JP3032560U - トルクレンチ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 Ｈ鋼接続用のＴＣボルトの締付とチップ
の切断を容易に、且つ確実に実施することができるトル
クレンチを提供すること。 【解決手段】 適宜長さを有するアーム部と、該アーム
部の一端に設置された把手部と、他端に設置されたレン
チ部とからなるトルクレンチに於て、前記レンチ部の表
面部及び裏面部の二面に、シャーリングボルトの凹部に
嵌合する係合凸部を設置した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】

本考案は、建築現場等で使用されるトルクレンチに関し、特に詳細には、Ｈ鋼 接続用のＴＣボルトの締付および、チップの切断を可能とするトルクレンチに関 する。

【０００２】

【従来の技術】

従来より、鉄筋鉄骨構造のビルや鉄橋等を建設する場合には、骨組みとしてＨ 鋼が使用されている。特に、ビルの骨組みを造る場合、図６に示すように、支口 ５１を溶接した柱５０の間に、梁としてＨ鋼５２が使用される。その接続方法は 、支口５１とＨ鋼５２の接続部分に鉄板５３を当てがい、ＴＣボルト３０を複数 使用して強靭に固定する。

【０００３】 ＴＣボルト３０は図５に示すように、一端に多角形のチップ３２が設置されて いる。該チップ３２は、ナット３１を締付けた後、チップ３２を逆方向に回転さ せて切断し、ナット３１の締付強度を確認するためのものである。

【０００４】 それらの作業を行うため、従来より図７に示すようなトルクレンチ４０が市販 されている。該トルクレンチ４０は、レンチ部４１の一側面に係合凸部４２が設 置されている。該係合凸部４２にシャーリングボルトを装着し、ＴＣボルト３０ のナット３１の締付けやチップ３２の切断を手動式に行う器具である。

【０００５】 また近日、図８に示すような電動式トルクレンチ６０が開発されている。該電 動式トルクレンチ６０は、先端部分に大径状のスリーブ６１と小径状のスリーブ ６２とが設置されており、ＴＣボルト３０のナット３１の締付けとチップ３２の 切断を自動的に行うものである。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】 しかし、従来の手動式のトルクレンチは、係合凸部が一側面のみに設置されて いる。そのため、ＴＣボルトによる補強作業を行うためには、ナット締付用のシ ャーリングボルトと、チップ切断用のシャーリングボルトとを着替えなければな らないという問題が生じる。

【０００７】 また、電動式トルクレンチは高価であるばかりでなく、非常に重くて持ち運び が困難であった。更に、ＴＣボルトの締付け及び切断の作業空間Ｄが、本体の長 さｄよりも狭い場所での使用は不可能であった。

【０００８】 本考案は上記の点に鑑み、ナット締付用のシャーリングボルトと、チップ切断 用のシャーリングボルトとを着替を不要とし、更に、作業空間の狭い場所でも容 易に、且つ、確実にＴＣボルトの締付け及び、切断の作業を行うことができるト ルクレンチを提供するものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記課題を達成するために、適宜長さを有するアーム部と、該アー ム部の一端に設置された把手部と、他端に設置されたレンチ部とからなるトルク レンチに於て、前記レンチ部の表面部及び裏面部の二面に、シャーリングボルト の凹部に嵌合する係合凸部を設置した。

【００１０】 上記構成により、レンチ部の表面部にナット締付用のシャーリングボルトを、 裏面部にチップ切断用のシャーリングボルトとを嵌着することにより、シャーリ ングボルトの着脱作業が不要となる。また、レンチ部の厚さは薄状に形成されて いるので、作業空間の狭い場所でも容易に、且つ、確実にＴＣボルトの締付け及 び切断の作業を行うことができる。なお、レンチ部の表面部にチップ切断用のシ ャーリングボルトを、裏面部にナット締付用のシャーリングボルトを嵌着しても 構わない。

【００１１】

【発明の実施の形態】 本考案のトルクレンチの構成及び作用、を図面に基づいて説明する。なお、図 １はトルクレンチの全体図、図２は断面図、図３及び図４は使用状態、図５はシ ャーリングボルトの設置状態、図６はビルの骨組み、図７及び図８は従来例をそ れぞれ表す。

【００１２】 トルクレンチ１は硬質金属素材で作製されており、適宜長さを有するアーム部 ２と、該アーム部２の一端に設置された把手部３と、該アーム部２の他端に設置 されたレンチ部４とで構成されている。

【００１３】 前記アーム部２は略楕円形の筒状をしており、内部にトルク機構（図示せず） が内蔵されている。また該アーム部２は、ＴＣボルトの締付強度や使用場所に応 じて、さまざまな太さや長さを有している。

【００１４】 該アーム部２の一端には把手部３が設置されており、該把手部３には滑り止め 加工が施され、更に、締付強度を適宜調整する調整部（図示せず）が設置されて いる。

