JP3037834B2 - 外挿電離箱 - Google Patents

外挿電離箱

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JP3037834B2
JP3037834B2 JP24482592A JP24482592A JP3037834B2 JP 3037834 B2 JP3037834 B2 JP 3037834B2 JP 24482592 A JP24482592 A JP 24482592A JP 24482592 A JP24482592 A JP 24482592A JP 3037834 B2 JP3037834 B2 JP 3037834B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はベータ線などの放射線を
検出するための外挿電離箱に関し、特に、その検出精度
向上技術に関する。
【0002】
【従来の技術】ベータ線やガンマ線などの放射線がガス
中を通過する際にひき起こす効果から放射線の吸収量を
検出する装置として最も代表的なものが電離箱である。
この電離箱においては、たとえば、ガンマ線がガス中を
通過するときに中性分子からイオン対を電離形成するた
め、それを電離電流として検出することによって、放射
線の吸収量を測定する。このような原理に基づいて放射
線を検出する電離箱のうち、たとえば、生体に対するベ
ータ線の影響を定量的に示す概念としての線量当量を求
めるのには、図5に示す外挿電離箱が使用される。すな
わち、外挿電離箱50の電離箱本体51の端部には入射
窓52が固定されおり、この入射窓52は、その内側に
導電性が付与されて入射電極として機能するようになっ
ている一方、この入射窓52にはコレクタ電極54が対
向しており、これらの電極間によって規定される空間
(図5においてドットを付した領域)が有感空間53で
ある。
【0003】ここで、入射窓52(入射電極)とコレク
タ電極54との間に電位を印加しておくと、入射窓54
から入射されたベータ線はイオン対を電離形成し、その
うち、有感空間53に形成された自由電子は、コレクタ
電極54に電離電流として集められる。また、コレクタ
電極54は、ピストン機構56に一体に形成されてお
り、このピストン機構56の動作によって、コレクタ電
極54は、入射窓52に対向した状態のまま移動して、
入射窓52との対向距離を変化させるようになってい
る。従って、コレクタ電極54と入射窓52との対向距
離を変えながら、対向距離と電離電流との関係を計測
し、その計測結果に対して、対向距離ゼロを外挿するこ
とによって、有感空間53の体積が極めて小さいという
条件下における電離電流を検出することができる。な
お、コレクタ電極54の外周囲には、浅い溝58を介し
て保護電極55が設けられているが、この保護電極55
は電流検出回路(図示せず。)側に接続されていないた
め、そこに集められた電離電流からは放射線を検出しな
い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
外挿電離箱50においては、コレクタ電極54の側が移
動するため、以下のような問題点がある。すなわち、コ
レクタ電極54を介して検出される電流値が微小である
にもかかわらず、コレクタ電極54の側を移動させるた
め、移動にともなって、コレクタ電極54の側に静電気
が発生しやすく、静電気の影響によって電流分解能が低
下するという問題点がある。また、コレクタ電極54の
背面側には電流検出回路やピストン機構56が配置され
ているため、そこには空間的な余裕がないにもかかわら
ず、コレクタ電極54の移動量を正確に計測するマイク
ロメータなどの計測機構を配置する必要があり、構成が
複雑になってしまうという問題点がある。しかも、コレ
クタ電極54の背面側において、ピストン機構56の配
置位置を避けて、コレクタ電極54と電流検出回路との
配線接続を行うため、その接続部57の位置は、コレク
タ電極54の外周側にずらさざるを得ない。従って、接
続部57は、コレクタ電極57に対して非対象配置にな
り、コレクタ電極54の半径方向における空間分布が複
