JP3010917B2 - 絶縁性磁性1成分トナーの現像方法 - Google Patents

絶縁性磁性1成分トナーの現像方法

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JP3010917B2 JP4200378A JP20037892A JP3010917B2 JP 3010917 B2 JP3010917 B2 JP 3010917B2 JP 4200378 A JP4200378 A JP 4200378A JP 20037892 A JP20037892 A JP 20037892A JP 3010917 B2 JP3010917 B2 JP 3010917B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真法、静電記録
法等による静電潜像を、絶縁性磁性1成分トナーを用い
て現像する現像方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、複写機のみならずプリンタ、ファ
クシミリなどに広く用いられている電子写真方式のトナ
ーは、その取り扱い易さなどの点から乾式が主流であ
る。乾式トナーには、2成分トナー(キャリア成分とト
ナー成分を混合して用いる)と、1成分トナー(トナー
成分より成り、キャリア成分は不要)がある。2成分ト
ナーを用いる現像法(以後2成分現像法と呼ぶ)は現
在最も実績があり、最も広く用いられているものであり
画質も比較的良好であるが、以下の欠点がある。
【0003】(1) 現像に際し、2成分トナー中のトナー
成分だけが消費されるため、トナー 成分の濃度を常に
定に保つためのトナー成分の補給手段及び調整機構が必
要になり機械が大型かつ複雑になる。 (2) トナー成分キャリア成分を摩擦帯電させるため
に、2成分トナーの攪拌十分かつ速やかに行われなけ
ればならず、大きな動力を要し、現像器も大型化する。 (3) トナー成分によるキャリア成分の表面の汚染等によ
り、2成分トナーの寿命が短い。 (4) 上記(3) の問題から、時々トナーの交換が必要であ
ることや、トナーの摩擦帯電量の低下によりトナーが飛
散し機内が汚れて大掛かりな機内清掃の必要性がある等
の問題から、専門知識を持つ者によるメンテナンスが不
可欠である。 (5) 2成分トナーの摩擦帯電性環境湿度の影響を受け
やすく、カブリ発生や画像濃度低下の問題を起こし易
い。
【0004】更に、大型機や高速機に2成分現像法を用
いる場合には、現像機構の複雑化、大型化が一層顕著に
なり、メンテナンス時のトナー交換作業も非常に困難と
なり、これに伴うダウンタイムの増大が使用上大きな支
障となって、これらの改善への要望が高まっている。
方、近年、電子写真方式による複写機、プリンタ、ファ
クシミリなどの小型化、パーソナル化が急速に進展して
きていることから、小型、簡易でかつ特に上記のような
メンテナンスを必要とせず、しかもどんな使用環境、特
に高温高湿度下でも、安定した画像の得られる、1成分
トナーを用いる現像法である1成分現像法の確立がます
ます重要になってきている。
【0005】キャリア成分を含まない1成分トナーに
は、現像器内部に磁性粉を含み磁気ブラシ現像法で現
像する磁性1成分トナーと磁性粉を含まない非磁性1
成分トナーがある。非磁性1成分トナーは鮮やかなカラ
ートナーが可能であるという特長があり、既に種々の
現像法が提案されているが、1成分現像方式であるにも
かかわらず、常に安定したトナー帯電量と画質を維持す
るのが難しく、またトナー及び現像器の寿命が短いと
いう欠点がある。
【0006】一方、磁性1成分トナーも従来の磁気ブラ
シ現像法で高画質の画像が得られるため比較的広く用い
られている。磁性1成分トナーには当初、例えば米国特
許3,639,245号公報、同3,909,258号
公報等に開示されているような導電性磁性トナーが用い
られていた。導電性トナーによる現像は絶縁性トナーと
異なり静電誘導作用から電界により誘起される電荷を利
用して現像するため、絶縁性トナーに比較して主に以下
の利点がある。
【0007】(1) 摩擦帯電による静電荷を利用しないた
め、湿度による画像低下の影響を排除できる。 (2) 導電性トナーの構成成分である樹脂、顔料、添加物
などの選択に際し、帯電極性を考慮する必要がないた
め、選択の幅が広範囲になる。 (3) 均一電荷を導電性トナーに与えることができるの
で、地汚れの少ない、解像度の優れた画像が得られる。 (4) 無理のない1成分現像が可能になる。 (5) 摩擦帯電機構が不必要なため現像器の構造が簡単に
なり、小型化できる。 (6) 同一導電性トナーで、正現像、逆現像の双方を行う
ことができる。
【0008】上記のような多くの利点にもかかわらず、
導電性トナーは、絶縁性トナーを用いたプロセスで現在
広く用いられている、静電気力を利用した普通紙転写方
式、即ちコロナ放電やバイアスを印加した導電性または
誘電体ローラーにおいて、普通紙への良好な転写が困難
であるという最大の欠点のために、普通紙複写機(PP
C)、ファクシミリが不可能であり、現在では大型・低
効率の粘着転写法を併用したもの以外には殆ど利用され
ていないのが実状である。
【0009】導電性トナーが、静電気力を利用した普通
紙転写方式において、転写性が劣化する原因は以下の通
りと推定される。即ち、導電性トナーは原理的に、電界
により生じる静電誘導電荷を利用して現像、転写を行
う。このため、特に高湿下においては転写紙が吸湿する
ことによる電気抵抗値の低下、その結果注入した電荷が
紙を通じてリークしてしまい導電性トナーに有効な電界
が働かなくなり転写しなくなると考えられる。よってこ
の現象を防止するために、従来は絶縁処理を施した静電
記録紙を用いていたが、紙が厚手になってしまい、また
コスト的にも高価であった。