【００１５】 前記レンチ部４は、表面部１０及び裏面部１１の二面に突設されている係合凸 部５、５′と、ギア６とスプリング１３とつめ１４からなるラチェット機構部９ とで構成されている。また、該ラチェット機構部９は、外覆部７と保持板８と止 ネジ１６によりレンチ部４に内装されている。

【００１６】 前記係合凸部５、５′は、大径部１７の両側面に一体成型された四角柱形状を しており、レンチ部４の表面部１０及び裏面部１１の二面に突設されている。該 係合凸部５、５′は、シャーリングボルト２０、２０′の凹部２１、２１′に嵌 合される。この時、係合凸部５、５′に設置されている凸部１２、１２′と、シ ャーリングボルト２０、２０′の凹部２１、２１′内に内設されている凹溝２２ 、２２′とが嵌合することにより、その嵌合状態を強靭に保持している。また、 前記シャーリングボルト２０の凹部２１の対向側には、ＴＣボルト３０のチップ ３２に嵌着される多角形状凹部２３が、シャーリングボルト２０′の凹部２１′ の対向側には、ＴＣボルト３０のナット３１に嵌着される多角形状凹部２３′が 設置されている。

【００１７】 前記係合凸部５、５′は、レンチ部４の内部に設置されているギア６とスプリ ング１３、及びつめ１４とからなるラチェット機構部９により、一方向だけに回 転駆動する。さらに、レンチ部４の外部に設置されている切替スイッチ１５を調 節することにより、反対方向に駆動することが可能となる。

【００１８】 次に、本考案のトルクレンチの使用方法及び作用動作を図３乃至図５に基づい て説明する。

【００１９】 図３に於ては、ＴＣボルト３０のナット３１を締付る状態を表す。レンチ部４ の係合凸部５′に、ナット３１締付用のシャーリングボルト２０′を装着する。 そして、多角形状凹部２３′をナット３１に嵌着して矢印方向に回し、ナット３ １を適宜強度で締め付ける。なお、ナット３１締付用のシャーリングボルト２０ ′の全高ｅは、約５５ｍｍ程度である。

【００２０】 図４に於ては、ＴＣボルト３０のチップ３２を切断する状態を表す。ナット３ １を適宜強度で締め付けた後、トルクレンチ１を反転させ、レンチ部４の係合凸 部５に、チップ３２切断用のシャーリングボルト２０を装着する。そして、多角 形状凹部２３をチップ３２に嵌着して矢印方向に回す。すると、チップ３２は細 首部分３３から切断される。またこの場合、ナット３１の締付強度が弱いと、チ ップ３２が切断される前にナット３１が回転するので、締付強度の確認が目視で きる。なお、チップ３２切断用のシャーリングボルト２０の全高ｆは、約４５ｍ ｍ程度である。

【００２１】

【考案の効果】

以上説明してきたように、本考案のトルクレンチは、上記の構成とすることで 以下に示す効果を奏するものである。

【００２２】 レンチ部の表面部及び裏面部に係合凸部を凸設したので、ナット締付用のシャ ーリングボルトと、チップ切断用のシャーリングボルトとを装着しておけば、ト ルクレンチを反転させるだけで、ナットの締付作業とチップの切断作業を容易に 行うことができる。そのため、シャーリングボルトの着脱作業が不要となり、作 業性の向上が実現できる。

【００２３】 また、レンチ部の厚さは薄状形状となっているので、作業空間の狭い場所でも 容易に、且つ、確実にＴＣボルトの締付け及び切断の作業を行うことができる。

【００２４】 なお、レンチ部の表面部にチップ切断用のシャーリングボルトを、裏面部にナ ット締付用のシャーリングボルトを嵌着しても同様の効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のトルクレンチの全体斜視図である。

【図２】本考案のトルクレンチの断面図である。

【図３】本考案のトルクレンチの使用状態を表す。

【図４】本考案のトルクレンチの使用状態を表す。

【図５】シャーリングボルトの設置状態を表す。

【図６】ビルの骨組みを表す。

【図７】従来例を表す。

【図８】従来例を表す。

【符号の説明】

１・・・トルクレンチ ２・・・アーム部 ３・・・把手部 ４・・・レンチ部 ５、５′・・・係合凸部 ６・・・ギア ７・・・外覆部 ８・・・保持板 ９・・・ラチェット機構部 １０・・表面部 １１・・裏面部 １２、１２′・・凸部 １３・・スプリング １４・・つめ １５・・切替スイッチ １６・・止ネジ ２０、２０′・・シャーリングボルト ３０・・ＴＣボルト ４０・・トルクレンチ ５０・・柱 ５１・・支口 ５２・・Ｈ鋼 ５３・・鉄板 ６０・・電動式トルクレンチ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 適宜長さを有するアーム部（２）と、
   該アーム部（２）の一端に設置された把手部（３）と、
   他端に設置されたレンチ部（４）とからなるトルクレン
   チ（１）に於て、前記レンチ部（４）の表面部（１０）
   及び裏面部（１１）の二面に、シャーリングボルトの凹
   部に嵌合する係合凸部（５）（５′）を設置したことを
   特徴とするトルクレンチ。