JP3035412B2 - コンバインにおける選別制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、コンバインに搭載した
自脱型脱穀装置の選別制御装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、風車により形成される選別風路
に、扱室の受網から漏下した被選別物を後方へ移送しな
がら目合い調節可能な多数のフィンや漏下面積調節可能
な漏下選別部等からなる選別装置を設け、上記漏下選別
部に被選別物の層厚を検出する層厚検出センサーを付設
し、走行装置又はそれと連動する伝動装置に走行速度検
出センサーを装備して、刈取作業中、前記選別手段の選
別性を走行速度検出センサーの検出値又は層厚検出セン
サーの検出値に応じて自動制御するように構成し、刈り
始め時には、運転者の主観により刈取条件、作柄等を判
断して運転部に設けたダイヤル式の設定器を操作するこ
とにより選別条件を設定するコンバインにおける選別制
御装置は既に知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記既知のコンバイン
における選別制御装置は、刈取脱穀作業開始時に、前記
ダイヤル操作による設定を忘れた場合、又は、前記主観
による判断を誤って設定操作した場合、一番穀粒中に切
藁が混入する等の選別不良が発生したり、穀粒が三番飛
散として機外に排出されたりした。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、風車により形
成される選別風路に、扱室の受網から漏下した被選別物
を後方へ移送しながら風選及び漏下選別を行う選別装置
を設け、該選別装置の漏下選別部に被選別物の層厚を感
知する層厚検出センサーと選別性能調節手段を付設し、
走行装置又はそれと連動する伝動装置に走行速度検出セ
ンサーを付設し、前記選別性能調節手段を、走行速度検
出センサーの検出値と層厚検出センサーの検出値により
自動制御するように構成した脱穀機において、刈り初め
の走行速度検出センサーの検出値に対する前記層厚検出
センサーの検出値の時間当たりの変化量に基づいて、上
記自動制御における選別条件を設定するように構成する
ことにより前述の課題を解決した。

【０００５】

【作用】穀稈を刈取脱穀する時、作業開始時に各作動部
を駆動しながら刈取装置を立毛穀稈中に侵入させると、
刈取装置により刈取られた穀稈は脱穀装置に搬送供給さ
れて脱穀処理され、扱室の受網から漏下した脱穀物は、
被選別物として選別装置に落入し、この被選別物は選別
装置により選別風路中で漏下選別される。その際、走行
速度検出センサーはスタートから作業用の走行速度を検
出し、層厚検出センサーは、層厚が０からプラスに変化
した時点から所定時間経過した時の層厚を検出する。そ
して、これらの検出値は、マイコン等の制御装置に入力
され、層厚検出センサーの検出値及び走行速度検出セン
サーの検出値により演算され、それにより自動制御にお
ける選別条件が自動的に設定されるので、選別性能調節
手段が適正選別状態に自動的に調整され、刈取り始めか
ら手動設定装置の設定操作を忘れても適正な選別を行う
ことができる。

【０００６】

【実施例】本発明を図面に示すコンバインについて説明
すると、走行装置Ａを有する機台上には脱穀装置Ｃを搭
載してあり、その前方には刈取装置Ｄと刈取穀稈を脱穀
装置に搬送供給すると共に扱深さ調節を兼ねた穀稈搬送
装置Ｅとからなる前処理装置を上下傾動可能に装着して
あり、該前処理装置は走行装置Ａと連動しているので前
処理装置の刈取入力軸Ｆと連動する軸には走行速度検出
センサーＧを付設して走行速度を検出し、穀稈搬送装置
Ｅには搬送される穀稈の穂先位置を検出する穂先センサ
ーと、穀稈の有無を検出する穀稈センサーを対設してあ
る。

