JP3003421B2 - 保護継電器 - Google Patents

保護継電器

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JP3003421B2
JP3003421B2 JP4263310A JP26331092A JP3003421B2 JP 3003421 B2 JP3003421 B2 JP 3003421B2 JP 4263310 A JP4263310 A JP 4263310A JP 26331092 A JP26331092 A JP 26331092A JP 3003421 B2 JP3003421 B2 JP 3003421B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電力系統における事故
を検出して、該当する事故区間の除去指令を出力する保
護継電器に関し、特に電力系統からサンプリングした各
種電気量データをディジタル化して演算し、この結果に
応じて動作判定を行うディジタル演算形の保護継電器に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】電力系統に短絡または接地などの事故が
発生した場合、あるいは他の系統に対して悪影響を与え
るような異常運転が行われた場合に、このような異常状
態を検出してその部分を系統から速やかに切り離すため
に、電力用保護継電器が電力系統の構成に応じて各所に
配置されている。この保護継電器には、その動作原理に
応じて種々の継電器が存在するが、その1つにディジタ
ル演算形の保護継電器(以下、ディジタルリレーとい
う)がある。これは、各種の系統電気量をディジタルデ
ータとしてサンプリングした後、所定の演算手順により
演算処理し、その結果に基づきリレーの動作判定を行う
ものであり、その技術的原理は、「ディジタルリレー実
務読本」(オーム社/H3.8.25初版発行)等で解
説されている。
【0003】さて、このようなディジタルリレーは、実
際の電力系統において特定区間の系統を保護する場合、
図6に示すように配置されている。同図に用いられてい
るリレーは、系統から得られる電圧と電流の比、すなわ
ちインピーダンスが所定値内となったとき動作するよう
に構成されており、系統におけるインピーダンスが送電
線の距離を表すことから、距離リレーとも呼ばれてい
る。従って、このリレーにより、系統に発生した事故の
発生方向と事故地点までの距離を判定することができ
る。
【0004】図6において、61は電源を示しており、
62はリレー64に系統の電圧を導入するコンデンサ分
圧形電圧変成器、また63はリレー64に系統の電流を
導入する変流器である。リレー64はディジタル演算形
の系統保護リレー(DZ)である。65は線路側系統に
おけるリアクタンス分L、66は同じくコンデンサ分C
を示している。以上の構成により、変成器62からの電
圧および変流器63からの電流に応じて、これら電圧と
電流の比、すなわちリレー64から見た系統のインピー
ダンスが算出され、この算出結果に基づく動作判定によ
り、変流器63以降の線路側系統(保護区間)が保護さ
れている。
【0005】このような一般的な電力系統において、近
年、電圧階級が上昇し、またケーブル系統が増大する傾
向にあり、この影響で線路側系統のリアクタンス分Lや
コンデンサ分Cが増大し、事故発生時に電源の基本周波
数fに対する1.5倍程度の周波数の低次高調波を発生
する系統が増加している。図6において、このリレー6
4により保護される線路側系統より背後のFa地点で事
故が発生し、線路側系統のリアクタンス分65およびコ
ンデンサ分66により、線路側からFa地点に向かって
nf分の電流Inf、また電源61からFa地点に向かっ
て電流I1fがそれぞれ発生したとする。なお、nf分と
は電源61の基本周波数f(=1f)に対するn次の高
調波分を示している。
【0006】ここで、前述のような系統状況から、電流
nfには1.5f分が多く含まれるため、これが電流と
して変流器63を介してリレー64へ導入され、一方、
この1.5f分に比べて電源61の影響を受け1f分を
多く含む電圧が変成器62を介してリレー64へ導入さ
れる。これに応じてリレー64では、前述のとおりイン
