が1000cm/s前後、最大地動速度は
100cm/s前後乃至それ以上という極めて強い地震
動が観測されている。そのような強い地震動に対して安
全な構造物を設計することは、従来の耐震構法では極め
て困難であり、免震構造を採用して設計される構造物が
増加しつつある。
【0006】免震構造は在来耐震構造に較べると上部構
造体に発生する応答加速度と地震力を大幅に低減するこ
とができるが、入力地震動(特に長周期成分)が強くな
るに伴い、免震装置に大きな変形が発生する。従って、
非常に強い地震動にも安全で免震効果の高い免震構造物
を実現するためには、非常に大きな水平変形を許容でき
る免震装置を実現するか、免震装置に発生する変形を抑
制するかのいずれかが必要になる。
【0007】免震装置に発生する変形を出来る限り抑制
することが経済的観点からも現実的な解決方法と考えら
れるが、変形を抑制するためにダンパーの降伏耐力を高
めたり、積層ゴムの水平剛性を高めるなど免震装置の抵
抗力を高める方法を採用すると免震効果(応答加速度抑
制効果)が悪くなるという矛盾点が発生する。また、履
歴ダンパー、オイルダンパー、粘性体ダンパーなどこれ
までに実用化されている減衰装置はいずれも、積層ゴム
同様大変形に対してはその追従性能に限界がある。また
粘性体ダンパーは、その抵抗力発生原理が粘性機構(=
速度依存型)であるため免震構造物の地震応答特性上優
れた性能を有しているものの、これまでに実用化されて
いるものは、その容量的限界から大型構造物への適用は
困難と言われている。
【0008】以上の観点より、本発明はすべての方式の
免震構造物をはじめとしてあらゆる構造物の減衰装置と
して採用でき、大変形時においても構造物の地震時応答
を引き上げることなく、容量に限界がなく大きなエネル
ギーを効率的に吸収でき、しかも変形性能に限界がなく
いくらでも大きな相対変位に追従できるという理想的な
エネルギー吸収装置(=減衰装置)を実現しようとする
ものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】免震装置に発生する地震
時変形を抑制するためには、免震構造物に投入される地
震エネルギーを速やかに消費することが必要である。一
方、免震構造物に発生する応答加速度や地震慣性力は免
震装置全体の抵抗力に依存するため、装置全体の抵抗力
の総和はできるだけ高めないことが望ましい。
【0010】あらゆるタイプの免震装置の復元力特性
は、ほぼ線形性能を持つアイソレータの抵抗力とダンパ
ーの持つ非線形ループの和とみなすことができる。金属
を利用する履歴型ダンパーやすべりや摩擦を利用する摩
擦型ダンパーでは、その抵抗力(降伏後耐力)がアイソ
レータの変形に拘わらず一定に維持されるため、装置全
体の抵抗力が「アイソーレータの最大変形時抵抗力+ダ
ンパー抵抗力=両者の最大値和」となる。
【0011】一方、粘性型ダンパー(=粘性法則を抵抗
力発生の基本機構とするダンパー)では、その抵抗力が
速度に依存しているため、その最大抵抗力はアイソレー
タの抵抗力ゼロ(=変形ゼロ)付近で発生し、アイソレ
ータの最大抵抗力発生時(=最大変形時)にはダンパー
抵抗力はゼロとなり、装置全体の抵抗力がアイソレータ
とダンパーの各最大抵抗力の和とならず、その最大値和
よりもかなり小さい値に抑制することができる。また、
粘性型ダンパーは地震等の振動終了時には抵抗力が消失
するため、残留変形の恐れがなく、アイソレータの抵抗
力を小さく(構造物の周期を長く)設定することができ
る。
【0012】以上の観点より、本発明の減衰装置には粘
性型ダンパーを基本機構として採用する。粘性型ダンパ
ーには、これまでにオイルダンパー、平置き型粘性
体ダンパー、壁形状の粘性体ダンパー(粘性制震壁)
の3タイプが実用化されているが、大変形を必要とする
免震構造用減衰装置としてはいずれも以下のような問題
