JP3024766B2 - トリプトファン生産能を有する乳酸桿菌 - Google Patents

トリプトファン生産能を有する乳酸桿菌

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus
casel;以下、「乳酸桿菌」とも呼ぶ)におけるトリプト
ファン生合成に関与する遺伝子、乳酸桿菌に外来遺伝子
を導入する際に使用されるシャトルベクター及び、かか
るシャトルベクター系を用いてトリプトファン合成系遺
伝子を導入することにより形質転換された乳酸桿菌株に
関する。
更に詳しくは、乳酸桿菌由来のトリプトファン合成系
遺伝子を含有するDNA、ストレプトコッカス・フィーカ
リス(Streptococcus faecalis)DS5株由来のプラスミ
ドpAMβ1の一部が欠落したプラスミドpAMβ1−1、ま
たはpAMα1の少なくとも一部と大腸菌由来のプラスミ
ドとを結合して構成される、シャトルベクター、該シャ
トルベクターに、さらに、トリプトファン合成系遺伝子
を含有するDNAを結合したプラスミド、そして、かかる
プラスミドを用いて導入されたトリプトファン合成系遺
伝子を保有することによりトリプトファン生産能を獲得
した乳酸桿菌株に関する。
[従来の技術及び発明が解決しようとする問題点] 乳酸桿菌はヨーグルト、乳酸菌飲料、チーズなどの乳
製品製造、飼料の製造、醗酵法による乳酸の製造などの
産業分野において広く用いられている重要な菌であり、
この菌を所望の性質を発現するように人為的に改変して
育種することができれば産業上のメリットも極めて大と
なり、従ってこの育種の手段としての遺伝子工学的手法
はかかる観点からしても非常に重要な手段となるはずで
ある。
また、トリプトファンは動物の必須アミノ酸のひとつ
であり、その工業的生産方法に関しては多くの研究がな
されている。そこでラクトバチルス属細菌によりトリプ
トファンの生産が可能となれば産業上の利益は極めて大
きく、また、このトリプトファン生産能を有する生菌
を、乳製品として、或いは菌製剤として動物や人が飲用
することにより生体内でトリプトファンを生産させるこ
とができれば体外からのトリプトファンの補給が不必要
であるばかりでなく、腸内で産生する有害物質であるイ
ンドールを有用なトリプトファンに変換可能となり、家
畜や人の健康の上でも、その利益は大きいと考えられ
る。
従って、かかる有用な形質を付与した乳酸桿菌の開発
が望まれていた。一方、これまでに、乳酸桿菌に外来遺
伝子を導入する安定な方法が確立されていなかったため
に、この乳酸即金を遺伝子工学的手法を用いて、人為的
に改変することを目的とする技術的な種々の試みには、
殆んど見るべき成果はなかった。しかるに、最近になっ
て本発明者らは、乳酸桿菌に安定に外来DNAを導入する
方法を開発した(特願昭62−294199号及びFumio Imamot
o(Kyoto Pharmaceutical University)eta1.,Techno J
apan,vol.22,No.3,pp,8−18参照。)。この方法を用い
ることにより、外来DNAを乳酸桿菌に導入することが可
能となったことから、その際使用されるベクターに関し
て、有用なベクターの開発、殊に遺伝子工学的手法を用
いて、新たに有用な形質の付与された乳酸桿菌を作成す
るための良好なベクターの開発が求められるようになっ
た。
[問題点を解決するための手段] かかる現状に鑑みて本発明者らは、乳酸桿菌にトリプ
トファン合成系遺伝子を導入して、トリプトファン生産
能を付与した菌株を得るべく、また、その際使用するシ
ャトルベクターに関して良好で有用なものを得るべく研
究を重ねた。
本発明者らは、ラクトバチルス・カゼイRNL7株の染色
体DNAより、トリプトファン生合成に関与する遺伝子の
存在するDNA断片を得、その塩基配列を明らかにするこ
とに成功した。そして、このようなトリプトファン合成
系遺伝子及び他の有用な遺伝子を乳酸桿菌に導入する際
に、必要とされる良好なシャトルベクター構築し、次い
で、これらのシャトルベクターにトリプトファン合成系
遺伝子を結合し、最近、本発明者らが開発した上記の遺
伝子導入法を用いて、トリプトファン合成系遺伝子をト
リプトファン要求性のラクトバチルス・カゼイに導入
し、トリプトファン生産能を有する菌株を作成すること
に成功し、本発明を完成させた。
本発明のシャトルベクターとしては、ストレプトコッ
カス・フィーカリス(Streptococcus faecalis)DS5株
由来のプラスミドpAMβ1及びその一部が欠落したpAMβ
1−1と大腸菌由来のプラスミドベクターを、例えばpB
R322やpUC19などとを結合させて得られるプラスミドで
あるpBLβ15,PBLβ21,pBLβ22,PBLβ23,pBLβ24,PBLβ2
5などが挙げられる。またストレプトコッカス・フィー
カリスDS5株由来のプラスミドpAMα1と大腸菌由来のプ
ラスミドベクター、例えばpACYC177とを結合させて得ら
れるプラスミドであるpHY300PLK(特開昭60−248184を
参照。)なども挙げられる。
本発明の乳酸桿菌由来のトリプトファン合成系遺伝子
の存在するDNA断片は、乳酸桿菌を培養し、得られた菌
体からDNAを取り出し、このDNAを制限酵素のHind IIIで
切断し、この切断されたDNAとHind IIIで切断された大
腸菌由来のプラスミドベクターpBR322とを適当なリガー
ゼを用いてライゲーションし、このようにして得られた
プラスミドを適当な手段、例えばCaCl2溶液中に懸濁さ
せた大腸菌のtrp遺伝子変異体株、例えばE.coli mH3trp
C9830株と接触させ、このようにして大腸菌の形質転換
