JP3011221B2 - 針状ゲータイト粒子粉末の製造法 - Google Patents

針状ゲータイト粒子粉末の製造法

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JP3011221B2
JP3011221B2 JP4190079A JP19007992A JP3011221B2 JP 3011221 B2 JP3011221 B2 JP 3011221B2 JP 4190079 A JP4190079 A JP 4190079A JP 19007992 A JP19007992 A JP 19007992A JP 3011221 B2 JP3011221 B2 JP 3011221B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録用磁性粒子粉
末を製造する際の出発原料として好適である大きな軸比
(長軸径/短軸径−以下同じ−)を有し、粒度が均斉で
あって、樹枝状粒子が混在していない針状ゲータイト粒
子粉末を工業的に得られる製造法を提供することを目的
とする。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録再生用機器の小型軽量化
が進むにつれて、磁気テープ、磁気ディスク等の記録媒
体に対する高記録密度、高感度特性及び高出力特性等が
要求される。
【0003】磁気記録媒体に対する上記のような要求を
満足させる為に要求される磁性材料粒子粉末の特性は、
高い保磁力と優れた分散性を有することである。
【0004】即ち、磁気記録媒体の高感度化及び高出力
化の為には磁性粒子粉末が出来るだけ高い保磁力を有す
ることが必要であり、この事実は、例えば、株式会社総
合技術センター発行「磁性材料の開発と磁粉の高分散化
技術」(1982年)第310頁の「‥‥磁気テープ性
能の向上指向は、高感度化と高出力化それに低ノイズ化
にあったから、針状γ−Fe2 3 粒子粉末の高保磁力
化と微粒子化を重点とするものであった。‥‥」なる記
載の通りである。
【0005】磁気記録媒体の高記録密度化には、前出
「磁性材料の開発と磁粉の高分散化技術」第312頁の
「‥‥塗布型テープにおける高密度記録のための条件
は、短波長信号に対して、低ノイズで高出力特性を保持
できることであるが、その為には保磁力Hcと残留磁化
Brが‥‥共に大きいことと塗布膜の厚みがより薄いこ
とが必要である。‥‥」なる記載の通り、磁気記録媒体
が高い保磁力と大きな残留磁化Brを有することが必要
であり、その為には磁性粒子粉末が高い保磁力を有し、
ビヒクル中での分散性、塗膜中での配向性及び充填性が
優れていることが要求される。
【0006】磁気記録媒体の残留磁化Brは、磁性粒子
粉末のビヒクル中での分散性、塗膜中での配向性及び充
填性に依存しており、これら特性の向上には、ビヒクル
中に分散させる磁性粒子粉末が大きな軸比を有し、粒度
が均斉であって、樹枝状粒子が混在していないことが要
求される。
【0007】周知の通り、磁性粒子粉末の保磁力の大き
さは、形状異方性、結晶異方性、歪異方性及び交換異方
性のいずれか、若しくはそれらの相互作用に依存してい
る。
【0008】現在、磁気記録用磁性粒子粉末として使用
されている針状マグネタイト粒子粉末、針状マグヘマイ
ト粒子粉末等の磁性酸化鉄粒子粉末又は鉄を主成分とす
る金属磁性粒子粉末は、その形状に由来する異方性を利
用すること、即ち、軸比を大きくすることによって比較
的高い保磁力を得ている。
【0009】これらの磁性粒子粉末は、出発原料である
ゲータイト粒子又は該ゲータイト粒子を加熱処理して得
られた針状ヘマタイト粒子を、水素等還元性ガス中で加
熱還元してマグネタイト粒子又は鉄を主成分とする金属
磁性粒子とし、また、前記マグネタイト粒子を、空気中
で加熱酸化してマグヘマイト粒子とすることにより得ら
れている。
【0010】上述した通り、大きな軸比を有し、粒度が
均斉であって、樹枝状粒子が混在していない磁性粒子粉
末は、現在、最も要求されているところであり、このよ