ピーダンスが算出され、動作判定がなされる。通常であ
れば、電流Infの方向が、保護されるべき線路側系統で
の事故発生時とは逆の方向、すなわち電源61へ向かっ
て流れることから、算出されたインピーダンスは所定値
以外となり、事故発生地点が保護区間外であると判断さ
れてリレー64は動作しない。
【0007】しかし、電圧と電流の周波数に前述のよう
なズレがあるため、このインピーダンスベクトルが時間
とともに移動して、図9に示すようにリレーの本来動作
すべきベクトル領域へ進入し、リレー64を動作させ
る。すなわち、保護区間外である背後の系統で発生した
事故に対しても、リレー64を動作させてしまうことに
なる。従来、このような誤動作を防止するため、ディジ
タルリレーにおいて、図8に示されたようなフィルター
特性を持つディジタルフィルターを設けて、系統からサ
ンプリングした各種データから1.5f相当分の低次高
調波分を抽出し、別途抽出した1f分と比較して一定値
以上検出された場合には、リレー64の動作を強制的に
抑止する手段を設けていた。
【0008】また、ディジタルリレーはこのような系統
保護リレーとしての配置される他に、図7に示すように
変圧器を保護する場合にも用いられる。同図に用いられ
るリレーは、保護する変圧器の両端の電流の差が一定値
以上になったとき動作するように構成されており、差動
リレーとも呼ばれている。図7において、71は電源を
示しており、72および73はリレー74に変成器77
の両端の電流を導入する変流器である。リレー74はデ
ィジタル演算形の変圧器保護リレー(TP)であり、変
圧器77は系統に直列に配置され、このリレー74によ
って保護される。75は線路側系統におけるリアクタン
ス分L、76は同じくコンデンサ分Cを示す。以上の構
成により、変流器72および73からの電流に応じて、
変圧器77への流入電流の和、すなわち差動電流が算出
され、この算出結果に基づく動作判定により、変圧器7
7が保護されている。
【0009】図7において、この変圧器保護リレー74
による保護区間内、すなわち変圧器77またはこの近傍
のFb地点で事故が発生し、線路側系統のリアクタンス
分75およびコンデンサ分76により、線路側系統から
Fb地点に向かってnf分の電流Infが、また電源71
からFb地点に向かって電流I1fがそれぞれ発生したと
する。ここで、前述のような系統状況から、電流Inf
1.5f分を多く含み、これが変流器73を介してリレ
ー74へ導入され、一方、電源71からの1f分の電流
1fが変流器72を介してリレー74へ導入される。こ
れに応じてリレー74では、前述のとおり差動電流が算
出され、動作判定がなされる。通常であれば電流Inf
増加することにより、算出された差動電流は所定値以上
となり、リレー74は動作する。
【0010】しかし、変圧器は電圧印加時の鉄心飽和に
より2f分が多く発生するという特性を持っており、従
来のディジタルリレーにおいては、このような変圧器に
特有な励磁突流現象の影響を除去するために、図8に示
すようなフィルター特性を持つディジタルフィルターを
設けて、系統からサンプリングした電流データから2f
相当分の低次高調波を抽出し、別途抽出した1f分との
比I2f/I1fの値が一定値以上である場合には、リレー
74の動作を強制的に抑止する手段を設けていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従って、前者のような
従来の系統保護リレーにおいては、1.5f分を多く含
む低次高調波の検出に応じて、本来の保護動作を強制的
に抑止しているため、前述のような状況にある系統では
低次高調波に対する演算精度に欠け、事故地点の特定、
すなわち正確な電力系統の保護が困難となるという問題
があった。また、後者のような従来の変圧器保護リレー
においては、前述のような系統に変圧器が配置されてい
る場合、事故時に発生する1.5f分の低次高調波が2
f分として検出されて、リレーの動作が強制的に抑止さ
れるため、事故発生にもかかわらず保護動作が行われな
いという問題があった。本発明はこのような課題を解決
するためのものであり、電力系統からリレーに取り込ま
れた各種データに含まれる高調波の次数とその大きさを
