JP2999829B2 - 皮膚外用剤 - Google Patents

皮膚外用剤

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は皮膚外用剤、特に紫外線
吸収性を有する水溶性の糖桂皮酸誘導体を配合した皮膚
外用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】太陽光線に含まれる紫外線は、400nm
〜320nmの長波長紫外線(UV−A)、320nm〜2
80nmの中波長紫外線(UV−B)、280nm以下の短
波長紫外線(UV−C)に分類される。このうち、29
0nm以下の波長の紫外線は、オゾン層によって吸収さ
れ、地表に到達しない。
【0003】地表に届く紫外線は、人間の皮膚に様々な
影響を及ぼす。UV−Aによっても一次黒化の惹起等が
問題となるが、特にUV−Bの影響は甚大で、一定量以
上の光量が皮膚に照射されると、紅班や水泡を形成した
り、メラニン形成が亢進され色素沈着を生じる等の問題
を引起こし、さらに長期的には皮膚老化を促進し、皮膚
癌等の原因となる。
【0004】そこで従来より紫外線の影響を除去するた
め、各種紫外線吸収剤が開発されてきた。既存の紫外線
吸収剤としては、PABA誘導体、桂皮酸誘導体、サリ
チル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ウロカニン酸誘
導体、カンファー誘導体、複素環誘導体等が知られてい
る。
【0005】そして、これらのUV−B吸収剤は、通常
化粧料、医薬部外品等の皮膚外用剤に配合されている
が、外用剤基剤には低分子量のジメチルシロキサン系基
剤が広く使用されている。
【0006】すなわち、最も頻繁に日焼け止を使用する
のが夏であるため、耐汗性、耐水性等の観点から紫外線
吸収剤として使用されてきたものは、油溶性のものが殆
どであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、最近では日
常の生活で受ける紫外線の影響についても問題になって
おり、通常のスキンケアでも日焼け止が望まれている。
このため、化粧水等の水系のスキンケア製品にも多量に
配合できること、より高い紫外線吸収効果を有する外用
剤を処方する上でも系全体に多量の紫外線吸収剤を配合
できる方が良いので、油相だけではなく、水相にも紫外
線吸収剤を配合することが望まれること等の観点から水
溶性紫外線吸収剤を含む皮膚外用剤の開発が強く要望さ
れていた。
【0008】しかし、従来のUV−B吸収剤は、前述し
たようにその殆どが油溶性で水溶性が低く、処方が制限
されていた。水溶性UV−B吸収剤としては、僅かに2
−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルフォキソニウム
ベンゾフェノンナトリウム塩が知られているのみであ
り、これは塩であるので処方系のpHに影響をもたらす
という課題があった。
【0009】本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされ
たものであり、その目的は、優れたUV−B吸収性を有
し、しかも水溶性である糖桂皮酸誘導体を用いた皮膚外
用剤を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に本発明者らが鋭意検討した結果、桂皮酸に糖を結合さ
せた糖桂皮酸誘導体に優れたUV−B吸収性及び水溶性
があることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち本出願の請求項1記載の皮膚外用
剤は、下記一般式化2で表わされる糖桂皮酸誘導体を一
種または二種以上配合することを特徴とする。
【化2】 (式中Aは糖から1個の水酸基を除いた残基、Rは好ま
しくは全炭素数1〜4の−O−結合脂肪鎖)
【0012】以下、本発明の構成をさらに詳細に説明す
る。前記一般式化2において、Aの糖の具体例として
は、グルコース、ガラクトース、キシロース、フルトー
ス、アルトロース、タロース、マンノース、アラビノー
ス、イドース、リキソース、リボース、アロース等の単
糖類及びその混合物、又は、マルトース、イソマルトー
ス、ラクトース、キシロビオース、ケンチオビース、コ
ージオビオース、セロビオース、ソホロース、ニゲロー