うな特性を備えた磁性粒子粉末を得るためには、出発原
料であるゲータイト粒子粉末が大きな軸比を有し、粒度
が均斉であって、樹枝状粒子が混在していないことが必
要である。
【0011】従来、出発原料であるゲータイト粒子粉末
を製造する方法としては、第一鉄塩水溶液に当量以上
の水酸化アルカリ水溶液を加えて得られる水酸化第一鉄
コロイドを含む懸濁液をpH11以上にて80℃以下の
温度で酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことによ
り針状ゲータイト粒子を生成させる方法(特公昭39−
5610号公報)、第一鉄塩水溶液と炭酸アルカリ水
溶液とを反応させて得られたFeCO3 を含む懸濁液に
酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことにより紡錘
状を呈したゲータイト粒子を生成させる方法(特開昭5
0−80999号公報)等が知られている。
【0012】また、第一鉄塩水溶液とコバルト塩水溶
液との混合水溶液に当量以上の水酸化アルカリ水溶液を
加えて得られる懸濁液に、酸素含有ガスを通気して酸化
反応を行なうことによりCo含有針状ゲータイト粒子を
生成させる方法(特開昭48−82395号公報)、
前出の方法において、生成する針状ゲータイト粒子の
針状性を改良する目的で、前記懸濁液中にアルミニウム
化合物を添加する方法(特公昭47−30477号公
報、特公昭59−17161号公報及び特開昭64−3
3019号公報)等も知られている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】大きな軸比を有し、粒
度が均斉であって、樹枝状粒子が混在していない磁性粒
子粉末は、現在最も要求されているところであるが、出
発原料であるゲータイト粒子粉末を製造する前出の方
法による場合には、軸比の大きな、殊に、軸比10以上
の針状ゲータイト粒子が生成するが、樹枝状粒子が混在
しており、また、均斉な粒度を有した粒子とは言い難
い。
【0014】前出の方法による場合には、粒度が均斉
であり、樹枝状粒子が混在していない紡錘状を呈した粒
子が生成するが、一方、軸比は高々7程度であり、軸比
の大きな粒子が生成し難いという欠点があり、殊に、こ
の現象は生成粒子の長軸径が小さくなる程顕著になると
いう傾向にある。
【0015】前出の方法による場合には、軸比の大き
な針状ゲータイト粒子を生成することができるが、第一
鉄塩水溶液と水酸化アルカリ水溶液とを反応させて得ら
れる水酸化第一鉄を含むアルカリ性懸濁液の粘度が高く
なって反応時間が長くなるため、生成する針状ゲータイ
ト粒子の粒度が不均斉なものであり、樹枝状粒子が混在
してくる。
【0016】前出の方法による場合には、針状性に優
れた針状ゲータイト粒子を生成させることができるが、
反応液中に添加するアルミニウム化合物の添加量が少な
いとその効果が得られず、また、多いとゲータイトにマ
グネタイトが混在してくるという問題が生じる。
【0017】また、前出ととを組み合わせた場合に
は、コバルト塩水溶液とアルミニウム化合物とを併用す
るために一層マグネタイトが混在し易くなるという問題
が起きる。
【0018】そこで、本発明は、マグネタイトを混在さ
せることなく、大きな軸比を有するとともに、粒度がよ
り均斉で、樹枝状粒子が混在していない、CoとAlと
を含有する針状ゲータイト粒子を生成させることを技術
的課題とする。
【0019】
【課題を解決する為の手段】前記技術的課題は、次の通
りの本発明方法によって達成できる。
【0020】即ち、本発明は、第一鉄塩水溶液と水酸化
アルカリ水溶液とを反応させて得られた水酸化第一鉄を
含むpH11以上のアルカリ性懸濁液に酸素含有ガスを
通気して酸化することにより針状ゲータイト粒子を製造
する方法において、あらかじめ、前記第一鉄塩水溶液に
水可溶性コバルト塩をFeに対しCo換算で0.1〜1
0.0原子%添加しておき、且つ、前記第一鉄塩水溶液
及び前記水酸化アルカリ水溶液のいずれか一方に水可溶
性アルミニウム塩をFeに対しAl換算で0.5〜5.