体を得、そしてこの大腸菌の形質転換体のアンピシリン
耐性及びトリプトファン生産能を指標として選択的に所
要の形質転換体のみを取り出し、これを更に培養し、培
養した菌体からプラスミドを取り出して得ることができ
る。
本発明のシャトルベクターは、ストレプトコッカス・
フィーカリスDS5株由来のプラスミドpAMβ1−1と、大
腸菌由来のプラスミドベクター例えばpBR322やpUC19な
どとを、またはストレプトコッカス・フィーカリスDS5
株由来のプラスミドpAMα1と、大腸菌由来のプラスミ
ドベクター例えばpACYC177とをライゲーションし、この
ようにして得られたプラスミドを適当な手段で大腸菌に
導入し、このようにして得られた大腸菌の形質転換体を
得、これを更に培養し、培養した菌体からプラスミドを
取り出して得ることができる。
また本発明のトリプトファン合成系遺伝子を有する形
質転換された乳酸桿菌は、上記したトリプトファン合成
遺伝子を含むDNA断片を上記したシャトルベクターに適
当なリガーゼを用いて結合させ、得られたトリプトファ
ン合成遺伝子を含むプラスミドを、例えば特願昭62−29
4199号に記載の方法、すなわちエレクトロポレーション
によって乳酸桿菌中に導入することによって得られる。
すなわち、乳酸桿菌を緩衝液に懸濁させ、これに上記
のプラスミドを添加混合し、この懸濁液にパルス電流を
通電することによって乳酸桿菌中に上記のプラスミドを
導入するのである。
このようにエレクトロポレーションに付した乳酸桿菌
を次いで公知の選別過程に付して、得られた形質転換体
を選別する。形質転換体は、例えば各種の抗生物質に対
する耐性などにより選別される。
次に実施例によってこの発明を更に具体的に説明する
ことにする。なお、これらの実施例は本発明を説明する
ためのものとして開示するものであって、この記載によ
って本発明が限定されるものではない。
実施例 1 ラクトバチルス・カゼイのトリプトファン合成系遺伝子
のクローニング (1) ラクトバチルス・カゼイのDNAの抽出及び精製 次の培地組成: トマトジュース抽出物 400ml グルコース 20g 溶性デンプン 0.5g 酵母エキス(イーストエキストラクト)(Difco) 6g ポリペプトン(大五栄養) 15g グルタミン酸ナトリウム 2g Tween80 1g CH3COONa・3H2O 10g KH2PO4 4g NaCl 5g DL−スレオニン 2g 蒸留水 600ml *トマトジュース抽出物は、市販トマトジュース〔デル
モンテ(Del Monte)社製〕に等量の蒸留水を加え、約6
0℃で1時間加熱し、更に100℃で5分間加熱した後、冷
却して、水不溶物を別して調整した。
より成る培地をNaOHでpH6.8に調整した後オートクレー
ブを用いて、120℃で15分間滅菌処理した。
この培地は使用時にアスコルビン酸ナトリウム3.4gと
L−システイン200mgを蒸留水に溶かして10mlとし、無
菌過した溶液10mlを加えた。
得られた培地500mlに別にこの培地中37℃で終夜静置
培養したラクトバチルス・カゼイRNL7株の培養液5mlを
接種し、37℃で静置培養した。A600=0.3となった時点
で菌体を遠心分離により捕集した。菌体を1mM EDTAを
含む10mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0以下TEと略称)で2
回洗浄し、次いで25%(w/v)蔗糖を含むTE3mlに懸濁し
た。これにリゾチーム溶液(20mg/ml−0.25M Tris−C
l,pH8.0)0.2mlを加え、37℃で60分間保温した。これに
120mM EDTAを含む100mM Tris−HCl緩衝液(pH9.0)3m
l,10%ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)1.5ml及びProtei
nase K(4mg/ml−蒸留水)0.2mlを加え更に37℃で60分
間保温した後100mM Tris−HCl(pH9.0)を4ml加えた。
この溶液にTE飽和フェノールを加えてゆるく振盪した。
混液を遠心分離して上清画分を分取した。これに100mM
Tris−HCl(pH9.0)を4ml加え、TEに対し透析した。
透析後RNaseAを10μg/mlとなるよう加え37℃で30分保温
し、次いでProteinase Kを50μg/mlとなるよう加えて更
に37℃で30分間保温した。この溶液にSDSを0.5%となる
量で加えてTE飽和フェノール−クロロホルム−イソアミ
ルアルコール25:24:1混液で3回洗浄した。更にクロロ
ホルム−イソアミルアルコール24:1混液で1回洗浄した
後セシウムクロライド−エチジウムブロマイド濃度勾配
超遠心分離をおこない、精製DNAを得た。
(2) ライゲーション (1)で得られたDNA1μgを50mM NaCl,10mM Tris
−HCl(pH7.5),10mM MgCl2,1mMメルカプトエタノール
を含む溶液20μに溶解し、Hind III1μを加え37℃
で2時間インキュベートした。0.5M EDTA1μgを加え
た後TE飽和フェノール−クロロホルム−イソアミルアル
コール25:24:1混液で3回洗浄し、次いでクロロホルム
−イソアミルアルコール24:1で1回洗浄した。得られた
DNAを含む溶液に1/10倍量の3M CH3COONa水溶液及び2.2
倍量のエタノールを加え、−80℃で10分間静置した後15
000rpmで5分間遠心分離して、DNAの沈澱を得た。このD
NA沈澱を70%エタノールで洗浄し、真空下で乾燥した後
滅菌蒸留水に溶解した。
pBR322 1μgを50mM NaCl,10mM Tris−HCl(pH7.