雑で、その補正が困難であるだけではなく、接続部57
と保護電極55とのオフセット構造を構成できないた
め、保護電極55の集めた電荷の影響が計測結果に誤差
としての影響を及ぼすという問題点もある。
【0005】以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、
コレクタ電極と入射電極との対向距離可変機構を改良し
て、その検出精度を向上可能な外挿電離箱を実現するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係る外挿電離箱において講じた手段は、電
離電流の検出回路側に接続された状態で電離箱本体側に
固定されたコレクタ電極に対して、入射電極を対向させ
た状態のまま、入射電極を移動させてそれらの対向距離
を変化させる入射電極移動機構を設けることである。す
なわち、コレクタ電極と入射電極との対向距離可変機構
として、入射電極側を移動させる機構を採用したことで
ある。ここで、入射電極移動機構は、たとえば、電離箱
本体側に送りねじ機構を介して接続された入射電極支持
体を備える機構を採用することができる。
【0007】また、コレクタ電極は、その外周側の保護
電極とともに電極構成体に形成されており、この電極構
成体は、非導電性部材の一方側端面の表層にコレクタ電
極と保護電極とをそれぞれ構成すべき導電層が形成され
たものであって、電極構成体の一方側端面におけるコレ
クタ電極と保護電極との境界領域には、それらを絶縁分
離すべき分離溝が形成されていることである。
【0008】さらに、コレクタ電極および保護電極のう
ちの少なくとも一方側の電極形成領域には、電極構成体
の他方側端面の側からのプラグ体装着孔が開口してお
り、このプラグ体装着孔は、その内周面に導電層を有
し、かつ、その内部には、少なくとも先端面および外周
面に導電層が形成されたプラグ体が電極構成体の他方面
側からプラグ体自身に導電接続すべき接続端子によって
押し付けられた状態で装着されていることが好ましい。
この場合には、接続端子としては、たとえば、スプリン
グにより付勢されたピン端子を備えるものを利用でき
る。
【0009】
【作用】本発明に係る外挿電離箱に作用を、図4を参照
して説明する。電離箱を用いて、たとえば、生体に対す
るベータ線の影響を定量的に示す線量当量Hを、下式か
ら求めるには、ブラッグ−グレイの原理を適用可能な極
めて小さな空間中、すなわち、放射線の飛程に比べて小
さな空間中で電離形成されたイオン対などから吸収線量
Dm を求める必要がある。
【0010】H=Dm ・Q Dm =W・Sm ・J ただし、Qはそれぞれの放射線の特性を示す線質係数、
Wはガス中に作られたイオン対当りの平均エネルギー損
失、Sm はガスに対する物質の相対的質量阻止能(単位
密度当りのエネルギー損失)、Jはガス中に作られた単
位質量当りのイオン対の数である。
【0011】しかしながら、極めて小さな空間から得ら
れる電離電流は極めて微小であるため、正確な測定が困
難である。これに対して、外挿電離箱においては、図4
(a)に示すように、放射線の照射によって形成された
イオン対のうち、入射電極Wとコレクタ電極Cとの対向
空間たる有感空間Kに形成された自由電子を、入射電極
Wとコレクタ電極Cとの間に印加された電位によって、
コレクタ電極Cに集電し、それに接続されている検出回
路Aによって電離電流として検出するとともに、入射電
極Wとコレクタ電極Cとの間の対向距離dを変えなが
ら、電離電流Iを計測することによって、図4(b)に
実線Lで示す対向距離dと単位体積当りの電離電流を関
係が得られ、この関係に対して、対向距離dが零の位置
まで外挿することによって、零に近い有感空間Kで測定
した単位質量当りのイオン対の数Jを求めることができ
る。ここで、本発明においては、コレクタ電極Cの側を
移動させるのではなく、入射電極Wの側を移動させて、
それらの対向距離dを変化させる。従って、コレクタ電
極Cの側に静電気が発生しないため、電離電流の検出に
静電気の影響が及ばないので、微小な電流を高い電流分
解能で検出できる。また、周囲の構成が比較的簡略な入
射電極Wの側を移動させるため、その移動機構や入射電
