JP3007939U - スキー滑走路 - Google Patents

スキー滑走路

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JP3007939U
JP3007939U JP1994011365U JP1136594U JP3007939U JP 3007939 U JP3007939 U JP 3007939U JP 1994011365 U JP1994011365 U JP 1994011365U JP 1136594 U JP1136594 U JP 1136594U JP 3007939 U JP3007939 U JP 3007939U
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和彦 藤田
元彦 佐藤
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株式会社グローカル
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Abstract

(57)【要約】 【構成】スキー滑走路1Aは、地面2上に敷設された複
数の単位マット30Aを連結してなる滑走マットと、該
滑走マットを覆う雪または氷粒の層5と、滑走マットを
地面2に対し固定する固定部材とを有している。単位マ
ット30Aは、上部に可撓性を有する複数の突起33が
立設された枠部材31を有し、該枠部材31には、複数
の開口32が形成されている。雪または氷粒の層5は、
開口32内に位置する第1の層51と、突起33を埋入
する第2の層52とを有し、第1の層51と第2の層5
2とで、それらを構成する雪または氷粒の性状が異る。 【効果】融雪を防止し、少量の積雪量で円滑かつ安全な
滑走ができ、人工の雪または氷粒を用いる場合、エネル
ギー消費、製造コストおよび滑走路形成時間を大幅に低
減できる。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、スキー滑走路に関する。
【0002】
【従来の技術】
天然雪が降らないかまたは不十分であるような地域や季節では、人工降雪機に よって製造された人工雪を積もらせたり、クラッシュアイスのような氷粒をゲレ ンデに散布して人工スキー場としている。
【0003】 ところで、一般にスキー場のゲレンデでは、融雪、雪の移動、飛散等により積 雪量が減少すると、滑走条件が悪化し、また、地面が露出した場合には、滑走に 危険を生じるため、常に十分な積雪量を確保するのが好ましい。
【0004】 このような積雪量の確保は、人工スキー場においても該当するが、人工スキー 場では、本来平均気温が高い等の理由から、融雪を生じ易く、従って、最低30 〜40cmの積雪量を常に保持しなければならない。
【0005】 しかしながら、人工雪や氷粒でこのような積雪量を確保するには、次のような 問題がある。 すなわち、積雪量に応じた大量の人工雪や氷粒を製造しなければならず、その ために多大な電気エネルギーとコストがかかり、しかも、これらをゲレンデに散 布するのに長時間を要する。特に、人工雪は、気温が−3℃以下、湿度が80% RH以下でないと製造できないため、そのような条件の日が例えば10日以上連続 しないと目的とする積雪量を達成することができず、人工スキー場のオープンが 遅れるという問題がある。
【0006】 また、上記積雪量を達成して人工スキー場をオープンしても、融雪速度が速い ので、十分な積雪量を維持するために、頻繁かつ大量に人工雪や氷粒を造雪し、 補充しなければならず、ランニングコストも多大なものとなっていた。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は、少量の積雪量で円滑かつ安全な滑走ができ、特に、人工的に製造さ れる雪または氷粒を用いる場合に、その製造のためのエネルギー消費、製造コス トおよび滑走路形成時間を大幅に低減することができるスキー滑走路を提供する ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)ないし(15)の本考案により達成される。
【0009】 (1) 地面の上に敷設された滑走マットと、該滑走マットを覆う雪または氷 粒の層とで構成されたスキー滑走路であって、 前記滑走マットは、少なくとも1つの開口を有する枠部材と該枠部材より立設 された複数の可撓性を有する突起とで構成された単位マットを複数個連結してな るものであり、 前記雪または氷粒の層は、地面側から、前記開口内に位置する第1の層と、前 記突起を埋入する第2の層とを有し、前記第1の層と前記第2の層とで、それら を構成する雪または氷粒の性状が異なっていることを特徴とするスキー滑走路。
【0010】 (2) 地面の上に敷設された滑走マットと、該滑走マットを覆う雪または氷 粒の層とで構成されたスキー滑走路であって、 前記滑走マットは、少なくとも1つの開口を有する枠部材と該枠部材より立設 された複数の可撓性を有する突起とで構成された単位マットを複数個連結してな るものであり、 前記雪または氷粒の層は、地面側から、前記開口内に位置する第1の層と、前 記突起を埋入する第2の層と、その上の第3の層とで構成され、前記第1の層と 前記第3の層とで、それらを構成する雪または氷粒の性状が異なっていることを 特徴とするスキー滑走路。
【0011】 (3) 前記単位マットの下部に、前記開口を囲むように形成され、下端が接 地して開口内の水が地面の面方向に移動するのを阻止するリブを有する上記(1 )または(2)に記載のスキー滑走路。
【0012】 (4) 前記枠部材と前記リブとで囲まれる空間に断熱層を有する上記(3) に記載のスキー滑走路。
【0013】 (5) 前記開口の合計開口面積が、前記滑走マットの敷設総面積の25〜7 0%である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のスキー滑走路。
