JP3013451B2 - ショ糖脂肪酸エステルの製造方法 - Google Patents

ショ糖脂肪酸エステルの製造方法

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JP3013451B2
JP3013451B2 JP3012289A JP1228991A JP3013451B2 JP 3013451 B2 JP3013451 B2 JP 3013451B2 JP 3012289 A JP3012289 A JP 3012289A JP 1228991 A JP1228991 A JP 1228991A JP 3013451 B2 JP3013451 B2 JP 3013451B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ショ糖脂肪酸エステル
(以下、SEと略記する。)の製造方法に係わる。さら
に詳しくは、本発明は溶媒法によって製造された反応混
合物から、SEと未反応ショ糖、溶媒、無機塩および/
または有機酸塩(以下、これらを合わせて塩と略すこと
がある。)を効率よく分離する方法に係わるものであ
る。
【0002】
【従来の技術】SEは可食性の分散剤、乳化剤或は洗浄
剤等として有用な非イオン性界面活性剤である。従来そ
の製造方法としてN,N−ジメチルホルムアミド、ジメ
チルスルホキシド(以下、DMSOと略記する。)等の
溶媒中で、アルカリ触媒の存在下、ショ糖と脂肪酸メチ
ルのような脂肪酸エステルとのエステル交換反応による
方法(特公昭35−13102)等が知られている。
【0003】上記方法によって得られた反応混合物は、
SEの他に溶媒、未反応ショ糖およびアルカリ触媒など
を含有している。この混合物からSEを分離するには、
通常、反応混合物に酸を添加して触媒を中和失活させた
後、溶媒を部分的に蒸留し、次いでヘキサン、ブチルア
ルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ンのような有機溶媒および水を用いて抽出処理し、主と
してSEを有機溶媒相中に、また主として未反応ショ
糖、反応溶媒および塩を水相中にそれぞれ移行させて分
液し、主としてSEを含有する有機溶媒相から有機溶媒
を蒸留除去しSEを回収する方法が提案されている。
(例えば特公昭48−21927、特公昭48−350
49、特開昭50−29417、特開昭50−1307
12)水相中に回収した未反応ショ糖および反応溶媒
は、水を蒸留除去した後、再びSE製造原料として使用
することが工業的製造方法および経済的操業方法として
重要である。しかしながら有機溶媒および水を用いて行
なう抽出処理操作工程において、良好な分液性を得る為
には有機酸塩等の塩析剤添加が必要であるので(特開昭
50−130712)、結果として水相中に回収したシ
ョ糖には塩の蓄積がある。水を蒸留除去して回収ショ糖
をそのまま再びSE製造原料として使用した場合、蓄積
した塩の影響でエステル交換反応速度が遅延する等、当
該方法は経済的操業のための問題点となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、SE製造反
応混合物から塩の蓄積のないショ糖を回収し、再びSE
製造原料として使用する工業的製造方法および経済的操
業方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述の問題
点を解決するための鋭意検討した結果、有機溶媒および
水を用いた従来の方法で分離した水相から、水及び反応
溶媒を濃縮除去し、得られた回収混合物をアルコールと
混合し、塩の混入のない未反応ショ糖を固体として分離
回収して再使用することによって、その目的を達成し
た。すなわち、本発明は、アルカリの存在下、ジメチル
スルホキシドを反応溶媒として、ショ糖と脂肪酸低級ア
ルコールエステルを反応させてショ糖脂肪酸エステルを
製造する方法において、 反応混合物を有機溶媒およ
び水と混合し、次いでショ糖脂肪酸エステルを含む有機
溶媒相と、未反応ショ糖、塩およびジメチルスルホキシ
ドを含む水相とに分離し、 で得た有機溶媒相から
有機溶媒を除去してショ糖脂肪酸エステルを回収し、
で得た水相から水およびジメチルスルホキシドを濃
