JP3035423B2 - 多層構造エマルション粒子の製造方法 - Google Patents

多層構造エマルション粒子の製造方法

Info

Publication number
JP3035423B2
JP3035423B2 JP5112606A JP11260693A JP3035423B2 JP 3035423 B2 JP3035423 B2 JP 3035423B2 JP 5112606 A JP5112606 A JP 5112606A JP 11260693 A JP11260693 A JP 11260693A JP 3035423 B2 JP3035423 B2 JP 3035423B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
particles
weight
emulsion
vinyl monomer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP5112606A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06322008A (ja
Inventor
浩介 染矢
太 星野
壯 柳原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP5112606A priority Critical patent/JP3035423B2/ja
Publication of JPH06322008A publication Critical patent/JPH06322008A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3035423B2 publication Critical patent/JP3035423B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塗料、紙コーティン
グ、情報記録紙等に用いられるコーティング剤の添加剤
として有用な粒子内部に貫通孔を有する多層構造エマル
ション粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、乳化重合によって作成された高分
子の微粒子が有機顔料として種々検討されている。もっ
とも一般的に使用されているものは、粒子径が0.2〜
0.5μの均一な密実型の乳化重合ポリスチレン粒子で
あり、紙被服叉は塗料等の用途に使用されている。しか
しながら、このエマルション粒子では、十分な隠蔽性、
白色度及び光沢が得られず、多量に用いなければ実用上
の利点が認められないために、コスト高、重量増などの
問題を起こす。近年、さらに白色度、隠蔽性及び光沢を
向上させる目的から、上記の様な均一、密実型の粒子か
ら小孔を有するエマルション粒子への転換が提案されて
おり、有機顔料として用いた場合、十分ではないまで
も、前記の均一、密実型のものよりは隠蔽性、白色度が
向上する事が認められている。なお、この粒子内部にあ
る微小空隙中には水が存在し、粒子を乾燥する事により
空隙中の水分が揮発し中空となるが、水分が粒子の壁部
を透過しなければならないため揮発させる事が難しい。
叉、空隙が大きくなればなるほど、空隙中の水分の絶対
量が増大し、乾燥性が悪くなるという欠点があり、さら
に、上記の粒子を有機顔料として紙塗工に使用した場
合、インキ受理性、インキセット性やブリスター適性な
どの印刷適性の点では大きな改善は認められない。ま
た、上記の微小空隙を有する粒子を感熱記録紙の下塗り
に導入して断熱性を高め、発色感度を向上させる例が特
開昭63−281886号公報に開示されている。この
方法によって作成される感熱記録紙は、無機顔料や有機
系の尿素樹脂よりも発色感度の向上は認められるが、ヘ
ッドカス付着やスティッキングについては改善されてい
ない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記の
問題に鑑み、特に感熱記録材料として感熱記録紙の下塗
りに導入した場合、断熱性による発色感度向上等の物性
を満足するとともに、吸油性に優れる、乾燥時の構造が
粒子の表層部から内部を結ぶ貫通孔を1個以上有する多
層構造エマルション粒子の製造方法を提供する事にあ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決すべく鋭
意検討を重ねた結果、乾燥時の構造が粒子の表層部から
内部を結ぶ貫通孔を1個以上有し、且つ粒子直径が0.
15〜5.0μである事を特徴とする、多層構造エマル
ション粒子が、より吸油性が優れている事を見いだし、
本発明を完成させるに至った。
【0005】即ち、本発明は、不飽和カルボン酸を5〜
80重量%含有するビニル単量体(a)を乳化重合して
得られる重合体(A)からなる粒子の存在下、重合体
(A)の0.2〜10倍の重量のビニル単量体(b)
を、1時間あたりの添加量が重合体(A)の重量の0.
1〜3倍に満たない量となるように添加して重合体
(B)を形成して得られる多層構造エマルション粒子