ス、スクロース、メリビオース、ラミナリビオース、ル
チノース等の二糖類及びその混合物、さらに、それ以上
の多糖を用いることも可能である。また、単糖類、二糖
類、及びそれ以上の多糖の混合物でも構わない。
【0013】Rは、好ましくは−O−結合脂肪鎖で、炭
素数1〜4の直鎖アルキル基、分岐アルキル基、不飽和
炭化水素基、シクロアルキル基等が好適である。Rの具
体例としては、酸素(O)を介して結合されたメチル基
(−OCH3)、エチル基(−OC25)、アセチレニ
ル基、プロピル基、イソプロピル基、プロペニル基、ブ
チル基、イソブチル基、t−ブチル基、ブテニル基等が
挙げられる。いずれもUV−B吸収波長に顕著な差はな
いが、工業性等から、特にメチル基、エチル基が好まし
い。また、Rとして−NH2,−NHCH3,−NHC2
5等を結合させることも可能である。
【0014】グリコシド結合のアノマーの配向性は、特
に限定されず、α、β単一物でもその混合物でも良い。
【0015】上記の糖桂皮酸誘導体は固体で安全性、安
定性に極めて優れているため、医薬品、医薬部外品、化
粧料及び皮膚洗浄料の成分として配合され得る。
【0016】本発明の糖桂皮酸誘導体は、例えば特開昭
63−84637記載の糖類変性用酸触媒を用いて合成
できるほか、一般にグリコシル化に用いられている反応
(ケーニッヒ−クノール反応、ヘルフェライヒ法や、そ
れ以外のエーテル交換法等)を用いてもよい。
【0017】例えば、次のように合成できる。糖のアセ
チル化物をジブチルセルソルブ、トルエン等の無極性溶
媒に溶解するか、又は無溶媒で一般式化3
【化3】 (ただし、式中Rは、前記式化2に同じ) で示される化合物を添加して、酸触媒の存在下、90〜
130℃で攪拌する。この際、反応は減圧下で行ない、
一般式化2で示される化合物は単独でも2種以上を併用
してもよい。
【0018】また、ここで用いられる触媒は、p−トル
エンスルホン酸、硫酸、メチルスルホン酸、ヘテロポリ
リン酸等の酸触媒、酢酸亜鉛、塩化亜鉛等が挙げられ、
これらは混合して用いてもよい。
【0019】反応後、反応溶媒を減圧留去し、生成物を
トルエン抽出し、水洗する。得られた抽出液を減圧濃縮
後、そのまま脱アセチル化するか、シリカゲルカラムク
ロマト法等で精製した後、脱アセチル化する。
【0020】このようにして得られた反応生成物には、
一般式化2で示される糖桂皮酸誘導体のほか、中和時の
塩、糖等が共存している。そのため、例えば糖と塩を除
去する場合、メチルアルコール、エチルアルコール、ブ
チルアルコール、イソプロピルアルコール等の糖を溶解
しない溶媒で抽出したり、塩を多量に含む水とメチルエ
チルケトン、n−ブタノールで分配し、有機溶媒層を分
取することにより精製できる。また、糖と塩を除去し、
化合物を分離する場合、反応生成物を水または水とアル
コールの混液に懸濁させ、ハイパーポーラスポリマー
(例えば三菱化成工業株式会社製のハイポーラス樹
脂)、オクタデシルシリカ等の逆相分配カラムで、始め
に水で通液し、次にメタノール、エタノール等のアルコ
ールやアセトニトリル等の極性有機溶媒と水の混液で通
液し、この液を分取することにより精製できる。
【0021】前記のように合成した糖桂皮酸誘導体は、
抽出溶媒を留去したり、カラムにより精製した後用いて
もよく、そのまま用いてもよい。
【0022】このようにして得られる糖桂皮酸は、化学
安定性・酸化安定性に優れ、水溶性で、UV−B領域に
吸収を有する上、保湿性に優れるという機能を持つ。
【0023】本発明に加えて通常用いられる他の化粧品
や医薬品成分を適宜配合することができる。例えば、流
動パラフィン、スクワラン、ワセリン、セチルアルコー
ル、イソステアリルアルコール、2−エチルヘキサン酸
セチル、2−オクチルドデシルアルコール、トリイソス
テアリン酸グリセリン、マカデミアンナッツ油、ラノリ
ン等の各種炭化水素、油脂類、ロウ類等の油性成分、シ
リコーン類、界面活性剤、増粘剤、中和剤、防腐剤、殺
菌剤、酸化防止剤、粉体成分、色素、香料、他の紫外線
吸収剤、薬効剤、金属封鎖剤、pH調整剤等が挙げられ
る。
【0024】また、本発明にかかる糖桂皮酸誘導体を皮
膚外用剤として用いた場合、その剤型は任意であり、例
えば化粧水等の可溶化系、乳液、クリーム等の乳化系、
あるいは、軟膏、そのほかファンデーションなどの粉末
系等の剤型をとることができる。
【0025】
