JP3009772B2 - 吸盤付物掛具 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、吸盤の密閉縁を二重
に圧接して吸盤内の気圧を低く保つようにした吸盤で、
浴室用、台所用、家庭用等の用品を壁に固定する吸盤付
物掛具に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、浴室、台所など家庭の壁にシャワ
ー噴水口やお玉杓子等を釣り下げるための道具として用
いられる引掛具を壁に固定するために吸盤を用いた吸盤
付物掛具として例えば本出願人による特公昭６４−１０
６８５号公報に記載されているものが知られている。こ
れは、椀形の吸盤を逆さにして壁に吸着させ吸盤の裾部
分にそれぞれ縁部を環状に圧接する内方押え椀体と外方
押え椀体とを具えており、内側外側の二重の圧接によっ
て吸盤内の低圧を維持するようにしたものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、この型の吸盤
付物掛具においては吸盤に一端を固着したボルトの他端
がねじ止めされている外方押え椀体の回動によって吸盤
の圧接が自由に行われ得る反面、外方押え椀体に一体に
形成されている物掛支持部もまた回動のため傾斜して対
象物の支持が充分に行われない欠点があった。本発明の
目的は、上記欠点を克服して吸盤の低圧を確実に保つと
ともに、引掛対象物を吊下げるにあたって物掛支持部が
正しく鉛直方向に位置するようにして対象物の支持を正
確に行い得るようにした新規な吸盤付物掛具を提供する
ことにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記従来の吸盤の欠点を
克服するために、本発明による吸盤付物掛具において
は、吸盤に頭部を固着したボルトを、押え椀体と物掛具
本体とにそれぞれ穿設された中央孔に遊合貫通させ、ボ
ルトのねじ部の先端に、物掛具本体上に同心に重ね載置
される緊締体をその雌ねじ部を介して螺合させることに
より、物掛具本体を所望の正常位置に回動し、緊締体に
て緊締することにより物掛支持部を正常位置に固定する
ようにした。

【０００５】

【作用】本発明による吸盤付物掛具を壁等被吸着面に圧
接して緊締体を回動緊締すると押え椀体および物掛具本
体が壁等被吸着面に近づき、押え椀体の椀縁部および物
掛具本体の椀縁部が吸盤の内側および外側をそれぞれ円
形状に圧接して止まる。このとき物掛具本体の一部に設
けられている物掛支持部の位置が引掛対象物を鉛直に支
持せず鉛直方向より傾斜しているときは、緊締体を回動
して弛め、物掛支持部の位置を正常に矯正してから緊締
体を緊締することにより、吸盤を被吸着面から脱離する
ことなく、引掛対象物を正しい位置に引掛けることがで
きる。

【０００６】

【実施例】次に本発明を、その実施例について図面を参
照して説明する。図１は本発明の一実施例の吸盤付物掛
具の吸着準備状態を示す要部縦断面図、図２は吸着の最
初の状態を示す要部縦断面図、図３は吸盤中央部が、押
え椀体の圧接が増して膨れ上った状態を示す要部縦断面
図である。逆椀形の吸盤１は軟質ゴム又は軟質塩化ビニ
ル樹脂等の軟質弾性材料で成形し、その中央部に金属製
または硬質樹脂等の材料で作ったボルト２のボルト頭部
２１を埋設固着している。押え椀体３は薄い金属板、フ
ェノール、ユリア樹脂等硬質材料で成形し、その押え椀
体３に穿設された椀体中央孔３２にボルト２を緩く挿通
し、図示のように吸盤上に同心に重ねて取付ける。物掛
具本体４はメタアクリル樹脂その他の硬質材で成形し、
その中心部には金属製のボルト２と同心に物掛具中央孔
４５が穿設されている。そして物掛具本体４は押え椀体
３上に同心に重ね取付けられている。物掛具本体４は逆
椀状をしており椀縁部４１の円形直径は押え椀体３の円
形の椀縁部３１の直径よりも大きいが吸盤１の直径より
も小さい。そして物掛具本体４の外周には引掛対象物例
えばシャワー噴水部を引掛け支持する物掛支持部４３が
設けられており、また物掛具本体４の周囲に紐などを引
掛ける溝が設けられていることもある。物掛具本体４の
上に重ねて同心に載置される緊締体５は金属、メタアク
リルその他の硬質材でつくられその下部の緊締体滑合部
５１は外側が円筒形になっていて前記物掛具本体４の物
掛具中央孔４５と滑合するようになっており、緊締体５
の中心には前記ボルト２のボルトねじ部２２の先端に螺
合する金属製の雌ねじ部５２が設けられている。本実施
例においてはこの雌ねじ部５２は有底であるが、貫通し
たねじ孔として、ボルト２を該貫通したねじ孔に螺通突
出させてナット止めしてもよい。緊締体５の縦断面は図
示のようにほぼＴ字型になっているが、そのＴ字型下側
は物掛具本体４の物掛具中央孔４５に滑合し、また物掛
具本体４の上端面には緊締体５の肩部下面である緊締体
下面５３が衝合するようになっている。