を、塩基性物質にて処理する事により重合体(A)を中
和、膨潤させ、中和処理した後さらに重合体(A)と重
合体(B)の重量の総和に対して1〜20倍の重量のビ
ニル単量体(c)を加えて乳化重合して重合体(C)を
形成する事によって得られる、乾燥時の構造が粒子の表
層部から内部を結ぶ貫通孔を1個以上有し、且つ粒子直
径が0.15〜5.0μである事を特徴とする多層構造
エマルション粒子の製造方法をも提供するものである。
【0006】最初に本発明の多層構造エマルション粒子
の各層を構成する重合体のモノマー組成その他について
説明する。本発明において、不飽和カルボン酸を含むビ
ニル単量体(a)を乳化重合して得られる重合体(A)
は、ビニル単量体(a)として(メタ)アクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブ
チル等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α
−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化
合物;(メタ)アクリロニトリル等のビニルシアン化合
物;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル
化合物;およびブタジエン等の1種または2種以上を組
み合わせたものに、不飽和カルボン酸として、(メタ)
アクリル酸、クロトン酸、フマール酸、イタコン酸等の
1塩基酸叉は2塩基酸;マレイン酸アルキルエステル、
フマール酸アルキルエステル等の2塩基酸モノエステル
類等の1種叉は2種以上、特に好ましくはアクリル酸、
メタクリル酸が使用される。不飽和カルボン酸の使用量
は、ビニル単量体(a)100重量部中、好ましくは5
〜80重量部、より好ましくは10〜50重量部になる
ように共重合される。この重合体(A)中の不飽和カル
ボン酸の量が5重量部以下では塩基性物質で処理した
際、重合体(A)が十分膨潤を示さず貫通孔は生成しな
い。また80重量部以上では重合安定性が損なわれ、凝
集物が多量に発生して安定なエマルションが得られな
い。
【0007】この重合体(A)を製造する方法に於い
て、重合体(A)のエマルションを安定化させるため
に、スチレンスルホン酸ナトリウム等の不飽和スルホン
酸塩類;ジメチルアミノエチルメタクリレート等の不飽
和塩基類;2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレー
ト、グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アク
リル酸エステル類;もしくは(メタ)アクリルアミド、
N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の官能性単量
体が必要に応じて使用される。又重合体(A)を構成す
る成分に、架橋性単量体を使用する事もできる。この架
橋性単量体は重合体(A)を構成する単量体を構成する
単量体と共重合可能なものであればよいが、具体的には
ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート
等の重合性不飽和結合を一分子中に二つ以上有する単量
体が用いられる。架橋性単量体の使用量は、重合体
(A)を構成する単量体に対して0〜8重量%の範囲で
使用できるが、好ましくは0.1〜5重量%の範囲、よ
り好ましくは0.2〜1重量%の範囲である。
【0008】架橋性単量体を使用する事により、重合体
(A)の分子量が増大し、その外層部を形成する重合体
(B)の粒子内部への拡散が抑制されるために、重合体
(B)を粒子の外層部に形成させるのに有利となり、且
つ又塩基性物質による処理時の重合体(A)の水相中へ
の溶出、及びそれに伴う増粘現象を抑える上でも有利に
なる。しかしながら、架橋性単量体の使用量が8重量%
以上になると、塩基性物質による重合体(A)のアルカ
リ処理における膨潤を抑制、阻害するため、目的とする
形状の粒子が得られない。
【0009】次に重合体(A)からなる粒子にビニル単
量体(b)を添加、乳化重合する事により、該粒子
(A)の外層部に重合体(B)が形成される。ここで使
用されるビニル単量体(b)としては、例えば(メタ)
アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メ
タ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル
類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等
の芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリロニトリル等の
ビニルシアン化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の
ハロゲン化ビニル化合物;およびブタジエン等の1種ま
たは2種以上を組み合わせて用いられる。又、製造時の
エマルションの安定性付与のために、スチレンスルホン
酸ナトリウム等の不飽和スルホン酸塩類;2−ヒドロキ
シメチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)ア
クリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;もしく
は(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)ア
クリルアミド等の官能性単量体を必要に応じて使用して
もよい。なお、上記のようにエマルションの安定性付与
のために、ビニル単量体(b)中に(メタ)アクリル
酸、クロトン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カ
ルボン酸を含有する事が可能であるが、ビニル単量体
(a)中の不飽和カルボン酸の割合よりは少なく、好ま
しくは0.1重量%以上2重量%以下である。ここで、
ビニル単量体(a)中の不飽和カルボン酸の割合よりも
ビニル単量体(b)中のその割合が多くなると、重合体
(B)の膨潤性が大きくなり目的とする貫通孔を有する
粒子は得られない。
【0010】また、ビニル単量体(b)中には、目的と
する粒子の耐ブロッキング性、耐熱性、耐溶剤性等を改
良する目的で、ビニル単量体(b)と共重合可能な架橋
性単量体も使用できる。使用可能な架橋性単量体として
は、例えばジビニルベンゼン、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメ
タクリレート等の重合性不飽和結合を一分子中に二つ以
上有する単量体がある。架橋性単量体の添加効果は、上
記ビニル単量体に対して通常0〜3重量%、好ましくは
0.1〜3重量%、より好ましくは0.2〜2重量%の
範囲であり、3重量%以上使用すると重合安定性が損な
われる可能性があり、好ましくない。以上に挙げた単量
体の組み合わせは自由であるが、重合体(B)のガラス
転移温度が50℃以上、好ましくは70℃以上になるよ
うに単量体を選択する事が好ましい。上述の多層構造エ
マルション粒子の製造は、通常の乳化重合法により製造
される。
【0011】本発明に於いては、重合体(A)からなる
芯粒子の外層部に重合体(B)を形成させ、ついで後述
する塩基性物質により処理した後、叉は処理中に、更に
ビニル単量体(c)を添加、乳化重合させる事により該
粒子の更に外層部に重合体(C)を形成させる。ここで
使用されるビニル単量体(c)としては、例えばスチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビ
ニル化合物;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アク
リル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)
アクリル酸エステル類;(メタ)アクリロニトリル等の
ビニルシアン化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の
ハロゲン化ビニル化合物;およびブタジエン等の1種ま
たは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0012】又、ビニル単量体(c)を添加、乳化重合
する際に、エマルションの安定性付与のために、(メ
タ)アクリル酸、クロトン酸、フマール酸、イタコン酸
等の不飽和カルボン酸類;スチレンスルホン酸ナトリウ
ム等の不飽和スルホン酸塩類;2−ヒドロキシメチル
(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレー
ト等の(メタ)アクリル酸エステル類;もしくは(メ
タ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリル
アミド等の官能性単量体を必要に応じて使用される。こ
の際、添加する官能性単量体は、上記ビニル単量体
(b)に対して、通常0〜20重量%使用できる。好ま
しくは0.1重量〜10重量%、より好ましくは0.1
〜5重量%の範囲である。ここで、官能性単量体を20
重量%以上使用すると2次粒子が生成し易くなり、ま
た、耐水性の低下及び塩基性物質の処理における増粘が
大きくなり実用的でない。また上記ビニル単量体(c)
のうち、不飽和カルボン酸類は3重量%以下もしくはビ
ニル単量体(b)に於ける比率以下が好ましく、3重量
%以上使用すると凝集し易くなる。また、ビニル単量体
(c)には、更に必要に応じて、ビニル単量体(c)と
共重合可能な架橋性単量体も使用してもよい。使用可能
な架橋性単量体としては、例えばジビニルベンゼン、エ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロ
ールプロパントリメタクリレート等の重合性不飽和結合
を一分子中に二つ以上有する単量体がある。この際、添
加する架橋性単量体は、上記ビニル単量体に対して通常
0〜3重量%、好ましくは0.1〜3重量%、より好ま
しくは0.2〜2重量%の範囲である。
【0013】架橋性単量体を使用する事により、耐ブロ