【0014】 (6) 前記雪または氷粒の層の層厚の平均値が、前記滑走マットの厚さの5 倍以内である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のスキー滑走路。
【0015】 (7) 前記第1の層は、雪または氷粒同士が結合して固まった状態となって いるものである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のスキー滑走路。
【0016】 (8) 前記第2の層に比べ前記第1の層の含水率が高い上記(1)ないし( 7)のいずれかに記載のスキー滑走路。
【0017】 (9) 前記雪または氷粒は、人工的に製造されたものである上記(1)ない し(8)のいずれかに記載のスキー滑走路。
【0018】 (10) 前記第2の層における雪または氷粒の平均粒径は、隣接する前記突起 同士の間隙距離より小さい上記(9)に記載のスキー滑走路。
【0019】 (11) 地面と前記滑走マットとの間に、多孔質性の素材で構成された多孔質 マットが介挿されている上記1ないし(10)のいずれかに記載のスキー滑走路。
【0020】 (12) 前記多孔質マットの素材は、天然繊維の集合体で構成されている上記 (11)に記載のスキー滑走路。
【0021】 (13) 前記多孔質マットは、前記素材の地面側の面に少なくとも1層の保水 性を有する保水層を有するものである上記(11)または(12)に記載のスキー滑 走路。
【0022】 (14) 前記多孔質マットの内部および/または表面に、少なくとも面方向に 分散配置された種子を有する上記(11)ないし(13)のいずれかに記載のスキー 滑走路。
【0023】 (15) 前記多孔質マットの内部および/または表面に、植物の発育を助成す る養分を有する上記(11)ないし(14)のいずれかに記載のスキー滑走路。
【0024】
【実施例】
以下、本考案のスキー滑走路およびスキー滑走路を添付図面に示す好適実施例 に基づいて詳述する。
【0025】 図1は、本考案のスキー滑走路の構成例を示す断面側面図、図2は、本考案の スキー滑走路に用いる滑走マットの構成例を示す平面図、図3は、図2中のIII −III 線断面図である。
【0026】 図1に示すように、本考案のスキー滑走路1Aは、傾斜した地面2の上に形成 される。なお、地面2の平均傾斜角度θは、特に限定されないが、好ましくはθ =1〜40°程度、より好ましくはθ=1〜25°程度とすることができる。
【0027】 スキー滑走路1Aは、滑走マット3と、該滑走マット3を覆う雪または氷粒の 層5と、滑走マット3を地面2に対し固定する固定部材4とを有している。以下 、これらについて順次説明する。
【0028】 図1および図2に示すように、滑走マット3は、地面2の上に敷設されている 。本実施例における滑走マット3は、複数の単位マット30Aを縦および横方向 にそれぞれ連結してなる単位マット連結体で構成されている。
【0029】 図2に示すように、単位マット30Aは、枠状に形成された枠部材31を有し 、該枠部材31には、側壁313で囲まれたほぼ三角形の開口32が複数形成さ れている。この開口32は、後述する第1の層51の雪または氷粒を充填する空 間を形成している。なお、開口32の形状は、図示のような形状に限らず、例え ば、円形、楕円形、矩形、五角形、六角形、八角形、十文字形、星形等、任意の 形状が可能である。
【0030】 枠部材31の上部には、可撓性を有する突起33が複数本立設されている。図 3に示すように、各突起33は、枠部材31に対しほぼ垂直に立設されている。 この場合、突起33は、枠部材31の枠長手方向に沿って列状に配置され、突起 33の高さは、枠の幅方向中央部が最も高く、その両端に向かって順次低くなっ ており、各突起33の先端の軌跡が、全体として山型をなすように構成されてい る。また、各突起33の外径は、全て同一でもよいが、枠部材31の枠の幅方向 中央部が最も小さく、その両端に向かって順次大きくすることもできる。
【0031】 単位マット30Aにこのような突起33を設けることにより、雪または氷粒の 層5の厚さが減少し、突起33が露出した場合でも、スキーが突起33と接触し て円滑な滑走を維持することができ、特に、各突起33を前述したような構造と することにより、枠部材31の枠の幅方向中央部と両側部とで、突起33の可撓 性に差が生じ、かつ、滑走状況に応じてそのような突起33へのスキーの接触順 位(頻度)が異なることから、スキーの直線状の滑降に対しては低摩擦でかつ安 定したハイスピード滑降を可能とし、ターンの際には、スキーのエッジの効きが 向上し、スリップすることなくシャープなターンが可能となる。 なお、突起33の表面に、例えばシリコーン、ポリテトラフルオロエチレンの ような低摩擦材料によるコーティング層が設けられていてもよい。
【0032】 また、図2に示すように、単位マット30Aの外縁部には、凸部よりなる雄型 嵌合部34と、凹部よりなる雌型嵌合部35とが、互いに対向する位置に所定数 形成されている。隣接する単位マット30A同士は、それらの雄型嵌合部34と 雌型嵌合部35とを嵌合することにより連結される。なお、雄型嵌合部34およ び雌型嵌合部35は、これらを一旦嵌合すると、嵌合が外れる逆方向へは移動し 得ないような逆止機構を有するものであるのが好ましい。これにより、スキーの 滑走に伴う振動、衝撃等により雄型嵌合部34および雌型嵌合部35の嵌合が解 除されることが防止される。このような逆止機構としては、雄型嵌合部34の外 周部に沿って雌型嵌合部35の開口縁部に係止する複数の爪341を設けた構成 が挙げられる。
【0033】 なお、単位マット30A同士の連結機構は、図示のごとき雄型嵌合部34およ び雌型嵌合部35に限定されず、例えば、隣接する単位マット30Aの外周部同 士を別部材の連結部材(例えば、リベット)で連結してもよい。