5),10mM MgCl2,1mMメルカプトエタノールを含む溶液2
0μ中で、Hind III1μを加え37℃で2時間インキュ
ベートした。0.5M EDTA1μgを加えた後、TE飽和和フ
ェノール−クロロホルム−イソアミルアルコール25:24:
1混液で3回洗浄し、次いでクロロホルム−イソアミル
アルコール24:1で1回洗浄した。得られたDNAを含む溶
液に1/10倍量の3M CH3COONa水溶液及び2.2倍量のエタ
ノールを加え、−80℃で10分静置した後15,000rpmで5
分間遠心分離してDNAの沈澱を得た。DNA沈澱を70%エタ
ノールで洗浄し、真空下で乾燥した後、滅菌蒸留水25μ
に溶解した。これにTE25μ,1M Tris−HCl(pH8.
8)2μを加え更にE.coli alkaline phosphataseを加
えて65℃,30分間インキュベートした。TE飽和フェノー
ル−クロロホルム−イソアミルアルコール25:24:1混液
で3回洗浄し、更に、クロロホルム−イソアミルアルコ
ール24:1で1回洗浄した。得られた水層に1/10倍量の3M
CH3COONa及び2.2倍量のエタノールを加え−80℃で10分
間静置してDNAを不溶化させ、15000rpmで5分間遠心分
離してDNAの沈澱を得た。この沈澱を70%エタノールで
洗い、真空下乾燥した後滅菌蒸留水に溶解した。
Hind IIIで切断したラクトバチルス・カゼイのDNA50
〜500ng及びHind IIIで切断したpBR322 50〜500ngを含
む、ライゲーションバッファー(50mM Tris−HCl,pH7.
4,10mM MgCl2,10mM ジチオトレイトール、1mM スペ
ルミジン、2mM ATP,0.1mg/ml牛血清アルブミン)10μ
にT4DNAリガーゼ1μを加え12℃で12〜16時間イン
キュベートした。TE飽和フェノール−クロロホルム−イ
ソアミルアルコール25:24:1で3回洗浄し、次いでクロ
ロホルム−イソアミルアルコール24:1で1回洗浄した後
1/10倍量の3M CH3COONa水溶液及び2.2倍量のエタノー
ルを加えDNAを不溶化し、−80℃で10分間 静置した後15000rpm,5分間遠心分離して、DNAの沈澱を
得た。この沈澱を70%エタノールで洗い、真空下乾燥し
た後滅菌蒸留水10μに溶解した。
(3) 大腸菌の形質転換 E.coli mH3trpC9830株を試験管中のL−ブロス(バク
トトリプトン1%,酵母エキス0.5%,NaCl0.5%,グル
コース0.1%より成る)5mlに接種し37℃でA550=0.3と
なるまで振盪培養した。菌体を4℃,3000rpm,10分間遠
心分離して捕集した。菌体を0.1M MgCl22.5mlに懸濁し
た後4℃,3000rpm,10分間遠心分離して菌体を捕集し
た。菌体を0.1M CaCl2に懸濁し、氷中に20分間静置し
た。再び4℃,3000rpm,10分間遠心分離して菌体を捕集
し、菌体を0.1M CaCl20.5mlに懸濁してコンピテント菌
体を調製した。
(2)で得られたDNA10μに100μのコンピテント
菌体を加え0℃で1時間放置した後42℃で10分間保温し
た。これを室温に放置し、液温を室温にもどした後、L
−ブロス1mlを加え37℃で1時間培養した。次いで、室
温で3000rpm,10分間遠心分離して菌体を捕集した。菌体
を更に2回滅菌食塩水で洗浄した後、生理食塩水1mlに
懸濁した。この菌懸濁液を、25μg/mlアンピシリンを添
加したVogel−Bonner寒天培地(MgSO4・7H2O0.02%,ク
エン酸−水和物0.2%,KH2PO41%,NaNH4HPO4・4H2O0.35
%,グルコース0.5%,カザミノ酸0.2%)の表面に塗布
して、37℃にて一昼夜培養した。この寒天培地上にコロ
ニーを形成した形質転換体につき、保有プラスミドを調
べた。本プラスミドはpTLC100と命名した。
このプラスミドpTLC100の構築過程は第1図で示され
る。
(4) クローニングされたラクトバチルス・カゼイDN
Aの性質 (a) 得られたプラスミドを用いて(3)に示された
のと同一の方法で調製したE.coli W3110のtrp変異株コ
ンピテント菌体の形質転換を(3)に示すのと同一の方
法でおこない、(3)で示したアンピシリン25μg/ml含
有Vogel−Bonner寒天培地上でのコロニーの形質を調べ
た。その結果を下の表に示す。
以上の結果及び(3)の結果より、クローニングされ
たラクトバチルス・カゼイDNAは、E.coliのtrpC,trpF,t
rpB及びtrpAの変異に対し、相補性を示す。
(b) 次に得られたプラスミドを各種の制限酵素で切
り、電気泳動上の挙動を調べる事により、制限酵素地図
を作成した。
pTLC100 0.1〜0.3μgを含む、緩衝液20μに一種
以上の制限酵素を加え、37℃,2時間インキュベートする
かまたは必要に応じ、一種の制限酵素を用いてインキュ
ベートした後更に緩衝液を変えて別の制限酵素を加えて
インキュベートをおこなった。インキュベート終了後0.
