JP3032665U - 万能介護用エア−マット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 寝たきり老人など身体の不自由な人に対する
各種の介護行為が容易となる簡潔な構造のエア−マット
を提供する。 【解決手段】 エア−マット１を上左半身部Ａ、上右半
身部Ｂ、下左半身部Ｃ、下右半身部Ｄの田字形に上下各
二段に重合した袋群で形成し、各上段エア−袋２と下段
エア−袋３とに最膨張時には前記エア−マット１の縦中
央線を中心として約３５度角の断面扇型を成す容量形態
を付与させ、前記上段エア−袋２の上面２ａには弾性受
圧板４を一体的に載置する。前記上段エア−袋２の上左
半身部Ａと下左半身部Ｃ及び上右半身部Ｂと下右半身部
Ｄの隣接上辺部２ｂを約７ｃｍ幅の柔軟帯１２を以て構
成する。前記各袋にコンプレッサ−６と接続し且つエア
−の注入量を操作盤７を介して各別に制御するエア−注
入管８を接続すると共に排気バルブ９を備える。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、病人、寝たきり老人など身体の不自由な人に対する介護用寝具に関 する。

【０００２】

【従来の技術】

これまで、二枚のエア−マットをコンプレッサ−によって圧縮エア−を注入し 、二枚を左と右の側端部から扇型に競り上げをする床ずれ防止目的のエア−マッ トが提供されている。このエア−マットはタイマ−セットによってエア−の力で 定時間欠的に左右交互に競り上げを行ない極めて容易に寝たきり老人の床ずれ防 止に有効な体重移動ができるようになっている。 しかし、このエア−マットは左右の競り上げ角度が約３５度程度と低く、床ず れの防止には有効であるがオシメ替えや衣類着脱等の介護行為を行なうには適し ていない。

【０００３】 そこで、エア−マットの競り上げ角度を単に大きくしようとすると、外周部が 外に大きく膨張し、フア−注入量もその分だけ多く必要となり不経済となる。 また、最大膨張をさせてマット内のエア−圧を高めないと使用者がマットの中 に陥没する状態となってしまう。このため一つのエア−マットで任意に角度を設 定して使用することが困難である。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は上記実情に鑑みてなされたもので、競り上げ角度を約３５度から約８ ０度程度まで任意に設定でき、そのことで各種の介護行為を行なうことが可能な 介護用のエア−マットを提供するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記課題を解決するために、エア−マット１を上左半身部Ａ、上右半 身部Ｂ、下左半身部Ｃ、下右半身部Ｄの田字形に上下各二段に重合した袋群で形 成し、各上段エア−袋２と下段エア−袋３とに最膨張時には前記エア−マット１ の縦中央線を中心として約３５度角の断面扇型を成す容量形態を付与させ、前記 上段エア−袋２の上面２ａには弾性受圧板４を一体的に載置する。 前記各袋にコンプレッサ−６と接続し且つエア−の注入量を操作盤７を介して 各別に制御するエア−注入管８を接続すると共に排気バルブ９を備えて構成する 。

【０００６】 また、前記下段エア−袋３をさらに子袋５に再分割して成るものである。

【０００７】 また、前記エア−マット１の縦中央線寄りの弾性受圧板４の下面と上段エア− 袋２の上面との間に空気溜り１０を形成し、その空気溜り１０に排気バルブ９を 接続すると共に前記弾性受圧板４に空気溜り１０に貫通する複数の送風口１１を 形成して成るものである。

【０００８】 また、前記上段エア−袋２の上左半身部Ａと下左半身部Ｃ及び上右半身部Ｂと 下右半身部Ｄの隣接上辺部２ｂを約７ｃｍ幅の柔軟帯１２を以て構成して成るも のである。

【０００９】

【考案の実施の形態】

本考案の実施の形態を以下図で説明する。 本考案は、図１に示すようにエア−マット１を上左半身部Ａ、上右半身部Ｂ、 下左半身部Ｃ、下右半身部Ｄの田字形に上下各二段に重合した袋群で形成する。 そして、各上段エア−袋２と下段エア−袋３とに最膨張時には前記エア−マッ ト１の縦中央線を中心として約３５度角の断面扇型を成す容量形態を付与させ、 前記上段エア−袋２の上面２ａには長方形の弾性受圧板４を一体的に載置する。