【0034】 図3に示すように、単位マット30Aの枠部材31の下面には、開口32の全 周を囲むリブ311が突出形成され、単位マット30Aを地面2上に敷設したと き、該リブ311の下端が地面2に接地するよう構成されている。このリブ31 1の外面に形成された側壁313により、開口32が画成される。
【0035】 このリブ311は、単位マット30Aの軽量化を図りつつ十分な補強効果を得 るのに有効であるとともに、雪または氷粒が融けて開口32内に生じた水が地面 2の面方向(図3中横方向)に移動するのを阻止する機能、すなわちダムのよう な機能を有する。
【0036】 また、枠部材31と対向する一対のリブ311とで囲まれる空間312に断熱 空気層が形成されている。なお、図示と異なり、空間312内に、例えばポリウ レタンのような弾性材料よりなる発泡体や、ガラス繊維、樹脂繊維、織布、不織 布のような各種断熱材を充填して断熱層を構成してもよい。 なお、リブ311の下端部は、例えば地面2より地中に埋入されていてもよい 。
【0037】 このような単位マット30Aにおいて、各突起33、リブ311、雄型嵌合部 34は、それぞれ、枠部材31とともに一体成型により形成されているのが好ま しい。具体的には、単位マット30Aを後述する高分子材料を用いて射出成型に より製造することができる。
【0038】 単位マット30Aに要求される特性としては、十分な強度および靱性、耐久性 (特に低温下の耐久性)、低摩擦係数、耐摩耗性、製造の容易性等が挙げられる 。このような特性の多くを満足し得る単位マット30Aの構成材料としては、例 えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリ オレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフ タレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリウレタン等の各 種ポリマー、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ク ロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、アク リル系ゴム、シリコーンゴム等の各種弾性材料等のうち1種または2種以上(例 えばポリマーアロイ)を主材料とするものが挙げられるが、そのなかでも特に、 ポリエチレンまたはポリプロピレンを主材料とするものが好ましい。
【0039】 また、このような単位マット30Aの構成材料には、必要に応じ、例えば、充 填材、可塑剤、潤滑剤、劣化防止剤、安定剤、顔料のような各種添加剤が添加さ れていてもよい。
【0040】 滑走マット3においては、各開口32の合計開口面積が、滑走マット3の敷設 総面積の25〜70%であるのが好ましく、30〜60%であるのがより好まし く、33〜55%であるのがさらに好ましい。開口32の合計開口面積が小さ過 ぎると、開口32内の水が地面2から地中に浸透する面積が小さくなり、例えば 地面2が粘土質の場合、排水不良を生じ易くなる。逆に、開口32の合計開口面 積が大き過ぎると、第1および第2の層51、52における雪または氷粒の固定 が不十分となる。
【0041】 このような滑走マット3は、固定部材4により地面2に対し固定されている。 図1および図2に示すように、本実施例における固定部材4は、一対のほぼ平行 な棒状の埋込部41と、両埋込部41の一端部同士を連結する連結部42とより なるコ字状の杭(スパイク)で構成されている。
【0042】 このような固定部材4による滑走マット3の固定は、連結部42が枠部材31 の上部に当接し、両埋込部41を地中に埋入することによりなされる。この場合 、各固定部材4は、埋込部61を地面2に対しほぼ垂直に埋入するのが好ましい 。また、図示されていないが、固定部材4の抜けを防止するための手段として、 埋込部41の外面に凹凸やかえし等が形成されていてもよい。
【0043】 固定部材4による固定点の密度(間隔)は、特に限定されず、例えば、単位マ ット30A毎に1または2以上の固定部材4で固定する方法、単位面積毎に固定 部材4で固定する方法(例えば、固定部材数0.2〜10個/m2 )等、いずれで もよい。さらに、固定部材4による固定点の密度は、不均一であってもよい。こ の場合、例えば急斜面のような滑走マット3のズレ、浮き上がり等が生じ易い箇 所においては、固定部材4による固定を密に行うのが好ましい。
【0044】 なお、固定部材4の構造は、図示のものに限定されず、例えば、1本の埋込部 41を有するL字状のもの、アンカーボルト、枠部材31への固定具等、滑走マ ット3を固定可能なものであれば、任意の構成のものを用いることができる。ま た、本考案では、このような固定部材を用いなくてもよい。
【0045】 図3に示すように、滑走マット3の各開口32内には、雪または氷粒が充填さ れ、これにより第1の層51が構成されている。また、第1の層51の上には、 雪または氷粒による第2の層52が形成されている。この第2の層52内に、各 突起33のほぼ全体が埋入している。これら第1の層51と第2の層52とで雪 または氷粒の層5が構成される。
【0046】 このような第1の層51と第2の層52とでは、雪または氷粒の性状が異なっ ている。本実施例では、第1の層51は、雪または氷粒同士が結合して固まった 状態、すなわち、シャーベット状または氷状となっており、第2の層52は、雪 または氷粒同士がほとんど結合していないかまたはその結合の程度が第1の層5 1に比べ低い。換言すれば、第2の層52に比べ前記第1の層51における雪ま たは氷粒の充填密度が高く、また、第2の層52に比べ前記第1の層の含水率が 高い。