【0010】そこで、PPCを可能にするために例えば
特開昭50−92137号公報に開示されているよう
な、導電性トナーの電気抵抗を上げて転写性を改善する
試みがなされた。しかし、導電性トナーの電気抵抗が上
がるにつれて主に導電性トナーの静電誘導ないし誘電分
極による分極が不十分となり現像性が悪化した。特に1
12Ωcmを超えると全く実用的ではなかった。よって、
磁性1成分現像法をPPCで可能にするために、以下の
方策が考えられた。
【0011】(1) 例えば特開昭53−39752号公
報、同53−131044号公報に記載されているよう
な、比較的抵抗の高い導電性トナーにより現像し、転写
紙を工夫することにより転写の問題を改善する。 (2) 1012Ωcmを超えるトナー(以後絶縁性トナーと呼
ぶ)を用い、その現像性を改善する。上記(1) の方策に
ついては、十分な成果は未だ得られていないが、(2) で
はいくつかの有用な方策が見出されている。絶縁性トナ
ーは、その帯電機構からさらに分類される必要がある。
【0012】絶縁性磁性1成分トナーの帯電機構につい
ては、既に多くの文献が報告されているが、それらは摩
擦帯電を利用しない方式と摩擦帯電によるものに大別さ
れる。摩擦帯電を利用した現像法としては例えば、特公
昭59−44627号公報等に開示されている”BMT
現像法”と呼ばれる現像法、また特開昭55−1865
6号公報等に開示されているような”磁性ジャンピング
現像法”と呼ばれる現像法、特開昭57−114163
号公報等に開示されている”FEED現像法”等があ
る。これらの現像法は前述した1成分現像法の長所であ
る小型、簡易でメンテナンスフリーな現像器を実際に提
供するものである。しかし、これらは現像に摩擦帯電を
利用するため、特に高湿度下でトナー帯電量が不十分に
なり、また低湿度下では帯電量が高くなり易く、使用環
境に関係なく常に安定した画像を得るという目的に対し
ては、依然十分ではない。そこで、この使用環境に関係
なく常に安定した画像を得るという目的も併せて達成す
るためには、帯電機構が使用環境の影響を原理的に受け
ない、電荷注入または、静電誘導ないし誘電分極による
電荷を利用した絶縁性磁性1成分現像法を実用化するこ
とがどうしても必要となる。また、このような摩擦帯電
を利用しない現像法では、前記長所に加えて、同一トナ
ーで正現像及び逆現像、正帯電及び負帯電いずれの静電
潜像でも現像できるようになるという、極めて大きな利
点が発生する。これは、摩擦帯電がその物質固有の性質
(主に仕事関数)により一定の極性にのみ帯電するのに
対し、静電誘導ないし誘電分極による帯電は外部の電界
によって極性が変化し得るからである。このことによっ
て、例えば同一感光体、トナーを使って正現像も反転現
像もできることから、複写機とレーザービームプリンタ
の共用も可能となり、更には消耗品品種の単純化等のメ
リットも生じる。
【0013】前述のような長所を有する、摩擦帯電を利
用せずしかも電荷注入または静電誘導以外の電荷付与方
法を利用することも例えば米国特許3,645,770
号公報、特開昭50−117432号公報等に開示され
ているが、主に安定性の面で未だ十分ではない。
【0014】電荷注入を利用した絶縁性磁性1成分現像
法としては、例えば米国特許4,121,931号公報
に開示されている現像法がある。この現像法の現像機構
についてはField,"A MODEL TO DESCRIBE ELECTROGRAPHI
C DEVELOPMENT OF RESISTIVEONE-COMPONENT TONER SYST
EMS",IEEE/IAS Conference Records p.973 の文献に詳
細に報告されている。トナーの帯電に摩擦帯電を利用し
ないため、環境の影響を受けにくい優れた1成分現像法
であるが、この現像法には依然として以下の問題点があ
る。
【0015】(1) トナーは感光体上の静電潜像によって
作られる電場内に於いて、導電性部分(電極)を持つト
ナー担持体(主に磁気スリーブ)に電気的に接触し、電
極から電荷を注入されて強制帯電される。この際、電極
に電源を付加することも効果を高める上で必須に近い要
件であるが、その結果機構も複雑化する。また、感光体
と逆極性の電荷注入のための電圧印加は、現像時の逆バ
イアスの効果を来すため、カブリの原因となる。また、
この公報及び文献に記載されている方法は、実際に検討
してみると感光体の種類、トナーの種類、磁気スリーブ
の磁力等により現像性が大きく変化し、特にトナーの種
類の選定は極めて大きな要因であるため、この方法のみ
から実用性のある1成分磁性トナー現像法を得ることは
できない。
【0016】(2) 磁気スリーブから電荷を注入されたト
ナー粒子は、トナー層上層へ速やかに移動し静電像を現
像しなければならない。そのため、高速で激しい物理的
攪乱がトナー層に必要となり、現像器の機構が複雑化す
る。また、現像の原理をさらに考察すると、前述したよ
うな絶縁性トナーの現像性の悪さに対して、この方法で
は、トナーを10cm/秒以上の高速で静電像へ搬送する
というトナー移動速度の増加によって対処しているが、
静電像とトナーの高速での接触は逆に磁気スリーブ上の
トナー磁気ブラシによる感光体のクリーニング効果を促
進し現像効率を低下させる。さらに、トナーには上記し
たように強い攪拌に伴う剪断力がかかるために、トナー
の劣化促進等の問題も発生する。このような磁気スリー
ブの回転に関する問題点を解決するための方法として、
例えば特開昭53−129639号公報に示されている
ようにスリーブのみ回転させ、スリーブと感光体の速度
差を所定範囲に限定する方法、特開昭55−12626
6号公報に示されているようなスリーブと内部磁極のス
ピード、方向、及び磁極数を所定値に設定する方法等が
開示されている。これらの方策は前記磁気スリーブの回
