JP3001711U - ゴルフクラブ用シャフト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】ゴルフボールの飛距離を低下させることなく、
且つシャフトのグリップ側の部分における捩じれを抑制
することが可能なゴルフクラブ用シャフトを提供するこ
と。 【構成】バット側の部分における巻数をチップ側の部分
における巻数よりも多く設定し、さらに、前記チップ側
の部分と前記バット側の部分との中間部分における巻数
を前記チップ側から前記バット側へ連続的に変化させて
設定する。この結果、ゴルフボールの飛距離を低下させ
ることなく、シャフトのバット側の部分の捩じれを抑制
する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、シート状の繊維補強体を巻回して構成されるゴルフクラブ用シャフ トに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来からシートワインディング法により製造された繊維強化樹脂製のゴルフク ラブ用シャフトが用いられている。このシートワインディング法は、合成樹脂が 含浸された繊維１を半硬化させてプリプレグシートを形成し、図４Ｂ〜４Ｅに示 すように、略台形状に裁断された複数のプリプレグシート２ａ〜２ｄを順次テー パ状のマンドレル４（図４Ａ）に巻いて積層した後、加熱硬化させてテーパ状の 円筒体を形成し、前記円筒体からマンドレル４を抜き去ることによりゴルフクラ ブ用シャフト５（図５）を製造する方法である。

【０００３】 前記シートワインディング法により製造されたゴルフクラブ用シャフト（以下 、シャフトという）５は、該シャフト５のグリップ側（以下、バット側という） からヘッド側（以下、チップ側という）に向かって徐々に縮径する円筒体であり 、図５に示すように、プリプレグシート２ａ、２ｂによって形成される内側のバ イアス層群６とプリプレグシート２ｃ、２ｄによって形成される外側のストレー ト層群７とから構成される。この場合、バイアス層群６が外側に、ストレート層 群７が内側に配置されるシャフト５もある。繊維の配向状態から、前記バイアス 層群６はシャフト５の捩じれ剛性を高め、ストレート層群７はシャフト５の曲げ 剛性を高める効果を有する。

【０００４】 シャフト５の内側のバイアス層群６を形成するプリプレグシート２ａ、２ｂは 、繊維１がシャフト５の軸線方向に対し夫々所定角度±θで斜交して配置される 。前記バイアス層群６は、対をなす２層以上の偶数層構造で構成され、且つシャ フト５のバット側からチップ側までの全長にわたって均一な巻数で形成される。 一方、ストレート層群７は、繊維１がシャフト５の軸線方向に沿うようにし、且 つ１層分の巻き幅を有する略台形状のプリプレグシート２ｃ、２ｄを順に巻回し て形成される。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、繊維強化樹脂によって製造されるシャフト、いわゆる繊維強化樹脂 製シャフトは、その重量が軽いためスイングの際にクラブヘッドのスピードが増 加し、その結果、ゴルフボールの飛距離が増大するというメリットがあるが、そ の反面、他の構造からなるシャフトに比較して捩じれが大きくなるデメリットが ある。この場合、繊維強化樹脂製シャフトの捩じれが大きくなることによって、 スイング中におけるクラブヘッドのコントロールが困難となる。すなわち、クラ ブヘッドのフェースの向きをコントロールすることができないことから、ゴルフ ボールの打球方向を安定させることができないという欠点がある。

【０００６】 そこで、前記繊維強化樹脂製シャフトの捩じれを抑制するために、バイアス層 群６におけるプリプレグシート２ａ、２ｂの巻数を多く設定することが考えられ る。

【０００７】 しかしながら、バイアス層群６におけるプリプレグシート２ａ、２ｂの巻数を 多く設定するとシャフトの捩じれに対する戻りが小さくなり、前記戻りによるエ ネルギが減少してゴルフボールの飛距離が低下するという不都合がある。

【０００８】 また、シャフトのグリップ部分は手で把持されるため、前記グリップ部分で生 ずる捩じれがゴルファーに直接的に伝わり、スイングの感覚に影響を及ぼすとい う不都合がある。

【０００９】 本考案は、前記の不都合を克服するためになされたものであって、ゴルフボー ルの飛距離を低下させることなく、且つシャフトのグリップ側の部分における捩 じれを抑制することが可能なゴルフクラブ用シャフトを提供することを目的とす る。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