【０００７】前記脱穀装置Ｃの扱胴１を軸架して内装し
た扱室２は一側に扱口を有し、その外側に沿ってフィー
ドチェーン３ａに挟扼レール３ｂを対設した挟持搬送装
置を併設し、供給口５の下方の送風風車６と後方の扱口
と反対側の上方に設けた吸引風車７は扱室受網８の下方
から排塵選別室１０に亙る選別風路を構成しており、前
記フィードチェーン３ａ側の送塵口１１より後部には処
理胴１２を内装した処理室１３を設け、前記選別風路に
前後揺動するように架設されていて選別装置を構成する
揺動選別体１５は、波形の上移送板１６及びそれに続い
ていて前後傾動する多数のフィン１９ａ・・からなるチ
ャフシーブ（漏下選別部）１７により構成された上移送
選別経路と、波形の下移送板１８及びそれに続いていて
一番受樋１９上に臨むクリンプ網からなる一番漏下選別
部（漏下選別部）２０により構成された下移送選別経路
と、後部移送板２１及びストローラックからなっていて
二番受樋２２上に臨む二番漏下選別部２３と、一番流板
２４と、二番流板２４ａとにより構成されており、一番
受樋１９と二番受樋２２との間に介装した横断流ファン
２５は幅広の導風筒２６から二番漏下選別部２３を吹き
抜ける。２７は排塵選別室１０の上方に設けた排藁搬送
装置であって、排藁をディスクカッター２８に搬送供給
する。

【０００８】次に、一番漏下選別部２０の漏下面積及び
チャフシーブ１７の目合い調節手段（選別性能調節手
段）について説明すると、前記上移送板１６の扱口と反
対側寄りには、アーム３１の先端に回動自在に軸支され
たフロート型の層厚検出センサー３２を設けてあり、前
記アーム３１の前部は前壁の長孔から前方へ突出して揺
動アーム３１ａに連結され、該揺動アーム３１ａはポテ
ンショメータ３１ｂに連動連結されているので、被選別
物量を検出する層厚検出センサー３２は検知した検出値
の変化を電圧として検出し、この検出結果により一番漏
下選別部２０に重合した目塞ぎ板３３を前後動して一番
漏下選別部２０の漏下面積を拡縮するモーター３０、及
び前記フィン１９ａ・・を傾動させる駆動体を制御す
る。

【０００９】更に、前記層厚検出センサー３２の検出精
度を向上させる手段について説明すると、層厚検出セン
サー３２を上移送板１６の終端近傍に位置させ、平面視
でその直後のフィン１９ａ上には後部が揺動選別体１５
の中央に向けて傾斜した寄せ板３５を設けてあり、該寄
せ板３５の外端は揺動選別体１５の側板に固定されてい
て被選別物を揺動作用により中央側へ寄せ送る。また、
前記下移送板１８上の扱口と反対側（前記寄せ板３５と
同じ側）にも前後一対の下寄せ板３６，３７を取付けて
あり、これらの寄せ板３６，３７も被選別物を揺動選別
体１５の幅の中央側へ寄せ送る。

【００１０】次に、マイクロコンピュータユニットを用
いて構成される制御部を図７のブロック図で説明する。
マイクロコンピュータユニットは、自動制御をＯＮ−Ｏ
ＦＦさせる選別自動メインスイッチ（メインスイッ
チ）、作業機クラッチの断続を検知する作業機クラッチ
スイッチ、前処理部において穀稈が搬送されているか否
かを検知する穀稈（メイン）センサ、前処理装置の刈取
入力軸Ｆと連動する軸に付設された前処理回転センサ
（走行速度検出センサーＧ）、被選別物の種類を設定す
る設定ダイヤル（材料別設定スイッチ）、揺動選別体１
５上の被選別物の層厚を検出するフロートセンサ（層厚
検出センサー３２）、フィン開度ポテンショ（フィン開
度検出ポテンショメータ）、目塞ぎ開度ポテンショ（目
塞ぎ板開度検出ポテンショメータ）等からの信号を入力
すると共に、これらの入力信号に基づいて、フィン１９
ａと目塞ぎ板３３の開度を制御するモーターに必要な制
御指令を出力する構成となっている。