転に関する諸問題を改善するものであるが、実際に検討
してみるとやはり感光体の種類、トナーの種類等により
現像性が大きく変化し、特にトナーの種類の選定は極め
て大きな要因であるため、この方法のみから実用的に安
定した磁性1成分トナー現像法を得ることはできない。
【0017】一方、静電誘導作用を利用した絶縁性磁性
1成分現像方式としては、例えば特開昭54−1346
40号公報に開示された方法がある。この現像方式は絶
縁性の主領域に、主にカーボンブラックのような電荷移
動可能な領域を散在させたような表面を持つトナーを用
い、現像部を構成するトナー担持体としては絶縁性のも
のを用いて、画像部の潜像電荷によってトナーを現像可
能な荷電状態にするものである。現像メカニズムを更に
詳しく述べると以下のようになる。カーボン等の導電体
を分散させた磁性トナー粒子を用い、現像場の電界中
で、露出したカーボン部分同士が接触した2個のトナー
粒子を考えると、その接点を通して静電誘導によりそれ
ぞれのトナーのカーボン部分に正・負の電荷が誘起され
る。こうして現像に寄与し得る電荷状態になったトナー
粒子は潜像に接触した際に潜像を現像する。トナー電荷
が(スリーブからの)電荷注入によるものでないこと
は、トナー担持体として現像部では絶縁性のものを用い
ていることからも明らかである。しかし、この現像方式
には以下の問題点がある。
【0018】静電誘導の起こり易さから考えると、上記
電荷移動可能な領域はカーボンブラックのような電気抵
抗の低いものが望ましいことになる。しかし低抵抗にな
ると、分極は起こりやすくなるが、同時にトナー粒子が
再度離反する際の電荷中和速度も速くなり、本公報には
この点の考察がなされていないため、この方法のみか
ら、良好な現像性を得ることはできない。また、この方
式の現像法を実際に実験してみると、特に高湿度下で画
像濃度の低下が著しくなり実用的ではないことが判る。
【0019】よって、以上のように既に提案されてきた
各種の現像方式において、摩擦帯電、電荷注入、静電誘
導等の何れの項目が支配的であるかという議論がこれま
で多くなされてきたが、全ての効果は大小の差はあって
も存在し、単一の項目だけが効いているということはな
いという見方が一般的である。トナー担持体として現像
部では絶縁性のものを用いても良好に現像することか
ら、スリーブからの電荷注入が全くなくても良いことは
明らかであるが、分極を効率的に起こす目的と、トナー
担持体(スリーブ、内部マグネット)の移動速度の低
減、画質の向上という点から、トナー担持体は導電性で
あることが望ましい。
【0020】静電誘導(分極)を利用する方法としては
この他に例えば特開昭58−186765号公報に開示
されている方法もある。これは、上記特開昭54−13
4640号公報のような微視的な考察ではなくトナー粒
子の抵抗値からのみ議論しているため、現像性が十分で
はなく、使用できる感光体も限られたものになってしま
っている。
【0021】また、特開昭57−58162号公報に
は、磁性トナー担持体及び/またはマグネットロールを
回転させた場合の、トナー層の表面電位静電荷像と同
極性になるように帯電制御する高抵抗磁性1成分トナー
が開示されている。この中で、添加された帯電制御剤が
所期の目的である摩擦帯電性能の制御の他に、導電性の
トナー担持体などからの電荷注入または静電誘導による
電荷の付与を容易にする効果の存在を示唆する記載がな
されているが、具体的な方法等は一切記載されていな
い。
【0022】絶縁性磁性1成分現像で良好な画像を得る
ためには、現像機構の機械的、電気的な面での問題の他
に、それに使用するトナー種類の選定も非常に重要であ
る。トナー物性に関しては例えば、特開昭54−365
24号公報では、トナーの電気抵抗値のみならず比誘電
率に着目しそれを適当な範囲内にすることで現像性、転
写性を両立する方法、特開昭54−139545号公報
では、印加電圧によってトナーの電気抵抗を特定の範囲
内で変化するようにし、かつ誘電率を特定値にすること
で現像性と転写率を向上させる方法が開示されている。
その他多くの特許公報でも、トナー物性を規定すること
で上記問題を改善する試みがなされているが、実際はト
ナーとして同一物性であっても現像性、転写率に差が出
ることが多く、トナー内部の個々の材料の物性値を選択
しなければ、実用性のある磁性1成分トナー現像法を得
ることはできない。
【0023】さらに、実機での長期間の耐刷試験時に
は、原因は一定ではないが、現象としてトナー電荷量が
変化するために画像濃度が大きく変化したり、その結果
凝集するという問題が生じる。この現象は前述の特開昭
54−134640号公報にも記述されており、この公
報の場合は、逆極性電荷を有するトナー粒子の蓄積を防
止するために、逆極性電荷除去手段を設けることが必要
であるとしている。この現象は或いは、例えば特開昭5
6−130764号公報に開示されているような強制的
にトナーに電荷を付与または除去する第2の電気的手段
を設置する以外は、特定のトナー組成にしなければ防止
できない。このような逆極性電荷の蓄積は、前述の、摩
擦帯電を利用しない現像法の大きな利点の一つである、
正現像・逆現像及び正帯電・負帯電いずれの現像も同一
トナーで現像可能という点を阻害し、片方の極性の静電
潜像のみしか現像できなくなる。そこで、特別の電荷除
去手段を設けることなく、トナー処方を特定することに
よって、いかなる現像においても長期間安定して現像で
きることが望まれている。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、以上の
議論から、絶縁性磁性1成分トナー現像には摩擦帯電を
利用しない現像方式が最も有利であり、これにより従来
の現像法の種々の問題点を解決できるという結論に達し