【0047】 また、第1の層51と第2の層52との性状が異なる他の例としては、例えば 、第1の層51と第2の層52とで雪または氷粒の粒径を異ならせたもの、特に 、第1の層51を氷粒で構成し、第2の層52を前記氷粒より粒径の小さい氷粒 または雪で構成したものや、第1の層51または第2の層52中に添加剤を添加 したもの、特に、第1の層51中に保冷剤、凝固点降下剤、結合剤等の各種薬品 を添加したもの等が挙げられる。このような相違は、後述するスキー滑走路1B における第1の層51と第3の層53にも該当する。
【0048】 なお、第2の層52の全部または一部は、その上面が例えば図3中のAで示す レベルとなるように、突起33の途中までを埋入するものでもよい。 また、第1の層51と第2の層52との境界が明確でなく、両層51、52の 性状が連続的に変化するものでもよい。
【0049】 第2の層52における雪または氷粒の平均粒径は、隣接する突起33同士の間 隙距離より小さいのが好ましく、具体的には、隣接する突起33同士の間隙距離 の3/4〜1/100程度であるのが好ましく、1/2〜1/40程度であるの がより好ましい。これにより、雪または氷粒が突起33同士の間隙に容易に入り 込み、スキーが突起33に接触した場合に、突起33の倒れ(湾曲変形)を抑制 し、スキーと突起33との摩擦力を低値に維持できるので、直線状およびターン のそれぞれにおいて円滑な滑走が可能となり、また、突起33の傷付きや劣化も 少ないので、滑走マット3の寿命も長い。
【0050】 なお、雪または氷粒の層5の雪または氷粒は、天然のもの、人工的に製造され たもの、またはこれらを混合したもののいずれでもよいが、主に、人工的に製造 されたものであるのが好ましく、例えば、人工降雪機(ファンタイプ、ガンタイ プ等)により造雪される人工雪や、氷粒製造機により製造されるクラッシュアイ ス(プレートアイス、フレークアイス等)が挙げれらる。
【0051】 次に、スキー滑走路1Aの作用について説明する。 一般に、融雪の主な原因としては、スキーの滑走により雪が移動しまたは撹拌 されること、土の混入により雪が茶色に着色し、太陽光の吸収量が増大して温度 が上昇すること、地熱の伝搬により、雪層が地面側から融けること、雪が融けた 水が雪層の下部に溜り、地面に沿って流れ、その流水が雪層を地面側から侵食す ること等が挙げられる。
【0052】 これに対し、本考案のスキー滑走路1Aでは、以下に述べるような作用、効果 を有する。 第1の層51は、開口32内に充填されており、かつ、前述した性状であるた め、滑走時に雪または氷粒の移動を生じず、地面2からの土の移行を阻止し、地 熱の第2の層52への伝搬を阻止する。また、第2の層52(特に、スキーと接 触する第2の層52の上部)は、前述した性状であるため、滑走に適しており、 しかも、第2の層52は、移動しない第1の層51と結合し、かつ、突起33が 埋入されているため、第2の層52の雪または氷粒も移動し難く、さらに、土の 混入により太陽熱の吸収量が増大することもない。
【0053】 また、第2の層52では、突起33の間隙に雪または氷粒が入り込んでいるた め、スキーが突起33に接触した場合でも円滑な滑走が維持される。この場合、 空間312の断熱空気層の存在により、その上方、すなわち突起33同士の間隙 内や突起33の近傍にある雪または氷粒が融けるのが防止される。
【0054】 また、雪または氷粒が融けて開口32内に水が生じた場合、この水は、第1の 層51の下方へ移動し、地面2から地中に浸透する。このとき、リブ311がダ ムのような機能を持つため、この水が地面2に沿って流れ、隣接する開口32の 下部へ移行することが阻止される。そのため、流水が第1の層51を地面2側か ら侵食して融雪を生じることが防止される。
【0055】 以上のような第1の層51、第2の層52、空間312およびリブ311の持 つ相乗効果により、融雪が有効に防止される。 一方、滑走マット3においては、雪または氷粒の層5により覆われているため 、滑走マット3上を直接滑走する場合に比べ、滑走マット3の枠部材31の変形 や突起33の損傷、劣化がほとんど生じず、滑走マット3の寿命が長い。しかも 突起33が第2の層52中に埋入されていることおよび雪または氷粒と接触して 低温となっていることから、突起33の可撓性が抑制され、スキーとの摩擦抵抗 が減少し、円滑な滑走が可能となる。
【0056】 このように、本考案のスキー滑走路1Aは、滑走マット3が雪または氷粒の層 5の融雪を防止し、その雪または氷粒の層5が滑走マット3を保護しかつ円滑な 滑走を得るという相互作用を有する。
【0057】 図4は、本考案のスキー滑走路の他の実施例を示す断面側面図である。同図に 示すスキー滑走路1Bは、雪または氷粒の層5の構成が異なる以外は、前記スキ ー滑走路1Aと同様である。すなわち、スキー滑走路1Bにおける雪または氷粒 の層5は、前記と同様の第1の層51および第2の層52を有し、さらに第2の 層52の上に雪または氷粒の第3の層53を有する構成である。第3の層53を 設けたことにより、スキーの滑走の際、突起33が雪または氷粒の層5の表面に 露出することがほとんどなくなり、円滑な滑走が安定的に維持される。
【0058】 このような雪または氷粒の層5においては、第1の層51と第3の層53との 性状が異なっている。すなわち、第1の層51は、雪または氷粒同士が結合して 固まった状態、すなわち、シャーベット状または氷状となっており、第3の層5 3は、雪または氷粒同士がほとんど結合していないかまたはその結合の程度が第 1の層51に比べ低い。換言すれば、第3の層53に比べ前記第1の層51にお ける雪または氷粒の充填密度が高く、また、第3の層53に比べ前記第1の層の 含水率が高い。
【0059】 この場合、第2の層52は、第1の層51の性状と同一または近似するもの、 第3の層53の性状と同一または近似するもの、第1の層51と第3の層53の 中間の性状を有するもののいずれでもよい。
