JP3038194U - 育苗器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 第１の課題は水の給水作業が楽に行え、又育
苗ポットに供給されない無駄な水を大幅に減少させて節
水効果を上げ、経済性に優れる育苗器を提供する。第２
の課題は、隣り合う領域内を結ぶ溝で過剰に給水された
水を隣りの領域へ分散させることで、各育苗ポットへの
水の供給量を容易に均一に出来るようにする。第３の課
題は、外気温度の影響を受けにくくして苗の育成を行い
易くする。 【解決手段】 プレート２ａの上面を細長な隆条で複数
の領域に区画し、各領域３の中央に開口を設け、育苗ポ
ットカバー２をこの開口下方に一体成形で垂設し、育苗
ポット１０の上端に有する鍔１０ａをプレート２ａの開
口に設けた段差５ａに係止し、育苗ポット１０と育苗ポ
ットカバー２との間に間隙１２を設けた。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、苗と土壌とを収容する育苗ポット内に水を供給し易くする育苗器に 関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の育苗器は、上面が平坦なプレートに育苗ポットを収容する陥凹部を複数 設け、この陥凹部に育苗ポットを挿入して着脱自在に取付けた構成である。 育苗ポット内の苗に水を供給する場合は、各苗の根元に向けて逐次水をまいて いかなければならず、水の供給作業に手間がかかるという問題点がある。 又、陥凹部内に収容した育苗ポットの上部はプレートから突出した状態となる ので、プレートの上面にまかれた水は育苗ポットへ供給されず無駄な水が多く発 生していた。又、苗の葉が障害となり苗へ向けてまいた水の一部が育苗ポットへ 供給されずプレートの上面へ流れ落ちて無駄となってしまう場合がある。更に育 苗ポットの外表面は陥凹部の内表面と接触しているので、外気温度の影響で育苗 ポット内の土壌の温度が昇降し易くなり、外気温度の影響を苗が受け易く、寒冷 地や熱い場所では苗の育苗に支障が出るという問題点がある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

本考案が解決しようとする第１の課題は従来のこれらの問題点を解消し、水の 給水作業が楽に行え、又育苗ポットに供給されない無駄な水を大幅に減少させて 節水効果を上げ、経済性に優れる育苗器を提供することにある。 第２の課題は、隣り合う領域内を結ぶ溝で過剰に給水された水を隣りの領域へ 分散させることで、各育苗ポットへの水の供給量を容易に均一に出来るようにす ることにある。 第３の課題は、外気温度の影響を受けにくくして苗の育成を行い易くすること にある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

かかる課題を解決した本考案の構成は、 １） プレートの上面を細長な隆条で複数の領域に区画し、各領域の中央に開口 を設け、前記プレートの開口に育苗ポットを一体成形で垂設し、各領域内のプレ ートの上面の一部又は全部を前記開口に向けて低くなるように傾斜させたことを 特徴とする育苗器 ２） プレートの上面を細長な隆条で複数の領域に区画し、各領域の中央に開口 を設け、上方が開口された筒状の育苗ポットカバーを前記プレートの開口下方に 一体成形で垂設し、前記プレートの開口周縁を陥凹して段差を設け、上端外周縁 に鍔を設けた育苗ポットを前記育苗ポットカバー内へ挿入すると共に該鍔を前記 段差に係止し、しかも前記育苗ポットの開口上面を前記プレートの上面より低く 又は同一レベルとし、更に前記育苗ポットの外周面と前記育苗ポットカバーの内 表面との間に間隙を設けたことを特徴とする育苗器 ３） プレート上面の隆条に溝を設けて隣り合う領域へ水が移動出来るようにし た前記１）記載の育苗器 ４） プレート上面の隆条に溝を設けて隣り合う領域へ水が移動出来るようにし た前記２）記載の育苗器 ５） 各領域の面積をほぼ同一面積とした前記１）〜４）いずれか記載の育苗器 ６） プレートの平面形状を四角形とし、領域の平面形状を四角形状とし、前記 領域を多行多列に区画した前記１）〜５）いずれか記載の育苗器 にある。