た。また、摩擦帯電を利用しない現像法は併せて同一ト
ナーで正現像及び逆現像、正帯電及び負帯電いずれの現
像も原理的に可能であるが、実際には逆極性電荷蓄積に
よって片方の極性の潜像しか現像できなかった。そこで
本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、特定の現像装置に
用いるトナー組成物が、ある特定の要件を満たす際にお
いて初めて、トナーが主に静電誘導によって帯電し、良
好に静電潜像を現像することが判明した。
【0025】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、少なくと
も熱可塑性樹脂、磁性粉、帯電安定剤、および必要に応
じて着色剤を含有し、該熱可塑性樹脂は体積固有抵抗
×10 14 Ωcm以上であり、該帯電安定剤は体積固有抵抗
1×10 4 〜1×10 12 Ωcmであり、かつ正帯電性と負
帯電性を有するものをそれぞれ少なくとも1種類以上含
む混合物であり、該磁性粉、着色剤は体積固有抵抗1×
10 4 〜1×10 12 Ωcmである磁性1成分トナーを、少
なくとも現像場では表面が導電性のトナー担持体に磁力
を用いて保持し、静電荷像担持体上に形成された静電潜
像に該磁性1成分トナーを接触させ、該静電潜像の電界
による静電誘導ないし誘電分極によって主に帯電するこ
とにより潜像を可視化することを特徴とする絶縁性磁性
1成分トナーの現像方法に関する。
【0026】本発明をより具体的に説明する。本発明に
使用されるトナー及びトナー組成物の体積固有抵抗は以
下のように測定される。市販の赤外線吸収スペクトル測
定用錠剤成型器(成型内部断面が20mmの円)に、予め
23℃・50%RHの恒温恒湿槽に24時間放置したト
ナー約0.8gを入れ、油圧プレス器を用い400kg/
cm2 で加圧して、厚さ約2mm、両端面が直径20mmの円
形である円筒形ペレットを作製する。このペレットの両
方の円形端面部の中央に、直径10mmの主電極を銀ペー
ストを塗布して密着させ一端をグランドに接地する。次
に、一端をグランドに接地したガード電極をペレット外
周部に沿って設け、主電極に直流電圧を印加し、電流計
で主電極間を流れる電流を直読し、安定した段階の電流
値より体積固有抵抗値を算出する。
【0027】本発明に用いられる絶縁性磁性1成分トナ
ーは、その組成物の体積固有抵抗値が所定値である必要
がある。本発明絶縁性磁性1成分トナーの製造方法と
しては、熱可塑性樹脂を主成分とするバインダー成分と
磁性粉、着色剤、帯電安定剤、及びその他必要に応じて
添加される成分を、2軸押出混練機、2本ロールミル、
加圧ニーダー等の混練機を用いて熱熔融混練した後、冷
却固化しジェットミル等の粉砕機を用いて微粉砕し、気
流分級機等により所望の粒度分布に調整するのが一般的
である。また、近年は懸濁重合法、乳化重合法等によ
り、直接トナー粒子を生成する方法も種々提案されてお
り、これらの方法により製造したトナーでも使用でき
る。上記トナーは体積基準平均粒径が5〜15μである
ことが必要である。上記上限を超えると画像の荒れが顕
著になり、また上記下限より小さいと通常の現像器・現
像法ではトナーとしての流動性の悪化による補給性の悪
化が顕著になるので好ましくない。
【0028】熱可塑性樹脂としては、トナー用として通
常使用されるものであればよく、例えばポリスチレン
系、スチレンとアクリル酸エステルもしくはメタクリル
酸エステル、アクリロニトリルあるいはマレイン酸エス
テルとのスチレンを含む共重合体系、ポリアクリル酸エ
ステル系、ポリメタクリル酸エステル系、ポリエステル
系、ポリアミド系、エポキシ系、フェノール系、炭化水
素系、石油系等の樹脂を例示できる。
【0029】磁性粉としては、各種フェライト、マグネ
タイト、ヘマタイト等公知のものが使用でき、形状も立
方晶状、正八面体状、球状、針状等種々のものが使用で
きるが、トナー中に分散した際のトナー粒子間の磁性粉
量の偏在、遊離磁性粉の発生等の問題から粒径は1μ以
下であることが望ましい。磁気特性の面では、飽和磁化
については50emu/g 程度以上あれば特に限定はない
が、保磁力は主にトナー粒子のトナー担持体上での運動
性の問題から200Oe以下であることが望ましく、更
には120Oe以下、40Oe以上であることが望まし
い。また、磁性粉はそのまま使用しても問題はないが、
必要に応じて脂肪酸、シランカップリング剤等で表面処
理をしてから使用すると、熱可塑性樹脂に熱熔融混練す
る際の樹脂への濡れ性の改善とそれ自体が磁性粉を被覆
することにより、トナー表面への磁性粉の露出が防止で
きる。その結果、トナー相互間の摩擦帯電防止の効果か
ら、耐環境性、画像性等が向上することがある。磁性粉
の添加量については、トナー粒子をトナー担持体上に保
持するための磁力を付与するために、トナー担持体上の
磁場の強さによって必要量添加されるが、トナー担持体
への拘束力と静電潜像への引力の関係から、トナーに対
して20〜60重量%が望ましい。
【0030】帯電安定剤としては、これまで通常の摩擦
帯電を利用する各種現像法に於いて利用されてきた各種
電荷制御剤の中から、特定のものが使用される。さらに
具体的には、熱可塑性樹脂を静電荷像担持体上の静電潜
像と逆極性に摩擦帯電させ得る、体積固有抵抗が所定値
である物質に優れた効果が認められている。静電潜像と
逆極性とは、正規現像のときは感光体表面を一様帯電す
る際の電位と逆極性、反転現像の場合はバイアス電圧に
よって未露光部分が接地電位になるために、感光体表面
を一様帯電する際の電位と同極性のことである。
【0031】本発明に使用される帯電安定剤は自体公知
なものも含むが、基本的に該帯電安定剤は従来のような
摩擦帯電性の付与ではなく、絶縁性のバインダー成分中
で、該帯電安定剤が静電誘導ないし誘電分極により電荷