縮除去した回収混合物を、アルコールと混合し、次いで
塩とジメチルスルホキシドを含むアルコール相と、未反
応ショ糖を含む固相とに分離し、 で得た固相を次
の反応系に再使用することを特徴とするショ糖脂肪酸エ
ステルの製造方法である。
【0006】本発明における脂肪酸低級アルコールエス
テルとしては、炭素数6〜30、好ましくは12〜22
の飽和または不飽和脂肪酸(例えばカプロン酸、カプリ
ン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステ
アリン酸、ベヘニン酸などの飽和脂肪酸;リノール酸、
オレイン酸、リノレイン酸、エルカ酸、リシノール酸な
どの不飽和脂肪酸など)と炭素数1〜6の低級アルコー
ル(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブ
タノールなど)とのエステルが挙げられる。かかる低級
アルコールエステルは、2種以上の混合物として用いて
もよい。脂肪酸低級アルコールエステルは、ショ糖1モ
ルに対して通常0.1〜20モル、好ましくは0.2〜
8モル使用する。
【0007】本発明における反応溶媒としては、熱的安
定性、ショ糖に対する溶解性および安全性の点からし
て、DMSOが用いられる。溶媒の使用量は、ショ糖と
脂肪酸低級アルコールエステルとの合計仕込量に対し
て、通常20〜150重量%、好ましくは50〜80重
量%である。本発明におけるアルカリ触媒としては、ア
ルカリ金属水素化物、アルカリ金属水酸化物、弱酸のア
ルカリ金属塩等が有効であり、特に炭酸アルカリ金属塩
(例えば炭酸カリウムなど)が好ましい。
【0008】本発明における触媒の中和失活に用いられ
る酸としては、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸などの無機
酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸、
安息香酸、クエン酸、乳酸、さらに炭素数8〜22の高
級脂肪酸などの有機酸などがあげられる。これらの中、
装置材質への腐食性、水への溶解性、食品用添加物とし
ての安全性の点から、クエン酸または乳酸が特に好まし
い。
【0009】本発明においては、エステル交換反応後の
反応混合物に有機溶媒と水を混合して、液−液抽出を行
う。ここで、必ずしも必須ではないが、液−液抽出前に
反応混合物からDMSOを濃縮除去しておくことが、抽
出に要する有機溶媒と水の使用量削減の点から好まし
い。DMSOの除去は、通常は反応混合物中のDMSO
濃度として5〜60重量%、好ましくは10〜50重量
%まで濃縮除去すればよい。DMSOを除去しすぎると
濃縮混合物の粘度が大きくなり、以後の取扱いに不都合
となる。
【0010】本発明における液−液抽出は二相の比重差
を利用する搭式向流接触装置、あるいはこれに機械的攪
拌とか脈動を与える方式などのほかに、遠心力を利用し
て混合と分離を行うポトビルニヤク遠心式抽出機などの
向流方式、オリフィス搭、エゼクターなどの並流方式か
ら選択される。通常、向流方式が採用され、分配効率お
よび水の使用量の点からして向流多段抽出法が工業的方
法として好ましい。本発明における反応混合物の液−液
抽出に用いられる有機溶媒としては、通常、ヘキサン、
n−ブタノール、イソブタノール、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン等であり、好ましくはn−
ブタノール、イソブタノール等が挙げられる。液−液抽
出は塩析剤を添加しなくてもよいが、安定操業上添加す
ることが好ましい。添加する塩析剤は触媒の中和失活時
に生成するものと同種が好ましく、食品添加物としての
安定性および抽出時の界面形成の点からクエン酸塩また
は乳酸塩が好ましい。
【0011】本発明における液−液抽出操作温度は通
常、大気圧下における有機溶媒の沸点以下で行われ、好
ましくは40〜80℃である。有機溶媒の使用量は、反
応混合物中のSE1重量部に対して、通常0.5〜20
重量部、好ましくは1〜10重量部である。有機溶媒と
水との使用割合は、通常有機溶媒1重量部に対して、水
0.05〜10重量部、好ましくは0.2〜2重量部で
ある。本発明における液−液抽出で得た有機溶媒相から