【0060】 このようなスキー滑走路1Bでは、第1の層51は、前記と同様の作用を有し 、第2の層52は、移動しない第1の層51と結合し、かつ、突起33が埋入さ れているため、第2の層52の雪または氷粒も移動し難い。そして、第3の層5 3(特に、スキーと接触する第3の層53の上部)は、前述した性状であるため 、滑走に適しており、しかも、第3の層53は、移動し難い第2の層52と結合 しているので、その少なくとも下部は移動し難く、さらに、土の混入により太陽 熱の吸収量が増大することもない。従って、雪または氷粒の層5の融雪が有効に 防止される。
【0061】 なお、第2の層52が第1の層51の性状と同一または近似するものである場 合には、第2の層52の雪または氷粒の固定がさらに強固になされ、雪または氷 粒の層5の融雪防止効果がさらに向上する。
【0062】 また、雪または氷粒が融けて開口32内に生じた水が地面2に沿って流れるの を阻止することによる融雪防止効果や、滑走マット3の保護効果についても前記 と同様である。なお、本考案において、雪または氷粒の層5は、圧雪または非圧 雪状態のいずれでもよい。
【0063】 本考案において、雪または氷粒の層5の層厚T1 の平均値は、滑走マット3の 厚さT2 の5倍以内であるのが好ましく、4倍以内であるのがより好ましく、1 〜3倍であるのがさらに好ましい(図1参照)。本考案では、上述したように、 雪または氷粒の層5の融雪防止効果を有し、その層厚T1 の変化が少ないため、 層厚T1 がT2 の5倍以内であっても、安定した滑走が持続できる。そして、雪 または氷粒の層5を人工的に製造された雪または氷粒で構成する場合には、層厚 T1 がT2 の5倍以内であるため、製造する雪または氷粒の量が大幅に減少し、 散布に要する時間も短くなり、エネルギーの節減およびコストダウンが図れ、ス キー場をオープンするための条件も有利となる。
【0064】 図5は、本考案に用いられる単位マットの他の構成例を示す底面図である。同 図に示す単位マット30Bは、八角形の開口37が複数形成された枠部材36を 有し、該枠部材36の上部には、前記と同様の複数の突起が枠部材36に対しほ ぼ垂直に立設されている。
【0065】 枠部材36の下面には、開口37の全周を囲むように前記と同様のリブ311 が突出形成され、単位マット30Bを地面2上に敷設したとき、該リブ311の 下端が地面2に接地するよう構成されている。このリブ311の表面に形成され た側壁313により、開口37が画成される。また、前記と同様、枠部材36と 各リブ311とで囲まれる空間312に断熱空気層が形成されている。
【0066】 また、単位マット30Bの外縁部には、前記と同様の雄型嵌合部34および雌 型嵌合部35が形成され、単位マット30B同士は、それらの雄型嵌合部34と 雌型嵌合部35とを嵌合することにより連結される。
【0067】 図6は、本考案のスキー滑走路の他の実施例を示す断面側面図である。同図に 示すスキー滑走路1Cは、地面2と滑走マット3との間に、多孔質性の素材で構 成された多孔質マット6が介挿されており、それ以外の構成は、前記スキー滑走 マット1Aまたは1Bと同様である。なお、固定部材4は、多孔質マット6を貫 通して地中に埋入される。
【0068】 図7は、多孔質マット6の構成例を模式的に示す断面図である。同図に示すよ うに、多孔質マット6は、繊維の集合体のような多孔質性の素材61で構成され ている。この素材61は、以下に述べるような繊維の不織布、織編物や、各種紙 類、短繊維の集合体またはこれらを任意に組み合わせたもの等が挙げられるが、 不織布または織編物が好ましく、不織布がさらに好ましい。
【0069】 なお、織編物とは、織物、編物またはこれに類するもの(例えばメッシュ)を 含む。織物組織としては、実用に供されている全ての種類のもの、例えば、平織 、斜文織、朱子織が使用可能である。また、編物組織についても特に限定はなく 、例えば、よこ編み(平編み)、たて編み(トリコット編み)、丸編み、平打ち 、メリヤス編み等が挙げられる。
【0070】 このような繊維の充填密度(嵩密度)は特に限定されないが、多孔質マット6 を介しての種子の発芽を妨げず、かつ屋外環境下での過酷な条件に耐え得る十分 な強度を有する程度とされる。具体的には、繊維の種類や集合形態にもよるが、 不織布または織編物の場合、繊維の充填密度(嵩密度)は、0.02〜0.7g/ cm3 程度が好ましく、0.03〜0.5g/cm3 程度がより好ましく、0.05〜 0.3g/cm3 程度がさらに好ましい。
【0071】 多孔質マット6の素材61を構成する繊維としては、天然繊維、合成繊維のい ずれでもよいが、環境保護の観点から天然繊維が好ましい。天然繊維としては、 各種タンパク繊維、セルロース繊維または鉱物繊維が挙げられ、例えば、ヤシ繊 維、樹木繊維(パルプ)、亜麻、マニラ麻、***、ワラ、ムギ、パイナップル、 綿、絹、羊毛、カボック、ラミー、リンター、アスベスト等のうちの1種または 2種以上を組み合わせて(混合、混紡、または多層積層体等)用いることができ るが、この中でも特に、ヤシ繊維、亜麻、***のような高張力天然繊維(高弾性 力天然繊維)またはこれを主とするものが好ましく、さらには、ヤシ繊維を主と するものが好ましい。
【0072】 このような高張力天然繊維は、繊維の充填密度を比較的低くしても十分な強度 および自己形状保持性を有するからである。すなわち、繊維の充填密度を高くす れば強度はより増大し自己形状保持性も高まるが、その反面、繊維間の空孔(隙 間)がより小さくなり、後述する種子の発芽、育成を阻害することとなり、よっ て、高張力天然繊維を用いれば、強風等の過酷な環境条件に耐え得る十分な強度 および自己形状保持性と、種子の発芽に有利な開孔率との双方得ることができる 範囲が広がる。なお、前記自己形状保持性とは、他の補強部材や包材等を装着し なくても、それ自体で、繊維のほぐれ、崩れ、切断等を生じて変形することがな い性質を言う。
【0073】 また、多孔質マット6は、天然繊維同士を結合する結合剤を担持しているのが 好ましい。これにより、繊維同士の結合力が増し、強度および自己形状保持性が より増大する。