極Wの位置や移動量に対する計測機構に対するサイズな
どの制約がない。しかも、コレクタ電極Cの背面側に
は、それを移動させるための機構がないので、コレクタ
電極Wと電流検出回路との接続を理想的に接続できる。
すなわち、コレクタ電極Cの中央部に対応する位置に接
続部Bを配置できるので、コレクタ電極Cの半径方向に
おける空間分布が複雑でないので、必要に応じて補正も
容易であって、しかも、コレクタ電極Wの外周囲の配置
される保護電極を接続部Bに対してオフセット構造で構
成するのも容易である。
【0012】
【実施例】つぎに、添付図面を参照して、本発明の一実
施例に係る外挿電離箱について説明する。
【0013】図1は本発明の実施例に係る外挿電離箱の
要部の構成を示す説明図、図2はそれに用いた電極構成
体の斜視図、図3はその全体および構成部品の断面図で
ある。
【0014】(全体構成)この図において、本例の外挿
電離箱1は、電離箱本体側の一部を構成する真鍮製の電
離箱フレーム2と、この電離箱フレーム2の上端側に固
定され、アクリル樹脂体の表面に部分的にグラファイト
層たる導電層が形成された電極構成体10と、この電極
構成体10に形成されているコレクタ電極101で集め
られた電離電流を検出する電流検出回路30と、アクリ
ル樹脂製の電離箱筐体21(入射電極支持体)に固定さ
れて、コレクタ電極101に対向する入射窓たるマイラ
ー製の入射電極22とを有し、各部分の構成材料は、外
挿電離箱1を組織等価外挿電離箱として構成するように
設定されている。ここで、入射電極22は、0.8mg
/cm2 のマイラーシートの下面側にグラファイト層が
形成されて導電性が付与されたものであって、コレクタ
電極101に対向した状態のまま、矢印+Y1の方向ま
たは矢印−Y1 の方向に移動して、コレクタ電極101
との対向距離が調整されるようになっている。なお、図
1において、電極構成体10に対して斜線およびドット
を付した部分には導電性が付与されていることを示す。
【0015】(入射電極の構成およびその移動機構)こ
こで、電極構成体10は、電離箱フレーム2の上端側に
固定された状態にあって移動しないのに対して、入射電
極22は、その外周縁が真鍮製の入射電極テンションリ
ング23によってビスを介して電離箱筐体21の内側に
固定されて、コレクタ電極101に対して対向した状態
のまま、移動するようになっており、この移動によっ
て、コレクタ電極101と保護電極22との対向距離を
変えることが可能になっている。すなわち、電離箱筐体
21の下端側において、その内周面には、雌ねじが形成
されている一方、電離箱フレーム2の上端側において、
その外周面には、雄ねじが形成されており、これらの雌
ねじと雄ねじとによって、2mmピッチのスクリューね
じを備える送りねじ機構(矢印+Yおよび矢印−Yで示
す。)が構成されている。なお、電離箱筐体21の上端
面には、ロッドベース24が設けられており、このロッ
ドベース24の内部にスペースロッド25の下端側が装
着された状態で、その上端側がスケールガイド26に案
内された状態で、電離箱筐体21が移動するため、スケ
ールガイド26を介して、電離箱筐体21の位置、すな
わち、入射電極22の位置や移動量を計測して、コレク
タ電極101と保護電極22との対向距離を計測可能に
なっている。このため、電極構成体10の側を移動させ
る必要がないので、その背面側には移動機構などが配置
されておらず、電流検出回路30を内部に備える検出回
路ハウジング40を容易に配置できる。なお、検出回路
ハウジング40も、電離箱本体側に固定されて移動しな
いので、外挿電離箱1の使用中も、電流検出回路30と
電極構成体10との間に設けた接続部材なども移動しな
い。
【0016】(電極構成体の構成)本例においては、コ
レクタ電極101は、その外周側に形成された保護電極
102とともに、電極構成体10に一体に構成されてい
るが、この電極構成体10は、図2および図3(a)に
示すように、複数の部材から構成されて円板状を呈し、
その上端面の径は約108mmになっている。ここで、
電極構成体10は、アクリル樹脂体から構成されて、そ
の表面側に導電層(グラファイト層)が付与されて、コ