点を有している。 オイルダンパー ・シリンダー形状の装置で、軸方向の一方向にしか抵抗
力が発生しない。 ・そのため、水平2方向同時に大変形を許容するために
は、回転自在のピン継ぎ手を導入して2方向それぞれに
ダンパーを配置しなければならない。 ・内部圧力が発生するため、オイル漏れを防ぐシーリン
グが重要となり、そのピストン摺動部は、錆の発生やゴ
ミが混入しないようにメンテナンス上多大の労力を必要
とする。 ・継ぎ手部分にはガタが生じるために、微小振動には性
能を発揮できない。平置き型粘性体ダンパー ・大きな抵抗板の周囲に更に可動用のクリアランスを必
要とするため、平面的に非常に大きな装置になってしま
う。 ・大型構造物に必要な減衰性能を実現するためには、大
容量の装置が必要となり、極めて大型の装置とするか多
数の装置を配置する必要が生じ、結局は大型構造物に採
用することは困難となる。 ・抵抗板が粘性流体中を大ストロークで動く場合、抵抗
板と底板間に所定の間隙(=粘性流体の層厚さ)を一定
に保ったままで水平運動することは難しく、大変位稼働
時には抵抗板の浮き上がり問題が発生し、所定の抵抗力
を発揮することが困難となる。 壁形状の粘性体ダンパー(粘性制震壁) ・抵抗板がサンドイッチ構造になっているため、前項
の装置の抵抗板の運動時の安定性の問題は解決されてい
るが、間隙を保つ為のスペーサー(通しボルト)が必須
であり、構造上数十cm以上というような大変位を許容
することは極めて難しい。 ・壁板状の装置で縦型であるので、免震層など高さの低
い空間への配置には適していない。 本発明は、最も大きな水平変位を要求される免震構造物
に相応しい粘性型ダンパーを実現するために、上記に示
した既存の粘性型ダンパーの持つ問題点を以下のように
克服したものである。
【0013】大型構造物用の減衰装置として採用可能で
あり高性能の免震構造を実現するためには、大容量の性
能を持ち、大変位の運動にも安定した性能を発揮できる
粘性型ダンパーであることが必須条件となる。一方、粘
性体ダンパーの粘性抵抗力は、粘性流体の粘度、抵抗板
の間隙、抵抗板の面積によって決定されるが、粘性流体
の粘度には製造上の限界があり、抵抗板間隙には装置の
精度確保上の制約から一定値以下の隙間とすることは困
難である。従って、大容量の性能を得るには抵抗板の面
積を大きくしなければならないが、上記の装置では平
面寸法が大きくなり過ぎて、実質的に大容量を確保する
ことは不可能である。また、同装置では一定間隙を確保
したまま大ストロークの変位に追従することも上記のと
おり極めて困難である。
【0014】本発明は、上記の装置の平板抵抗板を円
筒形状に丸めることによって、上記の諸問題を解決す
る。即ち、抵抗板形状を円筒形とすることにより、平面
寸法(直径x円筒長さ)の6倍以上(円周率x2面)の
抵抗板面積が確保でき、しかも直径の僅かに異なる円筒
形部材を何重にも挿入して組み合わすことが容易である
ので、更に大きな抵抗板面積を容易に確保することがで
きる。何重にも組み合わされた円筒形部材が回転するた
め、抵抗板間隙は半径の差に応じて常に一定に保たれて
おり、しかも回転運動によるため変位追従性能には限界
がなく、いくら大きな変位に対しても安定して追従可能
となる。
【0015】本装置を構成する円筒形部材は2組の円筒
群体に分かれており、各円筒群体は一つおきの円筒形部
材を円筒中央部もしくは端部に配置された連結板で一体
化している。従って、一方の円筒群体に回転運動を与え
ると、他方の円筒群体に対して一つおきの円筒形部材が
一斉に同一回転をすることになる。両円筒群体の相対面
する円筒曲面間には粘性流体が充填されているので、そ
の相対的回転運動により粘性抵抗力(トルク)が発生す
る。このトルク(回転抵抗力)を相対変位を生じる2点
間の減衰抵抗力として取り出すためには、本減衰装置の
取付方法が重要となる。