【発明の効果】本発明にかかる皮膚外用剤は、前記化2
の糖桂皮酸誘導体の一種または二種以上を含むので、紫
外線防御効果を充分に有する水性基剤の製剤化が可能に
なり、かつ基剤成分との相互作用がなく安定で安全性が
高い利点を有している。
【0026】
【実施例】次に、試験例及び実施例によって本発明をさ
らに詳細に説明する。なお、本発明は、これによって限
定されるものではない。
【0027】まず、本発明にかかる糖桂皮酸の製造方法
について説明する。製造例1(p-ク゛リコシロキシ桂皮酸メチルエステル) p−ヒドロキシ桂皮酸4gを、HCl−MeOH溶液8
0mlに溶解し、加熱還流を1時間した後、減圧濃縮し
た。酢酸エチル200mlで抽出し、精製水200ml
で5回洗浄した後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾
燥し、減圧濃縮した。
【0028】続いて、これを、ジブチルセルソルブ20
mlに溶解し、ペンタアセチルグルコース11.4g、
モリブドリン酸220mg加えた後、アルゴン雰囲気
下、減圧し、100℃にて30分間加熱攪拌した。反応
系を室温まで空冷した後、トルエンで抽出し、精製水で
1回、飽和食塩水で4回水洗し、さらに有機層を無水硫
酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残留物に無水
酢酸100ml及びピリジン100mlを加え、室温に
て1時間攪拌した後、減圧濃縮し、シリカゲルカラムク
ロマトグラフ法で残留物から未反応のp−ヒドロキシ桂
皮酸メチル及びそれらの分解物を除いた。
【0029】得られたp−グルコシロキシ桂皮酸メチル
エステルのアセチル化物と未反応のペンタアセチルグル
コースを、メタノール8mlに溶解し、ナトリウムメチ
ラート1mlを加え、室温で30分間攪拌した後、生成
してくるグルコースを濾去し、反応系をMeOH−HC
l溶液で中和した。反応液を減圧濃縮し、ブタノール5
0mlで抽出し、精製水20mlで5回水洗し、有機層
を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。
さらに、生成物を精製水50mlで抽出し、ヘキサン2
0mlで洗浄し、水層を濃縮した。
【0030】残留物をHPLCにて、カプセルパック
(株式会社資生堂製のODSカラム5cmφ×50c
m)を用い、移動相としてメチルアルコール:精製水=
28:72(流速80ml/min)を用いて分取した。保持
時間35.5分と37.7分の溶出部をそれぞれ濃縮す
ると、p−βグリコシロキシ桂皮酸メチルエステル、p
−α−グリコシロキシ桂皮酸メチルエステルを得た。
【0031】p−βグリコシロキシ桂皮酸メチルエステ
ル、p−α−グリコシロキシ桂皮酸メチルエステルの収
量は2.8g(収率27.8%)であった。得られたp
−β−グリコシロキシ桂皮酸メチルエステル、p−α−
グルコシロキシ桂皮酸メチルエステルは、それぞれ次の
(1)〜(5)の方法により分析した。このようにして
得たp−グルコシロキシ桂皮酸メチルエステルを試料1
とした。
【0032】p−βグリコシロキシ桂皮酸メチルエステ
(1)赤外吸収スペクトル測定法 日本分光工業株式会社製のIRA−1赤外吸収スペクト
ル測定装置を用い、neat法で測定したところ、33
50cm-1に水酸基の伸縮振動、2900cm-1にグル
コシロキシ基の伸縮振動、1690cm-1にカルボニル
基の伸縮運動による吸収が観測された。結果を図1に示
す。
【0033】(2)13C−NMR測定法 日本電子株式会社製のJOEL GX−400により、
CD3ODを溶媒として、室温にて測定したところ、1
69ppm、161ppm、146ppm、131pp
m、130ppm、118ppm、117ppm(1〜
7)に桂皮酸エステルの炭素に由来するシグナルが、1
01ppm、78ppm、74ppm、71ppm、6
2ppm(8〜12)にグルコース部分の炭素に由来す
るシグナルが、52.6ppm(13)にメチル基の炭
素に由来するシグナルが、それぞれ観測された。結果を
図2に示す。
【0034】(3)1H−NMR測定法 日本電子株式会社製のJOEL GX−400により、
CD3ODを溶媒として、室温にて測定したところ、δ
7.67(1H,J=16Hz)、7.58(2H,
d,J=8.8Hz)、7.15(2H,d,J=8.