ッキング性、耐熱性、耐溶剤性等が改良されるが、3重
量%以上使用すると、塩基性物質による処理に於いて、
重合体(A)の膨潤を阻害してしまう。また0.1重量
%以下では、架橋性単量体の添加効果は乏しい。以上に
挙げた単量体の組み合わせは自由であるが、重合体
(C)のガラス転移温度が50℃以上、好ましくは70
℃以上である。
【0014】次に多層構造エマルション粒子の各層の形
成方法について説明する。各層の形成方法は概して通常
の乳化重合により行われ、その際、界面活性剤および、
重合開始剤が用いられる。界面活性剤としては、アルキ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリ
ウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ナフタレ
ンスルホン酸ホルマリン縮合物等のアニオン系界面活性
剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシ
エチレンアルキルフェノールエーテル、エチレンオキサ
イド−プロピレンオキサイドブロック共重合体、ソルビ
タン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤が単独叉
は組み合わせて使用される。界面活性剤の使用量は特に
限定されないが、通常、総単量体量に対して0.1〜1
0重量%程度である。重合開始剤としては、通常の乳化
重合に用いられているものであれば良く、例えば、過硫
酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等
の過硫酸塩類、ベンゾイルハイドロパーオキサイド等の
有機過酸化物類、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ
化合物類等である。必要に応じて還元剤と組み合わせ
て、レドックス系開始剤として使用する事もできる。
【0015】次に各層の形成方法を順を追って説明す
る。重合体(A)からなるエマルションを作成するため
に、前記の界面活性剤、重合開始剤の存在下に、単量体
(a)を一括、分割、或いは連続的に滴下して重合を行
う。その際重合は窒素パージ下に20〜90℃で行われ
る。乳化重合に於いては、粒子の重合場を提供する目的
から、種粒子の存在下で目的とするビニル単量体を添加
する方法が「シード重合法」として知られているが、本
発明に於いても同方法は可能である。なお、種粒子とな
るものの組成についてはなんら限定されないが、最終的
に得られる粒子の性能に影響を与えないようにするに
は、その粒子径は0.3μ以下が好ましい。このように
して生成する重合体(A)からなる粒子の粒子径は0.
08〜2μである事が好ましく、更に好ましくは0.1
〜0.3μである。ここで、その粒子径が0.08μ未
満では後述の重合体(B)が粒子の内部で生成してしま
い、目的とする貫通孔を有する粒子は得られない。また
2μを越えると重合安定性が不足し、2次粒子や凝集物
を大量に発生するため現実的でない。この様にして生成
した重合体(A)からなるエマルションに、引き続きビ
ニル単量体(b)を一括、分割、或いは連続的に添加す
る方法で重合を行う。または、別工程として重合体
(A)からなるエマルションを前もって製造し、このエ
マルションを新たに重合槽内に仕込み、ビニル単量体
(b)を上記のように添加して重合を行ってもよい。即
ち、重合体(A)と重合体(B)の製造工程は、引き続
いて1段の工程で行っても良く、それぞれに別工程、或
いは組み合わせた工程で行っても良く、特に限定は受け
ない。このとき、添加されるビニル単量体(b)の重量
は、重合体(A)の重量の0.2〜10倍で、好ましく
は1.5〜5倍であるが、更に、好ましくは1.5〜5
倍、より好ましくは2〜4倍である。また、1時間当た
りのビニル単量体(b)の添加重量は、重合体(A)の
重量の0.1倍ないし3倍に満たない量、好ましくは
0.2〜2.5倍、より好ましくは0.3〜2倍の量
ある。
【0016】1時間当たりのビニル単量体(b)の添加
重量が重合体(A)の重量の3倍に満たない量であれ
ば、重合体(A)からなる粒子の表層付近で重合が行わ
れ、重合体(B)で該粒子が完全に被覆される事はな
く、目的とする貫通孔を有する粒子が得られる。但し、
1時間当たりのビニル単量体(b)の添加重量が、0.
1倍未満では重合体(A)からなる粒子の重合体(B)
による被覆が不完全すぎるために目的とする貫通孔を有
する粒子は得られない。また、添加されるビニル単量体
(b)の重量が10倍を越えると重合体(B)によって
該粒子が完全に被覆されてしまうために目的とする貫通
孔を有する粒子は得られない。この際の重合は先に例示
した過硫酸塩を用い、好ましくは重合温度60〜100
℃、より好ましくは70〜90℃で行われる。ここで、
重合温度が100℃を越えるものは、加圧するなどの処
置が必要となり、現実的でない。又、60℃以下では重
合中のビニル単量体(b)の転化率が低くなり、安定に
エマルションが得られない。尚、過硫酸塩と適当な還元
剤を組み合わせれば、30〜50℃付近でも高転化率で