レクタ電極101および保護電極102が構成されてい
る。そのうち、保護電極102は、中央部にコレクタ電
極装着孔130を備える第1の部材13の側の一方側端
面に形成された導電層131と、第1の部材13に形成
された保護電極用プラグ装着孔150の内部に装着され
た保護電極用プラグ15の先端面に形成された導電層1
51とによって構成されている。一方、コレクタ電極1
01は、第1の部材13のコレクタ電極装着孔130の
内部に装着された第2の部材11の一方側端面に形成さ
れた導電層111と、第2の部材11に形成されたコレ
クタ電極用プラグ装着孔110の内部に装着されたコレ
クタ電極用プラグ12の先端面に形成された導電層12
1とによって構成されている。そして、コレクタ電極1
01と保護電極102との間の絶縁性を確保するため
に、それらの境界領域には、第1の部材13の側のコレ
クタ電極装着孔130の縁部における内径寸法と、第2
の部材11の一方側端部における外径寸法との差によっ
て構成された分離溝14が形成されており、この分離溝
14によって、コレクタ電極101と保護電極102と
は確実に絶縁分離されている。なお、図3(a)におい
て、電極構成体10に対して斜線およびドットを付した
部分が、導電性(導電層、グラファイト層)の付与され
ている部分である。
【0017】ここで、図3(b)は電極構成体10を構
成する第1の部材13の断面図、図3(c)は保護電極
用プラグ15の断面図、図3(d)は第2の部材11の
断面図、図3(e)はコレクタ電極用プラグ12の断面
図である。これらの図において、ドットを付した部分が
導電層の付与部分である。
【0018】これらの図に示すように、第1の部材13
に形成されているコレクタ電極装着孔130および保護
電極用プラグ装着孔150の内部には、それぞれ段差部
130a,150aを有する一方、第2の部材11およ
び保護電極用プラグ15のいずれも、その外周側に向か
って張り出すフランジ部130b,150bを有してお
り、第2の部材11および保護電極用プラグ15を、第
1の部材13の他方面側からコレクタ電極装着孔130
および保護電極用プラグ装着孔150の内部にそれぞれ
挿入すると、段差部130a,150aおよびそれに対
応するフランジ部130b,150bが干渉して、第1
の部材13に対する第2の部材11および保護電極用プ
ラグ15の取り付け状態が規定されるようになってい
る。ここで、第2の部材11の外径寸法は、約32mm
であるのに対して、そのフランジ部130bにおける外
径寸法は、約36mmである。これに対して、コレクタ
電極装着孔130の下端側開口の内径は、約38mmに
なっている。また、分離溝14を構成している部分の第
2の部材11の外径寸法は、約30mmである。一方、
保護電極用プラグ15の外径寸法は、約10mmであっ
て、そのフランジ部150bにおける外径寸法は、約1
2mmである。同様に、第2の部材11に形成されてい
るコレクタ電極用プラグ装着孔110の内部にも段差部
110aを有する一方、コレクタ電極用プラグ12も、
その外周側に向かって張り出すフランジ部120bを有
しており、コレクタ電極用プラグ12を、第1の部材1
1の他方面側からコレクタ電極用プラグ装着孔110の
内部に挿入すると、段差部110aとフランジ部120
bとが干渉して、第2の部材11に対するコレクタ電極
用プラグ12の取り付け状態が規定されるようになって
いる。
【0019】ここで、電極構成体10の一方側端面には
コレクタ電極101および保護電極102が形成されて
おり、これらのうち、コレクタ電極101に対しては、
電極構成体10の他方側端面の側の電流検出回路30と
の導電接続を図る必要があるとともに、保護電極102
に対しては、電極構成体10の他方側端面の側でアース
端子と接続する必要がある。そこで、本例においては、
コレクタ電極101と電流検出回路30とを接続するた
めに、図3(a),(c),(e)に示すように、コレ
クタ電極用プラグ12の外周面には、導電層121に導
電接続する導電層122を形成する一方、その背面側に
は、導電層122に導電接続する導電層123を形成し
てある。これに対して、コレクタ電極用プラグ装着孔1