算出することにより、遮断動作の的確な判定を可能とす
る各種保護継電器を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明による保護継電器は、電力系統からサ
ンプリングされた電圧および電流データに基づき、電圧
ベクトルを電流ベクトルで除算したインピーダンスベク
トルを算出するベクトル演算手段と、インピーダンスベ
クトルの最大値および最小値ならびにこれら発生時刻
それぞれ抽出する抽出手段と、この抽出手段により抽出
されたインピーダンスベクトルの最大値および最小値か
らインピーダンスベクトルに含まれる高調波分の割合を
算出するとともに、インピーダンスベクトルの最大値お
よび最小値の発生時刻から高調波分の次数を算出する
調波分算出手段とを備えるものである。また、電力系統
からサンプリングされた電流データに基づき、電流ベク
トルを電力系統の基本波基準ベクトルで除算した演算ベ
クトルを算出するベクトル演算手段と、演算ベクトルの
最大値および最小値ならびにこれら発生時刻をそれぞれ
抽出する抽出手段と、この抽出手段により抽出された演
算ベクトルの最大値および最小値から演算ベクトルに含
まれる高調波分の割合を算出するとともに、演算ベクト
ルの最大値および最小値の発生時刻から高調波分の次数
を算出する高調波分算出手段とを備えるものである。
【0013】
【作用】従って、電力系統状態を表す各種サンプリング
データに基づき、インピーダンスベクトルの軌跡がベク
トル演算手段により算出され、このベクトルの大きさと
回転速度からベクトルに含まれる高調波分の次数とその
大きさが演算されて、リレー動作の判定がなされる。ま
た、電力系統状態を表す各種サンプリングデータに基づ
き、抽出された差動電流ベクトルを電源基本波ベクトル
で除した演算ベクトルの軌跡がベクトル演算手段により
算出され、このベクトルの大きさと回転速度からベクト
ルに含まれる高調波分の次数とその大きさが演算され
て、リレー動作の判定がなされる。
【0014】
【実施例】次に、本発明について図面を参照して説明す
る。図1は本発明の一実施例であるディジタルリレーの
ブロック図である。図1において、1はディジタルリレ
ーであり、アナログ/ディジタル変換部2とディジタル
演算制御部7から構成されている。アナログ/ディジタ
ル変換部2は、電力系統から取り込む各種電気量の入力
数に応じて複数設けられる。12はこのディジタルリレ
ー1が保護する電力系統であり、また13は電力系統1
2から電流信号を取り込む変流器CTである。なお、こ
のディジタルリレーを、電力系統を保護するリレーとし
て使用する場合には、電流信号の他に電圧信号が必要と
なるため、変流器13とは別に変成器が設けられて、電
圧信号が取り込まれる。またディジタルリレーをこのよ
うに系統保護リレーとして使用する場合と変圧器保護リ
レーとして使用する場合とでは、後述の演算処理部8で
の演算および判定方法に違いがあるものの、各部の基本
的構成は同様である。
【0015】変流器13からの電流信号は入力変換器3
で後段の回路に適切な振幅の電圧信号に変換され、続く
アナログフィルタ4でこの信号に含まれる高次高調波分
(高調波ノイズ)および直流分が除去される。さらに、
サンプルホールド回路5で所定の時間間隔、例えば電力
基本周期(1/50Hz)の1/12の時間間隔(電気
角30゜)でサンプリングされ、次のサンプリングまで
出力保持される。続いてこのサンプリング信号はA/D
変換器6でアナログ信号からディジタル信号に変換さ
れ、ディジタル演算制御部7の演算処理部8に入力され
る。さらに、マイクロコンピュータから構成されている
演算処理部8では、ROM9に格納されたプログラムに
従って、RAM10に格納したデータに基づき後述する
演算が行なわれ、その結果に応じて対応する系統を遮断
すべきか否かが判断される。遮断すべきであると判断さ
れた場合には、11の外部インタフェースからこの事故
系統を遮断するための信号が対応する遮断器へ出力され
る。
【0016】次に、本発明のディジタルリレーが図6の
ように電力系統保護リレーとして使用される場合、図1
の演算処理部8において、系統のインピーダンスに含ま
れる基本波分に対する高調波分の割合が算出され、その
結果によりリレーの動作判定がなされる。前述のよう