を発生し、この発生した電荷を保持する効果と、実際の
現像ランニング中に潜像電荷と同極性電荷がトナーに蓄
積するのを防止する効果を持つ点で、従来と全く異なる
効果を持つものである。つまり、従来の電荷制御剤のよ
うなそれ自体の摩擦帯電性は本発明における現像性とは
二次的関係であり、本発明における帯電安定剤では主に
その抵抗が問題である。熱可塑性樹脂を静電荷像担持体
上の静電潜像と逆極性に摩擦帯電させ得る性質は、結果
的に発生した電荷の保持性に相関があるが、電荷制御剤
のこのような知見は今迄未報告である。すでに多くの文
献でも検証されているように、絶縁性1成分現像法の現
像において、摩擦や電荷注入、静電誘導の効果はそれぞ
れ単独が支配的になることは少なく、それぞれの効果は
同時に少なからず存在する。しかし少なくとも、このト
ナーとこの現像法により、従来のどの磁性1成分現像法
よりも、電荷の付与と環境、耐刷性の安定化が容易にな
ったと言える。
【0032】上記帯電安定剤の効果をより詳細に説明す
る。図1に本発明現像方法に於ける、トナーの帯電機
構の概念図を示す。トナー担持体1上に磁石2により保
持されたトナー3は磁気ブラシを形成し、静電荷像担持
体4に接触している。トナー担持体表面は導電性であっ
ても絶縁性であっても基本的には静電荷像担持体上の静
電潜像を現像し得るが、導電性である方が現像性が向上
する。次に、静電荷像担持体に近いトナー粒子3a、
3bに着目する。トナー粒子が現像に寄与し得る電荷を
獲得するのは以下の2つの機構が考えられる。ひとつは
図1(a)に示すように、静電潜像5とそれに近接して
存在するトナー粒子3bとの間に発生する電界によっ
て、バインダー樹脂中に分散した帯電安定剤の作用によ
り、潜像に接触または接近したトナー粒子間で静電誘導
ないし誘電分極が起き、静電潜像に近いトナー粒子3a
が静電潜像と逆極性の電荷を持ち、静電潜像とのクーロ
ン力により現像する。ここで、帯電安定剤の重要な機能
は、現像に寄与する極性の電荷は保持し、分極により生
じた潜像と同極性の電荷は保持しない性質である。この
ため、トナー粒子3bの同極性電荷は空気中への放散、
またはトナー担持体ないしその他の現像装置表面との接
触によって失われると推測される。よってもうひとつの
機構として図1(b)のように、単独粒子の分極によっ
て生じた潜像と同極性電荷もトナー表面から放散され結
果的に現像に寄与する電荷を獲得することも考えられ
る。また更に、このような分極は単にトナー層中に於け
る最上層の2粒子間でのみ発生するのではなく、図1
(c)のように電荷の移動が上から3層目以下へも伝達
すると思われる。このように絶縁性のバインダー樹脂中
に顔料等が分散された系で実際の電荷移動が起こること
は、PIP法(Persistent Internal Polarization),Pho
tographic Science &Engineer 6 #2 p-65〜70, '62, Ka
llmann & Rennert や単層型フタロシアニン感光体での
電子雪崩現象(特開平2−302759号公報参照)か
らも類推できる。なお、静電荷像担持体からトナー粒子
への電荷注入は発生していないと思われる。なぜなら
ば、この場合トナーへは静電潜像と同極性電荷が注入さ
れているからである。
【0033】勿論既に述べたように、同極性電荷の放出
に於ける帯電安定剤の摩擦帯電の効果も否定はできな
い。しかしながら、摩擦帯電性に与える効果が殆ど同等
でも上記同極性電荷の放出効果が大きく異なり現像性に
差がでる場合があることから、図1の現像メカニズムが
支配的であることは確かである。なお、静電誘導ないし
誘電率分極は単に帯電安定剤に於いてのみ起こるもので
はなく、露出した磁性粉同士ないし磁性粉と帯電安定剤
との接触に於いても同様であると考えられる。また、本
発明現像方法用いられるトナーは、静電誘導による
電荷を利用しているために、正極性でも負極性でもいず
れの極性の静電潜像も良好に現像する。しかし、摩擦帯
電性が静電潜像と同極性の帯電安定剤のみを用いると、
上記のように現像するに従い潜像と同極性電荷がトナー
層中に蓄積してくるために、画像濃度が低下してくる。
よって同一トナーで正極性でも負極性でも、正現像でも
逆現像でも、いずれの極性の静電潜像も長期にわたって
良好に現像するためには、帯電安定剤の摩擦帯電性が正
のものと負のものを併用しなければならないことが判
る。ここで帯電安定剤の摩擦帯電性とは、通常2成分ト
ナーにおいてコーティング処理を施さないフェライトな
いし鉄のキャリア粒子を用いた際の帯電安定剤の帯電極
性である。
【0034】このような帯電機構に寄与しうる帯電安定
剤としては、他のトナー原料と熔融混練分散後、粉砕、
分級して得られたトナー粒子から遊離しない程度の粒子
径を有し、体積固有抵抗が10 4 〜10 12 Ωcm、かつ熱
可塑性樹脂を静電荷像担持体上の静電潜像と逆極性に摩
擦帯電させ得る性質のものが有効であり、従来の摩擦帯
電を利用したトナーの電荷制御剤として利用されている
ものも殆ど利用できる。このような物質としては例え
ば、ニグロシン系の油溶性染料、クリスタルバイオレッ
ト、トリフェニルアミン、4級アンモニウム塩、アゾ系
の金属錯塩、バラチン染料、オラゾール染料等の金属錯
塩染料等が挙げられる。また、体積固有抵抗と帯電極性
さえ適当であれば、各種顔料、例えば、各種非鉄金属酸
化物、亜鉛華、黄色酸化鉄、ハンザイエロー、ジスアゾ
イエロー、キノリンイエロー、パーマネントイエロー、
ベンガラ、リソールレッド、ウォッチャンレッドカルシ
ウム塩、ウォッチャンレッドマンガン塩、ピラゾロンレ
ッド、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアント
カーミン3B、紺青、フタロシアニンブルー、酸化チタ
ン等が利用できる。これらの物質中から、実験的に得ら