【0016】即ち、アイソレータにより地盤から分離支
持された免震構造物用の減衰装置として用いる場合に
は、2組の円筒群体の内の一方は地盤(=基礎構造体)
側に固体され、もう一方の円筒群体は構造物の水平相対
移動により回転を起こすように連結されなければならな
い。そのために、回転側の円筒群体に円筒軸と同一の中
心軸とする円盤型歯車を設け、構造物側にはその歯車と
噛み合うような歯車付き平板(平歯車)を取り付け、両
者を接触させる。円筒群体側の円盤型歯車は、回転側円
筒群体の直径よりも大きな歯車として構造物側平板歯車
と直接噛み合わすこともできるし、回転側円筒群体の直
径よりも小さな直径の歯車として、構造物側平板歯車と
の間に別の歯車を介在させて構造物の変位を円筒群体の
回転運動に伝達することもできる。
【0017】アイソレータに積層ゴムが採用されている
免震構造物では、積層ゴムの長期間の経年クリープ変形
により構造物に鉛直方向の沈み込みが発生する可能性が
ある。また鉛直方向剛性の低い免震装置では地震時等に
は上下方向の相対変位が生じる可能性があるので、この
上下変位が発生しても本装置と構造物との歯車接触部が
正常に作動できるように、本減衰装置の下側に圧縮バネ
を挿入し、本装置を上部構造物に下側から押しつけるよ
うに設置する。これが請求項3に示すばね圧着方式によ
る取付方法である。
【0018】本減衰装置は、地盤と免震構造物間のよう
に相対変位を生じる2点間の動きを回転運動に変換して
粘性抵抗力を発生させエネルギー吸収を行う減衰装置で
あるので、2点間の相対変位を本装置の回転運動に変換
する方法は歯車の利用以外にも可能である。その最も単
純な方法は歯車を省略して摩擦接触とする方法であり、
抵抗力を摩擦力により伝達する。また、もう一つの方法
としては、回転側の円筒群体をグルグル巻きにしたケー
ブルもしくはチェーン等の紐状帯を利用するもので、そ
の両端を装置からある一定以上の距離をとって構造物側
に固定する方法である。これが請求項2に示す本装置と
構造物の連結方法である。
【0019】以上は、本減衰装置の円筒軸を水平に配置
した場合の説明であるが、本装置は2組の円筒群体間の
相対的回転運動によってその粘性抵抗力が発生する原理
を利用しているので、円筒軸が水平である必要はない。
相対変位を生じる2点間の運動を円筒群体の回転運動に
変換できればよいので、原理的には円筒軸はどの方向に
設置されていてもよい。これが請求項4であるが、円筒
軸を鉛直方向に配置した場合には、構造物と本装置との
連結方法は請求項2のケーブルやチェーンなどの紐状帯
を利用する方法が容易となる。
【0020】
【実施例】以下、本発明を実施例を示す図面に基づいて
説明する。図1は、これまでに実用化されている免震構
造物用の平置き型粘性体ダンパーである。上部免震建物
6と同じ水平移動をする抵抗板1と下側基礎に固定され
た抵抗板2の間で相対運動が生じると両抵抗板間に粘性
流体4が存在するため、その相対速度に比例した粘性抵
抗力が発生するしくみである。
【0021】この装置では、抵抗板1の周囲に抵抗板の
水平方向可動クリアランスをとるために、可動変位を大
きくするに伴い抵抗板面積に対して極めて大きな平面寸
法の装置になるという難点がある。また、抵抗板の固定
部5は、積層ゴムの長期鉛直クリープ変形や地震時の鉛
直変位を逃がすためにあそびを有しているため、大きな
水平変位発生時には抵抗板1が浮き上がり、所定の粘性
抵抗力が発揮されない恐れが高い。
【0022】両抵抗板間の間隙を一定に保つ機構となっ
ている粘性減衰装置としては、図2に示す壁形状の粘性
体ダンパー(粘性制震壁)が実用化されている。しか
し、この装置では外側壁板の間隔を一定に保つために、
通しボルト31が貫通しており、その周囲に設けたルー
ズホール32の大きさによって可動変位が制約され、あ
まり大きな可動変位を確保することは困難である。
【0023】図3に示す装置は、特許第1812610