に、インダクタンス分Lあるいはコンデンサ分Cが増大
した系統においては、インピーダンスを算出するために
電力系統から取り込まれた電圧と電流には周波数のズレ
が生じるため、このインピーダンスベクトルが移動する
現象が発生する。この移動過程を複素数を用いて計算す
ると式(1)のようになる。式(1)において、Zはイ
ンピーダンスベクトル、V1 は事故時の電圧入力信号に
含まれる電源周波数の基本波分、同じくV2 は事故時の
電圧入力信号に含まれる高調波分をそれぞれ示してお
り、さらにIは事故時の電流入力を示している。また、
ωは電源の基本波角速度、tは時間、さらにnは高調波
の次数をそれぞれ示している。
【0017】
【数1】
【0018】ここで、この式(1)の形を見ると、イン
ピーダンスベクトルZは、固定ベクトルと回転ベクトル
とによって合成されたものであることがわかる。すなわ
ち、v2 /iは固定ベクトルを、またv1 /iは時計方
向に(n−1)時の高調波次数で回転するベクトルをそ
れぞれ意味しており、これを横軸を実軸,縦軸を虚軸と
したR−X座標に表現すると図3のようになる。同図に
おいて、インピーダンスベクトルZは、3a点で最大と
なり、3b点で最小となる軌跡を描くものであることが
わかる。また、これらの各点でのインピーダンスをZa
およびZb とすると、 最大値:Za =v2 /i+v1 /i 最小値:Zb =v2 /i−v1 /i となる。
【0019】ここで、これらインピーダンスベクトルZ
a ,Zb 、およびそれぞれのベクトルが発生した時間T
za,Tzbは、電力系統から取り込んだ電圧信号および電
流信号のサンプリングデータから求めることが可能であ
ることから、v2 /i,v1/iがそれぞれ逆算可能と
なる。すなわち、v2 /iの大きさをZaba 、v1 /i
の大きさをZabs とすると、 Zaba =(Za +Zb )/2 Zabs =(Za −Zb )/2 と表すことができる。
【0020】さらに、インピーダンスベクトルZに含ま
れる高調波分の基本波分に対する割合Zf とその高調波
次数nは、f=50Hz基本波ベースでのZa ,Zb
の移動時間をTZab とすると、 Zf =Zaba /Zabszab =Tza−Tzb=1/{2・f(n−1)}(s) =1000/{2・50(n−1)}(ms) となり、これより高調波分の割合Zf とその次数nが算
出可能となる。
【0021】次に、本発明における演算処理の手順につ
いて、図2を参考に説明する。ステップ21において、
図1のアナログ/ディジタル変換部2でサンプリングさ
れた電圧および電流データをRAM10に格納する。次
にステップ22でこのデータおよびこれより前に取り込
まれ格納してあったデータに基づき、インピーダンスベ
クトルが算出され、RAM10に格納される。なお、サ
ンプリングデータからベクトルを算出する方法は、従来
からのベクトル計算法に基づくものである。
【0022】すなわち、ある電圧サンプル値v(m) より
n回前のサンプル値をv(m-n) とすると、サンプリン
グ間隔が電気角30゜の場合、 V2 =v(m)2+v(m-3)22 =i(m)2+i(m-3)2 VIcos θ=v(m)・i(m) +v(m-3)・i(m-3) VIsin θ=v(m-3)・i(m) −v(m)・i(m-3) となり、インピーダンスZ、抵抗R、リアクタンスX
は、 Z2 =V2 /I22 =Zcos θ=(VIcos θ)/I22 =Zsin θ=(VIsin θ)/I により算出される。
【0023】続くステップ23,24で、これら算出し
た値のうち過去一定時間内に、すなわち事故発生からイ
ンピーダンスベクトルの軌跡がリレー動作領域を通過す
るのに充分な時間内における最大値および最小値が抽出
され、その値と発生した時刻とがステップ25,26で
それぞれ記憶される。そしてステップ27でこれらの値
から前述の演算方法に基づき、高調波分の割合とその次
数が算出される。以上の演算処理により、電力系統から
の各種電気量から、インピーダンスに含まれる高調波分
の割合とその次数を算出することが可能となる。従っ
て、これに基づき特定された事故の発生地点が保護区間
内か否かが判断され、電力系統保護の要否が判定され
る。