れた帯電極性の適性によって2種類以上を選び混合して
使用する。ここで帯電安定剤の帯電極性は、通常の2成
分トナーと同じように測定するが、本発明におけるトナ
ーは主として摩擦帯電を利用していないために、摩擦帯
電性のみからは現像に関する適性を判断できない。つま
り、帯電安定剤の種類によって、摩擦帯電に与える効果
と静電誘導に与える効果が同じではないということであ
る。それぞれの帯電安定剤の使用量については、それぞ
れの帯電安定剤によってその効果の大きさが異なるため
に一概には言えないが、総量は10重量%以下、1重量
%以上が望ましい。10重量%を超えると、定着性の悪
化が問題となり、また1重量%未満では帯電安定剤の効
果が十分に出ないことがある。
【0035】着色剤としては、磁性粉が黒色、褐色ない
し暗青色なため必ずしも必須ではないが、通常使用され
ている顔料や染料が使用でき、磁性粉である鉄黒以外に
も例えば、各種非鉄金属酸化物、亜鉛華、黄色酸化鉄、
ハンザイエロー、ジスアゾイエロー、キノリンイエロ
ー、パーマネントイエロー、ベンガラ、リソールレッ
ド、ウォッチャンレッドカルシウム塩、ウォッチャンレ
ッドマンガン塩、ピラゾロンレッド、レーキレッドC、
レーキレッドD、ブリリアントカーミン3B、紺青、フ
タロシアニンブルー、酸化チタン等の顔料、或いは油溶
性の染料を使用できる。着色剤の添加量については、ト
ナーに所期の着色性を付与するための必要量が添加され
るが、添加量が過多な場合は遊離の着色剤粒子が摩擦帯
電助剤として働くこと、トナー担持体、静電荷像担持体
等を汚損すること等の問題から、トナーに対して10重
量%以下であることが望ましい。なお、黒色の着色剤と
してカーボンブラックが従来、価格及び汎用性等の点か
ら最も一般的であるが、本発明においては体積固有抵抗
が低いために不適であると判断する。
【0036】その他必要な成分としては、各種ワックス
等の滑剤等がある。また、トナー流動性を改善するた
めに、必要に応じてシリカ等を乾式混合する。トナー
体積固有抵抗値については、前述したような測定方法を
用いるが、印加電圧によって体積固有抵抗値が変化する
ことがあり、特にカーボンブラックのような低抵抗物質
を分散させたトナーでは顕著である。従来の静電誘導を
利用したトナーへの電荷付与方法として、印加電圧が増
加するにつれて体積固有抵抗が低下する現象を利用する
方法があるが、本発明に用いられるトナーではむしろこ
のような特性は不適で、例えば10,000V/cmの電界
下で1012Ωcm以下になるようなものは好ましくない。
本発明におけるトナーは約500〜2000V/cm程度の
低電界下で測定すればほぼ一定の抵抗値を示す。
【0037】トナー担持体としては、例えば図2に示す
ような、内部に複数の磁極6を有し、導電性のスリーブ
7が回転することによってドクターブレード8で規制さ
れたトナー層を搬送する機構が最も一般的である。内部
の磁極6は固定でも回転しても構わない。固定の場合に
は、静電潜像とスリーブの間に交流電界を印加すること
で、画像及び現像性が向上する効果があり、有効であ
る。この導電性のスリーブは静電潜像との間の現像場で
電界を発生させ、更にはトナー上の潜像と同極性電荷を
漏洩させる上からも、電気的に接地されていることが好
ましい。また、有機及び無機感光体において、露光量が
十分でない等の理由で背景部に残留電位がある場合には
地汚れ防止の目的で、静電潜像と同極性の直流バイアス
を印加する必要がある。ただし、スリーブへの直流電圧
印加は、トナーへの電荷注入によって画像濃度低下を招
くことがあるため、絶対値で300V以下程度に押さえ
ることが望ましい。ただし反転現像の場合にはバイアス
は画像濃度を向上させる方向に働くために300V以上
印加しても問題ない。トナー担持体とドクターブレード
の間隙及びトナー担持体と静電荷像担持体との距離は、
トナー層が静電荷像担持体に接触するか極接近するよう
に調整する必要がある。また、トナー担持体とドクター
ブレードの間隙は0.2mm程度以上1mm程度以下が好ま
しい。0.2mm程度以下になると、トナーとスリーブと
の摩擦帯電の効果が大きくなり、画像の環境安定性やラ
ンニング安定性が悪化する。なお、トナー担持体とドク
ターブレード、及びトナー担持体と静電荷像担持体の間
隙を通常より大きくできることは、機械設計に於ける寸
法精度をラフにできることから、製造コスト低減およ
び、超大型画面の複写機等に極めて有利であり、更に緻
密な調節が不要なことから、機械間の性能が安定化する
という特長もある。静電荷像担持体上に静電潜像を形成
する方法としては、Se系、a−シリコン系等の無機感
光体、及び有機感光体等の静電荷像担持体に光を当てな
い状態でコロナ放電等を利用して帯電させることにより
均一に電荷を分布させた後、画像情報を露光して静電潜
像を形成するのが最も一般的である。その他、針状電極
によって静電記録紙等に直接静電潜像を記録する方式及
びイオンフロー記録等であっても差し支えない。その
後、この静電潜像に例えば磁気力によりトナーを保持し
たトナー担持体を接触させると、前記メカニズムによっ
てトナーは静電潜像に選択的に付着し現像する。
【0038】ここで本発明の現像方法が、従来の電荷注
入による方式および相互摩擦を利用した方式と原理的に
異なる方式であることが以下の現象から明らかに示され
る。導電性のトナー担持体から電荷注入されたトナー
が、トナー層の物理的攪乱によってトナー層上層へ移
動し、静電潜像に接触することにより現像する機構につ
いては、トナー担持体を絶縁体にしても現像することか
らそれによらないものであることが判る。また、電荷注
入サイトとしてカーボンブラック等を表面に付着させる
ことが望ましいとしていることに於いても、本発明では
104 Ωcm未満の物質は実質的に含まない方が良好であ
ることから、そのメカニズムは全く異なることが判る。