10の内周面には、導電層111に導電接続する導電層
112が形成してある。このため、コレクタ電極用プラ
グ12をコレクタ電極用プラグ装着孔110の内部に装
着すると、コレクタ電極101(導電層111,12
1)は、導電層112,122を介して導電層123に
導電接続する状態になるので、後述するとおり、導電層
123と電流検出回路30とを導電接続することによっ
て、コレクタ電極101と電流検出回路30との導電接
続が可能である。同様に、本例においては、保護電極1
02とアース端子とを接続するために、図3(a),
(b),(d)に示すように、保護電極用プラグ15の
外周面には、導電層151に導電接続する導電層152
を形成する一方、その背面側には、導電層152に導電
接続する導電層153を形成してある。これに対して、
第1の部材13においては、保護電極用プラグ装着孔1
50の内周面に、導電層131に導電接続する導電層1
32が形成されている一方、その他方側端面には、導電
層132に導電接続する導電層133を形成してある。
このため、保護電極用プラグ15を保護電極用プラグ装
着孔150の内部に挿入すると、保護電極102(導電
層131,151)は、導電層132,152を介して
導電層133,153に導電接続する状態になるので、
後述するとおり、導電層133,153にアース端子を
導電接続することによって、保護電極102をアース電
位にすることが可能である。
【0020】(電流検出回路の構成)本例の外挿電離箱
1においては、ベータ線が照射されて、それが電極構成
体10と入射電極22との間の空間7のガス中を通過す
るときに、中性分子からイオン対を電離形成する。そし
て、入射電極22に対してコレクタ電極101および保
護電極102を正の電位にしておくと、空間7のうちの
入射電極22とコレクタ電極101との対向空間たる有
感空間70に形成された自由電子は、コレクタ電極54
に電離電流として集められ、電流検出回路30で検出さ
れる。ここで、電流検出回路30は、入力仮想接地電流
積分器として構成され、コレクタ電極54に集められた
電荷を容量31に積分しておき、その電荷蓄積量および
その容量によって規定される電圧値から積分電離電流を
計測可能になっている。なお、コレクタ電極101の外
周囲には、保護電極102が設けられているが、この保
護電極102は電流検出回路30の側に接続されずに、
アース電位に接続されているため、保護電極102で集
められた電離電流からは放射線を検出しない。また、入
射電極22には、負の電位が印加される。
【0021】このように構成されている電流検出回路3
0と電極構成体10の側との接続は、検出回路ハウジン
グ40の上端面部41を利用して行われている。すなわ
ち、検出回路ハウジング40はアース電位とされ、上端
面部41からは取り付け金具42を介して設けられたア
ース端子37が、電極構成体10(第1の部材13)の
他方側端面のうちの導電層133,153に密着した状
態のまま、電極構成体10にねじ止めされて、保護電極
102は、アース電位に保持されている。これに対し
て、電極構成体10(コレクタ電極用プラグ12)の他
方側端面のうちの導電層123に対しては、スプリング
(矢印Xで示す。)によって付勢されたピン端子33の
先端が当接しており、このピン端子33による押し付け
力によって、コレクタ電極用プラグ12は、電極構成体
10(第2の部材11)のコレクタ電極用プラグ装着孔
110に装着された状態が保持され、しかも、導電体1
12,122同士が確実に密着して、それらの間の抵抗
分を低下させている。また、ピン端子33による押し付
け力によって、第2の部材11自身も、電極構成体10
(第1の部材13)のコレクタ電極装着孔130に装着
された状態が保持されている。ここで、ピン端子33
は、検出回路ハウジング40の上端面部41に対して、
絶縁体35に加えて、ガードリング36を介して支持さ
れた状態にあるため、ピン端子33と検出回路ハウジン
グ40の上端面部41との間における電流の漏れが確実
に防止されている。
【0022】(使用態様)このような構成の外挿電離箱
1は、たとえば、図4に示すようにして利用される。す
