JP3028690U - 眼鏡枠のバネ丁番 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 眼鏡枠に分解、組立の可能な構造を有するバ
ネ丁番を提供し、バネ丁番の部品交換を可能とし、修理
コストを低減する。 【解決手段】 テンプルの端部に設けられるバネ丁番ベ
ースに、うで丁番を装着して構成されるバネケースに収
容されるコイルバネとスプリングボルトが、Ｕ型プラン
ジャに備える係止爪とバネ丁番ベースの係止穴との係合
により留められる眼鏡枠のバネ丁番において、バネ丁番
ベースのガイド溝が、Ｕ型プランジャの底部の当接する
部分に凹部を有する形状とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は眼鏡枠のバネ丁番の構造に関する。詳しくは、バネ丁番ベースとＵ型 プランジャとの係止構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来眼鏡枠の丁番は、フロント側の枠丁番とテンプル側のうで丁番の組み合わ せで構成され、それぞれフロント、テンプルに接続するばてと、摺動部分となる コマから成る。丁番の種類はばてとフロント、テンプルとの接続形態によってい くつかの種類に分けられる。

【０００３】 乗せ丁番は、ばてがフロント、テンプルに埋設されず、取り付けたばて全体が 露出している。沈め丁番は、ばての表面が露出するようにフロント、テンプルに 埋設したもので埋め込まれて、ばてとフロント、テンプルに凹凸がない。隠し丁 番は、ばて全体がフロント、テンプルに埋め込まれ、コマだけが露出している。 これらの丁番は、プラスチック枠に用いられることが多い。

【０００４】 さらにフロントやテンプルの部品との組み合わせによりいくつかの形態に分け られる。とも丁番は、フロントの智とテンプルの端にコマを設け、直接組み合わ せるものである。ブロック丁番はリムロックと一体に設けられたもので、リムロ ックに合わせて枠丁番が二つに分割されるものを特に合せ丁番という。またロー 付けや溶接で取り付けられる丁番をろう付け丁番という。これらの丁番は金属枠 等に用いられることが多い。

【０００５】 特殊なものとして、コマの摺動とテンプルを開閉動作を補助するバネを組み込 んだバネ丁番がある。バネ丁番を用いた眼鏡枠は、携帯、収納時にテンプルを折 り畳んだ状態、あるいは、装用時にテンプルを広げた状態がバネの弾性により安 定している。

【０００６】 図１は従来のバネ丁番の一例を構成する部品の斜視図であって、うで丁番を示 す。図にあるように、うで丁番１０は、摺動部分のメスコマ１と、バネが収容さ れるばて２、バネ丁番ベースと接続する嵌合部材３を有する。

【０００７】 図２は従来のバネ丁番の一例を構成する部品の斜視図であって、Ｕ型プランジ ャとスプリングボルトおよびコイルバネを示す。Ｕ型プランジャ４は、バネ丁番 ベースのガイド溝に設けた係止穴に掛けて、スプリングボルト６を固定するため の係止爪５を有する。スプリングボルト６はコイルバネに嵌挿した上、うで丁番 およびバネ丁番ベースに収容される。

【０００８】 図３は従来のバネ丁番の一例を構成する部品の斜視図であって、バネ丁番ベー スを示す。テンプルの端部に設けられたバネ丁番ベース１１には、ガイド溝８と 係止穴９が加工されている。ガイド溝８は、先述のうで丁番の嵌合部材を差し込 んで取り付け、バネを収容する空間となるもので、係止穴９は収容したスプリン グボルトに当接するＵ型プランジャを留める係止爪が収まるものである。

【０００９】 図４は従来のバネ丁番の一例を示す説明図であって、バネケースとバネの取付 について示す。また図５は従来のバネ丁番の一例を示す説明図であって、完成し たバネ丁番の外観を示す。ガイド溝に、うで丁番１０の嵌合部材を収めて、バネ を収容するバネケースを形成する。そこに図に矢示するようにコイルバネ７を装 着したスプリングボルト６を収め、Ｕ型プランジャ４を差し込むと図５のような うで丁番が完成する。

【００１０】 図６は従来のバネ丁番の一例を示す説明図であって、完成したバネ丁番の構造 を示す。うで丁番１０とバネ丁番ベース１１により形成されたバネケースに、コ イルバネ７を装着したスプリングボルト６を収め、Ｕ型プランジャ４を差し込む と、Ｕ型プランジャの係止爪がバネ丁番ベースの係止穴に掛かり、スプリングボ ルトとコイルバネは縮んだ状態で固定される。

【００１１】 枠丁番のコマは偏心させてあり、テンプルの開閉動作中、当接するＵ型プラン ジャを押圧する。Ｕ型プランジャの係止爪は係止穴よりやや小さいため、枠丁番 のコマに押圧されたＵ型プランジャは係止穴の範囲内で移動し、バネの弾性力が Ｕ型プランジャを介して丁番に伝達され、テンプルの開閉に作用する。