【0074】 結合剤としては、例えば、ニカワ、カゼイン、アラビアゴム、天然ゴム、澱粉 糊等の天然接着剤や、例えば、フェノール樹脂、レゾルシン樹脂、フラン樹脂、 尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコ ーン樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化 ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸エステル、ニトロセルロース等 の熱可塑性樹脂、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、ネオプレンゴム等の各種 ゴム等を主成分とする合成接着剤を用いることができる。
【0075】 結合剤の担持方法としては、例えば、上記結合剤を含む溶液または分散液を多 孔質マット基材61に対し、ディッピング、スプレー、塗布等により含浸させ、 その後乾燥することにより行うことができる。
【0076】 なお、図示されていないが、多孔質マット6の内部および/または表面には、 後述する種子9が設けられていてもよく、さらには後述する養分10が設けられ ていてもよい。また、多孔質マット6は、同一または異なる構成の層を2層以上 積層したものであってもよい。この場合、それらの層間に種子9や養分10が配 置されていてもよい。
【0077】 地面2と滑走マット3との間に以上のような多孔質マット6を敷設することに より、次にような作用を生じる。すなわち、まず第1に、多孔質マット6が土壌 の移動、変形、侵食を抑制し、地面2が安定するので、特に急斜面でも凹凸の少 ないスキー滑走面が安定的に得られる。第2に、多孔質マット6による断熱、保 温作用により、雪または氷粒の層5への地熱の伝搬を抑制し、融雪防止に寄与す る。第3に、多孔質マット6は、通水性があるため、雪または氷粒が融けて開口 32内に生じた水は、多孔質マット6内に形成された空孔を排水路として円滑に 排水され、地面2から地中に浸透する。よって、第1の層51を地面2側から侵 食することがなく、融雪防止に寄与する。
【0078】 図8は、多孔質マットの他の構成例を示す断面側面図である。同図に示す多孔 質マット7は、前記多孔質マット6の素材61と同様の素材71を有し、その片 面(地面2側の面)に、保水性を有する保水層8が接合された構成のものである 。ここで、保水性とは、水分を含浸し、湿潤状態を維持し得る性質をいう。
【0079】 多孔質マット7の素材71がそれ自体保水性を有さないかまたは保水性に乏し い場合、このような保水層8を設けることにより、種子9への水分の供給が十分 に確保され、発芽率がさらに向上する。
【0080】 保水層8としては、前述した天然繊維のような天然素材で構成されているのが 好ましい。保水層8に用いられる天然繊維としては、例えば、木材または非木材 を繊維原料とする各種パルプ(紙材原料)、綿、絹、羊毛、リンターが挙げられ 、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(混合、混紡、または多層 積層体等)用いるのが好ましい。そして、比較的細い繊維をより高密度(空孔サ イズを小さく)で配設するのが、保水性向上のために好ましい。
【0081】 なお、保水層8は、その吸水性および保水性をさらに向上するために、親水化 処理が施されていてもよい。親水化処理としては、例えば、各種界面活性剤を付 与する方法、紫外線、放射線等を照射する方法が挙げられる。
【0082】 素材71と保水層8との接合面は、例えば、前述したような結合剤や繊維同士 の絡み合い、あるいは糸等による縫合、結紮により結合力を有しているのが好ま しいが、単に接合されて結合力を有さない状態であってもよい。
【0083】 このような多孔質マット7の内部および/または表面には、少なくともマット の面方向に沿って、例えば芝や各種草花の種子9が分散配置されているのが好ま しい。図8に示す構成では、素材71と保水層8との接合面付近に、種子9が好 ましくはマット面方向に均一に分散配置されている。
【0084】 多孔質マット7が地面2に敷設されている状態で、保水層8が湿潤すると、種 子9は所定の季節に発芽する。種子9から出た根は、保水層8の空孔(繊維の隙 間)を通って下方(地面2側)へ伸び、種子9から出た芽は、素材71の空孔( 繊維の隙間)を通って上方へ伸び、素材71の表面から開口32内に突出する。 このように、種子9が各所で地面2に根を張ることにより、多孔質マット7が地 面2に対し、強固に固定される。この場合、前述したように、素材71の空孔の 開孔率が十分に確保されているため、種子9の発芽率が極めて高い(例えば70 %以上)。
【0085】 開口32内に例えば芝が生えていると、地面2からの土の移行がさらに抑制さ れ、また、開口32内における第1の層51の固定がさらに強固になされる。こ れは、冬期に芝が枯れた場合も同様である。
【0086】 なお、多孔質マット7において、種子9は、保水層8の内部や、保水層8の地 面2との接触面に設置されていてもよい。 このような多孔質マット7の内部および/または表面には、種子9の発育を助 成する養分(肥料)10を有するのが好ましい。図8に示す構成では、保水層8 の内部および表面に、養分10がマット面方向に均一に分散配置されている。
【0087】 養分10としては、例えば、窒素、カリウム、リン、石灰、マグネシウム、ケ イ酸、マンガン、亜鉛、銅等のうちの少なくとも一種を含む有機質または無機質 の肥料が挙げられ、その形態は、例えば、粒状、粉状、鱗片状、針状等の固体の ものが用いられるが、液体として含浸されていてもよい。この養分10は、水と 接触して溶出し、保水層8の各所へ拡散し、種子9の発芽または発芽後の発育を 助成する。