5M EDTA1μを加え、0.8%アガロースゲル、1.2%ア
ガロースゲルの電気泳動をおこない、DNAのバンドの
数、移動度を調べた。用いた制限酵素と緩衝液を下に示
す。
この結果、第2図に示される制限酵素地図を作成し
た。
(c) 得られたラクトバチルス・カゼイDNAを各種制
限酵素で切断し、これをpUC9又はpUC19にサブクローニ
ングした。サブクローニングしたDNA断片を用い、宝酒
造(株)製のDNAシークエンシングキットを使ったダイ
デオキシ法によりDNAの全塩基配列の決定をおこなっ
た。決定された全塩基配列を第3図に示す。ここで決定
されたDNAはシーケンスサイズが塩基6468個から成り、D
NA上の各遺伝子の位置は、trpD506→1531,trpC1528→23
10,trpF2462→3061,trpB3045→4265,trpA4252→5052,未
知遺伝子X6325→5666,未知遺伝子Y402→509の各塩基
(数字は各塩基の番号)に対応するものであることが分
った。
このDNAの各遺伝子の位置関係と遺伝子の方向は第4
図に示される。
実施例 2 シャトルベクターpBLβ15の作成 (1) pAMβ1のtra領域が欠落したプラスミドpAMβ
1−1 0.3μgを含む緩衝液(100mM NaCl,50mM Tri
s−HCl,pH7.5,10mM MgCl2,1mMメルカプトエタノール)
20μにEcoR I0.125ユニットを加え37℃で1時間イン
キュベートした。0.5M EDTAを1μg加えてインキュベ
ートを停止し、処理液をTE−飽和フェノール−クロロホ
ルム−イソアミルアルコール混液で3回、更にクロロホ
ルム−イソアミルアルコール24:1混液で1回洗浄した。
得られた水層に1/10倍量の3M CH3COONa及び2.2倍量の
エタノールを加え、DNAを不溶化し、−80℃で10分間静
置した後15000rpm,5分間遠心分離してDNA沈澱を得た。
この沈澱を70%エタノールで洗い、真空下で乾燥した
後、滅菌蒸留水に溶解した。
緩衝液の組成が100mM NaCl,50mM Tris−HCl(pH7.
5),10mM MgCl2,1mMメルカプトエタノールであり、制
限酵素がEcoR Iである点を除いては実施例1−(2)に
示したのと同じ条件で、pBR322のEcoR I切断物を得た。
次いで、宝酒造(株)製のライゲーションキットを用
いて、pAMβ1−1とpBR322とのライゲーションをおこ
なった。EcoR I切断pAMβ1−1 0.05〜0.2μg、pBR3
22 0.05〜0.2μgを含む、緩衝液(100mM Tris−HCl,
pH7.6,5mM MgCl2)5μに、プロトコールに従い、A
液30μ,B液5μを加え、16℃で30分〜1時間ライゲ
ーション反応をおこなった。次いで使用菌株がE.coli H
B101である事を除いては実施例1−(3)と同一の条件
下でコンピテント菌体を調製した。ライゲーション反応
液20μにコンピテント菌体100μを加え、0℃で1
時間静置した後42℃で10分間保温した。これを室温に放
置し、液温を室温にもどした後L−ブロス1mlを加え37
℃で1時間培養した。この培養液をL−ブロスに25μg/
mlのアンピシリンを加え1.5%アガロースを添加して調
製した寒天培地の表面に塗布して37℃で一夜培養し、コ
ロニーを得た。
(2) 上記得られた各コロニーをアンピシリン50μg/
mlを含むL−ブロスに接種し37℃で一夜振盪培養した。
培養液1.5mlを取り、15000rpm,1分間遠心分離して菌体
を捕集した。菌体を5mg/mlのリゾチームを含む緩衝液
(50mMグルコース,25mM Tris−HCl pH8.0,10mM EDT
A)100μに懸濁し、室温に5分間放置し、次いで、1
%ラウリル硫酸ナトリウムを含む0.2N NaOHを250μ
加えゆるやかに振盪し、室温に5分間放置した。3M CH
3COOK(pH4.8)を150μ加えゆるやかに振盪し、室温
に5分間放置した。15000rpmで5分間遠心して、上清画
分を得た。上清液に0.6倍量のイソプロピルアルコール
を加えDNAを不溶化し室温で15分間静置した後15000rpm
で5分間遠心分離してDNAの沈澱を得た。この沈澱を70
%エタノールで洗い、真空乾燥した後滅菌蒸留水に溶解
した。
(3) 上記得られたプラスミドを0.8アガロースゲル
で電気泳動をおこないサイズ約22.5kbのプラスミドを選
択し、それらを更に、EcoR Iで切断し、0.8%アガロー
スゲルの電気泳動をおこない、pBR322由来の4.4kbのバ
ンド及びpAMβ1−1由来の2本のバンド(複製開始領
域を含む5kbとエリスロマイシン耐性領域を含む13kbの
バンド)(合計3本のバンド)が認められるプラスミド
を選びpBLβ15と命名した。
このプラスミドpBLβ15の構築過程は第5図で示され
る。
実施例 3 シャトルベクターpBLβ21の調製 (1) pAMβ1−1より、エリスロマイシン耐性遺伝
子を含むDNA断片及び複製開始領域を含むDNA断片の調製 pBLβ15 50μgを含む緩衝液(100mM NaCl,50mM T
ris−HCl,pH7.5,10mM MgCl2,1mMメルカプトエタノー
ル)100μに、Ava I75ユニット、EcoR I75ユニットを
加え、37℃で1時間インキュベートした。更に同量の酵