は、有機溶媒を除去してSEを回収する。かくして得ら
れたSEはそのまま一般的使用に供することができる
が、食品添加物としての用途向けには更に高度に精製す
ることが好ましい。すなわち、水蒸気処理することによ
り微量の有機溶媒を除去することが好ましい。水蒸気処
理後の水を含む粗SEは濃縮・乾固することにより、精
製されたSEが製造できる。
【0012】本発明における液−液抽出後の水相は、未
反応ショ糖、DMSOおよび塩を含んでいる。この水相
から水とDMSOを濃縮除去後、さらに塩を除去して未
反応ショ糖のみを分離回収する工程へと移行する。ま
ず、上記水相から水を蒸留除去し、更に、要すればDM
SO濃縮除去を行う。未反応ショ糖の安定性の点から、
減圧下で蒸留することが好ましく、先に水、次いでDM
SOが留去される。水は、アルコールを加えてショ糖を
析出させる次工程において不都合であるので、できるだ
け除去することが必要である。水の留去に引続いてDM
SOを濃縮除去する場合、沸点の関係から、水の濃度は
回収混合物中、通常、約1重量%以下となる。DMSO
濃縮除去することが不要である場合も同様に、水の濃度
は回収混合物中、通常1重量%以下、好ましくは0.1
重量%以下となるように調節する。DMSOの濃縮除去
も、水の場合と同様に、できるだけ除去することが好ま
しいが、全量を除去してしまうと回収混合物の粘度が上
昇するなど、取扱いに不便をきたすので、通常は回収混
合物中のDMSO濃度として5〜50重量%、好ましく
は10〜30重量%とする。但し、反応混合物からのD
MSO除去量が充分多い場合には、回収混合物中のDM
SO濃度が初めから適当であることがあり、かかる場合
には、あえてDMSOの濃縮除去を要さない。
【0013】このようにして、水、更に要すればDMS
Oを除去して得られた回収混合物を、次いでアルコール
と混合する。アルコールの使用量は、この回収混合物1
重量部に対し、通常1〜10重量部、好ましくは2〜7
重量部である。アルコールは未反応ショ糖を含む回収混
合物中に添加しても良いが、逆にアルコール中に回収混
合物を添加する方が未反応ショ糖の回収率及び未反応シ
ョ糖と塩の分離の点から好ましい。回収混合物のアルコ
ール中への添加方法は一括、間欠および連続添加から任
意に選択されるが、未反応ショ糖の回収率および未反応
ショ糖と塩の分離の点から連続添加が好ましい。アルコ
ールとの混合温度は通常、大気圧下でアルコールの沸点
以下の温度から選択され、たとえば回収混合物の粘度、
未反応ショ糖の回収率、未反応ショ糖と塩の分離および
ショ糖の安定性等の点から、通常、30〜100℃、好
ましくは40〜80℃の範囲から選ばれる。本発明にお
けるショ糖析出用のアルコールとしては、通常低級アル
コールを使用する。好ましい低級アルコールの例として
はメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプ
ロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等が挙げ
られる。SEの生成反応中に、原料である脂肪酸低級ア
ルコールエステル由来の低級アルコールが反応副生物と
して生成するので、該低級アルコールを、本発明のショ
糖析出用アルコールとして使用する方法は特に工業的に
有利である。
【0014】本発明における固液分離、すなわち未反応
ショ糖を含む固相と塩を含むアルコール相の分離は、濾
過器、ストレナーなどを用いて行う濾過、プレスを利用
する圧搾および遠心分離などから任意に選択される。当
該工程で回収した固相はその主成分が未反応ショ糖であ
るので、これは、SE製造原料として再利用される。か
くして回収した未反応ショ糖は、塩をほとんど含まない
ものであり、次の反応系に繰り返し再使用してもエステ
ル交換反応が遅延することがないものである。
【0015】一方、アルコール相は、アルコールを主成
分とし、DMSOおよび塩を含む混合液である。該アル
コール相からアルコールとDMSOを除いて塩を回収
し、この塩から相当する酸を回収することが出来る。ま
ず、アルコールは蒸留処理して回収するが、これを未反
応ショ糖析出用に再使用することが工業上有利であり好
ましい。次いで、DMSOを回収するが、これも反応溶
媒として再使用することが好ましい。DMSOの回収は
