JP3036091U - プラスチック製容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数個の容器を密に並べた状態での保管・輸
送時に、蓋と容体との係合状態が解除されず、かつ、蓋
の角部の破損が生じないような容器を提供する。 【解決手段】 折り返しリブ２を上縁に有する容体３
と、前記折り返しリブ２の外方へ被さる垂れ縁４を有す
る平面多角形の蓋５とからなる容器において、前記折り
返しリブ２と前記垂れ縁４の角部をそれぞれ切り欠き、
蓋５の角部には前記折り返しリブ２下縁に係合する係止
爪６を下方内面に備えた舌片７を設けて閉蓋固定するプ
ラスチック製容器１とした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、蓋と容体とからなるプラスチック製容器に関するものであり、さら に詳しくは、容器内に包装物を収容して輸送する際において、蓋が破損したり、 蓋が容体から外れたりすることを防止するためのプラスチック製容器の構造の改 良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

プラスチック製容器は簡単かつ安価に量産できることから、広く普及している 容器である。通常は蓋と容体とからなり、薄肉にするために容体の上縁に折り返 しリブを設け、蓋には垂れ縁を設けて、該垂れ縁が前記折り返しリブの外方へ被 さるようにして閉蓋できるようになっているものが多い。閉蓋した蓋と容体との 固定を図る場合は、容体の折り返しリブに係合する係止爪を蓋の縁部に複数個設 けるのが一般的である。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、容器内に包装物を収容した状態で複数個の容器を密に並べて梱 包・輸送する場合、蓋の縁部に係止爪を設けた容器では、隣接する容器同士が互 いに接触することより、係止爪の係合状態が解除されて蓋が外れたり、蓋が破損 するといった問題が生じていた。とくに蓋の平面が三角形や四角形等の多角形を した容器では、隣接する容器の蓋の角部（コーナー部）同士が擦れたり引っかか ったりして破損し易かった。

【０００４】 また、商品保管時の占有面積を減らし、一時に大量の商品輸送を可能にするた めには、多数の容器をできるだけ密に並べることができるように、蓋の周囲を直 線的な形状とするのが好ましい。この観点からも、隣接する蓋同士が擦れ合う部 分に係止爪を設けるのは望ましいことではない。

【０００５】 そこで、容器を密に並べた状態での保管又は輸送時に、蓋と容体との係合状態 が解除されず、かつ、蓋の角部の破損が生じないような容器の構造について検討 することにした。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

検討の結果開発したものが、折り返しリブを上縁に有する容体と、前記折り返 しリブの外方へ被さる垂れ縁を有する平面多角形の蓋とからなる容器において、 前記折り返しリブと前記垂れ縁の角部をそれぞれ切り欠き、蓋の角部には前記折 り返しリブ下縁に係合する係止爪を下方内面に備えた舌片を設けて閉蓋固定する ことを特徴とするプラスチック製容器である。

【０００７】 また、折り返しリブを上縁に有する容体と、前記折り返しリブの外方へ被さる 垂れ縁を有する平面四角形の蓋とからなる容器において、前記折り返しリブと前 記垂れ縁の角部をそれぞれ切り欠き、蓋の角部には前記折り返しリブ下縁に係合 する係止爪を下方内面に備えた舌片を設けて閉蓋固定することを特徴とするプラ スチック製容器である。

【０００８】 さらに、折り返しリブを上縁に有する容体と、前記折り返しリブの外方へ被さ る垂れ縁を有する平面四角形の蓋とからなる容器において、前記折り返しリブと 前記垂れ縁の角部をそれぞれ切り欠き、蓋の一つの対角線上の角部にのみ前記折 り返しリブ下縁に係合する係止爪を下方内面に備えた舌片を設けて閉蓋固定する ことを特徴とするプラスチック製容器である。