重合を行えるが、目的とする貫通孔を有する粒子は得ら
れない。これは、重合体(B)の形成が重合体(A)か
らなる粒子の表層付近で行われてしまうためと推測され
る。上記の様にして得られたエマルション粒子を、塩基
性物質で処理する事により、目的とする、乾燥時の構造
が粒子の表層部から内部を結ぶ貫通孔を1個以上有し、
且つ粒子直径が0.15〜5.0μ、好ましくは0.1
〜1.2μの範囲にある、多層構造エマルション粒子が
得られる。
【0017】本発明においては、塩基性物質による処理
の後、更にビニル単量体(c)を添加して重合体(C)
からなる最外層部を重合する事によって、目的とする
燥時の構造が粒子の表層部から内部を結ぶ貫通孔を1個
以上有し、且つ粒子直径が0.15〜5.0μ、好まし
くは0.1〜1.2μの範囲にある、多層構造エマルシ
ョン粒子が得られる。この場合、ビニル単量体(c)の
重量は、重合体(A)及び(B)の重量の和に対して1
〜20倍、好ましくは1.5〜15倍、より好ましくは
2〜10倍である事が必要である。ビニル単量体(c)
の重量が、重合体(A)及び(B)の重量の和に対して
20倍以上の場合には、重合体(C)が重合体(B)を
完全に被覆してしまい、貫通孔を生じず、目的とする粒
子は得られない。
【0018】なお、上記重合体(B)を形成して得られ
るエマルション粒子の塩基性物質による処理は次のよう
に行われる。塩基性物質としては、水酸化カリウム、水
酸化ナトリウム等の無機塩基性物質;アンモニア等の揮
発性塩基性物質;ジメチルエタノールアミン、トリエチ
ルアミン等の有機塩基性物質が用いられる。塩基性物質
の処理におけるpHは7〜12、好ましくは8〜11の
範囲である。7以下では膨潤が困難となり、目的の粒子
が得られない。また、12以上では処理時におけるエマ
ルションの安定性が大きく損なわれ、処理自体が円滑に
行えない。
【0019】処理時の温度は50〜100℃、好ましく
は70〜98℃、より好ましくは80〜95℃の範囲で
ある。50℃未満では外層部の可塑化が十分に起こらな
いために十分な膨潤が起こらず、目的とする貫通孔を有
する粒子は得られない。上記の様にして、乾燥時の構造
が粒子の表層部から内部を結ぶ貫通孔を1個以上有し、
且つ粒子直径が0.15〜5.0μ、好ましくは0.1
〜1.2μの範囲にある、多層構造エマルション粒子が
得られる。
【0020】本発明の多層構造エマルション粒子の形状
発現の理由は定かではない。しかしながら、上記の条件
でビニル単量体(b)を重合させた場合、重合体(B)
は重合体(A)を完全に被覆する事なく重合体(A)が
粒子内部から部分的に粒子表面に露出している状態にな
っていると考えられる。このため、粒子が塩基性物質に
より処理を受けると、重合体(A)が膨潤し、粒子内部
への貫通孔を生じ、同時にビニル単量体(c)は重合体
(B)の表面上で重合して重合体(C)を形成し、貫通
孔がそのまま残る事によって目的とする形状の粒子が得
られるものと考えられる。該粒子の構造の確認は粒子自
体、さらには粒子の断面を電子顕微鏡で観察する事によ
り、容易に確認できる。本発明に於いて得られるエマル
ション粒子の直径は0.15〜5.0μであるが、好ま
しくは0.15〜1.2μ、より好ましくは0.3〜
1.0μである。粒子の外径が0.15μ未満では粒子
内部が上述の構造をとっても、有機顔料としては特に隠
蔽性、白色度がかなり低く使用する事は出来ない。又、
外径が5.0μを越える粒子については安定に作製する
事が出来ない。
【0021】本発明の粒子は単一孔の中空構造を持った
エマルション粒子と同等以上の隠蔽性、白色度を持ち、
加えて優れた吸油性とガス透過性を持つ。この理由は定
かではないが、一つ以上、通常 several程度までの範囲
の貫通孔を有するために、粒子内の小孔による空隙率が
非常に高まってくると同時に、貫通孔の存在により優れ
た吸油性とガス透過性を有するものと思われる。この様
な理由から、本発明の多層構造エマルション粒子を塗料
用、紙塗工用組成物、或いは感熱記録材料中に用いた場
合、従来の製造方法による該粒子よりも更に隠蔽性、白
色度を向上させ、加えて吸油性やガス透過性を向上させ
る事が可能で、上記組成物中に通常添加される二酸化チ
タン、クレー、カオリン等の顔料に一部叉は、全量を置
き換える事が出来、且つ又吸油性やガス透過性等の特殊
な機能を付与する事が出来る。
【0022】
〔多層構造エマルション粒子の製造〕
実施例1 撹拌機、温度計、還流コンデンサー付きのセパラブルフ
ラスコに水2500部を仕込み、撹拌化に窒素置換しな
がら80℃まで昇温する。内温を80℃に保ち、重合開
始剤として、過硫酸カリウム1.5部を添加し、溶解
後、予め水7部、ラウリル硫酸ナトリウム0.2部にス
チレン16部、メタクリル酸0.3部、ジビニルベンゼ
ン0.2部を撹拌下に加えて作成した乳化物をセパラブ
ルフラスコ内に仕込み、1時間重合させ、種粒子エマル
ションを製造した。この段階でこの種粒子エマルション
を少量サンプリングし、該粒子の粒子直径を動的光散乱
法で測定したところ0.06μであった。続いて予め水
40部、ラウリル硫酸ナトリウム0.3部にビニル単量