号および1812614号に示されているもので、図2
の制震壁の抵抗メカニズムを抵抗板の回転運動に置き換
えた減衰装置である。この装置も外側壁板間を貫通する
通しボルト31のために、可動変位は周囲のルーズホー
ル32の大きさによって制約される。また、抵抗板が回
転平板であるため、中心に近い程相対速度が小さくな
り、装置の外形寸法の割には大きな抵抗力が得られない
という難点もある。
【0024】本発明は上記に示したこれまでの粘性体ダ
ンパーの難点を全て解決したものであり、その構成図を
図4〜図6に示す。図4は長手方向の、図5が短手方向
の装置外観と設置要領を示している。図6は粘性抵抗力
を発生する円筒形部材の配置とその集合体としての2組
の円筒群体の構成要領を示す円筒軸(長手)方向と円筒
断面方向の断面図である。
【0025】図6に示すように、本装置は少しずつ直径
の異なる複数の円筒形部材が中心軸を同一として僅かな
隙間をもって挿入され組み合わされた構成となってお
り、中央回転板16で一体化された回転側の円筒群体と
端部連結板26によって一体化された固定側の円筒群体
の2組に分かれている。固定側の円筒群体25は、地盤
・基礎もしくは支持構造体側に固定されており、他方の
回転側円筒群体15は中央回転板16を介して免震構造
物側に接触している。この中央回転板16の円周最外面
は歯車になっており、構造物(免震建物)6に固定され
た平板歯車と噛み合っている。構造物6側の相対水平変
位によって本装置の円筒群体15は回転運動を起こし、
基礎地盤側に固定された円筒群体25との間に回転によ
る相対的ずれが発生する。両円筒群体の相対面する円筒
曲面間の隙間には粘性流体4が充填されているために、
両者の相対的回転(ずれ)運動により、その相対速度に
応じた粘性抵抗力が発生する。
【0026】本装置は、抵抗板形状が円筒形であるた
め、その外形寸法(直径x長さ)に対して大きな抵抗板
面積が確保できるだけでなく、両円筒群体の抵抗板(円
筒面)間隔が円筒形部材の半径の差によるため常に一定
に保持される。しかも、回転運動であるため、変位追従
性能に限界がなく、いくら大きな変形に対しても性能を
発揮することができる。
【0027】図6の16は回転側円筒群体の各円筒形部
材を一体化している内側端部連結板であり、2つのユニ
ットをボルト18によって一体化して左右対称形の装置
としている。連結円盤16の最外縁17部分は歯車形状
になっており、図5に示す免震構造物6側に設けられた
波状の歯車平板67と噛み合うようになっている。歯車
平板67は、免震構造物の直交方向の水平変位をすべり
により逃がしながら本装置に回転運動を起こせるように
平面的広がりを有している。また、免震構造物と基礎側
との鉛直変位が生じた場合にも本装置の回転発生機構
(中央回転板16と歯車平板67のかみ合い)が喪失し
ないように、本装置下部のベースプレート71と基礎7
の間に圧縮ばね73を挿入して本装置を免震梼造物6に
押しつけた状態で設置されている。
【0028】図7は、上記ばね支持とすることにより、
本装置に発生した水平抵抗力によって本装置が回転を起
こさないように安定化するための補助支持ステー75を
設けた場合を示している。
【0029】図8は、請求項2に示す本装置と構造物と
の連結方法の一例を示したもので、図5・7のように歯
車のかみ合いを利用するのでなく、回転円盤16もしく
は回転側の円筒群体15の周りをベルト、チェーン等の
紐状帯68で巻き、その両端を少し距離を離して構造物
側に固定する方法である。直交方向の変位によってこの
回転ロープのメカニズムが崩れないように、本装置回転
円筒群体と紐状帯68の固定位置の間には一定の距離を
確保しておく必要がある。
【0030】以上は、回転円筒軸を水平方向として本装
置を設置した場合について説明したが、本発明の装置は
回転運動を基本とするので、請求項4に示すようにその