8Hz)、6.43(1H,d,J=16.1Hz)に
桂皮酸の水素に由来するシグナルが、δ5.01(1
H,d,J=6.8Hz)にグルコースのアノメリック
水素に由来するシグナルが、δ3.93〜3.33にグ
ルコース部分の水素とメチル基の水素に由来するシグナ
ルがそれぞれ観測された。結果を図3に示す。
【0035】(4)紫外線吸収スペクトル測定法 日本分光工業株式会社製、UVIDEC 61OC紫外
吸収スペクトル測定装置を用い、溶媒メタノールで測定
したところ、223.8nm、295.6nmに、極大
吸収を示した。結果を図4に示す。
【0036】(5)融点測定法 ARTHUR H.THOMS COMPANY製キャピラリー式融点測定装置
を用いて、測定したところ、166〜168℃に融点を
示した。
【0037】p−α−グリコシロキシ桂皮酸メチルエス
テル (1)赤外吸収スペクトル測定法 日本分光工業株式会社製、IRA−1赤外吸収スペクト
ル測定装置を用い、neat法で測定したところ、33
50cm-1に水酸基の伸縮振動、2900cm-1にグル
コシロキシ基の伸縮振動、1690cm-1にカルボニル
基の伸縮運動による吸収が観測された。結果を図5に示
す。
【0038】(2)13C−NMR測定法 日本電子株式会社製のJOEL GX−400により、
CD3ODを溶媒として、室温にて測定したところ、1
69ppm、161ppm、146ppm、131pp
m、130ppm、118ppm、117ppm(1〜
7)に桂皮酸エステルの炭素に由来するシグナルが、1
01ppm、78ppm、74ppm、71ppm、6
2ppm(8〜12)にグルコース部分の炭素に由来す
るシグナルが、52.6ppm(13)にメチル基の炭
素に由来するシグナルが、それぞれ観測された。結果を
図6に示す。
【0039】(3)1H−NMR測定法 日本電子株式会社製のJOEL GX−400により、
CD3ODを溶媒として、室温にて測定したところ、δ
7.67(1H,J=16Hz)、7.58(2H,
d,J=8.8Hz)、7.15(2H,d,J=8.