【００１０】 前記弾性受圧板４は体重が掛っても湾曲してある程度の平面性を確保できる程 度の硬質性が要求される。例えば薄いビニ−ルシ−トのように膨らんだ上部が体 重によって人が埋るように凹むと身体移動ができなくなるので好ましくない。 そして、弾性受圧板４の材質が変形しても気密性を確保するのには若干の柔軟 性を持つ肉厚樹脂板等が使用でき、例えば厚手の発砲ウレタン製人工皮革のよう に若干の柔軟性を持つ方が使用者にとっても肌当りが良くて好ましい。 鉄板、木質板等の硬い板は人体の突出部分に体重を集中させてしまうのでその 部分の血行を阻害し床ずれの原因となるので好ましくない。 また、その弾性受圧板４の表面に５〜１０ｍｍ厚のナイロン不織布を積層させ ると、さらに弾力性が得られると共に通風性が得られ、ムレ防止に役立つ。 そして例えば硬めの弾性受圧板４を使用する場合には、図１及び図３に示すよ うに、前記上段エア−袋２の上左半身部Ａと下左半身部Ｃ及び上右半身部Ｂと下 右半身部Ｄの隣接上辺部２ｂを約７ｃｍ幅の柔軟帯１２を以て構成すると良い。

【００１１】 前記各袋にコンプレッサ−６と接続し且つエア−の注入量を操作盤７を介して 各別に制御するエア−注入管８を接続すると共に排気バルブ９を備える。 前記排気バルブ９は、各種の市販のエア−バルブの使用ができる。例えば簡単 な構造のものとしては、二重管構造にして、両者の管壁にそれぞれに同じ口径の 排気孔を設けて相対的に回転又はスライドさせて両排気孔の位置が重なったとき に管内と外部とが連通され、排気されるようにしたものなどが使用できる。

【００１２】 また、前記エア−マット１の縦中央線寄りの弾性受圧板４の下面と上段エア− 袋２の上面との間に空気溜り１０を形成し、その空気溜り１０に排気バルブ９を 接続すると共に前記弾性受圧板４に空気溜り１０に貫通する複数の送風口１１を 形成した態様が可能である。

【００１３】 弾性受圧板４の傾斜角度は、上段エア−袋２と下段エア−袋３の最膨張角度に よって決り、断面扇型になる角度が上下段共各約３５度であるから最大で上下段 合せた約７０度となる。そして、上下段のうちいずれの一方だけを最膨張させた 時には約３５度の傾斜となる。 そこで約７０度までの範囲内で中間的な傾斜角度を得たい場合には、下段エア −袋３内をさらに子袋５に再分割することによって。中間的な傾斜度角をえるこ とが可能となる。 例えば、図４の（ハ）に示すように、約３５度の下段エア−袋３を子袋５を形 成してその子袋５を約３５度の半分の約１７度づつに分割形成する態様が可能で ある。こうすれば、約３５度の上段エア−袋２と約１７度の下段エア−袋３との 合計の約５２度の設定ができることになる。

【００１４】

【操作法】

本考案の操作法を次に説明する。 全ての排気バルブ９を閉めておく。そしてコンプレッサ−６を作動させてエア −注入管８に圧縮空気を送る。そして、操作盤７の操作で上左半身部Ａの上段エ ア−袋２に空気を注入させる。すると、図４の（イ）に示すように、３５度の傾 斜で競り上がり、やや右向きに身体Ｈが傾く。 またこれとは逆に操作盤７の操作で上右半身部Ｂの上段エア−袋２に空気を注 入させると、図４の（ロ）に示すように、右側が３５度の傾斜で競り上がり、や や左向きに身体Ｈが傾く。

【００１４】 さらに、図４の（イ）に示す状態から、それと重なる下段エア−袋３に空気を 注入すると、下段エア−袋３は３５度の傾斜で競り上がるので、図４の（ハ）に 示すように、上段と下段を合せて７０度の傾斜で競り上がり、左側を大きく上げ 身体Ｈが横向き状態になる。 なお、図４の（ハ）に示す下段エア−袋３は上下５ａ，５ｂにそれぞれ１８度 の傾斜に二分割した態様である。この場合には弾性受圧板４の角度設定を３５度 、５３度、７１度と３段階に細かく設定できる。 また、図５の（イ）及び（ロ）に示すように、左右上半身部Ａ，Ｂ一対の上段 エア−袋２を同時に膨張させると身体Ｈが浮上する。

【００１５】 また、送風口１１からエア−を送風する場合には、排気バルブ９からエア−を 直接外部に排出しないで、上段と下段エア−袋２，３に蓄えられたエア−を空気 溜り１０に迂回させる。その空気溜り１０からエア−が弾性受圧板４の表面へ排 出される。