素を加え更に1時間インキュベートを続けた。0.5M ED
TA20μを加え、インキュベートを停止した後0.8%ア
ガロースゲル電気泳動をおこなった。pAMβ1−1の複
製開始領域を含む5kbのEcoR I−EcoR I断片(以下断片
−1と称す)のバンドを含むゲル及びpAMβ1−1のエ
リスロマイシン耐性遺伝子を含む4kbのAva I−EcoR I断
片のバンドを含むゲルをそれぞれ切り出し、透析バック
に入れ更に電気泳動をおこなって、ゲル内のそれぞれの
DNA断片を溶出した。それぞれのDNA断片を含む溶液(約
3ml)を、TE飽和フェノールで4回洗い、次いで2−ブ
タノールと共に振盪してDNAを含む溶液を約400μまで
濃縮した。この溶液をエーテルで3回洗浄した後1/10倍
量の3M CH3COONa及び2.2倍量のエタノールを加え、DNA
を不溶化し、−80℃で10分間静置した後15000rpmで5分
間遠心分離してDNA沈澱を得た。70%エタノールで洗浄
した後真空下乾燥して、滅菌蒸留水20μに溶解した。
上記のAva I−EcoR I断片約0.5μg,dATP,dCTP,dGTP,d
TTP各0.1mMを含む緩衝液(7mM Tris−HCl,pH7.5,0.1mM
EDTA,20mM NaCl,7mM MgCl2)50μにKlenow酵素1
μ(2ユニット)を加え37℃で1時間インキュベート
し、末端の平滑化をおこなった(この断片を以下断片−
2と称す)。TE飽和フェノール−クロロホルム−イソア
ミルアルコール25:24:1混液で3回洗い、次いでクロロ
ホルム−イソアミルアルコール24:1で1回洗った後1/10
倍量の3M CH3COONa及び2.2倍量のエタノールを加えDNA
を不溶化し、−80℃で10分間置いた後、15000rpm,5分間
遠心してDNAを沈澱した。沈澱を70%エタノールで洗浄
し、真空下で乾燥して滅菌蒸留水に溶解した。
プラスミドpBLβ15と断片1及び断片2との関係を第
6図に示す。
(2) 制限酵素が、Nru Iである点を除いては実施例
1−(2)で示したのと同一の方法でpBR322のNru I切
断物を得た。次いで用いるDNAが断片−2及びpBR322のN
ru I切断物である点を除いては実施例2−(1)に示し
たのと同一の方法でアンピシリン耐性コロニーを得、次
いで実施例2−(2)と同一の方法で各コロニーからプ
ラスミドを精製した。
(3) 上記得られたプラスミドを0.8%アガロースゲ
ル電気泳動をおこないサイズ約8.4kbのプラスミドを選
択し、更にHind IIIで切断してアガロースゲル電気泳動
をおこなってpBR322に断片−2がクローニングされてい
る事を確認した。本プラスミドをpBLβ18と命名した。
(4) 制限酵素がEcoR Iであり、緩衝液が100mM NaC
l,50mM Tris−Cl(pH7.5),10mM MgCl2,1mMメルカプ
トエタノールより成る点を除いては実施例1−(2)で
示したのと同一の方法でpBLβ18のEcoR I切断物を得
た。次いで、用いるDNAが断片−1及びpBLβ18のEcoR I
切断物である点を除いては実施例2−(1)に示したの
と同一の方法でアンピシリン耐性コロニーを得、次いで
実施例2−(2)と同一の方法で各コロニーからプラス
ミドを精製した。
(5) 上記で得られたプラスミドを0.8%アガロース
ゲル電気泳動をおこないサイズ約12.4kbのプラスミドを
選択した。このプラスミドをHind III,Kpn I,Pvu II等
で切断し、アガロースゲル電気泳動上のバンドの挙動よ
り断片−1がクローニングされている事を確認した。本
プラスミドをpBLβ21と命名した。
プラスミドpBLβ18及びプラスミドpBLβ21の構築過程
並びにそれらの制限酵素地図は第7図に示される。
実施例 4 シャトルベクターpBLβ22,pBLβ23の調製 (1) 制限酵素がHinc IIである点を除いては実施例
1−(2)で示したのと同一の方法でpUC19のHinc II切
断物を得た。次いで用いる菌株がE.coli JM105で、用い
るDNAが断片−2及び、pUC19のHinc II切断物であり、
寒天培地の組成がXgal(5−ブロモ−4−クロロ−3−
インドリル−β−D−ガラクトピラノシド)20μg/ml,
アンピシリン25μg/ml,及び寒天1.5%を添加したL−ブ
ロスの寒天培地である点を除いては実施例2−(1)に
示したのと同一の方法で、アンピシリン耐性の白色コロ
ニーを得た。次いで実施例2−(2)と同一の方法で各
コロニーのプラスミドを精製した。
(2) 上記で得られたプラスミドを0.8%アガロース
ゲル電気泳動をおこない、サイズ約6.7kbのプラスミド
を選択した。次いでこれらのプラスミドをHind III,Eco
R I,Pst I及びそれらの組み合わせで切断し、クローニ
ングされたDNAの検討をおこない、断片−2の挿入の方
向が異る2種類のプラスミドを得た。これらのプラスミ
ドをpBLβ19及びpBLβ20と命名した。
プラスミドpBLβ19及びプラスミドpBLβ20の構築過程
並びにそれらの制限酵素地図は第8図に示される。
(3) 用いるプラスミドがpBLβ19である点を除いて
は実施例3−(3)と同一の方法でpBLβ19のEcoR I切
断物を得た。次いで用いるDNAが断片−1及びpBLβ19の
EcoR I切断物である点を除き実施例2−(1)で示した