【0088】 多孔質マット6、7の厚さ(積層体の場合総厚)は、特に限定されないが、1 〜30mm程度が好ましく、1.5〜15mm程度がより好ましく、2.0〜10mm 程度がさらに好ましい。厚さが薄過ぎると、繊維の種類や結合の度合いによって は、強度が不足することがあり、また、厚さが厚過ぎると、種子9の厚さ方向の 位置によっては、発芽に際しての抵抗が増大し、発芽率が低下する。 次に、本考案のスキー滑走路の形成方法の好適例について説明する。
【0089】 [1]スキー滑走路1Aの形成方法 まず、地面2の上に滑走マット3を敷設する。この作業は、各単位マット30 A(または30B)をそれらの雄型嵌合部34と雌型嵌合部35とを嵌合して順 次連結することにより行う。
【0090】 次に、固定部材4により滑走マット3を地面2に対し固定する。 次に、例えば人工降雪機により人工雪を製造し、滑走マット3上に散布して、 滑走マット3の各開口32内に、人工雪よりなる第1の層51を形成する。 さらに、人工雪の製造、散布を行い、滑走マット3の突起33を埋設する第2 の層52を形成する。このとき、人工雪は、突起33同士の間隙にも挿入する。
【0091】 第1の層51および第2の層52を形成した後(または第1の層51の形成後 、第2の層52の形成前に)、例えば一昼夜放置すると、第1の層51では、温 度履歴により雪同士が結合し、シャーベット状または氷状となり、第2の層52 、特にその上部表面は、雪同士の結合が少ない滑走に適した状態が維持される。 これにより、スキー滑走路1Aが完成する。
【0092】 なお、人工雪の散布後、圧雪して第1の層51および第2の層52を形成して もよい。 この方法では、例えば温度−3℃、湿度80%RHの条件下で1m2当たり6〜2 5kg程度の人工雪を連続的または断続的に散布すればよく、その散布量は、従来 の人工スキー場に比べ、大幅に低減される。従って、散布時間(日数)も短く、 早期にスキー場をオープンすることができる。
【0093】 スキーの滑走や、温度上昇、強風、降雨等の環境条件により、雪または氷粒の 層5の厚さが減少したときは、その厚さを一定(初期設定値)に保持するように 、人工雪を補充する。この補充量も従来に比べ少なく、補充に要する時間も短い 。
【0094】 [2]スキー滑走路1Bの形成方法 第2の層52の形成までは前記[1]と同様に行い、さらに、人工雪の製造、 散布を行い、第2の層52の上に第3の層53を形成する。
【0095】 その後(または、第1の層51あるいは第2の層52の形成後)、例えば一昼 夜放置すると、第1の層51では、温度履歴により雪同士が結合し、シャーベッ ト状または氷状となり、第3の層53、特にその上部表面は、雪同士の結合が少 ない滑走に適した状態が維持される。これにより、スキー滑走路1Bが完成する 。
【0096】 この場合、人工雪の散布量を調整すること等により、前述したように、雪また は氷粒の層5の層厚T1 の平均値を滑走マット3の厚さT2 の好ましくは5倍以 内、より好ましくは4倍以内、さらに好ましくは1〜3倍とする。
【0097】 なお、人工雪の散布後、圧雪して第1の層51、第2の層52および第3の層 53を形成してもよい。 この方法では、例えば温度−3℃、湿度80%RHの条件下で1m2当たり15〜 50kg程度の人工雪を連続的または断続的に散布すればよく、その散布量は、従 来の人工スキー場に比べ、大幅に低減される。 また、雪または氷粒の層5の厚さが減少したときは、前記[1]と同様に、人 工雪を補充する。
【0098】 [3]スキー滑走路1Cの形成方法 まず、地面2の上に前述した多孔質マット6または7を敷設する。 次に、多孔質マット6または7上に滑走マット3を敷設し、その後、前記[1 ]または[2]と同様にして雪または氷粒の層5を形成し、それを維持する。
【0099】 多孔質マット7を用いた場合、多孔質マット7内の種子9が発芽し、例えば芝 となり、冬期には枯れ、その上に雪または氷粒の層5が形成される。また、秋季 以降に多孔質マット7を敷設すると、種子9は発芽せずに越冬するので、その冬 は、その状態で雪または氷粒の層5を形成する。そして、種子9は翌年の春季に 発芽し、次の冬期には枯れ、その上に再び雪または氷粒の層5が形成される。
【0100】 上記[1]〜[3]においては、人工雪に代わり、氷粒製造機により製造され る氷粒(クラッシュアイス)を用いてもよく、また、これらを混合または組み合 わせて用いてもよい。さらには、全部または一部が天然雪であってもよい。 以上のような方法によれば、本考案のスキー滑走路を容易に形成することがで き、その維持も容易である。
【0101】 以上、本考案のスキー滑走路を添付図面に示す好適実施例に基づいて説明した が、本考案は、図示の構成に限定されるものではなく、前述した各構成要素は、 それと同様の機能を生じる他の構成のものと置換することができる。 本考案は、屋外のみならず、屋内の人工スキー場にも適用することができ、ま た、スキーのみならず、スノーボードやそりの滑走路としても適用し得る。
【0102】
【考案の効果】
以上述べたように、本考案のスキー滑走路によれば、最適なスキー滑走面を提 供するとともに、融雪を防止するので、少ない積雪量で円滑かつ安全な滑走が可 能となる。特に、天然雪のスキー場の場合には、着雪の条件が緩和され、早期に スキー場をオープンすることができ、人工の雪または氷粒を用いた人工スキー場 の場合には、雪または氷粒の製造および散布の量を大幅に減少することができ、 エネルギーの節約およびコストダウンが図れるとともに、早期にスキー場をオー プンすることができ、その維持も容易である。
【0103】 また、雪または氷粒の層による滑走マットの保護効果があるので、滑走マット の寿命が長く、滑走マットを何シーズンも交換することなく使用することができ 、維持のための手間とコストが低減される。