【０００９】 このように、容体及び蓋の角部をそれぞれ切り欠いて、切り欠いた蓋の角部に 容体への係止爪を設けることで、多数の容器を密に並べたときにも蓋の角部に空 間を確保することができ、輸送時の振動等により隣接する容器同士が突き合った り擦れ合ったりした場合にも、蓋が外れたり破損したりすることを防止できるの である。

【００１０】 なお、本考案では、蓋の平面形状が四角形をはじめとする多角形であるプラス チック製容器を対象としており、閉蓋した際には蓋の垂れ縁内側に容体上縁の折 り返しリブがほぼ密着するというこの種の容器の性格よりして、必然的に容体上 縁の折り返しリブの外周形状も蓋と同様の多角形状となるのであるが、容体の収 容部分の形状は上縁折り返しリブ外周の形状に拘束されず、円筒形や星形等いか なる形状でも採用しうる。

【００１１】

【考案の実施の形態】

以下、図面を参照しながら本考案の実施形態について説明する。図１は、本考 案のプラスチック製容器１の一例を示したもので、折り返しリブ２を上縁に有す る容体３と、前記折り返しリブ２の外方へ被さる垂れ縁４を有する平面四角形の 蓋５とからなる容器に基づいて本考案に係るプラスチック製容器とした例におけ る蓋５と容体３との組付関係を表した斜視図である。図２は同容器１の閉蓋状態 を表した斜視図であり、図３は図２中Ａ−Ａ断面図である。

【００１２】 本例の容器１では、ともに四角形をした容体３の上縁外周部と蓋５の角部をそ れぞれ直線状に切り欠いた如き八角形状としており、蓋５の一つの対角線上の両 角部においてのみ容体３の折り返しリブ２下縁に係合する係止爪６を下方内面に 備えた舌片７(図３参照)を設けている。容体３の折り返しリブ２と蓋５の垂れ縁 ４は前記各切り欠き部分にまで延設されており、図３に見られるように、両者は ほぼ緊密に接して閉蓋状態となり、対角線上に配した舌片７の係止爪６が折り返 しリブ２の下縁に引っかけられて閉蓋状態に固定される。これら容体３及び蓋５ は、共に一体成形のプラスチック製である。

【００１３】 なお、デザイン上の都合等によっては、このように直線状に切り欠いた蓋５等 の角部をさらに凹ませて、該凹部に舌片７を設けてもよい。また、舌片７は、蓋 ５と一体成形とするか、あるいは別体の成形物を接着剤又は嵌合方式により蓋５ に取り付けることにより形成してもよい。蓋５の角部を凹ませて該凹部に舌片７ を設けた例を図４(a)(b)に示す。

【００１４】 本例の容器１では、容体３の底面四隅において容体３より扁平に突出した脚部 ８をそれぞれ設けるとともに、蓋５の上面四隅において前記脚部８に対応した位 置に受け凹部９を設けている。これにより、本例の容器１を段重ねした際には、 図５に見られるように、下段の容器１の蓋５の受け凹部９に上段の容器１の容体 ３の脚部８が嵌まり込むことで、安定した段重ねが可能になるのである。

【００１５】 なお、容器１内に包装物を収容して保管・輸送する際は、ポリプロピレン製の 平バンド10を容器１に十文字等に掛けて確実に固定するのが通例であるので、積 み重ねた上段の容器１の底面と下段の容器１の上面との間に僅かでも隙間が確保 できるように、容体３の脚部８の高さを蓋５の受け凹部９の深さよりも高くして おけば、張られた平バンド10上に容器が載って不安定になることもなく、安定し た段重ねが可能になる。前述のように、本考案の容器１では、多数の容器を並べ た際に隣接する容器１の蓋５の角部付近に十分な空間を確保することができるの で、輸送時の振動等により隣接する容器同士が突き合ったり擦れ合ったりした場 合にも蓋が外れたり破損したりすることを防止できるのであるが、この効果は、 図５のように容器１を多数段に積み重ねた場合において、とくに顕著に発揮され るのである。