のと同一の方法でアンピシリン耐性コロニーを得た。次
いで実施例2−(2)と同一の方法で各コロニーのプラ
スミドを精製した。
(4) 上記で得られたプラスミドを0.8%アガロース
ゲル電気泳動をおこない、サイズ約11.7kbのプラスミド
を選択した。次いでこれらのプラスミドをKpn I,Hind I
II,EcoR I及びこれらの組み合わせで切断し、0.8%アガ
ロースゲル電気泳動をおこない、その挙動を調べて断片
−1の方向が異る2種類のプラスミドを得た。これらの
プラスミドをpBLβ22及びpBLβ23と命名した。
プラスミドpBLβ22及びプラスミドpBLβ23の構築過
程、並びにそれらの制限酵素地図は第8図及び第9図
(A),(B)に示される。
実施例 5 シャトルベクターpBLβ24,pBLβ25の調製 用いるプラスミドがpBLβ20である点を除き、実施例
4−(3),4−(4)と同一の方法でpBLβ20に断片−
1の挿入方向が異る2種類のプラスミドを得た。これら
のプラスミドをpBLβ24及びpBLβ25と命名した。
プラスミドpBLβ24及びプラスミドpBL25の構築過程、
並びにそれらの制限酵素地図は第8図及び第9図
(C),(D)に示される。
実施例 6 pHY300PLKによるラクトバチルス・カゼイの形質転換 実施例1に示したラクトバチルス・カゼイの培地より
Tween80及びDL−スレオニンを除いた培地を菌の培養に
用いた。なおこのプラスミドpHY300PLKは特開昭60−248
184号に開示されている。
ラクトバチルス・カゼイJCM1053株の終夜培養液0.2ml
を試験管中の上記培地10mlに接種し、A600=0.2となる
まで静置培養した。4℃で3000rpm,10分間遠心分離して
菌体を捕集した。菌体を0.4Mスクロースを含む8mMリン
酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)で2回洗浄し、次いで、
0.1mlの上記緩衝液に懸濁した。菌体懸濁液100μにpH
Y300PLK1μgを含む水溶液50μ,40%ポリエチレング
リコール2000水溶液250μを加え撹拌して0℃に10分
間放置した。次いでバイオラッド社製ジーンパルサーを
用い、2kV,1μFの条件下で通電し、再び0℃で10分間
静置した。4℃で15000rpm,2分間遠心して菌体を捕集
し、上記培地1mlに懸濁し37℃で3時間培養した。この
培養液0.3mlを上記培地にテトラサイクリン10μg/ml及
び寒天1.5%を添加した寒天培地に塗布し、37℃で3日
間嫌気的に培養したところ、寒天培地1枚当り560個の
テトラサイクリン耐性コロニーを得た。pHY300PLKを添
加せずに同一の実験をおこなったところテトラサイクリ
ン耐性のコロニーは得られなかった。
実施例 7 シャトルベクターpBLβ21によるラクトバチルス・カゼ
イの形質転換 実施例6のプラスミドをpBLβ21に変え、寒天培地の
テトラサイクリンをエリスロマイシンに変えた他は同一
の条件でラクトバチルス・カゼイIAM1045株の形質転換
をおこない寒天培地1枚当り673個のエリスロマイシン
耐性コロニーを得た。pBLβ21を添加せずに同一の実験
をおこなったところエリスロマイシン耐性コロニーは得
られなかった。
実施例 8 シャトルベクターpBLβ25によるラクトバチルス・カゼ
イの形質転換 実施例7のプラスミドをpBLβ25に変えた他は実施例
7と同一の条件で形質転換をおこない、1120個のエリス
ロマイシン耐性コロニーを得た。pBLβ25を添加しない
で同一の実験をおこなった場合はエリスロマイシン耐性
コロニーは得られなかった。
実施例 9 ラクトバチルス・カゼイtrp遺伝子のpBL25へのクローニ
ング (1) pTLC100 20μgを含む緩衝液(50mM NaCl,10m
M Tris−HCl(pH7.5),10mM MgCl2,1mMメルカプトエ
タノール)400μにHind III30ユニットを加え37℃で
1時間インキュベートした。更に30ユニットの酵素を加
え37℃で1時間インキュベートを続けた。0.5M EDTA20
μを加えインキュベーションを停止後0.8%アガロー
スゲル電気泳動をおこなった。ラクトバチルス・カゼイ
trp遺伝子を含む6.47kbのDNA断片のバンドを含むゲルを
切り出し、透析バックに入れ、更に電気泳動をおこなっ
てDNA断片を溶出した。DNA断片を含む溶液(約3ml)をT
E飽和フェノールで4回洗い、次いで2−ブタノールと
共に、振盪してDNAを含む溶液を約400μまで濃縮し
た。この溶液をエーテルで3回洗浄した後1/10倍量の3M
CH3COONa及び2.2倍量のエタノールを加えDNAを不溶化
し、−80℃で10分間静置した後15000rpmで5分間遠心分
離してDNA沈澱を得た。70%エタノールで洗浄した後真
空下で乾燥して滅菌蒸留水20μに溶解した(得られた
DNA断片を断片−3と称す。)。
このDNA断片約0.5μg,dATP,dCTP,dGTP,dTTP各0.1mMを
含む緩衝液(7mM Tris−HCl,pH7.5,0.1mM EDTA,20mM
NaCl,7mM MgCl2)30μにKlenow酵素2μ(4ユ
ニット)を加え37℃で1時間インキュベートしDNA末端
を平滑にした。TE飽和フェノール−クロロホルム−イソ
アミルアルコール25:24:1混液で3回洗い、次いでクロ