【００１２】

【考案が解決しようとする課題】

眼鏡枠に用いる丁番は寸法精度、強度や耐久性が要求されるもので、バネ丁番 に関しても、Ｕ型プランジャやコマなど大変精密に作製されている。とくにバネ 丁番は、スプリングボルトとコイルバネをバネケース内に留めるＵ型プランジャ が外れることのないよう、バネケースに対してほとんど間隙なく収まるように、 正確に作製されている。

【００１３】 逆に、Ｕ型プランジャの係止爪をバネ丁番ベースの係止穴から外すだけの空間 もないため、Ｕ型プランジャ、スプリングボルト、コイルバネ、コマ、バネ丁番 ベースを一度組み上げると、Ｕ型プランジャをケースから取り出すことが困難と なり、部品の修理、交換が出来ない。

【００１４】 眼鏡枠は装用や保管、取り扱いにより水分、汗、皮脂、埃等が浸入し、バネが 錆び付いたり、滑動性が損なわれ、修理を要することがある。この場合、従来の バネ丁番では、例えばコイルバネ、スプリングボルトといった部品単位での修理 、交換が出来ず、テンプルの交換を要するため、修理コストが高くなっている。 本考案は眼鏡枠に分解、組立の可能な構造を有するバネ丁番を提供し、バネ丁番 の部品交換を可能とし、修理コストを低減することを目的とする。

【００１５】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するために本考案では、テンプルの端部に設けられるバネ丁 番ベースに、うで丁番を装着して構成されるバネケースに収容されるコイルバネ とスプリングボルトが、Ｕ型プランジャに備える係止爪とバネ丁番ベースの係止 穴との係合により留められる眼鏡枠のバネ丁番において、バネ丁番ベースのガイ ド溝が、Ｕ型プランジャの底部の当接する部分に幅狭の凹溝部を有する形状とす る。

【００１６】 本考案の眼鏡枠のバネ丁番について説明する。図７は本考案の眼鏡枠のバネ丁 番に用いるバネ丁番ベースの一例である。バネ丁番ベース２１には、うで丁番を 装着するためのガイド溝２３と、Ｕ型プランジャを留める係止穴２２が設けられ ている。さらに、図中斜線で示すように凹溝部２４を有する。一例では、バネ丁 番ベースの係止穴と凹溝部が一体となり、係止穴から連続して末端まで深さが一 様でＵ型プランジャに比べて幅狭の凹溝部が形成されている。

【００１７】 図８は本考案の眼鏡枠のバネ丁番に用いるバネ丁番ベースの一例である。バネ 丁番ベース３１には、うで丁番を装着するためのガイド溝３３と、Ｕ型プランジ ャを留める係止穴３２が設けられている。さらに、図中斜線で示すように凹溝部 ３４を有する。一例では、凹溝部がバネ丁番ベースの係止穴とは別に、末端まで 連続して深さの一様な凹溝部が形成されている。

【００１８】 図９は本考案の眼鏡枠のバネ丁番に用いるバネ丁番ベースの一例である。バネ 丁番ベース４１には、うで丁番を装着するためのガイド溝４３と、Ｕ型プランジ ャを留める係止穴４２が設けられている。さらに、図中斜線で示すように凹溝部 ４４を有する。一例では、凹溝部がバネ丁番ベースの係止穴とは別に、底面が緩 やかな曲面をなし、中央部が深くなる凹溝部が形成されている。

【００１９】 本考案の眼鏡枠のバネ丁番に用いるバネ丁番ベースは一例に示したような凹溝 部の形状には限定されない。Ｕ型プランジャの係止爪とバネ丁番ベースの係止穴 の係合状態を妨げてはならないが、Ｕ型プランジャの底部に間隙をなし、Ｕ型プ ランジャの係止爪とバネ丁番ベースの係止穴の係合状態を分離可能とするような 凹溝部であれば形状は問わない。

【００２０】

【考案の実施の形態】

本考案の眼鏡枠のバネ丁番について一例を挙げ、図面と共に説明する。図１０ は本考案の眼鏡枠のバネ丁番の一例を示す断面図であって、Ｕ型プランジャの係 止爪とバネ丁番ベースの係止穴の係合状態と分離について説明する。ガイド溝２ ３に設けられた係止穴２２には、Ｕ型プランジャ２５の係止爪２６が係合してい る。Ｕ型プランジャ２５の底部には、Ｕ型プランジャより幅狭の凹溝部２４が形 成されているため、Ｕ型プランジャ２５とガイド溝２３の間にはわずかな空隙を 有する。そこに工具２７を図のように差し込んでＵ型プランジャの係止爪を持ち 上げると、係止穴から分離される。なお、ここでは前述の図７のバネ丁番ベース と同じものを用いている。凹溝部が係止穴とつながり、深さが一様であることが 示されている。