回転の中心軸は鉛直方向であっても、また傾斜した斜め
方向であってもその抵抗力が発揮されることは明らかで
ある。
【0031】
【発明の効果】本発明の減衰装置は適用範囲が広く、こ
れまでの減衰装置では実現困難であった優れた性能を達
成しており、従って従来にはない優れた性能の免震構造
物や制振・制震構造物を実現することができる。本装置
の第一の利用方法は、これまでの一般的免震構造物に組
み合わせて用いることである。図9は、免震構造物への
設置要領を示したもので、鉛プラグ入り積層ゴムや高減
衰積層ゴムなどの積層ゴム系免震装置、すべり支承、転
がり支承等により支持された免震構造物全てに適用可能
である。本装置は、免震構造物の降伏耐力を上昇させず
に、極めて厳しい地震動が入力された場合の応答変位を
抑制できるため、上部構造体の加速度応答を殆ど引き上
げることなく、免震装置(アイソレータ)に発生する変
形を抑制することができる。しかも予想を越える大変形
によりダンパーが破壊される恐れもない。従って、これ
までの一般的免震構造物の安全性向上対策として極めて
有効であり、既存の免震構造物の安全性向上方策として
本装置を後付け装置として追加することができる。この
効果は、鋼材などの塑性変形を利用する履歴型ダンパー
では実現不可能である。
【0032】本減衰装置の最大の強みは、言うまでもな
く、減衰性能を発揮できる許容変形量に制限がなく、地
盤・基礎あるいは支持構造体と免震構造物の間に発生す
る相対変位がいくら大きくても確実に減衰性能を発揮で
きることである。これは、アイソレータの許容変形量を
大きくしさえすれば、免震構造物の安全性能をいくらで
も高めることが可能であることを意味している。
【0033】また、許容変形量に限界がない本装置は、
特に大きな相対変位を生じる構造物に減衰性能を付与し
たい場合には最適の装置となる。その一例は、転がり支
承や図10に示すように吊り下げ方式の免震構造物に本
発明の減衰装置を組み合わせることである。特許第25
01648号等に示されている吊り下げ方式の免震構造
物においては、大きな可動変位を許容する必要があるの
で、可動変位に限界がない本装置は特に効果的であり、
従来の免震構造物の達成性能を遥かに超える高性能の免
震構造物を実現できる。
【0034】また、減衰装置に大きな許容変位が要求さ
れる構造物としては、図11に示すサスペンション方式
の長大吊り橋がある。吊り橋の橋床と橋脚の連結部で
は、温度変化による橋床の伸縮は逃がし、地震時や暴風
時の振動に対しては減衰性能を発揮できる非常に大きな
変位を許容できる粘性ダンパーが求められている。この
要求に対して、本装置は大きな場所を取らずに、橋軸方
向の相対運動に対して任意の減衰力と無制限の許容変形
を許すことができる。特に橋梁用の減衰装置には、橋軸
方向のみに極めて大きな許容変位が要求されるので本装
置は最適である。
【0035】以上のとおり、本減衰装置は、振動抑制に
最も効果的な速度依存型の粘性減衰力を発生し、その変
位追従性能には制限がないため、大地震や暴風に対する
構造物の安全対策として、従来技術の枠を超える極めて
高い安全性能を実現すると共に、極めて高性能の新しい
構造物を実現可能としている。また、本装置は、装置全
体の寸法および容量を小型から大型まで容易に製作でき
るという特徴を有しており、動的な相対変位を生じる2
点間に配置すれば、大きな相対変位を生じ大容量の性能
を必要とする大型の免震構造物をはじめとして、工作物
や器物など小型物体の免震構造用減衰装置、各種の機械
や配管の振動防止装置や制振・制震構造物用の減衰装置
などにもその優れた性能を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の免震建物用平置き型粘性体ダンパー
の説明図(断面図および平面図)
【図2】 従来の壁形状の粘性体ダンパー(粘性制震
