JP3030167B2 - 給湯器の燃焼制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、給湯器に関し、さらに
詳しくは、給湯器に備えられる燃焼バーナに空気を送る
送風ファンの回転数をそのバーナに燃料ガスを送るガス
管路に設けられるガス比例弁の開度に応じて制御する給
湯器の燃焼制御装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の給湯器は、燃焼バーナの
ガス管路に設けられるガス比例弁の電流値に応じてその
ガス比例弁の開度を調節し、燃焼バーナへのガス供給量
を制御すると共に、その燃焼バーナへ燃焼用空気を供給
する送風ファンの回転数はそのガス比例弁の電流値に応
じて制御するようにしている。

【０００３】しかしながら、このような従来一般に知ら
れる給湯器においては、供給ガスの発熱量の違いやガス
圧の変動等に起因してガス比例弁の全開時における燃焼
バーナの燃焼能力にバラツキが生じて燃焼用空気の不足
又は過剰を来たすことがある。

【０００４】その場合に、例えばガス比例弁の最大開度
を検知し、給湯器の温度センサや流量センサからの検知
信号に基づき燃焼バーナの実際の燃焼出力（実燃焼出
力）を求め、その実燃焼出力と予め制御装置に記憶され
る指定出力とを比較し、ガス比例弁全開時に実燃焼出力
が指定出力よりも大きければ送風ファンの回転数を増大
させるようにしたものが、例えば実開平１−１５１４０
号公報により知られている。

【０００５】また例えば実開平３−９６５５７号公報に
示されるように、実燃焼出力オーバーでないのに出力オ
ーバーであると誤判断されることを回避するため、ガス
比例弁全開時に所定時間にわたって実燃焼出力が指定出
力より大きいときにのみファン回転数を増大させ、そう
でない時には適正ファン回転数により制御するようにし
たものもある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たいずれの制御装置によっても、燃焼バーナの実燃焼出
力の算出基礎となる流量センサや温度サーミスタ等の製
造上のバラツキや設計上のバラツキは全く考慮されてい
ない。したがってこれらのセンサやサーミスタ等からの
検知信号に基づいて実燃焼出力を求めると、指定出力よ
り実際にはオーバーしていないのにオーバーしたと判断
される場合が生じる。そうすると送風ファンは回転数を
増大させ、燃焼用空気過剰によるリフトバック等の燃焼
異常、あるいは騒音の増大等をもたらすという問題があ
った。

【０００７】本発明はこのような問題点を解決するため
なされたものであり、その目的とするところは、流量セ
ンサや温度サーミスタ等の製造上・設計上のバラツキを
補正した燃焼制御により送風ファンの適正回転数を確保
するようにした給湯器の燃焼制御装置を提供することに
ある。これにより燃焼用空気過剰によるリフトバック等
の燃焼異常を回避し、また無用の騒音を排除せんとする
ものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明に係る給湯器の燃焼制御装置は、熱交換器に通
じる水路に設けられる流量検知手段と、熱交換器への入
水温度及び熱交換器からの出湯温度を検知する温度検知
手段と、熱交換器を加熱する燃焼バーナと、燃焼バーナ
に通じるガス管路に設けられるガス比例弁と、燃焼バー
ナに燃焼用空気を送る送風ファンとを備え、流量検知手
段及び温度検知手段からの出力信号に基づき燃焼バーナ
の燃焼出力を算出し、その算出結果に基づいてガス比例
弁の開度を調節すると共にそのガス比例弁の開度に応答
して送風ファンの回転数を制御するコントローラとを備
えた給湯器において、製品出荷前に工場で予め標準とな
る計器により前記燃焼バーナの燃焼出力を測定し、その
測定値と前記燃焼バーナの燃焼出力値との誤差を演算に
より求め、その演算値に基づいて前記送風ファンの回転
数とガス比例弁開度との相関係数を補正する補正演算手
段を備えている。