通常の蒸留処理により行われるが、処理温度が高いと微
量混入しているショ糖が分解しやすく、回収したDMS
Oがショ糖分解生成物により汚染されるので、減圧下で
行うことが好ましい。例えば特開昭58−4038で開
示された横形薄膜蒸発器などを使用するとDMSO回収
率の点でより好ましく、横形薄膜蒸発器から排出する濃
縮物へ塩は回収される。
【0016】本発明における上記の回収塩は、さらにイ
オン交換樹脂で処理して塩に相当する酸として回収する
ことが経済的製造方法として特に好ましい。DMSO除
去後の濃縮された回収塩は、水で希釈してイオン交換樹
脂処理することが好ましい。水溶液中の塩濃度は通常
0.1〜50重量%、好ましくは1〜30重量%であ
る。本発明におけるイオン交換樹脂処理温度としては、
通常5〜100℃、好ましくは20〜70℃である。
【0017】本発明における上記の酸の回収方法とし
て、塩を含む水溶液を塩基性陰イオン交換樹脂で処理
し、塩を相当する酸に変換して交換樹脂に保持させ、微
量に残存するショ糖及びDMSOを含む水溶液と分離す
る。次いで該陰イオン交換樹脂に保持した酸はアルカリ
水溶液を通液すると、酸は再び塩の水溶液として交換樹
脂から分離する。ただしこの水溶液は、再生用のアルカ
リが塩と同伴して排出してくるので、次に酸性陽イオン
交換樹脂で処理してアルカリを吸着させて除去すること
により相当する酸が精製された形で回収される。
【0018】本発明において使用するイオン交換樹脂と
しては、種々の化学構造および物理構造を有するものが
挙げられる。その物理構造はゲル型またはポーラス型の
いずれの樹脂も使用することが出来る。また、その架橋
度は幅広いものが適用される。好ましいイオン交換樹脂
の代表的な例として以下に示すものが挙げられるが、本
発明で使用される樹脂はこれらに限定されるものではな
い。陰イオン交換樹脂;三次元に重縮合した高分子基体
に、交換基として4級アンモニウム基または1〜3級ア
ミンを結合させた樹脂であり、具体的な商品として、例
えば、三菱化成(株)製のダイヤイオンSA、PA、W
Aシリーズ等が挙げられる。本発明においてはポーラス
型のスチレン系強塩基性陰イオン交換樹脂であるPAシ
リーズが交換速度、脱色性、再生効率などの点で好まし
い。陽イオン交換樹脂;三次元に重縮合した高分子基体
に、交換基としてスルホン酸基やカルボン酸基などを結
合させた樹脂であり、具体的な商品として、例えば、三
菱化成(株)製のダイヤイオンSK、PK、WKシリー
ズ等が挙げられる。本発明においてはスチレン系強酸性
陽イオン交換樹脂であるSKシリーズが交換速度、再生
効率などの点で好ましい。
【0019】
【実施例】以下に実施例を挙げて詳述するが、本発明は
その要旨を超えない限りこれらの実施例によって限定さ
れるものではない。 参考例(従来法・新ショ糖使用) 反応・濃縮工程 充分に乾燥させた攪拌機付きの30リットル容量の反応
器に、ショ糖3743g、および溶媒としてDMSO1
1.5kgを仕込み、20mmHgの圧力下で溶媒を沸騰さ
せ、その溶媒蒸気を冷却して凝縮・還流させ、かつ20
分後から溶媒の一部を留去し系内を脱水した。DMSO
の留出量が1kgに達した点でその留去を止め、系内液の
水分量を測定したところ、その含水量は0.06重量%
であった。次いで、これに無水炭酸カリウム12g、パ
ルミチン酸メチル529.9g、ステアリン酸メチル2
27.1gを添加し、20mmHgでDMSOを沸騰させな
がら、その蒸気を冷却し、濃縮させて還流するととも
に、生成するメタノールを反応系外に留出させながら反
応させた。反応温度は平均90℃で、脂肪酸メチル99
%転換率の到達時間は2.8時間であった。反応は3時
間行った。反応終了後乳酸の50%水溶液32gを添加
し、触媒を失活させた。反応混合物をゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィーで分析したところ、SE組成
は、モノエステル80.7%、ジエステル17.0%、
トリエステル2.3%(面積百分率)であり、ガスクロ
マトグラフィーで分析したパルミチン酸メチルおよびス
テアリン酸メチルの残存量から算出した脂肪酸メチルの
転換率は99.6%であることが認められた。反応器か
らとりだした反応混合物の組成は、未反応ショ糖19.