8Hz)、6.43(1H,d,J=16.1Hz)に
桂皮酸の水素に由来するシグナルが、δ5.62(1
H,d,J=3.4Hz)にグルコースのアノメリック
水素に由来するシグナルが、δ3.93〜3.36にグ
ルコース部分の水素とメチル基の水素に由来するシグナ
ルがそれぞれ観測された。結果を図7に示す。
【0040】(4)紫外線吸収スペクトル測定法 日本分光工業株式会社製、UVIDEC 61OC紫外吸収スペク
トル測定装置を用い、溶媒メタノールで測定したとこ
ろ、223.8nm、295.6nmに、極大吸収を示
した。結果を図8に示す。
【0041】(5)融点測定法 ARTHUR H.THOMAS COMPANY製キャピラリー式融点測定装
置を用いて、測定したところ、188〜192℃に融点
を示した。
【0042】製造例2 (p−グリコシロキシ桂皮酸エ
チルエステル) p−ヒドロキシ桂皮酸11.3gを、エタノール12ml
に懸濁し、DCC12.0g、4−ピリジノピリジン
0.6gを加え、室温で2時間攪拌した。反応後、減圧
濃縮し、クロロホルム300mlで抽出、精製水200ml
で5回水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃
縮した。
【0043】残留物をシリカゲルカラムクロマト法で、
展開溶媒ヘキサン:酢酸エチルで精製し、p−ヒドロキ
シ桂皮酸エチルエステル8.46g(収率64%)を得
た。
【0044】続いて、このp−ヒドロキシ桂皮酸エチル
エステル3.2gを、ジブチルセルソルブ20mlに溶解
し、ペンタアセチルグルコース5.42g、モリブドリ
ン酸600mgを加えた後、アルゴン雰囲気下、減圧し、
100℃にて30分間加熱攪拌した。反応系を室温まで
空冷した後、トルエンで抽出し、精製水で1回、飽和食
塩水で4回水洗する。そして、有機相を無水硫酸マグネ
シウムで乾燥し、減圧濃縮した。残留物に無水酢酸50
ml及びピリジン50mlを加え、室温にて1時間攪拌した
後、減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフ法で
残留物から未反応のp−ヒドロキシ桂皮酸エチル及びそ
れらの分解物を除いた。
【0045】得られたp−グルコシロキシ桂皮酸エチル
エステルのアセチル化物と未反応のペンタアセチルグル
コースを、エタノール8mlに溶解し、ナトリウムエチラ
ート1mlを加え、室温で30分間攪拌した後、生成して
くるグルコースを濾去し、反応系を0.1M HCl溶
液で中和した。反応液を減圧濃縮し、ブタノール25ml
で抽出し、精製水10mlで5回水洗し、有機相を無水硫
酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。さらに、
生成物を精製水30mlで抽出し、ヘキサン20mlで洗浄
し、水相を濃縮した。
【0046】得られた残留物をハイパーポーラスポリマ
ー(三菱化成工業株式会社製のハイポーラス樹脂)のカ
ラムクロマトグラフ法を用い、展開溶媒として始めに精
製水、次にエチルアルコール:精製水=4:6を用いて
分画し、エチルアルコール:精製水4:6溶出部を濃縮
して、グルコシル桂皮酸エチルエステルを得た。その収
量は1.7g(収率35%)であった。
【0047】得られたグルコシロキシ桂皮酸エチルエス
テルを、次の(1)〜(5)の方法により分析した。p−グリコシロキシ桂皮酸エチルエステルの物理データ (1)赤外吸収スペクトル測定法 日本分光工業株式会社製のIRA−1赤外吸収スペクト
ル測定装置を用い、neat法で測定したところ、33
50cm-1に水酸基の伸縮振動、2900cm-1にグル
コシロキシ基の伸縮振動、1690cm-1にカルボニル
基の伸縮運動による吸収が観測された。
【0048】(2)13C−NMR測定法 日本電子株式会社製のJOEL GX−400により、
CD3ODを溶媒として、室温にて測定したところ、1
69ppm、161ppm、146ppm、131pp
m、118ppm、117ppmに桂皮酸エステルの炭
素に由来するシグナルが、101ppm、78ppm、
74ppm、71ppm、62ppmにグルコース部分
の炭素に由来するシグナルが、52.6ppm、15p
pmにエチル基の炭素に由来するシグナルが、それぞれ
観測された。
【0049】(3)1H−NMR測定法 日本電子株式会社製のJOEL GX−400により、
CD3ODを溶媒として、室温にて測定したところ、δ
7.67(1H,d,J=16Hz)、7.58(2
H,d,J=8.8Hz)、7.15(2H,d,J=
8.8Hz)、6.43(1H,d,J=16.1H
z)に桂皮酸の水素に由来するシグナルが、δ5.62
(1H,d,J=3.4Hz)にグルコースのアノメリ
ック水素に由来するシグナルが、δ3.93〜3.36