【０００９】

【作用】上記の構成を有する本発明に係る給湯器の燃焼
制御装置によれば、流量検知手段及び温度検知手段から
の出力信号に基づき燃焼バーナの燃焼出力が算出され、
その算出結果に基づいてガス比例弁の開度が調節される
が、そのとき送風ファンの回転数は補正演算手段により
補正された相関係数をガス比例弁開度に乗じた演算値に
基づいてコントローラにより比例制御される。したがっ
て流量検知手段や温度検知手段等のバラツキに起因した
燃焼出力過不足という誤判断は回避され、適正回転数に
より送風ファンは適正値に回転制御される。

【００１０】

【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図面を
参照して説明する。図１に示すように、この実施例の給
湯器１０は、熱交換器１２に通じる水路１４に水量検知
センサ１６を設けると共に、その水路１４の熱交換器１
２入水側には入水温度を検知するための入水サーミスタ
１８が、また熱交換器１２の出湯側には出湯温度を検知
するための出湯サーミスタ２０が設けられている。

【００１１】一方、前記熱交換器１２を加熱する燃焼バ
ーナ２４にはこの燃焼バーナ２４に燃料ガスを供給する
ためのガス管路２６にガス比例弁２８が設けられてお
り、また燃焼バーナ２４には燃焼用空気を供給するため
の送風ファン３０が継がれている。そして前記水量検知
センサ１６による水量の検知信号、入水サーミスタ１８
による入水温度の検知信号及び出湯サーミスタ２０によ
る出湯温度の検知信号はコントローラ３２へ入力され、
このコントローラ３２からの指令信号は前記ガス比例弁
２８及び送風ファン３０へ送られ、このコントローラ３
２からの指令信号により前記ガス比例弁２８の開度が調
整され、また送風ファン３０の回転数が制御されるもの
である。

【００１２】この実施例では、水路１４の出湯口に設け
られる蛇口２２を開くことにより水路１４に水が流れる
と共に、その蛇口２２を開いたときに水量検知センサ１
６により水流を感知し、その信号に基づいて燃焼バーナ
２４の点火プラグ（図示せず）がスパークし、自動的に
燃焼バーナ２４の点火が行われるようになっている。

【００１３】図２は、この給湯器１０の制御コントロー
ラ３２によるブロック図を示している。中央演算処理部
（ＣＰＵ）３２には前述の水量検知センサ１６、入水サ
ーミスタ１８及び出湯サーミスタ２０からの検知信号が
入力され、これらの検知信号が入力されるとＣＰＵ３２
では、この水量検知センサ１６により検知される水量
（Ｗ）、入水サーミスタ１８により検知される入水温度
（ＴC ）及び出湯サーミスタ２０により検知される出湯
温度（ＴH ）から燃焼バーナ２４の燃焼出力量（Ｑ）が
を次の数１の演算式により求められる。

【００１４】

【数１】

【００１５】そして実燃焼出力量（Ｑ）が求められる
と、ＣＰＵ３２に接続されるＲＡＭ３６にはこの燃焼出
力量（Ｑ）とガス比例弁２８の比例弁電流値（ｉ）との
関係データを有しており、このデータに基づいてＣＰＵ
３２より比例弁駆動回路３８へ制御信号が出力され、ガ
ス比例弁２８の比例弁電流値ｉが上記燃焼出力量に対応
して変化することによりその比例弁開度（ガス量）が制
御される。

【００１６】また送風ファン３０のファン回転数（Ｎ）
とガス比例弁２８の比例弁電流値（ｉ）との次の数２に
示す関数データもＲＡＭ３６に記憶されており、この関
数式に基づいてＣＰＵ３２による演算により送風ファン
３０のファン回転数（Ｎ）が決定されて、ＣＰＵ３２よ
りファン駆動回路４２へ制御信号が出力されることによ
り送風ファン３０の回転数が制御される。

