JP3001885U - パイプベンダー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単な構造で耐久性に優れ、しかも潤滑油の
供給を不用とするパイプベンダーを提供すること。 【構成】 先端にマンドレルを装着した固定ロッドと、
該固定ロッドの先端部に配設された所定曲率を有するガ
イドと、前記固定ロッドに嵌挿されたパイプの先端部を
把持し、前記パイプを牽引しつゝ前記曲げガイドに沿っ
て屈曲せしめるベンディング機構から構成されたパイプ
ベンダーにおいて、前記マンドレルが潤滑性樹脂で構成
されたことを特徴とするパイプベンダー。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、銅管、鋼管、ステンレス鋼管等のパイプを所定の曲率に曲げ加工す るためのパイプベンダーに関する。

【０００２】

【従来の技術】

前述したパイプを使用目的、形態に応じた所定の曲率に曲げ加工するための装 置としてパイプベンダーが用いられていることは周知である。

【０００３】 図４は周知のパイプベンダーの一例を示す構造図である。本例におけるパイプ ベンダー１は固定ベッド、あるいは作業床ｆに固定された固定ロッド２と、この 固定ロッド２の先端部に配設された曲げガイド４、及びベンディング機構５とか ら構成されている。

【０００４】 被加工物であるパイプｐは前記固定ロッド２に嵌挿されるが、固定ロッド２の 先端には曲げ加工される際にパイプｐが変形することを防止するためのマンドレ ル３が装着されている。

【０００５】 ベンディング機構５は前記曲げガイド４の設定部分に固定され、パイプｐの所 定部を把持する把持部５１と、この把持部５１より屈曲角度に対応する曲げガイ ド４の外方に配設され、パイプ屈曲時の反力を受けるプレッシャー台５２と、曲 げガイド４を軸支する軸４ａに連結され、曲げガイド４とそれに固定された把持 部５１を同時に回動させる回動駆動装着５３とから構成されている。

【０００６】 而してパイプｐの所定部位５を把持部１で把持し、曲げガイド４に固定した後 、例えば回動駆動装置５３を構成するシリンダー５３ａのストロークを制御して 前記屈曲角度に相当する角度だけ回動させ、曲げガイド４を矢印ｘ方向に回転さ せることにより、パイプｐは曲げガイド４の外周に沿った曲率で曲げられる。

【０００７】 ところで前述した曲げ加工において、パイプｐは曲げガイド４との接触開始部 分４ｂを支点として屈曲を開始し、曲げガイド４に沿って順次曲げが進行する。 この際、前記接触開始部分４ｂ近傍のパイプｐには大きな曲げ荷重が加わり、扁 平状に変形する事態がしばしば発生する。

【０００８】 マンドレル３は前述した大きな曲げ荷重の加わる部分に配置され、パイプｐの 内径より若干小さい程度の径に形成されている。而してこのマンドレル３にはパ イプｐが扁平状に変形しようとする際の圧縮荷重や、屈曲する際の引張り力等の 複雑な力が作用する。

【０００９】 このため従来のマンドレルは、強度が高く、耐摩耗性に優れた例えば工具鋼、 構造用炭素鋼の表面に硬化肉盛あるいは焼入れ加工したものを用いることが普通 であった。

【００１０】

【考案が解決しようとする課題】

マンドレルに前述した工具鋼、あるいは耐摩耗鋼を用いた従来のパイプベンダ ーでは、マンドレルとパイプ内面の滑り性を良好に保つため、潤滑油の供給が必 須であった。 つまりマンドレルとパイプ内面の間に潤滑油を供給し、滑り抵抗を少なくしな いとパイプ内面に引っかき疵が発生し、またマンドレルの寿命を著しく短くする 結果となっていた。

【００１１】 このため例えば前記図４及び図５に示すように固定ロッドやマンドレル３の軸 央部に潤滑油供給孔２ａ，３ａを穿設しなければならず、固定ロッド２やマンド レル３の構造が複雑となり、その製造単価も必然的に高いものとなっていた。 更に曲げ加工終了後には加工されたパイプ内面に付着した潤滑油の洗浄作業も 必要となり、工程が増えて加工コストの高騰に繋がっていた。

【００１２】 本考案は、前述した従来のパイプベンダーにおける問題点の抜本的な解決を図 るもので、簡単な構造で耐久性に優れ、しかも潤滑油の供給も不用とするパイプ ベンダーの提供をその課題とするものである。