【０００５】

【作用】

本考案は、育苗ポット内に土壌・苗を収容して育苗する。 苗へ水を供給するには、プレートの上面にまんべんなく水をまくことで、水の 大部分が隆条で区画された領域のプレート上面にまかれていくが各領域のプレー ト上面は領域の中央の開口に向けて低くなるように傾斜させているので、まかれ た水は育苗ポット内へ強制的に誘導されていく。請求項２記載の考案では、育苗 ポットの鍔をプレートの開口周縁の段差に係止することで育苗ポットの上部開口 面を開口周縁のプレートの上面より低く又は同一レベルとしているので、育苗ポ ットへ水がスムーズに流れ込む。 苗の根元へ逐次まいていくことが不要で楽な給水作業となる。又、隆条により プレート上面にまかれた水がプレート上面から流れ落ちていかないので、育苗ポ ットへ供給されない無駄な水をカット出来、節水を図れる。 請求項２記載の考案では、育苗ポットの外周面を育苗ポットカバーで覆い且つ 育苗ポットの外表面と育苗ポットカバーの内表面との間に間隙を設けているので 、寒冷地ではこの間隙内の空気層によって、育苗ポット内の土壌の温度の低温化 を防止出来る。又熱い場所では、間隙内の空気層の対流によって育苗ポット内の 土壌の温度の高温化を防止出来、外気温度の影響を苗が受けにくくし、苗の生育 促進を図る。 請求項３、４記載の考案では、隆条に溝を設けて隣り合う領域同士を連通され ているので、水が過剰に供給された領域内の水が隣り合う領域内へ移動すること が出来、過剰な給水を防止出来る。 請求項５記載の考案では、各領域の面積を同一面積とすることで、各育苗ポッ トへの水の供給量の均一化を簡単に図ることが可能となる。

【０００６】

【考案の実施の形態】

本考案の素材は一般的にプラッスチックが使用される。プレートの平面形状は 、四角形状のものが一般的である。この場合、隆条で区画される領域の平面形状 は四角形状が一般的であり、その他の形状として円形や三角形、五角形、六角形 等多角形でもよい。 領域部分は多行多列に配列することが一般的である。領域の中央の開口の形状 は円形が望ましいが多角形でもよい。隆条部分に溝を設けて過剰な給水状態とな る領域の水を隣り合う領域内へ移動可能とすることが望ましい。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。 図１は実施例１の育苗器で育苗ポットを取り外した状態の平面図、図２は実施 例１の育苗器の正面図、図３は図１のＡ−Ａ断面図、図４は実施例１の育苗器で の育苗ポットカバーの内部構造を示す縦断面図、図５は実施例１での育苗器で育 苗している苗への給水状態を示す説明図、図６は実施例１での育苗器で育成して いる苗への給水状態を示す説明図、図７は実施例１での育苗器で育苗していく苗 への給水状態を示す平面から見た説明図、図８は実施例の育苗器の使用状態を示 す説明図である。

【０００８】 ；実施例１（図１〜７参照） 図中１は、３行４列で並ぶ１２個の育苗ポットカバ−２内に育苗ポット１０を それぞれ収容した図１の中面上横の長さ６０ｃｍ・縦の長さ４５ｃｍ・高さ１． ３ｃｍ程で一体成形により製作されたプラスチック製の育苗器、２は開口４周縁 からプレート裏面側へ延伸して突出する筒状の育苗ポットカバー、２ａは育苗器 １の本体となるプレート、３は同プレート２ａ上面を***状態の細長な隆条で１ ２に区画した領域、４は領域内中央のプレート上面に設けた直径６ｃｍ程の開口 、４ａは領域内のプレート上面を開口４側が低くなるように傾斜させた傾斜面、 ４ｂは同傾斜面４ａの高位置、４ｃは傾斜面４ａの低位置、５ａは開口４周縁と 育苗ポットカバー２を陥凹して形成した段差、６は育苗ポットカバー２の底壁に 設けた排水口、７はプレート上面から***した隆条、８は隣り合う領域３同士を 連通する幅８ｍｍ程の水平な溝、１０は上方開口面の外周から外へ突出する鍔１ ０ａを有し且つ育苗ポットカバー２の内径より４ｍｍ程外形が小さなプラスチッ ク製の育苗ポット、１０ａは同育苗ポット１０の鍔、１１は育苗ポット１０の底 壁に設けた排水口、１２は育苗ポット１０の外表面と育苗ポットカバー５の内表 面との間に形成される間隙、１３は苗、１４は土壌、１５は水である。