【００１１】次に、選別自動制御の条件設定について、
図３及び図４に基づいて説明する。前述のコンバインに
おいて、作業開始時には、稲か又は麦等の材料の違いに
より揺動選別体１５上にある被選別物の穀粒と藁屑との
混合比が著しく異なるので、材料別設定スイッチを選択
操作し、自動制御のメインスイッチをＯＮとし、作業機
クラッチを入れて機体を立毛穀稈中に侵入させると、図
３に示す如く、走行速度検出センサーＧは走行速度
（Ｖ）の検出を開始する。一方刈り始めにおいては、揺
動選別体１５上の被選別物がないので層厚検出センサー
３２の検出値（Ｈ）は０からスタートし、被選別物の層
厚が０からプラスに変化した時点から層厚検知タイマー
が作動して、上記層厚検知タイマーにより設定された所
定時間（Ｔｐ）後の揺動選別体１５上の被選別物の層厚
（Ｈ）を検出する。上記層厚検出値（Ｈ）は、被選別物
の層厚が０からプラスに変化した時点を基準にして、そ
れから一定時間（Ｔｐ）後の値であるから、この層厚検
出値（Ｈ）は、時間当たりの変化量を表すことになる。
そしてこれらの検出値は、マイコンに入力されて前記層
厚検出センサー３２の検出値（Ｈ）を走行速度検出セン
サーＧの検出値（Ｖ）にて除する演算により収量定数
（Ｃ）が算出される。この収量定数（Ｃ）は、作柄（出
き具合）に対応する。そして材料条件設定スイッチ操作
による稲又は麦の設定のもとで、上記収量定数（Ｃ）に
応じてそれぞれ「低収量」、「標準収量」、「高収量」
の３段階の選別条件の何れかが自動設定され、その設定
され選別条件に応じたフィン１９ａと目塞ぎ板３３の開
度の制御ゾーンが決定される。即ち、フィン１９ａの開
度は、図５に示す如く、上記各収量毎に適正制御ゾーン
内で制御される。また目塞ぎ板３３の開度も、図６に示
す如く、上記各収量毎に適正制御ゾーン内で制御され
る。

【００１２】従って、作業開始時に刈取対象物、作柄等
により、麦低速、麦標準、麦高速、稲低速、稲標準、稲
高速等を予め設定する方式のもので、その設定を忘れた
場合でも、作業開始時の走行速度 層厚との検出値によ
りフィン１９ａ及び目塞ぎ板３３を適正な開度として一
番穀粒に切藁が混入したり、三番口から穀粒が機外に飛
散したりすることがないように篩選別することができ
る。なお、本発明は、稲、麦の選択スイッチ以外のダイ
ヤル等による設定器を有しないものにも適用することが
できる。また、前記演算値により送風風車６の回転数を
も制御しても良い。