9重量%、SE9.7重量%、塩0.15重量%、DM
SO70.2重量%であった。反応器からとりだした反
応混合物15kgは横形薄膜蒸発器(伝熱面積0.1
2 、株式会社日立製作所製)を使用し、加熱部スチー
ム温度110℃、圧力10mmHgの条件下、7kg/Hrの供
給速度で通液したところ、排出液量は5.4kgであっ
た。濃縮反応混合物の組成分析の結果、ショ糖49.5
重量%、SE24.1重量%、塩0.4重量%、DMS
O26.0重量%であった。 液−液抽出工程 上記の濃縮反応混合物を10%含水イソブタノール1
5.5kgに溶解させた。次に、純水15.5kgを加えて
SE−イソブタノール溶液中の未反応ショ糖とDMSO
を2リットル分液ロートを繰り返し使用して水相側に抽
出した。更に、SE−イソブタノール溶液に乳酸カリ1
500ppm を含む純水を加え微量残存する未反応ショ糖
とDMSOを回収した。水相側はフラッシュエバポレー
ターを使用して水を除去した後、未反応ショ糖−DMS
O溶液を回収した。回収した未反応ショ糖中の塩濃度は
1.8重量%であった。
【0020】比較例1〜4(従来法による繰り返し反
応) 参考例で水相側から回収した未反応ショ糖(2000
g)−DMSO溶液を再使用し、新ショ糖1743gを
加えてショ糖原料とし、参考例と同様の原料仕込み組成
となるようにして、反応、濃縮、液−液抽出、ショ糖−
DMSO溶液の回収、新ショ糖を加えての再使用を4回
繰り返し、SEを製造し、脂肪酸メチル99%転換率の
到達時間を測定した。その結果を後記の表1に示した。
実施例1(未反応ショ糖の回収、塩の除去) 比較例の繰り返し反応1回目(比較例1)後の未反応シ
ョ糖−DMSO溶液(ショ糖中の塩濃度3.0重量%)
を使用して未反応ショ糖と塩の分離を行った。未反応シ
ョ糖−DMSO溶液からDMSOを濃縮除去し、DMS
O濃度を23重量%とした。メタノール3kgをジャケッ
ト付きの内容積5リットル卓上型ニーダー(株式会社入
江商会製 PNV−5型)へ仕込み40℃に保持した
後、60℃の回収ショ糖−DMSO溶液750gを30
分で滴下し、滴下終了後60分混合した。次に、保留粒
子径1μmの濾紙を充填した内容積1リットルの加圧濾
過器を使用してニーダー内の液相と固相を分離した。そ
の結果を後記の表2に示した。回収した固相の未反応シ
ョ糖中の塩濃度は0.03重量%であった。
【0021】実施例2(未反応ショ糖の回収、塩の除
去) 比較例の繰り返し反応4回目(比較例4)後の未反応シ
ョ糖−DMSO溶液(ショ糖中の塩濃度5.8重量%)
を使用した以外は実施例1と同様の操作を行った。その
結果を後記の表3に示した。回収した固相の未反応ショ
糖中の塩濃度は0.5重量%であった。
【0022】実施例3(本発明法の回収未反応ショ糖を
用いた反応) 実施例2の固相からメタノールを除去して、未反応ショ
糖(ショ糖99.4重量%、塩0.5重量%)を回収
し、新ショ糖を補給せずにショ糖原料とした以外は参考
例と同様の仕込み組成でエステル交換反応を行った。そ
の結果、脂肪酸メチル99%転換率の到達時間は2.8
Hrであり、新ショ糖を使用した反応速度と同等であるこ
とが確認された。
【0023】実施例4〜7(本発明法の工程による繰り
返し反応) 実施例2でアルコール添加により析出させた固相から、
メタノールを除去して回収した未反応ショ糖2000g
を再使用し、新ショ糖1743gを加えてショ糖原料と
した。当該ショ糖原料を用い、参考例と同様の原料仕込
み組成となるようにして、反応、濃縮、液−液抽出、シ
ョ糖−DMSO溶液の回収およびアルコール添加による
塩の除去をおこなった。これに引き続き、新ショ糖を加
えての再使用を4回繰り返し、SEを製造し、脂肪酸メ
チル99%転換率の到達時間をそれぞれ測定した。その
結果を後記の表4に示した。実施例3〜7より判るよう
に、比較例1〜4と比として、本発明法は繰り返し未反
応回収ショ糖を再使用しても塩の蓄積は抑えられ、新シ
ョ糖を使用した場合とほぼ同等な脂肪酸メチル99%転
換率の到達時間が得られる。
【0024】実施例8(酸の回収) 実施例2の液相からメタノールを除去して、微量のショ
糖、塩およびDMSOを回収した。更に、ロータリーエ
バポレーター(操作条件90℃、1mmHg)を使用してD
MSOを除去した後の組成は、ショ糖47重量%、塩
(乳酸カリ)48重量%、DMSO5重量%であった。
これを純水で希釈して塩濃度10重量%の水溶液とし、
イオン交換樹脂処理に供した。イオン交換樹脂は内径5
cm、高さ80cmのジャケット付きガラス製カラムに三菱
化成(株)製のPA−308(強塩基性陰イオン交換樹
脂)を800ml充填し、30℃に保持した。次に、30
℃の上記水溶液500gを2400ml/Hrの速度で通液
した。全量通液後、500mlの純水を同様に通液して洗
浄した。上記操作で乳酸がPA−308樹脂に吸着し、