0原子%添加しておき、当該第一鉄塩水溶液と当該水酸
化アルカリ水溶液とを反応させて水酸化第一鉄を含むp
H11以上のアルカリ性懸濁液を得、次いで、当該懸濁
液中に酸素含有ガスを通気して酸化する途中に、さら
に、水可溶性アルミニウム塩水溶液を添加することによ
り、CoとAlとを含有する針状ゲータイト粒子を生成
させることを特徴とする針状ゲータイト粒子粉末の製造
法である。
【0021】次に、本発明方法実施にあたっての諸条件
について述べる。
【0022】本発明における第一鉄塩水溶液としては、
硫酸第一鉄、塩化第一鉄等の水溶液を使用することがで
きる。
【0023】本発明における水酸化アルカリ水溶液とし
ては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液を
使用することができる。
【0024】本発明における水可溶性コバルト塩として
は、硫酸コバルト、塩化コバルト等を使用することがで
きる。
【0025】水可溶性コバルト塩の添加量は、第一鉄塩
水溶液中のFeに対しCo換算で0.1〜10.0原子
%である。0.1原子%未満である場合には、大きな軸
比を得るための効果が不充分であり、10.0原子%を
越える場合には、過剰のコバルト塩が針状ゲータイト粒
子以外に独立したコバルト化合物を生成したり、マグネ
タイト等が混在することもあるので好ましくない。
【0026】本発明における水可溶性コバルト塩は、生
成する針状ゲータイト粒子の粒径や軸比等の形態に関与
するものであるからその添加時期は、酸素含有ガスを通
気して酸化反応を行なわせる前であることが必要であ
り、第一鉄塩水溶液の液中に添加・溶解させておくか、
又は、別に水可溶性コバルト塩を水に溶解した水溶液を
添加・混合しておく。
【0027】本発明における水可溶性アルミニウム塩と
しては、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミ
ン酸ソーダ等を使用することができる。
【0028】本発明における水酸化第一鉄が生成する前
の第一鉄塩水溶液及び水酸化アルカリ水溶液のいずれか
一方に添加する水可溶性アルミニウム塩は、生成する水
酸化第一鉄の粒子の成長を抑制し、酸化反応により生成
する針状ゲータイト粒子の粒径や軸比等の形態に関与す
るものであるから、あらかじめ、第一鉄塩水溶液及び水
酸化アルカリ水溶液のいずれか一方に添加・溶解させて
おくか、又は、水可溶性アルミニウム塩を水に溶解させ
た水溶液を前記いずれか一方に添加・混合しておく。
尚、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等を使用する
場合には、第一鉄塩水溶液中に添加・溶解させておくこ
とが好ましく、アルミン酸ソーダ等を使用する場合に
は、水酸化アルカリ水溶液中に添加・溶解させておくこ
とが好ましい。
【0029】この場合における水可溶性アルミニウム塩
の添加量は、第一鉄塩水溶液中のFeに対しAl換算で
0.5〜5.0原子%である。0.5原子%未満である
場合には、本発明の目的である生成された水酸化第一鉄
の粒子の成長を抑制する効果が得られず、5.0原子%
を越える場合には、マグネタイトが混在することがあ
る。
【0030】本発明における懸濁液を酸化する途中に添
加する水可溶性アルミニウム塩は、当該水酸化第一鉄を
含むアルカリ性懸濁液の粘度を低減させて、酸化反応に
おける反応速度を早めることに関与するものであるか
ら、添加に当たっては水可溶性アルミニウム塩を水に溶
解させて水溶液として当該懸濁液に添加するのが該液中
に素早く分散させ均一に作用させるためにも好ましい。
【0031】この場合における水可溶性アルミニウム塩
水溶液の添加量は、第一鉄塩水溶液中のFeに対しAl
換算で0.5〜5.0原子%である。0.5原子%未満
の場合には、当該懸濁液の粘度を下げる効果が充分では
なく、5.0原子%を越える場合には、マグネタイトが
混在することがある。
【0032】尚、酸化途中においては、前記添加量の範
囲内で何回かに分けて添加することもでき、また、前記
水酸化第一鉄が生成する前に添加した水可溶性アルミニ
ウム塩の量との総和は、第一鉄塩水溶液中のFeに対し
Al換算で1.0〜10.0原子%である。添加量の総
和が10.0原子%を越える場合には、最終生成物であ