なわち、生体に対するベータ線の影響を定量的に示す線
量当量Hを求めるために、吸収線量Dm を求めるには、
極めて小さな空間から電離電流を計測する必要がある
が、その計測は、従来の電離箱では困難であるため、本
例の外挿電離箱1を用いる。具体的には、図4(a)に
示すように、放射線の照射によって形成されたイオン対
のうち、入射電極W(入射電極22)とコレクタ電極C
(コレクタ電極101)との対向空間たる有感空間K
(有感空間70)に形成された自由電子を、正の電位が
印加されたコレクタ電極C(コレクタ電極101)に集
電させて、それに接続されている検出回路A(電流検出
回路30)によって電離電流として検出する。ここで、
入射電極W(入射電極22)と、コレクタ電極C(コレ
クタ電極101)との間の対向距離dを変えながら、電
離電流Iを計測すると、図4(b)に実線Lで示す対向
距離dと単位体積当りの電離電流との関係が得られ、こ
の関係に対して、対向距離dが零の位置まで外挿するこ
とによって、零に近い有感空間K(有感空間70)で測
定した条件を実現できる。
【0023】(実施例の効果)ここで、本例の外挿電離
箱1においては、図1に示すように、コレクタ電極10
1の側を固定しておき、入射電極22の側を移動させ
て、それらの対向距離を変化させる。従って、コレクタ
電極101の側に静電気が発生しないため、電離電流の
検出に静電気の影響が及ばないので、微小な電流を高い
電流分解能で検出できる。また、電流検出回路30が接
続されているコレクタ電極101の側ではなく、周囲の
構成が比較的簡略な入射電極22の側を移動させるた
め、その移動機構に対する制約がないので、精度の高い
移動機構を採用できる。また、入射電極22の位置や移
動量に対する計測機構に対するサイズ的な制約が緩いの
で、マイクロメータなどを使用せずとも、たとえば、本
例のように、スケールガイド26などの簡単な構成の計
測機構を採用できる。さらに、入射電極22の移動量に
対する制約も緩い。しかも、コレクタ電極101の背面
側には、それを移動させるための機構がないので、コレ
クタ電極101と電流検出回路30との接続を理想的に
行なえる。すなわち、コレクタ電極101の中央部に対
応する位置にピン端子33が接続しているので、対象配
置構成になっている。それ故、コレクタ電極101の位
置に対する空間分布が複雑でないので、それに関する補
正も容易である。しかも、保護電極102に対するオフ
セット構造をもって、コレクタ電極101とピン端子3
3との接続を行えるので、漏れ電流の影響が及ばない。
【0024】また、コレクタ電極101は、その外周側
の保護電極102とともに、複数のアクリル樹脂体から
なる電極構成体10に一体に形成されているが、コレク
タ電極101と保護電極102との境界領域に分離溝1
4を設けることによって、それらを確実に絶縁分離して
いるため、電流の漏れなどの影響もない。
【0025】さらに、スプリングによって付勢されたピ
ン端子33を利用して、コレクタ電極101と電流検出
回路30との接続を構成しているため、それらの間の電
気抵抗分が低く、しかも、接続部分の信頼性が初期的に
も経時的にも高い。
【0026】
【発明の効果】以上のとおり、本発明に係る外挿電離箱
においては、入射電極移動機構を設けて、コレクタ電極
は固定しておき、入射電極の側を移動させて、それらの
対向距離を変化させることに特徴を有する。従って、本
発明によれば、コレクタ電極の側に静電気が発生しない
ため、電離電流の検出に静電気の影響が及ばないので、
微小な電流を高い電流分解能で検出できる。また、周囲
の構成が簡略な入射電極の側を移動させるため、入射電
極の移動機構およびその位置や移動量に対する計測機構
に対して、サイズ的な制約などが緩いので、精度の高い
機構を採用することもできる。しかも、コレクタ電極の
背面側は、それを移動させるための機構がないので、コ
レクタ電極と電流検出回路との接続についても制約が緩
く、コレクタ電極の中央部に対応する位置に接続部を設
けるなどもできるため、コレクタ電極の半径方向におけ
る空間分布が複雑でなく、それに関する補正も容易であ
って、保護電極に対するオフセット構造を構成するのも