【０００７】図２は図１に示された実施例の吸着の最初
の状態を示す断面図である。物掛具本体４を押し下げる
と、吸盤１は扁平となって吸盤１内の空気が排除され吸
盤自体の有する弾性によって吸盤１が拡張しようとして
吸盤１と壁６との間の空気圧が低下して吸盤１は壁６に
吸着される。次に緊締体５を回動させると、雌ねじ部５
２も共に回動するが、物掛具本体４は緊締体５に遊嵌さ
れ、また押え椀体３はボルト２のねじ部には遊嵌されて
いるに過ぎないから回動することなく下降し、その押え
椀体３の椀縁部３１が吸盤面を圧すると図３に示すよう
に吸盤１の中央の吸盤中央部１１が押え椀体３の中に引
上げられる。このとき物掛具本体４の椀縁部４１は未だ
吸盤１の上方に離れている。さらに緊締体５を回動させ
ると図４に示すように押え椀体３の椀体縁部３１が吸盤
１の内方を強圧して低圧部分の容積を拡大しながら物掛
具本体４の椀縁部４１が吸盤外方に圧接し、吸盤１の周
囲を押え椀体３の椀縁部３１とともに内外二重に壁６に
密封することとなる。吸盤付物掛具を壁６から取外すと
きは緊締体５を逆回転させ物掛具本体４および押え椀体
３を吸盤１から離して取外す。

【０００８】

【発明の効果】本発明は吸盤の主要な気密保持部分であ
る中央部を先ず押え椀体の椀縁部を以て圧接させ、次に
吸盤の外周部を物掛具本体の椀縁部を以て吸盤の残余気
密保持部分を圧接させたものであるから、物掛具本体が
物掛によって荷重を受けたとき主として物掛具本体の椀
縁部の吸盤圧接箇所付近の吸盤および壁にて、前記荷重
を負担するため、前記吸盤中央部内の気密保持部分の気
密が保持されて吸着作用が低下しにくいばかりでなく、
物掛けの際に引掛対象物を支持する物掛支持部が鉛直方
向より傾斜していて正しい方向にない場合には、吸盤を
壁から離すことなく、単に緊締体を緊締方向と逆方向に
回転させるだけで緊締体と遊嵌している物掛具本体を自
由に回動して前記傾斜を矯正した後、再び緊締体を緊締
することによって引掛対象物を正しく鉛直方向に支持す
る調整が容易にできるというすぐれた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による一実施例の吸盤付物掛具の要部縦
断面であり、吸着準備状態を示す。

【図２】吸着の最初の状態を示す要部縦断面である。

【図３】吸盤中央部が、押え椀体の圧接が増して膨れ上
った状態を示す要部断面図である。

【図４】吸着完了の状態を示す要部縦断側面図である。

【符号の説明】

１ 吸盤 ２ ボルト ３ 押え椀体 ４ 物掛具本体 ５ 緊締体 ６ 壁 １１ 吸盤中央部 ２１ ボルト頭部（頭部） ２２ ボルトねじ部（ねじ部） ３１、４１ 椀縁部 ３２ 椀体中央孔 ４３ 物掛支持部 ４５ 物掛具中央孔 ５１ 緊締体滑合部 ５２ 雌ねじ部 ５３ 緊締体下面

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 弾性材料よりなる椀形の吸盤（１）の中
   央にボルト（２）の頭部（２１）を固着し、該ボルト
   （２）を遊合貫通させて、吸盤（１）の径より小径の押
   え椀体（３）を吸盤（１）上に同心に重ね載置し、吸盤
   （１）より小径で押え椀体（３）より大径の椀縁部（４
   １）と物掛具中央孔（４５）とを有し、外周に物掛支持
   部（４３）が設けられている逆椀形の物掛具本体（４）
   を、押え椀体（３）上に同心に重ね載置し、前記物掛具
   中央孔（４５）と滑合する緊締体滑合部（５１）を下部
   に有する緊締体（５）を、物掛具本体（４）上に同心に
   重ね載置し、前記ボルト（２）のねじ部（２２）の先端
   に雌ねじ部（５２）を介して螺合し、前記物掛具本体
   （４）の椀縁部（４１）で、吸盤（１）の密閉縁を圧接
   することを特徴とする吸盤付物掛具。
2. 【請求項２】 前記緊締体（５）の肩部下面である緊締
   体下面（５３）は、物掛具本体（４）の上端面に衝合し
   ていることを特徴とする請求項１記載の吸盤付物掛具。