【００２１】 図１１は本考案の眼鏡枠のバネ丁番の一例を示す断面図であって、Ｕ型プラン ジャの係止爪とバネ丁番ベースの係止穴の係合状態と分離について説明する。ガ イド溝３３に設けられた係止穴３２には、Ｕ型プランジャ３５の係止爪３６が係 合している。Ｕ型プランジャ３５の底部に形成された凹溝部３４によって、Ｕ型 プランジャ３５とガイド溝３３の間にはわずかな空隙を有する。そこに工具３７ を図のように差し込んでＵ型プランジャの係止爪を持ち上げると、係止穴から分 離される。なおここでは前述の図８のバネ丁番ベースと同じものを用いている。 凹溝部が係止穴とは別に形成され、深さは一様であることがわかる。

【００２２】 図１２は本考案の眼鏡枠のバネ丁番の一例を示す断面図であって、Ｕ型プラン ジャの係止爪とバネ丁番ベースの係止穴の係合状態と分離について説明する。ガ イド溝４３に設けられた係止穴４２には、Ｕ型プランジャ４５の係止爪４６が係 合している。Ｕ型プランジャ４５の底部に形成された凹溝部４４により、得られ たＵ型プランジャ４５とガイド溝４３の間のわずかな空隙に、工具４７を図のよ うに差し込んでＵ型プランジャの係止爪を持ち上げると、係止穴から分離される 。なおここでは前述の図９のバネ丁番ベースと同じものが用いられている。凹溝 部が係止穴とは別に形成され、底面は、中央が一番深い曲面をなしていることが わかる。

【００２３】

【実施例】

本考案の眼鏡枠のバネ丁番の実施例について、図面とともに説明する。図１３ は本考案の眼鏡枠のバネ丁番の実施例に用いるうで丁番を示す斜視図である。う で丁番６０は、摺動部分のメスコマ５１と、バネが収容されるばて５２、バネ丁 番ベースと接続する嵌合部材５３を有し、図１に示した従来の眼鏡のバネ丁番に 用いるうで丁番と同様のものである。

【００２４】 図１４は本考案の眼鏡枠のバネ丁番の実施例に用いるＵ型プランジャとスプリ ングボルトおよびコイルバネを示す斜視図である。Ｕ型プランジャ５４は、バネ 丁番ベースのガイド溝に設けた係止穴に掛けて、スプリングボルト５６を固定す るための係止爪５５を有する。スプリングボルト５６はコイルバネに嵌挿した上 、うで丁番およびバネ丁番ベースに収容される。Ｕ型プランジャ５４とスプリン グボルト５６、コイルバネ５７もやはり、図２に示した従来の眼鏡のバネ丁番に 用いる部品と全く同様のものである。

【００２５】 図１５は本考案の眼鏡枠のバネ丁番の実施例に用いるバネ丁番ベースを示す斜 視図である。バネ丁番ベース６１には、うで丁番を装着するためのガイド溝５８ と、Ｕ型プランジャを留める係止穴５９が設けられている。従来のバネ丁番ベー スとは異なり、図中斜線で示すように凹溝部２４を有する。

【００２６】 図１６は本考案の眼鏡枠のバネ丁番の実施例を示す説明図であって、完成した バネ丁番の構造を示す。うで丁番６０とバネ丁番ベース６１により形成されたバ ネケースに、コイルバネ５７を装着したスプリングボルト５６を収め、Ｕ型プラ ンジャ５４を差し込むと、Ｕ型プランジャの係止爪５５がバネ丁番ベースの係止 穴５９に掛かり、コイルバネ５７が縮んだ状態でスプリングボルト５６が固定す ることがわかる。本実施例はバネ丁番ベースに設けた凹溝部６２が係止穴５９か ら末端まで連続しており、枠丁番とうで丁番を分離すれば、簡易な工具を凹溝部 ６２に差し込み、Ｕ型プランジャの係止爪を持ち上げて取り外しが出来る。