ショ糖及びDMSOから乳酸が分離された。乳酸を吸着
したPA−308に5重量%水酸化カリ水溶液500ml
を通液し、再生すると同時に、乳酸カリを排出した。排
出した乳酸カリ水溶液は同時に水酸化カリを含むので、
次に強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化成(株)製 SK
−1B)を使用して処理した。操作条件としては上述と
同じガラスカラムに800mlのSK−1B樹脂を充填し
て使用し、30℃で2400ml/Hrで通液して、乳酸水
溶液を得た。電位差中和滴定方法で分析した乳酸の回収
率は仕込み量(触媒中和用酸及び塩析剤として添加され
た量の全量)の70%であり、高収率で回収されたこと
が認められた。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】
【発明の効果】本発明の方法によれば、反応混合物中か
ら高純度の未反応ショ糖を分離・回収して、反応に再使
用し、繰り返し使用することにより経済的に効率よくシ
ョ糖脂肪酸エステルを製造することができ、再使用して
もエステル交換反応を遅延させることがない。また、有
機酸/無機酸を経済的に分離・回収することが出来るの
で再使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の工程の一例を示す簡単なフロ
ー図である。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリの存在下、ジメチルスルホキシ
    ドを反応溶媒として、ショ糖と脂肪酸低級アルコールエ
    ステルを反応させてショ糖脂肪酸エステルを製造する方
    法において、 反応混合物を有機溶媒および水と混合
    し、次いでショ糖脂肪酸エステルを含む有機溶媒相と、
    未反応ショ糖、塩およびジメチルスルホキシドを含む水
    相とに分離し、 で得た有機溶媒相から有機溶媒を
    除去してショ糖脂肪酸エステルを回収し、 で得た
    水相から水およびジメチルスルホキシドを濃縮除去した
    回収混合物を、アルコールと混合し、次いで塩とジメチ
    ルスルホキシドを含むアルコール相と、未反応ショ糖を
    含む固相とに分離し、 で得た固相を次の反応系に
    再使用することを特徴とするショ糖脂肪酸エステルの製
    造方法。
  2. 【請求項2】 水相から水およびジメチルスルホキシド
    を濃縮除去した回収混合物1重量部に対し、アルコール
    1〜10重量部を混合することを特徴とする請求項1記
    載の製造方法。
  3. 【請求項3】 アルコールが低級アルコールである請求
    項1ないし2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 アルコールがメタノール、エタノール、
    n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノー
    ル、イソブタノールから選ばれる請求項1ないし2記載
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 アルカリの存在下、ジメチルスルホキシ
    ドを反応溶媒として、ショ糖と脂肪酸低級アルコールエ
    ステルを反応させてショ糖脂肪酸エステルを製造する方
    法において、 反応混合物を有機溶媒および水と混合
    し、次いでショ糖脂肪酸エステルを含む有機溶媒相と、
    未反応ショ糖、塩およびジメチルスルホキシドを含む水
    相とに分離し、 で得た有機溶媒相から有機溶媒を
    除去してショ糖脂肪酸エステルを回収し、 で得た
    水相から水およびジメチルスルホキシドを濃縮除去した
    回収混合物を、アルコールと混合し、次いで塩とジメチ
    ルスルホキシドを含むアルコール相と、未反応ショ糖を
    含む固相とに分離し、 で得た固相を次の反応系に
    再使用し、 で得たアルコール相をイオン交換樹脂
    で処理することにより、塩に相当する酸を回収すること
    を特徴とするショ糖脂肪酸エステルの製造方法。
  6. 【請求項6】 アルコール相のイオン交換樹脂処理にお
    いて、 アルコール相からアルコールを除去したのち
    水と混合して得られた水溶液を、陰イオン交換樹脂で処
    理して塩に相当する酸を吸着させ、 該陰イオン交換
    樹脂にアルカリ水溶液を通液して酸を脱着させ、塩とア
    ルカリ水溶液の混合物を得て、 該混合物を陽イオン
    交換樹脂で処理することによりアルカリを吸着させ、酸
    を回収することを特徴とする請求項5記載の製造方法。
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