【００１３】

【課題を解決するための手段】

本考案に基づくパイプベンダーは、前述したマンドレルを潤滑性樹脂で構成し たことを特徴とするものである。

【００１４】 またマンドレルの剛性をより高めるために、金属製芯体と、その表面を被覆す る潤滑性樹脂層とからマンドレルを構成したことを他の特徴とするものである。

【００１５】

【作用】

本考案におけるパイプベンダーは、マンドレルが潤滑性を有する樹脂で構成さ れているためにパイプ内面とマンドレルとの滑り抵抗を極めて小さくできる。こ のために潤滑油を供給する必要がなく、マンドレルの構造を極めて単純なものと することができる。また、曲げ加工後の油洗浄の必要が全くなく、工程短縮が可 能となるうえに、加工費用を大幅に削減させることができる。

【００１６】

【実施例】

図１は本考案に基づくマンドレルとその装着部分の一例を示す拡大図である。 図において３０が本考案に基づくマンドレルであり、本実施例ではポリアミド 樹脂（ナイロン）で構成され、固定ロッド２の先端に螺子３０ａを介して螺合さ れている。

【００１７】 図２は本考案に基づくマンドレルの他の実施例を示すものであり、固定ロッド ２に螺合された基部３１に、バネ等の弾性結合体３２を介してマンドレル３３が 装着されている。このマンドレル３３も前述したポリアミド樹脂等の潤滑性樹脂 で構成されている。 銅パイプのような比較的強度の低いパイプに対しては、ポリアミド樹脂のよう な潤滑性樹脂単体でマンドレル３０，３３を構成することで充分である。

【００１８】 しかしながら鋼管、ステンレス鋼管のような強度の高いパイプに対しては、前 記ポリアミド樹脂にグラスファイバーを添加混合したものでマンドレル３０，３ ３を構成することが好ましい。この場合、グラスファイバーの添加量は重量比で ２０〜３０％で充分である。

【００１９】 また前記ポリアミド樹脂にカーボンファイバーを重量比で２０〜３０％添加混 合したものでマンドレル３０，３３を構成すると、前記強度に加えて潤滑性を更 に高めることができ、効率的な曲げ加工が可能となる上にマンドレル３０，３３ の寿命も大幅に延長させることができる。

【００２０】 図３は、本考案に基づくマンドレルの他の実施例を示すものであり、本実施例 におけるマンドレル３５は、鉄等の金属で形成された強度の高い芯体３５ａと、 その外周表面を被覆する潤滑性樹脂３５ｂとから構成されている。 本実施例のマンドレル３５はそれ自体のクリープ強度が著しく向上する上に前 述した潤滑性も確保できることからマンドレル３５の寿命を大幅に向上させるこ とが可能である。

【００２１】

【考案の効果】

本考案のパイプベンダーの提供により、例えば図１に示すマンドレル３０を用 い、直径１２mmの銅管を曲率半径１００mmで曲げ加工する総加工費用を従来手段 に比し、１／３〜１／４程度に激減させることが可能となることが確認された。 以上のように本考案は簡単な構成ではあるが、その実用的効果は極めて大であ る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案に基づくマンドレルとその装着部分の
拡大図。

【図２】 本考案に基づく他の例を示すマンドレルとそ
の装着部分の拡大図。

【図３】 本考案に基つく他の例を示すマンドレルとそ
の装着部分の拡大図。

【図４】 周知のパイプベンダーの一例を示す構造図。

【図５】 従来のマンドレルの一例を示す断面図。

【符号の説明】

１ パイプベンダー ２ 固定ロッド ３ マンドレル ４ 曲げガイド ５ ベンディング機構 ３０，３３，３５ マンドレル ３１ 基部 ３２ 弾性結合体

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 先端にマンドレルを装着した固定ロッド
   と、該固定ロッドの先端部に配設された所定曲率を有す
   る曲げガイドと、前記固定ロッドに嵌挿されたパイプの
   先端部を把持し、前記パイプを牽引しつゝ前記曲げガイ
   ドに沿って屈曲せしめるベンディング機構から構成され
   たパイプベンダーにおいて、前記マンドレルが潤滑性樹
   脂で構成されたことを特徴とするパイプベンダー。
2. 【請求項２】 マンドレルが金属製芯体と、その表面を
   被覆する潤滑性樹脂層とから構成されたことを特徴とす
   る請求項１記載のパイプベンダー。