前記の目的を達成するために、本考案は、シート状の繊維補強体を巻回して構 成されるゴルフクラブ用シャフトにおいて、ヘッド側の部分およびグリップ側の 部分における繊維補強体の所定範囲の巻数が均一となるように設定するとともに 、前記グリップ側の部分における巻数を前記ヘッド側の部分における巻数よりも 多く設定し、さらに、前記ヘッド側の部分と前記グリップ側の部分との中間部分 における巻数を前記ヘッド側から前記グリップ側へ連続的に変化させて設定する ことを特徴とする。

【００１１】

【作用】

本考案に係るゴルフクラブ用シャフトでは、ヘッド側の部分およびグリップ側 の部分における繊維補強体の所定範囲の巻数を均一とすることでシャフトの軸対 称性が向上し、また、グリップ側の部分の巻数をヘッド側の部分よりも多く設定 することでシャフトのグリップ側の部分における捩じれを抑制することができる 。この場合、ヘッド側の部分の捩じれに対する戻りが確保されているため、ゴル フボールの飛距離を低下させることがない。

【００１２】

【実施例】

本考案に係るゴルフクラブ用シャフトについて、好適な実施例を挙げ、添付の 図面を参照しながら以下詳細に説明する。

【００１３】 図１は本考案の実施例に係るゴルフクラブ用シャフトのバイアス層を形成する プリプレグシートの裁断形状を示す正面図であり、図２はマンドレルに対し図１ に示すプリプレグシートを巻回した状態を示す正面図である。

【００１４】 本考案の実施例に係るゴルフクラブ用シャフトは、シートワインディング法に より製造されるものであり、この製造工程に従って本実施例に係るゴルフクラブ 用シャフトを説明する。

【００１５】 先ず、合成樹脂が含浸された繊維を半硬化して形成されたプリプレグシート１ ０を図１に示すような形状に裁断する。すなわち、前記プリプレグシート１０は 、シャフトのチップ側の部分からバット側の部分に向かって徐々に幅広となる角 度Ａの傾斜辺１２と、バット側の部分において終端に向かって徐々に幅広となる 角度Ｂの傾斜辺１４と、シャフトのチップ側の部分とバット側の部分との中間部 分において前記角度ＡおよびＢより大なる角度Ｃからなる傾斜辺１６とを有する 。この場合、傾斜辺１４の角度Ｂは、傾斜辺１２の角度Ａよりも大きく設定され る。このプリプレグシート１０は、繊維がシャフトの軸線方向に対して正または 負の方向に所定角度で斜交し、バイアス層を構成するものである。なお、図１で はプリプレグシート１０における繊維方向を省略している。

【００１６】 次に、図１に示すような形状に裁断された２枚のプリプレグシート１０、１０ を互いに２分の１層分だけずらして重ね合わせ、一方のプリプレグシート１０の 巻き始め線１８をマンドレルの軸線に合わせて巻回し積層する（図２参照）。本 実施例ではチップ側の部分を４層積層し、バット側の部分を８層積層してバイア ス層群を形成した。

【００１７】 ここで、前記巻回されたシャフトの各位置とバイアス層の巻数との関係を図３ に示す。図中において、実線Ｄは、本実施例のシャフトのバイアス層の巻数を示 すものであり、シャフトのチップ側から略中央に向かって一定の巻数（４層）で 形成され、チップ側の部分とバット側の部分との中間部分において巻数が連続し て増加するように変化し、バット側の部分では前記チップ側の部分の巻数より多 い一定の巻数（８層）で形成される。これに対し、一点鎖線Ｅは、図４Ｂに示す 従来のプリプレグシートを用いてバイアス層群を形成した場合におけるシャフト の各位置とバイアス層の巻数との関係を示している。

【００１８】 バイアス層群の巻数構造をこのようにした場合、本実施例では、チップ側の部 分およびバット側の部分の所定範囲においてバイアス層群の巻数が夫々均一に設 定されるため、軸対称性が向上し、安定したスイングが可能となる。