【0024】また、本発明のディジタルリレーが、図7
のような変圧器保護リレーとして使用される場合、図1
の演算処理部8において、差動電流中の基本波分に対す
る高調波分の割合が算出され、その結果に応じてリレー
の動作判定がなされる。今、電源側からI1f,線路側
からInfの高調波分がリレーに取り込まれたとすると、
差動電流Id は、Id =I1f+Infとなる。このId
所定の電源基本波ベクトル(大きさ1,反時計方向に5
0回転/秒)で除算した演算ベクトルIddを複素数を用
いて表現すると式(2)のようになる。式(2)におい
て、ωは電源の基本波角速度、tは時間、さらにnは高
調波の次数をそれぞれ示している。
【0025】
【数2】
【0026】ここで、この式(2)の形を見ると、演算
ベクトルIddは、固定ベクトルと回転ベクトルとによっ
て合成されたものであることがわかる。すなわち、I1f
は固定ベクトルを、またInfは反時計方向に回転するベ
クトルをそれぞれ意味しており、これをR−X座標に表
現すると図5のようになる。図5において、演算ベクト
ルIddは、5a点で最大となり、5b点で最小となる軌
跡を描くものであることがわかる。また、これらの各点
での演算ベクトルをIddmax およびIddmin とすると、 最大値:Iddmax =I1f+Inf 最小値:Iddmin =I1f−Inf となる。
【0027】ここで、このIddmax ,Iddmin 、および
それぞれのベクトルが発生した時間Tia ,Tib は、電
力系統から取り込んだ電流信号のサンプリングデータか
ら求めることが可能であることから、I1f,Infがそれ
ぞれ逆算可能となる。すなわち、I1fの大きさをI
dda 、Infの大きさをIdds とすると、 Idda =(Iddmax +Iddmin )/2 Idds =(Iddmax −Iddmin )/2 と表すことができる。
【0028】さらに、演算ベクトルIddに含まれる高調
波分の基本波分に対する割合If とその次数nは、f=
50Hz基本波ベースでの5a,5b間の移動時間をT
iabとすると、 If =Idds /Iddaiab =Tia−Tib=1/{2・f(n−1)}(s) =1000/{2・50(n−1)}(ms) となり、これより高調波分の割合If とその次数nが算
出可能となる。
【0029】次に、本発明における演算処理の手順につ
いて、図4を参考に説明する。ステップ41において、
図1のアナログ/ディジタル変換部2でサンプリングさ
れた電流データをRAM10に格納する。次にステップ
42でこのデータおよびこれより前に取り込まれ格納し
てあったデータに基づき、演算ベクトルが前述のベクト
ル計算法により算出され、RAM10に格納される。続
くステップ43,44で、これら算出した値のうち過去
一定時間内に、すなわち事故発生から演算ベクトルの軌
跡がリレー動作領域を通過するのに充分な時間内におけ
る最大値および最小値が抽出され、その値と発生した時
刻とがステップ45,46でそれぞれ記憶される。そし
てステップ47でこれらの値から前述の演算方法に基づ
き、高調波分の割合とその次数が算出される。
【0030】以上の演算処理により、電力系統からの各
種電気量から、差動電流に含まれる高調波分の割合とそ
の次数を算出することが可能となる。従って、これに基
づき、この差動電流中の高調波分が、変圧器特有の単な
る電圧印可時の鉄心飽和による固有のものか、前述のよ
うなインダクタンス分Lあるいはコンデンサ分Cが増大
した系統における事故時のものかを判断することによ
り、変圧器事故発生の判定、すなわち電力系統保護の要
否が判定可能となる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、電力系
統からサンプリングされた電圧および電流データに基づ
き、電圧ベクトルを電流ベクトルで除算したインピーダ
ンスベクトルを算出するベクトル演算手段を設けて、こ
のインピーダンスベクトルの最大値および最小値ならび
にその時刻を抽出し、このベクトルに含まれる高調波分
の割合とその次数を算出するようにしたので、インピー
ダンスベクトルの算出精度が改善される。従って、線路
側系統のインダクタンス分やコンデンサ分が増大してい