【０００９】 図１〜７に示す実施例１の育苗器１は、収容した土壌１４に苗１３を根付けた 複数個の育苗ポット１０を、育苗ポットカバー２内へ挿入して育苗ポット１０の 鍔１０ａを開口４周縁の段差５ａに係止して育苗ポットカバー２内で育苗ポット １０を吊設した状態に支持する。育苗器１０は育苗ポットカバー２よりやや小さ いため、育苗ポットカバー２の内表面と育苗ポット１０の外表面との間に間隙１ ２が形成される。 この間隙１２内の空気によって、外気温度を苗１３に伝えにくくしており、寒 冷地では、間隙１２内の空気層による保温効果があり、土壌の温度の低温化を防 止し、又熱い場所では間隙１２内の空気が対流して土壌１４の温度の高温化を防 止し、いずれでも苗１３が生育し易い環境を保ち、苗の生育の促進が図れる。

【００１０】 苗１３に水１５を供給する場合は、育苗ポット１０それぞれに向けて水１５を 逐次散水することなく、育苗器１から離した位置で育苗器１の上面全体に水をま んべんなくかける。まかれた水のほとんどの量が領域３内のプレート上面で受け られ、水１５は各領域３の傾斜面４ａに沿って、傾斜面４ａの高位置４ｂから低 位置４ｃへ流れ込み、育苗器１で受けた水は全てが育苗ポット１０へ供給されて いく。各領域３内のプレート２ａの面積を同一面積としているので各育苗ポット １０に供給される水１５の供給量は均一となる。 又、育苗ポットカバー２の隆条７により、育苗器１の上面に散水した水１５が 外へ流れ落ちることを防いでおり、散水した水１５を無駄なく育苗ポット１０へ 供給出来、節水が図れる。

【００１１】 更に隣り合う領域３同士を連通する溝８を隆条に設けているので過剰供給され た領域内の水１５を溝８に沿って他の領域３へ移動させていくことが出来、育苗 器１への過剰な水１５の供給を防止出来る。 水１５は傾斜面４ａに沿って育苗ポット１０へ流れ込む場合と、途中に溝８へ 流れ込み、溝８を通って育苗ポット１０へ流れ込む場合とがある。又傾斜面４ａ の傾斜を育苗ポット１０側へ傾斜させると共に溝８側へも傾斜させれば、溝８へ 水１５を集め易くなり、溝８へ流れ込む水量が多くなることで水流の速度が速く なり育苗ポット１０へのスムーズな水１５の供給が行える。

【００１２】 ；実施例２（図８参照） 図８中１７は育苗器、１８は育苗ポットである。 図８に示す実施例２の育苗器１７は、実施例１の育苗ポット１０を取り外した 状態の実施例１での育苗器１と同一構造であり、且つ実施例１の育苗器ポットカ バ−を育苗ポット１８とした例である。 その他の符号・構成や作用・効果は前記実施例１と同じである。

【考案の効果】

本考案によれば、育苗ポットに直接まかれた水以外に領域内のプレート上面に まかれた水も育苗ポット内に確実に集水して給水することが出来るので、それぞ れの苗の根元に向けて逐次散水する必要がなく、離れた位置からプレートの表面 に水をまんべんなくまくだけで、育苗ポットへの給水作業が可能となり、給水作 業が大変楽に行えるものとなった。又、散水する水はプレートの上面の隆条で区 画された複数の領域でそのほとんどが受け止められ、領域内のプレート上面にま かれた水は育苗ポットに供給していくので、育苗ポットに供給されない無駄な水 を大幅にカット出来、節水効果を高め、大変経済性に優れたものとなる。