【００１９】 また、本実施例では、シャフトのチップ側の部分のバイアス層群の巻数がバッ ト側より少なく４層とし、前記チップ側の捩じれに対する戻りを十分に確保して いることから、前記戻りによるエネルギを減少させることがなく、飛距離が低下 することがない。

【００２０】 一方、シャフトのバット側の部分のバイアス層群の巻数がチップ側より多く８ 層としているため、バット側の部分における捩じりが抑制される。この結果、ゴ ルファーがスイングする際、前記捩じりを感じることなく、快適にスイングする ことが可能となる。

【００２１】 さらに、本実施例では、図２に示すように、プリプレグシート１０の巻き終わ り線となる傾斜辺１２、１４がマンドレルの軸線に一致するため、バイアス層に 次いでストレート層を巻回する際、ストレート層の巻き始めの位置決めを簡便に 行うことができる利点がある。

【００２２】 さらにまた、本実施例では、バット側の部分のバイアス層の巻数を多く設定し 、シャフトの重心がバット側に近接することから、該シャフトを容易にスイング することが可能となる。また、この点に関し、ゴルフクラブ全体のバランスをと るためにクラブヘッドの重量を重くすることができ、インパクト時にゴルフボー ルに対して大きなエネルギを与え、ゴルフボールの飛距離を増すことができる。

【００２３】 以上のようにして、マンドレルにバイアス層およびストレート層を積層した後 、ラッピングテープを巻回して加熱硬化し、冷却後、マンドレルを引き抜いてラ ッピングテープを除去することによりシャフトが形成される。最後に、前記製造 されたシャフトの外周部を研磨し、塗装仕上げをすることによりシャフトが完成 する。

【００２４】

【考案の効果】

本考案に係るゴルフクラブ用シャフトによれば、以下の効果が得られる。

【００２５】 すなわち、ゴルフクラブ用シャフトの軸対称性が向上し、且つ該シャフトにお けるグリップ側の部分の捩じれを小さくすることができるため、前記捩じれがス イングに影響を及ぼすことを阻止することができる。

【００２６】 また、本考案に係るゴルフクラブ用シャフトでは、ヘッド側の部分の捩じれに 対する戻りを十分に確保しているため、前記戻りによるエネルギを減少させるこ とがなく、飛距離を低下させることがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係るゴルフクラブ用シャフト
のバイアス層を形成するプリプレグシートの形状説明図
である。

【図２】図１に示すプリプレグシートをマンドレルに巻
回した状態を示す正面図である。

【図３】本考案の実施例に係るゴルフクラブ用シャフト
の各位置のバイアス層の巻数を示す説明図である。

【図４】図４Ａはマンドレル、図４Ｂ〜４Ｅは前記マン
ドレルに順次巻回される従来例におけるプリプレグシー
トの説明図である。

【図５】シートワインディング法によって製造されたゴ
ルフクラブ用シャフトの構造説明図である。

【符号の説明】

１０…プリプレグシート １２、１４、１６
…傾斜辺 １８…巻き始め線

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シート状の繊維補強体を巻回して構成され
   るゴルフクラブ用シャフトにおいて、ヘッド側の部分お
   よびグリップ側の部分における繊維補強体の所定範囲の
   巻数が均一となるように設定するとともに、前記グリッ
   プ側の部分における巻数を前記ヘッド側の部分における
   巻数よりも多く設定し、さらに、前記ヘッド側の部分と
   前記グリップ側の部分との中間部分における巻数を前記
   ヘッド側から前記グリップ側へ連続的に変化させて設定
   することを特徴とするゴルフクラブ用シャフト。
2. 【請求項２】請求項１記載のゴルフクラブ用シャフトに
   おいて、シート状の繊維補強体は、ヘッド側に対応する
   部分が、グリップ側に対応する部分に向けて徐々に幅広
   となる第１角度の傾斜辺を有し、グリップ側に対応する
   部分が、その終端に向けて第２角度の傾斜辺を有し、且
   つ、前記ヘッド側に対応する部分と前記グリップ側に対
   応する部分との中間部分が、前記第１、第２角度のいず
   れの角度よりも大なる第３角度の傾斜辺で連続的に接続
   されて形成されることを特徴とするゴルフクラブ用シャ
   フト。