ロホルム−イソアミルアルコール24:1で1回洗った後 の3M CH3COONa及び2.2倍量のエタノールを加えてDNAを
不溶化し、−80℃で10分間静置した後、15000rpm,5分間
遠心分離してDNAを沈澱させた。沈澱を70%エタノール
で洗浄し、真空下で乾燥して滅菌蒸留水に溶解した。
(2) 使用するプラスミドがpBLβ25であり、制限酵
素がSma Iであり、緩衝液組成が20mM KCl,10mM Tris
−HCl(pH8.0)10mM MgCl2,1mMメルカプトエタノール
である点を除いては実施例1−(2)で示したのと同一
の方法でpBLβ25のSma I切断物を得た。次いで、用いる
DNAがpTLC100より上記(1)によりHind IIIで切り出し
末端を平滑にしたラクトバチルス・カゼイtrp遺伝子を
含むDNA、及び、pBLβ25のSma I切断物である点を除い
ては実施例2−(1)に示したのと同一の方法でアンピ
シリン耐性コロニーを得、次いで実施例2−(2)と同
一の方法で各コロニーからプラスミドを精製した。
(3) 上記得られたプラスミドを0.8%アガロースゲ
ル電気泳動をおこない、サイズ約18kbのプラスミドを得
た。これを更に数種の制限酵素で切断し、アガロースゲ
ル電気泳動をおこない、ラクトバチルス・カゼイtrp遺
伝子がクローニングされている事を確認し、更に遺伝子
の挿入されている方向を確認した。得られたプラスミド
をpTLC150と命名した。
プラスミドpTLC150の構築過程は第10図に示される。
実施例 10 trp+のラクトバチルス・カゼイJCM1053株の取得 (1) 実施例6のプラスミドをpTLC150に変え、寒天
培地のテトラサイクリンをエリスロマイシンに変えた他
は同一の条件でラクトバチルス・カゼイの形質転換をお
こない寒天培地1枚当り155個のエリスロマイシン耐性
コロニーを得た。実施例1の培地よりTween80及びDL−
スレオニンを除き、エリスロマイシンを3μg/mlとなる
よう加えた培地に、得られたコロニーを接種し、一夜37
℃で静置培養した。培養液3mlを15000rpmで1分間遠心
分離して菌体を捕集し、50mM NaCl及び5mM EDTAを含
む30mM Tris−HCl(pH3.0)800μで1回洗い、リゾ
チーム溶液(10mg/ml−50mMグルコース、10mM EDTA,25
mM Tris−HCl pH8.0)100μに菌株を懸濁させた。3
7℃で45分間保温した後、0.2M NaCl及び1%SDSより成
る溶液250μを加え室温で10分間静置した。次いで0.3
MCH3COOK(pH4.8)を加え氷中で5分間静置し、15000rp
mで5分間遠心分離して上清を得た。RNase(400μ/m
l)2μを加え37℃で10分間保温し、次いでプロテイ
ネイスK(3mg/ml)を2μ加え、更に20分間保温し
た。TE飽和フェノール−クロロホルム−イソアミルアル
コール混液25:24:1で2回洗い、クロロホルム−イソア
ミルアルコール24:1で1回洗った後、水層の2倍量のエ
タノールを加えDNAを不溶化し、−80℃で1時間静置し
た後15000rpmで5分間遠心分離し、DNAの沈殿を得た。
沈殿を70%エタノールで洗った後、真空下で乾燥し、滅
菌蒸留水に溶解した。これを0.8%アガロースゲル電気
泳動にかけたところ、pTLC150と同一の移動度を示すプ
ラスミドのバンドが検出された。又、得られたコロニー
をエリスロマイシンを10μg/ml及びアントラニル酸を10
μg/ml含む、次の表の培地に塗布したところ、生育が認
められた。比較の為、ベクターであるpBLβ25を保有す
るラクトバチルス・カゼイJCM1053は同じ培地に生育不
能であった。即ち、ラクトバチルス・カゼイJCM1053株
はラクトバチルス・カゼイRNL7株由来のトリプトファン
遺伝子を保有する事によりトリプトファン非要求性とな
った。トリプトファン非要求性となったラクトバチルス
・カゼイJCM1053株をラクトバチルス・カゼイRNL398
(微工研菌寄第10725号)と命名した。
実施例 11 ラクトバチルス・カゼイtrp遺伝子のpHY300PLKへのクロ
ーニング 使用するプラスミドがpHY300PLKである他は実施例1
−(2)に示したのと同一の方法でpHY300PLKのHind II
Iの切断物を得た。次いで用いるDNAが、実施例9で示し
た断片−3とpHY300PLKのHind III切断物であり、使用
菌株がE.coli mH3trpAE1である点を除いては実施例2
−(1)に示したのと同一の方法でアンピシリン耐性コ
ロニーを得た。得られたコロニーを更に、実施例1−
(3)に示したVogel−Bonner寒天培地にアンピシリン2
5μg/ml及びテトラサイクリン10μg/ml、インドール10
μg/mlとなるよう加えて作成した寒天培地に接種し、ア
ンピシリン及びテトラサイクリンに耐性であり、trp+
あるコロニーを選択した。これらのコロニーより、実施
例2−(2)と同一の方法でプラスミドを精製し、実施
例9−(3)に示したのと同一の方法でプラスミドの確
認をおこなった。得られたプラスミドをpTLC156と命名
した。
プラスミドpTCL156の構築過程は第11図に示される。
実施例 12 trp+のラクトバチルス・カゼイJCM1053株の取得 実施例6のプラスミドをpTLC156に変えた他は同一条