るゲータイト粒子にマグネタイトが混在する危険性が高
くなる。
【0033】本発明における水酸化第一鉄を含む懸濁液
のpHは11以上である。pHが11未満の場合には、
マグネタイトが混在してくることがあり、pHが14を
越える場合には、粘度が高く反応時間が長くなるととも
に、不必要に過剰の水酸化アルカリ水溶液を使用するの
は経済的ではない。従って、pHが12を越え14未満
の範囲とすることが好ましい。
【0034】本発明における反応温度は、30〜45℃
である。30℃未満の場合には、微粒子の針状ゲータイ
トが生成して粒度が不均斉となることがあり、45℃を
越える場合には、マグネタイトが混在することがあるの
で好ましくない。
【0035】本発明における酸化手段は、酸素含有ガス
(例えば空気)を液中に通気することにより行う。
【0036】また、本発明においては、磁性粒子粉末の
特性向上等の為、ゲータイト粒子の生成反応中に、通常
添加されるNi、Zn、P、Si等の異種元素を添加す
ることができる。
【0037】尚、針状ゲータイト粒子粉末を得るための
濾別・水洗・乾燥は常法に従って行なえばよい。
【0038】
【作用】第一鉄塩水溶液と該液中に水可溶性コバルト塩
を添加して水酸化アルカリ水溶液とを反応させて得られ
た水酸化第一鉄を含むアルカリ性懸濁液中に酸素含有ガ
スを通気して酸化することにより、軸比の大きな針状ゲ
ータイト粒子を得るために、単に水可溶性コバルト塩を
添加したのでは反応時間が長くなり、得られる針状ゲー
タイト粒子の粒度が不均斉なものとなり、樹枝状粒子も
混在してくる。
【0039】そこで、前記アルカリ性懸濁液に水可溶性
アルミニウム塩を添加して当該懸濁液の粘度を下げて、
速やかに酸化反応を進めて反応時間の短縮を図ることが
考えられる。しかしながら、単に水可溶性アルミニウム
塩を添加したのでは、当該針状ゲータイト粒子にマグネ
タイトが混在してくることがある。
【0040】尚、前記アルカリ性懸濁液に水可溶性ケイ
酸塩を添加する方法(特開昭54−20998号公報)
もあるが、水可溶性ケイ酸塩を添加すると、粘度は下が
るものの軸比も低くなることがあり、また、不溶性のア
ルカリ金属塩が析出することもあるので鉄を主成分とす
る金属磁性粒子粉末とする場合には好ましくない。
【0041】以上のことから、本発明においては、水酸
化第一鉄が生成する以前に、あらかじめ、前記第一鉄塩
水溶液の液中に水可溶性コバルト塩を添加しておくとと
もに、当該第一鉄塩水溶液中のFeに対しAl換算で
0.5〜5.0原子%の水可溶性アルミニウム塩を前記
第一鉄塩水溶液及び水酸化アルカリ水溶液のいずれか一
方に添加しておくと、生成する水酸化第一鉄微粒子の成
長を抑制させる効果があることを見出した。
【0042】その結果を図1及び図2の水酸化第一鉄の
電子顕微鏡写真(×30000)により示す。図1は、
第一鉄塩水溶液の液中に水可溶性アルミニウム塩を添加
して生成させた水酸化第一鉄の粒子構造を示すものであ
り、微粒子で粒度も均斉であることが確認できるのに対
し、図2は、水可溶性アルミニウム塩を添加しない場合
の水酸化第一鉄の粒子形態構造を示すものであり、粒子
は大きく粒度も不均斉であることが確認できる。
【0043】本発明者は、上記の結果から、添加した水
可溶性アルミニウム塩から生成されるアルミニウム化合
物が生成された水酸化第一鉄の微粒子の表面に吸着して
成長が抑制されているものと考えている。また、上記添
加量の範囲内ではマグネタイトも析出しないことを確認
した。
【0044】尚、水酸化第一鉄の粒子が大きく、不均斉
となることによって、針状ゲータイト粒子とする過程に
おいて、樹枝状粒子が生成したり、ゲータイト粒子の粒
度もまた不均斉なものになるものと考えられる。
【0045】しかし、得られた微細な水酸化第一鉄を含
むアルカリ性懸濁液に酸素含有ガスを通気して酸化する
酸化反応により針状ゲータイト粒子とする際に、あらか
じめ水酸化第一鉄が生成する前に添加した水可溶性アル
ミニウム塩だけでは酸化反応がすすむにつれて、その効
果が失われ当該懸濁液の粘度が高くなり、反応時間も長
くなることがわかった。
【0046】本発明者は、微細な水酸化第一鉄の粒子を
活かして生成される針状ゲータイト粒子の大きな軸比を
維持させるようにして反応時間を短縮するためには、水