【００１６】 本考案の容器１は、図１〜図５からわかるとおり、本来は平面が四角形の容器 でありながら、容体３の折り返しリブ２及び蓋５の垂れ縁４の各角部を切り欠い ているため、図６に示されるように、多数の容器１を密に並べたときにも閉蓋状 態に固定する舌片７が隣接する他の容器１の舌片７や蓋５の垂れ縁４に接触する ことがなく、蓋５が容体３より外れたり舌片７が破損したりする虞がない。また 、隣接する蓋５の垂れ縁４同士の接触面に閉蓋固定用の舌片７が設けられていな いために、互いに接触する蓋５の垂れ縁４はより緊密に面接触することができ、 容器１の配列状態が安定する。こうして、本考案の容器１は、縦横問わず、密に かつ安定して配列することができ、容体３から蓋５が外れてしまったり舌片７が 破損したりといった不具合を招くことなく、保管や輸送の用に供することができ るのである。

【００１７】 本考案の容器の特徴は、平面多角形をした蓋の垂れ縁及び容体の折り返しリブ の各角部を切り欠いて、蓋の角部に係止爪を有する舌片を配して閉蓋状態を固定 する点にあり、この特徴を有すれば、蓋や容体の角の数は問わない。例えば、図 ７に示されるように蓋５が三角形の容器に適用してもよいし、図８に示されるよ うに蓋５が五角形の容器に適用してもよい。なお、図７及び図８の例では、図１ の例と同様に、容体３の底部に脚部８、蓋５の隅には受け凹部９を形成し、段重 ね時の安定性の向上も図っている。

【００１８】

【考案の効果】

本考案のプラスチック製容器では、複数個の容器を密に並べた状態で保管・輸 送した場合にも蓋と容体との係合状態が解除されず、かつ、蓋の角部の破損が生 じない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のプラスチック製容器の蓋と容体との組
付関係を表した斜視図である。

【図２】同容器の閉蓋状態を表した斜視図である。

【図３】図２中Ａ−Ａ断面図である。

【図４】蓋の角部を凹ませた例の平面図(a)及び底面図
(b)である。

【図５】本考案のプラスチック製容器の段重ねの状態を
表した斜視図である。

【図６】同容器を密に並べた状態を表した平面図であ
る。

【図７】容体の折り返しリブ及び蓋の水平断面が三角形
である容器の図２相当斜視図である。

【図８】容体の折り返しリブ及び蓋の水平断面が五角形
である容器の図２相当斜視図である。

【符号の説明】

１ 容器 ２ 折り返しリブ ３ 容体 ４ 垂れ縁 ５ 蓋 ６ 係止爪 ７ 舌片 ８ 脚部 ９ 受け凹部

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 折り返しリブを上縁に有する容体と、前
   記折り返しリブの外方へ被さる垂れ縁を有する平面多角
   形の蓋とからなる容器において、前記折り返しリブと前
   記垂れ縁の角部をそれぞれ切り欠き、蓋の角部には前記
   折り返しリブ下縁に係合する係止爪を下方内面に備えた
   舌片を設けて閉蓋固定することを特徴とするプラスチッ
   ク製容器。
2. 【請求項２】 折り返しリブを上縁に有する容体と、前
   記折り返しリブの外方へ被さる垂れ縁を有する平面四角
   形の蓋とからなる容器において、前記折り返しリブと前
   記垂れ縁の角部をそれぞれ切り欠き、蓋の角部には前記
   折り返しリブ下縁に係合する係止爪を下方内面に備えた
   舌片を設けて閉蓋固定することを特徴とするプラスチッ
   ク製容器。
3. 【請求項３】 折り返しリブを上縁に有する容体と、前
   記折り返しリブの外方へ被さる垂れ縁を有する平面四角
   形の蓋とからなる容器において、前記折り返しリブと前
   記垂れ縁の角部をそれぞれ切り欠き、蓋の一つの対角線
   上の角部にのみ前記折り返しリブ下縁に係合する係止爪
   を下方内面に備えた舌片を設けて閉蓋固定することを特
   徴とするプラスチック製容器。