壁)の立面図
【図3】 従来の回転運動型粘性制震壁の立面図およ
び断面図
【図4】 本発明の回転式円筒型粘性ダンパーの長手
方向立面図
【図5】 同上装置、短手方向立面及び設置要領図
【図6】 同上装置、円筒形部材による円筒群体の断
面構成図(円筒軸(長手)方向断面図および円筒断面構
成図)
【図7】 同上装置、設置要領図および短辺方向補助
ステー設置要領
【図8】 同上装置、紐状連結帯による連結要領
【図9】 免震構造物への本装置の設置要領
【図10】 吊り下げ方式免震建物への本装置の設置要
【図11】 長大吊り橋への本装置の設置要領
【符号の説明】
1:抵抗板 2:固定側抵抗
板 3:抵抗板間隙 4:粘性流体 5:抵抗板固定部 6:免震建物 7:地盤側基礎・支持構造体 10:本発明装置全体 11:内壁抵抗板 12:内壁側突
起 15:回転側円筒群体 16:回転側円
筒群体連結板兼回転円板 17:回転円板端部歯車 18:回転円板
連結ボルト 21:外壁抵抗板 25:固定側円筒群体 26:固定側円
筒群体端部連結板 27:回転円板保護部 31:制震壁間隔保持用通しボルト 32:ルーズホ
ール 51:内壁抵抗板回転支持部 60:免震建物の柱 61:建物上階側の床 62:建物上階
側の梁 63:スチフナー 64:梁側固定
用突起 65:建物下階側の床 67:免震建物側連結用歯車平板 68:装置回転
連結用紐状帯 69:連結用紐状帯固定部 71:装置固定用上側ベースプレート 72:装置固定
用下側ベースプレート 73:装置圧着用バネ 74:アンカー
ボルト 75:装置安定用補助ステー 80:支持構造体 81:吊り下げ
ロッド 82:免震建物本体 90:吊り橋用主塔 91:橋梁ガー
ダー及び床板

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少しずつ径の異なる2以上の円筒形部材
    が、円筒軸を水平且つ同一の中心線として円筒曲面が僅
    かな隙間をもって相対面するように挿入組み合わされ、
    一つおきの円筒形部材が同一回転するように一体化され
    た2組の円筒群体が形成されており、その相対面する円
    筒曲面間の隙間には粘性流体が充填された構成となって
    いる土木・建築構造物および工作物等に用いられる減衰
    装置であり、この減衰装置が構造物と地盤間、構造物と
    構造物間あるいは一構造物内の2点間等の相対変位を生
    じる2点間に配置されており、2組の円筒群体の内の一
    方は2点の内の一方に固定され、他方の円筒群体が他点
    側と歯車を介して接触しており、2点間の相対運動によ
    り歯車側の円筒群体に回転運動を発生させ、両円筒群体
    の相対面する円筒曲面間に相対的回転を生ぜしめ、その
    間隙に充填されている粘性流体の働きにより粘性抵抗力
    を発生させることを特徴とする減衰装置。
  2. 【請求項2】 上記請求項1と同一構成の減衰装置であ
    り、この装置が配置されている相対変位を生じる2点間
    との連結方法において、1組の円筒群体は1点側に固定
    されており、他方の円筒群体が他点側との摩擦接触によ
    り回転運動が発生する連結方法、もしくは他点側に連結
    されその中間において回転側の円筒群体を円周方向に巻
    いているケーブルあるいはチェーン等の紐状帯を介して
    回転運動が発生する連結方法を用いていることを特徴と
    する減衰装置。
  3. 【請求項3】 上記請求項1または2の減衰装置の相対
    変位を生じる2点との連結方法において、固定側支持点
    と減衰装置の間にばねを配置し、同装置が他点側に圧着
    されていることを特徴とする減衰装置の取付方法。
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