容易である。それ故、外挿電離箱の計測精度が向上す
る。
【0027】また、コレクタ電極と保護電極との境界領
域に分離溝を設けた場合には、それらを確実に絶縁分離
できるので、電流の漏れなどの影響もない。
【0028】さらに、スプリングによって付勢されたピ
ン端子を利用して、プラグ体を押し付けた状態にした場
合には、それらの間の抵抗分を低下することができ、し
かも接続部の信頼性が、初期的にも経時にも高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る外挿電離箱の要部の構成
を示す説明図である。
【図2】図1に示す外挿電離箱に用いた電極構成体の斜
視図である。
【図3】図2に示す電極構成体の説明図であって、
(a)はその全体構成を示す断面図、(b)はそれを構
成する第1の部材の断面図、(c)はその第2の部材の
断面図、(d)は保護電極用プラグ体の断面図、(e)
はコレクタ電極用プラグ体の断面図である。
【図4】(a)は図1に示す外挿電離箱の原理を示す説
明図、(b)はその計測結果を示す説明図である。
【図5】従来の外挿電離箱の要部の構成を示す説明図で
ある。
【符号の説明】
1・・・外挿電離箱 2・・・電離箱フレーム 10・・・電極構成体 11・・・第2の部材 12・・・コレクタ電極用プラグ 13・・・第1の部材 14・・・分離溝 15・・・保護電極用プラグ 21・・・電離箱筐体 22・・・入射電極 23・・・入射電極テンションリング 26・・・スケールガイド 30・・・電流検出回路 33・・・ピン端子 36・・・ガードリング 37・・・アース端子 40・・・検出回路ハウジング 70・・・有感空間 101・・・コレクタ電極 102・・・保護電極 130・・・コレクタ電極装着孔 111,112,121〜123,131,151〜1
53・・・導電層 150・・・保護電極用プラグ装着孔 X・・・スプリング +Y,−Y・・・送りねじ機構

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電離電流の検出回路側に接続された状態
    で電離箱本体側に固定されたコレクタ電極に対して、入
    射電極を対向させた状態のまま、前記入射電極を移動さ
    せてこれらの電極間の対向距離を変化させる入射電極移
    動機構を有することを特徴とする外挿電離箱。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記入射電極移動機
    構は、前記電離箱本体側に送りねじ機構を介して接続さ
    れた入射電極支持体を備えることを特徴とする外挿電離
    箱。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2において、前記
    コレクタ電極は、その外周側の保護電極とともに電極構
    成体に形成されており、この電極構成体は、非導電性部
    材の一方側端面の表層に前記コレクタ電極と前記保護電
    極とをそれぞれ構成すべき導電層が形成されたものであ
    って、前記電極構成体の一方側端面における前記コレク
    タ電極と前記保護電極との境界領域には、それらを絶縁
    分離すべき分離溝が形成されていることを特徴とする外
    挿電離箱。
  4. 【請求項4】 請求項3において、前記コレクタ電極お
    よび前記保護電極のうちの少なくとも一方の電極形成領
    域には、前記電極構成体の他方側端面の側からのプラグ
    体装着孔が開口しており、このプラグ体装着孔は、その
    内周面に導電層を有し、かつ、その内部には、少なくと
    も先端面および外周面に導電層が形成されたプラグ体が
    前記電極構成体の他方面側からプラグ体自身に導電接続
    すべき接続端子によって押し付けられた状態で装着され
    ていることを特徴とする外挿電離箱。
  5. 【請求項5】 請求項4において、前記接続端子は、ス
    プリングにより付勢されたピン端子を備えることを特徴
    とする外挿電離箱。
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