体(a)としてメタクリル酸メチル55部、アクリル酸
ブチル5部、メタクリル酸40部を撹拌下に加えて作成
した乳化物を連続的に1時間かけて添加して反応させ、
添加終了後1時間の熟成を行い、重合体(A)を得る。
重合体(A)よりなる粒子の粒子径は0.12μであっ
た(動的光散乱法)。続いて重合開始剤として、過硫酸
アンモニウム1.5部を水15部に溶解した水溶液を加
え、予め水160部、ラウリル硫酸ナトリウム0.8部
にビニル単量体(b)としてメタクリル酸メチル312
部、アクリル酸ブチル80部、メタクリル酸8部を撹拌
下に加えて作成した乳化物を連続的に2時間かけて添加
して反応させ、添加終了後さらに2時間の熟成を行い、
重合体(A)上に重合体(B)を得る。重合終了後、撹
拌機、温度計、還流コンデンサー付きの別のセパラブル
フラスコに上記のエマルション625部(固形分100
部相当)と水279部を仕込み、28%のアンモニア水
7部を撹拌下に添加する。尚、この時のエマルションの
pHは10.0であった。次に内温を85℃に昇温さ
せ、30分そのまま撹拌を続けて、塩基性物質による処
理を行う。続いて重合開始剤として、過硫酸アンモニウ
ム0.5部を水5部に溶解した水溶液を加え、さらに予
め水120部、ラウリル硫酸ナトリウム0.6部にビニ
ル単量体(c)としてスチレン297部、アクリロニト
リル3部を撹拌下に加えて作製しておいた乳化物を連続
的に90分間かけて添加して反応させ、添加終了後さら
に90分間の熟成を行い、重合体(B)上に重合体
(C)を形成させる。得られたエマルションは、不揮発
分約30%であり、貫通孔を有する直径が0.47μの
粒子であった。
【0023】実施例2 実施例1に於いて、ビニル単量体(b)の添加量と添加
速度を変化させて作製したものを実施例2として表1に
示す。 比較例1、2 実施例1に於いて、ビニル単量体(b)の添加量と添加
速度を変化させて作製したものを比較例1、2として表
1に示す。尚、上記に於いて作製された粒子に関して、
JIS K−5101に準じて吸油量を測定した。試料
粉体は、エマルションを50℃で24hr乾燥させた
後、乳鉢で粉砕、#150メッシュの濾布で濾過したも
のを用いた。結果は表−1に付した。
【0024】
【表1】
【0025】〔感熱記録材料としての実施例〕 以下に基材に紙を使用し、中間層に本発明の多層構造エ
マルション粒子を導入した感熱記録紙の例を示す。 1)下塗り化合物の作成 上記実施例1、比較例1〜2のエマルションを用いて、
エマルション粒子80重量部に対しバインダー20重量
部の割合で配合されたものを十分撹拌、混合下感熱記録
材料の下塗り化合物を製造した。バインダーにはクラレ
製ポリビニルアルコールK117を使用した。 2)感熱記録層配合物の作成 下記組成からなるA液(発色剤分散液)およびB液(顕
色剤分散液)をそれぞれサンドミルにて別々に分散させ
て、配合物を製造する。 A液 3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 20重量部 20%ヒドロキシエチルセルロース水溶液 5重量部 水 75重量部 B液 ビスフェノールA 20重量部 20%ヒドロキシエチルセルロース水溶液 5重量部 ペトロライトR−50(マイクロクリスタリンワックス、ハリコ社製)5重量 部 水 70重量 部 サンドミルにて十分に分散後、A液15重量部、B
液40重量部、炭酸カルシウム20重量部、20%ポリ
ビニルアルコール水溶液(K−117、クラレ社製)2
5重量部を取り十分撹拌、混合し感熱発色層用配合物を
得た。 3)基材への塗工 市販の上質紙(坪量約50g/m2)に上記下塗り配合物
を乾燥後塗布量が15g/m2となるようにバーコータ
ーで塗布し、乾燥した。ついで、感熱記録層配合物を乾
燥後塗布量が15g/m2となるようにバーコーターで
塗布、乾燥し、感熱記録紙を得た。紙の白色度はJIS
P−8123に準じてハンター白色時計にて測定し
た。また、発色は感熱印字装置((株)大倉電気製TH
−PMD)を使用して、以下の条件によって印字発色さ
せ、その濃度をマクベス濃度計を用いて測定した。 印加電圧 24V、パルス巾 1.74ms、 印加エネルギー 0.34mJ/dot また以下の条件によって印字発色させること 印加電圧 24V、パルス巾 3.0ms、 印加エネルギー 0.73mJ/dot により、スティッキング性およびヘッドのカス付着を印
字適性として、◎、○、△、×、××で評価した。これ
らの結果を表−2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】
【発明の効果】本発明の製造法によれば、貫通孔を有す
る多層構造エマルション粒子は、従来の製法によるもの
よりも更に空隙率の高い粒子が得られる。このため、例
えば感熱記録材料に用いた場合、より高い断熱性が付与
されるために発色感度が向上し、また、より高い吸油性
を有するが故に印字特性を更に向上させる事が可能であ
り、高性能の感熱記録材料として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/22 - 2/30 C08F 2/44