【0104】 また、地面と滑走マットとの間に多孔質マットを設けた場合、特に、種子を有 する多孔質マットを設けた場合には、土壌の安定化が図れ、また、断熱、保温効 果、排水路の確実な確保等により上記効果がより顕著に発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案のスキー滑走路の実施例を示す断面側面
図である。
【図2】本考案のスキー滑走路における滑走マットの構
成例を示す平面図である。
【図3】図2中のIII −III 線断面図である。
【図4】本考案のスキー滑走路の他の実施例を示す断面
図である。
【図5】本考案のスキー滑走路における単位マットの他
の構成例を示す底面図である。
【図6】本考案のスキー滑走路の他の実施例を示す断面
側面図である。
【図7】本考案のスキー滑走路における多孔質マットの
構成例を示す断面側面図である。
【図8】本考案のスキー滑走路における多孔質マットの
他の構成例を示す断面側面図である。
【符号の説明】
1A、1B、1C スキー滑走路 2 地面 3 滑走マット 30A、30B 単位マット 31 枠部材 311 リブ 312 空間 313 側壁 32 開口 33 突起 34 雄型嵌合部 341 爪 35 雌型嵌合部 36 枠部材 37 開口 4 固定部材 41 埋込部 42 連結部 5 雪または氷粒の層 51 第1の層 52 第2の層 53 第3の層 6、7 多孔質マット 61、71 素材 8 保水層 9 種子 10 養分

Claims (15)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地面の上に敷設された滑走マットと、該
    滑走マットを覆う雪または氷粒の層とで構成されたスキ
    ー滑走路であって、 前記滑走マットは、少なくとも1つの開口を有する枠部
    材と該枠部材より立設された複数の可撓性を有する突起
    とで構成された単位マットを複数個連結してなるもので
    あり、 前記雪または氷粒の層は、地面側から、前記開口内に位
    置する第1の層と、前記突起を埋入する第2の層とを有
    し、前記第1の層と前記第2の層とで、それらを構成す
    る雪または氷粒の性状が異なっていることを特徴とする
    スキー滑走路。
  2. 【請求項2】 地面の上に敷設された滑走マットと、該
    滑走マットを覆う雪または氷粒の層とで構成されたスキ
    ー滑走路であって、 前記滑走マットは、少なくとも1つの開口を有する枠部
    材と該枠部材より立設された複数の可撓性を有する突起
    とで構成された単位マットを複数個連結してなるもので
    あり、 前記雪または氷粒の層は、地面側から、前記開口内に位
    置する第1の層と、前記突起を埋入する第2の層と、そ
    の上の第3の層とで構成され、前記第1の層と前記第3
    の層とで、それらを構成する雪または氷粒の性状が異な
    っていることを特徴とするスキー滑走路。
  3. 【請求項3】 前記単位マットの下部に、前記開口を囲
    むように形成され、下端が接地して開口内の水が地面の
    面方向に移動するのを阻止するリブを有する請求項1ま
    たは2に記載のスキー滑走路。
  4. 【請求項4】 前記枠部材と前記リブとで囲まれる空間
    に断熱層を有する請求項3に記載のスキー滑走路。
  5. 【請求項5】 前記開口の合計開口面積が、前記滑走マ
    ットの敷設総面積の25〜70%である請求項1ないし
    4のいずれかに記載のスキー滑走路。
  6. 【請求項6】 前記雪または氷粒の層の層厚の平均値
    が、前記滑走マットの厚さの5倍以内である請求項1な
    いし5のいずれかに記載のスキー滑走路。
  7. 【請求項7】 前記第1の層は、雪または氷粒同士が結
    合して固まった状態となっているものである請求項1な
    いし6のいずれかに記載のスキー滑走路。
  8. 【請求項8】 前記第2の層に比べ前記第1の層の含水
    率が高い請求項1ないし7のいずれかに記載のスキー滑
    走路。
  9. 【請求項9】 前記雪または氷粒は、人工的に製造され
    たものである請求項1ないし8のいずれかに記載のスキ
    ー滑走路。
  10. 【請求項10】 前記第2の層における雪または氷粒の
    平均粒径は、隣接する前記突起同士の間隙距離より小さ
    い請求項9に記載のスキー滑走路。
  11. 【請求項11】 地面と前記滑走マットとの間に、多孔
    質性の素材で構成された多孔質マットが介挿されている
    請求項1ないし10のいずれかに記載のスキー滑走路。
  12. 【請求項12】 前記多孔質マットの素材は、天然繊維
    の集合体で構成されている請求項11に記載のスキー滑
    走路。
  13. 【請求項13】 前記多孔質マットは、前記素材の地面
    側の面に少なくとも1層の保水性を有する保水層を有す
    るものである請求項11または12に記載のスキー滑走
    路。
  14. 【請求項14】 前記多孔質マットの内部および/また
    は表面に、少なくとも面方向に分散配置された種子を有
    する請求項11ないし13のいずれかに記載のスキー滑
    走路。
  15. 【請求項15】 前記多孔質マットの内部および/また
    は表面に、植物の発育を助成する養分を有する請求項1
    1ないし14のいずれかに記載のスキー滑走路。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100904385B1 (ko) * 2008-12-30 2009-06-23 주식회사 두원에프알씨 활주용 매트
CN110936671A (zh) * 2019-12-17 2020-03-31 北京首钢建设集团有限公司 一种钢板基底滑雪跳台滑道造雪基层处理结构及方法

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