る系統に使用されている系統保護継電器において、事故
発生地点を特定する精度が向上するとともに、誤動作防
止のための強制抑止手段を必要とすることなく、系統保
護継電器の正確な動作判定が可能となるという顕著な効
果を奏するものである。
【0032】また、電力系統からサンプリングされた電
流データに基づき、電流ベクトルを電力系統の基本波基
準ベクトルで除算した演算ベクトルを算出するベクトル
演算手段を設けて、この演算ベクトルの最大値および最
小値ならびにその時刻を抽出し、このベクトルに含まれ
る高調波分の割合とその次数を算出するようにしたの
で、高調波分の判別精度が改善される。従って、変圧器
保護継電器において、変圧器特有の励磁突流現象に起因
する高調波分と、線路側系統のインダクタンス分やコン
デンサ分が増大している系統における事故時に発生する
高周波分とを精度よく判別することが可能となり、誤動
作防止のための強制抑止手段を必要とすることなく、変
圧器保護継電器の正確な動作判定が可能となるという顕
著な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のブロック図である。
【図2】本発明が系統保護リレーとして使用される場合
の、図1の演算処理部における演算処理手順を示す図で
ある。
【図3】図2の手順により算出されるインピーダンスベ
クトルの軌跡を示す図である。
【図4】本発明が変圧器保護リレーとして使用される場
合の、図1の演算処理部における演算処理手順を示す図
である。
【図5】図4の手順により算出される演算ベクトルの軌
跡を示す図である。
【図6】系統保護リレーの接続状態を示す図である。
【図7】変圧器保護リレーの接続状態を示す図である。
【図8】従来のディジタルリレーにおける低次高調波分
を抽出するディジタルフィルタの利得/周波数特性を示
す図である。
【図9】従来の距離リレーにおける動作特性とインピー
ダンス軌跡を示す図である。
【符号の説明】
1 ディジタルリレー 2 アナログ/ディジタル変換部 7 ディジタル演算制御部 8 演算処理部 9 ROM 10 RAM 11 外部インターフェース 12 電力系統 13 変流器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02H 3/38 - 3/52 H02H 7/04 - 7/045

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電力系統からサンプリングした各種電気
    量に対して演算を行うとともに、その演算結果に応じて
    動作の要否を判定する保護継電器において、 サンプリングされた電圧および電流データに基づき、電
    圧ベクトルを電流ベクトルで除算したインピーダンスベ
    クトルを算出するベクトル演算手段と、 前記インピーダンスベクトルの最大値および最小値なら
    びにこれら発生時刻をそれぞれ抽出する抽出手段と、この抽出手段により抽出されたインピーダンスベクトル
    の最大値および最小値からインピーダンスベクトルに含
    まれる高調波分の割合を算出するとともに、インピーダ
    ンスベクトルの最大値および最小値の発生時刻から前記
    高調波分の次数を算出する 高調波分算出手段とを備える
    ことを特徴とする保護継電器。
  2. 【請求項2】 電力系統からサンプリングした各種電気
    量に対して演算を行うとともに、その演算結果に応じて
    動作の要否を判定する保護継電器において、 サンプリングされた電流データに基づき、電流ベクトル
    を電力系統の基本波基準ベクトルで除算した演算ベクト
    ルを算出するベクトル演算手段と、 前記演算ベクトルの最大値および最小値ならびにこれら
    発生時刻をそれぞれ抽出する抽出手段と、この抽出手段により抽出された演算ベクトルの最大値お
    よび最小値から演算ベクトルに含まれる高調波分の割合
    を算出するとともに、演算ベクトルの最大値および最小
    値の発生時刻から前記高調波分の次数を算出する 高調波
    分算出手段とを備えることを特徴とする保護継電器。
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