【００１７】

【数２】

【００１８】Ｎ：ファン回転数 ｉ：比例弁電流値

【００１９】このガス比例弁２８の開度を制御している
比例弁電流値は、比例弁電流検知センサ４０により検知
されており、この検知信号はＣＰＵ３２へ入力され、Ｃ
ＰＵ３２ではその比例弁電流検知センサ４０からの信号
によって比例弁電流値が最大値（ｉｏ）に達したか否か
を判定している。また、送風ファン３０には回転数セン
サ４４が取り付けられ、この回転数センサ４４からの信
号がＣＰＵ３２へ入力されることによりファン回転数は
フィードバック制御されている。尚、ＣＰＵ３２に接続
されるＲＯＭ３４には、上記各種演算処理を実行するプ
ログラムや燃焼出力量と指定出力量との大小を比較判別
する実行プログラムが記憶されている。

【００２０】かくしてこの給湯器は、工場ラインでの組
立出荷時に予め標準となる計器を用いて前記水量検知セ
ンサ１６、入水サーミスタ１８、出湯サーミスタ２０等
の各種検知センサの製造上のバラツキ、設計上のバラツ
キ等に起因する燃焼バーナ２４の燃焼出力量（Ｑ）の測
定が行なわれる。この測定は、発熱量が予め判っている
基準燃料ガスを用いて行なわれる。すなわち基準ガスを
燃焼バーナ２４に送り、そのときの水量検知センサ１
６、入水サーミスタ１８及び出湯サーミスタ２０からの
検知信号に基づき燃焼バーナ２４の燃焼出力量を標準と
なる計器により求めるものである。

【００２１】図３は、当初の給湯器自体のＣＰＵ３２に
より求められた燃焼出力（アウトプット）量（Ｑ）とそ
のときの送風ファン３０のファン回転数（Ｎ）との関係
と、標準となる計器により求められた給湯器の実際の燃
焼出力（アウトプット）量（Ｑ）とファン回転数（Ｎ）
との関係とを比較して示したものである。給湯器１０自
体のＣＰＵ３２により求められたアウトプット量（Ｑ）
とファン回転数（Ｎ）との関係が、アウトプット量
（Ｑ）が350 Kcal/minのときのファン回転数（Ｎ）が40
00rpm で、アウトプット量（Ｑ）が67Kcal/minのときの
ファン回転数（Ｎ）が1500rpm であったとする。これに
対応して標準となる計器を用いて測定したこの給湯器の
実際のアウトプット量（Ｑ）とファン回転数（Ｎ）との
関係が、アウトプット量（Ｑ）が390 Kcal/minでファン
回転数（Ｎ）が4000rpm、アウトプット量（Ｑ）が75Kca
l/minでファン回転数（Ｎ）が1500rpm であったとす
る。

【００２２】そうすると本発明では、この給湯器１０の
アウトプット量（Ｑ）とファン回転数（Ｎ）との関係が
実際に標準となる計器の測定値に合うようにこのファン
回転数（Ｎ）と燃焼出力（アウトプット）量（Ｑ）との
関係、すなわち前述の数２に示したファン回転数（Ｎ）
とガス比例弁電流値（ｉ）との関数における係数を補正
する。この補正関数に基づきＲＡＭ３６の比例弁電流値
（ｉ）とファン回転数（Ｎ）との関数データが書き換え
られるものである。

【００２３】

【数３】

【００２４】Ｎ´：補正によるファン回転数

【００２５】次にこの給湯器を実際に現地に設置した場
合を考えると、現地ガスの使用により給湯器のバーナコ
ントローラ３２により水量検知センサ１６により検知さ
れる水量（Ｗ）、入水サーミスタ１８により検知される
入水温度（ＴC ）及び出湯サーミスタ２０により検知さ
れる出湯温度（ＴH ）から燃焼バーナ２４の燃焼出力
（アウトプット）量（Ｑ）が演算によりもとめられる
が、そのときの送風ファン３０のファン回転数（Ｎ´）
は、上述の数３に示した補正関数に基づいて決定され
る。