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和カルボン酸を5〜80重量%含有
    するビニル単量体(a)を乳化重合して得られる重合体
    (A)からなる粒子の存在下、重合体(A)の0.2〜
    10倍の重量のビニル単量体(b)を、1時間あたりの
    添加量が重合体(A)の重量の0.1〜3倍に満たない
    となるように添加して重合体(B)を形成して得られ
    る多層構造エマルション粒子を、塩基性物質にて処理す
    る事により重合体(A)を中和、膨潤させ、中和処理
    た後さらに重合体(A)と重合体(B)の重量の総和に
    対して1〜20倍の重量のビニル単量体(c)を加えて
    乳化重合して重合体(C)を形成する事によって得られ
    る、乾燥時の構造が粒子の表層部から内部を結ぶ貫通孔
    を1個以上有し、且つ粒子直径が0.15〜5.0μで
    ある事を特徴とする多層構造エマルション粒子の製造方
    法。
JP5112606A 1993-05-14 1993-05-14 多層構造エマルション粒子の製造方法 Expired - Lifetime JP3035423B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5112606A JP3035423B2 (ja) 1993-05-14 1993-05-14 多層構造エマルション粒子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5112606A JP3035423B2 (ja) 1993-05-14 1993-05-14 多層構造エマルション粒子の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06322008A JPH06322008A (ja) 1994-11-22
JP3035423B2 true JP3035423B2 (ja) 2000-04-24