【００１６】

【使用法】

（オシメ替えやなどの***の処理をする場合） 図５の（イ）及び（ロ）に示すように、左右上半身部Ａ，Ｂ一対の上段エア− 袋２を同時に膨張させると両方の弾性受圧板４が３５度の傾斜に競り上がり身体 Ｈが浮上する。 下半身側は左右下半身部Ｃ，Ｄの上段エア−袋２及び下段エア−袋３にエア− を入れずに、上半身部と下半身部との両者間に段差空間を作り、尻部の下にでき る空間へオシメの出し入れをし易くする。

【００１７】 （肌着を着替えさせる場合） 図４の（ハ）に示すように、左右上半身部Ａの上段エア−袋２と下段エア−袋 ３にエア−を入れて上段と下段を合せて７０度の傾斜で競り上げ、体重を一方側 （右側）に移動させて左側を身体Ｈが横向き状態に大きく上げる。 そして、体重がかかっていない他方側（左側）を脱がせる。そして脱がせた部 分の肌着を身体Ｈの右側下に押し込める。 そして、排気バルブ９を開いて、左右上半身部Ａ，Ｂの上段エア−袋２及び下 段エア−袋３のエア−抜き、今度は、図４の（ロ）に示すように、逆向きの左右 上半身部Ｂの上段エア−袋２と下段エア−袋３にエア−を入れて上段と下段を合 せて７０度の傾斜で競り上げる。そして、体重がかかっていない残りの他方側（ 右側）を脱がせる。 そして、この時、身体Ｈの下に押込められていた部分は体重移動により容易に 引っ張り出せ、殆ど労せずして肌着を脱がせることができる。 着せる場合には、体重を左右に移動しさせつつ体重の掛らない側から着せれば 良い。

【００１８】 夏場では汗多量にかくので衣類が蒸れ、不快感を生じると共に皮膚に有害菌類 が繁殖することがある。 その場合には、図２及び図３に示すように、弾性受圧板４に複数の送風口１１ を形成する態様とすれば、身体Ｈにエア−が吹き付けられ、衣類の強制乾燥がで きる。これは上段エア−袋２と下段エア−袋３に空気を多く注入しておいて体重 の負荷でエア−が押出されて弾性受圧板４が水平に戻るときに排気バルブ９から 送風口１１へ送る方法と、上段エア−袋２と下段エア−袋３を水平にしたまま排 気バルブ９から送風口１１へ送る方法とがある。

【００１９】 （床ずれを防止する場合） 図５の（イ）及び（ロ）に示すように、左右上半身部Ａ，Ｂ及び左右下半身部 Ｃ，Ｄの一対の上段エア−袋２を交互に膨張収縮を繰返すと交互に弾性受圧板４ が３５度の傾斜に競り上がり身体Ｈ全体が左右に振られる。 この場合には、操作盤７にタイマ−組み込み、エア−注入管８と排気バルブ９ の開閉を関連付けて、体重の左右交互の移動を１０分乃至数１０分の間欠的な設 定にすることもできる。さらに微妙な時間の設定をしたい時にはコンピュ−タ− 制御を導入することもできる。 なお、設置場所の移動については、上段エア−袋２と下段エア−袋３のエア− を抜けば、簡単に折畳んでコンパクトにでき、容易に持ち運び移設することが可 能である。

【００２０】

【作用】

本考案は上記構成であり、コンプレッサ−６を作動させるとエア−注入管８に 圧縮空気が送られ、操作盤７の操作で、上段エア−袋２と下段エア−袋３内に空 気が圧入される。 そして、各排気バルブ９が閉めあれば、エア−注入管８から圧縮エア−が注入 され、上段エア−袋２と下段エア−袋３の縦中央線を中心として外周部が広がり それぞれ約３５度角度の断面扇型に膨らむ。 そして、上段エア−袋２の弾性受圧板４を上段と下段のいずれか一方に注入す ると３５度、両方に注入すると７０度の二段の傾斜に競り上げることが可能とな る。 そして、排気バルブ９を開けると傾斜している弾性受圧板４が使用者の体重で エア−が押し出されて前記弾性受圧板４が元の水平に状態に戻る。