酸化第一鉄が生成される以前の前記いずれか一方に水可
溶性アルミニウム塩を添加しておくことに加えて、酸化
反応の途中において水可溶性アルミニウム塩を適宜添加
することによって懸濁液の粘度を下げて反応時間を短く
することができることを見出した。
【0047】従って、本発明においては、微細な水酸化
第一鉄の粒子を得ることができ、酸化反応において針状
ゲータイト粒子の短軸径を小さくして、軸比を大きくす
ることができるため、大きな軸比を有し、粒度がより均
斉であって、樹枝状粒子が混在していないCoとAlと
を含有する針状ゲータイト粒子が得られるのである。
【0048】また、本発明においては、多くのAlを含
有させることができるので、当該針状ゲータイト粒子を
加熱処理して得られた針状ヘマタイト粒子を、水素等還
元性ガス中で加熱還元してマグネタイト粒子又は鉄を主
成分とする金属磁性粒子とし、また、前記マグネタイト
粒子を、空気中で加熱酸化してマグヘマイト粒子とする
ことによって得られている磁性粒子粉末とした場合にお
いても、優れた針状性を保持させることができ、また、
磁気記録媒体用に結合剤樹脂と混練して磁性塗料とする
場合にも、結合剤樹脂とのなじみもよいので磁性塗料と
した場合の分散性にも優れているのである。
【0049】尚、前出特開昭64−33019号公報に
おいては、例えば、水酸化第一鉄の懸濁液へのアルミニ
ウム化合物の添加方法を「‥‥酸素含有ガスを供給して
いる間に、連続的に行なってもよく、間歇的に行なって
もよい、あるいは、前半のみまたは後半のみ添加する等
の種々の方法が採用できる。‥‥」なる記載の通り、添
加方法に工夫が見られるが、この場合には、水酸化第一
鉄が生成した後の懸濁液に対して添加しており、水酸化
第一鉄を生成する前に添加する効果についてはなんら記
載されていない。
【0050】
【実施例】 次に、実施例並びに比較例により、本発明を
説明する。
【0051】尚、以下の実施例並びに比較例における粒
子の長軸径、軸比は、いずれも電子顕微鏡写真から測定
した数値の平均値で示した。
【0052】粒子の粒度分布は、以下の方法により求め
た幾何標準偏差値(σg)で示した。即ち、12万倍の
電子顕微鏡写真に写っている粒子350個の長軸径を測
定し、その測定値から計算して求めた粒子の実際の長軸
径と個数から統計学的手法に従って対数正規確率紙上に
横軸に粒子の長軸径を、縦軸に等間隔にとった長軸径区
間のそれぞれに属する粒子の累積個数を百分率でプロッ
トする。そして、このグラフから粒子の個数が50%及
び84.13%のそれぞれに相当する長軸径の値を読み
とり、幾何標準偏差値(σg)=個数50%の時の長軸
径(μm)/個数84.13%の時の長軸径(μm)
に従って算出した値で示した。
【0053】針状ゲータイト粒子に含有されるCo量及
びAl量は蛍光X線分析により測定した。
【0054】実施例1 1.0mol/lの硫酸第一鉄水溶液20 lに硫酸コ
バルト168.5g(Feに対しCo換算で3.0原子
%に該当する。)と硫酸アルミニウム34g(Feに対
しAl換算で1.0原子%に該当する。)とを添加・溶
解した後、3.33mol/lのNaOH水溶液30
lを加え、pH13.5、温度45℃においてFe(O
H)2 、Co(OH)2 及びAl(OH)3 を含む懸濁
液を得た。
【0055】上記懸濁液に、温度45℃において毎分1
50 lの空気を通気して60分後に0.5mol/l
の硫酸アルミニウム水溶液200ml(Feに対しAl
換算で1.0原子%に該当する。)を添加した。さら
に、60分後にこの操作をもう1度繰り返した。引き続
き、温度45℃において毎分150 lの空気を80分
間通気して針状ゲータイト粒子を生成した。生成粒子は
常法により、水洗、濾別、乾燥、粉砕した。この針状ゲ
ータイト粒子は、Co/Feが2.5原子%、Al/F
eが1.77原子%であった。
【0056】また、図3に示す電子顕微鏡写真(×30
000)から、明らかなように、平均値で長軸0.34
μm、軸比15であり、標準偏差値が0.73の粒度が
均斉な粒子であって、樹枝状粒子が混在しないものであ
った。
【0057】実施例2〜5及び比較例1〜4 水可溶性コバルト塩の種類と添加量、水可溶性アルミニ
ウム塩の種類、添加量及び添加時期、酸化途中における