【0039】また、トナー粒子相互間の摩擦帯電を利用
する機構についても、以下の点から相違は明らかであ
る。 (1) トナー表面のバインダー樹脂部分と露出した磁性粉
部分が相互摩擦することによって磁性粉が正、樹脂が負
に帯電するとしていることについては、磁性粉量を5%
から55%まで変化させても、現像性に大きな変化は現
れない。 (2) 本発明に用いられるトナーは、積極的に磁性粉をト
ナー粒子表面に露出させていない。更には、例えばコア
セルベーション法によりトナー粒子表面を他の樹脂で完
全に被覆しても、このトナーは現像性が低下しない。 (3) 摩擦帯電を利用しないため、現像性が環境の影響を
受けない。静電潜像の現像性については7℃20%RH
から30℃85%RHまで殆ど変化せず安定した一定の
画質が得られる。勿論既に述べたように、本発明現像
方法は静電誘導ないし誘電分極が支配的であるが、トナ
ーとして絶縁性樹脂中に必要成分の粒子、化合物を混合
したものであるため、電荷注入、相互摩擦の効果の若干
の存在を除くことは不可能である。
【0040】
【発明の効果】本発明は、熱可塑性樹脂は体積固有抵抗
1×10 14 Ωcm以上であり、帯電安定剤は体積固有抵抗
1×10 4 〜1×10 12 Ωcmであり、かつ帯電安定剤は
正帯電性と負帯電性を有するものをそれぞれ少なくとも
1種類以上含む混合物であり、磁性粉、着色剤は体積固
有抵抗1×10 4 〜1×10 12 Ωcmであり、かつ10 4
Ωcm未満の物質を実質的に含まない磁性1成分トナー
を、少なくとも現像場では表面が導電性のトナー担持体
を用い、静電潜像の電界による静電誘導ないし誘電分極
によって主に帯電することにより潜像を可視化すること
を特徴としている。
【0041】本発明は、絶縁性磁性1成分トナーを用い
るため、以下の特徴がある。 (1) 絶縁性トナーのため静電転写に適しており、PPC
化が可能である。 (2) 1成分現像方式のため、現像機構が簡単になり、
像器の小型化が容易である。また、メンテナンスが従来
より容易ないし不要である。さらに本発明現像方法
摩擦帯電ないし電荷注入を利用しないため、以下の特徴
がある。 (1) 使用環境(特に湿度)依存性がない。これは印字品
質及び機械の信頼性を大きく向上させるものである。 (2) 長期に渡る印字でも、特別な電気的手段を用いるこ
となくトナーの電荷量が非常に安定し、画像の信頼性が
大きく向上した。 (3) 現像速度の高速化が可能であり、大型機における現
機構の簡素化、メンテナンスフリー化が可能になっ
た。 (4) 現像器の寸法精度が従来に比べてラフでも良い。 (5) 従来より遅いスリーブ速度(10cm/秒以下)でも
現像性が良い。さらに、帯電安定剤は正帯電性と負帯電
性を有するものをそれぞれ少なくとも1種類以上含む混
合物であることから、正帯電・負帯電及び正現像・逆現
像いずれにおいても、長期にわたって良好な現像が可能
になった。
【0042】
【実施例】製造例、絶縁性磁性トナー 下記配合のトナー原料を予備混合した。部は重量部を表
す。 スチレン−アクリル樹脂(商品名:アルマテックスPA−201、三井東圧化 学(株)製、体積固有抵抗=5×1015Ωcm) 63.0部 マグネタイト(商品名:MG−WMK、三井金属工業(株)製、体積固有抵抗 =5×108 Ωcm) 35.0部 帯電安定剤 2.0部 上記原料3kgを、20リットルのミキサー(商品名:
ヘンシェルミキサー、三井三池製作所(株)製)で15
00rpmにて5分間混合した。これを2軸押出混練機
(商品名:PCM−30、池貝鉄工(株)製)で熔融混
練した後、ジェットミルで粉砕、気流分級機にて分級
し、体積基準平均粒径約11μで、かつ5μ以下及び2
0μ以上の範囲を実質的に含まない粒径のものをトナー
母粒子とした。そして、主にトナーの流動性を向上させ
るため、疎水性シリカをこのトナー母粒子100重量部
に対し0.3部加え乾式混合し、トナ−を得た。試作
例、複写試験機
【0043】なお、上記トナーを市販の複写機を改造し
た実験機を用いて実際に印字試験を行った。複写機とし
ては感光体に正帯電のSe(表面電位+800V)感光
体を用いた機械及び負帯電のOPC(表面電位−600
V)感光体を用いた複写機を使用した。前者を実験機
A、後者を実験機Bと呼ぶ。それぞれの実験機には同一
の現像器を使用した。現像器の構造および設定条件は以
下の通りである。 現像器の基本機構: ・内部磁極:8極、1000ガウス、1000rpmで
感光体と逆方向に回転 ・導電性スリーブ:直径24mmφ、周速15cm/secで感
光体と同方向に回転 (感光体との相対速度は10cm/sec以下) ・ドクターブレード−導電性スリーブ間隙:0.3mm ・感光体−導電性スリーブ間隙:0.3mm ・スリーブは電気的に接地。 帯電安定剤としては表1のような物質が本発明に適す
る。なお、表1中の極性とは、表面コーティング処理を
施していない市販のフェライトキャリア(商品名:F−
100、パウダーテック(株)製)100部に帯電安定
剤をそれぞれ2部混合した際のブローオフ帯電量の極性
である。
【0044】
【表1】
【0045】(実施例1〜3) 帯電安定剤として、下記のI(実施例1)、II(実施
例2)、III(実施例3)を選択して2部用い、製造
例に従いそれぞれトナーを製造した。 これらのトナーを
現像器中に50g投入し、50枚のベタ黒画像連続印字
実験を行い、印字初期(1枚目)及び50枚目の3×3
cm角のベタ黒部反射濃度を測定した(反射濃度計、マク
ベスRD−918)。これを同一トナーで実験機A及び
Bで行った。結果を表2に示した。 実施例1 帯電安定剤Iとして、 ニグロシン染料(ニグロシンベースEX:オリエント化
学工業(株)製)2.0部とアゾ系含金属染料染料(ス
ピロンブラックTRH:保土谷化学工業(株)製)5.