【００２１】 また、複数の送風口１１を有する態様の場合、エア−を直接外部に排出しない で空気溜り１０に迂回させるように切り換えれば、上段と下段エア−袋２，３に 蓄えられたエア−を弾性受圧板４の表面へ排出させ、身体Ｈに吹き付けることが てきる。 さらに、硬めの弾性受圧板４を使用する場合には、図３に示すように、前記上 段エア−袋２の上左半身部Ａと下左半身部Ｃ、上右半身部Ｂと下右半身部Ｄの隣 接上辺部２ｂに約７ｃｍ幅の柔軟帯１２を形成すればコ−ナ−部分の当りが柔ら かくなる。

【００２２】

【考案の効果】

本考案は上記のようで、上段エア−袋２と下段エア−袋３の組み合わせによっ て、競り上げ角度を約３５度から約７０度程度まで任意に設定でき、そのことで 上記のような方法で、床ずれ防止、オシメ替えなどの***処理、着替えなど各種 の肉体的に負担の大きい介護行為を労せずに行なうことが可能となる。 また、上段エア−袋２と下段エア−袋３の袋部分が分割されているので、それ ぞれの袋内のエア−圧が各別個に確保されるので、使用者がエア−マット内に陥 没状態に沈み込むことはない。 また、膨張させたときに外周囲に膨出する部分が小さいので極めて効率的であ る。

【００２３】 また、送風口１１からの送風によって身体に乾いた風を吹き付けることによっ て衣類等のムレ防止が可能となる。 さらに、前記上段エア−袋２の上左半身部Ａと下左半身部Ｃ、上右半身部Ｂと 下右半身部Ｄの隣接上辺部２ｂに約７ｃｍ幅の柔軟帯１２を形成すれば、身体へ のコ−ナ−部分の当りが柔らかくなり、身体の一部をマット継目の一部分が強く 圧迫することがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一部切欠した状態を示す斜視図。

【図２】エア−マットの要部を示す縦断側面図。

【図３】別の態様のエア−マットの要部を示す縦断側面
図。

【図４】操作で人が傾く状態を示し、（イ）が左を上げ
た状態を、（ロ）が右を上げた状態を、（ハ）が左を大
きく上げた状態をそれぞれ示す模式的側面図。

【図５】操作で人の腰が上げられた状態を示し、（イ）
が模式的側面図、（ロ）が模式的正面図。

【符号の説明】

Ａ 上左半身部 Ｂ 上右半身部 Ｃ 下左半身部 Ｄ 下右半身部 １ エア−マット ２ 上段エア−袋 ２ａ 上段エア−袋の上面 ２ｂ 上段エア−袋の隣接上辺部 ３ 下段エア−袋 ４ 弾性受圧板 ５ 子袋 ６ コンプレッサ− ７ 操作盤 ８ エア−注入管 ９ 排気バルブ １０ 空気溜り １１ 送風口 １２ 柔軟帯 Ｈ 身体

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 エア−マット（１）を上左半身部
   （Ａ）、上右半身部（Ｂ）、下左半身部（Ｃ）、下右半
   身部（Ｄ）の田字形に上下各二段に重合した袋群で形成
   し、各上段エア−袋（２）と下段エア−袋（３）とに最
   膨張時には前記エア−マット（１）の縦中央線を中心と
   して約３５度角の断面扇型を成す容量形態を付与させ、
   前記上段エア−袋（２）の上面（２ａ）には弾性受圧板
   （４）を一体的に載置し、前記各袋にコンプレッサ−
   （６）と接続し且つエア−の注入量を操作盤（７）を介
   して各別に制御するエア−注入管（８）を接続すると共
   に排気バルブ（９）を備えて成る万能介護用エア−マッ
   ト。
2. 【請求項２】 下段エア−袋（３）をさらに子袋（５）
   に再分割して成る請求項１の万能介護用エア−マット。
3. 【請求項３】 エア−マット（１）の縦中央線寄りの弾
   性受圧板（４）の下面と上段エア−袋（２）の上面との
   間に空気溜り（１０）を形成し、その空気溜り（１０）
   に排気バルブ（９）を接続すると共に前記弾性受圧板
   （４）に空気溜り（１０）に貫通する複数の送風口（１
   １）を形成して成る請求項１又は２の万能介護用エア−
   マット。
4. 【請求項４】 上段エア−袋（２）の上左半身部（Ａ）
   と下左半身部（Ｃ）及び上右半身部（Ｂ）と下右半身部
   （Ｄ）の隣接上辺部（２ｂ）を約７ｃｍ幅の柔軟帯（１
   ２）を以て構成して成る請求項１乃至３のうちいずれか
   １項記載の万能介護用エア−マット。