Family

ID=14590943

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5112606A Expired - Lifetime JP3035423B2 (ja) 1993-05-14 1993-05-14 多層構造エマルション粒子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3035423B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009079166A (ja) * 2007-09-27 2009-04-16 Fujifilm Corp 中空粒子、その製造方法および感熱転写受像シート
TWI477521B (zh) * 2011-10-28 2015-03-21 Rohm & Haas 有用於懸浮粒子的網絡聚合物

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06322008A (ja) 1994-11-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5500286A (en) Multi-shell emulsion particle
JP2790381B2 (ja) 有芯多層構造エマルション粒子
JP2872710B2 (ja) 合成樹脂エマルション及びその製造方法
JP4188686B2 (ja) 人造顔料及びその製造方法
US8674000B2 (en) Multi-layered paper coating latex having high swelling and contraction property, method for preparing the same, and paper coating composition containing the same
JP3226542B2 (ja) 中空ポリマーラテックス粒子
KR101133555B1 (ko) 복합 입자
JP2999594B2 (ja) 多層構造エマルション粒子
JP3313149B2 (ja) 空隙を有するエマルション粒子
US8912251B2 (en) Process of heat treating structured polymer particles
JP4843850B2 (ja) 中空ポリマー粒子の製造方法
JP3035423B2 (ja) 多層構造エマルション粒子の製造方法
JP3080700B2 (ja) 有芯多層構造エマルション粒子の製造方法
JP3313150B2 (ja) 有芯多層構造エマルション粒子の製造方法
JP3154477B2 (ja) 微粒子集合体エマルション及びその製造方法
JP3181679B2 (ja) 有芯多層構造エマルション粒子の製造方法
RU2128670C1 (ru) Способ получения латекса с полыми полимерными частицами
JP2000027094A (ja) オフセット輪転印刷用多層塗工紙
JP2002046345A (ja) インクジェット記録用添加剤、及び当該添加剤を用いた記録紙
JP2000052645A (ja) インクジェット印刷用記録シートおよび塗工用組成物
JP2728887B2 (ja) 感熱記録材料
JPH05170831A (ja) 有芯多層構造エマルション粒子の製造方法
JP2001064444A (ja) 防湿性紙塗被用共重合体ラテックス
JP4034578B2 (ja) 磁気バインダー用ラテックス
JP2000054293A (ja) 軽量塗工紙及び塗工組成物

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090218

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100218

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110218

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120218

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120218

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130218

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130218

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140218

Year of fee payment: 14

EXPY Cancellation because of completion of term