JP3021835U - 缶容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 環状溝に内容液が残留することがなく、缶内
部に残ることも少なくなる缶容器を提供する。 【解決手段】 側面胴板２と、側面胴板２の上端を閉塞
した上面蓋１と、前記捲き締部３に隣接して形成された
環状溝４と、前記上面蓋１に取り付けられたタブ７と、
タブ７を引き上げることにより切断されて注出口１０が
形成される切目予定線６と、を設けてなる缶容器におい
て、前記切目予定線６の一部は前記環状溝４に延びてお
り、注出口１０が開口された場合この注出口１０の一部
が環状溝４内に位置することを特徴としている。上記の
構成によると、注出口の外周側開口縁部で堰き止められ
る内容液の量が格段に少なくなり、注出が容易になる。
また環状溝内の内容液がすぐに缶内部に流れ落ち、環状
溝の全周に広がることが防止され、衛生的にも優れてい
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、ビール、炭酸飲料、清涼飲料などの缶容器に係わり、特に缶上面に 形成される注出口の構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、飲料用の缶容器は、図５ないし図７に示すように、側面胴板５２の上 端に捲き締部５３を介して上面蓋５１が接合されており、この上面蓋５１には不 分離レバータブやプルタブが設けられている。このタブ５７を引き上げると、上 面蓋５１に形成されている切目予定線５６が破断されて注出口６０が開口される ようになり、この状態で缶容器を傾けるとこの注出口６０から内容液が注出され るようになる。上面蓋５１には上記捲き締部５３の内側に位置して環状溝５４が 形成されており、この環状溝５４は上記タブ５７を引っ張って切目予定部５５を 破断するときに上面蓋５１が容易に変形しないようにリブの作用をなしている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、従来の注出口６０は、上記環状溝５４からある程度離れて上面 蓋５１の中央寄りに形成されている。このような従来の注出口６０の位置によれ ば、注出口６０の最も外周に位置する開口縁６０ａが缶容器の外周から中央より に離れて形成されているために、図７に示すように缶容器を傾けても、内容液が 注出口６０の外周側の開口縁部６０ａで堰き止められることになり、よって缶容 器内の内容液が残り少なくなってくると、缶容器を逆さまにしないと全ての内容 液を注出できず、缶容器内に残ってしまうことになる。

【０００４】 また、喫飲を途中で中断して傾けていた缶容器を元に戻すと、注出口６０から 注出された液の一部が上面蓋５１上に残留し、この液が上面蓋５１上で最も低く 形成されている環状溝５４へ流れ込み、この環状溝５４に沿って回り込んで溜ま ってしまう。環状溝５４に内容液が溜まると環状溝５４内のほこり等が内容液中 に混入してしまい、再び喫飲する際にほこり等を含んだ内容液を飲んでしまうこ とになり、非衛生的である。また環状溝５４に内容液が残留すると、視覚的に悪 い印象を与えてしまうことがあり、外観上好ましくない。

【０００５】 さらに、環状溝５４や缶容器内部に内容液が残留したことに気が付かずに、全 ての内容液が注出されたものと思い込んで缶容器を逆さまにすると、環状溝５４ や缶容器の内部に残っている内容液がこぼれ落ち、床やテーブルまたは衣服や書 類などを汚すなどの不具合が生じることもある。

【０００６】 本考案は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、 内部に内容液が残留することが少なくなり、かつ環状溝５４に内容液が残留す ることもなくなる缶容器を提供しようとするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するために、請求項１の考案は、 下端が閉塞された側面胴板と、この側面胴板の上端に捲き締部を介して接合さ れ、この側面胴板の上端を閉塞した上面蓋と、前記上面蓋の前記捲き締部の内側 に隣接して形成された環状溝と、前記上面蓋に取り付けられたタブと、前記上面 蓋に設けられ上記タブを引き上げることにより切断されて上記上面蓋に注出口を 開口させる切目予定線と、を設けてなる缶容器において、前記切目予定線の一部 は前記環状溝に延びており、上記切目予定線が切断された場合に開口される上記 注出口の一部が環状溝に位置していることを特徴としている。

【０００８】 上記の構成によると、注出口の外周側開口縁部が環状溝にかかっているので上 面蓋の外周に近くなり、この注出口の外周側開口縁部で堰き止められる内容液の 量が格段に少なくなる。このため缶容器を完全な逆さにしなくても内容液の全部 またはほとんど全部を注出させることができる。

【０００９】 また、注出口の一部が環状溝に位置して形成されているので、注出口から溢れ て環状溝に溜まろうとする内容液が環状溝に回り込む前に注出口から缶内部に流 れ落ちるようになる。よって環状溝に内容液が残留しなくなり、内容液にほこり 等が混ざるのが防止され、衛生的に優れ、外観上好ましくなる。

【００１０】 また、一旦逆さにした缶容器を再び逆さまにしても、環状溝や缶容器内部に内 容液がほとんど残留していないために、内容液がこぼれ落ちることがなく、床や テーブルまたは衣服や書類を汚すなどの不具合も防止することができる。

【００１１】

【考案の実施の形態】

以下、本考案について図１ないし図４に示す一実施例にもとづき説明する。 図１は缶容器の斜視図、図２は平面図、図３は断面図、図４は缶容器を傾けた 状態の断面図である。