【００１３】図９は刈取脱穀を連続的に行っている場合
の選別制御を示すフローチャートであって、一番漏下選
別部２０の漏下面積（開度）とチャフシーブ１７の目合
い（開度）は、前述したように、収量毎に設定された制
御ゾーンの範囲内において、以下に示すように層厚検出
センサー３２により検出される籾量と走行速度検出セン
サーＧにより検出される走行速度により自動調節され
る。 そして、このような脱穀処理中においては、層厚検
出センサー３２で籾量を検出し、この検出結果により一
番漏下選別部２０に重合した目塞ぎ板３３を前後動して
一番漏下選別部２０の漏下面積を拡縮するモーター３
０、及び前記フィン１９ａ・・を傾動させる駆動体を制
御することにより一番漏下選別部２０の漏下面積、及び
チャフシーブ１７の目合いを調節する。 即ち、脱穀処理
中におけるその時点での前記一番漏下選別部２０の漏下
面積、及びチャフシーブ１７の目合いの制御開度に対し
て層厚検出センサー３２の検出値（籾量）が適正である
と、ランクダウン遅延タイマー及びランクアップ遅延タ
イマーがクリアされ、籾量が大である場合、ランクダウ
ン遅延タイマーがクリアされ、前回のランクアップ遅延
タイマーの計時が完了した状態であると、ランクアップ
遅延タイマーが計時を開始し、選別のランク（ポジショ
ン）が最高でないならば、ランクアップフラグが１とな
り、走行速度が低速である場合、制御のポジションが０
〜４のいずれであっても１ランクアップされ、中速であ
る場合、ポジションが１〜４のいずれから１ランクアッ
プされ、高速である場合、ポジション２〜４から１ラン
クアップされることとなり、いずれの場合も選別装置の
漏下性能がアップされるので穀粒が３番口から機外に飛
散して損失となることがない。また、籾量が小である場
合、ランクアップ遅延タイマーがクリアされ、ランクダ
ウン遅延タイマーが計時完了した状態で、ランクダウン
遅延タイマーが計時を開始し、ランクポジションが０で
ないならば、ランクダウンフラグが１となり、走行速度
検出センサーの検出値が低速、中速、高速化により制御
のポジションが１ランクダウンすることとなり、漏下選
別部の開度が１ランク分小さくなって一番穀粒中に切藁
が混入するのを防止することができる。

【００１４】

【発明の効果】本発明は、風車により形成される選別風
路に、扱室２の受網から漏下した被選別物を後方へ移送
しながら風選及び漏下選別を行う選別装置を設け、該選
別装置の漏下選別部に被選別物の層厚を感知する層厚検
出センサー３２と選別性能調節手段を付設し、走行装置
Ａ又はそれと連動する伝動装置に走行速度検出センサー
Ｇを付設し、前記選別性能調節手段を、走行速度検出セ
ンサーＧの検出値と層厚検出センサー３２の検出値によ
り自動制御するように構成し脱穀機において、刈り始め
の走行速度検出センサーＧの検出値に対する前記層厚検
出センサー３２の検出値の時間当たりの変化量に基づい
て自動制御における選別条件を設定するように構成した
ので、従来のようなダイヤル変更忘れや、間違いによる
選別条件の設定誤りに起因する選別不良又は穀粒の三番
飛散の発生を未然に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】脱穀装置の縦断側面図である。

【図２】同上縦断平面図である。

【図３】走行速度と層厚検出センサーの検出値の関係を
示す図面である。

【図４】刈り始め時の自動選別制御のフローチャートで
ある。

【図５】フィンの開度制御を示す図面である。

【図６】目塞ぎ板の開度制御を示す図面である。

【図７】自動選別制御のブロック図である。

【図８】伝動系統図である。

【図９】連続運転時の自動選別制御のフローチャートで
ある。

【符号の説明】

１ 扱胴 ２ 扱室 １５ 揺動選別体 １９ 一番受樋 ２０ 一番漏下選別部 ２２ 二番受樋 ３２ 層厚検出センサー Ｅ 穀稈搬送装置 Ｆ 刈取入力軸 Ｇ 走行速度検出センサー

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 風車により形成される選別風路に、扱室
   ２の受網から漏下した被選別物を後方へ移送しながら風
   選及び漏下選別を行う選別装置を設け、該選別装置の漏
   下選別部に被選別物の層厚を感知する層厚検出センサー
   と選別性能調節手段を付設し、走行装置Ａ又はそれと連
   動する伝動装置に走行速度検出センサーＧを付設し、前
   記選別性能調節手段を、走行速度検出センサーＧの検出
   値と層厚検出センサー３２の検出値により自動制御する
   ように構成した脱穀機において、刈り始めの走行速度検
   出センサーＧの検出値に対する前記層厚検出センサー３
   ２の検出値の時間当たりの変化量に基づいて、上記自動
   制御における選別条件を設定するように構成したことを
   特徴とするコンバインにおける選別制御装置。