0部との混合物。
【0046】実施例2 帯電安定剤IIとして、 ニグロシン染料(ボントロンN−07:オリエント化学
工業(株)製)2.0部とフタロシアニン染料(リオノ
ールブルーSL:東洋インキ製造(株)製)5.0部と
の混合物。 実施例3 帯電安定剤IIIとして、 スピリットブラック(スピリットブラック SB:オリ
エント化学工業(株)製)2.0部とアゾ系含金属染料
(ボントロンS−34:オリエント化学工業(株)製)
3.0部との混合物。
【0047】
【表2】
【0048】本発明のトナーは、静電誘導による電荷を
利用しているために、正極性も負極性もいずれの極性の
静電潜像も同様に良好に現像することが判った。更に、
印字実験時の環境を7℃・20%RH、23℃・50%
RH、30℃・85%RHと変化させて実施例1〜3と
同様な印字実験を行ったが、帯電に摩擦電荷を利用しな
いため、いずれの環境に於いても画像濃度、画質の劣化
は認められなかった。
【0049】(比較例1〜) 表1に示した各種帯電安定剤をそれぞれ2部ずつ、単独
で使用して実施例1〜3と同様に印字試験を行った。結
果を表3に示した。初期に於いてはいずれの極性の静電
潜像も同様に現像するが、印字枚数に従い逆極性電荷の
蓄積が進行し、結果的に片方の極性の静電潜像のみ可能
であることが判明した。
【0050】
【表3】
【0051】(比較例1018) また更に、比較例として表4のような各種帯電安定剤を
挙げた。これらを比較例1〜と同様にそれぞれ2部ず
つ単独で用いてトナーを製造し、印字試験を行った。な
お試料番号1718のみ、カーボンブラックの体積固
有抵抗値が小さいため、1部としスチレン−アクリル
樹脂を64.0部とした。)結果を表5に示した。
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】比較例1011及び1316は体積固
有抵抗が高いため、摩擦帯電の効果が静電誘導ないし誘
電分極の効果に比べ大きくなり、両極性の静電潜像の初
期に於ける現像性、およびベタ黒50枚後の画像濃度低
下の点で不適であった。しかし、適性を有する潜像極性
に対する現像においては比較例1〜と同様に安定して
いる。しかしながら、前記3環境条件(7℃・20%R
H、23℃・50%RH、30℃・85%RH)下にお
ける画像試験では摩擦帯電の湿度依存性によって画像濃
度が変化し、不適であった。よってこれらは本発明に関
する現像法とは異なることが判る。また、比較例17
18は体積固有抵抗が低いため、両極性の静電潜像を同
様に現像するが、電荷の保持及び放散性が劣るため、印
字枚数に従い画像濃度が低下し不適であった。比較例
については、摩擦帯電性も劣り両極性ともに画像濃度
が不足であった。
【0055】(参考例1) 以下のように、磁性粉量を変化させて、製造例に従って
トナーを試作した。 使用した原材料は、実施例1と同一
である。
【0056】
【表6】 磁性粉量は35〜50%が最も良好であった。トナーサ
ンプルA及びBについては静電潜像の現像性という点で
は問題なく、トナー担持体の磁力が一定なため、この実
験機では現像性が不適合なだけと考えられる。
【0057】(比較例19) 帯電安定剤が10 4 Ωcm未満の場合について、表7に示
すようにカーボンブラック添加量を変化させてトナーを
製造し、実験機Bを用いて印字試験を行った。カーボン
ブラックは比較例18に用いたものを使用した。
【0058】
【表7】 カーボンブラック添加はたとえ微量であっても、その量
に従い画像濃度が低下した。また静電転写性も悪化する
ため不適であった。
【0059】(実施例4) 実施例1で用いた帯電安定剤I に於いて、その帯電安定
剤の添加量を変化させて、製造例に従ってトナーを試作
し、印字試験を行った。結果を表8に示した。いずれも
良好だった。
【0060】
【表8】
【0061】(参考例2) 実施例1、比較例19中で用いられたトナーF及び実施
例1で用いられたトナーにカーボンを0.1%を含有さ
せたトナーについて、同様に評価した。表9に示したよ
うに、トナーLはトナーFに比べて非常に良好であり、
帯電安定剤の効果が十分であれば、ごく微量ならば低抵
抗の物質が含有されていても使用できることが判った。
【0062】
【表9】
【0063】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の現像方法の概念を示す断面図 (a)図1の円内拡大図 (b)トナー単独粒子の荷電状態の拡大図 (c)トナー磁気ブラシに於ける電荷状態の概念を示す
断面図
【0064】
【図2】 本発明におけるトナー担持体の概念を示す断
面図 1・・・トナー担持体 2・・・磁極 3・・・トナー粒子 4・・・静電荷像担持体 5・・・静電荷像 6・・・磁極 7・・・導電性スリーブ 8・・・ドクターブレード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G03G 15/09 101 G03G 9/08 344

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも熱可塑性樹脂、磁性粉、帯電安
    定剤、および必要に応じて着色剤を含有し、該熱可塑性
    樹脂は体積固有抵抗1×10 14 Ωcm以上であり、該帯電
    安定剤は体積固有抵抗1×10 4 〜1×10 12 Ωcmであ
    り、かつ正帯電性と負帯電性を有するものをそれぞれ少
    なくとも1種類以上含む混合物であり、該磁性粉、着色
    剤は体積固有抵抗1×10 4 〜1×10 12 Ωcmである磁
    性1成分トナーを、少なくとも現像場では表面が導電性
    のトナー担持体に磁力を用いて保持し、静電荷像担持体
    上に形成された静電潜像に該磁性1成分トナーを接触さ
    せ、摩擦帯電ではなく、主に該静電潜像の電界による静
    電誘導ないし誘電分極によって帯電することにより潜像
    を可視化することを特徴とする絶縁性磁性1成分トナー
    の現像方法。
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