件で本株にpTLC156を導入する操作をおこなった。導入
操作後の培養液を15000rpmで1分間遠心分離して菌体を
捕集し、菌体を生理食塩水で2回洗浄した。菌体を生理
食塩水300μに懸濁し、その100μをインドール10μ
g/ml及びテトラサイクリン10μg/mlを含む実施例10に示
した寒天培地に塗布し、37℃で3日間嫌気的に培養した
ところ寒天培地1枚当り2600個のテトラサイクリン耐性
でtrp+のコロニーを得た。更に実施例10と同一の方法で
プラスミドの確認をおこない、pTLC156と同一のサイズ
のプラスミドを検出した。トリプトファン非要求性とな
ったラクトバチルス・カゼイJCM1053株をラクトバチル
ス・カゼイRNL420(微工研菌寄第10724号)と命名し
た。
実施例 13 実施例10に示した培地にトリプトファン生合成前駆体
であるアントラニル酸又はインドールを加えた培地にRN
L398株及びRNL420株を塗布し、37℃で2日間嫌気的に培
養したところ、生育の状況は次の表に示す結果だった。
一方、pBLβ25又はpHY300PLKを保有するL.casei JCM
1053株は上記培地上では生育不可能であり、実施例10に
示した培地にトリプトファンを添加した培地のみで生育
可能であった。
【図面の簡単な説明】
第1図は、プラスミドpTLC100の構築過程と同プラスミ
ドの制限酵素地図を示す。 第2図は、ラクトバチルス・カゼイDNAの簡単な制限酵
素地図を示す。 第3−(1)〜(5)図は、クラトバチルス・カゼイDN
Aの全塩基配列を示す。 第4図は、ラクトバチルス・カゼイDNA上のtrpA,B,C,F
及びD遺伝子、並びに未知遺伝子X,Yの位置関係を示
す。 第5図はプラスミドpBLβ15の構築過程を示す。 第6図はプラスミドpBLβ15と断片1及び断片2との関
係を示す。 第7図はプラスミドpBLβ18及びpBLβ21の構築過程を示
す。 第8図はプラスミドpBLβ19、pBLβ20、pBLβ22、pBLβ
23、pBLβ24及びpBL25の構築過程を示す。 第9図(A),(B),(C)および(D)の夫々は、
プラスミドpBLβ22、pBLβ23、pBLβ24及びpBLβ25の制
限酵素地図を示す。 第10図は、プラスミドpTLC150の構築過程とその制限酵
素地図を示す。 第11図は、プラスミドpTLC156の構築過程とその制限酵
素地図を示す。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−171487(JP,A) Gene,27(1984)p.55−65 Nac.Aci.Res.9[24 ](1981)p.6647−6668 J.Nol.Biol.156[2 ](1982)p.245−256 J.Bacteriol.159[3 ](1984)p.905−912 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG) Genbank/EMBL/DDBJ/G eneseq JISCTファイル(JOIS)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】乳酸桿菌由来のトリプトファン合成系遺伝
    子を含むDNAであって、下記の塩基配列: における i)506〜1531位(trpD)の塩基配列を有するDNA、また
    はこのDNAにストリンジェントな条件下でハイブリダイ
    ズし、且つ機能的な乳酸桿菌由来のtrpDタンパク質をコ
    ードするもの; ii)1528〜2310位(trpC)の塩基配列を有するDNA、ま
    たはこのDNAにストリンジェントな条件下でハイブリダ
    イズし、且つ機能的な乳酸桿菌由来のtrpCタンパク質を
    コードするもの; iii)2462〜3061位(trpF)の塩基配列を有するDNA、ま
    たはこのDNAにストリンジェントな条件下でハイブリダ
    イズし、且つ機能的な乳酸桿菌由来のtrpFタンパク質を
    コードするもの; iv)3045〜4265位(trpB)の塩基配列を有するDNA、ま
    たはこのDNAにストリンジェントな条件下でハイブリダ
    イズし、且つ機能的な乳酸桿菌由来のtrpBタンパク質を
    コードするもの;および v)4252〜5052位(trpA)の塩基配列を有するDNA、ま
    たはこのDNAにストリンジェントな条件下でハイブリダ
    イズし、且つ機能的な乳酸桿菌由来のtrpAタンパク質を
    コードするもの; の少なくとも1つからなるDNA。
  2. 【請求項2】請求項1に示される塩基配列からなるDN
    A。
  3. 【請求項3】ストレプトコッカス・フィーカリスDS5株
    由来のプラスミドpAMβ1−1のエリスロマイシン耐性
    遺伝子をコードする領域および複製開始領域と大腸菌由
    来のプラスミドとを結合させて得られる大腸菌−乳酸桿
    菌シャトルベクターであって、更に請求項1または2記
    載のDNAを含有することを特徴とする大腸菌−乳酸桿菌
    シャトルベクター。
  4. 【請求項4】請求項3に記載のシャトルベクターを用い
    て形質転換された乳酸桿菌。
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