【００１３】 請求項２記載の考案では、育苗ポットの外表面と育苗ポットカバーの内表面と の間に間隙を設けていて、この間隙による空気の層で苗が外気温度の影響を受け にくく出来、寒冷地や熱い場所でも苗が生育し易い環境を保ち易く苗の生育の促 進が図れるものとなった。 請求項５記載の考案では、隣り合う領域同士を連通させる溝を隆条に設けてい て、水が過剰に供給された領域内の水を他の領域内へ分散させていくことが出来 るので、過剰な水の供給を防止し、むらのない散水が図れる。 請求項５記載の考案では、各苗への水の供給量を容易に且つ迅速にほぼ均一と することが可能で苗の生育促進が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例１の育苗器で育苗ポットを取り外した状
態の平面図である。

【図２】実施例１の育苗器の正面図である。

【図３】図１のＡ−Ａ断面図である。

【図４】実施例１の育苗器での育苗ポットカバーの内部
構造を示す縦断面図である。

【図５】実施例１での育苗器で育苗している苗への給水
状態を示す説明図である。

【図６】実施例１での育苗器で育成している苗への給水
状態を示す説明図である。

【図７】実施例１での育苗器で育苗していく苗への給水
状態を示す平面から見た説明図である。

【図８】実施例の育苗器の使用状態を示す説明図であ
る。

【符号の説明】

１ 育苗器 ２ 育苗ポットカバー ２ａ プレート ３ 領域 ４ 開口 ４ａ 傾斜面 ４ｂ 高い位置 ４ｃ 低い位置 ５ 欠番 ５ａ 段差 ６ 排水口 ７ 隆条 ８ 溝 ９ 欠番 １０ 育苗ポット １０ａ 鍔 １１ 排水口 １２ 間隙 １３ 苗 １４ 土壌 １５ 水 １６ 欠番 １７ 育苗器 １８ 育苗ポット

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 宮本 忠佳 徳島県徳島市方上町宮谷42番地 (72)考案者 尋木 美利 福岡県八女市大字新庄970−３ (72)考案者 坂上 宏 福岡県太宰府市高雄５丁目31番17号

Claims (6)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 プレートの上面を細長な隆条で複数の領
   域に区画し、各領域の中央に開口を設け、前記プレート
   の開口に育苗ポットを一体成形で垂設し、各領域内のプ
   レートの上面の一部又は全部を前記開口に向けて低くな
   るように傾斜させたことを特徴とする育苗器。
2. 【請求項２】 プレートの上面を細長な隆条で複数の領
   域に区画し、各領域の中央に開口を設け、上方が開口さ
   れた筒状の育苗ポットカバーを前記プレートの開口下方
   に一体成形で垂設し、前記プレートの開口周縁を陥凹し
   て段差を設け、上端外周縁に鍔を設けた育苗ポットを前
   記育苗ポットカバー内へ挿入すると共に該鍔を前記段差
   に係止し、しかも前記育苗ポットの開口上面を前記プレ
   ートの上面より低く又は同一レベルとし、更に前記育苗
   ポットの外周面と前記育苗ポットカバーの内表面との間
   に間隙を設けたことを特徴とする育苗器。
3. 【請求項３】 プレート上面の隆条に溝を設けて隣り合
   う領域へ水が移動出来るようにした請求項１記載の育苗
   器。
4. 【請求項４】 プレート上面の隆条に溝を設けて隣り合
   う領域へ水が移動出来るようにした請求項２記載の育苗
   器。
5. 【請求項５】 各領域の面積をほぼ同一面積とした請求
   項１〜４いずれか記載の育苗器。
6. 【請求項６】 プレートの平面形状を四角形とし、領域
   の平面形状を四角形状とし、前記領域を多行多列に区画
   した請求項１〜５いずれか記載の育苗器。