にグルコース部分の水素とエチル基の水素に由来するシ
グナルが、δ1.28(3H,t,7.2Hz)にエチ
ル基の水素に由来するシグナルが、それぞれ観測され
た。
【0050】(4)紫外線吸収スペクトル測定法 日本分光工業株式会社製、UVIDEC 61OC紫外
吸収スペクトル測定装置を用い、溶媒メタノールで測定
したところ、223.8nm、295.6nmに、極大
吸収を示した。次に、以上のようにして得られた糖桂皮
酸誘導体を配合した皮膚外用剤について説明する。
【0051】まず、本発明にかかる皮膚外用剤の日焼け
止効果について試験を行った。試験例 下記の表1に示す処方において、糖桂皮酸誘導体を配合
した美容液と、対照例として2−ヒドキシ−4−メトキ
シ−5−スルフォキソニウムベンゾフェノンを配合した
美容液を製造した。
【0052】
【表1】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 成 分 実施例1 対照例1 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− A.(アルコール相) エタノール 5.0% 5.0% POEオレイルアルコールエーテル 2.0 2.0 香料 0.05 0.05 B.(水相) 1,3−ブチレングリコール 5.0 5.0 p-ク゛リコシロキシ桂皮酸メチルエステル 7.0 − 2-ヒト゛ロキシ-4-メトキシ-5- スルフォキソニウムヘ゛ンソ゛フェノン − 7.0 トリエタノールアミン 0.1 0.1 カルボキシビニルポリマー 0.15 0.15 精製水 残 余 残 余 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− <製法>Aのアルコール相をBの水相に添加し、香料を
可溶化して美容液を得た。
【0053】外観状態 実施例1は、無色透明で粘性のある良好な美容液が得ら
れたのに対し、対照例では、黄味が強く粘性のない状態
であった。 日焼け止め効果 海浜での実使用テストにおいて、2つのサンプルをパネ
ル10名の体半分ずつ塗布し分け、日焼け具合のアンケ
ート調査及び皮膚トラブルの調査を行なった。その結果
を表2に示す。
【0054】
【表2】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例1の 対照例1の サンプル塗布部 サンプル塗布部 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− パネルA ○ △ B △ × C △ × D ○ × E △ △ F ○ △ G ○ × H ○ △ I △ △ J ○ ○ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 皮膚トラブル件数 なし ひりつき3件 かゆみ 5件 発疹 2件 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 日焼けの程度の評価基準 強い紅班が認められた … × 僅かに紅班が認められた … △ 紅班は認められなかった … ○
【0055】これらの結果より糖桂皮酸誘導体を配合し
た皮膚外用剤は、従来の水溶性紫外線吸収剤を配合した
皮膚外用剤より紫外線防御効果が高く、皮膚トラブルの
ない安全性が高いものであった。
【0056】以下に本発明にかかる皮膚外用剤の配合例
を説明する。なお、各皮膚外用剤とも優れた紫外線防御
効果を示した。
【0057】実施例2 クリームA.油相 ステアリン酸 10.0% ステアリルアルコール 4.0 ステアリン酸モノグリセリンエステル 8.0 ビタミンEアセテート 0.5 香料 0.4 エチルパラベン 0.1 ブチルパラベン 0.1 プロピルパラベン 0.1 B.水相 プロピレングリコール 8.0 グリセリン 2.0 p−グルコシロキシ桂皮酸メチルエステル 5.0 水酸化カリウム 0.4 エデト酸三ナトリウム 0.05 精製水 残 余 <製法>Aの油相部とBの水相部をそれぞれ70℃に加
熱し完全溶解する。A相をB相に加えて、乳化機で乳化
する。乳化物を熱交換機を用いて冷却してクリームを得
た。
【0058】実施例3 クリーム A.油相 セタノール 4.0 ワセリン 7.0 イソプロピルミリステート 8.0 スクワラン 12.0 ジメチルポリシロキサン 3.0 ステアリン酸モノグリセリンエステル 2.2 POE(20)ソルビタンモノステアレート 2.8 グリチルレチン酸ステアレートBHT 0.02 エチルパラベン 0.1 ブチルパラベン 0.1 B.水相 1.3ブチレングリコール 7.0 エデト酸二ナトリウム 0.07 フェノキシエタノール 0.2 L−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩 3.0 ポリアクリル酸アルキルエステル 1.0 p−グルコシロキシ桂皮酸エチルエステル 7.0 精製水 残 余 <製法>実施例2に準じてクリームを得た。