【００１２】 缶容器は上面蓋１と下端が閉塞された側面胴板２とからなる。側面胴板２はア ルミまたはスチールなどにより円筒状に形成されており、下面開口部は側面胴板 ２と一体的に形成された図示しない底板、または側面胴板２と別体に形成された 図示しない底板により閉塞されている。この側面胴板２の上端開口には前記上面 蓋１が水密に接合されている。上面蓋１の周縁部には捲き締部３が形成されてお り、この捲き締部３を前記側面胴板２の上端開口に係止し、これをかしめること によって捲き締部３が側面胴板２の上端開口縁を挟持し、これにより上面蓋１が 側面胴板２に接合されている。この捲き締部３は前記上面蓋１の他の部分よりも 上方に突出して形成されている。

【００１３】 上面蓋１には前記捲き締部３の内側に隣接して環状溝４が周方向に連続して形 成されている。 上記上面蓋１には切断予定部５が形成されている。この切断予定部５は、薄肉 状の切目予定線６により囲まれている。

【００１４】 上記切断予定部５には不分離レバータブ７が取り付けられている。不分離レバ ータブ７は、指を掛けて不分離レバータブ７を引き起こすためのリング部８を有 しており、この不分離レバータブ７はリベット９を介して上記切断予定部５に連 結されている。不分離レバータブ７に指を掛けて上方へ引き上げると、切断予定 部５がてこの原理によって下方へと押されるようになり、これにより切目予定線 ６が破断されて切断予定部５が下方へ押し込まれる。このため上面蓋１に注出口 １０が開口される。

【００１５】 本実施例においては、前記切目予定線６が上面蓋１の中央付近から環状溝４に 伸びこの環状溝４に掛かって形成されている。このため切断予定部５の一部も環 状溝４に掛かって形成されており、この切断予定部５が切断されて注出口１０が 開口された場合、この注出口１０の一部は環状溝４の内部、例えば底部にまで位 置するようになっている。

【００１６】 このような構成によれば、タブ７を引っ張って注出口１０を開口させた場合、 注出口１０の一部が環状溝４の底部にまで掛かっているから、注出口１０の外周 側開口縁部１１と上面蓋１の外周との間隔がほとんどなくなる。そのため図４で 示すように缶容器を傾けると、注出口１０の開口縁１１に堰き止められる内容液 の量が格段に少なくなり、喫飲時に内容液が容易に注出し、かつ内容液がほとん ど残留しなくなる。

【００１７】 さらに、喫飲途中に缶容器を水平な状態に戻すと、注出口１０から流れ出た内 容液が環状溝４へ流れ落ちようとするが、注出口１０の開口縁１１が環状溝４の 内部に位置して環状溝４の一部が注出口１０となっているため、内容液は環状溝 ４に回り込むことなく注出口１０からすぐに缶内部に流れ落ちる。

【００１８】 よって内容液が環状溝４に回り込むのが防止され缶内部に戻されるので、内容 液にほこりが混じることが少なくなる。そのため再び缶容器を口につけて飲む際 にほこり等を含まない内容液を飲むことができ、衛生的に優れたものとなる。

【００１９】 また注出口１０の一部が環状溝４内で開口されているので環状溝４に溜まろう とする内容液は缶内部に流れ落ちてしまい、環状溝４に内容液が残留しないため 、外観上非常に好ましくなっている。

【００２０】 さらに内容液を全て飲んだと思い込んで缶容器を傾けたり逆さまにした場合で も、環状溝４や缶内部の見えない部分に内容液がほとんど残留してないために、 内容液が衣服や書類等に誤ってこぼれ落ちるということがなくなり、それらを汚 すといった不具合も防止できる。

【００２１】 本考案は、上記構成によって格別の作用効果を得るものであるが、本考案の注 出口１０の形状はどのようなものであってもよく、要するに一部が環状溝４に掛 かっていればよい。また注出口１０は必ずしも環状溝４の最底部まで掛かってい なくてもよく、内容液が缶容器内部に良好に流れ落ちれば環状溝４のどこに掛か っていてもよい。またタブは、レバータブ、プルタブいずれであってもよい。

【００２２】

【考案の効果】

以上説明したように本考案によれば、内容液の注出が容易になされ、内部に内 容液が残留することが少なくなり、かつ環状溝に内容液が残留することもなくな り、よって外観や衛生的にも非常に優れた缶容器を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係わる缶容器の斜視図。

【図２】同実施例の缶容器の上面図。

【図３】同実施例の缶容器の断面図。

【図４】同実施例の缶容器を傾けた状態の断面図。

【図５】従来の缶容器の上面図。

【図６】従来の缶容器の断面図。

【図７】従来の缶容器を傾けた状態の断面図。

【符号の説明】

１…上面蓋 ２…側面胴板 ３…捲き締部 ４…環状溝 ５…切断予定部 ６…切目予定線 ７…不分離レバータブ ８…リング部 １０…注出口 １１…注出口の外周側開口縁部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 下端が閉塞された側面胴板と、 この側面胴板の上端に捲き締部を介して接合され、この
   側面胴板の上端を閉塞した上面蓋と、 前記上面蓋の前記捲き締部の内側に隣接して形成された
   環状溝と、 前記上面蓋に取り付けられたタブと、 前記上面蓋に設けられ上記タブを引き上げることにより
   切断されて上記上面蓋に注出口を開口させる切目予定線
   と、 を設けてなる缶容器において、 前記切目予定線の一部は前記環状溝に延びており、上記
   切目予定線が切断された場合に開口される上記注出口の
   一部が環状溝内に位置していることを特徴とする缶容
   器。