【００２７】 本考案の眼鏡枠のバネ丁番では、本考案の眼鏡枠のバネ丁番に用いるバネ丁番 ベースは、従来のバネ丁番ベースを利用して作製することもできる。

【００２８】

【考案の効果】

上記のように本考案の眼鏡枠のバネ丁番は、バネ丁番ベースのガイド溝が、Ｕ 型プランジャの底部の当接する部分に凹溝部を有する形状とする。バネ丁番ベー スのガイド溝の凹溝部により、Ｕ型プランジャとバネ丁番ベースとの間に空隙が 出来るため、簡易な工具等を用いて簡単に分離することが可能となる。従来のバ ネ丁番は、バネケースに収容したコイルバネとスプリングボルトを留めるＵ型プ ランジャの係止爪と、バネ丁番ベースの係止穴との係合を外すことが難しく、各 部品に分解することが困難であったが、本考案の眼鏡枠のバネ丁番は、分解組立 を繰り返すことができる。また、本考案の眼鏡枠のバネ丁番は、従来のバネ丁番 ベースを利用して作製することもできるため作製コストも抑えられる。眼鏡枠は 装用や保管、取り扱いにより水分、汗、皮脂、埃等が浸入し、ときに修理を要す るが、本考案の眼鏡枠のバネ丁番は、コイルバネ、スプリングボルトといった部 品単位での修理、交換が可能となるため、修理コストを抑えることができる等の 効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来のバネ丁番の一例を構成する部品の斜視図
である。

【図２】従来のバネ丁番の一例を構成する部品の斜視図
である。

【図３】従来のバネ丁番の一例を構成する部品の斜視図
である。

【図４】従来のバネ丁番の一例を示す説明図である。

【図５】従来のバネ丁番の一例を示す説明図である。

【図６】従来のバネ丁番の一例を示す説明図である。

【図７】本考案の眼鏡枠のバネ丁番に用いるバネ丁番ベ
ースの一例である。

【図８】本考案の眼鏡枠のバネ丁番に用いるバネ丁番ベ
ースの一例である。

【図９】本考案の眼鏡枠のバネ丁番に用いるバネ丁番ベ
ースの一例である。

【図１０】本考案の眼鏡枠のバネ丁番の一例を示す断面
図である。

【図１１】本考案の眼鏡枠のバネ丁番の一例を示す断面
図である。

【図１２】本考案の眼鏡枠のバネ丁番の一例を示す断面
図であ

【図１３】本考案の眼鏡枠のバネ丁番の実施例に用いる
うで丁番を示す斜視図である。

【図１４】本考案の眼鏡枠のバネ丁番の実施例に用いる
Ｕ型プランジャとスプリングボルトおよびコイルバネを
示す斜視図である。

【図１５】本考案の眼鏡枠のバネ丁番の実施例に用いる
バネ丁番ベースを示す斜視図である。

【図１６】本考案の眼鏡枠のバネ丁番の実施例を示す説
明図である。

【符号の説明】

１ メスコマ ２ ばて ３ 嵌合部材 ４ Ｕ型プランジャ ５ 係止爪 ６ スプリングボルト ７ コイルバネ ８ ガイド溝 ９ 係止穴 １０ うで丁番 １１ バネ丁番ベース ２１ バネ丁番ベース ２２ 係止穴 ２３ ガイド溝 ２４ 凹溝部 ２５ Ｕ型プランジャ ２６ 係止爪 ２７ 工具 ３１ バネ丁番ベース ３２ 係止穴 ３３ ガイド溝 ３４ 凹溝部 ３５ Ｕ型プランジャ ３６ 係止爪 ３７ 工具 ４１ バネ丁番ベース ４２ 係止穴 ４３ ガイド溝 ４４ 凹溝部 ４５ Ｕ型プランジャ ４６ 係止爪 ４７ 工具 ５１ メスコマ ５２ ばて ５３ 嵌合部材 ５４ Ｕ型プランジャ ５５ 係止爪 ５６ スプリングボルト ５７ コイルバネ ５８ ガイド溝 ５９ 係止穴 ６０ うで丁番 ６１ バネ丁番ベース ６２ 凹溝部

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 テンプルの端部に設けられるバネ丁番ベ
   ースにうで丁番を装着したバネケースに収容されるコイ
   ルバネとスプリングボルトが、Ｕ型プランジャに備える
   係止爪とバネ丁番ベースの係止穴との係合により留めら
   れる眼鏡枠のバネ丁番において、前記Ｕ型プランジャが
   当接する前記バネ丁番ベースのガイド溝底の部分に前記
   Ｕ型プランジャより幅が狭い凹溝部を備えたことを特徴
   とするバネ丁番。
2. 【請求項２】 テンプルの端部に設けられるバネ丁番ベ
   ースにうで丁番を装着したバネケースに収容されるコイ
   ルバネとスプリングボルトが、Ｕ型プランジャに備える
   係止爪とバネ丁番ベースの係止穴との係合により留めら
   れる眼鏡枠のバネ丁番において、前記Ｕ型プランジャが
   当接する前記バネ丁番ベースのガイド溝底の部分に前記
   Ｕ型プランジャより幅が狭く、底面が緩やかな曲面をな
   し、中央部が深くなる凹溝部を備えたことを特徴とする
   バネ丁番。