【0059】実施例4 乳液 A.油相 スクワラン 5.0 オレイルオレート 3.0 ワセリン 2.0 ソルビタンセスキオレイン酸エステル 0.8 ポリオキシエチレンオレイルエーテル(20E.O.) 1.2 2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート 3.0 メチルパラベン 0.15 香料 0.12 B.水相 ジプロピレングリコール 5.0 エタノール 3.0 カルボキシビニルポリマー 0.17 ヒアルロン酸ナトリウム 0.1 p−グルコシロキシ桂皮酸メチルエステル 4.0 水酸化カリウム 0.08 ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05 精製水 残 余 <製法>実施例2に準じて乳液を得た。
【0060】実施例5 クリーム A.油相 ベヘニルアルコール 0.5% 12-ヒドロキシステアリン酸コレスタノールエステル 2.0 スクワラン 7.0 ホホバオイル 5.0 自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 2.5 ポリオキシエチレンソルビタン モノステアリン酸エステル(20EO) 1.5 2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン 3.0 エチルパラベン 0.2 ブチルパラベン 0.1 香料 0.1 B.水相 プロピレングリコール 5.0 グリセリン 5.0 ビーガム(モンモリロナイト) 3.0 水酸化カリウム 0.3 p−グルコシロキシ桂皮酸エチルエステル 6.0 エデト酸三ナトリウム 0.08 <製法>実施例2に準じクリームを得た。
【0061】実施例6 粉末入り化粧水 A.油相 エタノール 8.0 POE(60)グリセリルモノイソステアレート 2.0 L−メントール 0.1 カンファー 0.1 メチルパラベン 0.1 香料 0.03 B.水相 グリセリン 3.5 p−グルコシロキシ桂皮酸メチルエステル 2.0 亜鉛 1.5 カオリン 0.5 ベントナイト 0.3 ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.03 精製水 残 余 <製法>実施例1に準じた製法で粉末入り化粧水を得
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる皮膚外用剤に配合されるp−β
グリコシロキシ桂皮酸メチルエステルの赤外吸収スペク
トル図である。
【図2】本発明にかかる皮膚外用剤に配合されるp−β
グリコシロキシ桂皮酸メチルエステルの13C−NMR図
である。
【図3】本発明にかかる皮膚外用剤に配合されるp−β
グリコシロキシ桂皮酸メチルエステルの1H−NMR図
である。
【図4】本発明にかかる皮膚外用剤に配合されるp−β
グリコシロキシ桂皮酸メチルエステルの紫外線吸収スペ
クトル図である。
【図5】本発明にかかる皮膚外用剤に配合されるp−α
グリコシロキシ桂皮酸メチルエステルの赤外吸収スペク
トル図である。
【図6】本発明にかかる皮膚外用剤に配合されるp−α
グリコシロキシ桂皮酸メチルエステルの13C−NMR図
である。
【図7】本発明にかかる皮膚外用剤に配合されるp−α
グリコシロキシ桂皮酸メチルエステルの1H−NMR図
である。
【図8】本発明にかかる皮膚外用剤に配合されるp−α
グリコシロキシ桂皮酸メチルエステルの紫外線吸収スペ
クトル図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 植原 計一 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株式会社 資生堂研究所内 (56)参考文献 特開 平4−305592(JP,A) 特開 平4−270298(JP,A) 特開 平4−183773(JP,A) 特開 昭64−13017(JP,A) 特開 昭63−201116(JP,A) 特開 昭57−58644(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 7/42 A61K 7/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式化1で表わされる糖桂皮酸誘
    導体を一種または二種以上配合することを特徴とする皮
    膚外用剤。 【化1】 (式中Aは糖から1個の水酸基を除いた残基、Rは好ま
    しくは全炭素数1〜4の−O−結合脂肪鎖)
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