水可溶性アルミニウム塩水溶液の種類、添加量及び添加
方法並びに反応温度を種々変化させた以外は、実施例1
と同様にして針状ゲータイト粒子を生成した。
【0058】この時の主要製造条件及び諸特性を表1と
表2に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】尚、比較例1及び比較例3で得られた針状
ゲータイト粒子は、それぞれ図6及び図8に示す電子顕
微鏡写真(×30000)に示す通り、樹枝状粒子が混
在しており、不均斉な粒子であり、比較例2で得られた
針状ゲータイト粒子は図7に示す電子顕微鏡写真(×3
0000)に示す通り、軸比が小さいものであった。
【0062】
【発明の効果】本発明に係る針状ゲータイト粒子粉末の
製造法によれば、前出実施例に示した通り、大きな軸比
を有し、粒度が均斉であって、樹枝状粒子が混在してい
ない針状ゲータイト粒子粉末を得ることができる。
【0063】このようにして得られた針状ゲータイト粒
子粉末を出発原料とし、加熱還元して得られた針状マグ
ネタイト粒子粉末、又は鉄を主成分とする針状金属磁性
粒子粉末、また、前記マグネタイト粒子粉末を空気中で
加熱酸化した針状マグヘマイト粒子粉末も、大きな軸比
を有し、粒度がより均斉であって、樹枝状粒子が混在し
ていない粒子であるので、現在最も要求されている高記
録密度、高感度、高出力用磁性粒子粉末として好適であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られた水酸化第一鉄を含む懸濁
液から得られた粒子の粒子構造を示す電子顕微鏡写真
(×30000)である。
【図2】 比較例1で得られた水酸化第一鉄を含む懸濁
液から得られた粒子の粒子構造を示す電子顕微鏡写真
(×30000)である。
【図3】 実施例1で得られた針状ゲータイト粒子の粒
子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)である。
【図4】 実施例2で得られた針状ゲータイト粒子の粒
子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)である。
【図5】 実施例3で得られた針状ゲータイト粒子の粒
子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)である。
【図6】 比較例1で得られた針状ゲータイト粒子の粒
子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)である。
【図7】 比較例2で得られた針状ゲータイト粒子の粒
子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)である。
【図8】 比較例3で得られた針状ゲータイト粒子の粒
子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01G 49/00 - 49/16 H01F 1/11

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一鉄塩水溶液と水酸化アルカリ水溶液
    とを反応させて得られた水酸化第一鉄を含むpH11以
    上のアルカリ性懸濁液に酸素含有ガスを通気して酸化す
    ることにより針状ゲータイト粒子を製造する方法におい
    て、あらかじめ、前記第一鉄塩水溶液に水可溶性コバル
    ト塩をFeに対しCo換算で0.1〜10.0原子%添
    加しておき、且つ、前記第一鉄塩水溶液及び前記水酸化
    アルカリ水溶液のいずれか一方に水可溶性アルミニウム
    塩をFeに対しAl換算で0.5〜5.0原子%添加し
    ておき、当該第一鉄塩水溶液と当該水酸化アルカリ水溶
    液とを反応させて水酸化第一鉄を含むpH11以上のア
    ルカリ性懸濁液を得、次いで、当該懸濁液中に酸素含有
    ガスを通気して酸化する途中に、さらに、水可溶性アル
    ミニウム塩水溶液を添加することにより、CoとAlと
    を含有する針状ゲータイト粒子を生成させることを特徴
    とする針状ゲータイト粒子粉末の製造法。
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