【００２６】例えば図４に示すように、現地ガス使用に
よりコントローラ３２により求められたアウトプット量
（Ｑ）が416 Kcal/min（＞390 Kcal/min）であるとする
と、そのときのファン回転数（Ｎ´）は数３に示した補
正関数により4270rpm と求められる。また現地ガス使用
によりコントローラ３２により求められたアウトプット
量（Ｑ）が80Kcal/min（＞75Kcal/min）であったとする
と、そのときのファン回転数（Ｎ´）は数３の補正関数
により1600rpm と求められる。このとき比例弁電流値
（ｉ）はあくまで給湯器のコントローラ３２による演算
により求められたアウトプット量（Ｑ）によって決定さ
れるものでその値は変わらず、ファン回転数（Ｎ´）の
みがアウトプット量（Ｑ）に応じて変わるものである。

【００２７】一方、現地ガスの供給圧が低下して燃焼出
力（アウトプット）量（Ｑ）が減少した場合には、例え
ば図５に示すように、給湯器のコントローラ３２により
求められたアウトプット量（Ｑ）が300 Kcal/min（＜39
0 Kcal/min）であるとすると、そのときのファン回転数
（Ｎ´）はやはり上述の数３に示した補正関数により30
80rpm と求められ、また給湯器のコントローラ３２によ
り求められたアウトプット量（Ｑ）が５０Kcal/min（＜
75Kcal/min）であったとすると、そのときのファン回転
数（Ｎ）もやはり数３の補正関数により1000rpm と求め
られる。

【００２８】したがって、燃焼用空気の供給不足による
不完全燃焼により一酸化炭素ガス（ＣＯガス）が増えた
り、あるいは燃焼用空気の供給過多により炎が吹き飛ば
されて消炎するといった危惧は回避され、ガス供給圧が
バーナ点火後ある時間経過して徐々に減少していく場合
にも対応できるものである。尚、本発明は上記実施例に
限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範
囲内で種々の改変が可能であることは勿論である。

【００２９】

【発明の効果】以上説明したことから明かなように、本
発明の給湯器は、水量検知センサや、入水サーミスタ及
び出湯サーミスタ等の各種電子センサ部品の製造上のバ
ラツキあるいは設計上のバラツキを考慮して燃焼バーナ
のガス比例弁開度に対応する送風ファンの回転数を補正
制御するようにしたので、適正な送風ファンの回転数制
御により送風ファンのエネルギー効率の向上並びに騒音
の低減化を達成できるものである。また燃焼用空気の供
給不足や供給過多による燃焼トラブルも回避でき、安定
した燃焼状態が確保されるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る給湯器の概略構成を示
す図である。

【図２】図１に示した給湯器の制御ブロック図である。

【図３】標準となる計器により測定した給湯器の燃焼出
力（アウトプット）量から送風ファンのファン回転数を
算出する根拠を説明する図である。

【図４】現地ガスの使用によるこの給湯器の燃焼出力
（アウトプット）量から送風ファンのファン回転数を決
定する関数を説明する図である。

【図５】同じく現地ガスの使用によるこの給湯器の燃焼
出力（アウトプット）量から送風ファンのファン回転数
を決定する関係を示すものであって、ガス供給圧が低下
した場合を説明した図である。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 熱交換器に通じる水路に設けられる流量
   検知手段と、熱交換器への入水温度及び熱交換器からの
   出湯温度を検知する温度検知手段と、熱交換器を加熱す
   る燃焼バーナと、燃焼バーナに通じるガス管路に設けら
   れるガス比例弁と、燃焼バーナに燃焼用空気を送る送風
   ファンとを備え、流量検知手段及び温度検知手段からの
   出力信号に基づき燃焼バーナの燃焼出力を算出し、その
   算出結果に基づいてガス比例弁の開度を調節すると共に
   そのガス比例弁の開度に応答して送風ファンの回転数を
   制御するコントローラとを備えた給湯器において、 製品出荷前に工場で予め標準となる計器により前記燃焼
   バーナの燃焼出力を測定し、その測定値と前記燃焼バー
   ナの燃焼出力値との誤差を演算により求め、その演算値
   に基づいて前記送風ファンの回転数とガス比例弁開度と
   の相関係数を補正する補正演算手段を備えていることを
   特徴とする給湯器の燃焼制御装置。